労災認定とは?労災が認められる基準と補償内容、実際の手続きの流れ

この記事で分かること
  1. 労災とは、仕事中に怪我や病気、または死亡してしまったケースのこと
  2. 労災は労働基準監督署に申請することで、様々な補償が受け取れるようになる
  3. 労災認定の際にトラブルが起きてしまったら、弁護士に相談すること

働き方改革という言葉とあいまって、「労災」という言葉も聞くようになりました。特に最近では、労働をしすぎて精神が病んでしまった結果、自殺してしまった場合も「労災」だと認定されることが話題になりました。今回は労災について紹介していきます。

労災とは?~労災認定を知る前に~

まず労災とは何でしょうか。労災とは、「労働災害」の略で、仕事中に怪我や病気、または死亡してしまったケースのことをいいます。これには精神的な病も含まれており、例えばセクシャルハラスメントやパワーハラスメントで精神的なダメージを受けた場合も、労災だと認められることがあります。さらに、通勤途中や会社の廊下で怪我をしたとしても労災だと認められます。

労災認定とは?

労災認定とは、ある怪我や病気、死亡の原因が「仕事に関係のあるものだ」と認められることです。この労災認定は、労働基準監督者が行うもので、その怪我や病気の原因となった労働環境がどのようなものであったかなどを調査して行います。この労災認定の基準には主に2つあると言われています。それは「業務遂行性」と「業務起因性」です。

① 業務遂行性

業務遂行性とは、ある怪我や病気をしたときに仕事をしている状態だったか否か、ということを指しています。このため、例えば仕事上の接待や飲み会などでお酒を飲んで転んでしまったり、怪我をしたりしたといった場合は労災に含まれることになります。

繰り返しになりますが、業務遂行性とは、ある怪我や病気、死亡したときにそれが業務を遂行する上でのことだったのかという判断基準のことです。そのため、もし通勤中に怪我をしたのであれば、それは労災に認定されますが、退社時に少し遠くのショッピングモールへ行った際に怪我をしたという場合には労災だと認められません。

② 業務起因性

業務起因性とは、その名の通り怪我や病気、業務に起因しているかどうかということを意味しています。例えば仕事の外回りの時に、歩道橋の階段から落ちたとします。その場合、それが本当に仕事上必要で歩いていたとしたら、労災に認定されます。

しかし、仕事上必要なルートを歩いていたとしても、歩道橋の階段から落ちた理由が、一緒に同行していた上司とのプライベートな口喧嘩や、道行く人との争いであった場合は労災だと認められません。

精神病の場合は?

目に見える怪我の場合は、労災の認定を出してもらうことも比較的簡単ですが、精神病の場合は何が精神病の元になったのか把握するのは難しいです。

もし、日常的にいじめや罵倒があるのだとすれば、しっかりと録音をしたり、怪我の跡の画像をとったり、言われたことやその日時をメモしたりと証拠を集めるようにしましょう。さらに、専門家の診断を受け、診断書も取得するようにしておきましょう。

セクシャルハラスメントは労災になる?

多くの女性にとって、セクシャルハラスメントは強い心理的なダメージを与えます。そのため、セクシャルハラスメントによって与えられた精神的なダメージが原因となって精神病になった場合は、労災認定することができます。労災の認定の他にも、慰謝料の請求等を行うことができます。もしセクシャルハラスメントをされた場合は、専門の弁護士に相談すると良いでしょう。

労災保険に入っていなかった場合は?

労災と認定されると補償金が出ますが、そのお金は労災保険から出ます。しかしもし、会社の経営者が労災保険に加入していなかったらどうなるのでしょうか。その場合も労働者であれば、心配いりません。ただ、加入していなかった経営者にペナルティーが与えられることになります。

ワンポイントアドバイス
単純な怪我であれば労災認定されて終わりかもしれません。しかし、その場合に嫌がらせやいじめがあった場合は傷害事件として訴えることもできます。もし、困ったことがあれば専門の弁護士に相談しましょう。

労災認定の補償内容について

労災は、ただ認定されて終わりというわけではありません。労災認定がされると、次のような補償がされます。

休業補償

休業補償とは、仕事ができなかった分のお金を保証してもらえることを意味しています。この休業補償の金額は、もらっていた給料の8割だと定められており、どのような仕事をしていたかによって変わってきます。例えば、高い給料をもらっている仕事だった場合は、休業補償も高くなり、安い給料の仕事であった場合は休業補償も安くなります。しかしここには、ボーナスや臨時収入などは含まれませんので、実際の年収の8割よりは少なくなるかもしれません。

療養補償

療養補償とは、怪我や病気の場合の医療費を国が支払ってくるくれることを意味しています。治りやすい怪我であった場合は、そのまま完治までお金が支払われますが、後遺症が残ってしまった場合などは、もうこれ以上病状が回復しないというように症状が固定された段階で打ち切りになります。

障害補償

障害補償とは、労働が原因となった怪我や病気によって、後遺症が残ってしまった場合に支払われる補償のことをいいます。ある症状が後遺症かどうかは、お医者さんに決めてもらうしかありません。後遺障害には、等級が定められており、最も重い状態の際には高額の傷害補償になります。

介護補償

介護補償とは、仕事で怪我や病気をした際に必要になった介護費用の補償を意味しています。この介護補償には、老人ホームや病院等の費用は含まれません。比較的重い怪我や病気の場合に、有料介護サービスを受けている場合に補償されます。

遺族補償

遺族補償とは、労災事故によって労働者が死亡してしまった場合の補償になります。遺族補償には「遺族特別支給金」と「遺族補償年金」があり、「遺族特別支給金」は一律で300万円、「遺族補償年金」は生前の給与の額に応じて金額が決められます。

葬祭料

もし死因が労災であることが認められれば、お葬式の費用も補償がされます。

ワンポイントアドバイス
労災認定には、会社側が非協力的な場合があります。また、なかなか労働が労災の原因になったことを認めようとしない場合もあります。そのような時には、弁護士と力を合わせて証拠を集めたり、訴えたりする必要が出てくるでしょう。慰謝料に関しても、適切な金額になるかもしれません。もし、労災認定の際にトラブルが起きた場合は、弁護士に相談するようにしましょう。

労災認定を受けるための手続き

仕事をしている途中に怪我や病気になったからといって、自動的に労災認定されるわけではありません。労災認定をされるためには、まず勤務していた会社を管轄している労働基準監督所に必要書類を提出しなければなりません。管轄の労働基準監督所については、会社に聞いたり、インターネットで調べたりすることでわかります。

病院でかかるお金について

先ほども言ったように、労災には療養補償がありますので、治療にかかるお金は実質無料になります。しかし、この補償を受け取るためには2つのルートがあり、1つは労災指定病院で治療受けた場合、もう一つはそうではない病院で治療を受けた場合です。

労災指定病院で治療受ける場合

一般の病院の中には、労災指定病院という種類の病院があります。ここで治療を受ける場合は、労災であることを伝えて資料を入手し、それに記入して提出すれば補償が受け取れます。一時的に立て替え払いになってしまうこともあるのですが、労災の場合は請求される金額が低く抑えられています。

それ以外の病院で治療を受ける場合

労災指定病院以外の病院で治療を受けた場合は、あとで労働基準監督署に立て替えた分の治療費を支払ってもらうという手続きが必要になります。国民健康保険で治療を受けていた場合は、労災認定された後に労災保険に切り替える必要も出てきます。必要となってくる書類は、まず労災を認める職場の書類と、治療を受けたという病院の書類の2つです。

会社が労災を認めてくれなかった場合の手続き

労災の補償は、正社員だけではなく、アルバイトやパートでも受けることができます。本来は、会社側に労災が発生したことを報告する義務がありますが、会社の中には自発的に報告を行わないところがあるようです。このような場合は、自分で労働基準監督所に申請をするか、弁護士に依頼し手続きをしてもらう必要があります。

労災の補償以外にも、慰謝料が受け取れる?!

訴えを起こす場合には、費用がかかってしまいますが、慰謝料や損害賠償なども請求することができます。会社側が安全配慮を怠っていた場合や、いじめやパワーハラスメント、セクシャルハラスメントを止めなかった場合に、慰謝料や損害賠償を求めて裁判を起こす方もいます。

ワンポイントアドバイス
慰謝料や損害賠償等の金額は、弁護士に相談するのとしないのとでは大きく変わる場合があります。もし、労災認定だけで不満がある場合は、一度弁護士に相談するようにしましょう。良い解決方法を見出してくれるかもしれません。

労災認定のトラブルは弁護士に相談!

労災とは、仕事をしていた際に起こった怪我や病気、死亡などを指します。労災かどうかを認めることを労災認定といいますが、この労災認定には「業務遂行性」と「業務起因性」という2つの要素が重要になってきます。「業務遂行性」とは、怪我をしたのが業務の遂行上関係のある出来事や場所によるものだったのかということを判断する基準で、「業務起因性」とは、その怪我や病気、死亡が業務に起因しているのかということを判断する基準になります。

労災が認定されれば、休業補償や療養補償など多様な補償が受け取れますが、会社によっては労災であることを認めないところもあります。もし、労災に関して認定されないなどのトラブルが起こってしまった場合は、弁護士に相談するようにしましょう。弁護士に相談することで、損害賠償や慰謝料を請求することも可能になります。

残業代未払い・不当解雇など労働問題は弁護士に相談を
サービス残業、休日出勤がよくある
タイムカードの記録と実際の残業時間が異なる
管理職だから残業代は支給されないと言われた
前職で残業していたが、残業代が出なかった
自主退職しなければ解雇と言われた
突然の雇い止めを宣告された
上記に当てはまるなら弁護士に相談