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強引な勧誘で契約してしまったら~解約できる条件と手続きを知っておこう~

この記事で分かること

  • 電話勧誘や訪問販売は、不意打ちの勧誘でもあるので注意が必要
  • 強引な勧誘で契約してしまったたら、クーリング・オフの制度がある
  • クーリング・オフができないケースもあるので、事前に把握しておこう

強引な電話勧誘や訪問販売などを断り切れずに、またよく考えずに契約してしまった場合、クーリング・オフ制度で契約を解除する方法があります。手続きは書面で解約する旨を通知すればよく、簡単です。ただし、クーリング・オフができないケースもあるので、クーリング・オフが適用できるかどうか、契約前に確認しておくとよいでしょう。

強引な勧誘に要注意!注意したい電話勧誘販売と訪問販売

電話勧誘販売や訪問販売は、強引な勧誘に注意が必要です。「欲しい商品ではなかったのに、断りきれずに買ってしまった」「不安を煽られて契約したが、他の業者の商品と比較すべきだった」と契約した後から後悔する人が後を絶ちません。

電話勧誘販売

突然の電話で商品・サービスの購入を勧められる電話勧誘販売は、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。なかには断っても何度も繰り返し電話をかけてきたり、消費者に不安を与える言葉で勧誘する業者もいます。

健康食品

電話勧誘販売でトラブルになることが多い商材のひとつが健康食品です。業者が「以前注文を受けた健康商品を発送する」と電話をかけてきて、消費者が家族の注文分だと考えて承諾すると代金引換で高額な請求をされる、といったケースです。「注文していない」と抵抗しても、業者側が押し切って商品を送りつけてくる場合もあります。

インターネット回線契約

通信速度の速さや安定感で優れる「光回線」の契約を勧める電話勧誘販売も、強引な勧誘に困る消費者が続出しています。「通信料が無料になる」「基本料金が安くなる」などと言われて契約したものの、実際の利用状況に見合わないプランになっていたり、高額な工事代がかかってしまったというケースがあるのです。なかには大手企業の関係企業であるように見せかけて契約を促す業者もいます。

訪問販売

セールスマンが消費者の自宅を訪ねて商品を販売する訪問販売は、退職金や年金などである程度の資産がある高齢者がトラブルに巻き込まれる被害が後を絶ちません。孤独や不安などにつけこんで高額な契約を結ばせるのです。

トラブルが多い商材

悪徳訪問販売のよくある契約トラブルは、高級な布団を押し売りするケースです。現在使っている布団を「健康に悪い」などと言って不安をあおり、消費者が契約するまで帰ろうとしない、といった手口がとられています。また、近年は太陽光発電の工事を強引に契約するケースも出ています。

点検商法

点検商法とは、訪問販売の目的だということを消費者に明らかにせず、「無料で点検を行なっている」などと語って家に上がり、リフォーム・シロアリ駆除・消化器購入などの契約を迫る方法です。点検対象は、屋根、壁、床下、排水管、水質など多岐にわたり、「傷みを放置すると危険」などと言って消費者の不安をあおります。工事の内容に見合わない高額な費用を請求してくることがあります

ワンポイントアドバイス
強引な詐欺まがいの勧誘電話や訪問販売の手法は様々です。どのような手を使って勧誘されるのか、いくつかのパターンを知っておくことも、トラブル回避のためには重要です。事前情報を知っておけば、いざというときに相手にしてはいけないことが分かり、きっぱりと断わることもできます。

強引な勧誘で契約してしまったら、クーリング・オフで解約

電話勧誘販売や訪問販売で望まない契約を結んでしまっても、消費者には「クーリング・オフ」という救済制度が用意されています。クーリング・オフとは、一定の期間内であれば、消費者が理由を問われずに契約を撤回または解除できる制度です。

クーリング・オフの手続き

電話勧誘販売・訪問販売のクーリング・オフが可能な期間は「法定書面を受け取った日から8日間」となっています。法定書面とは、契約やクーリング・オフの内容などが書かれた書面のことです。クーリング・オフの起算日は購入日や契約日ではないので注意しましょう。

書面で通知する

クーリング・オフは電話で行うと後々トラブルにつながりやすいので、書面で通知しましょう。配達証明付きの内容証明郵便を利用すれば、業者が「受け取っていない」と言い逃れするのを防ぐ効果があります。内容証明郵便の専用用紙に「契約解除(申込み撤回)通知」と見出しを書き、契約(申込み)日、販売業者・担当販売員名、商品名、契約金額などを明記のうえ、購入契約解除(申し込み撤回)と返金を求める旨を記載します。

手続きのポイント

クーリング・オフの書面は、法定書面を受け取った日から8日間以内に差し出しておけば有効です。相手方が受け取るタイミングは関係ありません。また、商品代金の支払いでクレジット契約を結んだ場合は信販会社にも同様の通知が必要です。万が一、業者からクーリング・オフに対する損害賠償金や違約金を求められても、応じる必要はありません。商品などを引き取る際の費用も、負担するのは業者側です。

こんな契約もクーリング・オフで契約解除できる

消費者を強引に勧誘する手法は、電話勧誘販売や訪問販売だけではありません。その他の取引形態でもクーリング・オフで契約が解除できるのです。いわゆる「マルチ商法」や「押し買い」の場合も、消費者は泣き寝入りしなくていいのです。

マルチ商法(連鎖販売取引)

連鎖販売取引、いわゆるマルチ商法は、商品・サービスを契約して組織に入り、新たな加入者を勧誘するほど利益が得られる取引です。マルチ商法自体は違法ではありませんが、「参加の条件として数十万円の商品を購入してしまった」「友人・知り合いを勧誘したが入ってもらえず利益が得られない」というトラブルが発生しています。マルチ商法もクーリング・オフの対象で、期間は「法定書面を受け取った日から20日間」です。

訪問購入(押し買い)

訪問購入(押し買い)とは、業者が消費者の自宅などを訪問して貴金属などを強引に安い値段で買い取る行為です。中には買い取れるまで居座ったり、勝手に持ち出したりするケースもあり、近年トラブルに泣く高齢者が増えています。押し買いもクーリング・オフの対象で、期間は「法定書面を受け取った日から8日間」です。

ワンポイントアドバイス
電話勧誘や訪問販売などで、うっかり契約してしまっても、クーリング・オフの制度があります。クーリング・オフが可能な期間は「法定書面を受け取った日から8日間」で、起算日は購入日や契約日ではありません。業者からクーリング・オフに対する損害賠償金や違約金を求められても、応じる必要はありません。

強引なエステや通販こんな契約を解約したい場合

クーリング・オフとは「頭を冷やして考える期間をとる」ことを意味します。消費者をとりまく日常には様々な契約・購入する機会がありますが、クーリング・オフが利用できるかどうかは商品・サービスの特性や販売方法によって異なります。

特定継続的役務提供とは

クーリング・オフは、電話勧誘販売や訪問販売など消費者にとって「不意打ち」の買い物をしたときの救済制度です。しかし、消費者が自ら店に行って交わした契約でも、エステや語学教室など「特定継続的役務提供」の対象ならクーリング・オフが可能です。

特定継続的役務提供が利用できるサービス

特定継続的役務提供の対象となる業種は、エステティック・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介サービスの6つです。これらの業種との契約のうちクーリング・オフを利用できるのは「契約金額が5万円を超え、契約期間が2か月を超えるもの(ただしエステのみ1か月を超えるもの)」です。

特定継続的役務提供の注意点

クーリング・オフが可能なサービスには要件が定められていて、当てはまらなければ解約できません。例えば家庭教師と学習塾の場合、幼稚園・小学校の受験対策や、大学受験の浪人生のみを対象にした講座はクーリング・オフの対象外です。またエステの場合は、主サービスと一緒に契約した化粧品などの関連商品は、単独で解約することができません。

クーリング・オフで解約できないケース

キャッチセールスやアポイントメントセールスは、訪問販売の一種としてクーリング・オフの対象になっています。一方、いくら消費者が解約したいと考えてもクーリング・オフで解約できないケースもあります。

自ら店舗に出向いて契約・購入したケース

クーリング・オフの趣旨は、消費者が電話勧誘販売や訪問販売など不意打ちの勧誘にあってしっかり検討できずに契約してしまった際の救済です。このため、消費者が自ら店舗に出向いて契約・購入したケースはクーリング・オフの対象外です。ただし店が独自に条件を設けて解約・返品・交換に応じていることもあります。

通信販売で契約・購入したケース

ネット通販を中心に通信販売はますます消費者に身近になっています。通販では実物を手に取って商品を検討できないことがトラブルにつながりがちですが、通販の契約・購入はクーリング・オフの対象外です。ただし店が独自に条件を設けて解約・返品・交換に応じていることもあります。

ワンポイントアドバイス
消費者が自ら店に行って交わした契約でも、エステや語学教室など「特定継続的役務提供」の対象ならクーリング・オフが可能です。しかし、消費者自らが店舗に出向いての契や通信販売での契約、および購入はクーリング・オフの対象外となるので注意が必要です。

強引な勧誘や契約の解約に関するトラブルは弁護士に相談

クーリング・オフは強引な手法での電話勧誘や訪問販売での契約解除に有効な手段です。契約するまで強引に話を持っていかれたり、玄関に居座って帰らないなどされて、仕方なく契約してしまった、もしくはよく考える時間を与えられないまま、口車に乗って契約してしまった場合などは、契約後、速やかにクーリング・オフで解約を申し出ましょう。

もし、「クーリング・オフの通知を行ったのに業者が返金に応じてくれない」「契約の解約料を請求された」などのトラブルに発展した場合は、裁判などの法的手段をとる方もいます。こういった問題は消費者自身で解決しようとすると、トラブルになることも少なくないため、悪質な業者に困った場合は、消費者問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

消費者トラブルに巻き込まれたら弁護士に相談を
悪質な不正請求・不当契約は法律のプロが解決
  • 購入した商品が不良品でメーカーに問い合わせたところ、返金・交換に応li>えなかった
  • クレジットカードの利用明細に見に覚えのない請求が含まれていた
  • 突然、アダルトサイトから料金を請求された
  • 月額契約したエステサロンをやめたいのに解約させてもらえない
  • 祖母が不要な住宅リフォーム契約を結ばされていた
  • 上記に当てはまるなら弁護士に相談