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ビジネスにおける契約のトラブルを弁護士に相談する際の5つのポイント
この記事で分かること
- ビジネス相手と契約を交わすと、のちに契約トラブルになることがある
- 対処法としてはまずは話し合いから始め、解決できなければ裁判となる
- 弁護士に相談するときには要点をまとめていくと、効率よく話ができる
ビジネスには契約がつきものですが、ときに相手方とトラブルになることも。極力トラブルになる前に弁護士に相談しておくと、本格的なトラブルになるのを防ぐことができるでしょう。
目次[非表示]
ビジネス上で想定される契約トラブルとは?
どんなビジネスも順調であればよいのですが、法律が関わるようなトラブルは避けて通れないものです。中でも、ビジネス相手と契約を交わすときは、弁護士とともに契約内容を慎重に検討しなければ、後々トラブルになるケースがあります。その代表的なケースについて見ていきましょう。
売掛金を回収できない
「売掛金を回収できない」とは「物やサービスを売ったのに、代金を支払ってもらえない」という状況になったときのことを言います。お金を払ってもらえないと、資金繰りに困ったり、他の取引先にお金を支払えなくなって信用が低下したりするおそれがあります。そのため、できるだけ早く売掛金回収に動き出すことが必要です。
売掛金を回収するには、まず契約内容や相手方の状況(単に支払いを忘れているだけか、倒産状態なのか等)を確認します。次に、債権回収業者を利用するのか、保証を実行するか、仮差押えなどの法的手段に出るかなど、回収方法を決めます。
売掛金には時効があります。製造業・卸売業・小売業の売掛金は2年、工事・建築代金・設計費・自動車修理費は3年、その他の売掛金は5年で時効となります。時効が迫っている場合は「時効の中断」という手段もあるので、こちらについても併せて検討しましょう。
高額なリース契約をさせられた
「光回線への切り替えにより電話機が使えなくなる」「リース契約のほうが安い」と言って、電話機や複合機、セキュリティ機器などについて必要もないのに高額な料金でリース契約をさせる手口が横行しています。
しかし、リース契約は一度契約すると、廃業したとしても途中解約ができないのが一般的です。また、物件の規格・仕様・性能などに見えない欠陥がある場合でも原則として解約はできません。しかし、営業マンから嘘の説明を受けて契約した時は、契約が無効になったり取り消しができる可能性があります。
しかし、立証責任は自社側にある上に立証するのは非常に困難なので、リース契約をする際に、そのリース契約が本当に必要なものなのかをよく検討することをおすすめします。
契約違反をされた
契約書を交わした以上、契約の当事者はお互いに誠実さをもって契約書に書かれた義務をまっとうしなければなりません。しかし、「相手が契約内容のとおりに業務を行ってくれない」「相手が約束した日に商品を納品してくれなくて商売にならない」など、契約を結んでいても相手が約束を破って契約内容どおりの義務を果たさないケースもあります。
この場合は、相手方が債務を履行しない「債務不履行」となります。債務不履行が発生すると、約束を守っているほうにしてみれば不利益を被ることになるので、ある程度の期間を定めて履行するように催告し、相手方が応じなければ契約が解除できるようになっています。
契約したことでビジネス上のトラブルが起こったら?
契約書を交わしたビジネス相手とトラブルが起こったら、どんなトラブルでもまずは事実確認をした上で、相手方との話し合い(交渉)からスタートすることになります。その際、弁護士にも立ち会ってもらえるとスムーズでしょう。
ビジネス相手との契約トラブルが起きたときの対処方法とは
ビジネス相手と契約に関する何らかのトラブルが起こった場合、まずは相手方と話し合い(交渉)をして解決策を探ることが非常に大切となります。すぐに裁判に持ち込んでしまうと、お互いに多大な時間と費用を費やすことになるためです。
内容証明郵便を送る
交渉を始める第一歩として、相手方に内容証明郵便を送ります。自社の名前でも送ることはできますが、弁護士に相談の上、弁護士の名前で送ったほうが相手にプレッシャーを与える効果は大きくなるでしょう。内容証明郵便は万一の時は訴訟を起こす前提として送るものなので、相手方がしぶしぶ交渉に応じることも少なくありません。
契約解除する
相手方が契約内容どおりの義務を果たさない場合、契約解除をしなければこちらが契約内容を履行しつづけなければなりません。これでは不公平が生じるので、相手方に対し、相当の期間を定めて債務を履行するよう催告した上で、相手が応じなければ契約を解除することができます。この相当な期間が具体的にどれくらいの期間のことを指すのかについては、個別に判断することになります。
損害賠償を請求する
たとえば、「相手方が商品を納入してくれなかったせいで自社の商売が成り立たなくなって売上が落ちた」など、相手方が契約内容を履行しないことで自社に損害が生じることがあります。この場合、契約解除だけでは損失をカバーしきれないため、相手方に損害賠償を請求することが可能です。請求するときは、損失額を証明できる書類を用意した上で、損失金額に過不足なく請求することが大切です。
訴訟を提起する
相手方との協議が整わなければ、最終手段として裁判を起こすことになります。裁判に勝つためにはできるだけ証拠や証言者をそろえて臨むことが必要ですが、裁判で勝敗を決するよりも和解に持ち込んで円満に解決するほうが後々利益になることもあるでしょう。判決で勝敗を決めたほうがいいのか、和解したほうがいいのかについては、個々のケースによります。
ビジネス相手と契約トラブルになったときには、まず弁護士に相談!
法人や事業主の場合は、ビジネス相手と契約トラブルになっても消費生活センターに相談することはできません。そのため、まずは企業法務の中でもB to B(法人対法人)の契約トラブルについて詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談する際のポイントは5つ!
弁護士に実際に相談するときには、気をつけるべき5つのポイントがあります。これらのポイントをしっかり守れば、弁護士も状況を把握しやすくなって、より早く解決に向けて動き出すことができるでしょう。
- 契約トラブルが起こったら、できるだけ早めに相談する
- 事実関係をメモにまとめる
- 関係書類をすべて持参
- ありのままの真実を話すこと
- 遠慮なく質問する
①契約トラブルが起こったら、できるだけ早めに相談する
まずは、「相手方ともめて契約トラブルに発展しそう」となったら、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。初動が早ければ早いほど、本格的なトラブルになるのを回避・防止することができます。
②事実関係をメモにまとめる
法律相談ができる時間は限られています。その限られた時間の中で、起こった問題を順序立てて話すことは難しいのではないでしょうか。大事なポイントを漏れなく弁護士に伝えるためには、簡単に事実関係をメモして持っていくことをおすすめします。当事者が複数いる場合は相関関係を図で示してもよいでしょう。
③関係書類をすべて持参
弁護士に話をするときは、契約書だけでなく、関係書類をすべて持参することも大切です。契約書以外の書類から重要なことがわかったり、問題解決への糸口が見つかることがあります。また、相手方とやり取りしたメールも印刷して持参すると、弁護士に事態をより把握してもらいやすくなるので便利です。
④ありのままの真実を話すこと
自分に不利になることは誰しも話したくないものです。しかし、弁護士にすべて包み隠さず話をしなければ、弁護士が正しく物事を把握できず、誤った判断をしてしまうこともあります。また、後になって相手方から自社に不利になる事実を暴露されて問題がより深刻化する可能性も否定できません。弁護士にしにくい話ほど、先に話しておいたほうが良いでしょう。
⑤遠慮なく質問する
弁護士にはせっかく時間を割いて法律相談に応じてもらっているので、聞きたいことはすべて聞いておかなければもったいないと言えます。弁護士と話をしていく中で、何か気になることや疑問に思うことがあれば、何でも聞いてみましょう。
ビジネスで契約を結ぶ際には、弁護士にチェックしてもらうとトラブル防止に
契約トラブルに陥らないためには、そもそも契約を結ぶ前に弁護士に契約書の内容についてチェックしてもらうのがベストです。弁護士に契約内容のチェックを依頼すれば、争いになりそうな火種を契約の段階でなくしておくことができます。そうすれば、余計なトラブルも回避できるでしょう。
法的リスクを低減し、安定したビジネス運用を実現
- ライバル企業や顧客から訴訟を起こされた
- 取引の中で法令違反が発覚した
- 契約書作成時の法務チェック
- ネット上での風評被害・誹謗中傷
- M&A・事業展開・リストラ時の法的リスクの確認