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従業員とのトラブルにはどう向き合えばよいか
会社を営んでいれば、従業員との間で、何らかのトラブルが生じることは避けられません。残業代をめぐる主張、解雇や退職をめぐる対立、職場での嫌がらせへの訴え。そうした問題に直面したとき、どう対応すればよいのか、頭を抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。まずは、この点について、基本の考え方を整理しておきましょう。
従業員とのトラブルには、いくつかの解決の方法があります。当事者どうしの話し合いで収める方法もあれば、外部の力を借りて解決を図る方法、最終的に裁判所の手続きによる方法もあります。どの方法が適しているかは、問題の中身や、こじれ具合によって変わってきます。まずは、こうした選択肢があることを知っておくことが大切です。
選択肢を知っているかどうかは、対応の余裕を大きく左右します。解決の道が一つしかないと思い込んでいると、その道が行き詰まったときに、途方に暮れてしまいます。しかし、いくつもの方法があることを知っていれば、一つがうまくいかなくても、次の手を考えられます。まずは、全体像を持っておくことが、大切な備えになるのです。
ここで押さえておきたいのは、トラブルは、できるだけ早い段階で、穏当に解決するほうがよいということです。放っておいてこじれれば、解決には多くの時間と労力がかかり、費用もかさみます。感情的な対立が深まれば、収拾もつきにくくなります。早い段階で適切に対応することが、会社にとっても、従業員にとっても、望ましい結果につながります。
これは、双方にとってそうなのだ、という点が重要です。トラブルがこじれれば、会社は多くの負担を負いますが、従業員の側もまた、長い争いに心身をすり減らすことになります。早く穏当に解決することは、どちらか一方が得をするのではなく、双方にとって望ましいのです。その視点を持てるかどうかが、解決の糸口になります。
とはいえ、労働に関する問題は、法律の定めが細かく、判断が難しい場面が多いものです。会社としては当然の対応のつもりでも、実は法律に反していた、ということも珍しくありません。自己流の判断で進めて、かえって問題を大きくしてしまう。そうした事態を避けるためにも、正しい知識と、適切な対応が求められます。
とりわけ、労働に関する法律は、従業員を守るという観点から作られている部分が多く、会社の常識だけで判断すると、思わぬところで食い違いが生じます。会社としては筋を通したつもりでも、法律から見れば通らない、ということがあるのです。だからこそ、自分の感覚だけに頼らず、法律の考え方を踏まえて対応することが欠かせません。
この記事では、従業員とのトラブルにはどのような種類があるのか、どのような解決の方法があるのか、トラブルにどう対応すべきか、そして日ごろどう備えるべきかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。従業員との問題に直面した、あるいは備えておきたい経営者の方に、判断の土台をお伝えします。
読者の方のなかには、まさに今、従業員とのトラブルを抱えていて、対応に悩んでいる方もいるでしょう。あるいは、いざというときに備えて、あらかじめ知っておきたい、という方もいるかもしれません。どちらの場合でも、まずは労働問題の解決をめぐる考え方を、正しく理解することが出発点になります。順を追って見ていきましょう。
なお、この記事でお伝えするのは、従業員とのトラブルをめぐる基本の考え方です。実際の対応は、その問題の中身や、こじれ具合によって変わってきます。ここで得た知識を土台にしながら、迷う場面では専門家の助言も得て進めていただければと思います。基本を知っておくことが、いざというときに落ち着いて対応する支えになります。
従業員とのトラブルにはどのような種類があるか
まず、従業員とのトラブルには、どのような種類があるのかを整理しておきましょう。どの種類の問題なのかによって、対応の考え方や、注意すべき点が変わってきます。自社が直面している問題が、どれにあたるのかを見きわめることが、出発点になります。
まず多いのが、賃金をめぐる問題です。残業代が正しく支払われていない、給料の計算に誤りがある、といった主張です。賃金は、従業員の生活に直結するものであり、その扱いをめぐる問題は、深刻な対立に発展しやすいものです。法律の定めも細かいため、慎重な対応が求められる分野だといえます。
賃金をめぐる問題が深刻になりやすいのは、それが従業員の生活に直結するからです。生活を支える賃金に関わる問題だけに、従業員も引き下がれず、争いは根深くなりがちです。また、過去にさかのぼって主張がなされることもあり、会社の負担が思いのほか大きくなることもあります。この分野は、とりわけ丁寧な対応が求められるのです。
次に多いのが、解雇や退職をめぐる問題です。解雇が不当だと争われる、退職を強要されたと主張される、といった対立です。解雇や退職は、従業員にとって、生活の基盤を左右する重大な事柄です。それだけに、対応を誤ると、大きな争いに発展しやすく、会社が重い責任を負うこともあります。
解雇や退職をめぐる問題では、会社の判断が後から覆されると、その影響は大きなものになります。解雇が無効とされれば、従業員はなお在籍していることになり、その間の賃金まで問われることもあります。それだけに、この種の問題は、事を起こす前の段階で、慎重に検討することが、とりわけ重要になるのです。
さらに、職場での嫌がらせをめぐる問題もあります。上司や同僚からの嫌がらせを受けたという訴え、それへの会社の対応をめぐる問題です。会社には、従業員が安心して働ける環境を整える責任があり、こうした訴えを放置すれば、会社自身が責任を問われることになります。適切な対応が欠かせない分野です。
嫌がらせをめぐる問題で会社が問われるのは、加害をした者の行為だけではありません。訴えを受けた会社が、それにどう対応したかも問われます。訴えを軽く扱い、放置すれば、会社自身が責任を問われることになります。従業員が安心して働ける環境を守ることは、会社に課された責任なのだと、心得ておく必要があります。
ここで押さえておきたいのは、従業員とのトラブルには賃金や解雇や嫌がらせなどさまざまな種類があり、それぞれ対応の考え方や注意すべき点が異なるという発想です。すべてのトラブルを、同じ感覚で扱うことはできません。まずは、直面している問題がどの種類にあたるのかを見きわめ、それに応じた対応を取ることが大切なのです。
この見きわめが大切なのは、種類によって、会社が気をつけるべき点が、まったく違ってくるからです。賃金の問題では計算や記録が問われ、解雇の問題では手順が問われ、嫌がらせの問題では対応の姿勢が問われます。問題の種類を取り違えれば、的外れな対応になりかねません。まずは、正しく見きわめることが肝心なのです。
もっとも、実際のトラブルは、これらの種類がきれいに分かれるとは限りません。賃金の問題が、退職をめぐる対立に発展したり、嫌がらせの問題が、複数の要素を含んでいたりすることもあります。そうした場合には、問題を要素ごとに整理したうえで、それぞれに応じた対応を尽くす必要があります。まずは、問題の全体像をつかむことが出発点です。
トラブルの解決にはどのような方法があるか
では、従業員とのトラブルには、どのような解決の方法があるのでしょうか。問題が生じたとき、その解決に向けて、どのような道があるのかを知っておくことは、適切な対応の第一歩になります。ここでは、主な解決の方法を整理しておきましょう。
まず、最も基本となるのが、当事者どうしの話し合いによる解決です。会社と従業員が直接話し合い、双方が納得できる解決を目指す。これが、最も穏当で、望ましい解決の方法です。感情的にならず、冷静に話し合えれば、多くの問題は、この段階で解決できます。まずは、話し合いによる解決を目指すのが基本になります。
話し合いによる解決には、いくつもの利点があります。時間や費用がかからず、双方の関係も保ちやすく、柔軟な解決も図れます。何より、当事者どうしが納得したうえでの解決であれば、後々まで禍根を残しにくいものです。まずはこの穏当な方法を尽くすことが、望ましい解決への近道になるのです。
次に、当事者だけでは解決が難しい場合に、外部の力を借りる方法があります。中立的な第三者に間に入ってもらい、解決を図る。当事者どうしでは感情的になってしまう場合でも、第三者が入ることで、冷静な話し合いが可能になることがあります。話し合いが行き詰まったときの、次の手立てとなる方法です。
当事者だけの話し合いが難しいのは、多くの場合、感情が絡むからです。過去の経緯への不満や、相手への不信が、冷静な話し合いを妨げます。そこに中立的な第三者が入ることで、感情を離れて、問題の中身に向き合えるようになります。行き詰まったときに、こうした方法があることを知っておくと、対応の幅が広がります。
さらに、こうした方法でも解決に至らない場合には、最終的に、裁判所の手続きによる解決があります。裁判所の関与のもとで、法律に基づいて、決着をつける。これは、最も時間と労力を要する方法ですが、ほかの方法で解決できない場合の、最後の拠りどころになります。どうしても折り合いがつかないときの、最終的な手段です。
裁判所の手続きは、法律に基づいてはっきりと決着をつけられる一方、時間も労力もかかり、双方の関係は決定的に損なわれます。だからこそ、これは最後の手段と位置づけるべきものです。ここに至る前に、話し合いや第三者の力による解決を尽くすことが、双方にとって、望ましい場合が多いのです。
これらの方法は、段階的なものと捉えるとよいでしょう。まずは話し合いで、それが難しければ第三者の力を借り、それでも解決しなければ裁判所の手続きへ。いきなり最終的な手段に飛びつくのではなく、穏当な方法から順に試みることが、時間や費用の面でも、また関係を保つ面でも、望ましいことが多いのです。
もっとも、どの方法を選ぶかは、問題の性質にもよります。相手の主張が明らかに不当で、話し合いの余地がない場合もあれば、双方に歩み寄りの余地がある場合もあります。状況を見きわめて、適した方法を選ぶ。その判断のためにも、それぞれの方法の特徴を知り、専門家の助言を得ることが役立ちます。
トラブルにどう対応すべきか
解決の方法を踏まえたうえで、実際にトラブルに直面したとき、会社はどう対応すべきなのでしょうか。ここでは、対応にあたって押さえておきたい、基本的な流れを整理しておきましょう。適切な初動が、その後の展開を大きく左右します。
- 何が問題になっているのかを、事実に基づいて正確に把握する。
- その問題について、法律上、会社の立場がどうなるのかを確かめる。
- 感情的にならず、まずは従業員との話し合いによる解決を目指す。
- 話し合いで解決しない場合は、外部の力を借りることも検討する。
- 対応の経緯を、記録として残しておく。
この流れのなかで、まず大切なのが、何が問題なのかを、事実に基づいて正確に把握することです。従業員が何を主張しているのか、その背景にどのような事情があるのか。これを正しくつかまなければ、適切な対応はできません。思い込みや、一方的な見方で判断せず、事実を冷静に確かめることが、出発点になります。
事実の把握を誤ると、その後の対応は、すべて的外れなものになります。従業員の主張を頭ごなしに否定したり、逆に、事実を確かめずに相手の言い分をうのみにしたりすれば、どちらも適切な解決から遠ざかります。まずは、何があったのかを、先入観を排して確かめる。その地道な作業が、正しい対応の土台になるのです。
次に欠かせないのが、その問題について、法律上、会社の立場がどうなるのかを確かめることです。会社の対応が法律に照らして問題ないのか、従業員の主張に理由があるのか。ここを踏まえずに対応すると、誤った判断につながります。自社の立場を正しく理解したうえで、対応を考えることが大切です。
自社の立場を正しく理解することは、過信を避けるためにも、必要以上に弱気にならないためにも役立ちます。会社が有利な立場にあるのに、それを知らずに過度に譲歩すれば、損をします。逆に、会社の対応に問題があるのに、それに気づかず強気に出れば、傷を深めます。正確な現状認識が、適切な対応の前提になるのです。
そして、対応にあたっては、感情的にならないことが重要です。トラブルの渦中では、相手への不満や、対立の感情が生じがちです。しかし、感情に任せた対応は、事態を悪化させます。冷静に、法律の考え方に沿って対応する。その姿勢を保つことが、問題を穏当に収めることにつながるのです。
感情を抑えるのは、簡単なことではありません。とりわけ、理不尽に感じる主張をぶつけられれば、腹も立ちます。しかし、そこで感情的に応じれば、相手も態度を硬化させ、問題はこじれます。深呼吸をして、一歩引いて、法律の考え方に立ち返る。その冷静さが、結局は、自社を守ることにつながるのだと心得ておきたいところです。
対応を誤るとどうなるか
もし会社が対応を誤ると、どのような事態が待っているのでしょうか。ここを知っておくことは、慎重な対応を促すうえで、とても大切です。従業員とのトラブルは、対応を誤ると、思わぬ大きな問題に発展することがあります。
まず、対応を誤れば、問題がこじれて、解決が難しくなります。初期の段階で適切に対応していれば穏当に収まったはずの問題が、対応の誤りによって、感情的な対立へと発展する。そうなると、話し合いによる解決の道は遠のき、より多くの時間と労力を要する事態になります。こじれることの代償は、決して小さくありません。
いったんこじれた問題を、元の穏やかな状態に戻すのは、容易ではありません。感情的な対立が生じてしまうと、たとえ会社が譲歩しても、相手はなかなか矛を収めません。初期の小さな行き違いのうちに手を打っていれば防げたことが、対応の遅れによって、大きな争いに育ってしまう。だからこそ、早い対応が肝心なのです。
さらに、会社の対応が法律に反していた場合には、会社が責任を問われることになります。従業員の主張が認められ、会社が金銭的な負担を負う。あるいは、会社の対応そのものが違法とされ、責任を問われる。自己流の判断で対応を進めた結果、思わぬ責任を負うことになりかねないのです。
会社が責任を問われる場面の多くは、悪意からというより、知らなかったことから生じています。この対応が法律に触れるとは思わなかった、という経営者は少なくありません。しかし、知らなかったことは、責任を免れる理由にはなりません。だからこそ、対応の前に、法律上の立場を確かめておくことが、思わぬ責任を避けるうえで欠かせないのです。
加えて、こうしたトラブルは、他の従業員にも影響を及ぼします。一人の従業員との対立が適切に解決されなければ、他の従業員も、会社への不信を抱きます。自分も同じ目に遭うかもしれない、という不安が広がれば、職場の雰囲気は悪くなり、従業員の意欲も下がります。トラブルの影響は、当事者だけにとどまらないのです。
会社がトラブルにどう対応したかを、他の従業員はよく見ています。困っている従業員に会社が誠実に向き合えば、他の従業員も、この会社なら安心だと感じます。逆に、対応がまずければ、会社への信頼は静かに損なわれていきます。一つのトラブルへの対応が、職場全体の空気を左右することを、忘れてはなりません。
そして、トラブルへの対応のまずさが外部に知られれば、会社の評判にも影響します。従業員を大切にしない会社、トラブルの絶えない会社。そうした評価が広まれば、新たに人を採ることも難しくなります。従業員とのトラブルへの対応は、会社の信用にもかかわる問題なのだと、心得ておく必要があります。
いまは、働く環境についての評判が、思いのほか広く伝わる時代です。従業員を大切にしない会社という評価が広まれば、人材の確保は難しくなり、取引先の見方にも影響しかねません。逆に、従業員を大切にする会社という評価は、会社の財産になります。トラブルへの誠実な対応は、そうした評価を守ることにもつながるのです。
トラブルを防ぐための日ごろの備え
従業員とのトラブルは、起きてから対応するよりも、起きないように備えるほうが、はるかに賢明です。日ごろから会社が整えておくべきことがいくつかあります。ここでは、その要点を見ていきましょう。地道な備えが、無用なトラブルを防ぎ、いざというときにも会社を守ります。
まず取り組みたいのが、就業規則を整えておくことです。労働の条件や、職場のルール、問題が起きたときの取り扱いを、就業規則に明確に定めておく。これがあいまいだと、トラブルが起きたときに、拠りどころを示せません。ルールを明確にしておくことは、従業員に対する公正さを保つとともに、会社自身を守ることにもつながります。
就業規則は、作って終わりではなく、実態に合っているかを折にふれて見直すことも大切です。法律は変わりますし、会社の事情も変わります。古いまま放置された規則は、いざというときに役に立たないばかりか、かえって足かせになることもあります。ときどき中身を点検し、必要なら見直しておくことが、確かな備えになるのです。
次に、労働の条件や、日ごろのやり取りを、記録に残しておくことも大切です。どのような条件で雇ったのか、どのような指導をしたのか。その経緯を残しておけば、いざトラブルになったときに、事実を示すことができます。記録は、面倒に見えて、実は会社を守る、確かな備えなのです。
とりわけ、争いになったときに頼りになるのは、当時の事実を示す記録です。記憶は薄れ、言い分は食い違います。そのとき、客観的な記録があるかどうかが、会社の立場を大きく左右します。日ごろから、大切なやり取りは記録に残す習慣をつけておくこと。その小さな積み重ねが、いざというときに、会社を支えるのです。
さらに、日ごろから従業員との対話を大切にすることも、トラブルの予防につながります。従業員が何を考え、どのような不満を抱えているのかを、会社が把握できていれば、問題が大きくなる前に手を打てます。トラブルの多くは、意思の疎通が足りないところから生まれます。日ごろの対話が、その予防になるのです。
対話といっても、特別な場を設ける必要はありません。日々のやり取りのなかで、従業員の様子に目を配り、気になることがあれば声をかける。その積み重ねが、従業員との信頼を築きます。信頼のある関係では、不満が小さなうちに表に出やすく、大きなトラブルになる前に手を打てるのです。地道な対話こそ、最良の予防策といえます。
反対に、対話が乏しい職場では、従業員の不満は水面下でたまり続けます。表向きは何事もないように見えても、ある日突然、大きな問題として噴き出すことがあります。日ごろから対話があれば、その予兆に気づけたはずです。小さな声に耳を傾けることが、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながるのだと、心得ておきたいところです。
そして、従業員が安心して働ける環境を整えることも、根本的な備えになります。公正な扱い、風通しのよい職場、安心して相談できる仕組み。こうした環境が整っていれば、そもそもトラブルは起きにくくなります。トラブルへの対応を考える前に、トラブルの起きにくい職場をつくることが、最も確かな備えなのです。
結局のところ、従業員とのトラブルを減らす最善の道は、従業員から信頼される会社であることです。公正に扱われ、話を聞いてもらえると感じられる職場では、従業員はわざわざ会社と争おうとは思いません。トラブル対応の技術を磨くことも大切ですが、その手前で、争いの芽が生まれにくい関係を築くこと。それが、根本の備えになるのです。
会社が取り組むべきことと専門家の活用
ここまで、従業員とのトラブルの種類から、解決の方法、対応の仕方、対応を誤った場合の帰結、そして日ごろの備えまで見てきました。あらためて整理すると、会社が心がけるべきことは、いくつかの柱にまとめられます。トラブルの種類を見きわめること。早い段階で穏当な解決を目指すこと。感情的にならず法律の考え方に沿って対応すること。そして、日ごろから備えておくこと。これらが基本の姿勢になります。
従業員とのトラブルは、経営者にとって、悩ましく、負担の大きい問題です。しかし、正しい知識をもって、早く、適切に対応すれば、多くの問題は、穏当に解決できます。放置してこじらせるのではなく、早い段階で向き合うこと。感情ではなく、法律の考え方に沿って対応すること。その姿勢が、何より大切なのです。
とはいえ、実際の場面では、判断に迷うことが多いでしょう。この従業員の主張に理由はあるのか、会社の対応に問題はないか、どう解決を図ればよいか。こうした判断を誤れば、問題がこじれ、思わぬ責任を招きます。少しでも不安があれば、自己流で進めず、専門家の助けを借りることをおすすめします。
とりわけ、従業員とのトラブルに直面した場面では、企業の労務にくわしい弁護士に相談することが有効です。弁護士は、その問題について会社の立場がどうなるのか、どう対応すべきかを、法律の考え方に照らして具体的に助言してくれます。こじれる前に専門家の目を通しておくことが、問題を穏当に解決し、会社を守ることにつながります。
また、問題が起きてからだけでなく、平時から相談できる体制を整えておくことにも意味があります。就業規則の見直しや、従業員への対応の進め方について、日ごろから助言を得られる関係を築いておけば、いざトラブルが起きたときにも、慌てずに済みます。従業員との良好な関係を保ちながら会社を運営する。そのために、信頼できる専門家とつながっておくことが、大きな支えになるのです。
従業員とのトラブルは、経営を続けるうえで、避けて通れないものです。しかし、正しい知識をもって、早く、誠実に対応すれば、多くは穏当に収められます。トラブルを恐れて身構えるより、いざというときに適切に対応できる備えを持つこと。この記事が、そのための一助となれば幸いです。
労働問題の解決に関するよくある質問
従業員とのトラブルには、どのような解決の方法がありますか
大きく分けて、当事者どうしの話し合いによる解決、中立的な第三者に間に入ってもらう解決、そして最終的に裁判所の手続きによる解決があります。これらは段階的なものと捉えるとよく、まずは話し合いで、それが難しければ第三者の力を借り、それでも解決しなければ裁判所の手続きへ、と進むのが基本です。いきなり最終的な手段に飛びつくより、穏当な方法から順に試みることが望ましいことが多いといえます。
従業員とのトラブルは、放っておくとどうなりますか
問題を放置してこじれさせると、その解決には多くの時間も労力もかかり、費用の負担も大きくなります。感情的な対立が深まれば、話し合いによる解決の道は遠のきます。さらに、会社の対応が法律に反していた場合には、責任を問われることもあります。一人の従業員との対立は、他の従業員の不信も招き、職場の雰囲気を悪くします。だからこそ、早い段階で適切に対応することが大切なのです。
トラブルに直面したら、まず何をすべきですか
まず、何が問題になっているのかを、思い込みや一方的な見方を排して、事実に基づいて正確に把握することが大切です。そのうえで、その問題について法律上、会社の立場がどうなるのかを確かめます。そして、感情的にならず、まずは話し合いによる解決を目指します。あわせて、対応の経緯を記録に残しておくと、後で事実を示す必要が生じたときに役立ちます。冷静な対応が、問題を穏当に収める鍵になります。
従業員とのトラブルは、誰に相談すればよいですか
この従業員の主張に理由はあるか、会社の対応に問題はないか、どう解決を図ればよいかといった判断は難しいため、企業の労務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、その問題について会社の立場がどうなるのか、どう対応すべきかを法律の考え方に照らして助言してくれます。こじれてしまう前に一度専門家に確かめておくことが、問題を穏やかに収め、会社を守る近道になるのです。
