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マッチングアプリやSNSで知り合った相手と、毎日のようにメッセージを交わすようになった。会ったことはないけれど、優しくて話も合う。ある日、その人から「一緒に将来のために資産を増やそう」と投資を勧められた。ロマンス詐欺は、こうして始まることがほとんどです。
ロマンス詐欺は、恋愛感情や親しみにつけ込んでお金をだまし取る詐欺です。相手を信じたいという気持ちが強いほど、疑うことが難しくなります。被害は年々増え、年齢や性別を問わず、多くの人が大切なお金を失っています。
この記事では、詐欺の被害者から多くの話を聞いてきた弁護士として、ロマンス詐欺の典型的な手口と見抜くためのサイン、だまされたと気づいたときにやるべきこと、お金を取り戻すための方法、そして「返金できます」とうたう二次被害への注意までをお伝えします。
ロマンス詐欺とは|恋愛感情につけ込む詐欺
ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリなどで知り合った相手に、恋愛感情や信頼を抱かせたうえで、さまざまな口実をつけてお金を送らせる詐欺です。相手とは一度も直接会わないまま、多額のお金をだまし取られるケースが大半を占めます。
ロマンスという言葉から、恋人関係だけを想像するかもしれません。実際には、友人、仕事の相談相手、同じ趣味の仲間など、親しい関係を装って近づいてくる例もあります。
被害の規模
警察庁のまとめでは、特殊詐欺とSNSを使った投資詐欺、ロマンス詐欺をあわせた2025年の被害額は、暫定値で3,000億円を超え、過去最悪となりました。ロマンス詐欺の被害も大きく増えており、最初の接触の場はマッチングアプリが最も多く、写真を中心としたSNSが続きます。
国際ロマンス詐欺と呼ばれるもの
海外に住む外国人を装って近づく手口は、国際ロマンス詐欺とも呼ばれます。海外の軍人、医師、技術者、事業家などを名乗り、英語や翻訳ソフトを使った日本語でやり取りをしてきます。一方で、日本人を装い、流ちょうな日本語で近づいてくる手口も増えています。相手の国籍や言葉で判断することはできません。
ロマンス詐欺と結婚詐欺の違い
結婚詐欺は、実際に会って交際し、結婚をほのめかしてお金をだまし取るものです。これに対してロマンス詐欺は、一度も会わないまま、ネット上のやり取りだけで信頼を築き、お金を送らせるのが特徴です。相手の顔も本名も本当の住まいも分からないため、被害に気づいた後に相手を探し出すことが、結婚詐欺よりはるかに難しくなります。
誰でも被害に遭いうる
ロマンス詐欺の被害者には、会社員、経営者、医師、公務員など、社会的な立場のある人も多く含まれます。孤独を感じている人、仕事が忙しく出会いの機会が少ない人、配偶者と死別した人などが狙われやすい傾向はあるものの、「自分は大丈夫」と言い切れる人はいません。犯人は、相手の心の隙間を巧みに見つけ出し、時間をかけて信頼を築いていきます。
ロマンス詐欺の典型的な手口
ロマンス詐欺には、よく似た流れがあります。手口を知っておけば、自分が今どの段階にいるのかに気づくことができます。
- SNSやマッチングアプリで、魅力的な写真のアカウントから接触してくる
- 毎日のようにメッセージを送り、親しい関係を築いていく
- 早い段階で、別のメッセージアプリでのやり取りに誘う
- 恋愛感情や将来の約束を口にし、信頼を深める
- 投資話やトラブルを口実に、お金を送るよう求める
- 一度送ると、次々と別の理由をつけて追加の送金を求める
時間をかけて信頼を築く
ロマンス詐欺の犯人は、いきなりお金の話をすることはほとんどありません。数週間から数か月にわたって、朝の挨拶や日常の出来事、悩みの相談などのやり取りを重ねます。被害者にとって、相手が生活の一部になったころを見計らって、お金の話を切り出してきます。長く続いた関係であるほど、疑うことへの心理的な抵抗は大きくなります。
マッチングアプリからの誘い出し
マッチングアプリで知り合った相手が、早い段階で別のメッセージアプリに移ろうと言ってくることがあります。アプリの運営者による監視や通報の仕組みから逃れるためです。やり取りの場を移そうと急かされたら、警戒のサインだと考えてください。
各段階の間には、数日から数週間の時間が置かれることもあります。ゆっくりと関係を深めることで、被害者は相手を身近な存在だと感じるようになります。
よく使われる口実
| 口実のタイプ | 典型的な言い分 |
|---|---|
| 投資への誘導 | 「私も叔父に教わって儲けている。一緒に将来の資金を増やそう」 |
| 会うための費用 | 「日本に行きたいが、渡航の手続きに費用がかかる」 |
| 緊急のトラブル | 「病気で入院した」「事故に遭って治療費が必要」 |
| 荷物の受け取り | 「あなたに送った荷物が税関で止まっている。手数料を払ってほしい」 |
| 職業上の事情 | 「海外の戦地にいる医師(軍人)で、口座が使えない」 |
少しずつ金額が増えていく
最初に求められる金額は、数万円程度の少額であることが多いものです。一度送ると、次は数十万円、その次は数百万円と、要求は段階的に大きくなっていきます。すでに送ったお金を無駄にしたくないという気持ちが、さらなる送金を後押ししてしまいます。
送金の方法の指定
犯人は、送金の方法を細かく指定してきます。個人名義の口座への振込、暗号資産の購入と送金、電子マネーのカードの購入などです。銀行の窓口で理由を聞かれたら「家族への送金」と答えるよう指示することもあります。送金の理由を偽るよう求められたら、それ自体が詐欺の強いサインです。
投資詐欺と組み合わさる手口
最近のロマンス詐欺では、恋愛感情を利用して偽の投資サイトやアプリに誘導し、暗号資産や外国為替の取引をさせる手口が目立ちます。最初は少額を入れると、画面上では大きな利益が出ているように見え、実際に少しだけ出金もできるため、信じ込んでしまいます。ところが、大きな額を入れた後に出金しようとすると、「税金」「手数料」「保証金」などの名目で、さらにお金を求められます。画面上の利益は、最初から存在しない数字なのです。
ロマンス詐欺を見抜くためのサイン
相手を好きになっていると、冷静な判断は難しくなります。次のようなサインが重なっていたら、立ち止まって考えてみてください。
- 写真が、モデルのように整いすぎている
- 海外に住んでいる、または海外勤務だと言い、会うことができない
- ビデオ通話を何かと理由をつけて断る
- 知り合ってすぐに、別のメッセージアプリに移るよう求める
- 短期間で「愛している」「結婚したい」と言う
- 投資や儲け話を持ちかけてくる
- お金の話になると、急かしたり、断ると不機嫌になったりする
- 家族や友人には内緒にしてほしいと言う
言葉づかいや話の食い違い
外国人を名乗る相手の場合、翻訳ソフトを使ったような不自然な日本語が見られることがあります。また、以前に話していた経歴や家族の話と、後の話が食い違うこともあります。やり取りを読み返してみると、矛盾に気づけることがあります。
相手が見せてくる「証拠」
犯人は、信用させるために、身分証の写真、勤め先の社員証、投資の利益の画面、送金の明細などを送ってくることがあります。どれも簡単に偽造できるものです。証拠を見せられたからといって、相手の話が本当だとは限りません。
第三者の意見を聞く
一人で判断していると、相手の説明にどうしても引きずられてしまいます。信頼できる友人や家族にやり取りを見せ、率直な意見を聞いてみてください。第三者の目から見ると、不自然な点がすぐに分かることも少なくありません。
写真の画像検索
相手の写真を画像検索にかけると、別人の名前で使われている写真や、海外のモデルの写真だと分かることがあります。犯人は、他人の写真を盗用してアカウントを作っていることがよくあります。
ある女性のケース
50代の女性が、写真を投稿するSNSで、海外の企業に勤めるという男性と知り合いました。3か月ほど毎日メッセージを交わすうち、男性は「二人の老後のために」と、ある投資アプリを勧めてきました。最初に入れた数十万円は、画面上ですぐに倍近くに増え、少額の出金もできました。安心した女性は、貯金の大半を入金しましたが、出金しようとすると「利益に対する税金を先に払う必要がある」と言われ、さらに送金を求められました。このとき初めて、女性は家族に相談し、詐欺だと分かりました。
「会ったことのない相手に、お金を送らない」。これを絶対のルールにしてください。どんなに信頼できると感じても、どんなに切実な事情を聞かされても、直接会ったことのない相手への送金は、ロマンス詐欺の可能性が極めて高いと考えるべきです。迷ったら、送金する前に家族や警察に相談しましょう。
周囲に相談しにくい心理
相手との関係を否定されたくない、だまされたと認めるのが恥ずかしい、という気持ちから、被害に遭った人は周囲に相談しにくくなります。犯人も「二人だけの秘密にしよう」と言って、被害者を孤立させようとします。誰かに話してみるだけで、客観的に状況を見られるようになることがあります。
だまされたと気づいたら最初にやること
詐欺だと気づいたときは、ショックと混乱で何も手につかないかもしれません。けれども、被害の回復のためには、早く動くことが何より重要です。
- それ以上の送金をやめる
- 相手とのメッセージ、プロフィール、送金の記録をすべて保存する
- 振込先の銀行に連絡し、口座の凍結を求める
- 警察に被害を届け出る
- 消費生活センターや弁護士に相談する
何よりも大事なのは、「取り戻したい」という気持ちから、相手の新たな要求に応じないことです。「あと少し払えば全額出金できる」という言葉は、さらにお金を引き出すための罠です。
相手が詐欺師だと認めるのは、つらいことです。それでも、気づいた今が、被害を広げないための分かれ目です。
相手に詐欺だと告げない
詐欺だと気づいたことを相手に伝えると、相手はアカウントを消して姿を消したり、口座のお金を急いで引き出したりします。証拠を保存し、口座の凍結の手続きを済ませるまでは、相手に気づかれないようにするのが賢明です。
相手をブロックするのは記録を残してから
詐欺だと分かれば、すぐに相手をブロックしたくなるでしょう。ただ、ブロックやアカウントの削除によって、それまでのやり取りが見られなくなることがあります。まずはメッセージをすべて保存し、口座の凍結の手続きを済ませてから、ブロックするようにしてください。
心の傷にも目を向ける
ロマンス詐欺の被害は、お金を失うだけでなく、信じていた相手に裏切られたという深い心の傷を残します。眠れない、何もする気が起きない、自分を責め続けてしまう。そんな状態が続くなら、家族や友人、医療機関、相談窓口を頼ってください。お金の問題と同じくらい、心の回復も大切です。
保存しておく記録
- 相手のプロフィールの画面と、アカウント名
- 知り合ってからのメッセージのやり取り
- 投資サイトやアプリの画面と、そのアドレス
- 振込の明細や、暗号資産の送金の記録
お金を取り戻す方法
ロマンス詐欺でだまし取られたお金を取り戻すのは、簡単ではありません。それでも、早く動けば回収の可能性が生まれる手段があります。
振込先の口座の凍結と分配金
銀行から振り込んでいたなら、受け取った側の銀行と警察へ知らせ、その口座を止めてもらいましょう。凍結できた口座の残高は、振り込め詐欺救済法の手続きに沿って、被害者の間で分けられます。犯人は受け取ったお金をすぐに移すため、連絡が一日遅れるだけで、残高がなくなっていることもあります。
口座の凍結は、振込先の銀行が判断して行います。夜間や休日でも、銀行の紛失・盗難の受付窓口などに連絡すれば、対応してもらえることがあります。
銀行に伝える情報
振込先の銀行に連絡するときは、いつ、いくらを、どの銀行のどの口座に送ったのかを、口座の名義も含めて正確に伝えます。詐欺の被害であることを告げ、口座の凍結を求めてください。振込みに使った自分の銀行にも同じ内容を伝えておけば、やり取りが早くまとまります。
暗号資産で送った場合
暗号資産で送金した場合は、振り込め詐欺救済法の対象外です。送金の記録をたどることはできても、犯人の口座を凍結して取り戻すのは極めて難しいのが実情です。送金に使った国内の暗号資産交換業者に、すぐに事情を伝えてください。
交換業者への連絡
国内の暗号資産交換業者を経由して送金した場合は、その業者に、詐欺の被害に遭ったことと、送金先のアドレスを伝えます。業者によっては、送金先が不正に使われているアドレスとして記録し、他の利用者の被害防止に役立てることがあります。
警察への届出
警察に被害を届け出ると、犯人の口座や使われたアカウントの情報が捜査に生かされます。届け出た記録は、銀行への口座凍結の要請や、後の手続きでも必要になります。警察の相談専用電話(#9110)や、最寄りの警察署に相談してください。
口座の名義人への請求
詐欺に使われた口座の名義人は、犯人に口座を売ったり貸したりした人物であることが多く、詐欺を手助けしたとして損害賠償を求められる場合があります。名義人が特定でき、支払う力があれば、一部でも回収できる可能性があります。
犯人に対する損害賠償
犯人やお金の受け取りに関わった人物が特定できれば、損害賠償を請求できます。口座を犯人に貸した名義人に対して、責任を問えることもあります。ただし、犯人の多くは海外を拠点とする組織で、特定や回収には大きな壁があります。
| 送金の方法 | 回収の見通し |
|---|---|
| 銀行振込 | 口座の凍結が間に合えば、残高から分配を受けられる可能性がある |
| 暗号資産 | 救済法の対象外で、回収は極めて難しい |
| 電子マネー | 発行会社に連絡しても、使われた後は取り戻しにくい |
| 現金の手渡し・郵送 | 受け取った人物が捕まらない限り、回収は難しい |
「返金できます」という二次被害に注意
ロマンス詐欺の被害者は、二度目の詐欺の標的にもなります。被害者の情報が、犯人グループの間で共有されていることがあるからです。
とくに、ネットで「ロマンス詐欺 返金」などと検索したときに表示される広告には注意が必要です。弁護士や探偵事務所を装った業者のサイトに誘導され、高額な着手金を払わされる被害が報告されています。
被害を取り戻したいという気持ちは、ときに冷静な判断を奪います。うまい話ほど疑うという原則は、被害に遭った後も変わりません。
典型的な二次被害の手口
- 「詐欺の被害金を取り戻せます」とネットの広告で誘う
- 調査会社や探偵を名乗り、着手金を払わせた後に連絡を絶つ
- 警察や公的機関を名乗り、「返金の手続きに手数料が必要」と言う
- 弁護士を名乗り、確実な返金を約束する
被害者の情報が狙われる
詐欺の被害者の名前や連絡先が、犯罪グループの間で出回っていることがあります。一度だまされた人は、またお金を払う可能性があると見られてしまいます。被害に遭った後に、見知らぬ業者や団体から連絡が来たら、まず疑ってかかってください。
「必ず返金できる」「高い確率で取り戻せる」と約束する業者には、十分に注意してください。ロマンス詐欺の被害金の回収は、弁護士であっても容易ではなく、確実な返金を約束することはできません。依頼する前に、相手が本当に弁護士として登録されているか、日本弁護士連合会のサイトで確かめましょう。
本物の弁護士かを見分けるには
弁護士は、日本弁護士連合会に登録しており、氏名や所属する弁護士会を検索で確かめられます。事務所の住所や電話番号が実在するかも確認しましょう。相談の前から「返金の成功率」を強調したり、着手金の支払いを急かしたりする相手には、注意が必要です。
ロマンス詐欺に関わる法律
ロマンス詐欺の犯人は、詐欺罪に問われます。詐欺罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑です。犯人グループは組織的に動いていることが多く、組織的な犯罪として、より重く処罰される場合もあります。
だまされて送金を手伝わされた場合
ロマンス詐欺の中には、被害者に「荷物を受け取って転送してほしい」「お金を受け取って別の口座に送ってほしい」と頼み、知らないうちに犯罪の手伝いをさせる手口もあります。事情を知らずに手伝った場合でも、警察から事情を聞かれることがあります。頼まれた時点でおかしいと感じたら、応じずに相談してください。
口座を貸した人の責任
犯人に自分の銀行口座を売ったり貸したりする行為も、犯罪にあたります。「口座を貸すだけでお金がもらえる」という誘いに乗ると、詐欺の片棒を担ぐことになり、被害者から損害賠償を求められることもあります。
偽の投資サイトの実態
ロマンス詐欺で誘導される投資サイトやアプリの多くは、金融庁に登録していない業者によるものです。見た目は本物の取引画面のようでも、実際には取引は行われておらず、表示される利益は作られた数字です。投資の勧誘を受けたら、金融庁のサイトで、その業者が登録を受けているかを確認しましょう。
詐欺の犯人に加えて、お金を引き出す役や口座を集める役など、組織の末端で動く者が摘発されることもあります。一人ひとりの届出が積み重なって、組織の全体像が明らかになっていきます。
国際的な犯罪組織
ロマンス詐欺の犯人の多くは、海外を拠点とする犯罪組織だとみられています。日本の警察も、海外の捜査機関と連携して摘発を進めていますが、国境を越えた捜査には時間がかかります。
損害賠償を求められる期間
犯人などに損害賠償を求める権利は、被害と相手を知った時から3年で時効にかかるのが原則です。相手が分からない間は時効が進みにくいとはいえ、手続きは早いに越したことはありません。
警察と金融機関の取り組み
警察は、SNSの運営会社や金融機関と連携して、詐欺に使われるアカウントや口座の早期の凍結、被害の未然防止に取り組んでいます。銀行の窓口で高額の送金をしようとすると、行員が理由を尋ねたり、警察に連絡したりすることがあるのも、その一環です。声をかけられたら、面倒がらずに事情を話してください。
家族がロマンス詐欺に遭っているとき
家族がロマンス詐欺に巻き込まれていると気づいても、本人がそれを認めないことがよくあります。相手を信じ切っているため、「詐欺だ」と言われると、かえって心を閉ざしてしまいがちです。
家族が気づけるサイン
- スマートフォンでのやり取りに長い時間を費やしている
- 急に投資や外国の話をするようになった
- 高額の出金や、見慣れない送金をしている
- お金の使い道を聞くと、はぐらかしたり怒ったりする
頭ごなしに否定しない
「だまされている」と強く言うと、本人は相手をかばい、家族の話を聞かなくなります。まずは本人の気持ちを受け止め、相手とのやり取りについて一緒に確かめてみる姿勢で接しましょう。写真の画像検索を一緒にしてみるなど、本人が自分で気づけるきっかけを作ることが有効です。
本人のお金の流れを家族が確認できる場合は、不審な送金に早く気づけるよう、見守りの体制を整えておくことも考えられます。
警察や専門家の力を借りる
家族の説得に本人が耳を貸さない場合は、警察に相談して、本人に話をしてもらう方法もあります。第三者から客観的な事実を示されることで、ようやく気づく人も少なくありません。
日ごろからの声かけ
一人暮らしの親や、パートナーを亡くした家族がいるなら、日ごろから連絡を取り、SNSでの出会いについて話題にしておくとよいでしょう。「会ったことのない人にお金を送らない」「送る前に一度相談する」という約束をしておくだけでも、被害を防ぐ力になります。
弁護士に相談するメリット
ロマンス詐欺の被害の回復は難しいものの、弁護士が関わることで打てる手は広がります。
被害の回復は難しいからこそ、限られた手段を確実に使うことが重要です。
口座の凍結と分配金の手続き
弁護士は、振込先の銀行に対して、口座の凍結を速やかに求めることができます。口座の名義人が判明していれば、名義人に対する損害賠償の請求も検討します。
被害が複数の口座や送金方法にまたがっている場合も、どこから手をつけるべきかを整理し、優先順位をつけて手続きを進めます。
見通しを正直に伝えてもらえる
信頼できる弁護士であれば、回収の見込みが低い場合は、そのことを率直に伝えます。費用をかけても取り戻せない可能性があることを知ったうえで、依頼するかどうかを決められます。
費用の考え方
ロマンス詐欺の事案では、弁護士費用をかけても回収できない可能性があります。費用倒れを避けるため、相談の段階で、回収の見込みと費用の見積もりを必ず確認してください。見込みが低ければ、警察への届出や口座凍結の手続きなど、費用のかからない方法を優先することも考えられます。
二次被害を防ぐ
弁護士が窓口になれば、「返金できる」とうたう怪しい業者の勧誘に惑わされることも減ります。被害に遭った後の不安な時期こそ、信頼できる専門家に相談することが、新たな被害を防ぐことにつながります。
相談するタイミング
お金を送ってしまったと気づいたら、その日のうちに相談するのが理想です。口座の凍結は時間との勝負だからです。まだ送金していなくても、相手の話に不審な点があると感じたら、送金する前に相談してください。
よくある質問
相手は本当に自分を好きだったのでは、と考えてしまいます
そう思いたくなる気持ちは自然なことです。ただ、会ったことのない相手が、投資やトラブルを口実にお金を求めてきたのであれば、最初からお金が目的だった可能性が高いといえます。自分を責める必要はありません。悪いのは、人の気持ちを利用した犯人です。
知り合って間もない相手から投資を勧められました
知り合って間もないのに投資の話をしてくる相手は、それだけで警戒すべきです。利益が確実だと強調する、今すぐ始めないと損をすると急かす、といった特徴があれば、詐欺の可能性が高いと考えてください。
相手から今も連絡が来ます。どうすればよいですか
返信はせず、届いたメッセージは保存しておきましょう。「お金を返す」「最後にもう一度だけ」といった言葉には、決して応じないでください。
少額しか送っていませんが、相談してもよいですか
もちろんです。少額のうちに気づけたのは幸運なことです。相手からさらに送金を求められる前に、やり取りをやめ、警察や消費生活センターに相談してください。
相手の本名や住所が分かっています
相手が教えた名前や住所は、偽物であることがほとんどです。ただ、振込先の口座の名義など、本物の手がかりが含まれていることもあります。自分で相手に接触しようとはせず、警察や弁護士に情報を渡してください。
相手がビデオ通話に応じてくれました。それでも詐欺の可能性はありますか
あります。最近では、他人の顔を合成する技術を使って、ビデオ通話でも別人になりすます手口が確認されています。顔が見えたからといって、安心はできません。お金を求められたら、どんなに信頼していても、立ち止まって考えてください。
投資アプリの画面では利益が出ています。出金できれば大丈夫ですか
少額の出金ができても、それは信用させるための演出にすぎません。大きな額を出金しようとすると、さまざまな名目で追加の支払いを求められます。追加の支払いを求められた時点で、詐欺を疑ってください。
相手のアカウントを通報したほうがよいですか
記録を保存した後であれば、SNSやアプリの運営会社に通報することをおすすめします。同じアカウントが、ほかの人に近づくのを防ぐことにつながります。
だまし取られたお金は税金の控除の対象になりますか
詐欺による損失は、所得税の雑損控除の対象にならないとされています。盗難や災害とは扱いが異なるため、税金の面での救済は期待しにくいのが実情です。詳しくは税務署や税理士に確認してください。
だまされたことを家族に打ち明けるべきですか
打ち明けるのは勇気がいることですが、家族の支えは回復の大きな力になります。家族が事情を知っていれば、犯人から再び連絡があったときや、二次被害の勧誘を受けたときにも、一緒に判断できます。
マッチングアプリの運営会社に責任を問えますか
アプリの運営会社は、利用者の出会いの場を提供しているにすぎず、詐欺の被害について直ちに責任を負うわけではありません。ただ、詐欺に使われたアカウントを運営会社に通報すれば、他の利用者の被害を防ぐことにつながります。
相手が「警察に言えば二人の関係が壊れる」と言います
相談させないように仕向けるのは、詐欺師の常套手段です。本当にあなたを大切に思う相手なら、あなたが家族や警察に相談することを止めはしないはずです。
家族に知られずに相談できますか
警察や弁護士には秘密を守る義務があるため、相談したことが本人の同意なく家族に伝わることはありません。一人で抱え込まず、まずは相談してみてください。