掲載弁護士・法律事務所 2,000以上/全国対応

借地権と底地とは?地代・更新・建て替えのトラブル

借地権と底地とは?地代・更新・建て替えのトラブル

この記事で分かること

  • 土地には、借地権と底地権の2つが付着していることがある
  • どちらか一方が買い取る場合、資産価値は上がるが価格交渉が難航することがある
  • 第三者への売却する場合は、借地人・地主の共同で行えば高値で売却できる。

ひとつの土地に対して複数の権利者がいることで、お互いの思惑の違いからお金や権利をめぐってトラブルになることがあります。実際にトラブルになる前に、権利関係を整理しておきましょう。

不動産トラブルに強い弁護士を探す

借地権と底地、どちらの立場でも悩みは尽きない

親から相続した家が、他人の土地の上に建っていた。地主から地代の値上げを求められたが、応じるべきか分からない。建物を建て替えたいのに、地主が承諾してくれない。反対に、先祖から受け継いだ土地を貸しているが、地代は安く、返してもらえる見込みもなく、相続税だけがかかってくる。借地をめぐる悩みは、借りている側にも、貸している側にもあります。

他人の土地を借りて、その上に自分の建物を建てる権利を借地権といいます。都市部の古くからの住宅地では、今も多くの家が借地の上に建っています。借地権がついた土地の所有権を、底地(そこち)と呼びます。借地権は、法律で強く守られた権利で、いったん土地を貸すと、地主の都合だけで返してもらうことは簡単ではありません。

そのうえ、借地の契約が結ばれた時期によって、適用される法律が違います。1992年8月1日に施行された借地借家法の前に結ばれた契約には、旧借地法のルールが使われ続けています。自分の借地が、いつ、どんな契約で始まったのかを確かめることが、借地の問題を考える出発点です。

この記事では、不動産のトラブルの相談を受ける弁護士の立場から、借地権と底地の基本、借地権の種類と期間、地代や更新をめぐるトラブル、建物の建て替えや借地権の売却、借地と底地の関係を整理する方法までを、借地人と地主それぞれの立場から説明していきます。

借地の関係は、数十年という長い期間にわたって続きます。契約を結んだ当事者が亡くなり、子や孫の代になってから問題が表に出ることも多く、当時の約束の中身が分からなくなっていることも珍しくありません。だからこそ、基本的な仕組みを知っておくことが、どちらの立場にとっても大切です。

借地権と底地の基本

借地権は、建物を持つ目的で他人の土地を借りる権利です。住宅だけでなく、店舗や工場を建てるための借地も含まれます。駐車場や資材置き場として土地を借りる場合は、建物を持つ目的ではないので、借地借家法の借地権にはあたりません。

用語 意味 持っている人
借地権 建物を持つ目的で、他人の土地を使う権利 借地人(借地権者)
底地 借地権がついた土地の所有権 地主(借地権設定者)
地代 借地人が地主に払う土地の使用料 地主が受け取る
借地権割合 土地の価値のうち、借地権が占める割合(相続税の評価などで使われる) 地域ごとに国税庁が路線価図で示している

借地権の種類

借地権には、土地を借りる権利である賃借権と、土地を使う物権である地上権があります。実務で多いのは賃借権です。賃借権の場合、借地権を他人に譲ったり、土地を又貸ししたりするには、地主の承諾が必要です。

地上権の場合

借地権が地上権として設定されている場合は、地主の承諾なしに、借地権を第三者に譲ったり、担保に入れたりすることができます。地上権は登記ができる権利で、実際に登記されていることもあります。自分の借地権が賃借権か地上権かは、契約書や土地の登記簿で確かめられます。

借地権の強さ

借地権は、登記がなくても、借地の上に借地人の名義で登記した建物があれば、土地が第三者に売られても、新しい地主に借地権を主張できます。また、期間が満了しても、地主に正当な理由がなければ、契約は更新されるのが原則です。こうした強い保護があるため、借地権は財産としての価値を持ち、相続や売買の対象にもなります。

借地権と借家権の違い

借地権と似た言葉に借家権があります。借家権は、建物そのものを借りる権利で、アパートやマンションの一室を借りる場合がこれにあたります。借地権は土地を借りて自分で建物を建てるのに対し、借家権は他人の建物を借りる点が違います。どちらも借地借家法で守られていますが、期間や更新のルールは異なります。

底地の特徴

底地は、土地の所有権ではありますが、借地権がついているため、地主が自由に使うことはできません。地代の収入はあるものの、地代は低い額にとどまっていることが多く、それでいて固定資産税や相続税の負担はかかります。第三者に売ろうとしても買い手がつきにくく、売れても価格は低くなりがちです。

借地権は評価の対象になる

借地権は、相続税の評価でも財産として扱われます。土地の路線価に借地権割合をかけた額が、借地権の評価の目安になります。借地の上に家を持つ親が亡くなった場合、建物だけでなく借地権も相続財産に含まれるので、相続税の申告の際には注意が必要です。

旧借地法と借地借家法|いつの契約かで変わる

借地のルールは、1992年8月1日を境に大きく変わりました。この日より前に結ばれた借地の契約には、旧借地法が使われ続けます。契約を更新しても、旧借地法の契約のままです。

比べる点 旧借地法(1992年7月31日までの契約) 借地借家法の普通借地権(1992年8月1日以降の契約)
当初の期間(定めがない場合) 堅固な建物60年、それ以外30年 30年
当初の期間(定める場合) 堅固な建物30年以上、それ以外20年以上 30年以上
更新後の期間 堅固な建物30年、それ以外20年 1回目20年、2回目以降10年
建物が朽ちた場合 期間中でも借地権が消えることがある 借地権は消えない
更新の拒絶 地主に正当な理由が必要 地主に正当な理由が必要

旧借地法の契約が今も多い理由

1992年より前に結ばれた借地の契約は、更新を重ねて、今も数多く残っています。旧借地法の契約は、借地人の保護が厚く、期間も長いため、地主が土地を取り戻すことは一層難しくなっています。一方で、建物が朽ちて使えなくなった場合に借地権が消えることがあるなど、新しい法律にはない決まりもあります。自分の契約がどちらのルールにあたるかで、とるべき対応が変わります。

堅固な建物とそれ以外

旧借地法では、建物が石造り、れんが造り、鉄筋コンクリート造りなどの堅固な建物か、木造などのそれ以外の建物かによって、期間が変わります。契約で建物の種類を決めていない場合は、それ以外の建物として扱われるのが原則です。木造の住宅が建っている借地であれば、多くの場合、それ以外の建物のルールが当てはまります。

定期借地権

借地借家法では、更新のない定期借地権が新しく設けられました。期間が満了すれば、借地人は土地を更地にして返すのが原則です。

種類 期間 契約の方式
一般定期借地権 50年以上 書面(電磁的記録を含む)
事業用定期借地権 10年以上50年未満(事業用の建物に限る) 公正証書
建物譲渡特約付借地権 30年以上(満了時に地主が建物を買い取る) 特に定めなし

自分の借地がどの種類にあたるかは、まず契約書で確かめます。契約書がない場合は、借地が始まった時期や、地代の領収書などから推し量ることになります。

定期借地権と普通借地権の見分け方

定期借地権は、契約書に、更新がないことや、建物の買取りを求めないことがはっきり書かれています。こうした記載がなければ、普通借地権として扱われ、更新が原則になります。定期借地権のつもりで契約したのに、必要な記載や方式を欠いていたために、普通借地権と判断されることもあるので、地主の側は契約の作り方に注意が必要です。

地代をめぐるトラブル

借地の問題で最も身近なのが、地代をめぐるトラブルです。借地の関係が長くなるほど、地代が時代に合わなくなり、見直しを求める声が出てきます。

地代の決め方

地代の額に、法律で決まった基準はありません。借地が始まったときに当事者が合意した額が出発点で、その後、税金や土地の価格の変化に応じて見直されていきます。古い借地では、地代が長く据え置かれ、固定資産税とほとんど変わらない水準になっていることもあります。

地代の値上げと値下げ

地代は、契約で決めた額が原則ですが、土地の税金の増減、土地の価格の変動、近くの土地の地代との比較などから、今の地代が不相当になった場合は、地主も借地人も、将来に向かって地代の増額や減額を求めることができます。

  1. 地主(または借地人)が、相手に地代の増額(または減額)を求める。
  2. 話し合いで合意できれば、新しい地代で契約を続ける。
  3. 合意できなければ、まず裁判所の調停を申し立てる(調停を経ずに訴訟はできない)。
  4. 調停でもまとまらなければ、訴訟で相当な地代を決めてもらう。

増額を求められた借地人は、裁判で決まるまでの間、自分が相当と考える額(通常は従前の地代)を払っていればよいとされています。その後、裁判で決まった額との差額があれば、年1割の利息をつけて支払います。

相当な地代の考え方

相当な地代かどうかは、土地の固定資産税や都市計画税の額、土地の価格、近くの似た土地の地代などを考えて判断されます。地代が税金の額を下回るような低い水準であれば、地主の増額の求めは認められやすくなります。反対に、周辺の地代より明らかに高ければ、借地人の減額の求めが認められることもあります。

地代の受け取りを拒まれたら

地主が値上げに応じない借地人の地代の受け取りを拒むことがあります。この場合でも、借地人が地代を払わずにいると、滞納として契約を解除される口実を与えてしまいます。地主が受け取らない場合は、法務局に地代を供託することで、支払ったのと同じ扱いになります。

供託の手続き

地代を供託するには、土地の所在地を管轄する法務局などの供託所に、供託書を出して地代を納めます。供託した後は、供託したことを地主に通知します。供託は、毎月の支払日ごとに続ける必要があります。地主はいつでも供託所から地代を受け取ることができるので、借地人が誠実に支払いを続けていることの証になります。

地主の側の地代の見直し

地主の側から地代の増額を求める場合は、まず、固定資産税などの税金の額、周辺の地代の水準を調べ、増額の根拠を示せるようにしておきます。いきなり大幅な値上げを求めると、借地人との関係がこじれ、調停や訴訟にまで発展することもあります。数年ごとに少しずつ見直す、根拠を丁寧に説明する、といった進め方が、関係を保ちながら地代を適正な水準に近づける方法です。

地代の滞納

借地人が地代を滞納した場合、地主は催告のうえで契約を解除できることがあります。ただし、借地は長期の関係なので、わずかな滞納で解除が認められることはまれで、信頼関係が壊れたといえるほどの事情が必要です。

更新と明け渡しをめぐるトラブル

更新と明け渡しは、借地の関係の中で最も対立が深まりやすい場面です。借地人にとっては住まいや事業の基盤を失うかどうか、地主にとっては土地を取り戻せるかどうかがかかっているからです。

更新の拒絶と正当な理由

借地の期間が満了しても、借地人が建物を持って土地を使い続けていれば、契約は更新されるのが原則です。地主が更新を拒むには、遅滞なく異議を述べ、しかも正当な理由がなければなりません。

正当な理由があるかは、地主と借地人がそれぞれ土地を使う必要性、借地のこれまでの経緯、土地の利用の状況、そして地主が支払う立退料などを総合して判断されます。地主が自分で住む家を建てたいというだけでは、正当な理由として認められにくく、多くの場合、相当な額の立退料の支払いとあわせて判断されます。

地主が異議を述べなかった場合

期間が満了した後も、借地人が土地を使い続け、地主が遅滞なく異議を述べなかった場合は、以前と同じ条件で契約が更新されたものとみなされます。これを法定更新といいます。地主が更新を拒みたいなら、期間が満了する時期に、はっきりと異議を述べる必要があります。

更新料

更新の際に、借地人が地主に更新料を払う慣行がある地域もあります。ただし、法律で更新料の支払いが義務づけられているわけではなく、契約に更新料の定めがなければ、支払いを拒むことも考えられます。契約に定めがある場合は、その額が相当であれば、支払う義務があるとされることが多いでしょう。

立退料の考え方

地主が更新を拒む場合に支払う立退料は、借地権の価格をもとに、借地人の引越しの費用や、営業している場合の損失などを考えて決められることが多いでしょう。借地権は財産としての価値が大きいため、借家の立退料と比べて、高額になることが少なくありません。

期間の途中での解約

借地人の側から、期間の途中で借地を返したいと考えることもあります。契約に途中で解約できる定めがなければ、借地人が一方的に解約することは原則としてできません。地主と話し合い、合意によって契約を終わらせることになります。その際、建物を取り壊して更地にして返すのか、地主が建物を買い取るのかも決めておきます。

建物買取請求権

普通借地権の期間が満了し、地主が更新を拒んで契約が終わった場合、借地人は、地主に対して、借地の上の建物を時価で買い取るよう求めることができます。借地人が、建物を取り壊して土地を返すだけで終わらないよう守るための権利です。

建物の建て替えと借地権の売却

借地の上の建物は、借地人の財産です。けれども、その建物を建て替えたり売ったりするときには、土地の持ち主である地主との関係が問題になります。借地人にとっては、建物と土地の権利が分かれていることの難しさを、最も実感する場面です。

建て替えには地主の承諾が必要なことが多い

借地の契約に、建物の増改築や建て替えを禁止する、あるいは地主の承諾を必要とする特約があることがよくあります。この場合、借地人は、地主の承諾を得なければ建て替えられません。地主が承諾する代わりに、承諾料を求めることもあります。

地主が承諾しない場合は、借地人は、裁判所に、地主の承諾に代わる許可を求めることができます。これを借地非訟の手続きといいます。裁判所は、借地の利用の状況などを考えて許可するかどうかを判断し、許可する場合は、借地人に地主への金銭の支払いを命じることもあります。

建て替えの承諾料

地主が建て替えを承諾する際に、承諾料の支払いを求めることがあります。承諾料の額は法律で決まっていませんが、建物の規模や構造の変化の程度、借地権の価格などを考えて、当事者が話し合って決めます。裁判所が許可を出す場合も、地主への支払いの額を定めることがあり、その際の判断が、話し合いの目安になります。

借地非訟の手続きの流れ

借地非訟の手続きは、借地の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。裁判所は、当事者の話を聞き、必要に応じて、不動産鑑定士などで構成される鑑定委員会の意見を聞いたうえで、許可するかどうかを決めます。許可する場合は、地主への承諾料にあたる金銭の支払いや、地代の変更などの条件をつけることがあります。申立てから決定までは、数か月から1年ほどかかるのが一般的です。

借地権の売却

借地権は、財産として売ることができます。立地によっては、まとまった価値になることもあります。ただし、賃借権の場合、第三者に借地権を譲るには、地主の承諾が必要です。承諾なく譲ると、地主から契約を解除されるおそれがあります。

売り方 内容
地主に売る 地主に借地権を買い取ってもらう。地主は完全な所有権を取り戻せる
第三者に売る 地主の承諾(または裁判所の許可)を得て、建物とともに売る
地主と一緒に売る 借地権と底地をまとめて第三者に売り、代金を分ける

地主が第三者への譲渡を承諾しない場合も、借地人は、裁判所に承諾に代わる許可を求めることができます。この手続きの中で、地主は、自ら借地権を買い取ることを申し出ることもできます。

ワンポイントアドバイス
借地権を売る場合は、第三者に売るより、地主に買い取ってもらうか、底地と一緒に売るほうが、高く売れることが多くあります。借地権だけを買いたいという人は少なく、完全な所有権の土地のほうが、はるかに買い手がつきやすいからです。まずは地主に売却の意向を伝え、話し合ってみることをおすすめします。

借地と底地の関係を整理する方法

借地と底地の関係は、長く続くほど複雑になり、相続のたびに権利者が増えていきます。兄弟で借地権を共有する、地主の側も複数の相続人に分かれる、といった状況になると、話し合いはさらに難しくなります。関係を整理しておくことは、借地人にとっても地主にとっても、将来のトラブルを防ぐことにつながります。

方法 内容 向いている場面
地主が借地権を買い取る 地主が借地人に対価を払い、完全な所有権を取り戻す 地主が土地を自分で使いたい、売りたい
借地人が底地を買い取る 借地人が地主から底地を買い、完全な所有権を得る 借地人が住み続けたい、将来売りたい
等価交換 土地を分け、借地人と地主がそれぞれ一部を完全な所有権として持つ 土地がある程度広い
同時に売却する 借地権と底地をまとめて第三者に売り、代金を分け合う 双方とも土地を手放してよい

どの方法を選ぶにしても、借地人と地主の双方が納得できる価格で合意することが必要です。一方が強く出すぎると、話し合いは進みません。互いの事情を理解し、不動産鑑定士などの第三者の評価を参考に、歩み寄れる条件を探ることが大切です。

価格の考え方

借地権や底地の価格は、土地の更地としての価格に、借地権割合を当てはめて考えるのが一つの目安です。借地権割合は、国税庁の路線価図に、地域ごとに30%から90%の範囲で示されています。ただし、実際の取引の価格は、当事者の事情や、地代の水準、契約の残りの期間などによって大きく変わります。不動産鑑定士の評価を参考に、話し合いで決めていきます。

整理にかかる税金

借地権や底地を売ったり買ったりすると、譲渡所得税や登録免許税、不動産取得税などがかかります。等価交換の場合は、一定の条件を満たせば、譲渡がなかったものとして扱う税金の特例を使えることもあります。整理の方法を決める前に、税理士に税金の負担を確かめておきましょう。

整理の話し合いは、どちらか一方が急いでいるときほど、相手に足元を見られやすくなります。相続税の納付の期限が迫っている、建物が危険な状態にある、といった事情がある場合も、焦らずに第三者の評価をもとに進めることが、納得のいく結果につながります。

相続を見据えた整理

底地は、相続税の評価では一定の価値があるとされる一方で、売りにくく、収入も少ないため、相続人にとって重荷になりがちです。借地権も、相続のたびに地主との関係を引き継ぐことになります。当事者が元気なうちに、関係の整理を話し合っておくことが、次の世代のトラブルを防ぐ一番の方法です。

底地を買い取る業者への売却

地主が底地を手放したい場合、底地を専門に買い取る業者に売る方法もあります。業者は、底地を買い取った後、借地人と交渉して、借地権を買い取るか、底地を借地人に売るなどして利益を得ます。地主にとっては、手間をかけずに現金化できる一方で、価格は低くなりがちです。借地人にとっては、地主が業者に代わることで、交渉の相手が変わることになります。

借地人と地主に多いトラブルと、日ごろの備え

借地の関係では、次のようなトラブルがよく起こります。

立場 よくあるトラブル
借地人 地代の値上げを求められた、建て替えを承諾してもらえない、借地権の売却を承諾してもらえない、更新料を請求された、突然明け渡しを求められた
地主 地代が安すぎる、地代を滞納された、無断で建物を建て替えられた、借地権を無断で譲られた、土地を返してもらえない

こうしたトラブルの多くは、契約の内容があいまいなまま、長い年月がたったことが原因です。相続や売買で当事者が替わるたびに、契約の内容を確かめ、書面に残しておくことが、トラブルを防ぐ基本になります。

借地人が確かめておきたいこと

  • 借地の契約書の有無と内容(期間、地代、増改築の制限、更新料)
  • 借地が始まった時期(旧借地法か借地借家法か)
  • 借地の上の建物の登記が、自分の名義になっているか
  • 地代を払った記録(領収書、振込の記録)

地主が確かめておきたいこと

  • 借地の契約書の有無と内容
  • 借地人が誰か(相続で変わっていないか)
  • 建物の現状と、無断の増改築がないか
  • 地代の水準が、固定資産税や周辺の地代と比べて相当か

契約書がない場合

古い借地では、契約書がない、あるいは紛失していることも珍しくありません。契約書がなくても、借地の関係は続いています。ただ、期間や条件が分からないと、更新や建て替えの場面で争いになりやすいので、地主と借地人が話し合い、今の条件を確認した覚書を作っておくと安心です。

地主が亡くなったとき

地主が亡くなると、底地は地主の相続人に引き継がれ、借地の契約もそのまま続きます。新しい地主は、以前の地主と借地人の間で決めた条件に従わなければなりません。借地人の側は、地代の振込先が変わる場合に備えて、新しい地主が誰になったのかを確かめておきましょう。相続人が複数いて底地を共有することになった場合は、地代の受け取りや交渉の窓口を一人に決めてもらうと、やり取りがスムーズになります。

借地人が亡くなったとき

借地人が亡くなると、借地権は相続人に引き継がれます。地主の承諾は必要ありませんが、地主には、相続によって借地人が替わったことを伝えておくのが通常です。相続人が複数いる場合は、誰が借地権を引き継ぐかを遺産分割で決め、建物の相続の登記もあわせて済ませておきましょう。

無断の増改築や譲渡

借地人が、地主の承諾を得ずに建物を建て替えたり、借地権を第三者に譲ったりした場合、地主は契約を解除できることがあります。ただし、信頼関係が壊れたといえない程度の事情であれば、解除は認められないこともあります。借地人の側は、承諾が必要な行為の前には、必ず地主と話し合うか、裁判所の許可を求める手続きをとってください。

具体例で考える|相続した借地の建て替えをめぐるケース

実際によくある相談の形で見てみます。ある方が、父親から、借地の上に建つ築50年の木造の家を相続しました。借地の契約は昭和40年代に結ばれたもので、旧借地法が使われる契約でした。契約書には、建物の増改築には地主の承諾が必要と書かれていました。

この方は、老朽化した家を建て替えたいと地主に申し出ましたが、地主は「建て替えるなら、土地を返してほしい」と言って承諾しませんでした。地主も代替わりしていて、借地の関係を解消したいと考えていたようです。

弁護士は、まず、旧借地法の契約であること、借地権は相続によって引き継がれていることを確かめました。そのうえで、地主と話し合いを重ねましたが、承諾は得られませんでした。そこで、裁判所に、地主の承諾に代わる建て替えの許可を求める借地非訟の手続きを申し立てました。

手続きの中で、地主の側から、建て替えを許可するのではなく、借地権を買い取りたいという提案がありました。この方も、将来の地代や更新の心配がなくなるなら、売却してもよいと考え、不動産鑑定士の評価をもとに、地主が借地権を買い取ることで合意しました。この方は、売却代金で近くにマンションを購入し、地主は完全な所有権の土地を取り戻すことができました。

この例のように、借地非訟の手続きは、許可を求めるだけでなく、地主と借地人が関係の整理について話し合うきっかけにもなります。裁判所が間に入ることで、当事者だけでは進まなかった話し合いがまとまることも少なくありません。

弁護士に相談するタイミング

借地の問題は、法律の知識に加えて、過去の経緯や地域の慣行、不動産の評価など、多くの要素が絡み合います。地代の増減、更新、建て替え、売却のいずれでも、相手から具体的な要求を受けた時点で、一度弁護士に相談しておくと、とるべき対応がはっきりします。相手の要求に安易に応じたり、反対に感情的に拒んだりする前に、自分の立場を確かめておくことが大切です。

借地権と底地に関するよくある質問

借地権は相続できますか

できます。借地権は財産として相続人に引き継がれ、相続による承継には地主の承諾は必要ありません。ただし、相続人が借地権を第三者に売る場合は、地主の承諾が必要です。

地主が土地を売ったら、借地権はどうなりますか

借地の上に借地人の名義で登記された建物があれば、土地が売られても、新しい地主に借地権を主張できます。建物の登記が、亡くなった親の名義のままになっている場合は、相続の登記をしておくことが大切です。

借地の上の建物を賃貸に出すことはできますか

借地人が建てた建物を人に貸すことは、土地の又貸しにはあたらないので、原則として地主の承諾は必要ありません。ただし、契約で建物の用途が定められている場合は、その範囲で使う必要があります。

地主から突然、土地を返してほしいと言われました

期間の途中であれば、借地人に契約違反などがない限り、地主は一方的に土地を返すよう求めることはできません。期間が満了する場合でも、地主に正当な理由がなければ更新を拒めません。立退料の提示があっても、すぐに応じず、弁護士に相談してください。

不動産の法律問題は弁護士に相談を
複雑な不動産の売買契約・建築にまつわるトラブルは法律のプロが解決
  • 不動産購入・売却時の支払い・手付金に関するトラブル
  • 土地・物件の瑕疵責任にともなうトラブル
  • 不動産の契約に関するトラブル
  • 売主・買主・仲介会社間での意見の食い違い
  • 法律・条例をふまえた適切な開発計画の策定
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
不動産トラブルに強い弁護士を探す