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街を歩いていたら「モデルに興味ありませんか」と声をかけられた。SNSに「あなたの写真を見て連絡しました。芸能事務所に所属しませんか」とメッセージが届いた。夢のような話に胸が躍ったものの、事務所に行くと、レッスン料や宣材写真の撮影料として数十万円を請求された。スカウトをきっかけにしたトラブルは、若い人を中心に今も多く起きています。
もちろん、本物のスカウトも存在します。しかし、スカウトを口実に高額な費用を払わせる業者や、望まない仕事をさせようとする業者も少なくありません。夢や憧れにつけ込むこうした手口は、スカウト詐欺と呼ばれています。
この記事では、芸能やモデルを夢見る若い人たちの被害に向き合ってきた弁護士として、スカウト詐欺の典型的な手口、本物のスカウトとの見分け方、契約後に解約する方法、未成年の場合の扱い、そして出演や仕事を強要されたときの対処までを詳しくお伝えします。
スカウト詐欺とは|夢につけ込む手口
スカウト詐欺とは、モデルやタレント、歌手などへのスカウトを装って近づき、レッスン料、登録料、宣材写真の撮影料などの名目で高額な費用を払わせる手口です。実際には仕事がほとんど紹介されなかったり、最初から仕事を紹介するつもりがなかったりします。
スカウト詐欺が増えている背景
SNSの普及によって、誰でも発信者として注目を集められる時代になりました。インフルエンサーや動画の配信者に憧れる若者が増え、そうした気持ちにつけ込むスカウトも増えています。SNSのメッセージなら、声をかける側の顔も見えず、大勢に一度に連絡できるため、悪質な業者にとっては好都合な手段です。
スカウト詐欺の業者は、事務所の名前を頻繁に変えたり、複数の名前を使い分けたりして、悪い評判が広まるのを避けていることもあります。
スカウトと称する別の目的
モデルや芸能のスカウトを装いながら、実際には高額な商品の販売や、マルチ商法への勧誘、夜の仕事への紹介が目的だった、というケースもあります。スカウトの話が、いつの間にか別の商品や仕事の話にすり替わっていたら、はっきり断りましょう。
よくある声のかけ方
- 繁華街や駅前で「モデルに興味ありませんか」と声をかける
- SNSに「写真を見て連絡しました」とメッセージを送る
- 「オーディションに合格した」と連絡してくる
- 「読者モデルとして雑誌に載れる」と誘う
- 「インフルエンサーとして活躍できる」と持ちかける
スカウトの規制
繁華街での強引なスカウトは、多くの自治体の迷惑防止条例で規制されています。しつこくつきまとってスカウトすることや、立ちふさがって勧誘することは、条例違反として取り締まりの対象になることがあります。
スカウトの相手が、高校生や大学生のように、まだ社会に出ていない若者であることも多く、契約や費用についての知識が少ない点につけ込まれます。
スカウトの人が優しい理由
スカウトの担当者は、最初はとても親身で、夢を応援してくれる存在のようにふるまいます。悩みを聞き、励まし、「一緒に頑張ろう」と声をかけてくれることもあります。しかし、その優しさが、費用を払わせるための入り口になっていることもあるのです。
狙われやすい人
芸能の世界に憧れを持つ10代から20代の若者が、とくに狙われやすい存在です。「特別に選ばれた」と言われると、うれしさから冷静な判断ができなくなってしまいます。親に反対されることを恐れて、誰にも相談せずに契約してしまうことも少なくありません。
スカウト詐欺の典型的な手口
スカウト詐欺には、よく似た流れがあります。
- 街頭やSNSで声をかけ、「才能がある」とほめる
- 事務所に呼び出し、面接やカメラテストを行う
- 「合格」を伝えたうえで、デビューのための費用が必要だと説明する
- レッスン料、宣材写真の撮影料、登録料などを請求する
- お金がないと言うと、ローンやクレジットを組ませる
- 契約後、仕事はほとんど紹介されず、追加の費用を求められる
事務所に着くと、華やかなポスターや、有名人と撮ったという写真が飾られていることがあります。本物らしい雰囲気を演出するための小道具であることも少なくありません。
面談での話術
事務所での面談では、「あなたには光るものがある」「この業界で成功する人の特徴を持っている」と繰り返しほめられます。そのうえで、「ただ、今のままでは仕事は来ない。磨けば必ず売れる」と言われ、レッスンや撮影の必要性を説かれます。ほめ言葉で期待を高め、費用を払う理由を与えるのが、典型的な話の運び方です。
面談の場には、先輩のタレントやモデルだという人物が同席し、「自分もこのレッスンで仕事が増えた」と話すこともあります。
請求されるお金の名目
| 名目 | 説明の例 |
|---|---|
| レッスン料 | 「デビューまでに演技やウォーキングを学ぶ必要がある」 |
| 宣材写真の撮影料 | 「プロのカメラマンが撮った写真がないと仕事が取れない」 |
| 登録料・所属料 | 「事務所に所属するための費用」 |
| サイトへの掲載料 | 「事務所のサイトに載せると、仕事の依頼が来る」 |
| 衣装代・メイク代 | 「撮影や仕事のために必要」 |
追加の費用が次々に求められる
最初の費用を払った後も、「ステップアップのための上級レッスン」「オーディションの参加費」「写真の撮り直し」などと、次々に新しい費用を求められることがよくあります。一度払ってしまうと、それまでに払ったお金を無駄にしたくない気持ちから、断れなくなってしまいます。
撮影会への参加を求められる
契約の後に紹介される仕事が、事務所が主催する撮影会ばかりということもあります。撮影会の参加者から集めた料金が事務所の収入になり、モデル本人には報酬がほとんど支払われない、あるいは参加のたびに衣装代などを払わされる、という仕組みです。
こうした費用の多くは、支払った後に返してもらうことが難しくなります。払う前に立ち止まることが、何よりの対策です。
契約書の内容の特徴
悪質な業者の契約書は、事務所の義務があいまいで、タレントの側の支払いの義務や違約金ばかりが細かく書かれていることがよくあります。仕事の紹介については「努力する」としか書かれていない、といった契約書には注意してください。
「合格者は全員」という実態
悪質な業者のオーディションでは、ほとんど全員が合格します。合格させることで期待を高め、費用を払わせるのが目的だからです。「あなただけが選ばれた」「倍率は数百倍」という言葉があっても、本当かどうかを確かめる手段はありません。
本当に才能を見込んでスカウトする事務所なら、所属する前にタレントに高額な費用を払わせることは、一般的ではありません。事務所は、タレントが仕事で稼いだ報酬の中から利益を得るのが本来の形だからです。デビューの前に数十万円を請求されたら、その時点で立ち止まってください。
本物のスカウトとの見分け方
スカウトのすべてが詐欺というわけではありません。次の点を確かめると、本物かどうかを見極める手がかりになります。
| 確認する点 | 本物の事務所 | 悪質な業者 |
|---|---|---|
| 費用 | 所属の前に高額な費用を求めることは一般的ではない | レッスン料や撮影料を最初に請求する |
| 実績 | 所属タレントや仕事の実績が確認できる | 実績があいまいで、確かめられない |
| 契約の説明 | 契約の内容を丁寧に説明し、持ち帰って考える時間をくれる | その場での契約を急がせる |
| 未成年への対応 | 保護者の同意や同席を求める | 保護者に知らせずに契約させようとする |
とくに、所属の条件として費用を求められる場合は、その費用で何が得られるのか、仕事の紹介は本当にあるのかを、具体的に確かめておきましょう。
家族の同席を嫌がる事務所
面談に家族や友人を同席させたいと伝えたときに、「本人とだけ話したい」と断る事務所は注意が必要です。第三者に話を聞かれると、不自然な点を指摘されることを嫌がっているのかもしれません。
本物か偽物かを一度で見抜くのは難しいものです。いくつかの確認を重ねて、総合的に判断しましょう。
事務所の情報を調べる
スカウトされたら、事務所の名前で検索して、実績や評判、消費生活センターなどの注意喚起が出ていないかを確かめましょう。所属しているというタレントの名前が本当にその事務所に所属しているのか、公式の情報で確認することも有効です。
契約書を持ち帰る
本物の事務所なら、契約書を持ち帰って家族と相談する時間をくれるはずです。「今日サインしないと話はなかったことになる」と急がせるのは、冷静に考えさせないための手口です。
業界の団体に加盟しているかどうかも、判断の手がかりの一つになります。
契約の前に確認したい質問
- 所属した後、どのような仕事を、どのくらいの頻度で紹介してもらえるのか
- レッスンや撮影の費用は、誰がいくら負担するのか
- 仕事の報酬は、どのように分配されるのか
- 契約をやめたいときは、どうすればよいのか
これらの質問にはっきり答えられない事務所は、慎重に判断してください。
名刺だけでは判断できない
有名な事務所の名前が書かれた名刺を渡されても、それだけで本物とは限りません。有名な事務所の名前をかたる偽のスカウトもいます。気になる場合は、事務所の公式の電話番号に、自分で問い合わせて確かめてください。
スカウト詐欺の被害の事例
相談の多い筋書きを三つ取り上げます。
いずれも、よく寄せられる相談をもとにしています。
読者モデルを目指した大学生の事例
19歳の大学生の女性は、繁華街で「読者モデルを探している」と声をかけられ、近くの事務所に案内されました。カメラテストの後、「合格です。雑誌に載るには宣材写真とウォーキングのレッスンが必要」と言われ、学生ローンで約50万円を支払う契約をしました。半年たっても雑誌の仕事は一件もなく、紹介されるのは、ほかの人との撮影会への参加ばかりでした。
SNSでスカウトされた高校生の事例
17歳の高校生は、SNSに投稿した写真を見たという芸能事務所から、「タレントとしてデビューしないか」とメッセージを受け取りました。オンラインの面談で合格を告げられ、所属のための登録料として十数万円を振り込むよう求められました。高校生は親に黙ってアルバイトの給料から支払いましたが、その後、事務所と連絡が取れなくなりました。
インフルエンサー養成の事例
20代の会社員の男性は、「インフルエンサーとして稼げるように育てる」というスカウトを受け、動画の撮影や編集の講座に数十万円を払いました。講座の内容は一般的なものばかりで、約束されていた企業の案件の紹介もありませんでした。
事例から分かること
いずれの事例も、「合格」や「選ばれた」という言葉で期待を高め、デビューや活躍の前に高額な費用を払わせています。仕事を得るためにお金を払う、という逆転した関係になっていることが、スカウト詐欺を見抜く最大のポイントです。
契約してしまった場合の対処法
高い契約を結んでしまった後でも、法律の仕組みを使えば解消の道が開けることがあります。
どの方法が使えるかは、スカウトされた場所、契約した場所、説明の内容などによって変わります。出来事を日付の順に書き出しておけば、使える手段が見えやすくなります。
ある高校生の親の対応
娘が事務所と契約していたことを知った母親は、まず契約書と振込の記録を確認しました。契約したとき娘は17歳で、親の同意を得ていなかったため、未成年者の契約として取消しの通知を出しました。事務所は当初「レッスンを受けたので返金できない」と主張しましたが、消費生活センターの助言を受けて交渉を続け、支払った費用の大部分が返金されました。
クーリングオフ
街頭で声をかけられて事務所に連れて行かれた場合や、用件を伏せて呼び出されたうえでの契約なら、特定商取引法でいう訪問販売として扱われ、契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリングオフができます。仕事を回すと約束してレッスン代や撮影代を払わせる形なら、業務提供誘引販売取引として、20日の間は解除できる場合があります。
| 取引の種類 | 当てはまる場面 | クーリングオフの期間 |
|---|---|---|
| 訪問販売 | 街頭で声をかけられ、事務所に連れて行かれて契約した | 8日 |
| 業務提供誘引販売取引 | 仕事の紹介を約束され、レッスンや撮影の費用を払った | 20日 |
不実告知による取消し
「この事務所から毎年何人もデビューしている」「レッスンを受ければ月に何十万円も稼げる」などの話が偽りだったと分かれば、特定商取引法や消費者契約法に基づき、事実と違う説明を理由とする取消しを主張できる見込みがあります。説明を受けたときの資料や、やり取りの記録を残しておきましょう。
クーリングオフの期間の数え方
クーリングオフの期間は、契約書面を受け取った日を1日目として数えます。書面を受け取っていない場合や、書面に必要な事項が書かれていない場合は、期間が進んでいないと考えられます。「解約はできない」とうそを言われて期限を過ぎたなら、あらためて解除できる可能性があります。
消費者契約法による取消し
「必ずデビューできる」「仕事がたくさん来る」と断定的に説明されて契約した場合や、社会経験の少なさにつけ込んで不安をあおられた場合は、消費者契約法によって契約を取り消せる可能性があります。帰らせてほしいと頼んだのに引き止められたなら、それも取り消す根拠になります。
通知の送り方
クーリングオフや取消しの通知は、はがきや電子メールで、事務所の正式な名称と所在地に宛てて送ります。はがきは表裏を写しておき、配達の記録が残る送り方を選んでください。事務所から電話で引き止められても、通知を出した後であれば、応じる必要はありません。
業者から言われがちな言葉への対処
解約を申し出ると、「ここでやめたら二度とチャンスはない」「違約金として全額を払ってもらう」などと言われることがあります。こうした言葉に動揺せず、法律で認められた権利として、書面で解約の意思を伝えましょう。
レッスンの途中でやめたい場合
レッスンの契約は、内容によっては途中で解約できることがあります。まだ受けていないレッスンの分について、返金を求められないか、契約書の定めを確認しましょう。高額な解約料の定めは、平均的な損害を超える部分が無効になることもあります。
クレジットやローンを組んだ場合
費用をクレジットやローンで支払っている場合は、クーリングオフや取消しの通知を、事務所だけでなくクレジット会社にも送りましょう。支払いを止められることがあります。
未成年が契約した場合
スカウト詐欺の被害者には、未成年の若者も多くいます。
未成年者の契約は取り消せる
親など法定代理人の了解なしに18歳未満の人が交わした契約は、基本的に取消しが可能です。取り消した後は、払った分を戻してもらうよう請求できます。業者から「親の同意を得たことにしてほしい」と言われて、同意書に自分でサインしてしまった場合でも、事情によっては取り消せることがあります。
未成年者の取消しは、本人だけでなく、親などの法定代理人も行うことができます。
親ができること
子どもがスカウトされたと聞いたら、頭ごなしに反対するのではなく、一緒に事務所の情報を調べてみましょう。本物の事務所であれば、保護者の質問にも誠実に答えてくれるはずです。費用の話が出たら、契約の前に必ず相談するよう、子どもと約束しておきましょう。
未成年者の取消しの権利は、成年に達してから一定の期間が過ぎると使えなくなります。気づいたら早めに動きましょう。
未成年者の取消しで返ってくるお金
未成年者の取消しが認められると、支払ったお金の返還を求められます。受けたレッスンの分も、手元に残っている利益の範囲で返せば足りるとされるので、多くの場合、支払ったお金の大部分を取り戻せる可能性があります。
18歳、19歳の若者への注意
成年の年齢は2022年4月から18歳になり、18歳・19歳でも一人で契約を結べるようになっています。その分、未成年者の取消しの権利が使えなくなり、スカウト詐欺をはじめとする契約トラブルに巻き込まれやすくなっています。成年になったばかりの若者を狙う業者もいるため、注意が必要です。
年齢を偽るよう業者に指示されて、18歳以上だと書いて契約した場合、未成年者の取消しが認められにくくなることがあります。業者から年齢を偽るよう言われたら、その時点で契約をやめてください。すでに契約してしまった場合は、業者の指示があった事情を含めて相談しましょう。
望まない仕事を強要された場合
スカウトをきっかけに、本人が望まない仕事をさせられる被害もあります。
スカウトの被害の中でも、心身に深い傷を残すのが、望まない仕事の強要です。
性的な撮影や出演の強要
「モデルの仕事」と言われて契約したのに、露出の多い撮影や、性的な映像への出演を求められる被害があります。2022年に施行された法律では、性的な映像への出演の契約について、厳しい手続きを定めるとともに、一定の期間は理由を問わず契約を解除できることなどを定めています。出演を断ったことを理由に、違約金を請求されても、支払う必要はありません。
こうした被害は、スカウトの段階ではモデルや芸能の仕事だと説明され、契約した後に初めて本当の目的が明かされることがあります。
夜の仕事への紹介
「高収入の仕事を紹介する」とスカウトし、本人の望まない夜の仕事や、性的なサービスの仕事を紹介する行為は、法律で禁じられています。こうしたスカウトに応じてしまい、辞めたいのに辞めさせてもらえない場合は、すぐに警察や相談窓口に相談してください。
性的な撮影を強要された場合や、撮影された映像が公開されそうになっている場合は、すぐに相談してください。公開の差止めや削除を求める手続きをとれることがあります。
望まない撮影を拒んだことで、事務所から違約金や損害賠償を求められても、それに応じる必要はありません。
ひとりで抱え込まない
望まない撮影や仕事を強いられた被害は、恥ずかしさや恐怖から、誰にも話せずに一人で抱え込んでしまいがちです。けれども、あなたに落ち度はありません。専門の相談窓口では、秘密を守ったうえで、必要な支援につなげてもらえます。
相談できる窓口
- 性暴力の被害の相談窓口であるワンストップ支援センター(#8891)
- 警察の相談専用電話(#9110)
- 消費生活センター(消費者ホットライン188)
- 弁護士
被害に遭わないための心構え
スカウト詐欺の被害を防ぐには、次の点を心がけてください。
- その場で契約しない。持ち帰って、家族や信頼できる人に相談する
- デビューの前に高額な費用を求められたら、立ち止まる
- 事務所の実績や評判を、自分で調べる
- ローンやクレジットを組むよう勧められたら、契約しない
- 契約書は、内容を理解してから署名する
夢を追いかける過程で、少しでも不安を感じたら、立ち止まって誰かに相談してください。その慎重さは、夢をあきらめることではなく、夢を守ることにつながります。
夢の実現を急ぐ気持ちが強いほど、うまい話に飛びつきたくなります。けれども、焦りこそが悪質な業者の狙い目です。
本物のチャンスを見極める
本物の芸能事務所への所属を目指すなら、事務所が公式に行っているオーディションに、自分から応募するのが確実です。公式のオーディションの情報は、事務所のサイトや、信頼できる情報の媒体で公開されています。
夢を持つことは悪くない
芸能の道を目指す気持ちは、それだけで尊いものです。大切なのは、その夢を利用しようとする相手を見抜くことです。本物のチャンスは、高額なお金と引き換えに手に入るものではありません。
スカウトされたときの受け答え
街頭で声をかけられたら、「今は時間がないので、名刺だけください」と答えて、その場を離れましょう。その場で連絡先を教えたり、近くの事務所や喫茶店についていったりしないようにしてください。しつこくつきまとわれたら、近くの店に入るか、警察に通報してください。
SNSでのやり取りの注意
SNSでスカウトを受けた場合は、個人的な連絡先や住所を安易に教えないようにしましょう。ビデオ通話で面談を求められたときも、自分の部屋や家の外観が映らないよう気をつけてください。送った写真が悪用されるおそれもあるため、露出の多い写真を求められたら、きっぱり断ることが大切です。
家族に相談することの大切さ
親に反対されるのが怖くて、内緒で契約してしまう若者は少なくありません。けれども、本物の事務所であれば、家族が話を聞いても困ることはありません。家族に話せないような契約こそ、危ないと疑ってかかるべきです。
弁護士に相談するメリット
スカウト詐欺の被害は、相談窓口の助言で片づくこともありますが、損害が大きいときや事務所がお金を返さないときは、弁護士の出番です。
若い人ほど、事務所の大人に強い態度で出られると、言い返せなくなってしまいがちです。
事務所の対応が悪質な場合は、警察への相談も視野に入れて進めます。
払ったお金を取り戻す手続き
クーリングオフ、取消し、未成年者の取消しのうち、どれなら契約を解けるのかを見極め、事務所へ返金を迫ります。
費用の考え方
被害額が大きい場合や、ローンの返済に困っている場合は、弁護士に依頼して、契約の解消と支払いの停止をまとめて進める価値があります。相談の段階で、見込みと費用を確認しておきましょう。
事務所との交渉は、本人が直接行うと、言いくるめられたり、脅されたりするおそれがあります。弁護士が窓口になれば、そうした心配はなくなります。
強要の被害への対応
望まない仕事を強要されている場合は、事務所との関係を断ち、違約金の請求に対応し、必要なら警察への相談も支援します。本人が一人で事務所と向き合う必要はありません。
よくある質問
SNSでスカウトのメッセージが来ました。返事をしてもよいですか
返事をする前に、送り主の事務所が実在するか、実績があるかを調べましょう。個人のアカウントから届いたメッセージや、すぐに会おうと誘うメッセージには、とくに注意が必要です。
レッスンを受けているので、返金はされないと言われました
クーリングオフの期間内であれば、レッスンを受けていても、原則として全額の返金を求められます。期間を過ぎていても、取消しが認められれば、返金を求められる可能性があります。
事務所を辞めたいのに、違約金を払えと言われます
法外な違約金の条項は、消費者契約法のもとで効力を否定される場合があります。払う前に、契約書を手に相談窓口か弁護士を訪ねてください。
事務所に預けた写真や動画を削除してもらえますか
契約を解消する際には、事務所に渡した写真や動画、個人情報の削除を求めましょう。事務所のサイトやSNSに掲載されている場合は、その削除も求めてください。拒まれたら、弁護士を通じた請求を考えましょう。
スカウトされたことを学校や職場に知られたくありません
相談の内容が、本人の同意なく学校や職場に伝わることはありません。安心して相談してください。
事務所に辞めると伝えたら、損害賠償を求めると言われました
正当な理由による解約や取消しであれば、損害賠償を求められるいわれはありません。脅すような連絡が来たら内容を残しておき、相談窓口か弁護士に伝えましょう。
スカウトの人の連絡先しか分かりません
スカウトした人の携帯電話やSNSのアカウントしか分からない場合でも、振込先の口座や、契約書に書かれた会社名などが手がかりになります。持っている情報をすべて持って相談してください。
スカウトされた場所で、その日のうちに事務所に行ってもよいですか
その日のうちに事務所に行くのは、おすすめできません。まずは名刺をもらって帰り、事務所について調べ、家族に相談してから連絡しても遅くはありません。本物のスカウトなら、その程度の時間は待ってくれるはずです。
友達もスカウトされて、同じ事務所に入っています
友達も同じ事務所と契約しているなら、一緒に消費生活センターに相談すると、事務所の実態がつかみやすくなります。被害者が複数いることは、交渉でも有利に働きます。
契約書にサインしていなければ、お金を払う必要はありませんか
書面に名前を書いていなくても、話し合いの中身しだいで契約は成り立ちます。ただ、契約の内容があいまいなまま費用を請求されている場合は、支払う前に消費生活センターに相談しましょう。
オーディションの参加費は払っても大丈夫ですか
オーディションの参加費そのものは、少額であれば一般的なこともあります。ただし、合格した後に高額な費用を求められる場合は注意が必要です。参加費の額や、合格後の条件をよく確かめてから応募しましょう。
親に知られずに解決したいのですが
相談の内容は、本人の同意なく親に伝わることはありません。ただ、未成年の場合は、契約の取消しなどの手続きに、親の協力が必要になることもあります。まずは相談して、どうするのがよいか一緒に考えましょう。
