2020/6/12 316view

借金の悩みは弁護士と司法書士どちらに依頼すべき?債務整理方法ごとに解説

この記事で分かること
  1. 司法書士と弁護士には業務範囲に違いがある。
  2. 司法書士に依頼すると、依頼コストを下げられるが、140万円以上の案件は受けられない。
  3. 任意整理は、金額に応じて司法書士・弁護士を選択すべき。
  4. 過払金請求は140万円までなら司法書士に依頼できる。
  5. 特定調停は、自分でもできるが不安な場合は司法書士・弁護士に依頼可能。
  6. 個人再生・自己破産は、全ての手続きを代行してほしい場合は弁護士に依頼すべき。

借金の相談を司法書士にすべきか、弁護士にすべきかは迷いどころです。基本的には、借金総額が少ない場合は司法書士でも大丈夫ですが、借金額が多くなってくると弁護士に相談すべきといえます。また個人再生、自己破産の場合は手続きの煩わしさがあるため、代理人となれる弁護士に相談するのがおすすめです。

借金の債務整理における弁護士と司法書士の違い

借金の悩みで債務整理を検討している方なら債務整理は司法書士と弁護士に相談できることは調べてご存知の方も少なくないでしょう。それでも、いざ実際に借金の相談をするとなると、司法書士・弁護士、どちらに依頼すべきか、選び方の基準は以外と知られていません。

今回は、債務整理手続きにおける司法書士と弁護士、それぞれの業務範囲の違いに注目しつつ、各債務整理方法における司法書士・弁護士依頼のメリット・デメリットを見ていきます。
まず、借金問題における司法書士と弁護士の業務範囲の違いを確認していきましょう。

司法書士ができること

司法書士の主な業務は法律関連書類の作成代行

司法書士とは、司法書士試験に合格した法律家です。
主に扱う業務としては、不動産の登記手続きや、裁判所や法務局などに提出する法的書類の作成・代行などがあります。
昔は書類を専門に扱う職業であることから「代書屋」と言われることもありました。

2003年の法改正以降、司法書士も債務整理手続きが行えるように

2003年の司法書士法改正により、司法書士が取り扱える業務範囲が広がり、簡易裁判所で扱う範囲の法律相談、交渉、訴訟が司法書士の業務として認められました。この法改正以後、法務省の認定を受けた認定司法書士であれば、債務整理全般を取り扱えるようになりました。ただし、法律により、個別債権額が140万円までという限度が設けられています。

140万円までなら司法書士も弁護士同様の債務整理が可能

司法書士は、法改正以前も、個人再生や自己破産の書類作成を通じて債務整理の業務に関わっており、債務整理に関して豊富な経験を持つ司法書士事務所は以前から存在しました。取り扱える範囲でさえあれば、弁護士と司法書士で行える債務整理自体に違いはまったくありません。

ただし、債権額140万円というしばりがあることから、数百万円にのぼる借金の債務整理はそもそも依頼することができません。複数社からの借り入れによる多重債務、家や車など高価な保有財産があるケースなど、複雑さをともなう債務整理については弁護士に任せる方が安心といえるでしょう。

弁護士ができること

弁護士は、司法試験に合格し、司法修習を終え弁護士免許を保有する人のことを指します。
弁護士の業務範囲は、法律書類の作成に止まりません。法律問題などのトラブルに対し、アドバイスや解決のためのサポートを行います。
依頼人の代理人として交渉し、問題を解決することもあるでしょう。また、裁判所に行って、本人の代理人として法的主張をすることができるのも弁護士の大きな役割の1つです。

弁護士にできる法律案件に制限はない

債務整理の場合も全ての問題を扱うことができます。司法書士の場合は個別の借金額が140万円までという限度がありますが、このような制限も弁護士にはありません。また司法書士のように簡易裁判所の訴訟に制限されることもありませんし、複雑な法律問題などにも対処できます。
このように、弁護士は基本的に制限なく法律問題を扱うことができるため、複雑な問題や借金総額が大きいような案件の場合には弁護士に相談すべきといえます。

ワンポイントアドバイス
弁護士と司法書士では、元々最初に受ける試験が異なるため、業務範囲にも違いが出てきています。弁護士と司法書士では業務範囲が被っていることもありますが、弁護士ができる範囲の業務の一部を司法書士でもできると覚えておくとわかりやすいかもしれません。

司法書士が行える債務整理の手続き

司法書士ができる債務整理の手続きとしてはどのようなものがあるのでしょうか? 債務整理のそれぞれの種類についてできることをご説明します。

任意整理・過払金請求

債務整理の案件において、主に司法書士が取り扱っている種類の手続きといえば任意整理過払金請求です。
テレビのCMなどでもご覧になったことがある方も少なくないかもしれません。任意整理といえば「司法書士」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。

イメージ通り、司法書士は任意整理や過払金請求を取り扱うことが可能です。個人の借金であれば多くのケースでは司法書士が十分に役割を果たし、債権者と交渉を行ってくれるでしょう。もっとも、司法書士の場合は金額が高価になる大型案件は向いていません。

司法書士は140万円を超える案件は取り扱えない

個別の債権額が140万円を超える場合には、取り扱いができないためです。
仮に手続きの途中で140万円以上の過払金が発生するなどが分かった場合には、提携する弁護士に手続きを移行するなどの作業が行われます。
少額の借金を複数しているケースを司法書士が取り扱うことは可能ですが、金額が大きくなると取り扱えない場合もあると覚えておいてください。

特定調停

特定調停も司法書士が取り扱うことができる債務整理手続きの1つです。
もっとも、特定調停の場合は、多くの場合ご本人が手続きを進めることが前提の手続きです。

必要があれば司法書士が手続きをサポート可能

調停では、債権者と一対一で交渉するわけではなく中立の立場に立つ調停委員がついているため、それほど大きな問題が生じるとは考えられません。
しかし、債権者と対峙することに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
またご自身で裁判所の申し立て手続きを行うことに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。

この場合は司法書士にサポートをお願いすることも可能ですので、一度相談されてみても良いのではないでしょうか。

個人再生・自己破産

個人再生、自己破産は裁判所に債務の減額・免除を申し立てる手続きが必要となります。
司法書士に個人再生・自己破産の申し立てのサポートをお願いすることはできますが、代理人となって申立て手続きをすることはできません。
つまり、書類作成などは司法書士が一緒に手伝ってくれますが、最終的な裁判所への申し立ては自分で行う必要があるということです。

本人申立てのサポートは司法書士にお願いすべき

また、個人再生、自己破産の場合は債務額が多いことが一般的です。1つの案件につき140万円を超える場合は、取り扱うことができませんのでこの場合は弁護士が必要となります。
個人再生、自己破産につき基本的には自分で行おうと思っているものの、専門家のサポートも要所要所で欲しいという方は、司法書士にサポートをお願いできると考えるのが良いでしょう。

ワンポイントアドバイス
司法書士の場合は、弁護士と異なり一定の制限があります。そのため、手続き全てを任せたい方には向いていないかもしれません。自分で勉強しながら、難しい場面でサポートをお願いしたい場合や少額の任意整理・過払金請求の場合は、司法書士で十分に役割を果たしてもらえます。

司法書士に借金の債務整理を依頼するメリットとデメリット

司法書士に債務整理を依頼する場合は一定の制限がありますが、これ以外にもデメリットはあるのでしょうか? 司法書士に依頼する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

司法書士に依頼するメリット

司法書士に債務整理を依頼すると制限があるため「メリットが少ないのでは?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、きちんと理解して司法書士に依頼すればきちんとメリットを受け取ることができます。例えば、司法書士に債務整理を依頼する場合、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 弁護士により依頼コストがかからない
  • 140万円までの案件なら問題なく解決してもらえる

以下、内容を詳しく見ていきましょう。

弁護士より依頼コストがかからない

一般的に、弁護士に依頼するよりも、司法書士に依頼する方がコストがかからないと言われています。これは、先にご紹介したできる業務範囲の違いから費用に差が生まれていることが理由です。

弁護士に依頼するのと司法書士に依頼するのとでは、十万円以上の差が生まれることも少なくないため、司法書士で事が足りるケースの場合は司法書士に依頼すべきといえるかもしれません。できるだけ手続きにかかるコストを下げたい方には司法書士がお勧めです。

140万円以内なら問題なく解決してもらえる

司法書士に案件を依頼した場合、一番の問題になるのは140万円の壁です。これを理解していない方がコストだけで見て司法書士に依頼すると、後で弁護士に引き継がなければいけないなどの手間が生じトラブルになることがあるのです。

しかし、司法書士が訴訟を行えるのが簡易裁判所のみであり、140万円を超える案件を受けられないことさえわかっていれば、司法書士に相談しても特にトラブルになるようなことは通常ないといえます。任意整理、過払金請求だけでなく、自己破産や個人再生の申立書作成なども問題なくお願いできるのです。

司法書士に依頼するデメリット

では、司法書士に債務整理を依頼するデメリットにはどのような内容があるのでしょうか? 以下、司法書士に依頼するデメリットです。

  • 個別の借金が140万円以上の案件は取り扱えない
  • 自分でしなければいけない手続きが増える
  • 返還される過払金も140万円の限度がある

以下、内容を詳しく見ていきましょう。

個別の借金が140万円以上の案件は取り扱えない

まず、何度も取り上げている140万円の問題です。司法書士の場合、個別の借金額が140万円を超える場合には、交渉権、訴訟代理権を持ちません。例えば、A貸金業者から120万円、b貸金業者から130万円を借りていて、両者を任意整理したいと思った場合は合計額が250万円となりますが、この場合は司法書士でも交渉を進めていくことが可能です。

しかし、A貸金業者から145万円、b貸金業者から10万円を借りている場合、合計が155万円となり借金総額は少なくなりますが、この場合でもA業者だけで140万円を超えているため司法書士には依頼することができないのです。司法書士に依頼する場合は、債務整理する借金の額に注意すべきです。

自分でしなければいけない手続きが増える

司法書士が訴訟代理となれるのは簡易裁判所のみです。個人再生や自己破産の場合は、地方裁判所にて申し立てをしなければいけないため、申立て手続きは自分で行わなければいけません。つまり、弁護士に依頼するよりも手間がかかる場合があるということです。

司法書士は個人再生や自己破産の書類作成をサポートしてくれますが、代理人にはなれないという問題があるため、どうしても自分で手続きする内容が増えてしまいます。

返還される過払金も140万円の限度がある

過払金請求を司法書士にお願いする人も多いでしょう。任意整理とセットで手続きを進めていくのは一般的によくあります。しかし、返還される額にも注意が必要です。過払金が140万円以上発生している場合には、司法書士が代理交渉することができません。この場合は別途弁護士に相談する必要があるのです。

司法書士には依頼する前に過払金がいくらくらいになりそうか聞いておく必要があるでしょう。

ワンポイントアドバイス
司法書士に依頼すればコストが下がる分、手続き上の制限があります。コストを下げつつ賢く法律家を利用したい場合は、ご自身である程度勉強しておく必要があるでしょう。任意整理・過払金請求は司法書士に依頼する人も多いですが、債務の額や過払金の額に注意しましょう。

弁護士・司法書士どっちが最適?債務整理の方法別で比較

ここまで弁護士の業務範囲や司法書士にできる債務整理手続きなどを見てきましたが、結局どっちが良いの?と疑問を感じた方もいらっしゃるでしょう。そこで、債務整理の種類別に司法書士・弁護士それぞれに依頼した場合にどのような差が出るのかをご説明いたします。

任意整理を依頼した場合

任意整理とは、債務整理したい債務をご自身で選び、その利率を法定利率に引き直すことにより、債務全体の総額を減額する手続きです。裁判所に申し立て手続きをする必要がないことやご自身で債務整理する貸金業者を選べることが特徴です。
司法書士に任意整理を依頼すると、交渉から最終的な合意まで手続きを任せられます。
裁判所での手続きがないため、債権者との交渉を主に任せることになるでしょう。交渉の結果、合意に至った場合にはそれを書類に書き起こしてもらい、減額された金額での返済が始まります。司法書士に依頼する場合は、140万円を超える債務額の場合には依頼を断られることもあるでしょう。あるいは提携する弁護士に引き継ぐということも考えられます。

弁護士なら債務額の制限なく依頼できる

他方、弁護士に依頼した場合には、金額に制限なく案件を引き受けてもらえます。債権者との交渉から最終的な合意文書まで弁護士に任せておけば安心です。
金額を気にすることなく依頼できるため、知識がない場合でも安心して任せることが利点といえます。

過払い金請求を依頼した場合

過払金請求は、これまで貸金業者に法定金利を超えて払いすぎていた利息を返還してもらえる手続きです。
過払金請求を司法書士に依頼した場合、まずは受任通知が債権者に送付されます。その後、過払金の金額を計算し、債権者に対し過払い金返還請求を行います。
このとき、140万円を超える過払金が発生していることがわかった場合、司法書士は手続きを継続することができません。提携弁護士に案件を繋ぐか、他の弁護士に依頼しなければいけなくなります。

弁護士なら、制限なく早期に過払金を回収できる

 
他方、弁護士に依頼した場合には、140万円の制限もないため、過払金がこれを超える金額でもその後、和解交渉や訴訟に問題なく踏み切ることが可能です。
また弁護士に過払金訴訟を依頼すると、相手方も弁護士をつけなければいけなくなり、費用が嵩む可能性があるため、和解に応じる可能性が高くなります。和解で合意すると、早い段階での返還も叶います。

弁護士は司法書士ではなれない地方裁判所の管轄事件の代理人になることができます。
140万円を超える過払い金の回収のために地方裁判所に訴訟を提訴した場合、弁護士費用がかかるため貸金業者からの早期の返還も期待できます。

>特定調停の場合

 
特定調停は簡易な手続きのため、特に司法書士や弁護士に依頼しなくてもご自身で手続き可能です。もっとも、先にお伝えしたように債権者との交渉に不安がある場合は司法書士にサポートを依頼することも可能です。依頼を受託したら、取引履歴の開示手続きを行い、裁判所に対し申立て手続きを行ってくれます。

貸金業者との協議も司法書士が代行してくれます。過払金が発生していることがわかった場合には、140万円までであれば別途請求が可能です。

弁護士なら、限度額なく過払金請求も依頼できる

 
弁護士に依頼した場合も同様の手続きサポートを得られます。取引履歴開示手続きから調停での協議、また過払金発生が確認された場合には請求することも可能です。司法書士との差としては、140万円の限度額の差がないことです。

個人再生・自己破産の場合

個人再生とは、裁判所に返済計画を提出し、認められた場合に最大で1/5まで債務を減額することができる手続きです。また個人再生の場合は家を残すことができるのが特徴です。

他方、自己破産とは、債務者が抱える全ての債務を免除してもらう裁判所手続きを指します。自分で債務を得無ことはできず、全ての債務が対象になるのが特徴です。

司法書士に依頼した場合、個人再生・自己破産に関する申立て書類の作成を任せることができます。もっとも、代理人にはなれないため司法書士に書類作成を依頼した場合でも、個人再生・自己破産の申立てはご自身で行うことになります。
また手続きの中には、裁判官との面談が行われることがありますが、面談の場に司法書士は同席できません。
司法書士に個人再生・自己破産を依頼する場合は、書面準備を任せられますが、裁判所に出向くのはご自身となることを理解しておかなければいけません。

弁護士なら、手続きを簡略化できる

弁護士に依頼した場合には、書類の作成はもちろん、代理人として申立てを行うことも可能です。裁判官との面談である審尋についても弁護士が同席できます。
また東京地方裁判所では、少額管財事件の場合は弁護士に依頼していれば20万円の予納金で済む措置を実施していますが、司法書士の場合は少額管財が利用できないため50万円程度の予納金がかかります。

さらに、弁護士は代理人となれるため即日面接制度を利用できるため、裁判所の認可が下りるまでのスピードをアップすることができます。

ワンポイントアドバイス
任意整理や過払金請求の場合140万円以下であれば問題はなさそうですが、個人再生、自己破産となると弁護士に相談したほうが手続きを簡略化できるなど、弁護士しか利用できない制度を利用できるというポイントがあります。ご自身がどの債務整理を選ぶかによって司法書士・弁護士を選ぶべきかは変わりますのでまずは債務整理の種類を検討してみてください。

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