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自己破産後の生活は?仕事・資格制限と復権を解説

この記事で分かること

  • 自己破産をしても会社を解雇されない理由と職場に知られにくい事情
  • 手続き期間中に制限される警備員などの職業と一般職への影響の有無
  • 新たな借入れやクレジットカードが制限される範囲とその期間
  • 賃貸住宅・携帯電話・保険など日常の契約がどうなるか
  • 選挙権・パスポート・戸籍など影響を受けない人生の根幹部分
  • 資格制限が解ける復権の仕組みと信用情報の回復との時期の違い
  • 官報掲載で周囲にバレる可能性と家族や勤務先に知られにくくする工夫

自己破産をしても、会社を解雇されることは原則なく、選挙権やパスポート、戸籍にも影響はありません。影響が出るのは新たな借入れやクレジットカードの利用、警備員など一部の資格制限といった限られた範囲です。資格制限は手続き中の一時的なもので、免責が確定すれば復権により解けます。官報には載りますが、それがきっかけで周囲に知られる可能性は低いといえます。

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自己破産をしたら生活はどう変わるのか

自己破産を考えるとき、「借金は消えるけれど、その後の生活はどうなってしまうのだろう」という不安が頭をよぎる方は多いはずです。仕事を失うのではないか、家を借りられなくなるのではないか、周りに知られて白い目で見られるのではないか――そうした心配で、なかなか一歩を踏み出せずにいる方もいるでしょう。

まず結論をお伝えします。自己破産をしても、これまでの生活が一変して送れなくなる、ということはありません。確かにいくつかの制限や影響はありますが、世間でイメージされているほど大きなものではないのが実情です。むしろ「知らないこと」が不安を大きくしているケースがほとんどです。

不安というのは、正体が分からないときほど大きく膨らむものです。自己破産後の生活についても、「何が起きるか分からない」という状態が、必要以上の恐怖を生んでいることが少なくありません。逆に言えば、何がどう変わり、何が変わらないのかを具体的に知れば、その不安の多くは解消できます。この記事を通じて、その「正体」を一つずつ明らかにしていきましょう。

この記事では、自己破産後の仕事や資格への影響、日常生活で変わること・変わらないこと、そして制限がいつ解けるのかという「復権」の仕組みまで、弁護士の視点から具体的に解説していきます。読み終えるころには、漠然とした不安が、現実的な見通しに変わっているはずです。

世間のイメージと実際は大きく違う

自己破産には、どこか暗いイメージがつきまといます。「人生が終わる」「まともな生活ができなくなる」といった言葉を耳にしたことがあるかもしれません。しかし、それらの多くは誤解か、極端に誇張されたものです。こうしたイメージが独り歩きしている背景には、自己破産という制度が正しく知られていないという事情があります。実際の手続きや、その後の生活がどうなるのかを具体的に知れば、これらのイメージが実態とかけ離れていることが分かるはずです。

実際には、自己破産をしても選挙権はなくなりませんし、戸籍に記録が残ることもありません。会社をクビになることも、原則としてありません。日常の暮らしの大部分は、これまでと変わらず続けられるのです。まずは、こうした事実を知ることから始めましょう。漠然とした不安の正体を一つずつ確かめていけば、必要以上に恐れていたことに気づくはずです。

テレビドラマや古い時代の物語の影響で、「破産者」という言葉に重々しいイメージを抱いている方もいるかもしれません。しかし、現代の自己破産は、経済的に行き詰まった人が生活を立て直すための、ごく普通の法的手続きです。実際に、毎年多くの人がこの手続きを利用して、新しい生活へと踏み出しています。特別な人だけが使う制度ではなく、誰にとっても再起のための選択肢の一つなのです。

そもそも自己破産とはどんな手続きか

生活への影響を見ていく前に、自己破産の基本を確認しておきましょう。自己破産は、支払不能の状態にある人が、裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。免責が認められれば、原則としてすべての借金の支払い義務がゼロになります。返済しきれない借金を抱えた人が、生活を立て直すための最後の手段として法律が用意しているものだと考えるとよいでしょう。手続きの流れや費用の全体像については、こちらの記事で詳しく解説しています。

なお、手続きにかかる費用を準備できるか不安だという方もいるでしょう。費用が払えないときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

仕事への影響はあるのか

自己破産で多くの方が真っ先に心配するのが、仕事への影響です。「破産したら会社にいられなくなるのでは」という不安は切実でしょう。生活の糧である仕事を失うかもしれないとなれば、誰しも不安になるのは当然です。ここを正確に理解しておくことが大切です。

自己破産を理由に解雇されることはない

まず安心してほしいのは、自己破産をしたことを理由に会社から解雇されることは、原則としてないという点です。自己破産は法律で認められた正当な手続きであり、それを理由に従業員を解雇することは、不当解雇として認められないのが一般的です。労働者を守る法律のもとでは、解雇には正当な理由が必要とされます。借金を整理したという私生活上の事情は、業務に直接の支障がない限り、解雇の正当な理由にはなりません。「破産したら即クビ」というイメージは、法律の実際とはかけ離れているのです。

また、会社に自己破産の事実が自動的に通知される仕組みもありません。裁判所から勤務先に連絡がいくことはないため、自分から話さない限り、会社に知られる可能性は高くありません。借金の原因が会社からの借入れであるなど特別な事情がなければ、職場に知られずに手続きを終えることも十分可能です。

「退職金の見込み額を調べるために、会社に問い合わせが行くのではないか」と心配する方もいます。確かに退職金は財産として評価されることがありますが、その確認のために会社へ直接連絡するのではなく、就業規則や退職金規程といった書類で見込み額を示す方法が取られるのが一般的です。会社に破産を知られずに必要な資料をそろえる方法もあるので、この点も弁護士に相談すれば配慮してもらえます。

手続き中に制限される職業がある

ただし、注意が必要な点もあります。自己破産の手続き期間中は、一定の職業に就くことが制限されます。これは特定の資格や立場に限られた話で、すべての仕事が対象になるわけではありません。多くの方が想像するような「どんな仕事もできなくなる」というものではなく、対象はごく限られた職種だけです。自分の職業が含まれていなければ、仕事の面で心配することはほとんどありません。

これらに該当しなければ、手続き中も今までどおり働き続けられます。制限の対象となる代表的な職業を挙げておきましょう。

分類 該当する職業の例
士業 弁護士、司法書士、税理士、公認会計士など
金融・保険関連 保険募集人、貸金業者、証券外務員など
その他 警備員、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者など

たとえば警備員として働いている方は、手続き期間中はその業務に従事できなくなります。もし自分の仕事がこうした制限の対象に当たる場合は、手続きの進め方を含めて、事前に弁護士とよく相談しておく必要があります。一般的な会社員やアルバイト、公務員などは、これらの制限の対象にはなりません。会社員の方であれば、ほとんどのケースで職業上の制限を気にせず手続きを進められます。事務職や営業職、製造業、サービス業など、世の中の多くの仕事は制限の対象外です。自分の仕事がリストにあるかどうかをまず確認し、なければ仕事の面での心配はほぼ不要だと考えてよいでしょう。

なぜこうした職業だけが制限されるのかというと、他人の財産を預かったり、高い信用が求められたりする仕事だからです。たとえば保険募集人や貸金業者は、お金に関わる重要な立場にあります。手続き中という不安定な期間に限って、こうした業務を控えてもらう、というのが制度の趣旨です。裏を返せば、こうした特別な信用が求められる仕事でなければ、制限の対象にはならないということです。自分の仕事が当てはまるか不安な方は、リストを確認したうえで、念のため専門家に確認しておくと安心でしょう。

制限は一時的なもの

念のため補足すると、これらの職業に就いている方でも、自己破産そのものができなくなるわけではありません。あくまで手続きの間だけ業務を控える必要がある、というだけのことです。大切なのは、これらの資格制限はあくまで手続き期間中の一時的なものだということです。後で説明する「復権」によって、免責が確定すれば制限は解けます。一生その職業に就けなくなるわけではありません。よく「破産すると一生その資格が使えなくなる」と誤解されますが、これはまったくの間違いです。制限されるのは手続きをしている間だけで、免責が確定すれば、また同じ仕事に戻れます。資格そのものが剥奪されるわけではない、という点をしっかり理解しておいてください。

制限される期間は、手続きが始まってから免責が確定するまでの数か月程度が一般的です。その間だけ別の業務に回るなどして乗り切れば、制限が解けた後は元の仕事に戻ることができます。自己破産のデメリットや、できる条件・メリットを全体的に知っておきたい方は、こちらの記事もあわせて読んでおくとよいでしょう。

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資格制限が仕事に直結する場合の判断や、免責が認められるかどうかについては、こちらの記事も参考になります。

日常生活で変わること・変わらないこと

仕事以外の日常生活については、どうでしょうか。ここでも、変わる部分と変わらない部分をきちんと分けて理解しておくと、無用な不安を抱かずに済みます。漠然と「いろいろできなくなりそう」と考えていると不安は膨らむ一方ですが、具体的に項目ごとに見ていけば、影響が及ぶのは案外限られた範囲だと分かります。一つずつ確認していきましょう。

新たな借入れやクレジットカードは制限される

もっとも実感する変化が、新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなることです。自己破産をすると、その事実が信用情報機関に登録されます。いわゆるブラックリストの状態で、その間は新規のローンやクレジットカードの審査が通りにくくなります。すでに持っているクレジットカードも、更新のタイミングなどで使えなくなることがあります。これは、カード会社が定期的に利用者の信用情報を確認しているためです。手続きを始めたら、いま使っているカードもいずれ使えなくなると考えておくとよいでしょう。

これは一定期間続きますが、永久ではありません。期間が経過すれば情報は消え、再びカードを作ったりローンを組んだりできるようになります。それまでの間は、現金やデビットカードで生活することになります。最近では、クレジットカードがなくてもデビットカードや電子マネー、プリペイド式の決済手段など、代わりになる支払い方法が充実しています。ネットショッピングや公共料金の支払いも、こうした手段で問題なく行えることがほとんどです。カードが使えない期間も、思っているほど不便を感じずに過ごせるでしょう。信用情報の登録期間や、その後の影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。

賃貸住宅・携帯電話・保険はどうなるか

では、日常に欠かせない契約はどうなるのでしょうか。住む場所、連絡手段、もしものときの備え――どれも生活に直結する大切なものです。一つずつ、気になるものを整理しておきます。

  • 賃貸住宅:今住んでいる家を追い出されることはありません。新たに借りる際も、信用情報を参照しない保証会社や大家であれば契約できることが多いです。ただし、家賃をクレジットカード払いにしている場合などは影響が出ることがあります。
  • 携帯電話:通話やデータ通信の契約は、滞納がなければ継続できます。ただし、端末代金を分割払い(割賦)で購入する場合は、信用情報を参照されるため審査が通りにくくなることがあります。一括購入なら問題ありません。
  • 生命保険:加入中の保険を続けること自体は可能です。ただし、解約返戻金が一定額を超える保険は、手続きの中で処分の対象になることがあります。

このように、日常生活の契約の多くは、工夫すれば継続できたり、新たに結べたりします。「すべての契約ができなくなる」というのは誤解です。クレジットを介する部分にだけ影響が出る、と理解しておくとわかりやすいでしょう。たとえば、携帯電話なら端末を一括で買えば契約できますし、賃貸住宅もクレジット決済以外の方法を選べば借りられることが多いものです。影響が出る部分には、たいてい代わりの手段があります。「あれもこれもできなくなる」と思い込まず、一つずつ確認していけば、生活に必要な契約はほとんど維持できるはずです。

選挙権・パスポート・戸籍は影響なし

一方で、まったく影響を受けないものもたくさんあります。むしろ、生活の基盤に関わる重要な部分ほど、自己破産の影響を受けないと言ってもよいくらいです。誤解されやすい点なので、はっきりさせておきましょう。

自己破産をしても、選挙権や被選挙権が失われることはありません。パスポートの取得や海外旅行も自由にできます。戸籍や住民票に「自己破産した」という記録が残ることもありません。結婚や離婚に直接影響することもなく、子どもの進学や就職に不利になることもありません。これらの「人生の根幹」に関わる部分は、自己破産によって揺らぐことはないのです。

「破産すると選挙に行けなくなる」「パスポートが取れなくなって海外に行けない」といった噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、いずれも事実ではありません。これらは市民としての基本的な権利であり、借金を整理したことで奪われるようなものではないのです。また、子どもが奨学金を借りる際や、就職活動をする際に、親の破産が不利に働くこともありません。家族の将来に影響するのではという心配も、無用だと言えます。

ワンポイントアドバイス
自己破産をしても、選挙権・パスポート・戸籍・住民票には影響がなく、会社を解雇されることも原則ありません。影響が出るのは、新たな借入れやクレジットカードの利用、一部の資格制限など限られた範囲です。日常生活の大部分は、これまでどおり続けられます。

制限が解ける「復権」とは

ここまで何度か「制限は一時的」とお伝えしてきました。その根拠となるのが「復権」という仕組みです。自己破産後の生活を見通すうえで、とても重要なポイントなので、しっかり押さえておきましょう。資格制限を不安に感じている方も、この復権の仕組みを理解すれば、制限が永続的なものではないと安心できるはずです。

復権によって資格制限がなくなる

復権とは、破産手続きによって生じた資格制限などが消滅し、元の状態に戻ることを言います。難しく考える必要はありません。「制限が解除されて、もとどおりになる」ことだと理解すれば十分です。法律用語としては少し堅い響きですが、要するに「破産による不利益から解放されて、普通の状態に戻る」という、ごく当たり前の結果を指しているだけです。手続きが無事に終われば、誰もがこの復権を迎えることになります。

復権にはいくつかのパターンがありますが、もっとも一般的なのは、免責許可の決定が確定したときに、当然に復権するパターンです。つまり、免責が認められれば、特別な手続きをしなくても自動的に復権し、警備員などの資格制限も解けます。多くの方は、この形で復権を迎えることになります。

「復権するために、何か特別な申請をしなければいけないのでは」と身構える必要はありません。免責が認められれば、その効果として自動的に復権するからです。自分で役所に手続きに行ったり、書類を出したりする手間はかかりません。免責の確定とともに、制限のない元の状態に戻れる――そう理解しておけば十分です。

復権するとどうなるか

復権すると、手続き中に制限されていた職業に再び就けるようになります。資格を使う仕事をしていた方も、復権後は何の制約もなく元の業務に戻ることができます。たとえば、手続き中は警備の仕事を一時的に離れていた方も、復権後はまた警備員として働けるようになります。資格や免許そのものが取り消されるわけではないので、制限が解ければ、ブランクなく元の働き方に戻れるのです。この点を知っておくと、手続き中の一時的な制限も、過度に重く受け止めずに済むでしょう。

注意したいのは、復権と信用情報の回復は別物だという点です。復権によって資格制限は解けますが、信用情報機関への登録は復権後もしばらく残ります。つまり、職業の制限はなくなっても、新たな借入れがすぐにできるようになるわけではありません。この二つは時期がずれる、と覚えておくとよいでしょう。混同しやすいところですが、「復権=すべてが元どおり」ではない点に注意が必要です。資格制限が解けるタイミングと、ローンやカードが再び使えるようになるタイミングは別々にやってくる、とイメージしておくと混乱しません。

復権で元の生活に戻れる
免責許可の決定が確定すれば、当然に復権し、手続き中の資格制限は解けます。特別な手続きは不要です。ただし信用情報の登録は復権後もしばらく残るため、資格制限の解除と借入れの再開は時期が異なる点に注意しましょう。

周囲に知られずに再スタートを切るために

「自己破産が家族や周りの人に知られてしまうのではないか」という不安も、よく聞かれます。借金の整理は、できることなら誰にも知られずに済ませたい――そう願う気持ちは自然なものです。再スタートを気持ちよく切るためにも、この点を整理しておきましょう。

官報には載るが日常で見られることは少ない

自己破産をすると、国が発行する「官報」という機関紙に、氏名や住所が掲載されます。「公表されてしまうのか」と不安になるかもしれませんが、官報を日常的に読んでいる人はごく限られています。一般の方が、知人の破産を官報で偶然知る、ということはまずありません。そもそも官報という存在自体を知らない人も多く、書店やコンビニで気軽に手に取るようなものでもありません。インターネット版もありますが、わざわざ特定の個人を探して閲覧する人はまれです。掲載されるという一点だけを取り出して過度に恐れる必要はない、というのが実情です。

つまり、官報に載ること自体は事実ですが、それがきっかけで周囲にバレる可能性は実際にはかなり低いのです。過度に心配する必要はないでしょう。

官報は、主に国の制度や手続きを公的に知らせるための媒体で、購読しているのは官公庁や一部の専門業者などに限られます。近所の人や職場の同僚が、たまたま官報をめくってあなたの名前を見つける、といった事態は現実にはほぼ起こりません。掲載されるという事実だけを切り取って不安をあおる情報もありますが、実態を知れば、それほど恐れることではないと分かるはずです。

家族や勤務先に知られにくくする工夫

とはいえ、同居している家族には、郵便物や手続きの過程で気づかれる可能性があります。完全に隠し通すのが難しい場合もありますが、進め方を工夫することで影響を抑えられることもあります。家族に内緒で進めたい事情がある場合は、最初の相談の段階でその旨を弁護士に伝えておくとよいでしょう。たとえば、弁護士事務所からの郵便物の送り方を工夫したり、連絡を電話やメールに限定したりすることで、家族に気づかれるリスクを下げられることがあります。どこまで配慮できるかはケースによりますが、最初に希望を伝えておけば、それを踏まえた進め方を一緒に考えてもらえます。

勤務先についても、前述のとおり裁判所から会社へ連絡がいくことはありません。自分から話さなければ、職場に知られる可能性は低いと言えます。同僚や上司に知られて働きづらくなる、といった事態を心配する方もいますが、自己破産は私生活上のことであり、職場に報告する義務もありません。借金の悩みや家族への影響については、こちらの記事も参考になります。

自己破産後の生活についてよくある質問

最後に、自己破産後の生活について、よく寄せられる質問にお答えしていきます。気になる項目から読んでみてください。

自己破産すると会社にバレますか

自分から話さない限り、会社に知られる可能性は低いと言えます。裁判所から勤務先へ連絡がいくことはなく、官報を日常的に確認している会社もまれだからです。実際、会社に知られずに手続きを終える方は数多くいます。ただし、給料が差し押さえられている状態だったり、会社からの借入れがあったりする場合は、知られる可能性が出てきます。職場に知られたくない事情がある方は、その点を最初に弁護士へ伝えておくと、知られにくい進め方を考えてもらえます。

転職や再就職に影響はありますか

こちらも安心してください。通常の転職や再就職に、自己破産が影響することはほとんどありません。一般的な企業の採用選考で、応募者が過去に自己破産したかどうかを調べる手段は基本的にないからです。履歴書や面接で自己破産について申告する義務もありません。ただし、警備業や金融関連など、手続き中に資格制限がかかる職種に就く場合は、そのタイミングに注意が必要です。免責が確定して復権すれば、これらの仕事にも問題なく就けます。なお、過去に自己破産したことがあるという事実は、面接で自分から申告する必要はありません。聞かれてもいないことを正直に話して不利になる必要はないのです。あくまで私生活上の事情として、胸の内にしまっておいて差し支えありません。

家族に影響はありますか

これも多くの方が気にする点です。自己破産は本人だけの手続きなので、家族が法的に不利益を受けることは原則ありません。配偶者や子どもの信用情報に傷がつくこともなく、子どもの進学や就職に影響することもありません。家族が連帯保証人になっていない限り、本人の借金の返済を家族が肩代わりする義務もありません。ただし、同居している家族には手続きの過程で気づかれる可能性があるため、内緒にしたい場合は進め方の工夫が必要です。注意したいのは、家族が連帯保証人になっている借金がある場合です。この場合、本人が自己破産すると、その返済義務が連帯保証人である家族に移ってしまいます。家族に保証人になってもらっている借金がある方は、その点も含めて早めに相談しておくべきでしょう。

もう一度ローンやカードは使えるようになりますか

結論から言えば、はい、また使えるようになります。信用情報機関への登録は一定期間で消えるため、その後は再びローンを組んだりクレジットカードを作ったりできるようになります。登録されている間は現金やデビットカードで生活することになりますが、これは一時的なものです。むしろ、この期間を、借金に頼らない家計を立て直す機会と捉えることもできます。実際、現金中心の生活を続けるうちに、お金の使い方が引き締まり、かえって家計が安定したという声もあります。カードが使えない期間を、ただ不便なものとしてではなく、健全な金銭感覚を取り戻す時間と考えてみるのもよいでしょう。

自己破産後の生活が不安なら弁護士に相談を

ここまで、自己破産後の生活について、仕事や資格への影響、日常生活の変化、そして復権の仕組みまで見てきました。振り返ると、自己破産をしても解雇されることは原則なく、選挙権や戸籍にも影響がないこと、資格制限は一時的で復権により解けること、そして影響が出るのは主に新たな借入れの部分に限られること、この三つが大きなポイントでした。こうして整理してみると、自己破産後の生活は、世間でイメージされているほど厳しいものではないと分かっていただけたのではないでしょうか。

強調しておきたいのは、自己破産は「人生の終わり」ではなく「再スタートの始まり」だということです。確かに一定の制限はありますが、その多くは一時的なもので、しかも事前に対策できるものばかりです。返しきれない借金を抱えたまま苦しみ続けるより、いったん整理して、新しい生活に踏み出すほうが、ずっと前向きな選択になることも少なくありません。借金の督促に追われ、夜も眠れず、家族にも言い出せずに一人で抱え込む――そんな日々から抜け出すための手段が、自己破産なのです。制度を正しく使えば、生活を立て直し、また前を向いて歩いていけます。

自己破産後の生活に不安があるなら、その不安を一つひとつ具体的に解消するために、弁護士に相談することをおすすめします。自分の仕事は資格制限に当たるのか、家族に知られずに進められるのか、復権後の生活はどうなるのか――こうした疑問は、自分の状況に即して専門家に聞くことで、初めてはっきりした答えが得られます。一般的な情報だけでは、自分のケースに当てはまるかどうかまでは判断しきれません。だからこそ、具体的な状況を見てもらいながら相談することに意味があるのです。一人で不安を抱え込まず、早めに専門家の力を借りて、安心して新しい一歩を踏み出していきましょう。

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