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ダイエット食品の通信販売「効果がなければ全額返金」は本当?連絡がつかない場合に取るべき対応

この記事で分かること

  • 「効果がなければ全額返金!」は有利誤認として違法の可能性あり。
  • クーリング・オフはインターネットショッピングに適用されない。
  • 景品表示法違反の場合、①広告の差し止めや措置命令、②代表者に「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」、③会社に対し「3億円以下の罰金」、「売上額に3%を乗じた額の課徴金の納付」が課される可能性あり。
  • ダイエット食品業者に騙されないようにするためには、①極端な広告表示を疑い、②購入前に口コミ等を調べること、③返金規定などの契約内容をきちんと読むこと、が大切。
  • もし騙されたら、消費者ホットライン、経済産業省の消費者相談案内、弁護士に相談のいずれかの対象法を実践する。

ダイエット食品の効果がない場合に返金されないトラブルが急増中です。返金規定がそもそも表示されていない場合、購入から8日間以内なら解約することもできますが、「返金不可」と表示されている場合はできません。騙されないように契約の内容をしっかりと確認する必要がありますが、もし騙されたらお金を返金してもらえる方法がないか、弁護士に相談してみましょう。

増加するダイエット食品の効果返金をめぐるトラブル

最近では、ダイエット食品の返金トラブルが増加しています。まずは「効果がなければ全額返金」の法的効力やクーリングオフ適用トラブルについて見ていきましょう。

ダイエット食品「効果がなければ全額返金」でトラブル急増?

インターネット上で買い物をする方も増えてきましたが、SNSなどの広告を見て商品を購入したという経験のある方も多いでしょう。

少しウエスト周りが気になってきた時期に、「これを飲めば−5cm!効果がなければ全額返金!」というダイエット食品の広告を見たら「試してみようかな?」と思う気持ちも理解できます。効果がなければ返金してもらえるという期待から、購入へのハードルが下がるのです。

しかし、実際はこのような表示を信じたのにもかかわらず返金されないというトラブルが起きています。よくある苦情は以下の通りです。

  • お問い合わせの番号に電話しても一向につながらない
  • 一部しか返金されないと言われた
  • 返金期間が過ぎていると言われ、返金されなかった

効果がない場合は返金を謳っていたのにもかかわらず、返金されないのですから消費者の怒りを買うのも当然です。

ダイエット食品「効果がなければ全額返金」の広告は有効か

では、ダイエット食品でよく見かける「効果がなければ全額返金」の広告は、法的にOKなのでしょうか?「効果がなければ全額返金」広告の法的有効性を見ていきましょう。

結論からいうと、このような広告は、景品表示法5条2項の有利誤認として違法となる可能性があります。

同条は、「実際のもの・・・もしくは類似商品・・・よりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」であり、「不当に顧客を誘引」かつ「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある」表示を禁止するものです。

「効果がなければ全額返金」は有利誤認に当たる可能性あり

わかりやすくいうと、同じような商品を売っている他社よりもお得だと表示しているにもかかわらず、実際はそうではない場合に「有利誤認」となり、違法となる可能性があるということです。

仮に、これに反した場合には、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」(同法36条)に処される可能性があります。

「実感いただけない場合は返金可」は合法

「効果がなければ全額返金」と謳われたダイエット食品の場合、「全額返金!」の表示自体は法的に問題はありません。

しかし、「効果がなければ返金」というのは、医薬品効能効果を示す内容にあたるため、この記載があれば問題となります。医薬品効能効果を表さない内容、つまり「実感いただけない場合は返金可」などの場合は有効な表記です。

もっとも機能性表示食品などは、「効果」をという言葉を使用することに問題はないため、微妙な判断が必要となるでしょう。このように、「効果がなければ全額返金」という表示は、場合によっては違法となる可能性があります。

通信販売にはクーリング・オフが適用されない

「クーリング・オフが適用されない」と言われたというトラブルも急増中です。クーリングオフは購入から8日間以内であれば、購入者からの解除が可能である制度と認識している方も多いと思いますが、これは訪問販売や電話勧誘販売に適用されるものです。インターネット上での購入、通信販売による購入はこれらの対象外となることを覚えておいてください。

インターネットショッピングなどの通信販売は、ご自身の好きな時間に好きなタイミングで購入をすることが可能です。訪問販売等とは異なり、購入者の自由意志に基づき購入決定を下しやすいという点が考慮され、クーリング・オフは適用されないこととなっているのです。

返金表示がない場合は、商品が届いてから8日間は返金可能

インターネットショッピングの場合、広告に返金に関する表示がなかった場合には、商品を受け取ってから8日以内に契約の解除が可能です。

もっとも、この場合は商品を返品する送料代などは購入者持ちとなることには注意が必要です。また「返金不可」と記載されていた場合にも、この特約が有効とされ返金はできません。

このように、インターネットでのダイエット食品の購入の場合、クーリングオフが適用されないということを理解しておきましょう。

ワンポイントアドバイス
「効果がなければ全額返金!」という広告の文言が有効な場合でも、返金内容が具体的に記載されていない場合には、違法の可能性があります。例えば、返金に応じる条件が具体的に記載・表示されていなかった場合や条件自体を満たすことが難しい場合です。この場合は、有利誤認に当たる可能性があります。また返金を謳っているのに、電話がつながらない等の場合は詐欺罪に当たる可能性もあるでしょう。

返金対応しないダイエット食品業者に疑われる罪状

返金されないダイエット食品購入トラブルについて、販売業者が罰則を科される可能性があります。以下、①優良誤認表示違反、②不実証広告規制違反、③健康増進法の広告規制違反、について見ていきましょう。

景品表示法の優良誤認表示違反

「効果がなければ全額返金」以外にも、ダイエット食品の広告にはトラブルがつきものです。

例えば、「1週間でマイナス5キロ!」「飲むだけでウエストマイナス5cm!」などを謳う広告です。これらは、実際の商品の内容よりも効果等が誇張されているケースに当たります。これらは景品表示法5条1項の優良誤認表示に当たる可能性があり、違法な広告となり得ます。

優良誤認表示は、当該商品について、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁止しています。これらは一般消費者の「自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある」と考えられるためです。仮に優良誤認表示違反となった場合に、消費者庁は広告の差し止めやその他必要な措置(7条の措置命令)を下すことができます。

3億円以下の罰金や「売上額に3%を乗じた額の課徴金」が課せられることも

措置命令に従わない場合には、当該会社の代表者に「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」(36条)、会社に対し「3億円以下の罰金」が科される可能性があります(8条)。さらに、違反した事業者は当該商品の「売上額に3%を乗じた額の課徴金の納付」を命じられます。

参考:不当景品類及び不当表示防止法

効果の根拠がない場合には、不実証広告となる

景品表示法にて上記で示したような優良誤認表示や有利誤認表示に当たる可能性がある場合、広告表示を裏付ける資料の提出を命じられることがあります(同法7条2項)。資料の提出をしなかった場合や合理的根拠がないと判断された場合には、優良誤認表示や有利誤認表示違反なる可能性があります。

このように必要な根拠がないと判断された場合には、不実証広告といわれ不当広告として扱われれることになります。判断基準としては、①客観的に実証された内容が資料として提出されたものであること、②表示された効果と資料の実証内容が適切に対応していること、が適用されるでしょう。

優良誤認表示と同様の罰則が課される

不実証広告となった場合には、優良誤認違反等と同様に、消費者庁から措置命令が下されます。また罰則も当該会社の代表者に「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」(36条)、会社に対し「3億円以下の罰金」が科される可能性があるでしょう(8条)。

違反した事業者は当該商品の「売上額に3%を乗じた額の課徴金の納付」を命じられる点も同じです。

健康増進法の広告規制違反

健康増進法でも誇大広告等が禁じられています。具体的には、同法65条にて「著しく事実に相違する表示」と「著しく人を誤認させるような表示」を禁止しています。

ダイエット食品の場合は、「1ヶ月で3kg痩せました」という表示がある場合に体験談等が一緒に表示されているケースがありますが、これだけでは人に誤認させるような表示と評価され、罰則が科せられることがあります。

「6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処される可能性

広告規制にかからないようにするためには、一般的な体験談だけでなく十分な実践結果を表示する必要があります。

例えば、モニターの結果など複数の実践結果例を表示し、1ヶ月に3kg痩せなかった結果も表示することが必要です。仮にこの規制に反した場合には、内閣総理大臣または都道府県府知事が必要な措置を命じることができ(66条)、この命令に違反した場合に「六月以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処される可能性があります。

参考:健康増進法

ワンポイントアドバイス
悪質な広告を表示した場合には、上記のような違反で罰則が課される可能性がありますが、これにより購入した消費者に商品代金が返還されるわけではありません。そのため、今後のトラブルを防ぐためには国民生活センター等に相談する必要がありますが、個人的にお金を取り戻すためには別途対処が必要となるでしょう。

悪質なダイエット食品業者に騙されないポイント

ダイエット広告に騙されないようにするためには、商品を購入する際に一定程度の注意が必要となります。以下、騙されないように悪質な販売業者を見分けるポイントをご説明いたします。

「◯○するだけで痩せる」を信じない

誇大広告でよくあるのは、「○○するだけで痩せる」という表示です。多くのケースでは、健康的でバランスの良い食事や適切な運動も必要であることを表示していますが、このような記載がない場合には誇大広告にあたり、違法の可能性があります。

「夏までにやせたい」など、ご自身が定める期限までに痩せたいという気持ちがある場合、短期で痩せる旨を表示している広告は非常に魅力的に映ります。しかし、実際は飲むだけで痩せるなどの痩身効果を得ることは難しく、他にもご自身での努力が必要となります。簡単に、楽して、痩せられる、類の広告は疑ってみるようにすべきです。

ダイエット食品は補助的なものであることを理解した上で、購入するようにしましょう。

ネット上の評判を調査する

ダイエット食品を購入する際は、その商品の評判も調べるようにしましょう。SNSなどの広告では、「いますぐ購入で500円引き」など即時購入を煽るものもありますが、そこは冷静に判断して良いものを購入すべきです。評判を調べる際は、以下を確認しましょう。

  • 商品名や会社名
  • 商品の口コミの評価
  • 広告の小さな文字や注意点

商品名や会社名を確認する

インターネットで商品名や会社名を入れれば、実際に購入した人の評価を確認することができます。商品名を検索するだけで「詐欺」、「返金されない」などの表示が目立つ場合は避けた方が無難です。また会社名を入力してもホームページ等が表示されない場合は詐欺の可能性もあります。

商品の本当の口コミ評価を確認する

商品の口コミ評価をチェックする場合には、当該商品の広告として口コミが記載されていないかに注意しましょう。同じ会社が表示する口コミは良い例ばかりを取り上げている可能性もあるためです。

広告の小さな文字や注意点も確認する

さらに、広告では小さな文字などで書かれている部分を注意深く見るようにします。この食品だけで痩せるわけではない、などマイナスとなる効果などを小さく表示している可能性があります。

返金に関する条項を確認

「効果がない場合は全額返金」の広告にもあるように、返金を謳っている広告に関しては特に返金に関する事項をチェックしておくべきです。実際に返品する場合、どのような場合なら返金できるのか、につき具体的な記載がない場合は怪しいと考えるべきです。

またこのような広告でなくとも、返金に関してはトラブルになる可能性があります。先に少しお話ししましたが、通信販売に関しては特定商取引法上返品に関する条項を明示する必要があります。

仮に返品に関する規定がない場合には、商品を受け取ってから8日間以内は返品可能です(同法15条の3)。しかし、返品不可の特約が規定されている場合には、返金が難しくなってしまいますので、注意が必要です。

購入ボタンを押す前に、返金に関する内容についてきちんと確認することが大切です。返金に関する規定がない、あやふやな業者は避けた方が良いといえるでしょう。

定期購入になっていないか確認

ダイエット食品の購入等で、最近トラブルが増えているものとして、「一度の購入のはずだったのに定期購入になっていた」というものです。

このような手口の場合、最初は500円、1000円のお試しサプリなどで誘引を図るのですが、一度目だけ安価な価格でその後は1年間の定期購入代金として数万円を請求するなどがあります。

あまりにも安い価格で購入できるダイエット食品の場合は定期購入になっていないかの確認をするようにしましょう。小さな表示で気づかないケースもあるので、広告のうち目立たない部分に特に注目して確認する必要があります。

初回購入無料のダイエット食品には注意!

  • 初回購入500円
  • 初回購入のみ実質無料(※送料のみかかります。)

このような表示がある場合は、定期購入になってしまう可能性もありますので、十分に契約内容や支払うべき総額、解約の規定などを確認してから購入決定をするようにしてください。

ワンポイントアドバイス
インターネットの広告を見て購入を決める際は、あまり深く考えずに即時に購入してしまうケースも多いでしょう。特に初回の価格が安く設定されている場合には、購入しやすいことから契約内容等を確認せずに購入してしまうことがあります。しかし、ダイエット食品の場合は特に詐欺や誇大広告のトラブルが多いため、十分に契約内容等を確認してから購入することが重要です。

ダイエット食品の返金をめぐるトラブルに巻き込まれたら

 
ダイエット食品の効果がなく、返金もしてもらえない場合にはどこに相談すれば良いのでしょうか? トラブルに巻き込まれた場合の相談先3つについてご相談します。

国民生活センターの消費者ホットラインに相談する

もしダイエット食品を返品できないなどのトラブルに巻き込まれた場合には国民生活センターの消費者ホットラインに電話してみましょう。188に電話すればお住まいの場所の近くにある消費生活相談窓口を紹介してくれます。

相談内容としては、通信販売の契約解除トラブル、通信販売で購入した商品での健康被害、高額請求などが挙げられます。相談員は消費生活トラブルに関する専門知識を持っているため、話を聞いた上で必要なアドバイスを行います。

具体的にはトラブルの相手である販売業者との交渉のサポートをしたり、弁護士などの専門家への相談を促すなどを行います。事業所に対し相談員が問題を指摘することで、解約が叶ったケースもあります。

「騙されたかも?」と不安になった場合には、まず消費者ホットラインに電話してみましょう。

参考:国民生活センター 全国の消費生活センター等

経済産業省の消費者相談案内に相談する

国民生活センターだけでなく、経済産業そうの消費者相談案内も通信販売トラブルの相談を承っています。電話で連絡をすると、相談員が聞き取りを行い、どのように対応すべきかについてアドバイスを行います。

原則として電話にて受付していますが、メールでの相談も可能です。平日のみの相談となりますが、経済産業省の消費者相談案内でも同様に相談窓口を設けていますので、連絡してみましょう。

電話番号:03-3501-4657(相談専用)

参考:経済産業省 消費者相談案内

弁護士に相談して、契約解除や損害賠償請求を依頼する

国民生活センターや経済産業省の消費者相談案内に相談しても解決しなかった場合には、弁護士に相談するという方法があります。通信販売トラブルについては、契約解除や健康被害が出た場合の損害賠償請求、詐欺被害にあった場合の詐欺取消しなどの交渉を依頼することができます。

ダイエット食品で効果がでなかった場合の返金や定期購入の解約などでトラブルとなった場合も、弁護士に相談すればスムーズに解約手続きを済ませることができる可能性があります。また仮にダイエット食品で健康被害等が発生した場合には、不法行為(製造物責任)に基づく損害賠償請求ができるので相談してみましょう。

最近ではインターネットで高額なダイエットサプリなどを購入してしまう例もあります。騙されたと思ったら、すぐに返金できるかどうかを確認し、トラブルになったら弁護士に相談するというのが適切な対処法です。

ワンポイントアドバイス
各種相談窓口や弁護士に相談する場合には、広告の表示のスクリーンショット、契約書をダウンロードしたもの、相手方の業者とのやり取りを記録したもの、実際の商品などを用意しましょう。これらは解除手続きや損害賠償請求の際に必要となる資料です。スムーズにトラブルを解決できるようにするためにも、ご自身で証拠を集めておくと役立つでしょう。

「効果がなければ返金」をうたうダイエット食品業者からの購入は慎重に

「1週間でマイナス5キロ!」、「効果がなければ全額返金!」など、極端な効果や極端に消費者に有利な内容が書かれている場合には、注意しましょう。

きちんとした業者であれば、極端な表示を避けて販売しています。誇大広告に感じられる場合は、違法な業者である可能性が高いといえます。

もし効果がない、返金されない、などのトラブルに巻き込まれた場合には、すぐにご紹介した相談窓口、弁護士に相談してください。早めに対処すればその分、早期の解決が望めます。

消費者トラブルに巻き込まれたら弁護士に相談を
悪質な不正請求・不当契約は法律のプロが解決
  • 購入した商品が不良品でメーカーに問い合わせたところ、返金・交換に応li>えなかった
  • クレジットカードの利用明細に見に覚えのない請求が含まれていた
  • 突然、アダルトサイトから料金を請求された
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  • 上記に当てはまるなら弁護士に相談