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特殊詐欺の手口と被害に遭った時の対処法|ニセ警察詐欺・劇場型

特殊詐欺の手口と被害に遭った時の対処法|ニセ警察詐欺・劇場型

この記事で分かること

  • 振り込め詐欺には様々な種類があり、お金の受け渡しの手段も多様。
  • 振り込め詐欺の被害にあわないようにするには、犯行の手口を知っておくことが大切。
  • 詐欺かもしれないと思ったら、すぐに警察に電話。

振り込め詐欺には、「オレオレ詐欺」や「架空請求詐欺」など様々な種類があり、それぞれ手口が違います。自分が詐欺にあっていると気づくためにも、典型的な手口を知っておくことが大切です。「マイナンバー詐欺」などの新しい詐欺についても把握し、被害を回避しましょう。

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警察官を名乗る人から「あなたの口座が犯罪に使われている」と電話がかかってきた。息子を名乗る声で「会社のお金をなくした」と泣きつかれた。市役所の職員から「医療費の払い戻しがある」と言われた。特殊詐欺は、電話一本から始まり、あっという間に大金を奪っていきます。

特殊詐欺とは、電話などで相手と顔を合わせずに信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取る犯罪の総称です。以前は「振り込め詐欺」と呼ばれていましたが、手口が多様になり、振り込ませない形も増えたことから、今の呼び方が使われるようになりました。

この記事では、特殊詐欺の被害者の代理人を務めてきた弁護士として、特殊詐欺の代表的な手口、最近急増しているニセ警察詐欺、複数の人物が役を演じる劇場型の手口、被害に遭ったときにすぐやるべきこと、お金を取り戻す方法までを具体的にお伝えします。

特殊詐欺とは|振り込め詐欺から呼び名が変わった理由

特殊詐欺は、面識のない相手に電話をかけるなどして、対面せずに信頼させ、指定した口座に振り込ませたり、自宅に取りに来た人物に現金やカードを渡させたりする犯罪です。

呼び名の移り変わり

2000年代の初めごろは、息子などを装って振り込ませる手口が中心で、「オレオレ詐欺」と呼ばれていました。その後、架空請求や融資保証金などの手口が加わり、まとめて「振り込め詐欺」と呼ばれるようになります。さらに、振り込ませずに現金やカードを直接受け取る手口が広がったことで、今の「特殊詐欺」という呼び名が定着しました。名前が変わっても、電話で人の不安をあおるという本質は変わりません。

被害は過去最悪の水準

警察庁のまとめによると、2025年の特殊詐欺の被害額は、暫定値で約1,414億円と、前の年の2倍近くに達しました。認知件数も2万7,000件を超えています。中でも、警察官を名乗って捜査の名目で現金をだまし取るニセ警察詐欺が、被害額の約7割を占めています。

1件あたりの被害額も大きくなっており、老後のために蓄えてきた財産のほとんどを失ってしまう人もいます。

手口は次々に変わる

特殊詐欺の手口は、社会の出来事に合わせて次々と姿を変えます。給付金の支給が話題になれば給付金を、新しい制度が始まればその制度の手続きを口実にします。一つの手口への注意が広まると、すぐに別の手口が現れるため、個々の手口を覚えるより、共通する特徴を知っておくことが重要です。

高齢者だけの問題ではない

特殊詐欺は高齢者を狙う犯罪という印象が強いものの、ニセ警察詐欺では30代の被害者が最も多いという統計も出ています。インターネットバンキングで大金を送らせる手口が増え、若い世代や働き盛りの人も標的になっています。「自分は大丈夫」という思い込みこそが、最も危険です。

なぜだまされてしまうのか

特殊詐欺の電話は、家族の危機、自分が疑われているという恐怖、お金が戻ってくるという期待など、人の感情を強く揺さぶる話から始まります。感情が大きく動いているときは、冷静に疑うことが難しくなります。犯人は、考える時間を与えないよう急かし、周囲に相談させないよう仕向けて、判断力を奪っていきます。

特殊詐欺の代表的な手口

警察は、特殊詐欺をいくつかの類型に分けています。主なものを整理します。

手口 典型的な言い分
オレオレ詐欺 「俺だけど、会社の金をなくした。今日中に必要なんだ」
預貯金詐欺 「キャッシュカードが不正に使われている。新しいカードと交換します」
キャッシュカード詐欺盗 「カードを封筒に入れて保管してください」と言い、すきを見て偽のカードとすり替える
架空料金請求詐欺 「有料サイトの未払い料金があります。今日払わないと裁判になります」
還付金詐欺 「医療費や保険料の払い戻しがあります。ATMで手続きしてください」
融資保証金詐欺 「融資の前に保証金を振り込んでください」
金融商品詐欺 「必ずもうかる株があります」

オレオレ詐欺

子どもや孫を名乗り、「風邪をひいて声が変わった」「携帯電話を落として番号が変わった」と前置きしてから、お金のトラブルを打ち明けてくる手口です。会社のお金の使い込み、交通事故の示談金、女性とのトラブルなど、急いでお金が必要になった理由を並べ、「親には内緒にしてほしい」と頼みます。

預貯金詐欺とキャッシュカード詐欺盗

銀行協会や警察、百貨店の職員などを名乗り、「カードが不正に使われている」と電話をかけてきます。その後、自宅に訪ねてきた人物にキャッシュカードと暗証番号を渡させるのが預貯金詐欺です。キャッシュカード詐欺盗では、カードを封筒に入れさせ、印鑑を取りに行かせたすきに、偽のカードが入った封筒とすり替えます。被害者は、カードを手元に持っているつもりでいるため、すり替えに気づくのが遅れます。

どの手口にも、「今すぐ」「内緒で」「電話で指示」という共通点があります。表の言い分は違っても、この三つがそろったら詐欺のサインです。

還付金詐欺

市役所や年金の窓口の職員を名乗り、「払い過ぎた医療費や保険料が戻ってくる」と電話をかけてきます。そのうえで、ATMに行くよう指示し、携帯電話で操作を案内しながら、実際にはお金を振り込ませてしまいます。公的機関が、ATMでお金を返す手続きをすることはありません。

融資保証金詐欺

お金に困っている人に「審査なしで融資します」と持ちかけ、融資の前に保証金や手数料を振り込ませる手口です。保証金を払っても、融資が実行されることはありません。正規の貸金業者が、融資の前にお金を払わせることはないと覚えておきましょう。

公的機関を名乗る電話への備え

市役所、年金事務所、税務署、警察など、公的機関を名乗る電話でお金の話が出たら、その場で手続きをせず、電話を切ってください。そのうえで、自分で調べた公的機関の代表番号にかけ直し、本当にそのような手続きがあるのかを確かめましょう。

架空料金請求詐欺

身に覚えのない料金を請求するメールやショートメッセージを送り、連絡してきた人に支払わせる手口です。電子マネーのカードを買わせ、その番号を伝えさせる方法がよく使われます。コンビニで電子マネーを大量に買うよう指示されたら、詐欺を疑ってください。

急増するニセ警察詐欺

いま最も被害が大きいのが、警察官や検察官を名乗るニセ警察詐欺です。

ニセ警察詐欺は、本物の警察への信頼を逆手に取る手口です。警察と聞くと、疑うこと自体が悪いことのように感じてしまう心理を突いてきます。

典型的な流れ

  1. 通信事業者や警察を名乗る電話がかかってくる
  2. 「あなたの口座が犯罪に使われている」「逮捕状が出ている」と告げられる
  3. ビデオ通話やメッセージアプリに誘導され、偽の警察手帳や逮捕状を見せられる
  4. 「潔白を証明するため」「資産を調べるため」と、指定の口座への送金を求められる
  5. 「捜査の秘密なので誰にも話してはいけない」と口止めされる

だまされやすい状況

犯人は、仕事中や一人でいる時間帯を狙って電話をかけてきます。周りに相談できる人がいない状況で、「すぐに対応しないと逮捕される」と迫られると、冷静な判断は難しくなります。電話の相手が本物の警察かどうか少しでも迷ったら、話を続けずに電話を切る勇気を持ってください。

口止めで孤立させる

ニセ警察詐欺の特徴は、「捜査情報の漏えいになるので家族にも話さないように」と強く口止めすることです。被害者は、自分が疑われている不安と、口止めの指示によって、誰にも相談できない状態に追い込まれます。インターネットバンキングで何度も送金させられ、被害が高額になるケースが目立ちます。

ネット銀行で送金させる手口

ニセ警察詐欺では、被害者のスマートフォンでインターネットバンキングを開かせ、送金の上限額を引き上げさせたうえで、何度にも分けて送金させることがあります。銀行の窓口やATMを通らないため、周りの人が異変に気づく機会がありません。これが、被害額が大きくなる一因になっています。

ある会社員のケース

30代の会社員の男性に、携帯電話会社を名乗る自動音声の電話がかかってきました。案内に従って操作すると、警察官を名乗る人物につながり、「あなた名義の口座が詐欺に使われている」と告げられました。ビデオ通話で制服姿の人物と偽の逮捕状を見せられ、「潔白なら資産を調べさせてほしい」と言われるまま、ネット銀行から数回に分けて送金しました。家族に話したのは、全財産を送った後のことでした。

注意

本物の警察が、電話やビデオ通話で逮捕状を見せたり、捜査のためにお金を振り込ませたりすることは絶対にありません。「警察です」という電話でお金の話が出たら、いったん電話を切り、最寄りの警察署や警察の相談専用電話(#9110)に自分からかけ直して確かめてください。

自動音声から始まる電話

「料金の未払いがあります。詳しくは1番を押してください」といった自動音声の電話から、犯人につながる手口も広がっています。音声の案内に従ってボタンを押すと、担当者を名乗る人物が出て、ニセ警察詐欺などへと話が進みます。身に覚えのない自動音声の電話は、ボタンを押さずに切りましょう。

複数の人物が役を演じる劇場型の手口

特殊詐欺の中には、何人もの人物が次々に電話をかけてきて、それぞれの役を演じる手口があります。劇場型と呼ばれるもので、登場人物が多いほど話に現実味が出て、信じ込みやすくなります。

劇場型は、ひとりの人物から話を聞くよりも、複数の人から同じ話を聞くほうが信じやすい、という人間の心理を利用した手口です。

劇場型の典型例

たとえば、次のような流れです。まず息子を名乗る人物から「痴漢をして示談金が必要になった」と電話があります。続いて、弁護士を名乗る人物が電話を代わり、「今日中に示談金を払えば、前科がつかずに済む」と説明します。さらに被害者役の人物が出てきて、怒った口調で示談を迫ります。複数の人物のやり取りを聞かされるうちに、本当の出来事だと思い込んでしまうのです。

最初に電話をかけてきた人物とは別の人物が次々と現れるのが、劇場型の大きな特徴です。

よく登場する役

役 話の内容
家族 トラブルに巻き込まれ、お金が必要だと訴える
上司や同僚 会社の損失を穴埋めしないとクビになると話す
弁護士 示談金を払えば事件にならないと説明する
警察官 捜査への協力やお金の確認を求める
業者 高値での買い取りや、手数料の支払いを持ちかける

劇場型の手口は、未公開株や社債などの投資話でも使われます。販売役と買取役が別々に電話をかけてきて、被害者に「今買えば高く売れる」と信じ込ませるものです。

劇場型に気づくには

劇場型の手口では、話の流れが自然に見えるよう、登場人物どうしが口裏を合わせています。見破るには、話の中身ではなく、「お金の支払いを急がされている」「誰にも相談させてもらえない」という状況そのものに目を向けることです。どれほど話に筋が通っていても、この二つがそろっていれば、詐欺の可能性が極めて高いといえます。

だまされないための見分け方

特殊詐欺の電話には、共通する特徴があります。次の言葉が出てきたら、詐欺を強く疑ってください。

  • 「今日中に」「今すぐ」と急がせる
  • 「誰にも言わないで」と口止めする
  • 電話番号が変わったと言う
  • ATMに行くよう指示する
  • キャッシュカードや暗証番号を求める
  • 電子マネーのカードを買うよう指示する
  • 自宅に現金やカードを取りに行くと言う

「電話でお金」は詐欺と考える

手口がどれほど多様になっても、電話でお金やカードの話が出たら詐欺を疑う、という原則は変わりません。息子であれ、警察であれ、市役所であれ、電話だけでお金の支払いを求めることは、まずあり得ないと考えてください。

知らない番号には出ない

登録していない番号からの電話には出ず、留守番電話のメッセージを聞いてから、必要な相手にだけかけ直すという習慣も効果があります。本当に用事のある相手なら、伝言を残してくれるはずです。

一度電話を切る

どんなに切迫した話でも、いったん電話を切り、自分から本人や家族、公的機関に電話をかけ直して確かめることが最も有効な対策です。息子を名乗る電話なら、以前から知っている息子の番号にかけ直しましょう。

国際電話番号からの着信

最近は、海外の番号からかけてくる特殊詐欺が増えています。国際電話を使う予定がなければ、国際電話の発着信を止めるサービスを利用するのも有効です。電話会社に申し込めば、無料で利用できる場合があります。

かけ直す相手の番号は、電話で聞いた番号ではなく、自分の手帳や家族の連絡先、公的機関の公式の案内など、元から知っている番号を使うことが大切です。

留守番電話の活用

在宅中でも留守番電話に設定しておき、相手を確かめてから出るようにすると、詐欺の電話に直接応じる危険を大きく減らせます。通話を録音する装置や、警告の音声が流れる電話機も有効です。

地域ぐるみの見守り

金融機関やコンビニ、タクシー会社などが、警察と連携して被害の防止に取り組んでいます。高額の現金を引き出そうとする高齢者に声をかけたり、不審な様子の人を見かけたら通報したりする取り組みです。周りの人のひと声が、被害を防ぐ最後の砦になります。

ATMでの携帯電話は危険のサイン

ATMの前で携帯電話を使いながら操作している人は、詐欺の電話の指示を受けている可能性があります。多くの金融機関やコンビニでは、ATMの付近での携帯電話の使用を控えるよう呼びかけています。家族や周りの人が、ATMの前で電話をしながら操作している高齢者を見かけたら、ためらわずに声をかけてください。

ワンポイントアドバイス

家族の間で「合言葉」を決めておくのも効果的です。電話でお金の話が出たら、合言葉を尋ねるというルールにしておけば、なりすましをすぐに見破れます。家族に高齢の親がいる方は、定期的に電話をかけ、詐欺の手口について話しておくことが、何よりの予防になります。

被害に遭ったときにすぐやること

だまされたと気づいたら、一刻も早く行動してください。時間が経つほど、お金を取り戻せる可能性は小さくなります。

  1. 警察(110番、または最寄りの警察署)に通報する
  2. 振り込んだ場合は、振込先の銀行に連絡して口座の凍結を求める
  3. キャッシュカードを渡した場合は、自分の銀行に連絡してカードを止める
  4. 電話の着信履歴、メッセージ、振込の記録を保存する
  5. 家族や消費生活センター、弁護士に相談する

警察に伝えること

  • 電話がかかってきた日時と、相手が名乗った名前や所属
  • 話の内容と、指示された行動
  • お金やカードを渡した日時、場所、相手の特徴
  • 振り込んだ場合は、振込先の口座の情報

受け取りに来た人物の服装や年齢、乗ってきた車などの記憶は、犯人の逮捕の手がかりになります。思い出せることは、細かいことでもすべて伝えましょう。

現金を手渡してしまった場合も、すぐに110番通報してください。受け取った人物がまだ近くにいることもあり、早い通報が逮捕につながることがあります。

キャッシュカードを渡してしまったら

自宅に来た人物にキャッシュカードを渡してしまった場合は、すぐに銀行に連絡して、カードの利用を止めてもらいます。暗証番号を教えてしまった場合は、とくに急いでください。数十分のうちに、ATMから限度額いっぱいまで引き出されることがあります。

だまされた後にかかってくる電話

被害に遭った後、「警察ですが、犯人を捕まえました。被害金を返すので口座を教えてください」といった電話がかかってくることがあります。これも詐欺の一部です。被害金の返還について、警察が電話で口座番号や暗証番号を聞くことはありません。

だまし取られたお金を取り戻す方法

特殊詐欺で失ったお金を取り戻すのは簡単ではありませんが、いくつかの方法があります。

回収の見込みは、お金をどのような方法で渡したかによって大きく変わります。

振り込め詐欺救済法による分配金

口座に振り込んだ場合は、振り込め詐欺救済法に基づいて、振込先の口座が凍結され、残っていたお金が被害者に分配される仕組みがあります。凍結が早ければ早いほど、口座に残っているお金も多くなります。

分配を受けるまでの手順

口座が凍結されると、一定期間の公告を経て、被害者からの申請を受け付ける期間が設けられます。被害者は、振込の記録などを添えて申請し、口座に残っていたお金を、被害額の割合に応じて受け取ります。申請の期間を逃さないよう、警察や銀行からの連絡に注意しておいてください。

口座の凍結や分配金の手続きは、自分の住む地域の警察や銀行を通じて進められます。分からないことは、遠慮せずに窓口で尋ねましょう。

カードの不正な引き出しの補償

キャッシュカードをだまし取られて引き出された場合は、偽造カードや盗難カードによる被害を補償する法律の考え方に沿って、銀行が補償に応じることがあります。ただし、暗証番号を自ら教えていた場合などは、補償が減らされたり、受けられなかったりすることもあります。

犯人への損害賠償

受け子や出し子など、犯行に関わった人物が捕まれば、賠償を請求する相手が見えてきます。刑事の審理を担当した裁判所に損害賠償命令を申し立てる制度を使えば、改めて民事の裁判を起こさずに賠償を求められる場合があります。

口座を貸した人への請求

振込先の口座の名義人は、報酬につられて自分の口座を犯人に譲り渡した人物である場合がよくあります。自分の口座が詐欺に使われると知りながら提供した場合、名義人は被害者への損害賠償の責任を負う可能性があります。名義人が特定できれば、請求を検討する価値があります。

ただし、逮捕されるのは組織の末端であることがほとんどで、本当にお金を手にした人物までたどり着くのは容易ではありません。

組織の上位の人物への請求

特殊詐欺は、指示役を頂点とする組織的な犯罪です。組織の上位の人物の責任を問うため、暴力団の組長などに対して損害賠償を求める訴訟が起こされた例もあります。

受け子や出し子にならないために

特殊詐欺では、被害者だけでなく、犯行に加担させられる若者の問題も深刻です。

組織の末端で使われる若者も、指示役にとっては使い捨ての道具にすぎません。捕まるのは、いつも末端の実行役です。

闇バイトの危険

SNSで「高額報酬」「即日払い」「荷物を受け取るだけ」といった募集を見て応募すると、特殊詐欺の受け子や出し子として使われることがあります。応募の際に身分証の写真を送らせられるため、やめたいと言っても「家族に危害を加える」と脅され、抜け出せなくなります。

家族が応募しようとしていたら

子どもや孫が「簡単で高収入のバイトを見つけた」と話していたら、仕事の内容を詳しく聞いてみてください。仕事の内容をはっきり説明できない、身分証の写真を送るよう求められている、といった場合は、闇バイトの可能性があります。応募する前に止めることができれば、本人の人生を守ることにつながります。

闇バイトの募集は、「運び」「受け取り」「ホワイト案件」など、犯罪であることをぼかした言葉で書かれていることが多いものです。仕事の中身が曖昧なまま高い報酬をうたう募集は、ほぼ間違いなく危険だと考えてください。

加担した場合の責任

受け子や出し子も、詐欺罪や窃盗罪の共犯として逮捕され、重い刑罰を受けます。詐欺罪の法定刑は10年以下の拘禁刑で、被害額が大きければ実刑になることも珍しくありません。被害者から損害賠償を求められ、多額の支払い義務を負うこともあります。知らなかったでは済まされません。

闇バイトから抜け出すには

応募してしまい、脅されて抜けられなくなっているなら、ためらわずに警察へ助けを求めてください。警察は、闇バイトに応募した人やその家族の保護に取り組んでいます。犯罪に加わる前に相談すれば、それだけ重い責任を負わずに済みます。すでに加担してしまった場合も、早く警察や弁護士に相談することが、その後の処分にも影響します。

弁護士に相談するメリット

特殊詐欺の被害に遭ったとき、弁護士に相談することで、回収の手段を広げられる場合があります。

何から手をつければよいか分からない状態でも、相談すれば、今すぐやるべきことを順番に整理してもらえます。

口座を止めて分配を受ける手続き

弁護士は、お金の送り先の銀行へ、口座の凍結を速やかに求め、分配金の手続きを進める手伝いをします。複数の口座に振り込んでいた場合も、まとめて対応できます。

被害が複数の口座に分かれている場合や、振込と手渡しが混ざっている場合も、状況を整理して、使える手段を一つずつ試していきます。

加害者への損害賠償の請求

受け子などが逮捕された場合は、刑事手続きの状況を確認しながら、損害賠償の請求や示談の交渉を進めます。加害者側から示談の申入れがあったときも、適正な条件かどうかを判断できます。

家族からの相談も受け付ける

親が特殊詐欺の被害に遭ったと知った子どもから、相談を受けることも多くあります。本人がショックで動けない場合も、家族が代わりに情報を整理し、弁護士に相談することで、手続きを早く進められます。

二次被害を防ぐ

特殊詐欺の被害者は、「お金を取り戻せる」とうたう新たな詐欺の標的になりやすいものです。弁護士が窓口になることで、こうした勧誘に惑わされる危険を減らせます。

よくある質問

詐欺かどうか迷ったら、誰に相談すればよいですか

家族に相談するのが一番ですが、すぐに連絡がつかない場合は、警察の相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)が頼りになります。迷っている段階で相談すれば、被害を未然に防げます。

電話で個人情報を話してしまいましたが、お金は渡していません

名前や住所、家族構成などを話してしまった場合は、再び詐欺の電話がかかってくる可能性があります。留守番電話に設定し、不審な電話には出ないようにしましょう。キャッシュカードの暗証番号や口座番号を伝えてしまった場合は、すぐに銀行に連絡してください。

受け取りに来た人物の顔を覚えていません

覚えていなくても、通報することに意味があります。周辺の防犯カメラの映像などから、人物が特定されることもあります。服装や声の感じ、話し方など、少しでも記憶に残っていることを伝えてください。

警察を名乗る電話が本物か確かめるには

相手の名前と所属を聞いたうえで、いったん電話を切り、自分で調べた警察署の代表番号にかけ直して確認してください。本物の警察官なら、確認のためにかけ直すことを嫌がりません。

だまされたことが恥ずかしく、家族に言えません

特殊詐欺は、誰でもだまされるよう巧妙に仕組まれた犯罪です。恥ずかしいことではありません。早く相談するほど、お金を取り戻せる可能性は高まります。家族に打ち明けにくいなら、先に警察か消費生活センターへ話してみてください。

電子マネーの番号を伝えてしまいました

すぐに電子マネーの発行会社に連絡し、事情を説明してください。まだ使われていなければ、利用を止めてもらえることがあります。購入したときのレシートやカードは、捨てずに保管しておきましょう。

被害に遭った後、同じような電話がまたかかってきます

一度だまされた人の情報は、犯人の間で共有されていることがあります。電話には出ず、留守番電話で相手を確かめるようにしましょう。警察にも、再び電話がかかってきていることを伝えてください。

犯人が逮捕されたら、お金は全額戻ってきますか

逮捕された人物に支払う力がなければ、全額が戻ってくることはほとんどありません。受け子や出し子は、報酬を少ししか受け取っていないことが多く、被害額を支払える財産を持っていないのが一般的です。

特殊詐欺の電話がかかってきたら、どこに知らせればよいですか

被害がなくても、警察に知らせておくと、同じ地域での被害の防止に役立ちます。#9110の警察相談専用電話か、近くの警察署へ連絡を入れてください。地域によっては、詐欺の電話が多くかかってきていることを、防災無線などで知らせてくれることもあります。

家族の名前を出されたら、信じてしまいそうです

犯人は、名簿や過去の被害者の情報などから、家族の名前を調べていることがあります。名前を知っているからといって、本物の家族とは限りません。必ず、元から知っている番号にかけ直して確かめてください。

高齢の親を守るために、家族ができることはありますか

定期的に連絡を取る、留守番電話や迷惑電話を防ぐ機能の付いた電話機を用意する、お金の話が出たら必ず家族に相談するよう約束しておく、といったことが効果的です。親の側も、子どもに相談することを恥ずかしがらなくてよいのだと伝えておきましょう。

銀行の窓口で送金を止められました。どうすればよいですか

銀行員が声をかけたのは、詐欺の可能性があると判断したからです。止められたことに腹を立てず、事情を話して相談してください。その場で警察に連絡してもらうことで、被害を防げた例は数多くあります。

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