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不動産登記とは?登記簿の見方と相続登記・住所変更の義務化

不動産登記とは?登記簿の見方と相続登記・住所変更の義務化

この記事で分かること

  • 不動産登記は所有権や抵当権、住所や氏名に関するものがある。
  • 不動産登記を専門家に依頼するとお金はかかるが、手間や労力をぐっと減らせる。
  • 専門家に支払う報酬は、登記の種類や財産の評価額により異なる。

素人にはなかなか骨が折れる不動産登記。場合によっては数十万単位でお金がかかることもありますが、いろいろな書類を取り寄せたり、何度も書類を修正したりすることを考えると、手続きを専門家に委ねたほうが気持ちも楽になるのではないでしょうか。

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不動産の権利を守るのは「登記」

親が亡くなって実家を相続したが、名義はまだ親のままになっている。土地を買ったものの、登記の手続きは不動産会社や司法書士に任せきりで、何が書かれているのかよく分からない。住宅ローンを払い終えたのに、抵当権の登記がそのまま残っている。不動産の登記について、こうした状態のままになっている方は少なくありません。

不動産の登記とは、簡単にいえば、土地や建物の所在や面積、所有者、抵当権などの権利を、法務局の登記簿に記録し、誰でも見られるように公開する制度です。登記をしておくことで、自分がその不動産の所有者であることを、第三者に対して主張できるようになります。反対に、登記をしていなければ、たとえ代金を払って買った不動産でも、後から現れた人に権利を奪われてしまうことがあります。

また、近年、登記に関するルールは大きく変わりました。2024年4月からは相続登記が義務化され、2026年4月からは住所や氏名の変更の登記も義務化されています。登記を放置していると、過料の対象になるだけでなく、売却や相続の場面で思わぬ手間がかかることになります。

この記事では、不動産のトラブルの相談を受ける弁護士の立場から、不動産登記の仕組み、登記簿の読み方、登記をしないことのリスク、相続登記と住所変更登記の義務化、登記の手続きと費用、登記をめぐるトラブルまでを説明していきます。

登記は、ふだんの生活ではあまり意識することのない制度かもしれません。けれども、不動産を買う、売る、相続する、担保に入れる、といった場面では、必ず登記が関わってきます。仕組みを知っておけば、専門家に任せる場面でも、何が行われているのかを理解でき、トラブルを避けやすくなります。

不動産登記とは

まずは、登記の基本から確かめておきましょう。不動産登記は、不動産登記法に基づいて、法務局が管理する登記簿に、不動産の物理的な状況と権利関係を記録する制度です。

登記の種類 記録される内容 主な専門家
表示に関する登記 土地の所在、地番、地目、面積。建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積 土地家屋調査士
権利に関する登記 所有権、抵当権、地上権、賃借権などの権利の変動 司法書士

登記所と登記官

登記の事務を扱うのは、法務局やその支局、出張所で、これらを登記所と呼びます。登記の申請は、不動産の所在地を管轄する登記所にしますが、登記事項証明書は、全国どの登記所でも取得できます。申請を受け付けた登記官が、書類を審査したうえで、登記簿に記録します。

登記をする意味|第三者への対抗

登記の最も大切な役割は、ここにあります。民法では、不動産の所有権などの権利を手に入れても、登記をしなければ、第三者に対してその権利を主張できないとされています。これを対抗要件といいます。

たとえば、売主が同じ土地を、二人の買主に売ったとします。この場合、先に代金を払った人ではなく、先に登記をした人が、その土地の所有者として扱われます。登記を後回しにしていると、売主が別の人に売って先に登記をしてしまい、自分は土地を手に入れられなくなるおそれがあるのです。

賃借権と登記

建物を借りている人は、賃借権の登記をしていなくても、建物の引渡しを受けていれば、建物が売られても新しい所有者に借りる権利を主張できます。土地を借りて建物を建てている人は、土地の賃借権の登記がなくても、借地の上の建物を自分の名義で登記していれば、借地権を主張できます。

登記がなくても主張できる場合

登記がなくても、権利を主張できる相手もいます。たとえば、売主本人や、売主の相続人に対しては、登記がなくても所有権を主張できます。また、不法に土地を占拠している人に対しても、登記がなくても明け渡しを求められます。登記が必要になるのは、同じ不動産について、自分と両立しない権利を持つ第三者に対して主張する場面です。

登記を信じても守られないことがある

日本の不動産登記には、公信力がないとされています。登記簿に所有者として記録されている人が、実際には本当の所有者でなかった場合、その人から買っても、原則として所有権を手に入れることはできません。登記簿の記録は大切な手がかりですが、それだけを頼りにせず、売主が本当の所有者かどうかを確かめることが大切です。

登記の申請は誰がするか

権利の登記は、原則として、登記によって利益を受ける人と、不利益を受ける人が共同で申請します。たとえば、売買による所有権の移転の登記は、買主と売主が共同で申請します。相続による登記は、相続人が単独で申請できます。実際には、双方から依頼を受けた司法書士が、書類をそろえて申請することがほとんどです。

登記簿の読み方

自分の不動産の状況を知るには、まず登記簿を見ることから始めます。登記簿の内容は、法務局で登記事項証明書を取得することで確かめられます。登記事項証明書は、所有者でなくても、誰でも取得できます。法務局の窓口のほか、オンラインで請求して郵送で受け取ることもできます。

区分 記録されている内容 確かめたいこと
表題部 土地や建物の物理的な状況(所在、地番、地目、面積、構造など) 所在や面積が実際と一致しているか
権利部(甲区) 所有権に関する事項(所有者の住所と氏名、取得の日と原因) 現在の所有者は誰か、差押えや仮差押えがないか
権利部(乙区) 所有権以外の権利に関する事項(抵当権、根抵当権、地上権、賃借権など) 抵当権の債権額と債権者、ほかの権利がついていないか

共同担保目録

登記事項証明書を請求するときに、共同担保目録の記載を求めると、一つの抵当権が、どの不動産にまとめて設定されているかが分かります。土地と建物に一緒に抵当権が設定されている場合などに、その範囲を確かめられます。金融機関から融資を受けている不動産の状況を把握するのに役立ちます。

取引の前に登記簿を見るべき理由

不動産を買う前や、部屋を借りる前、お金を貸す前には、相手の不動産の登記簿を確かめておくことが大切です。売主が本当に所有者なのか、差押えや多額の抵当権がついていないか、借地や共有ではないかといった点は、登記簿を見ればある程度分かります。不動産会社が用意する資料だけに頼らず、自分でも最新の登記簿を取り寄せておくと安心です。

甲区で確かめること

甲区には、所有権の移り変わりが、古い順に上から記録されています。最も新しい記録が、現在の所有者です。所有権を取得した原因として、「売買」「相続」「贈与」などが書かれています。差押えや仮差押えの登記がある場合も、甲区に記録されます。差押えの登記がついた不動産は、競売にかけられる可能性があるので、取引の前に必ず確かめましょう。

乙区で確かめること

乙区には、抵当権などの所有権以外の権利が記録されています。何も権利がついていなければ、乙区そのものがありません。住宅ローンを組んだ場合は、金融機関の抵当権が記録されています。抵当権の債権額は設定した当初の額なので、実際の借入れの残高とは異なります。下線が引かれた記録は、抹消されたことを示しています。

登記識別情報とは

登記によって新たに所有者などになった人には、登記識別情報という12桁の符号が通知されます。これは、かつての権利証(登記済証)にあたるもので、その不動産を売ったり、担保に入れたりするときに、本人であることを確かめるために使います。登記識別情報は、他人に知られないよう厳重に保管し、紛失しても再発行されないことに注意してください。

そのほかの図面

登記簿のほかに、法務局では、公図、地積測量図、建物図面などの図面も取得できます。土地の形や位置、隣地との関係を確かめるのに役立ちます。

登記事項証明書と登記簿謄本

かつては、登記簿が紙で管理されていて、その写しを登記簿謄本と呼んでいました。現在は、登記簿がコンピュータで管理され、その内容を証明する書面を登記事項証明書と呼びます。呼び名は違いますが、役割は同じです。取引の場面では、今でも「謄本」と呼ばれることがあります。

登記情報の閲覧サービス

証明書としての効力は必要なく、内容を確かめたいだけであれば、インターネットで登記の情報を閲覧できるサービスもあります。手数料は証明書より安く、すぐに内容を確かめられます。不動産の取引の前に、相手の不動産の権利関係をざっと確かめたいときに便利です。

登記をしないことのリスク

不動産を手に入れたのに登記をしないままでいると、さまざまなリスクがあります。登記の手続きには費用がかかりますが、それを惜しんだことで、より大きな損失を招くこともあります。

リスク 内容
権利を失うおそれ 売主が別の人に売って先に登記されると、自分の権利を主張できない
売却や担保設定ができない 登記上の所有者でなければ、不動産を売ったり、担保に入れたりできない
相続が複雑になる 名義が亡くなった人のままだと、次の相続が起きたときに、相続人が増えて話し合いが難しくなる
差押えを受けるおそれ 登記上の所有者の債権者に、不動産を差し押さえられることがある
過料の対象 相続登記や住所変更登記の義務を怠ると、過料を科されることがある

登記をしないままの売買

親族間や知人との間の売買では、代金のやり取りだけをして、登記を後回しにしてしまうことがあります。売主が亡くなったり、借金を抱えて差押えを受けたりすると、買主は所有権を主張することが難しくなります。代金を払ったら、すぐに登記まで済ませることが、自分の権利を守る基本です。

共有名義の不動産

夫婦や兄弟で不動産を共有している場合は、登記簿に共有者全員の名前と、それぞれの持分が記録されます。共有の不動産を売ったり、担保に入れたりするには、共有者全員の同意が必要です。共有者の一人が亡くなって相続登記がされていないと、その相続人全員の同意が必要になり、手続きがさらに複雑になります。

固定資産税との関係

固定資産税は、原則として、毎年1月1日時点で登記簿に所有者として記録されている人に課税されます。登記上の所有者が亡くなっている場合は、相続人に課税されます。相続登記をしていなくても、固定資産税の負担はなくならないので、登記を放置する理由にはなりません。

名義が古いままの不動産

親や祖父母の名義のまま、何代にもわたって相続登記がされていない不動産は珍しくありません。こうした不動産は、相続人が何十人にも増えていることがあり、売ろうとしても、全員の同意を得るのが困難になります。所有者が分からない土地が全国に広がり、公共事業や災害の復旧の妨げになっていることが、相続登記の義務化のきっかけになりました。

相続登記の義務化

登記のルールの中で、ここ数年で最も大きく変わったのが相続登記です。2024年4月1日から、相続登記が義務になりました。

項目 内容
義務を負う人 相続や遺贈によって不動産を取得した相続人
期限 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内
遺産分割がまとまった場合 遺産分割の日から3年以内に、その内容に従った登記をする
違反した場合 正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になる
過去の相続 2024年4月1日より前に起きた相続も対象。2027年3月31日までに登記をする必要がある

「知った日」とは

相続登記の期限の起算点は、相続が始まったことと、自分が不動産を取得したことを知った日です。亡くなった人が遠方に不動産を持っていたことを、後になって知ったような場合は、その知った日から3年以内ということになります。亡くなった人の財産を調べる際には、固定資産税の納税通知書や、市区町村の名寄帳などで、不動産の有無を確かめておきましょう。

遺産分割がまとまらない場合|相続人申告登記

相続人の間で遺産分割の話し合いがまとまらず、期限までに相続登記ができない場合は、相続人申告登記という簡単な手続きで、義務を果たすことができます。自分が相続人であることを法務局に申し出るもので、相続人の一人が単独で申し出ることができ、登録免許税もかかりません。ただし、相続人申告登記は、所有権の登記ではないので、不動産を売るには、あらためて相続登記をする必要があります。

遺言がある場合の登記

遺言で特定の相続人に不動産を相続させるとされている場合は、その相続人が単独で相続登記を申請できます。遺言によって不動産を取得した相続人も、取得を知った日から3年以内に登記をする義務があります。公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言であれば、家庭裁判所の検認を経ずに登記の手続きに使えます。

相続登記をしないまま売れるか

亡くなった人の名義のままでは、不動産を売ることはできません。売るためには、まず相続人の名義に相続登記をしたうえで、買主への所有権の移転の登記をする必要があります。相続した不動産を売る予定がある場合は、売却の準備と並行して、早めに相続登記を進めておきましょう。

相続土地国庫帰属制度

相続した土地が遠方にあって使い道がなく、管理の負担だけがかかる場合は、一定の要件を満たせば、土地を手放して国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度を利用できます。2023年4月から始まった制度で、建物がない、担保が設定されていない、境界がはっきりしているといった要件を満たす必要があり、審査の手数料と、10年分の管理費に相当する負担金を納めます。

相続登記に必要な書類

  • 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を取得する人の住民票
  • 遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書(遺産分割による場合)
  • 遺言書(遺言による場合)
  • 固定資産評価証明書

2024年3月からは、戸籍の広域交付の制度が始まり、本籍地が遠くにあっても、最寄りの市区町村の窓口で、亡くなった人の戸籍をまとめて請求できるようになりました。

住所や氏名の変更登記の義務化

相続登記に続いて、2026年4月1日からは、所有者の住所や氏名が変わった場合の変更登記も義務になりました。

項目 内容
義務を負う人 不動産の所有者(個人・法人)
期限 住所や氏名が変わった日から2年以内
違反した場合 正当な理由なく義務を怠ると、5万円以下の過料の対象になる
過去の変更 2026年4月1日より前に変わったものも対象。2028年3月31日までに登記をする必要がある

法人の場合

会社などの法人が不動産を所有している場合も、本店の移転や商号の変更があれば、変更登記の義務の対象になります。法人については、商業登記の情報と連携して、法務局が職権で変更の登記をする仕組みも設けられています。

住所変更登記を忘れていると困る場面

登記簿の住所が古いままだと、不動産を売るときや、住宅ローンの借り換えをするときに、まず住所の変更登記をしなければならず、手続きが増えます。引越しを何度も重ねていると、住所のつながりを証明するために、住民票の除票や戸籍の附票を取り寄せる必要が出てきます。古い住所の記録が残っていないと、証明が難しくなることもあります。

職権で変更される仕組み

住所の変更登記を忘れる人が多いことから、あらかじめ法務局に氏名、住所、生年月日などを申し出ておけば、住所が変わったときに、法務局が住民基本台帳の情報をもとに、職権で変更の登記をしてくれる仕組みも設けられています。引越しの多い方は、この仕組みを利用すると、手続きの手間を省けます。

ワンポイントアドバイス
住宅ローンを組んで家を買った後に引越しをしていない方でも、結婚などで氏名が変わった場合は、変更登記の義務の対象になります。自分の不動産の登記簿を一度取り寄せて、住所と氏名が今のものと一致しているかを確かめておきましょう。

登記の手続きと費用

最後に、登記の手続きと費用を見ておきます。登記の手続きは、自分で行うこともできますが、多くの場合、司法書士や土地家屋調査士に依頼します。

専門家の使い分け

土地の測量や、建物を新築したときの表題登記など、不動産の物理的な状況に関する登記は、土地家屋調査士に依頼します。所有権の移転や抵当権の設定など、権利に関する登記は、司法書士に依頼します。登記の前提となる権利そのものに争いがある場合、たとえば相続人の間で遺産の分け方がまとまらない場合は、弁護士に相談することになります。

主な登記と登録免許税

登記 登録免許税の税率(原則)
相続による所有権の移転 固定資産税評価額の1,000分の4
売買による所有権の移転 固定資産税評価額の1,000分の20(軽減措置あり)
贈与による所有権の移転 固定資産税評価額の1,000分の20
抵当権の設定 債権額の1,000分の4(軽減措置あり)
抵当権の抹消 不動産1個につき1,000円
住所や氏名の変更 不動産1個につき1,000円

住宅用の家屋や土地の売買などについては、登録免許税を軽くする措置が設けられていることがあります。適用の要件や期限は、法務局や司法書士に確かめてください。

司法書士への報酬

司法書士に登記の手続きを依頼すると、登録免許税のほかに、報酬がかかります。報酬の額は、事務所によって異なり、登記の種類や不動産の数、必要な書類の収集の手間などによって変わります。依頼の前に見積もりを取り、登録免許税などの実費と報酬を分けて確かめておきましょう。

登記の申請に不備があると、登記官から補正を求められたり、申請が却下されたりすることがあります。とくに相続登記では、戸籍の収集が不十分なことによる不備が多く見られます。

建物を新築したときの登記

家を建てた場合にも、登記が必要です。建物を新築したときは、1か月以内に、建物の表題登記を申請する義務があります。これは土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。そのうえで、所有権の保存の登記をし、住宅ローンを組んでいれば抵当権の設定の登記をします。

自分で登記を申請する場合は、法務局のオンライン申請のシステムを使うこともできます。申請書のひな形や記載例は、法務局のウェブサイトで公開されています。

登記の費用を誰が負担するか

売買による所有権の移転の登記の費用は、買主が負担するのが一般的です。一方、売主の住宅ローンの抵当権を抹消する費用や、売主の住所の変更登記の費用は、売主が負担します。相続登記の費用は、不動産を取得する相続人が負担するのが通常ですが、遺産分割の話し合いの中で分担を決めることもあります。

住宅ローンを完済したら

住宅ローンを払い終えると、金融機関から、抵当権の抹消に必要な書類が届きます。抵当権は、ローンを完済しても自動的には消えないので、自分で抹消の登記を申請する必要があります。放置していると、書類の有効期限が切れたり、金融機関が合併して手続きが複雑になったりすることがあるので、早めに手続きを済ませましょう。

登記をめぐるトラブルと対処

登記をめぐっては、次のようなトラブルが起こることがあります。

トラブル 対処の方法
登記の記載が事実と違う 更正の登記で正しい内容に直す
相手が登記の手続きに協力しない 登記の手続きを求める訴訟を起こし、判決に基づいて単独で申請する
古い抵当権が残っている 債権者に抹消の協力を求める。債権者が見つからない場合は、特別な手続きで抹消する
他人の名義を借りて登記していた 本当の所有者であることを示して、名義を戻す手続きをとる
なりすましによる不正な登記 警察に相談し、登記の抹消を求める訴訟を起こす

相手が登記に協力しない場合

不動産を買ったのに、売主が登記の手続きに協力しない場合は、売主に対して、所有権の移転の登記を求める訴訟を起こします。判決で登記の手続きが命じられれば、買主は、その判決を添えて、単独で登記を申請できます。売主が別の人に売ってしまうおそれがある場合は、訴訟の前に、処分禁止の仮処分で不動産を押さえておくことが大切です。

登記の手続きの協力を拒まれている場合、相手に対して、協力しないことによって生じた損害の賠償を求めることも考えられます。ただ、まずは登記を実現することが先決なので、訴訟では、登記の手続きを求める請求を中心に据えることが多いでしょう。

古い抵当権の抹消

明治や大正の時代に設定された抵当権が、抹消されないまま残っていることがあります。こうした休眠担保権は、債権者が亡くなっていたり、会社がなくなっていたりして、抹消の協力を得られないことが多いものです。一定の条件を満たせば、債権額と利息などを供託して、単独で抹消の登記を申請できる制度もあります。

  1. 登記簿で、抵当権の設定の時期、債権者、債権額を確かめる。
  2. 債権者やその相続人を調べ、抹消の協力を求める。
  3. 協力が得られない場合は、訴訟や特別な手続きを検討する。
  4. 司法書士や弁護士に依頼して、抹消の登記を申請する。

仮登記とは

登記簿に「仮登記」と書かれた記録を見かけることがあります。仮登記は、本登記に必要な書類がそろっていない場合などに、将来の本登記の順位を確保しておくための登記です。仮登記がついている不動産を買うと、後で仮登記が本登記に改められたときに、自分の所有権を失うおそれがあります。仮登記がある場合は、その内容を必ず確かめましょう。

なりすましによる不正な登記に注意

所有者になりすまして不動産を売り、代金をだまし取る詐欺が問題になっています。空き地や空き家、長く相続登記がされていない土地が狙われやすいといわれています。自分の不動産の登記簿を定期的に確かめる、法務局の不正登記防止の申出の制度を利用するなど、不正な登記に早く気づくための備えをしておきましょう。

具体例で考える|祖父名義のままの土地を売ろうとしたケース

相続登記を放置した場合に起こりうることを、例で見てみましょう。ある方が、亡くなった父親から、郊外の土地を相続しました。土地を売ろうと不動産会社に相談したところ、登記簿を見ると、名義は父親ではなく、30年以上前に亡くなった祖父のままになっていることが分かりました。

祖父の相続のときに、相続登記がされないまま、父親が亡くなっていたのです。この方は弁護士に相談しました。弁護士が戸籍を調べたところ、祖父の相続人は、父親を含む4人の子で、そのうち2人はすでに亡くなり、その子どもたちが相続人になっていました。祖父の土地について権利を持つ人は、合わせて9人になっていました。

弁護士は、9人の相続人に事情を説明する手紙を送り、土地をこの方が取得すること、売却の代金の一部を他の相続人に支払うことを提案しました。ほとんどの相続人は協力的でしたが、一人は連絡がとれず、住所を調べて何度か手紙を送ったうえで、ようやく同意を得られました。遺産分割協議書に全員の署名と実印の押印をもらい、祖父から父親、父親からこの方への相続登記を済ませて、土地を売ることができました。手続きには、1年近くかかりました。

祖父の相続のときに登記をしていれば、これほどの手間はかからなかったはずです。相続登記の義務化は、こうした事態を防ぐためのものでもあります。

この例では、一人の相続人と連絡がとれなかったことが、手続きを長引かせました。相続人の中に、行方の分からない人や、話し合いに応じない人がいる場合は、家庭裁判所の手続きを使うこともあります。相続人が多い場合は、早めに専門家に相談し、手続きの見通しを立てておくことが大切です。

登記は、不動産という大切な財産を守るための基本的な手続きです。自分の不動産の登記簿を一度取り寄せ、名義、住所、抵当権の状況を確かめておくことから始めてみてください。

不動産登記に関するよくある質問

登記事項証明書は、誰でも取得できますか

誰でも取得できます。所有者でなくても、手数料を払えば、どの不動産の登記事項証明書でも取得できます。取引の相手の不動産の権利関係を確かめたいときにも役立ちます。

相続登記を自分ですることはできますか

自分で申請することもできます。法務局では、相続登記の申請書のひな形や記載例を公開しており、窓口での手続きの案内も受けられます。ただし、相続人が多い場合や、遺産分割がまとまっていない場合は、司法書士や弁護士に相談したほうが確実です。

相続登記の期限に間に合わないと、すぐに過料を科されますか

期限を過ぎても、すぐに過料を科されるわけではありません。法務局から登記をするよう催告され、それでも正当な理由なく登記をしない場合に、過料の手続きがとられる仕組みです。相続人が多く、戸籍の収集に時間がかかるといった事情は、正当な理由として考慮されることがあります。

登記簿の面積と、実際の面積が違います

古い土地では、登記簿の面積と、実際に測量した面積が違うことがよくあります。売却などで正確な面積が必要な場合は、土地家屋調査士に測量を依頼し、地積の更正の登記をすることになります。隣地との境界を確かめる必要もあります。

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