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投資詐欺によるトラブルが急増中! 被害にあわないためのポイントとは?

この記事で分かること

  • 投資詐欺は巧妙化しているので注意する
  • 投資詐欺の被害者は高齢者が多く、60歳以上が65%を占める
  • うまい話にはのらないことが大切。怪しいと思ったらすぐに確認する

投資詐欺は、年々巧妙化しています。特に急速に変化が加速する時代の中で、高齢者の被害が増えていて、被害者の65%以上が60歳以上というデータが出ています。いつの時代もうまい話に裏があることは変わりません。高齢の家族がだまされないようにも注意し、怪しいと感じたら警察に連絡するようにしましょう。

あとを絶たない投資トラブル(投資詐欺)

「必ず儲かります」「あなただけへ特別な紹介です」など言葉巧みに投資話を持ち掛け、お金を騙し取る「投資詐欺」。誘われてお金を出したけれど全く儲からず元金ごと持ち逃げされる、勧誘した業者に連絡しても音信不通になるといった被害が後を絶ちません。

投資詐欺の具体例

株式、債権、外国通貨、エネルギーの権利など…、投資商品は世界中に数多く存在し、その分投資にまつわる詐欺も多岐にわたっています。中でも代表的で、被害の数も多い投資詐欺の種類を3つご紹介します。

未公開株

未公開株とは、上場前の株式のこと。近々証券取引所に上場する予定の企業があるという嘘の情報を与え、今のうちに安く買っておけば上場後に高値で売れるともちかけるのが、未公開株にかかわる詐欺です。

犯人は、証券会社の社員等を装って近づいてきます。

信じこんでお金を払ってしまっても、上場予定の情報は嘘だったり、そもそもそんな会社は存在していなかったり、売られた株が偽物だったり。

被害にあってしまったら手元に残るのは、資産価値の定かではない未公開株か未公開株に見せかけられたただの紙切れだけです。

外国通貨

日本であまり知られていない新興国の通貨を勧める詐欺です。近い将来、その国は大きく経済成長し貨幣価値が上がるので、安いうちに買っておいて値上がりしたときに売れば儲かるという話を持ち掛けられます。

「急速に工業化が進んでいる」「様々な開発プロジェクトが進んでいる」などと巧みな理由をつけて、被害者を信じ込ませ、実際の市場価値の100倍や1000倍の値段で、外国通貨を購入させるのです。

犯人の口車に乗せられて大金を払ってしまったら、お金は決して戻ってきません。

また、外国通貨詐欺に利用される国の通貨のは、国内の銀行やFX業者では両替を取り扱っていないものも多く、購入した通貨を日本円や米ドルなど他の通貨に換えることできないでしょう。

事業や権利

これから発展しそうな事業や研究などに対して、設備や土地などの権利、知的財産権などへの投資を勧誘する詐欺です。風力発電や太陽光発電、HIVやiPS細胞など、その時々に話題となっている事業がネタにされているので、被害者は「詳しくは知らないけれど、なんとなく聞いたことがあるから本当っぽい」と信じてしまうのです。

しかし、実際には架空の事業だったり、無価値のものだったり。騙されてお金を払ってしまっても解約はできず、手元には紙切れ同然の権利書が残るだけです。

巧妙化する投資の騙しの手口

詐欺被害の結果だけを聞けば、「そんなことで騙されるのか?」「自分は絶対大丈夫」などと思う人も多いでしょう。しかし、犯人の手口は日々巧妙化しています。注意喚起の声が高まる中でも手を変え品を変え、近づいてくるのです。

騙しの手口はなりすまし

最近流行りの手口は、登場人物が多い「劇場型」の詐欺です。証券会社の社員から、別の証券会社の社員、役所の職員や警官まで。組織で被害者を取り囲み、追い込んでいきます。

また、金融庁や証券取引等監視委員会の担当者など、それらしい立場の人間になりすまし、被害者を信じ込ませてしまう場合もあります。

「あなたの投資に違法行為があったので違反金を支払え」と脅したり、「手数料を支払えばあなたが損したお金を取り戻せる」と弱みにつけこんだり、人の心の隙間に入り込んでくるのです。

他にも、家にいきなり資料が送られてきて、「特定の(資料が送られてきた)人だけが購入できる未公開株を、後で料金を支払うから代わりに買ってほしい」と頼まれる代理購入型の詐欺や、はじめのうちは配当金や利息を支払って被害者を信用させた後、追加の投資を要求してくるやり方の詐欺などが、投資詐欺のよくある手口です。

被害者の半数は高齢者

投資詐欺の被害者は、高齢者が多いようです。

平成27年(2015年)1月から平成27年(2015年)12月までの1年間に、金融庁に寄せられた投資詐欺に関する相談では、全体の17.5%が60代、30.8%が70代、17.2%が80代以上。実に、65%以上が60代以上で占められていることになります。

ワンポイントアドバイス
昔から変わらないのは、未公開株や外国通貨、権利など、一般の人にはあまり馴染みがなく、あたかもありそうに見えるものを利用した投資詐欺。そして、近年広く行われるようになったのが、なりすましによる劇場型詐欺です。どちらにしても、自分ひとりで判断せず、家族や知人に相談して、客観的な意見を聞くことが騙されないポイントでしょう。

プロ向けファンドの投資トラブルにも注意

政府広報ページで、近年増加傾向にあるとして注意が呼びかけられている詐欺の手口があります。それが、「プロ向けファンド」を悪用した手法です。どのような詐欺なのか、防ぐためにはどうしたら良いのか。この種類の投資詐欺にまつわる動きをご紹介します。

プロ向けファンド詐欺について

近年、金融庁への相談件数が増加しているのが、「プロ向けファンド」と呼ばれる形態を持ち出してくる詐欺です。「金融庁に届出をしている」「プロの投資家を対象としたファンドを運用している」などの言葉で消費者を信用させているようです。

プロ向けファンドについて

「プロ向けファンド」とは、証券会社や銀行など、「適格機関投資家」と呼ばれるプロの投資家限定で運用、販売されているファンドのことです。

そのファンドと関係の深い一般投資家も出資できるよう想定され、売り先に適格機関投資家が1人でも居ればプロと見なされ、一般の投資家にも49人までなら販売することが認められていました。

しかし、制度の仕組みが悪用され、投資経験が浅く知識の乏しい一般投資家へ不適切な勧誘が行われるなどトラブルが多発しました。

制度を悪用する業者が多発

「プロの投資家が一人でも居れば、49人の一般投資家にも出資させられる」という制度の緩さを利用した悪徳業者は、この制度の本来の趣旨とは異なった販売を行いました。

「プロ向けファンドを販売する」として金融庁に届出をするものの、形ばかりの適格機関投資家を設けて投資させ、実際には関係者ではなく、投資に関する知識・経験の少ない高齢者などの一般消費者に勧誘・販売を行ったのです。

しかもその際、「プロ向け」を強調して希少性や高収入性をにおわせたり、複雑なファンドの仕組みを十分説明しなかったりして、被害をもたらしました。

規制が始まっている

悪徳業者が横行し消費者被害の相談件数が増加する中、国も対策に乗り出しています。法律を改正することでルールを強化し、参入障壁を高くしたり罰則を設けたりしていますので、その内容を見てみましょう。

法改正で規制強化

「プロ向けファンド」を悪用した投資詐欺による消費者被害を防ぐため、平成26年の国会で金融商品取引法(金商法)の見直しが行われ、改正法が平成27年(2015年)5月27日に成立、平成28年(2016年)3月1日に施行されました。

改正金商法の施行により、特定の要件を満たさない一般投資家にプロ向けファンドを販売することが禁止されただけでなく、届出業者に対する規制が厳しくなったり、業者の透明性が強化されたりしました。また、問題のある届出業者への監督体制も強化され、罰則なども設けられました。

強化された規制内容

平成27年の改正金商法等で強化された主な規制内容は、以下の通りです。

一般個人への出資禁止
  • 適格機関投資家以外の出資者の範囲を原則として、国・地方自治体、金融商品取引業者、届出業者、上場会社等に限定。
  • 出資者の範囲に含まれる個人は、投資性金融商品(有価証券等)の合計額が1億円以上であり、かつ証券口座開設後1年を経過している者のみ。
届出要件の強化
  • 金商法等の要件を充足しない者を相手方とするファンド業務を行う場合には金融商品取引業の登録が必要。登録を受けず上記ファンド業務を行うと無登録金商業(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金。併科可能。)に該当。
  • 届出業者の要件として欠格事由(業務廃止命令を受けてから5年間、刑事罰に処せられてから5年間など)を導入。
届出業者の透明性確保
  • 届出事項の一部及び説明書類について、届出業者の営業所又はウェブサイトで閲覧できる。
問題のある届出業者への対応強化
  • 監督上の処分(業務改善・停止・廃止命令)を導入
  • 裁判所による禁止・停止命令の範囲を拡大
  • 無届出や虚偽届出に係る罰則を引き上げ、業務停止・廃止命令違反などに係る罰則を新設
ワンポイントアドバイス
「プロ向けファンド」の悪用は、個人の心理の隙をついた投資詐欺の手口です。現在は規制も強化されていますが、やはり、よくわからないもので投資を行うのは危険があるということです。あまり知識のないものに、安易に手を出さないようにしましょう。

投資トラブルにあわないために気を付けること

投資詐欺の被害にあわないためには、怪しい勧誘に対して「おかしい」と思う感覚と、すぐに契約したりお金を支払ったりしない慎重さが必要になります。詐欺を見分けるポイントも頭に入れておくと良いでしょう。

冷静かつ慎重な対応を

犯人は、言葉巧みに近づいてきます。人の良さそうな感じを装ったり、逆に難しい言葉を並べて威圧してきたり。自分だけは大丈夫と過信せず、投資の勧誘を受けたときは、様々な情報を確認し、不審な点がある場合は関わらないようにしましょう。

甘い言葉に乗らない

そもそも、株式や債券、投資信託やファンドなど金融商品は、収益が出なかったり元金を割り込んだりする可能性があるものです。「必ず儲かる」「元本保証」はあり得ない話だと、肝に銘じておきましょう。」

また未公開株についても、幅広い投資家に取引を勧誘されることは通常考えられません。

甘い話には罠があります。犯人の口車に乗って夢を見ることのないよう気を付けましょう。

公的機関を装う業者に注意!

業者が、金融庁、財務省財務局、消費者庁や消費生活センター、証券取引等監視委員会などの公的機関や、それらを連想させるような名称を使って、そこから認可・許可・委託・指示などを受けていると強調してくるのも、投資詐欺によくある手口です。金融庁などの公的機関が投資の勧誘業務を民間業者に委託・指示することはまずありえません。

それらしい言葉に騙されて簡単に信用してしまわないように注意しましょう。

投資トラブルの予防策と相談先  

今は、一個人であっても業者や商品、悪徳情報や法律についても、かなりの精度で調べることができる時代です。また、困ったときに相談できる窓口もありますので、できる限り、お金を支払ってしまう前に、調べたり誰かに相談したりするようにしましょう。

怪しいと思ったらまず確認

金融庁のウェブサイトにて、金融機関に関する情報を確認することができます。

免許・許可・登録等を受けている業者が、登録等の種類とともに一覧で見ることができますので、勧誘してきた業者がここに掲載されてなければ、怪しいと思ってください。

また、無登録で金融商品取引業を行っているとして、金融庁(財務局)が警告書を発出した事業者も確認することが可能ですので、そこに掲載されている業者から勧誘を受けた場合は、関わらないようにしましょう。

ご紹介してきたような、不審な投資の勧誘話は詐欺のおそれが高いです。「怪しいな」と感じたときは、どんなに相手が善い人そうに見えてもきっぱり断り、それ以上関わらないのが身のためです。

自分自身で判断できない場合や、実際に被害にあってしまったときは、少しでも早く、金融庁の金融サービス利用者相談室や消費者ホットラインなどに相談してみましょう。

ワンポイントアドバイス
人は、視野が狭まると冷静で的確な判断ができなくなりがちです。投資詐欺は、「自分だけが良い思いをしたい」という人間心理を利用し、周りの人に相談するという防止策をとれないようにしていますが、それこそが落とし穴です。あまり欲を出し過ぎず、うまい話は慎重に検討し、家族や知人に相談することを忘れないようにしましょう。

投資トラブルにあったら、早めに弁護士に相談

ご紹介してきたような、不審な投資の勧誘話は詐欺のおそれが高いです。「怪しいな」と感じたときは、どんなに相手が善い人そうに見えてもきっぱり断り、それ以上関わらないのが身のためです。あとになって冷静に考えればわかるようなことも、雰囲気や勢いに流されて判断力が鈍ることはあります。自分自身で判断できない場合や、実際に被害にあってしまったときは、少しでも早く、金融庁の金融サービス利用者相談室や投資トラブルに強い弁護士に相談し、速やかな解決を目指しましょう。

消費者トラブルに巻き込まれたら弁護士に相談を
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