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自己破産で借金はゼロになる?手続きの流れと費用を解説

この記事で分かること

  • 自己破産とは何か、どういう条件で認められるかてもらうこと
  • 自己破産のメリット・デメリット(財産没収・職業制限・ブラックリストの詳細)
  • 申立から免責確定までの具体的な手続きの流れと期間それぞれある
  • 裁判所費用・弁護士費用など自己破産にかかるお金の全体像
  • 任意整理・個人再生との違いと、どの方法が自分に向いているか
  • 免責が認められないケースと、申立前に絶対やってはいけないこと

自己破産は、裁判所に「支払い不能」と認められれば借金をすべて免除してもらえる制度です。財産の没収やブラックリストへの登録などデメリットもありますが、生活の再建には最も強力な手段です。手続きの流れ・費用・他の整理方法との違いまで、弁護士の視点から丁寧に解説します。

「毎月の返済が限界で、もう逃げ場がない」——そう感じているなら、この記事はあなたのために書きました。

自己破産という言葉は、どこか重くて怖いイメージを持たれがちです。でも正直に言うと、私が今まで相談を受けてきた方の多くは、自己破産を決断したことで初めて「普通の生活」を取り戻せました。借金返済のために借金を繰り返す日々から、法律の力で完全に抜け出せる。それが自己破産です。

この記事では、自己破産の仕組みから手続きの流れ・費用・注意点まで、弁護士の立場から包み隠さずお伝えします。「自分は自己破産できるのか」「財産は全部取られるのか」「会社にバレないか」——よくある疑問にも、一つひとつ答えていきます。

自己破産とは何か?基本的な仕組みを理解しよう

自己破産とは「支払い不能」を裁判所が認定すること

自己破産とは、裁判所に「支払い不能」であることを認めてもらい、原則としてすべての借金の返済義務を免除してもらう法的な手続きです。正式には「破産手続き」と「免責手続き」という二段階の手続きから成り立っています。

「支払い不能」というのは感覚的な話ではありません。破産法第2条第11項には明確な定義があり、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」とされています。つまり、今だけでなく将来的にも継続して返済できない状態であることが必要です。

借金が数百万円あったとしても、それを十分にまかなえる収入や資産があれば自己破産は認められません。逆に、借金が比較的少なくても収入が著しく少ない場合には認められることがあります。金額の大小ではなく、「返せるかどうか」が判断の基準です。

自己破産できる条件とは

自己破産の申立てができるのは、基本的に以下の条件に当てはまる場合です。

  • 現在、借金の返済が継続的にできない状態にある
  • 将来も返済の見込みが立たない
  • 過去7年以内に免責を受けていない

借金の総額についての法律上の下限はありません。ただし現実的には、弁護士費用や裁判所の費用を考えると、数十万円以下の少額の借金では他の方法の方が適切なこともあります。まず弁護士に相談して、自分のケースで自己破産が最善かどうかを確認するのが先決です。

自己破産で免除される借金・免除されない借金

大事なポイントがあります。自己破産で「すべての借金が消える」と説明しましたが、例外もあります。免除されない(非免責債権と呼ばれる)借金があるのです。

免除される借金の例 免除されない借金の例
消費者金融・カードローン 税金・国民健康保険料
クレジットカードの未払い 養育費・婚姻費用
銀行のカードローン・住宅ローン 悪意で加えた不法行為による損害賠償
友人・知人からの借金 罰金・過料
会社からの借入れ 故意または重過失による人身損害賠償

養育費を抱えている方は特に注意が必要です。元配偶者への養育費は、自己破産後も支払い義務が残ります。税金や社会保険料も同様で、これらは自己破産では消えません。とはいえ、大半の借金は免除されますから、生活の立て直しは格段にしやすくなります。

ワンポイントアドバイス
「住宅ローンがあるから自己破産できない」と思い込んでいる方もいますが、住宅ローンは自己破産で免除される対象です。ただし、担保として設定されている自宅は競売にかけられる可能性があります。「住宅を残しながら借金を整理したい」という場合は、個人再生の住宅ローン特則を検討する余地があります。弁護士に相談すれば、あなたの状況に合った選択肢を示してもらえます。

自己破産のメリットとデメリットを正直に解説する

自己破産には強力なメリットがある一方で、知っておかなければならないデメリットも存在します。ここでは両面を隠さずお伝えします。「デメリットを知らないまま申立てた」という後悔をしないために、しっかり確認してください。

自己破産の最大のメリット:すべての借金が消える

これ以上シンプルな表現はありません。免責許可が確定した瞬間、対象となるすべての借金の返済義務が法律上消滅します。督促の電話が鳴り止み、毎月の返済に追われる生活が終わる。その精神的な解放感は、経験した人にしかわからないほど大きいものです。

また、弁護士に依頼して受任通知を送付した時点から、債権者からの直接の取立ては法律上禁止されます。申立てをする前の段階から、すでに精神的な負担が大幅に軽減されるのです。

自己破産のデメリット①:財産の没収(破産財団)

自己破産では、一定以上の財産は「破産財団」として管理され、債権者への配当に充てられます。つまり、没収されます。

没収される財産の具体的な基準

財産の種類 没収の基準
現金 99万円を超える部分
預貯金 20万円以上
不動産(土地・建物) 名義人のものはすべて対象
自動車 査定額が20万円以上のもの
保険(解約返戻金) 解約返戻金が20万円以上のもの
退職金 見込額の4分の1が160万円を超える場合

手元に残せる「自由財産」とは

没収されるのは「一定以上」の財産です。逆に言えば、手元に残せる財産(自由財産)もあります。99万円以下の現金、生活に必要な家具・家電、20万円未満の預金などは原則として手元に残すことができます。

「すべての財産が取り上げられる」というイメージを持つ方が多いのですが、それは誤りです。生活に必要な最低限のものは守られる仕組みになっています。ただし、自宅は残せないケースがほとんどです。持ち家がある方は、自己破産後の住居について事前に計画しておくことが必要です。

自己破産のデメリット②:ブラックリストとクレジットへの影響

自己破産をすると、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」です。この情報が残っている間は、クレジットカードの新規作成・ローンの借入れ・携帯電話の分割購入などが困難になります。

登録期間の目安は以下の通りです。

  • CIC・JICC:5年程度
  • KSC(全国銀行個人信用情報センター):7年程度

7年というと長く感じるかもしれません。でも冷静に考えてみてください。今の借金を抱えたまま7年間返済に苦しみ続けるのと、自己破産で一度リセットして7年後に完全に自由になるのと、どちらが人生にとってプラスになるでしょうか。

ワンポイントアドバイス
ブラックリスト期間中でも、デビットカードや電子マネーは利用できます。また、賃貸住宅の契約も保証会社の審査次第では可能です。「自己破産したら普通の生活ができない」は思い込みです。ブラックリスト期間中の生活設計についても、弁護士や専門機関に相談するとアドバイスをもらえます。

自己破産のデメリット③:職業制限について

破産手続きが開始してから免責許可の確定までの間(通常半年程度)、就くことができない職業があります。具体的には以下の通りです。

  • 弁護士・司法書士・公認会計士・税理士・行政書士などの士業
  • 宅地建物取引士(宅建士)
  • 生命保険外交員
  • 警備員
  • 質屋・古物商
  • 後見人・保佐人・補助人

重要なのは、これらの制限は免責許可確定後には解除されるという点です。つまり一時的な制限です。半年ほど職が制限されることで生活に支障が出る場合は、事前に弁護士に相談して対策を立てておきましょう。

なお、公務員については法律上の禁止規定はなく、自己破産を理由に解雇されることも原則としてありません。民間企業についても、就業規則に特別な定めがない限り、自己破産を理由とした解雇は認められません。

自己破産のデメリット④:官報への掲載

自己破産手続きが進むと、官報(国の機関誌)に氏名・住所が掲載されます。これを聞いて「全員に知られてしまう!」と心配される方がほとんどです。

現実的に言うと、一般の人が毎日官報を確認することはまずありません。金融機関や一部の企業が業務上確認することはありますが、友人・知人・近所の人がたまたま官報を見て気づく可能性は非常に低いといえます。

連帯保証人への影響を忘れてはいけない

自己破産をすると、あなた自身の返済義務は免除されます。しかし、連帯保証人の責任は消えません。債権者は連帯保証人に対して全額の請求ができます。

家族や友人が連帯保証人になっている場合、その人に多大な迷惑をかけることになります。連帯保証人がいる場合は、自己破産を決断する前に必ずその人に事情を説明し、対応を話し合っておくことが最低限のマナーです。連帯保証人も同時に債務整理を検討する必要が出てくることもあります。

会社や家族にバレることはあるか

多くの方が気にされるのが、職場や家族への情報漏れです。結論から言えば、裁判所から勤務先に通知が行くことは基本的にありません。手続きの中で勤務先が関係する場面はほとんどないのです。

ただし例外があります。勤務先から借入れをしている場合には、その会社も債権者として手続きに組み込まれるため、必然的に会社に知られることになります。また、郵便物の転送措置がとられる管財手続きでは、郵便物の内容によって家族に気づかれる可能性があります。どのケースに当てはまるかは、弁護士と一緒に確認することをお勧めします。

自己破産の手続きの流れと期間

「手続きって何をするのか、全然わからない」という方のために、ステップごとに詳しく説明します。実は、弁護士に依頼すれば自分でやることはほとんどありません。それでも全体の流れを知っておくことで、手続き中の不安が格段に減ります。

必要書類の準備

自己破産手続きには、相当数の書類が必要になります。主なものを挙げると以下の通りです。

  • 破産手続開始及び免責申立書
  • 陳述書(借金の経緯などを説明するもの)
  • 債権者一覧表(借入れ先をすべてリストアップしたもの)
  • 資産目録
  • 住民票
  • 給与明細書・源泉徴収票の写し
  • 市民税・県民税課税証明書
  • 預金通帳の写し(直近2~3年分)
  • 賃貸契約書または不動産登記簿謄本
  • 車検証・自動車査定書(車がある場合)
  • 保険証券・解約返戻金証明書(保険がある場合)
  • 退職金証明書(在職中の場合)

書類の量を見て「こんなに揃えられるか…」と感じた方もいるかもしれません。でも弁護士に依頼すれば、どの書類が必要で、どうやって取得するかを丁寧に案内してもらえます。書類の作成や整理も代行してもらえるので、自分でゼロからやる必要はありません。

破産申立から免責確定までのステップ

STEP1:裁判所への破産申立

すべての書類を準備したら、申立人の住所地を管轄する地方裁判所に「破産申立」を行います。この時点で、申立手数料として収入印紙1,500円が必要です。別途、裁判所ごとに定められた郵便切手代(3,000円〜1万5,000円程度)と予納金(同時廃止の場合は1万〜3万円)を納めます。

弁護士が代理人として申立てる場合、東京地方裁判所などでは申立当日に裁判官と面接を行い、即日で破産手続き開始の決定が出ることもあります。

STEP2:破産の尋問(申立約1ヶ月後)

申立てから約1ヶ月後、裁判所で裁判官による尋問が行われます。主な質問内容は以下のようなものです。

  • どのような経緯で支払い不能に陥ったか
  • 債権者の数と借金の総額
  • 提出した債権者一覧表以外に借入れがないか
  • 財産の状況

弁護士が代理人として依頼を受けている場合は、弁護士が代わりに尋問を受けることができます。自分で裁判所へ行かなくていいケースもありますので、この点も弁護士に確認しましょう。

STEP3:破産手続き開始の決定(尋問後約1週間)

尋問に問題がなければ、約1週間後に裁判所から「破産手続き開始決定」が出されます。この決定が出た段階で、正式に破産手続きがスタートします。

STEP4:同時廃止か管財手続きか

破産手続きには二つのルートがあります。

同時廃止 管財手続き
対象 一定以上の財産がない場合 一定以上の財産がある場合
流れ 破産手続き開始と同時に終了 破産管財人が選任・財産を処分
予納金 1万〜3万円 20万〜150万円(負債額による)
期間 比較的短期間 長期化することもある

個人の自己破産はほとんどの場合、財産が少ないため「同時廃止」になります。管財手続きになるのは主に法人(会社)の破産です。個人でも高額な財産を保有している場合は管財手続きになることがありますが、一般的な生活者であれば同時廃止で進むと考えておいてください。

STEP5:免責尋問(開始決定から約2ヶ月後)

破産手続き開始の決定から約2ヶ月後、「免責手続き」を開始するための尋問が行われます。個人の同時廃止手続きでは、多くの場合形式的な確認にとどまります。弁護士が依頼を受けている場合は同席してもらえます。

STEP6:免責許可決定と確定

免責尋問から約1週間後、裁判所から免責許可決定が出されます。この決定に対して1〜2ヶ月の異議申立期間が設けられており、それが経過すると免責許可が「確定」します。確定した時点で、借金の返済義務は法律上完全に消滅します。

自己破産の手続き期間はどれくらいか

個人の自己破産(同時廃止)の場合、申立てから免責確定までおおよそ半年(6ヶ月)が目安です。管財手続きが必要な場合はさらに長くなることがあります。

半年という期間中は、手続き上さまざまな制限を受けますが、日常生活そのものはほぼ通常通り送れます。仕事も原則として続けられます。「手続き中は何もできない」わけではないので安心してください。

ワンポイントアドバイス
自己破産手続きを自分だけで行うことは法律上不可能ではありません。しかし、書類の量と複雑さは相当なものです。一つでも不備があると手続きが進まず、最悪の場合申立てを却下されることもあります。弁護士に依頼すれば書類の準備・作成はほぼすべて任せられ、尋問への対応もサポートしてもらえます。手続き期間が短縮されるケースもあり、精神的な負担も大きく軽減されます。費用対効果という意味でも、弁護士への依頼は強くお勧めします。

自己破産にかかる費用の全体像

「自己破産したいけど、お金がない」という声はよく聞きます。実際のところ、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。裁判所への支払いと弁護士への支払いに分けて整理します。

裁判所に納める費用(収入印紙・郵便切手・予納金)

費用の種類 金額の目安
申立手数料(収入印紙) 1,500円
郵便切手代 3,000円〜1万5,000円(裁判所・債権者数による)
予納金(同時廃止) 1万〜3万円
予納金(管財手続き) 20万〜150万円(負債額による)

個人の自己破産(同時廃止)の場合、裁判所に納める費用は合計で2万〜5万円程度が一般的です。これだけであれば、用意できる方も多いでしょう。

弁護士費用の相場

弁護士費用は事務所によって異なりますが、おおよその相場は以下の通りです。

  • 相談料:1時間あたり5,000〜1万円(初回無料の事務所も多い)
  • 着手金:25万〜40万円が相場
  • 成功報酬:自己破産では不要とする事務所が多い

合計すると、弁護士費用は30万〜50万円程度になることが多いです。「そんな大金が払えない」という方もいるでしょう。多くの弁護士事務所では分割払いに対応しています。月々1万〜2万円の分割で支払いながら手続きを進めていくことが可能なケースもあります。まず相談してみることが大切です。

費用が払えない場合は法テラスを活用する

それでも費用の準備が難しい場合には、法テラス(日本司法支援センター)の利用を検討しましょう。法テラスは国が設立した公的な機関で、一定の収入・資産要件を満たせば弁護士費用を立替えてもらえます。

立替えてもらった費用は、免責確定後に月々5,000〜1万円ずつ返済していきます。破産手続き中は返済が猶予されることも多く、実質的に手出しゼロで手続きを開始できるケースもあります。収入が少ない方ほど、法テラスの制度は積極的に活用すべきです。利用の流れや条件については、最初に相談する弁護士に確認してください。

ワンポイントアドバイス
法テラスを利用する場合、弁護士を自分で選ぶのではなく、法テラスが紹介した弁護士に依頼することになります。「自分で信頼できる弁護士を探して依頼したい」という場合は、費用の分割払い交渉を直接弁護士事務所と行う方法もあります。どちらが自分に合っているかは、実際に弁護士に相談しながら検討しましょう。

自己破産と他の債務整理方法の比較

借金の整理方法は自己破産だけではありません。「自己破産しかない」と思い込んでいた方でも、状況によっては別の方法の方が適していることがあります。三つの代表的な方法を比較してみましょう。

任意整理との違い

任意整理とは、弁護士を通じて各債権者と個別に交渉し、将来の利息をカットしてもらったり、返済額を減らしたりする方法です。裁判所を使わないため、手続きが比較的シンプルで、財産が没収されることもありません。

ただし、元本そのものを大幅に減らすことは難しく、3〜5年かけて返済を続ける必要があります。借金総額が比較的少なく(目安として300万円以下)、一定の収入がある方に向いています。

個人再生との違い

個人再生とは、裁判所を通じて借金の総額を大幅に減額してもらい(最大で5分の1まで圧縮できる場合があります)、残りを3〜5年で分割返済する方法です。自己破産と違い、自宅を手元に残しながら借金を整理できる「住宅ローン特則」があるのが大きな特徴です。

ただし、一定以上の継続した収入がなければ認められず、また手続きが複雑なため弁護士なしでは難しい方法です。

どの方法を選ぶべきか

状況 向いている方法
借金総額が少なく収入がある 任意整理
自宅を残したい、収入がある 個人再生(住宅ローン特則)
収入がなく/極めて少なく、返済の見込みがない 自己破産
借金がギャンブル・浪費によるもの 自己破産(免責不許可のリスクあり)→弁護士と相談

自己破産は最も強力な手段ですが、必ずしも「最初に選ぶべき手段」ではありません。「自分にはどれが合っているのか」は、弁護士に状況を正直に話してアドバイスをもらうのが一番の近道です。

自己破産手続きで失敗しないための注意点

自己破産は強力な制度ですが、使い方を誤ると免責が認められなかったり、手続きが複雑になったりします。弁護士として「これだけは知っておいてほしい」という注意点を二つお伝えします。

免責が認められないケースとは

自己破産の申立てをしたからといって、必ず免責が許可されるわけではありません。以下のようなケースでは免責不許可になる可能性があります。

  • 浪費・ギャンブルによる借金:パチンコ・競馬・FX等への浪費が主な原因の場合、免責不許可事由に該当します。ただし、弁護士が適切に対処すれば免責が認められるケースも少なくありません。
  • 財産の隠匿・毀損:財産を隠したり、故意に価値を下げたりした場合。
  • 虚偽の債権者一覧表の提出:借入れ先を意図的に漏らす行為。
  • 申立前1年以内の虚偽申告による借入れ:年齢・収入などを偽ってお金を借りた場合。
  • 過去7年以内に免責を受けている:自己破産は何度でもできるわけではありません。

特に、ギャンブルや浪費が原因の場合でも「即座に免責不許可」とはなりません。その後の誠実な対応や弁護士の働きかけによって、裁量免責(裁判所の裁量で免責を認めること)を受けられることもあります。「浪費があるから無理だ」と諦める前に、弁護士に正直に話してみてください。

申立前にやってはいけないこと

自己破産を決意したら、申立て前に次のことは絶対にしてはいけません。これらは後の手続きを非常に困難にします。

  1. 特定の債権者だけに返済する:申立前の一定期間内に、特定の借入先(例えば親族など)にだけ返済することは「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として問題になります。
  2. 財産を家族名義に移す:「財産を守るため」と思ってやりがちですが、これは財産隠匿として免責不許可事由になります。
  3. 新たに借金をする:「どうせ帳消しになるから」と新たな借入れをすることは、詐欺的な行為とみなされ、その部分は免責されない可能性もあります。
  4. クレジットカードで高額な買い物をする:同様の理由で問題になります。

「弁護士に相談しようと決めた瞬間から、財産の動かし方に注意する」——これが最初のルールです。

ワンポイントアドバイス
「ギャンブルで作った借金でも自己破産できますか?」という質問は非常によく受けます。答えは「できる可能性がある」です。ギャンブルは免責不許可事由の一つですが、それは「申立てができない」ではなく「免責が出ないリスクがある」という意味です。弁護士が適切に手続きを進めれば、裁量免責として認められるケースは実際に多くあります。まず正直に弁護士に話してください。隠しても必ずバレます。そして、正直に話した方が確実に良い結果につながります。

自己破産は弁護士に依頼すべき理由

自分で申立てることも可能だが…

法律上、弁護士に頼まずに自分で自己破産の申立て(本人申立て)をすることは可能です。ただし、実際に試みた方の話を聞くと、書類の準備だけで数ヶ月かかり、何度も書き直しになり、精神的に追い詰められたという経験談が後を絶ちません。

自己破産の申立書類は、単なる申請書ではありません。陳述書一つとっても、借金が増えた経緯を時系列で説明し、裁判所が求める形式・内容に整理しなければなりません。慣れていない人にとっては、相当な苦労が伴います。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に自己破産を依頼した場合のメリットをまとめます。

  • 受任通知の送付で取立てが即停止する:弁護士が受任通知を債権者に送ると、その時点から直接の取立て・督促は法律上禁止されます。依頼した日から精神的な苦痛が軽減されます。
  • 書類の準備・作成を全て代行:どの書類が必要か、どう書くかを含めてすべてサポートしてもらえます。
  • 尋問に同席・代理出頭が可能:裁判所での尋問は、弁護士が代わりに受けたり同席したりすることができます。
  • 免責不許可リスクのある案件も対応できる:ギャンブル・浪費が原因でも、弁護士が適切に対応することで免責を得られる可能性が高まります。
  • 手続き全体のスケジュール管理:期日を逃さず、スムーズに手続きが進みます。

費用はかかりますが、弁護士に依頼することで手続きが確実に、かつ短期間で進みます。長期化する本人申立てより、結果的にトータルの精神的・経済的コストが低くなるケースがほとんどです。

まとめ:自己破産は「再出発」のための法律制度

自己破産は、恥ずかしいことでも、人生の終わりでもありません。払いきれない借金を合法的にリセットして、人生を再スタートするための制度です。日本の法律が、「やり直す権利」を保証しているのです。

私がこれまで関わってきた多くの方は、自己破産を終えた後、「もっと早く相談すればよかった」と口を揃えます。悩んでいる時間ほど無駄なものはありません。一人で抱え込まずに、まず弁護士に話を聞いてもらうことから始めてみてください。

確認ポイント 内容
自己破産の条件 支払い不能状態にあること
免除される借金 消費者金融・カードローン等(税金・養育費等は対象外)
手続き期間 個人(同時廃止)でおおよそ半年
費用(裁判所) 同時廃止で合計2万〜5万円程度
費用(弁護士) 30万〜50万円程度(分割払い・法テラス利用可)
ブラックリスト 5〜7年(その後は解除)
職業制限 免責確定まで(確定後は解除)

この記事を読んで「自分も自己破産できるかもしれない」と思ったなら、それは大きな一歩です。次の一歩は、弁護士への相談です。無料相談を行っている事務所も多いので、ぜひ活用してみてください。

自己破産後の生活はどう変わるか

手続きが終わった後のことが心配な方も多いと思います。「本当に普通の生活に戻れるの?」という声をよく聞きます。結論を先に言えば、免責が確定した後は、意外なほど「普通の生活」が送れます。

免責確定後にできること・できないこと

免責が確定した直後からできることと、ブラックリスト期間中は難しいことを整理します。

項目 免責確定後すぐにできる ブラックリスト期間中(5〜7年)は難しい
就職・転職 ○(原則として制限なし)
賃貸住宅の契約 △(保証会社の審査による)
デビットカードの利用
電子マネー・QRコード決済
銀行口座の開設 ○(通常通り可能)
クレジットカードの新規作成 × 難しい(期間終了後は可能)
ローンの借入れ × 難しい(期間終了後は可能)
携帯電話の分割購入 × 難しい(一括払いは可能)

日常生活に最低限必要なものは、ほぼすべて利用できます。クレジットカードが使えないのは不便ですが、デビットカードや電子マネーで代替できます。むしろ、借金地獄から解放された解放感の方が圧倒的に大きいというのが、実際に自己破産した方の声です。

自己破産後に気をつけたいこと

免責が確定したあとは、同じ轍を踏まないための生活設計が重要です。いくつかのポイントを挙げます。

  1. 支出の管理習慣をつける:家計簿や支出管理アプリを使って、毎月の収支を把握する習慣をつけましょう。借金が増えた原因の多くは、支出の管理ができていなかった点にあります。
  2. 緊急用の貯蓄を少しずつ積み立てる:突発的な出費に備えて、月々少額でも積み立てていくことが安心につながります。
  3. ブラックリスト期間中は借入れに頼らない生活設計を:この期間にローンや借金に頼ると、高金利の消費者金融に頼ることになりかねません。生活費はあくまで収入内でやりくりする習慣を身につけることが大切です。
  4. 7年後にクレジットカードを作る際は慎重に:ブラックリストが解除されたからといって、すぐに複数のカードを作るのはリスクがあります。一枚から始めて、管理できる範囲で利用することを心がけましょう。

自己破産はゴールではなく、スタートです。免責が確定した瞬間から、新しい経済生活の第一歩が始まります。その一歩を確かなものにするために、生活設計を立て直す機会として前向きに捉えてほしいと思います。

年金・生活保護への影響はないか

「自己破産したら年金がもらえなくなる?」という心配も、よく耳にします。これは誤解です。自己破産をしても、年金の受給権は何も変わりません。年金は法律上、差押えが禁止されている財産であり、破産財団にも含まれません。

生活保護についても同様です。自己破産を理由に生活保護の受給が打ち切られることはなく、むしろ自己破産後に生活保護を申請することも可能です。借金の重荷を降ろした後に、生活を立て直すための公的支援を受けることは、法律が認めた正当な権利です。遠慮なく活用してください。

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※ 簡易計算です。任意整理は弁護士・司法書士が交渉し将来利息のカット等を行うもので、実際の減額幅は借入先・返済状況により異なります。個人再生・自己破産では更に大きな減額が可能な場合があります。

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