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自社の商標が勝手に使われていたら
自社の商品名やしるしと、よく似たものが、他社に使われている。長年かけて築いてきた自社の名前が、無関係の相手に使われている。そうした事態に気づいたとき、経営者としては、強い危機感を覚えるでしょう。まずは、こうしたときにどう向き合うべきかを、整理しておきます。落ち着いて、適切に対応することが何より大切です。
こうした事態に気づいたとき、真っ先に湧いてくるのは、怒りの感情かもしれません。長年かけて育ててきたものを、横取りされたような思いになるのは、当然のことです。しかし、その感情のまま動いてしまうと、対応を誤りかねません。まずは一呼吸おいて、何が起きているのかを見きわめることから始めましょう。
商標とは、自社の商品や役務を、ほかと区別するために用いる名前やしるしのことです。それは、単なる呼び名ではありません。これまでの実績や、品質への信頼が、そこに凝縮された、いわば信用の器です。だからこそ、それが勝手に使われることは、会社が築いてきた信用そのものが、脅かされることを意味します。
商標が持つ価値は、その名前やしるし自体にあるのではありません。それを見た人が、あの会社の、あの品質のものだ、と思い浮かべること。その結びつきにこそ、価値があります。ですから、無関係の相手が同じような名前を使えば、その結びつきが揺らぎ、長年の積み重ねが損なわれてしまいます。
顧客は、その名前を目印に、商品や役務を選びます。あの名前なら間違いない、という信頼があるからこそ、選ばれます。その信頼は、一朝一夕に築けるものではありません。長い時間をかけた事業の積み重ねが、その名前に、価値を宿らせています。そのため、守る値打ちがあるといえます。
商標が勝手に使われることの怖さは、いくつもあります。自社の商品と取り違えられ、顧客が流れてしまう。相手の商品の質が悪ければ、自社の評判まで傷つく。積み重ねてきた信用が、他人に利用されてしまう。こうした被害は、目に見えにくいところで進み、気づいたときには広がっていることもあります。
売上が落ちても、それが商標の問題によるものだとは、なかなか気づけません。顧客が取り違えて他社の商品を買っていても、その事実は、会社からは見えないからです。それゆえ、被害が数字に表れるのを待つのではなく、日ごろから目を配り、早い段階で気づくことが大切になります。
ここで押さえておきたいのは、商標が勝手に使われることは会社が築いてきた信用そのものを脅かすものであり気づいたら早い段階で適切に対応する必要があるという発想です。放っておけば被害は広がり、既成事実として定着してしまうこともあります。早い対応が、何より大切です。
とりわけ、相手の使用が世の中に浸透してしまってからでは、それを覆すのに、大きな労力を要します。まだ限られた範囲でしか使われていない段階であれば、比較的穏当な手立てで収められることも多いものです。この、早いほど収めやすいという性質を、まず理解しておく必要があります。
この記事では、自社の商標が使われているのを見つけたときにまず何をすべきか、どのような対応が取りうるのか、対応にあたって何に気をつけるべきか、そして日ごろどう備えるべきかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。自社の名前やしるしを守りたいと考える経営者の方に、判断の土台をお伝えします。
読者の方のなかには、まさに今、そうした事態に直面していて、どう動けばよいか分からない方もいるでしょう。どちらの場合でも、まずは対応の考え方を、正しく理解することが出発点になります。順を追って見ていきます。
なお、この記事でお伝えするのは、商標をめぐる問題への基本の考え方です。実際にどのような対応が取れるかは、自社の権利の状況や、相手の使い方によって変わってきます。ここで得た知識を土台にしながら、具体的な対応は、専門家に相談して進めていただければと思います。基本を知っておくことが、冷静な対応の支えになります。
見つけたときにまず何をすべきか
自社の商標と似たものが使われているのを見つけたとき、まず何をすべきなのでしょうか。怒りや焦りから、すぐに相手に抗議したくなるかもしれません。しかし、その前に、踏むべき手順があります。ここでは、その要点を整理しておきます。
- どのように使われているのかを、正確に確かめる。
- その状況を、記録として残しておく。
- 自社の権利がどうなっているのかを、あらためて確認する。
- 相手に、そう使う理由や事情があるのかを検討する。
- 専門家に相談し、取りうる対応と方針を決める。
まず大切なのが、どのように使われているのかを、正確に確かめることです。どこで、どのような形で、どの範囲で使われているのか。自社の商標と、どの程度似ているのか。感情的に反応する前に、事実を冷静に把握することが、出発点になります。
どの程度似ているのか、どのような商品や役務について使われているのか。こうした点は、その後の判断を左右する、重要な要素です。似ている、というだけでは足りず、何が、どのように似ているのかを、具体的に押さえておく必要があります。この事実の把握が、対応の精度を大きく高めるのです。
次に欠かせないのが、その状況を、記録として残しておくことです。相手が使用をやめたり、表示を変えたりすれば、その事実を後から示すのが難しくなります。いつ、どこで、どのように使われていたのかを、記録に残しておく。この記録が、その後の対応を進めるうえで、重要な手がかりになります。
記録を残す際には、その使用がいつの時点のものかが分かるようにしておくことが望まれます。後から、いつからそう使われていたのかが問題になることもあるからです。気づいた時点で、できるだけ具体的に、状況を記録しておく。その一手間が、後の対応を大きく助けることになります。
そして、自社の権利がどうなっているのかを、あらためて確認することも重要です。その名前やしるしについて、自社がどのような権利を持っているのか。どの範囲について権利が及ぶのか。ここを確かめずに動くと、思わぬ前提の誤りに気づかないまま、対応を進めてしまうことにもなりかねません。
自社が長く使ってきたから当然に守られるはずだ、と考えるのは危うい面があります。権利の範囲は、どのような商品や役務について、どのような名前やしるしを守っているかによって決まります。自社の権利が、相手の使い方に及ぶのかどうか。この確認を、対応の前に済ませておくことが欠かせません。
どのような対応が取りうるか
状況を把握したうえで、では、どのような対応が取りうるのでしょうか。取りうる手立てを知っておくことは、いざというときに、落ち着いて動くための土台になります。ここでは、主な対応を整理しておきます。
まず考えられるのが、相手に対して、使用をやめるよう求めることです。自社の権利を侵していることを伝え、その使用をやめるよう申し入れる。多くの場合、まずはこの段階から始まります。相手が、権利を侵していることに気づいていない場合もあり、話し合いによって解決に至ることも少なくありません。
相手にも、悪意がない場合があります。たまたま似た名前を思いついた、他社の権利を調べずに使い始めた、というように。そうした相手であれば、こちらの権利を伝えることで、素直に使用をやめてもらえることもあります。いきなり構えるのではなく、まず伝えてみる。それが、穏当な解決への、現実的な第一歩になります。
次に、話し合いで解決しない場合には、より踏み込んだ対応を検討することになります。使用をやめさせるための手続きを取る、あるいは、その使用によって生じた損害について、責任を問う。こうした対応には、専門的な手続きが関わってきますから、専門家の関与のもとで進める必要があります。
踏み込んだ対応を取る場合には、自社の権利が確かに及んでいること、相手の使用がそれを侵していることを、しっかりと示す必要があります。その組み立てには、専門的な知見が欠かせません。勢いだけで進めても、望んだ結果にはつながりません。専門家とともに、筋道を立てて進めることが大切です。
さらに、相手との関係や、状況によっては、話し合いによって、双方が納得できる形を探る道もあります。使用の範囲を限定してもらう、一定の条件のもとで使用を認める。相手を一律に排除するのではなく、実情に応じた解決を図ることが、双方にとって望ましい場合もあります。
争いを続けることには、時間も労力もかかります。相手を完全に排除することにこだわるあまり、長い争いに巻き込まれるより、実質的に自社の利益が守られる形で折り合うほうが、賢明な場合もあります。何を守りたいのかという目的に立ち返って、現実的な着地点を探る視点も、持っておきたいところです。
どの対応を取るべきかは、自社の権利の状況、相手の使い方、被害の程度、そして相手との関係によって変わってきます。一律に、これが正解という対応があるわけではありません。自社の状況に照らして、最も適した対応を選ぶ。その見きわめには、専門的な判断が欠かせません。
同じような事態に見えても、自社の権利の強さや、相手の規模、被害の程度によって、取るべき対応は変わります。ある会社にとって適切だった対応が、別の会社には合わないこともあります。他社の例をそのまま当てはめず、自社の事情に即して判断する。そのために、専門家の見立てが役に立ちます。
そして、どの対応を取るにせよ、早く動くことが肝心です。時間がたつほど、相手の使用は広がり、既成事実として定着していきます。また、対応に必要な手がかりも、失われていきます。気づいたら、できるだけ早く動き出すこと。この初動の速さが、被害の広がりを食い止めることにつながります。
迷っている間にも、相手の使用は続き、その間の被害は積み上がっていきます。とりあえず様子を見よう、という判断が、後で高くつくことも少なくありません。少しでも気になったら、まず専門家に相談してみる。その一歩の早さが、結果として、大きな差を生むことになります。
商標権の侵害に対して取れる主な手段を、表にまとめました。
| 手段 | 内容 |
|---|---|
| 警告書の送付 | 使用をやめるよう求める。相手が知らずに使っていた場合はこれで解決することも多い |
| 差止め請求 | 使用の中止や、商標をつけた商品の廃棄を求める |
| 損害賠償請求 | 侵害で失った利益の賠償を求める。法律に損害額を推定する規定がある |
| 信用回復の措置 | 粗悪な品物で信用が傷ついた場合に、謝罪広告などを求める |
| 輸入の差止め | 侵害品が海外から入ってくる場合、税関に輸入を止めるよう申し立てる |
| 刑事告訴 | 商標権の侵害には10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(併科あり)、法人には3億円以下の罰金が定められている |
対応にあたって気をつけたいこと
対応を進めるにあたっては、いくつか気をつけておきたい点があります。ここを押さえておかないと、対応がかえって裏目に出ることがあります。慎重な進め方が、望ましい結果につながります。
まず、最も気をつけたいのが、思い込みで動かないことです。似ていると感じても、必ずしも自社の権利を侵しているとは限りません。自社の権利がどの範囲に及ぶのか、相手の使い方がそれに触れるのか。ここを確かめずに、一方的に決めつけて動けば、思わぬ反撃を受けることにもなりかねません。
根拠が十分でないまま、相手に強い調子で使用の中止を求めれば、逆に、こちらが不当な要求をしたと問題にされることもあります。自社の権利がどこまで及ぶのかを確かめずに動くことには、そうした危うさが伴います。まずは足元を固めてから動く。この順序を守ることが、身を守ることにもつながります。
次に、感情的に対応しないことも大切です。自社の大切な名前を勝手に使われれば、腹が立つのは当然です。しかし、感情に任せて強い調子で抗議すれば、相手も態度を硬化させ、解決が遠のきます。冷静に、事実と権利に基づいて、筋を通して対応する。その姿勢が、結局は望ましい解決につながります。
感情をぶつけても、相手が態度を変えることは、まずありません。むしろ、こちらの主張の正当性まで、疑わしく見られてしまいます。淡々と、事実と権利に基づいて申し入れるほうが、相手にも真剣さが伝わります。感情を抑えることは、弱腰ではなく、目的を達するための、賢明な選択です。
さらに、対応の記録を残しておくことも重要です。いつ、どのような申し入れをし、相手がどう応じたのか。その経緯を残しておけば、後で対応を進める際に、重要な手がかりになります。やり取りを記録に残す習慣が、いざというときに、会社の立場を支えることになります。
とりわけ、こちらから申し入れた事実と、その時期は、後々まで意味を持つことがあります。いつの時点で、相手に権利の存在を伝えたのか。それが分かるようにしておくことが欠かせません。口頭のやり取りだけで済ませず、形に残る方法を選ぶことも、考えておきたいところです。
そして、自己流で進めず、専門家に相談することです。この使い方が権利を侵しているのか、どのような対応が取れるのか、どう進めるべきか。これらの判断は、専門的で難しいものです。早い段階で専門家に相談することが、対応を誤らず、望ましい結果を得るための、確かな道になります。
自己流で対応を進めた結果、かえって不利な立場に立たされることもあります。この分野の判断は、微妙な線引きを含むことが多く、素人判断が通用しにくいのです。遠回りに見えても、まず専門家に相談し、方針を固めてから動く。それが、結果として最短で解決にたどり着く道になります。
日ごろから備えておきたいこと
商標をめぐる問題は、起きてから対応するよりも、日ごろから備えておくことで、その被害を大きく減らすことができます。地道な備えが、会社の大切な信用を守ります。
まず、最も基本となるのが、自社の大切な名前やしるしについて、権利として守っておくことです。使っているだけでは、十分に守れないこともあります。法律に定められた手続きを踏んで、権利として確保しておくことが、いざというときに、対応を取りやすくする前提になります。この備えの有無が、大きな差を生みます。
いざ問題が起きてから権利を確保しようとしても、間に合わないことがあります。守りたい名前やしるしがあるなら、それを使い始める段階で、権利として確保しておくことが望まれます。この備えがあるかどうかで、いざというときに取れる対応の幅は、大きく変わってきます。
次に、自社の商標が、どのように使われているかを、日ごろから把握しておくことも大切です。似たものが使われていないか、折にふれて確かめておけば、問題を早く見つけられます。早く気づくことが、早い対応の前提です。日ごろの目配りが、被害を小さく抑えることにつながります。
目配りといっても、大がかりな仕組みは要りません。折にふれて、自社の名前やしるしがどのように使われているかを確かめてみる。その程度でも、早期の発見につながります。日々の業務のなかに、こうした確認の習慣を組み込んでおくことが、確かな備えになります。
さらに、新たに名前やしるしを使い始める際には、それが他社の権利を侵さないかを、あらかじめ確かめておくことも欠かせません。守る側だけでなく、知らずに他社の権利を侵してしまう危険もあるからです。使い始める前に確かめておくことが、後の思わぬ問題を防ぐことにつながります。
新しい商品名や、しるしを考えるときは、期待に胸がふくらむものです。しかし、そこで確認を怠ると、後になって他社から指摘を受け、名前を変えざるをえなくなることもあります。すでに広く使ってしまった後では、その損失は小さくありません。使い始める前の確認が、大きな損失を防ぎます。
そして、いざというときに相談できる専門家を、あらかじめ見つけておくことも有効です。問題が起きてから相談先を探していては、対応が遅れます。日ごろから相談できる関係があれば、問題に気づいたときに、すぐに動けます。備えの段階から専門家と関わっておくことが、確かな守りにつながります。
備えの段階で相談しておけば、どの名前を、どのように守っておくべきかについても、助言を得られます。守りたいものが明確になり、必要な手当てが済んでいれば、いざというときの対応も、格段にたやすくなります。問題が起きる前の関わりこそ、最も費用対効果の高い専門家の使い方だといえます。
放置することの危うさ
自社の商標が使われているのを見つけても、対応が面倒だ、大したことはないだろう、といった理由で、放置してしまうこともあるかもしれません。しかし、放置には、大きな危うさが伴います。ここでは、その点について見ていきます。
まず、放置すれば、相手の使用は広がっていきます。時間がたつほど、その使用は世の中に定着し、既成事実となっていきます。早い段階なら、話し合いで簡単に収まったはずのことが、放置によって、大がかりな対応を要する事態に発展することもあります。
相手にとっても、使い始めて間もない時期であれば、名前を変える負担は小さくて済みます。しかし、看板を掲げ、顧客がつき、その名前で事業を築いた後では、簡単には引き下がれなくなります。早く伝えることは、相手にとっても、傷を浅くすることになるのだと考えれば、動きやすくなるかもしれません。
次に、放置している間にも、被害は積み重なっていきます。自社の商品と取り違えられて顧客が流れる、相手の評判が自社に跳ね返る。こうした被害は、目に見えにくいところで進みます。気づかないうちに、大切な信用が損なわれていた、ということにもなりかねません。
とりわけ、相手の商品や役務の質が良くない場合、その評判が、自社のものと取り違えられて広まることもあります。自社は何も落ち度がないのに、評判だけが傷つく。こうした被害は、後から回復するのが極めて難しいものです。ですから、早い段階で手を打つことに、大きな意味があります。
さらに、権利を主張せずに放置していると、自社の権利を守る姿勢そのものが、問われることにもなりかねません。会社が自ら権利を守ろうとしなければ、その権利は、次第に実質を失っていきます。権利は、主張してこそ意味を持つのだと、心得ておく必要があります。
自社が権利を守る姿勢を示すことは、ほかの相手に対する、無言の警告にもなります。逆に、侵されても何もしない会社だと見られれば、同じようなことが繰り返されかねません。一つひとつの対応が、自社の権利を守る土台を築いていくのだと捉えて、毅然と向き合うことが大事です。
もっとも、対応するといっても、やみくもに動くことではありません。放置するのでも、感情的に突き進むのでもなく、状況を正確に把握し、専門家の助言のもとで、適切な対応を選ぶ。その冷静な対応こそが、大切な信用を守る、確かな道になります。早く相談することから始めましょう。
放置と、感情的な突進。この二つは、正反対に見えて、どちらも冷静な判断を欠いている点で共通しています。どちらにも傾かず、事実を確かめ、権利を確認し、専門家の助言のもとで、最も効果的な手を選ぶ。その中庸を保つことが、結局は、大切な信用を守る最短の道になるのだと心得ておきたいところです。
自社の名前やしるしは、事業とともに育ててきた、かけがえのない財産です。それが脅かされているのなら、目をつぶるべきではありません。かといって、感情に任せて突き進むのも危うい。この記事が、冷静さと迅速さを両立させながら、大切な信用を守るための一助となれば幸いです。
侵害を見つけたら、相手に連絡する前に、次の証拠を残しておいてください。
- 相手の商品やパッケージの写真、購入したときの領収書
- ウェブサイトや通販ページの画面の保存(日付がわかる形で)
- 自社の商標登録証と、登録している商品やサービスの区分
先に警告を送ると、相手がページを消して証拠が残らなくなることがあります。どの手段を選ぶにしても、証拠を確保してから動くことが基本です。
会社が取り組むべきことと専門家の活用
ここまで、自社の商標が勝手に使われていたときの向き合い方、まず何をすべきか、取りうる対応、対応の注意点、日ごろの備え、そして放置の危うさまで見てきました。事実を正確に把握し記録すること。思い込みで動かないこと。早く、冷静に対応すること。そして、日ごろから権利として守っておくこと。これらが基本の姿勢になります。
会社の名前やしるしは、長年かけて築いてきた信用が凝縮された、大切な財産です。それが勝手に使われることを、放置してよいはずがありません。しかし、感情に任せて動けば、かえって事態を悪くすることもあります。冷静に、しかし早く動くこと。その両立が、大切な信用を守る鍵になります。
冷静さと迅速さは、一見すると相反するようですが、両立できます。感情を抑えて事実を確かめる作業は、決して時間をかけることではありません。むしろ、正確に把握するからこそ、その後の手が的確になり、結果として早く収まるのです。落ち着いて、しかし速やかに動く。それが、この問題への最善の向き合い方です。
とはいえ、この使い方が権利を侵しているのか、どのような対応が取れるのか、どう進めるべきか。判断を誤れば、対応が空回りしたり、思わぬ反撃を受けたりしかねません。少しでも不安があれば、自己流で進めず、専門家の助けを借りることをおすすめします。
とりわけ、自社の商標が使われているのを見つけた場面では、知的財産の問題にくわしい弁護士に相談することが有効です。弁護士は、その使用が権利を侵しているのか、どのような対応が取れるのかを、専門的な視点から具体的に示してくれます。早く相談することが、被害の広がりを食い止める鍵になります。
相談の際には、把握した状況と、残しておいた記録を持参すると、話が早く進みます。どこでどう使われているのか、自社の権利はどうなっているのか。その材料がそろっていれば、専門家も、すぐに具体的な見立てを示せます。準備を整えて相談することが、対応の速さを、さらに高めることにつながります。
自社の名前やしるしをどう守るか、新たに使うものに問題はないか。日ごろから助言を得られる関係を築いておけば、いざというときにも慌てずに済みます。会社の信用という大切な財産を守る。
名前やしるしをめぐる問題は、どの会社にも起こりうるものです。自社が侵される側になることもあれば、知らずに侵す側になってしまうこともあります。そのどちらにも備えておくことが、事業を安心して進めるための土台になります。日ごろから相談できる相手がいることの価値は、そこにあります。
商標の侵害に関するよくある質問
自社の商標が使われているのを見つけたら、まず何をすべきですか
すぐに相手に抗議したくなるかもしれませんが、どこで、どのような形で、どの範囲で使われているのかを、正確に確かめることが求められます。あわせて、その状況を記録として残しておきます。相手が使用をやめたり表示を変えたりすれば、後からその事実を示すのが難しくなるためです。そのうえで、自社の権利がどうなっているのかを確認し、専門家に相談して対応の方針を決めます。
どのような対応が取りうるのですか
まず、相手に対して使用をやめるよう申し入れることが考えられます。相手が権利を侵していることに気づいていない場合もあり、話し合いで解決に至ることも少なくありません。話し合いで解決しない場合は、使用をやめさせるための手続きや、生じた損害について責任を問うことも検討します。また、使用の範囲を限定してもらうなど、実情に応じた解決を図る道もあります。
対応するとき、どのようなことに気をつけるべきですか
最も気をつけたいのは、思い込みで動かないことです。よく似ていると感じられても、それだけで権利を侵していると決まるわけではありません。自社の権利がどの範囲に及ぶのか、相手の使い方がそれに触れるのかを確かめずに一方的に決めつけて動くと、思わぬ反撃を受けることもあります。あわせて、感情的に対応せず、やり取りの経緯を記録に残し、専門家に相談しながら進めることが肝心です。
商標の問題は、誰に相談すればよいですか
その使用が権利を侵しているのか、どのような対応が取れるのかといった判断は難しいため、知的財産の問題にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。放置すれば相手の使用は広がり、既成事実として定着してしまうこともあるため、気づいたら早く相談することが欠かせません。また、問題が起きてからだけでなく、自社の名前やしるしをどう守るかという備えの段階から相談しておくと安心です。
