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パワハラでうつ病・休職|会社に問われる責任とは
職場でのパワハラが原因で、社員が心を病み、うつ病になって休職してしまった。そうした事態は、決して他人事ではありません。どの職場でも、起こりうることです。そんなとき、会社はどんな責任を問われるのか。どう対応すればよいのか。経営者にとって、頭を悩ませる問題です。まずは、パワハラと、それによる心の不調をめぐって、会社が置かれる立場を、正しく理解することから始めましょう。
パワハラという言葉は、今では広く知られています。しかし、それが原因で社員が休職したとき、会社にどんな責任が生じるのか、どう対応すべきなのかまでは、はっきりとは分からない、という方も少なくないでしょう。この記事では、その点を、順を追って見ていきます。会社としての備えを、ここで固めておきましょう。適切な理解が、いざというときの対応を支えます。
パワハラの問題は、感情も絡むだけに、対応を誤ると、こじれて長引きやすいものです。しかも、社員の心身の健康や、会社の責任という、重いものが関わっています。だからこそ、思いつきや感情で対応するのではなく、正しい理解に基づいて、冷静に対応することが求められます。会社の責任や、対応の考え方を、しっかり押さえておくことが大切です。
パワハラとは、職場において、立場の優位性などを背景に、業務上必要な範囲を超えて、相手に精神的あるいは身体的な苦痛を与える言動などをいいます。上司が部下に、あるいは先輩が後輩に、指導の範囲を超えて厳しく当たったり、人格を否定するような言葉を投げつけたりする。そうした言動が積み重なると、受けた側の心は深く傷つき、やがてうつ病などの不調に至ることもあります。
心の傷は、体の傷と違って、外からは見えにくいものです。それだけに、周りが気づいたときには、すでに深刻な状態になっていることも少なくありません。パワハラを受けた社員が、無理を重ねて働き続けた末に、ある日突然、心が折れてしまう。そうした事態も起こりえます。見えない苦しみが積み重なっていることに、周りが早く気づけるかどうかが、大切になります。
ここで大切なのは、職場でパワハラが起きたとき、その責任は、加害者となった個人だけの問題にとどまらない、という点です。会社には、社員が安全に、健康に働ける環境を整える責任があります。パワハラが横行し、それによって社員が心身を害したとき、会社は、こうした責任を十分に果たしていなかったとして、責任を問われることがあります。パワハラは、会社全体で向き合うべき問題です。
ここで押さえておきたいのは、パワハラは、当事者間の個人的ないざこざではなく、会社が責任をもって防ぎ、対応すべき職場の問題だという発想です。加害者と被害者の間のことだから会社は関係ない、と考えるのは誤りです。職場で起きた以上、会社には、それを防げなかった責任と、起きた後に適切に対応する責任があります。この認識が、パワハラ問題に向き合う出発点になります。
この記事では、パワハラをめぐって会社にどんな責任が生じるのか、社員がうつ病などで休職したとき会社はどう対応すべきか、そしてパワハラをどう防げばよいのかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。パワハラという難しい問題に、会社として適切に向き合えるよう、基本をしっかり理解しておきましょう。
パワハラの問題は、放置すれば、社員の心身を損なうだけでなく、会社にとっても大きな痛手となりかねません。ですから、いざ問題が起きてから慌てるのではなく、あらかじめ、会社の責任や対応の考え方を理解しておくことが大切です。備えがあれば、パワハラの訴えに直面しても、慌てず、適切に対応を進められます。
パワハラで会社が問われる責任
職場でパワハラが起き、社員が心身を害したとき、会社はどんな責任を問われるのでしょうか。ここを理解しておくことは、パワハラの深刻さを正しくとらえるうえで欠かせません。会社が問われうる責任について見ていきます。責任の所在を知ることが、適切な対応の出発点になります。
まず知っておきたいのは、会社には、社員が安全に、健康に働けるよう配慮する責任がある、ということです。社員を雇う以上、会社は、その社員が心身を害することなく働けるよう、職場の環境を整える責任を負っています。パワハラが横行するような職場は、この責任が果たされていない状態だといえます。会社は、パワハラを防ぎ、起きたときには適切に対応する責任を負っています。
この責任は、単なる努力目標ではありません。社員の心身の健康は、その人の人生そのものに関わる、かけがえのないものです。それを守る責任を、会社は現実に負っています。パワハラを軽く見て、この責任をないがしろにすれば、社員を苦しめるだけでなく、会社自身も、その責任を厳しく問われることになります。責任の重さを、正しく受け止めることが肝心です。
この責任を十分に果たしていなかったために、社員がパワハラで心身を害したという場合、会社は、その責任を問われることがあります。パワハラが起きているのを知りながら放置していた、あるいは、そもそもパワハラを防ぐ手立てを講じていなかった。そうした事情があれば、会社は、社員が被った損害について、責任を負うことになりかねません。見て見ぬふりは、許されません。
会社が責任を問われやすいのは、たとえば次のような場合です。いずれも、会社が果たすべき責任を怠っていたと見られる状況です。
- パワハラが起きているのを知りながら、放置していた場合。
- そもそもパワハラを防ぐ手立てを、何も講じていなかった場合。
- 訴えがあったのに、事実を確かめず、対応しなかった場合。
- 訴えた社員を、かえって不利に扱ったような場合。
こうした事情があると、会社は、社員が被った損害について責任を負うことになりかねません。逆にいえば、日ごろから防ぐ手立てを尽くし、訴えに誠実に対応していれば、そうした責任を避けることにもつながります。
ここで注意したいのは、パワハラの加害者本人だけでなく、会社もまた責任を問われうる、という点です。パワハラは、直接には加害者となった個人の言動ですが、それが職場で起きたことである以上、会社の責任も問われます。加害者個人の問題として片づけ、会社は関係ないと考えるのは、誤りです。会社もまた、当事者として、責任をもって向き合わなければなりません。
「加害者を処分すれば、それで会社の役目は終わり」と考えるのは、早計です。なぜそのようなパワハラが起きたのか、防げなかった職場の側に問題はなかったのか。そこまで踏み込んで振り返らなければ、また同じことが繰り返されかねません。加害者への対応と、会社としての振り返り。その両方があってはじめて、パワハラの問題に、本当の意味で向き合ったといえます。
もっとも、どのような場合に、どこまでの責任が会社に生じるのかは、個々の事情によって変わってきます。パワハラといえる言動があったのか、会社がそれを防ぐ手立てを尽くしていたのか。そうした事情を踏まえて、責任の有無や程度が判断されます。この判断は、専門的な検討を要するものです。責任をめぐる問題に直面したときは、弁護士に相談することをおすすめします。
会社の責任が問われるかどうかは、パワハラといえる言動があったかだけでなく、会社がそれにどう対処していたかにも大きく左右されます。同じようにパワハラが起きても、会社が防止に努め、訴えに誠実に対応していたか否かで、結論は変わりうるのです。つまり、日ごろの取り組みそのものが、いざというときの会社の立場を左右します。そのため、平時の備えが重要になります。
パワハラで社員が心身を壊したとき、会社に問われる責任は一つではありません。
| 責任 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 使用者責任 | 民法715条 | 上司が業務のなかで行ったパワハラについて、会社も賠償の責任を負う |
| 安全配慮義務違反 | 労働契約法5条 | 社員の心身の健康を守る配慮を怠ったとして、会社自身が責任を負う |
| 防止措置の義務 | 労働施策総合推進法 | 2022年4月から中小企業も含めて義務。怠ると行政の指導や勧告の対象になる |
| 労災の認定 | 労働者災害補償保険法 | パワハラによる精神障害が業務上の病気と認められることがある |
社員がうつ病などで休職したときの対応
パワハラなどが原因で、社員がうつ病になり、休職することになったとき、会社はどう対応すればよいのでしょうか。慌てず、適切に対応するために、対応の考え方を知っておくことが欠かせません。休職への対応を見ていきます。丁寧な対応が、社員の回復と、会社への信頼を支えます。
まず大切なのは、休職に入る社員が、安心して療養に専念できるようにすることです。心を病んだ社員にとって、まず必要なのは、ゆっくりと休み、回復に努めることです。休職中の扱いや、その後どうなるのかといった不安を抱えたままでは、療養にも専念できません。会社は、休職に関わる扱いを丁寧に説明し、社員が安心して休めるよう配慮することが大事です。
休職に入る社員が最も不安に思うのは、この先どうなるのか、という点です。いつまで休めるのか、休んでいる間の扱いはどうなるのか、また戻れるのか。こうした点があいまいなままでは、安心して休めません。会社が、これらについて丁寧に説明し、見通しを示すことで、社員は不安をやわらげ、療養に専念できます。丁寧な説明そのものが、回復への支えになります。
次に、休職の原因が、職場のパワハラにあると考えられる場合には、その事実にも、真摯に向き合う必要があります。社員が心を病んだ背景に、パワハラがあったのであれば、その問題から目をそらしてはなりません。何が起きていたのかを確かめ、原因となった問題に、会社として向き合う。それが、同じことを繰り返さないための、そして会社の責任を果たすための、第一歩になります。
原因から目をそらして、社員個人の問題として片づけてしまえば、パワハラの温床はそのまま残ります。そして、また別の社員が、同じように苦しむことになりかねません。一人の休職を、職場を見つめ直す機会ととらえ、原因に正面から向き合う。その姿勢があってこそ、パワハラの連鎖を断ち切れます。問題の根に手を届かせることが、真の解決につながります。
そして、休職した社員の、その後の職場復帰についても、あらかじめ考えておくことが求められます。休職は、いずれ回復して職場に戻ることを前提としたものです。社員が安心して復帰できるよう、どのような形で迎え入れるのかを、あらかじめ考えておく。とりわけ、パワハラが原因であった場合には、同じ環境にそのまま戻すことのないよう、慎重な配慮が求められます。
せっかく回復して職場に戻っても、パワハラの原因がそのまま残っていれば、再び心身を害しかねません。それでは、休職の意味も失われてしまいます。復帰にあたっては、原因となった問題が解消されているか、同じことが繰り返されない環境が整っているかを、しっかり確かめることが肝心です。社員が安心して戻れる場を用意することが、真の意味での復帰支援です。
また、こうした対応の全体を通じて、社員の状況に寄り添う姿勢を持つことが欠かせません。心を病んだ社員は、深い苦しみのなかにいます。そうした社員に対して、会社が事務的な対応に終始したり、冷たく突き放したりすれば、信頼は決定的に損なわれます。社員の苦しみを理解しようとし、誠実に向き合う。その姿勢が、社員の回復を支え、会社への信頼を守ります。
心を病んだ社員にとって、会社が自分をどう扱うかは、回復にも影響する切実な問題です。会社が親身に寄り添ってくれると感じられれば、それが心の支えとなり、療養にも前向きになれます。反対に、厄介者のように扱われれば、傷はいっそう深まります。困難な状況にある社員にこそ、あたたかく寄り添う。その姿勢が、人を大切にする会社の証しです。
パワハラかどうかの見きわめの難しさ
パワハラをめぐる問題で難しいのは、ある言動がパワハラにあたるのかどうかの、見きわめです。厳しい指導と、パワハラとの境目は、必ずしもはっきりしているわけではありません。この見きわめの難しさについて、見ていきます。慎重な判断が求められる場面です。
パワハラかどうかを考えるうえで、一つの目安となるのは、その言動が、業務上必要な範囲を超えているかどうかです。仕事を進めるうえで必要な指導や注意であれば、多少厳しくても、直ちにパワハラとはいえません。一方、業務上の必要を超えて、相手の人格を否定したり、過度に苦痛を与えたりする言動は、パワハラと評価されうるものです。この境目の見きわめが、判断の鍵になります。
大切なのは、指導という名目さえあれば何をしてもよい、というわけではない、という点です。目的が正当な指導であっても、その手段が度を越して相手を傷つければ、それはもはや指導とはいえません。逆に、言葉は厳しくても、必要な範囲にとどまり、相手の成長を思ってのものであれば、パワハラとはされにくいものです。目的と手段の両面から、丁寧に見きわめる必要があります。
しかし、この境目は、実際にはとても微妙です。同じような言葉でも、どのような状況で、どのような意図で発せられたかによって、受け止め方は変わります。指導のつもりだった、という言い分と、パワハラを受けた、という訴えとが、対立することも少なくありません。それゆえ、パワハラかどうかの判断は、一方の言い分だけで決めつけるのではなく、慎重に見ていく必要があります。
ここで会社に求められるのは、どちらか一方に偏ることなく、事実を丁寧に確かめる姿勢です。訴えを頭から否定するのでも、逆に、一方的に加害者とされた側を断罪するのでもなく、何が起きていたのかを、公平に確かめる。そうした慎重な対応が、パワハラをめぐる問題を、こじらせずに解決するうえで欠かせません。拙速な判断は、かえって事態を悪化させかねません。
事実を確かめずに、一方の言い分だけで結論を出せば、必ずどこかに不公平が生じます。訴えが正当だったのに軽く扱えば、被害者はさらに傷つきます。逆に、十分な確認もなく加害者と決めつければ、不当に扱われた側との間で、新たな争いが生まれます。どちらの過ちも避けるには、時間をかけてでも、事実を丁寧に確かめることが欠かせません。急がば回れの姿勢が求められます。
こうした見きわめは、専門的な知見を要する、難しい判断です。自己流で判断して対応を誤れば、被害を受けた社員をさらに傷つけたり、逆に、不当に加害者とされた社員との間で新たな問題を生んだりしかねません。パワハラかどうかの見きわめや、その後の対応に迷うときは、弁護士の力を借りるのが確実です。慎重な対応が、二次的な問題を防ぎます。
パワハラの問題は、最初の対応を誤ると、そこから新たな問題が次々と生じることがあります。被害者がさらに傷つく、加害者とされた側が反発する、周りの社員が会社への不信を募らせる、といった具合です。こうした二次的な問題を防ぐには、最初の段階から、慎重で公平な対応を心がけることが欠かせません。入り口での丁寧な対応が、その後の展開を大きく左右します。
パワハラをめぐって会社が気をつけたいこと
パワハラをめぐっては、会社の対応の仕方によって、事態が大きく変わってきます。会社が気をつけたい点を見ていきます。対応を誤らないための心構えです。
まず気をつけたいのは、パワハラの訴えを、軽く扱ったり、放置したりしないことです。社員からパワハラの訴えがあったとき、大したことではない、と決めつけて放置すれば、問題はさらに深刻になります。そればかりか、訴えを放置したこと自体が、会社の責任を重くすることにもなりかねません。訴えには、真摯に耳を傾け、きちんと対応することが大事です。
次に気をつけたいのは、パワハラを訴えた社員に対して、不利益な取り扱いをしないことです。パワハラを訴えたことを理由に、その社員を不当に扱うようなことは、あってはなりません。そうした対応は、それ自体が新たな問題となるだけでなく、社員が安心して声を上げられない職場をつくってしまいます。声を上げた社員を守ることが、健全な職場を保つうえで欠かせません。
パワハラを訴えた社員が、そのことで不利に扱われるようでは、誰も安心して声を上げられなくなります。そうなれば、パワハラは水面下に潜り、かえって深刻化します。声を上げやすい職場をつくることは、パワハラを早く見つけ、対処するための、大切な条件です。訴えた社員を守る姿勢こそが、結局は、職場全体を守ることにつながります。
また、パワハラをめぐる対応は、公平さを保つことが求められます。訴えた側の話だけを聞くのでも、逆に、訴えられた側をかばうのでもなく、双方から事実を確かめ、公平に判断する。感情に流されず、事実に基づいて冷静に対応することが求められます。公平な対応は、関わったすべての社員の納得を得るうえでも、欠かせないものです。偏った対応は、新たな不信を招きます。
会社の対応を、社員はよく見ています。公平に、誠実に対応していれば、たとえ難しい問題でも、社員の納得を得やすくなります。反対に、対応が偏っていたり、いいかげんだったりすれば、関わった社員だけでなく、周りの社員までもが会社への信頼を失います。パワハラへの対応は、その一件だけの問題ではなく、会社全体の信頼に関わることです。
パワハラを防ぐための備え
パワハラは、起きてから対応するだけでなく、そもそも起こさないよう備えることが、何より大切です。日ごろの取り組みが、社員を守り、会社を守ります。パワハラを防ぐための備えについて、見ていきます。予防こそが、最良の対応です。
まず大切なのは、パワハラを許さないという会社の姿勢を、はっきりと示すことです。会社が、パワハラは決して許さない、という方針を明確にし、それを社員に伝える。そうした姿勢が示されていれば、パワハラは起きにくくなりますし、万一起きたときにも、対応しやすくなります。会社の明確な姿勢が、パワハラを防ぐ土台になります。トップの意思表示が、職場の空気をつくります。
経営者が、パワハラを本気で許さないと考えているかどうかは、社員に伝わるものです。トップが明確な姿勢を示せば、職場全体に、パワハラは許されないという意識が根づきます。反対に、経営者がパワハラを軽く見ていれば、その空気は職場に広がり、パワハラが起きやすくなります。パワハラのない職場をつくれるかどうかは、まず経営者の姿勢にかかっています。
次に、社員が安心して相談できる仕組みを整えることも欠かせません。パワハラを受けても、誰にも相談できずに一人で抱え込んでいては、被害は深刻になる一方です。困ったときに、安心して相談できる窓口を用意しておく。そうすれば、パワハラの芽を早い段階でつかみ、深刻化する前に対応できます。相談できる場があることが、社員を守る備えになります。
また、何がパワハラにあたるのかを、社員に理解してもらうことも大切です。パワハラをするつもりはなくても、無自覚のうちに、相手を傷つける言動をしてしまうこともあります。どのような言動がパワハラにあたるのかを、社員が理解していれば、そうした無自覚な加害を防げます。一人ひとりの理解を深めることが、パワハラのない職場づくりにつながります。学びの機会を設けることも有効です。
何がパワハラにあたるのかは、人によって理解に差があります。自分では熱心な指導のつもりでも、相手には過度な苦痛と受け取られていることもあります。そうした認識のずれを埋めるには、パワハラについて学ぶ機会を設けることが役立ちます。一人ひとりが正しい理解を持てば、無自覚な加害も、行き過ぎた指導も、減らしていけます。学びが、予防の土台を築くのです。
休職した社員の復職は、次の流れで進めます。
- 主治医から復職が可能だという診断書を出してもらう。
- 産業医などの意見を聞き、職場で働ける状態かを確かめる。
- 本人と面談し、配属先や勤務時間、業務の量を決める。
- 短時間勤務から始めるなど段階的に戻し、定期的に様子を確かめる。
パワハラが原因の休職であれば、行為者と同じ部署に戻すかどうかは慎重に判断してください。加害とされた上司の異動や、担当業務の切り分けなど、本人が安心して働ける環境を整えることが、再発の防止にもつながります。
会社が取り組むべきことと弁護士の活用
ここまで、パワハラをめぐる会社の責任と、休職への対応、そして予防について見てきました。
まず心がけたいのは、パワハラを、決して軽んじないことです。パワハラは、社員の心身を深く傷つけ、時にその人生を大きく損なう、重大な問題です。また、会社にとっても、責任を問われる深刻な問題になりえます。パワハラを、個人間のいざこざとして軽く見るのではなく、会社全体で向き合うべき重大な問題としてとらえる。その認識が、適切な対応の出発点になります。
次に、パワハラをめぐる対応は、専門的な判断を要することを踏まえ、無理に自社だけで抱え込まないことです。パワハラかどうかの見きわめ、会社の責任をめぐる問題、休職や復帰への対応など、パワハラには、判断の難しい場面が数多くあります。あいまいなまま進めて、対応を誤れば、事態をさらにこじらせかねません。
また、パワハラを防ぐための備えを、日ごろから怠らないことも大切です。パワハラを許さない姿勢を示し、相談できる仕組みを整え、社員の理解を深めていく。そうした地道な取り組みが、パワハラを未然に防ぎます。パワハラへの最良の対応は、そもそもパワハラを起こさないことです。事後の対応だけでなく、平時の予防にこそ、力を入れたいところです。
パワハラが起きてしまってからでは、被害者が受けた傷を、なかったことにはできません。会社が責任を問われる事態も、避けにくくなります。ですから、最も大切なのは、そもそもパワハラを起こさないことです。許さない姿勢を示し、相談の場を整え、社員の理解を深める。こうした平時の地道な備えこそが、パワハラから社員と会社を守る、最も確かな道です。
パワハラをめぐる会社の責任や、社員の休職への対応、パワハラを防ぐための備えに不安があるときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士の力を借りれば、パワハラかどうかの見きわめや、会社の責任をめぐる問題に、適切に対応できます。日ごろから相談できる関係を築いておくと、パワハラの問題が生じたときにも、落ち着いて対応できます。
パワハラの問題は、いつ、どのような形で持ち上がるか分かりません。そのため、いざ訴えを受けてから慌てて相談先を探すのではなく、日ごろから会社の事情を分かってくれる弁護士とつながっておくことに意味があります。ふだんから関係があれば、問題が起きた直後から、すぐに助言を得ながら対応を進められます。その備えが、こじれを防ぐ何よりの支えになります。
パワハラと休職に関するよくある質問
パワハラで社員が休職したら、会社も責任を問われますか
会社には、社員が安全に、健康に働けるよう配慮する責任があります。この責任を十分に果たしていなかったために、社員がパワハラで心身を害したという場合には、会社もその責任を問われることがあります。パワハラは加害者個人だけの問題ではなく、会社もまた当事者として責任を負いうるのです。責任をめぐる判断は難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。
社員がうつ病で休職したら、会社はどう対応すべきですか
休職に入る社員が安心して療養に専念できるよう、休職に関わる扱いを丁寧に説明することが肝心です。原因が職場のパワハラにあると考えられる場合には、その事実にも真摯に向き合う必要があります。また、その後の職場復帰についてもあらかじめ考えておき、パワハラが原因なら同じ環境にそのまま戻すことのないよう、慎重に配慮することが求められます。
厳しい指導とパワハラは、どう違うのですか
一つの目安は、その言動が業務上必要な範囲を超えているかどうかです。仕事に必要な指導であれば、多少厳しくても直ちにパワハラとはいえませんが、業務上の必要を超えて人格を否定したり、過度に苦痛を与えたりする言動は、パワハラと評価されうるものです。ただしこの境目は微妙で、判断は難しいため、迷うときは弁護士に相談するとよいでしょう。
パワハラの問題で不安があるときは、どこに相談すればよいですか
パワハラかどうかの見きわめや、会社の責任をめぐる問題、社員の休職や復帰への対応で判断に迷うときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。対応を誤ると、社員をさらに傷つけたり、会社の責任を重くしたりしかねません。平時から相談できる体制を整えておけば、パワハラの問題が生じたときにも、慌てず適切に対応を進めやすくなります。
