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SNSで知り合った人に勧められて、暗号資産の取引アプリに入金した。画面上では資産が何倍にも増えているのに、出金しようとすると「税金を先に払ってください」と言われ、いつまでも引き出せない。暗号資産、いわゆる仮想通貨をめぐる詐欺の相談は、ここ数年で急増しています。
暗号資産は、仕組みが分かりにくく、値動きも大きいため、「必ずもうかる」という話に乗せられやすい分野です。しかも、銀行振込と違って、送金した暗号資産を取り戻すことは極めて難しいという特徴があります。
この記事では、投資詐欺の相談を受けてきた弁護士として、暗号資産をめぐる詐欺の代表的な手口、正規の業者の見分け方、2026年に成立した法改正のポイント、だまされたと気づいたときの対応、そして取り戻すための方法と限界を具体的にお伝えします。
暗号資産詐欺とは|仕組みの分かりにくさを突く手口
暗号資産詐欺とは、暗号資産への投資や取引を口実に、お金や暗号資産をだまし取る詐欺の総称です。実在しない取引所や独自の暗号資産を使ったもの、SNSでの投資の勧誘、ロマンス詐欺と組み合わさったものなど、さまざまな形があります。
暗号資産そのものは、正規の業者を通じて取引すれば違法なものではありません。問題は、その人気や分かりにくさに便乗して、人をだます者がいることです。
暗号資産の特徴
暗号資産は、国や中央銀行が発行するお金ではなく、インターネット上でやり取りされる電子的な財産です。取引の記録はブロックチェーンという仕組みで管理されています。価格は需要と供給で大きく動き、短期間で何倍にもなることがある一方、急落することもあります。
暗号資産の世界では、新しい技術や言葉が次々と生まれます。その新しさ自体が、詐欺の犯人にとって格好の隠れみのになります。
国内の利用者の広がり
国内の暗号資産の口座の数は、1,400万を超えるまでになりました。投資の経験が少ない人も、少額から気軽に始められるようになっています。利用者が増えるほど、知識の少ない人を狙った詐欺も増えるのが現実です。
暗号資産の取引の基本
正規の取引では、国の登録を受けた交換業者に口座を開き、本人確認を済ませたうえで、日本円を入金して暗号資産を売り買いします。売った代金は、自分名義の銀行口座に出金します。この流れのどこかで、個人名義の口座への振込や、見知らぬアプリへの送金を求められたら、正規の取引ではありません。
詐欺に使われやすい理由
- 仕組みが難しく、説明の真偽を確かめにくい
- 値上がりの成功例がよく報じられ、期待を抱きやすい
- 国境を越えて一瞬で送金でき、犯人が海外にいることが多い
- 一度送金すると、取り消すことがほぼできない
- 口座の名義人のような分かりやすい手がかりが残りにくい
暗号資産詐欺の代表的な手口
暗号資産をめぐる詐欺には、いくつかの典型的な手口があります。
| 手口 | 内容 |
|---|---|
| 偽の取引所・取引アプリ | 本物そっくりの取引画面で利益が出ているように見せ、出金に応じない |
| 独自の暗号資産の販売 | 「上場すれば何十倍になる」と、価値のない独自の暗号資産を売りつける |
| 運用の代行 | 「預ければ自動で運用して配当を出す」と言い、お金を集めて持ち逃げする |
| SNSの投資グループ | 著名人をかたる広告から投資グループに誘い、指示どおりに送金させる |
| ロマンス詐欺との組み合わせ | 恋愛感情を利用して、偽の取引アプリに誘導する |
| ウォレットの乗っ取り | 偽のサイトやアプリで秘密の鍵を入力させ、保有する暗号資産を抜き取る |
手口の表を見ると分かるように、多くの詐欺は「あなただけに特別な情報を教える」という形で近づいてきます。本当に確実にもうかる情報があれば、見ず知らずの他人に教える理由はありません。
ウォレットの乗っ取り
暗号資産を保管する財布の役割を果たす仕組みを、ウォレットと呼びます。偽のサイトやアプリで、このウォレットを動かすための秘密の情報を入力させ、中の暗号資産を抜き取る手口が増えています。人気の暗号資産の「無料配布」をうたうキャンペーンも、よく使われる入り口です。
偽の取引アプリ
最も被害が大きいのが、偽の取引所や取引アプリを使う手口です。最初に少額を入金すると、画面上ではすぐに利益が出ているように表示され、少額の出金もできます。これで信用させ、大きな額を入金させた後、出金しようとすると「利益にかかる税」「引き出しの手数料」などと称して、追加の送金を迫ってきます。画面に表示される資産は、最初から存在しない数字です。
運用の代行をうたう手口
「自動売買のプログラムで運用する」「専門のトレーダーが代わりに取引する」と言って、暗号資産を預けさせる手口もあります。最初は約束どおりの配当が出ても、それは後から加わった人の資金を回しているだけのことが多く、やがて運営者ごと姿を消します。
偽の取引アプリは、本物の相場の値動きをそのまま画面に映していることもあり、見た目だけで偽物と見抜くのは難しいものです。
独自の暗号資産
「この新しい暗号資産は、近く有名な取引所に上場する」「今買えば、上場後に何十倍にもなる」と勧め、価値のない独自の暗号資産を売りつける手口もあります。実際には上場せず、転売することもできないまま、ただの数字だけが手元に残ります。
偽の儲け話の広告
「月に数百万円の不労所得」「誰でも簡単に億り人」など、刺激的な言葉を並べた広告が、動画やSNSにあふれています。こうした広告の先には、高額な情報商材や、偽の取引アプリへの誘導が待っていることが多いものです。広告の言葉が派手であるほど、慎重に疑ってかかってください。
「出金するには、先に税金や手数料を払う必要がある」と言われたら、その時点で詐欺だと考えてください。正規の取引所は、出金の手数料を出金額から差し引くのが普通で、別途お金を振り込ませることはありません。「あと少し払えば全額引き出せる」という言葉に応じると、被害が広がるだけです。
被害の事例から見る典型的な流れ
実際にどのような流れで被害に遭うのか、よくある事例をいくつか紹介します。自分が同じ道をたどっていないか、確かめてみてください。
著名人の広告から始まった事例
50代の男性が、SNSで有名な経済評論家の写真が使われた投資の広告を見て、メッセージアプリの投資グループに参加しました。グループでは「アシスタント」を名乗る人物が、指定の取引アプリで暗号資産を買うよう勧めてきました。最初の数十万円は画面上で順調に増え、男性は退職金の一部を追加で入金しました。いざ引き出そうとすると、「口座の凍結を解除するための保証金」を求められ、ようやく詐欺だと気づきました。
知人の紹介から始まった事例
30代の女性は、学生時代の友人から「暗号資産を預けるだけで毎月配当が出る」という話を聞き、数十万円を預けました。数か月は配当が出ていましたが、やがて配当が止まり、運営者と連絡が取れなくなりました。紹介した友人も、自分がだまされていたことに気づいていませんでした。
サポートを装った乗っ取りの事例
20代の男性は、自分で管理している財布の使い方が分からず、SNSで「サポート担当」を名乗るアカウントに相談しました。相手の指示どおりに復元のための言葉を入力したところ、数分後に財布の中の暗号資産がすべて別のアドレスに移されていました。正規のサポートが、秘密の情報を尋ねることはありません。
高齢者を狙った事例
70代の女性のもとに、「暗号資産の口座が開設されたので、手続きをしてほしい」という電話がかかってきました。身に覚えがないと伝えると、「名義が悪用されている。資産を守るために、指定の口座に移してほしい」と言われ、預金の一部を振り込んでしまいました。暗号資産を知らない人も、その言葉の響きを利用した詐欺に巻き込まれることがあります。
事例に共通すること
いずれの事例も、「知り合ったばかりの人」「確実にもうかるという話」「出金の際の追加の支払い」「秘密の情報を求められる」といった特徴を含んでいます。これらのどれか一つでも当てはまったら、立ち止まって確かめる必要があります。
正規の業者を見分ける方法
暗号資産の取引をするなら、正規の業者を使うことが何より大切です。
自分で調べる手間を惜しまないことが、最大の防御になります。勧誘された業者の名前で検索し、注意喚起や被害の報告がないかも確かめましょう。
正規の業者を使っていれば、少なくとも業者に預けたお金を持ち逃げされる危険は小さくなります。登録を受けた業者は、利用者の財産を自社の財産と分けて管理することが義務づけられているからです。
国の登録を確認する
日本で暗号資産の売買や交換の仲介をするには、国の登録を受けなければなりません。登録を受けた業者は、金融庁のサイトで公表されています。勧誘してきた業者や、使うように言われた取引所が、この一覧に載っているかを必ず確かめてください。載っていない業者は、無登録で営業している違法な業者です。
アプリの名前にも注意
詐欺に使われる取引アプリは、実在する有名な取引所とよく似た名前やロゴを使っていることがあります。名前が似ているからといって、同じ会社とは限りません。公式のサイトから、正しいアプリを確かめてから入れるようにしましょう。
登録業者でも取扱いのない銘柄
国内の登録業者が取り扱う暗号資産の種類は、審査を経たものに限られています。「国内の取引所では買えない特別な銘柄」を勧められたら、詐欺の可能性を疑ってください。
海外の業者の場合
海外の取引所の中には、日本の登録を受けずに、日本の利用者に向けて勧誘しているところがあります。金融庁は、こうした業者に警告を出し、その名前を公表しています。海外の業者は、トラブルが起きても日本の法律による保護を受けにくいため、利用は避けたほうが安全です。
日本語のサイトでも安心できない
詐欺の取引所のサイトやアプリは、自然な日本語で作られていることもあります。日本語の案内や、日本の会社のような名前があるからといって、国内の登録業者とは限りません。所在地や運営会社の情報が曖昧なサイトは、利用を避けましょう。
利回りの約束を疑う
正規の交換業者は、暗号資産の値上がりを約束することはありません。価格は市場で決まるもので、誰にも確実な予想はできないからです。「毎月何パーセントの利益を保証」「元本は守られる」と約束する業者は、それだけで信用できません。
見分けるチェックポイント
- 金融庁の登録業者の一覧に載っているか
- 金融庁の警告の対象になっていないか
- アプリは公式のストアから入れたものか
- 入金先が個人名義の口座になっていないか
- 知り合ったばかりの人から勧められたものではないか
暗号資産をめぐる法律と2026年の改正
暗号資産を扱う業者は、これまで資金決済法で規制されてきました。この枠組みが、2026年の法改正で大きく変わります。
法律の変わり目は、制度の隙を突く詐欺が現れやすい時期でもあります。「法改正で今だけ特別な投資ができる」といった勧誘には注意してください。
これまでの規制
資金決済法は、暗号資産を決済の手段として位置づけ、交換業者に登録や利用者の財産の分別管理などを義務づけてきました。登録を受けずに暗号資産の交換業を営むことは禁じられ、違反には刑事罰があります。
無登録の業者への罰則
登録を受けずに暗号資産の交換業を営んだ者には、拘禁刑や罰金が科されます。海外の業者であっても、日本の利用者に向けて無登録で勧誘すれば、日本の法律に違反することになります。無登録の業者と取引すること自体が、大きな危険をはらんでいると考えてください。
金融商品取引法への移管
2026年7月15日、暗号資産を金融商品取引法の規制の対象とする改正法が成立しました。暗号資産は、支払いの手段というより投資の対象として保有されている実態を踏まえ、株式などと同じように投資家を保護する枠組みで規制されることになります。発行や取引の際の情報の開示、業者への規制の強化、インサイダー取引の規制の導入などが盛り込まれ、2026年から2027年にかけて段階的に施行される予定です。
| 項目 | 改正前 | 改正後(施行後) |
|---|---|---|
| 主な規制の法律 | 資金決済法 | 金融商品取引法 |
| 位置づけ | 決済の手段 | 投資の対象となる金融商品 |
| インサイダー取引 | 規制なし | 規制の対象 |
| 情報の開示 | 限定的 | 発行時や発行後の情報の公表を義務化 |
改正で利用者が気をつけること
法改正によって規制は厳しくなりますが、施行までには時間がかかります。また、どれほど規制を強めても、はじめから違法に営業する詐欺の業者はなくなりません。法律の枠組みが変わっても、登録の有無を自分で確かめるという基本は変わりません。
改正の内容は、今後定められる政令や規則によって細かい部分が決まっていきます。金融庁の発表を確認しておくとよいでしょう。
詐欺そのものへの罰則
暗号資産を使った詐欺は、刑法の詐欺罪にあたります。無登録で暗号資産の取引の仲介をしたり、うその説明で勧誘したりする行為も、業法の違反として処罰の対象です。法改正によって、業者への罰則も強化されます。
だまされたと気づいたときの対応
詐欺に気づいた瞬間から、損失を増やさないための動きを始めましょう。
- それ以上の入金や送金を、どんな理由を言われても止める
- 取引アプリの画面、相手とのやり取り、送金の記録を保存する
- 国内の交換業者を使った場合は、その業者に被害を伝える
- 銀行から振り込んで入金していたら、受け取った側の銀行に口座を止めてもらう
- 警察署へ行き、被害を申告する
- 消費生活センターか弁護士の意見を聞く
相手に詐欺だと気づいたことを悟られると、相手はアカウントを消したり、資金を移したりします。記録の保存と各所への連絡を済ませるまでは、相手とのやり取りを急に断たないほうがよい場合もあります。
保存しておく記録
| 記録 | 内容 |
|---|---|
| 取引画面 | 偽の取引アプリやサイトの画面、アドレス |
| 送金の記録 | 送金した日時、金額、送金先のアドレス、取引の識別番号 |
| やり取り | 勧誘した相手とのメッセージ、投資グループの画面 |
| 振込の記録 | 銀行振込で入金した場合の振込の明細 |
相手の情報も記録する
勧誘してきた相手のアカウント名、プロフィールの画面、電話番号やメッセージアプリのIDなども、できるだけ記録しておきましょう。同じ相手による被害がほかにもあれば、捜査の手がかりになります。
交換業者に伝えること
国内の交換業者から送金した場合は、その業者の問い合わせ窓口に、詐欺の被害に遭ったこと、送金した日時と額、送金先のアドレスを伝えます。伝えられた情報をもとに、そのアドレスへの送金に警告を出したり、ほかの利用者の送金を止めたりする業者もあります。
送金先のアドレスの記録が重要
暗号資産の送金は、ブロックチェーン上にすべて記録されています。送金先のアドレスや取引の識別番号が分かれば、その後にお金がどこへ移されたかを追跡することができます。捜査や回収の手がかりになるため、必ず控えておいてください。
暗号資産の詐欺の被害者を狙って、「専門の技術で暗号資産を取り戻せます」とうたう業者が現れます。高額な調査費や着手金を払わせた後、連絡が取れなくなる二次被害が多発しています。弁護士を名乗る場合も、弁護士会の名簿で実在するかを確認してください。
取り戻すための方法と限界
暗号資産の詐欺で失ったお金を取り戻すのは、ほかの詐欺と比べても難しいのが実情です。それでも、状況によっては回収の道が残されています。
回収の可能性は、お金をどのように動かしたかによって大きく変わります。
銀行振込で入金した場合
偽の取引所への入金を、指定された銀行口座への振込で行った場合は、振り込め詐欺救済法の手続きが使える可能性があります。振込先の口座を早く凍結できれば、残っているお金が被害者に分配されます。
クレジットカードで購入した場合
偽の取引所でクレジットカードを使って入金した場合は、カード会社に相談してください。事情によっては、カード会社を通じて支払いの取消しを求められることがあります。できるだけ早く連絡することが肝心です。
暗号資産で送金した場合
暗号資産そのものを送ってしまったときは、振り込め詐欺救済法の仕組みは使えません。送金先のアドレスが、国内外の交換業者の口座につながっていれば、その業者に協力を求めて凍結できることもあります。しかし、犯人が個人管理の財布に移していたり、海外の業者を経由していたりすると、回収は極めて困難になります。
警察への届出の意味
暗号資産の詐欺でも、警察への届出は欠かせません。捜査の中で、送金先の業者に情報の提供を求めたり、犯人の口座を押さえたりすることがあります。届け出た記録は、交換業者や銀行への協力の依頼にも役立ちます。
海外の業者への協力の依頼
送金先が海外の交換業者だと分かった場合、その業者に口座の凍結を求めることもあります。ただ、日本の法律の手続きが及ばないため、協力が得られるかどうかは業者次第です。現地の法律の手続きが必要になると、費用も時間も大きくかかります。
いずれの方法でも、被害に気づいてからの時間が短いほど、回収の見込みは高くなります。
国内の交換業者の責任
国内の交換業者を経由して送金した場合、その業者に責任を問えるかという相談もあります。業者は、不審な取引を見つける体制を整える義務を負っていますが、利用者が自分の意思で送金した場合に、業者に賠償を求めるのは一般に難しいといえます。
追跡の技術と限界
ブロックチェーンの記録を分析して、暗号資産の流れを追う技術は進んでいます。警察や一部の専門家は、こうした分析で犯人の手がかりを得ることがあります。ただし、追跡できることと、実際に取り戻せることは別の話です。流れを追えても、最終的に海外の業者や個人の財布に移されていれば、回収には高い壁があります。
回収が難しい分野だからこそ、被害を届け出て、記録を残し、できる手を尽くしておくことが、後の可能性をつなぎます。
犯人への損害賠償
犯人や、口座を提供した人物が特定されれば、損害賠償を請求できます。刑事事件として摘発された場合は、没収された財産から被害の回復を受けられる制度もあります。
被害を防ぐためにできること
暗号資産の詐欺を防ぐには、いくつかの原則を守ることが大切です。
- SNSやマッチングアプリで知り合った人から勧められた投資はしない
- 「必ずもうかる」「元本保証」という話は信じない
- 国の登録を受けた業者だけを使う
- 取引所のログイン情報や、財布の秘密の鍵を誰にも教えない
- 仕組みを理解できない投資にはお金を出さない
パスワードや認証の設定
交換業者の口座は、ログインのたびに確認のコードを求める設定にしておきましょう。取引所のパスワードは、ほかのサービスと使い回さないことが基本です。フィッシングで取引所のログイン情報を盗まれると、保有している暗号資産を勝手に送金されるおそれがあります。
暗号資産に投資するなら、なくなっても生活に困らない範囲のお金にとどめることも、身を守るうえで大切な考え方です。
家族に話してから決める
投資を始める前に、家族や信頼できる人に話してみてください。第三者の目から見れば、話の不自然さにすぐ気づけることがあります。詐欺の犯人は、家族に相談させないよう仕向けてきます。相談を嫌がる相手からの勧誘は、それだけで疑う理由になります。
少額から始める誘いにも注意
「まずは1万円からでも大丈夫」と、少額から始めるよう勧めてくるのも、よくある手口です。少額で利益を体験させ、信用させてから大きな額を入れさせます。少額だから安心、ということはありません。
無料配布やエアドロップの誘い
「新しい暗号資産を無料で配布中」「受け取るにはウォレットを接続してください」という誘いにも注意が必要です。接続した途端、ウォレットの中身を勝手に動かす許可を与えてしまい、保有していた暗号資産を抜き取られることがあります。見知らぬサイトにウォレットをつなぐのは避けましょう。
秘密の鍵の管理
暗号資産を自分で管理する財布を使う場合、秘密の鍵や復元のための言葉は、財布の中身を動かすための合鍵のようなものです。これを他人に知られると、暗号資産を自由に抜き取られてしまいます。サポートを名乗る人物から尋ねられても、絶対に教えてはいけません。
弁護士に相談するメリット
暗号資産の詐欺の被害の回復は、専門的な知識が必要な分野です。
暗号資産の事案では、仕組みの説明から始めなければならないこともあり、専門的な知識を持つ弁護士を選びましょう。
とくに、被害額が大きい場合や、送金先が国内の業者の口座につながっている場合は、早めの相談で打てる手が広がります。
回収の見込みの判断
弁護士は、入金の方法、送金の流れ、関わった業者などを整理し、回収の見込みがあるかどうかを判断します。見込みが低い場合は、費用をかける前にそのことを伝え、口座の凍結や警察への届出など、お金のかからない手段から試すよう勧めます。
費用の考え方
暗号資産の事案は、回収の見込みが立ちにくいため、費用をかけても取り戻せない可能性があります。相談の段階で、見込みと費用のバランスをよく確認し、納得したうえで依頼するかどうかを決めてください。
被害者の方が暗号資産の仕組みに詳しくなくても、弁護士が状況を整理し、必要な手続きを進めます。
刑事手続きとの連携
犯人が摘発されると、裁判所が犯人から取り上げた財産を被害者に分ける仕組みが使えることもあります。弁護士は、こうした手続きへの参加も含めて、回収の可能性を探ります。
業者や口座の名義人への請求
口座の名義人や、関わった業者が特定できる場合は、損害賠償の請求を進めます。被害者が多数いる場合は、一緒に請求すれば、一人あたりの費用を軽くできる場合もあります。
よくある質問
取引アプリでは利益が出ています。本当に詐欺でしょうか
出金しようとして追加の支払いを求められた、出金を理由をつけて断られた、という状況なら、詐欺の可能性が極めて高いといえます。画面上の利益は、信用させるために作られた数字であることがほとんどです。
SNSの投資グループに誘われました
見知らぬ人から投資のグループに誘われたら、参加しないのが一番です。グループの中で利益の報告をしている参加者は、犯人側の人物であることが多く、信じてはいけません。
少額でも被害を届け出るべきですか
少額でも届け出ておきましょう。同じ相手による被害の情報が集まることで、捜査が動き出すきっかけになります。
「被害金の回収を代行する」という連絡が来ました
被害者の情報を手に入れた別の詐欺の業者である可能性が高いといえます。前払いの費用を求められたら、応じないでください。
暗号資産の送金は取り消せますか
一度送金した暗号資産は、送金した本人の操作で取り消すことはできません。送金先の業者が協力してくれる場合を除き、取り戻すのは難しいのが実情です。
被害を家族に打ち明けにくいのですが
黙っている間に、取り戻そうとして追加の送金を重ねてしまう人もいます。早く打ち明けるほど、被害を小さく抑えられます。家族に話しにくければ、まずは消費生活センターや警察に相談してください。
警察に相談しても取り合ってもらえませんでした
暗号資産の被害は、仕組みの説明が難しく、相談の窓口で十分に伝わらないことがあります。送金の記録や相手とのやり取りを時系列にまとめた資料を用意し、改めて相談してみてください。都道府県の警察のサイバー犯罪の相談窓口に相談する方法もあります。
ステーブルコインなら安全ですか
価格が安定するよう設計された暗号資産であっても、詐欺の相手に送ってしまえば取り戻すのは難しい点に変わりはありません。種類を問わず、送り先が信頼できるかどうかが問題です。
国内の登録業者なら安全ですか
登録を受けた業者を使っていても、そこから詐欺の相手に送金してしまえば、被害は防げません。業者そのものが安全でも、送金先が安全かどうかは別の問題です。
暗号資産の詐欺で失ったお金は税金の計算に使えますか
詐欺で失った損失を、税金の計算で差し引けるかどうかは、状況によって扱いが異なります。個別の事情によるため、税務署や税理士に確認してください。
相手から「凍結を解除するには手数料が必要」と言われています
口座の凍結や解除を理由に、追加の支払いを求めるのは典型的な手口です。払ったところで、引き出しが認められることはまずありません。相手との連絡を断ち、警察か消費生活センターに事情を伝えましょう。
家族が暗号資産の詐欺に遭っているかもしれません
本人が利益が出ていると信じ込んでいる場合、家族の話に耳を傾けないこともあります。まずは勧誘してきた業者の名前を聞き出し、金融庁の登録の一覧や警告の一覧を一緒に確かめてみましょう。