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ひとり暮らしの母親の家に行ったら、見覚えのない健康食品の箱が積み上がっていた。認知症の父親が、訪ねてきた業者と何百万円もの契約をしていたことが、通帳を見て初めて分かった。高齢の親をもつ家族から、こうした相談が後を絶ちません。
高齢者は、詐欺や悪質な商法の標的になりやすい存在です。まとまった資産を持っていることが多く、日中に家にいる時間も長く、健康やお金への不安も抱えています。さらに、認知症などで判断力が低下していると、自分では被害に気づけないことさえあります。
この記事では、高齢者の消費者被害や、判断力が低下した家族の契約の相談を受けてきた弁護士として、高齢者を狙う詐欺と悪質商法の手口、認知症の家族が結んだ契約を無効にしたり取り消したりする方法、成年後見の制度、そして家族ができる見守りまでを詳しくお伝えします。
高齢者が狙われる理由
詐欺や悪質な商法の被害者のうち、高齢者の占める割合は高く、特殊詐欺では被害者の多くが65歳以上です。高齢者が狙われやすいのには、いくつかの理由があります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 資産がある | 退職金や年金、預貯金など、まとまった資産を持っていることが多い |
| 家にいる時間が長い | 日中の訪問や電話に応じやすい |
| 不安を抱えている | 健康、老後のお金、家族のことなどへの不安につけ込まれやすい |
| 相談相手が少ない | ひとり暮らしや、家族と離れて暮らしていると、身近に相談できる人がいない |
| 判断力の低下 | 加齢や認知症によって、契約の内容を理解しにくくなる |
孤独につけ込む
ひとり暮らしの高齢者にとって、定期的に訪ねてきて話を聞いてくれる業者の担当者は、ありがたい話し相手に感じられることがあります。悪質な業者は、この寂しさにつけ込み、「あなたのためを思って」と言いながら、商品を売りつけます。契約を断ることが、その人との関係を失うことのように感じられ、断れなくなってしまうのです。
「迷惑をかけたくない」という気持ち
高齢者の中には、子どもや家族に迷惑をかけたくない、心配させたくないという気持ちから、困ったことがあっても相談しない人が多くいます。業者から「家族に言うと反対される」と言われると、なおさら黙って契約してしまいます。被害が表に出にくいのは、こうした気持ちも関係しています。
人を信じやすい世代
丁寧な言葉づかいで親切にされると、相手を疑うことに後ろめたさを感じる人は少なくありません。悪質な業者は、何度も訪ねてきて世間話をしたり、困りごとを聞いてあげたりして、まず信頼関係を築いてから契約を持ちかけます。
被害を認めたくない気持ち
高齢者の中には、自分がだまされたことを認めたくない、家族に知られたら恥ずかしい、と感じる人もいます。そのため、家族が契約について尋ねても、「必要だから買った」「自分で決めたことだ」と答え、被害を隠してしまうことがあります。被害を明らかにするには、本人の自尊心を傷つけない声のかけ方が大切です。
高齢者を狙う詐欺と悪質商法の手口
高齢者を狙う手口は、詐欺から悪質な商法まで、さまざまです。
| 手口 | 内容 |
|---|---|
| 特殊詐欺 | 息子や警察官などを名乗る電話で、現金やキャッシュカードをだまし取る |
| 点検商法 | 無料点検を口実に、不要な住宅の修理を契約させる |
| 次々販売 | 一度契約した人に、布団や健康食品などを次々に売りつける |
| 送りつけ商法 | 注文していない健康食品などを送り、代金を払わせる |
| 催眠商法 | 会場に人を集め、日用品を無料で配って雰囲気を盛り上げた後、高額な商品を売る |
| 投資の勧誘 | 「必ずもうかる」と、未公開株や社債などを売りつける |
| 貴金属の訪問購入 | 「不用品を買い取る」と訪ね、貴金属を安く買いたたく |
どの手口も、最初は親切な態度で近づき、本人に不安や期待を抱かせたうえで、高額な契約へと誘導する点で共通しています。
投資や資産運用の勧誘
退職金などのまとまった資産を持つ高齢者には、「銀行に預けていても増えない」「老後の資金を守るために」と、未公開株や社債、海外の不動産などへの投資を勧める業者が近づいてきます。複数の業者が役割を分担して電話をかけてくる劇場型の手口も多く、被害額が大きくなりがちです。
送りつけと電話勧誘の組み合わせ
電話で健康食品を勧め、あいまいな返事をしただけで商品を送りつけ、代金を請求する手口もあります。注文していない商品であれば、代金を払う必要はなく、すぐに処分して構いません。本人がこのルールを知らずに払ってしまうことも多いため、家族から伝えておきましょう。
催眠商法
「健康にいい話が聞ける」「日用品を無料で配る」と言って、空き店舗などの会場に高齢者を集めます。景品を配りながら会場の雰囲気を盛り上げ、「早い者勝ち」と手を挙げさせて、最後に高額な布団や健康器具を売りつけます。毎日のように通ううちに、担当者と親しくなり、断れなくなってしまうこともあります。
貴金属の訪問購入
「不用品を買い取ります」と電話をかけてきて、自宅を訪ねた業者が、着物や古い家具には目もくれず、指輪やネックレスなどの貴金属を安く買いたたく手口もあります。訪問購入には、8日間のクーリングオフがあり、その間は品物の引渡しを拒むこともできます。
次々販売
一度契約した高齢者の情報は、業者の間で共有されることがあります。「この人は契約してくれる」と見なされると、同じ業者や別の業者が次々と訪ねてきて、必要のない商品を売りつけます。気づいたときには、家の中に使い切れないほどの布団や健康食品が積まれていた、ということもあります。
家に同じような商品がたくさんある、見慣れない高額な商品が増えている、通帳から定期的にまとまったお金が引き出されている。こうした変化は、次々販売の被害のサインかもしれません。親の家を訪れたときは、さりげなく家の中や郵便物に目を配ってみてください。
電話や訪問による勧誘の特徴
高齢者の被害の多くは、電話や訪問をきっかけにしています。
電話と訪問は、組み合わせて使われることもあります。電話で約束を取りつけてから訪問し、玄関先で契約を迫るという流れです。
ある家族の気づき
ある男性は、実家に帰省した際、母親の家の電話機のそばに、見慣れない会社の名前と電話番号を書いたメモが何枚も貼られているのに気づきました。尋ねてみると、健康食品や布団の業者から頻繁に電話がかかってきていたことが分かりました。メモ一枚が、被害に気づくきっかけになることもあります。
電話による勧誘
特殊詐欺だけでなく、「健康食品を試してみませんか」「今なら特別価格で」といった電話の勧誘も、高齢者の被害の入り口になります。一度「はい」と返事をすると、承諾したと言われて商品が送られてくることもあります。
勧誘の電話が多い時間帯
勧誘の電話は、家族が仕事などで出かけていて、高齢者がひとりで家にいる平日の日中にかかってくることが多いものです。電話の内容をその日のうちに家族に話すよう習慣づけておくと、不審な勧誘に早く気づけます。
訪問による勧誘
「近くまで来たので」「無料で点検します」と訪ねてくる業者は、玄関先で長時間話し込み、断りにくい状況を作ります。家に上げてしまうと、帰ってもらうことがさらに難しくなります。
「無料」に隠れた勧誘
「無料で健康診断をします」「無料で不用品を回収します」といった誘いの裏には、高額な商品の勧誘が隠れていることがあります。無料の話ほど、相手の本当の目的を考えてみることが大切です。
高齢者自身の心構え
「お金の話が出たら、その場では決めない」「家族や信頼できる人に相談してから決める」という二つの約束を、自分自身とかわしておくだけでも、多くの被害は防げます。親切にしてくれる相手ほど、断るのは心苦しいものですが、本当に親切な相手なら、相談の時間を待ってくれるはずです。
断るための工夫
- 知らない人からの電話は、留守番電話で相手を確かめてから出る
- 訪問者には、インターホン越しに用件を聞き、必要なければ玄関を開けない
- 「家族と相談してから決める」と言って、その場では契約しない
- 「いりません」とはっきり伝える
高齢者の被害の事例
実際の相談から、高齢者が被害に遭った典型的な事例を紹介します。
事例の細部は変えていますが、どれも実際によく寄せられる相談の典型です。
布団と健康食品の次々販売
80代の女性は、夫を亡くしてひとりで暮らしていました。ある日、布団の訪問販売の業者が訪ねてきて、世間話をするうちに親しくなり、羽毛布団を契約しました。その後、同じ業者が何度も訪ねてきて、敷布団、枕、健康食品、磁気治療器と次々に契約を重ね、1年ほどで数百万円にのぼりました。遠方に住む息子が帰省した際、押し入れに積まれた未開封の布団を見て被害に気づきました。
認知症の父親の投資の契約
70代の男性は、軽い認知症と診断されていましたが、日常生活はひとりで送っていました。証券会社を名乗る電話で「必ずもうかる社債がある」と勧められ、数回にわたって合わせて1千万円近くを振り込みました。娘が通帳の出金に気づいて問いただしたところ、男性は契約の内容をほとんど説明できませんでした。
催眠商法の会場での契約
近所の空き店舗で開かれていた「健康の話が聞ける会」に通っていた60代の女性は、毎日配られる日用品を楽しみにしていました。数週間後、会場の雰囲気に押されて、数十万円の健康器具を契約しました。家族が契約書を見つけたときには、クーリングオフの期間はすでに過ぎていました。
事例に共通すること
どの事例でも、本人は被害に遭っているという自覚がなく、家族が気づくまで時間がかかっています。業者は、本人と親しい関係を築き、家族に知られないように契約を重ねていきます。被害を早く見つけるには、家族が日ごろから本人の暮らしに関心を持っておくことが何より大切です。
認知症の家族が結んだ契約はどうなるか
認知症などで判断力が低下した家族が契約をしてしまった場合、その契約をなかったことにできるかどうかが問題になります。
家族が契約を知ったときの最初の一歩
認知症の家族が高額な契約をしていたと分かったら、まず契約書や商品を確認し、契約の日付と相手の業者を把握しましょう。クーリングオフの期間が残っていれば、判断力の問題を持ち出すまでもなく、通知を出すだけで解約できます。
認知症の家族の契約を解消するには、いくつかの道筋があります。
意思能力がない契約は無効
民法は、契約をした時点で意思能力がなかった場合、その契約は無効であると定めています。意思能力とは、自分がしている契約の意味や結果を理解する力のことです。重い認知症などで、契約の意味をまったく理解できない状態だったのであれば、その契約は最初から効力がありません。
2020年の民法改正
意思能力がない人が結んだ契約が無効であることは、以前から判例で認められていましたが、2020年4月に施行された改正民法で、条文として明記されました。これによって、判断力が大きく低下した人の契約を守るための考え方が、よりはっきりと示されたといえます。
家族としては、「親はもう正常な判断ができない」と感じていても、法的に意思能力がなかったと認められるハードルは決して低くありません。
意思能力の判断は難しい
ただし、意思能力があったかどうかは、契約をしたときの状態によって判断されます。認知症と診断されていても、軽い段階では意思能力があると判断されることもあります。医師の診断書、介護の認定の記録、契約の前後の本人の様子などを集めて、契約の時点で契約の意味を理解できていなかったことを示す必要があります。
| 状況 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 契約の時点で意思能力がなかった | 契約の無効を主張する |
| 成年後見を受けていた | 契約を取り消す |
| 訪問販売などで契約した | クーリングオフ、過量販売の解除 |
| 不安をあおられて契約した | 消費者契約法による取消し |
意思能力を示す資料
- 医師の診断書やカルテ
- 要介護の認定の記録や、認知機能の検査の結果
- ケアマネジャーやヘルパーの記録
- 契約の前後の本人の言動についての家族のメモ
意思能力と行為能力の違い
意思能力は、個々の契約の時点で、その意味を理解できたかどうかを問題にするものです。これに対し、成年後見の制度は、家庭裁判所の審判によって、本人が単独でできる行為の範囲を定めるものです。後見が始まっていれば、個々の契約の時点の状態を細かく証明しなくても、契約を取り消せるという違いがあります。
ほかの手段と組み合わせる
意思能力がなかったことの証明が難しい場合でも、訪問販売のクーリングオフや過量販売の解除、消費者契約法による取消しなど、ほかの手段が使えることがあります。消費者契約法には、加齢などによる判断力の低下につけ込んで不安をあおる勧誘を取り消せる規定もあります。
成年後見の制度で財産を守る
判断力が低下した家族の財産を守るための仕組みが、成年後見の制度です。
成年後見の制度は、本人の判断力の程度に応じて、支援の内容を選べるようになっています。
法定後見の3つの類型
| 類型 | 本人の状態 | 取り消せる契約 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断力が常に欠けている | 日用品の購入など日常生活に関するものを除き、本人がした契約を取り消せる |
| 保佐 | 判断力が著しく不十分 | 借金や不動産の売買など、法律で定められた重要な契約を取り消せる |
| 補助 | 判断力が不十分 | 家庭裁判所が定めた特定の契約を取り消せる |
日常生活に関する行為
後見を受けている人がした契約でも、食料品や日用品の購入など、日常生活に関する行為は取り消せません。本人の暮らしを不当に制限しないための配慮です。一方で、高額な布団や健康食品の契約などは、日常生活に関する行為にはあたらないのが一般的です。
補助や保佐の活用
判断力の低下が比較的軽い段階でも、補助の制度を使えば、本人が同意したうえで、特定の種類の契約について取消しの権限を補助人に与えることができます。たとえば、訪問販売や電話勧誘による契約を補助人の同意が必要な行為にしておけば、本人が悪質な業者と契約してしまっても、後から取り消せるようになります。
後見の申立てをするかどうかは、本人の生活への影響も考えて慎重に判断する必要があります。本人の気持ちを聞き、家族でよく話し合ってから決めましょう。
後見人ができること
成年後見人が選ばれると、本人が悪質な業者と結んだ契約を、後から取り消すことができます。後見人は、本人に代わって財産を管理し、不要な契約を防ぐ役割も担います。
後見人を選ぶのは家庭裁判所
法定後見では、後見人を誰にするかは家庭裁判所が決めます。家族が後見人の候補になることもできますが、財産が多い場合や、家族の間で意見が分かれている場合などは、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
任意後見
判断力があるうちに、将来に備えて、信頼できる人に後見人になってもらう契約を結んでおく方法もあります。これを任意後見といいます。本人の判断力が低下した後に、家庭裁判所が監督人を選ぶことで、任意後見が始まります。
申立てから後見人が選ばれるまでには、数か月ほどかかることが一般的です。被害が続いている場合は、早めに手続きを始めましょう。
成年後見の費用
申立てには、裁判所に納める手数料のほか、医師の鑑定が必要な場合は鑑定の費用がかかります。専門職が後見人に選ばれた場合は、本人の財産から後見人への報酬が支払われます。費用の負担が難しい場合は、自治体の助成の制度が使えることもあります。
申立ての手続き
法定後見を始めるには、本人の住む地域の家庭裁判所に申立てをします。本人、配偶者、4親等内の親族などが申し立てることができます。医師の診断書や、本人の財産の資料などが必要になります。
被害に気づいたときの対応
高齢の家族の被害に気づいたら、次の順番で対応してください。
- 家にある契約書、領収書、商品、通帳などを確認する
- 本人から、いつ、誰と、どんな契約をしたのかを聞き取る
- クーリングオフの期間内のものがあれば、すぐに通知を出す
- だまされた疑いがあるなら警察に届ける
- 相談窓口や弁護士の助言を受ける
- 必要に応じて、成年後見の申立てを検討する
被害の大きさに驚き、家族の側が冷静さを失ってしまうこともあります。一度深呼吸をして、まずは事実を確かめることから始めましょう。
クーリングオフの期間の確認
契約書が見つかったら、まず受け取った日付を確かめましょう。訪問販売や電話勧誘販売なら8日、マルチ商法なら20日と、取引の種類ごとに期間が決まっています。期間内のものは、何よりも先に通知を出してください。
本人を責めない
被害に気づいたとき、家族はつい「なぜこんな契約をしたのか」と本人を責めてしまいがちです。けれども、責められると、本人は次から被害を隠すようになります。「悪いのは業者」「一緒に解決しよう」と伝え、本人の気持ちに寄り添うことが、被害の全体像をつかむ近道です。
本人から聞き取るときは、一度に全部を聞き出そうとせず、落ち着いた雰囲気の中で少しずつ話を聞くようにしましょう。
本人が契約したことを覚えていない場合でも、業者の側には契約書や記録が残っているはずです。業者に対して、契約書の写しを出すよう求めることもできます。
業者からの連絡を止める
被害に気づいた後も、業者が本人に連絡を取り続け、新たな契約を勧めてくることがあります。業者に対して、今後は本人ではなく家族か代理人に連絡するよう伝え、本人にも、業者からの電話には出ないよう話しておきましょう。
契約の全体像をつかむ
次々販売の被害では、本人も、いくつの契約をしたのか覚えていないことがあります。家の中の書類や商品、通帳の出金の記録、クレジットの明細などから、契約の全体像を一覧にまとめましょう。
被害に遭った高齢者のもとには、「被害を取り戻してあげる」と持ちかける二次被害の勧誘がやってくることがあります。公的な機関を名乗ることもあります。家族以外から被害の回復を持ちかけられたら、応じる前に必ず家族や消費生活センターに相談するよう、本人に伝えておいてください。
家族や地域でできる見守り
高齢者の被害を防ぐには、家族や地域による日ごろの見守りが欠かせません。
見守りは、本人の自由を奪うためのものではありません。本人が安心して暮らし続けられるよう、そっと支えるという姿勢が大切です。
本人の尊厳を大切に
被害を防ごうとするあまり、本人のお金の使い方を細かく制限しすぎると、本人の自尊心を傷つけ、かえって家族に隠れて契約するようになることもあります。本人の意思を尊重しながら、困ったときに頼れる存在でいることが、見守りの基本です。
家族ができること
- 定期的に電話や訪問をして、変わったことがないか話を聞く
- お金の出入りや、家の中の変化に気を配る
- 電話機を留守番電話や迷惑電話を防ぐ機能のあるものにする
- 「お金の話が出たら、必ず相談して」と約束しておく
- 大きなお金を動かす手続きに、家族が関われるようにしておく
お金の管理の工夫
本人の了解を得て、日常の生活費を入れる口座と、まとまった預金の口座を分けておくと、被害を最小限に抑えられます。金融機関によっては、高額の引き出しの際に家族に連絡する仕組みや、代理人を登録できる仕組みを用意しています。
地域の見守りの仕組み
自治体によっては、消費生活センター、地域包括支援センター、民生委員、警察などが連携し、高齢者の消費者被害を見守る仕組みを設けています。ケアマネジャーやヘルパーが、訪問先で不審な契約書や商品に気づき、被害の発見につながることもあります。
介護の専門職との連携
親が介護のサービスを利用している場合は、ケアマネジャーやヘルパーに、見慣れない商品や契約書を見かけたら知らせてほしいと頼んでおくと安心です。介護の専門職は、家族よりも頻繁に本人の家を訪れているため、変化に気づきやすい立場にあります。
自治体の消費生活センターでは、高齢者向けの出前講座を開き、最新の手口や断り方を紹介していることもあります。家族で一緒に聞きに行くのもおすすめです。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを支える総合的な相談窓口です。消費者被害の相談だけでなく、成年後見の制度の利用や、介護のサービスの調整なども相談できます。
弁護士に相談するメリット
高齢者の被害は、契約が複数にわたっていたり、判断力の問題が絡んでいたりして、解決が難しいことが少なくありません。
高齢者の被害は、時間が経つほど契約が積み重なり、解決が難しくなります。異変に気づいたら、その日のうちにでも専門家に連絡を取りましょう。
家族の間の意見の調整
兄弟姉妹の間で、親の財産の管理や後見の申立てについて意見が分かれることもあります。弁護士が間に入ることで、法律の仕組みを踏まえた冷静な話し合いがしやすくなります。
契約ごとの解消の方法を整理する
弁護士は、それぞれの契約について、無効、取消し、クーリングオフ、過量販売の解除など、どの方法で解消できるかを判断し、まとめて業者と交渉します。
費用の考え方
高齢者の被害は、複数の業者との契約が重なり、被害額が大きくなることが少なくありません。弁護士に依頼して、まとめて解決を図る価値のある事案が多いといえます。依頼の前に、見込みと費用を確認しましょう。
成年後見の申立ての支援
成年後見の申立ての書類の作成や、家庭裁判所とのやり取りも手伝えます。家族が後見人になることが難しい場合は、弁護士などの専門職が後見人に選ばれることもあります。
よくある質問
認知症の診断を受けていれば、契約は必ず無効になりますか
診断を受けていても、契約の時点で意思能力があったと判断されれば、無効にはなりません。症状の程度や、契約の内容の複雑さなどから、個別に判断されます。
後見人がいない状態で結んだ契約も取り消せますか
後見が始まる前に結んだ契約は、後見の制度による取消しの対象になりません。ただし、意思能力がなかったことを理由に無効を主張したり、ほかの法律で取り消したりできる場合があります。
高齢の親の電話番号を変えたほうがよいですか
勧誘の電話があまりに多い場合は、電話番号を変えるのも一つの方法です。番号を変えると、名簿に載った古い番号への勧誘が届かなくなります。
介護施設に入所している親も狙われますか
施設に入所していても、電話や郵便を通じて勧誘を受けることがあります。施設の職員にも、不審な郵便物や電話に気をつけてもらうよう伝えておくと安心です。
親が詐欺に遭ったことを認めません
無理に認めさせようとすると、親子の関係がこじれることがあります。まずは、契約の書類を一緒に見ながら、「この業者はほかでも問題になっているらしい」と客観的な情報を伝えてみましょう。消費生活センターの相談員に、第三者として話してもらうのも効果的です。
本人が病院に通っていない場合、意思能力はどう証明しますか
診断書がなくても、契約の前後の本人の言動、家族や近所の人の証言、日常生活の様子などを積み重ねて示すことになります。今後のために、専門の医療機関を受診して、認知機能の状態を確かめておくことも大切です。
訪問販売の業者を家に入れないようにするには
訪問を断る旨の張り紙を玄関に出したり、来客の顔が見える呼び鈴に取り替えたりすると、効き目があります。断った後にも勧誘を続けることは法律で禁じられているため、しつこい業者がいれば消費生活センターに知らせましょう。
成年後見の制度を使うと、本人は何もできなくなりますか
後見を受けても、日用品の買い物など日常生活に関することは、本人が自分で行えます。本人の意思はできるだけ尊重され、後見人は本人の暮らしを支える役割を担います。保佐や補助の場合は、本人ができることの範囲はさらに広くなります。
業者に直接、解約を申し入れてもよいですか
家族が業者に連絡して解約を申し入れることもできますが、業者が本人に直接連絡をとって、解約を撤回させようとすることがあります。書面で通知し、やり取りは記録に残しておきましょう。業者の対応に不安があれば、消費生活センターや弁護士を通じて進めるのが安全です。
本人が「自分で納得して契約した」と言っています
本人がそう言っていても、勧誘の方法に問題があったり、判断力が低下していたりすれば、契約を解消できることがあります。本人の気持ちを尊重しながら、契約の経緯を一緒に確かめてみてください。
親の預金を家族が管理してもよいですか
本人の同意があれば、家族が預金の管理を手伝うことはできます。ただ、判断力が低下した後は、本人の同意の有効性が問題になることもあるため、成年後見や任意後見の制度の利用を検討するとよいでしょう。
離れて暮らしていて、親の様子が分かりません
地域包括支援センターや、親の担当のケアマネジャーに相談すると、見守りの協力を得られることがあります。定期的な電話も、被害の早期の発見に役立ちます。
