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残業代請求で負けることはある?未払い残業代を確実に取り戻す方法

この記事で分かること

  • 残業代は雇用契約や就業規則のないように関わらず支払ってもらえる
  • 弁護士費用は早期解決できるほど安くなる
  • 残業代請求は証拠が肝心!証拠がなければ腕の良い弁護士でも勝率が下がる

残業代請求は労働者に認められた権利です。残業代の支払い義務は雇用契約書や就業規則で覆すことができません。会社に拒否されたからと諦めないでください。残業代請求は法律のプロである弁護士に頼むと解決が早まりますが裁判や労働審判をするよりは和解で解決した方が手早く費用も安くなります。交渉力の強い弁護士を選びましょう。ただし残業代は残業時間に基づいて支払われるので残業の証拠を揃える努力が必要です。

弁護士に残業代請求を相談すべき理由

自分の身に起きた問題を解決するためには、その問題の専門家に相談することが大切です。残業代請求をするため頼るべき存在は弁護士ですが弁護士に依頼する以上は法的トラブルでなくてはいけません。

こちらでは知っているようで知らない「残業代未払いが何の法律を違反しているのか?」を紹介します。

残業代の未払いは労働基準法の違反である

残業代の未払いは労働基準法違反です。雇用契約の根拠は民法ですが、労働者と使用者の立場があまりに違うことから労働者を守るための労働法が定められています。

労働基準法は労働者の権利を守る上で最も基礎となる法律で労働時間や休日、残業代、災害補償などの決まりがあります。

従って弁護士に相談する場合も契約内容だけでなく労働基準法や判例との適合性が問われます。

残業代請求で取り戻せるお金

残業代請求で取り戻せるお金は残業代だけではありません。根拠となる労働基準法第37条を見ると1日8時間あるいは週40時間を超える労働に支払われる時間外手当のほか、これらの割増賃金も支払い義務があることがわかります。

  • 22時から翌5時まで働いた時に支払われる深夜割増
  • 法定休日に出勤して働いた時の休日割増

さらに、基本給そのものが支払われていない場合はそれを請求できます。ボーナスや各種手当についても同様です。不当に支払わされた罰金や違約金についても取り戻せるでしょう。

労働基準法は契約に優先する

契約自由の原則を考えれば、残業代未払いの契約も有効だと押し通されそうですね。

しかし、労働基準法は会社の横暴を許しません。無理やり契約させられた場合はもちろん無効ですがお互いの意思で契約した場合でも労働基準法第13条に則り残業代の支払いが義務付けられます。

このような決まりのことを強行規定と言います。逆に、一部の法律に見られる「契約を優先させていいよ」という決まりのことを任意規定といいます。

遅延損害金は民法の問題となる

残業代を請求するとき、遅延損害金も合わせて請求することができます。これは商品の代金や借金、家賃などの支払いが遅れた時に上乗せできるお金のことで残業代含め給与も債権の一種とされています。よって年利5%の遅延損害金を合わせて請求できます。

残業代請求の時効は2年

しかし残業だ請求には2年の消滅時効が定められていますから遅延損害金目当てに弁護士への相談を引き延ばしてはいけません。むしろ、できるだけ早く弁護士に相談して可能な限り満額に近い残業代を請求できるよう試みましょう。

ちなみに、消滅時効も民法によります。

パワハラ・セクハラの慰謝料も民法の問題となる

パワハラやセクハラについての慰謝料を請求する場合も弁護士へ相談することになるでしょう。慰謝料は法律を読むだけでは計算できないからです。慰謝料とは精神的苦痛のことでその金額は個別具体的に判断されます。

パワハラやセクハラは誰かによる損害ですから民法第710条の不法行為責任に基づいて損害賠償を請求できます。民法第715条の使用者責任をもとに加害者だけでなく会社へも請求できます。

また、会社には安全配慮義務があるため民法第415条を用いて単純な契約の不履行をもとに慰謝料を請求する場合もあります。

このように法的な解決をするためには適切な法律を知っていなければいけません。自己判断ではなく法律の専門家に判断してもらうことが望ましいです。

ワンポイントアドバイス
残業代の支払いを定める労働基準法はどんな合意にも優先される強行法規です。会社が支払いに応じない場合は法的措置も選択肢になるでしょう。もちろん、残業代以外の法的トラブルがある場合はまとめて会社を訴えることができます。

残業代請求 弁護士による解決の流れと費用相場

残業代請求を弁護士に依頼した場合はどのような流れで解決に向かうのか、簡単に解説します。フィクションの世界では「弁護士に相談=裁判」ですが、ほとんどの事件は裁判が起きる前に解決しています。

基本的にはこのような流れで対処します。

  • 相談
  • 残業代の計算
  • 委任契約
  • 請求書の送付
  • 和解交渉
  • 労働審判
  • 訴訟
  • 強制執行

もちろん、早期解決できると時間やお金の節約になります。

相談

労働者が会社に対して請求したいものについて相談します。残業代請求の場合は残業代が支払われない、支払いを拒否された旨を話しましょう。残業代の未払い以外にもハラスメントや労災隠し、不当解雇など様々な労働問題を相談できます。

根拠が分かりやすくなるので、関連する資料は多い方が良いです。問い合わせれば弁護士から持ってきて欲しいものを教えてくれるでしょう。

相談料は1時間1万円が相場ですが、中には初回相談料がかからない弁護士事務所もあります。

残業代の計算

残業代を請求するには請求額を決めなければいけません。過去の勤怠データをはじめ残業の事実を証明できるものがあれば証拠として使えます。残業代は働いた時間と割増賃金によって決まります。さらに遅延損害金や遅延利息も上乗せできます。

残業代の計算は非常に難しく、労働契約の種類によって気をつけるポイントが変わってきます。請求額が不当に低くならないよう、弁護士に計算してもらった方が無難です。

基本的には残業代請求の一部として行われますが、残業代の計算のみをお願いする場合は別途お金がかかると思われます。

委任契約

残業代の回収を弁護士にお願いする場合は、あなたの代わりに会社とやりとりしてもらうための委任契約をします。委任契約をすれば会社との話し合いや裁判を全て弁護士にお任せできます。

立場の弱い労働者にとっては面と向かわずに戦える点が大きなメリットです。

弁護士に委任した場合の報酬は着手金と成功報酬、実費に分かれます。あらかじめ弁護士の報酬体系を確認しておきましょう。

着手金

弁護士に依頼すると決めた時に支払うお金です。依頼の成功・失敗に問わず支払うべきもので、弁護士にとっては最低限保証される代金となります。

残業代請求の難易度はケースバイケースです。成功率の低い依頼でも着手金を払えば受けてもらえる点を考えればその意義は妥当に思えます。

成功報酬

残業代を回収できた場合、その金額を元に支払う報酬です。成功報酬は16〜20%ほどなのですが合意した金額を基準とする場合と実際に入金された金額を基準とする場合があります。

ここは特に確認が必要です。

完全成功報酬制は一見お得に思えますが、しっかり計算するとそうでもない場合があります。報酬体系よりも実際に支払う費用で比較した方が良さそうです。

実費

内容証明郵便を送ったり、裁判所に申し立て手続きをしたりすると費用がかかります。これらの費用は別に払うこととなるでしょう。

請求書の送付

まずは内容証明郵便で会社に残業代その他諸々の請求書を送ります。請求書一通で会社に支払うべきお金を全て請求することができます。内容証明郵便とは郵便物の内容を証明するためのもので会社が「送られてこなかった」と嘘を付けないようにします。

内容証明郵便は裁判では証拠として使えるし、事項は中断できるしと非常に便利です。そのため残業代請求以外でも内容証明郵便は非常によく使われます。

弁護士に依頼すれば内容証明郵便の作成からお願いすることが可能です。様式や書き方をネットで調べる手間が浮きます。

残業代は証拠が確実なら対抗できないため、請求書を送るだけで残業代を振り込む会社が多いです。

任意交渉

請求書を送っても残業代を支払わない場合は話し合いでの解決となります。基本的には企業から話し合いを持ちかけられます。こちらの優位を崩さないためにも弁護士に交渉を代理してもらいましょう。

相手は威圧してきたり情に訴えてきたりしますが、弁護士を立てればその心配もありません。話し合った内容は弁護士から報告されます。それで問題なければ和解契約に合意して会社からの支払いを待ちます。

任意交渉で解決した場合、着手金は5〜10万円ほどになることが予想されます。

民事調停は役に立たない

和解以外に調停という方法があります。こちらは調停委員が間に入って話し合いをするのですが和解に応じるなら和解交渉で解決できるし、和解に応じないなら同じく出席義務のない民事調停での解決ができないからです。

労働問題の場合は労働問題を解決するための調停である労働審判手続きを用います。

労働審判手続き

任意交渉での解決が見込めないときは労働審判手続きを申し立てます。労働審判手続きは裁判所で行う調停の一種で労働審判員が労働者と会社の間に立ってくれます。労働審判手続きは3回と短くその間で合意がまとまれば終了です。期間内に合意できなければ裁判所から労働審判が出されます。

労働審判ではじっくりと審議がされないためどのように相手と労働審判員を納得させるか弁護士の腕の見せ所です。労働審判員が「どちらの味方もしない」ことも注意してください。

労働審判を受け入れた場合、確定判決と同じ効力をもたらします。
労働審判を労働者と会社のいずれかが受け入れない場合は通常訴訟に移ります。

基本的には期間中に調停成立するか労働審判を受け入れます。訴訟になる場合はかなり少ないです。

労働審判の着手金はおよそ20万円ほどです。

訴訟

残業代請求に対して強行に応じない場合は訴訟するしかありません。訴訟は事件についての審理を行いその内容を法律や判例に照らし合わせて判決を出す手続きです。一度出された判決は上訴しない限り覆せないため、訴訟をもって残業代請求の正しさが決まります。

弁護士は訴訟に至った場合も本人の代理をしてくれます。

訴訟の着手金は30〜40万円ほどです。

勝ち目があるから訴訟まで粘ると限らない

勝ち目のない裁判はすべきではありませんが、時に勝ち目がなくても裁判まで粘るケースがあります。それは時間やお金を無駄遣いさせて原告を疲れさせることや、より低い金額での和解を魅力的な選択肢に見せかけること、もしかしたら財産を隠すための時間稼ぎかもしれません。

倒産しそうな会社を相手にする場合は財産の仮差押手続きをしておくと安全でしょう。

強制執行

判決が確定すればもうこちらの正しさは揺らぎません。しかし、判決が出てもなお残業代を支払わない悪質な企業がいます。この場合は財産を差し押さえてお金に換えます。これを強制執行と言います。

強制執行は裁判で勝った時の他に裁判上の和解が成立した時、労働審判で決まった時もその結果をもとに行えます。

強制執行の着手金は10万円ほどです

ワンポイントアドバイス
基本的な流れは請求書を送る→任意交渉するというものですが、企業の出方によっては労働審判や訴訟せざるを得ないこともあります。会社はある程度の財力があるため強制執行が必要となるケースは多くないでしょう。

早期解決を図るなら、任意交渉の段階で会社を降参させられる弁護士が必要です。

残業代請求に強い弁護士選びのポイント

残業代請求で弁護士を依頼するなら、やはり高い勝率の見込める弁護士を選びたいところです。弁護士を選ぶためにはどのようなポイントを意識すれば良いのか解説します。

当サイトでは労働問題に強い全国の弁護士を紹介しています。ぜひこちらもご参考くださいませ。

経験が豊富であること

残業代請求を依頼するなら、経験豊富な弁護士を選びましょう。実績ある弁護士はそれだけ多種多様な事例を解決しているので、あなたの問題にもしっかり対処してくれます。

残業代請求は比較的簡単な案件と言われています。それはあながち間違いでなく、残業時間さえ証明できればすぐに解決することや多くが任意交渉で解決していることからも伺えます。

しかし、残業代請求で困っている人の多くはこのような問題を抱えています。

  • 残業代の証拠が十分に揃わず不安だ
  • 企業が強硬な態度をとっている
  • 年俸制、変形労働時間制など変わった労働形態だ
  • 過去の判例を見ても参考となる事例がなかなか見当たらない

率直に言えば「確実な証拠を揃えられて」「正しく残業代を計算できる」なら弁護士に頼る必要がありません。そうでない事例が多いからこそ弁護士が役立つのです。

特殊なケースでも対応できる弁護士がいれば相手の顧問弁護士が主張する詭弁をしっかり見破れるでしょう。

高い交渉力を持つこと

残業代請求は素早く、満額に近いお金を取り戻せてこそ意味があります。いかに方知識が豊富でも相手の合意を引き出せずに裁判へ持ち込んでは余計に弁護士費用がかかってしまいます。

時間とお金の損を少なく解決するなら任意交渉で満足のいく結論を導ける交渉力の高い弁護士に頼るべきです。企業側の痛いところを突くだけでなく、こちらの要求を下げずに企業のデメリットだけ減るような提案ができれば早期解決を見込めます。

高い交渉力を持っている弁護士は相手の動きを読むことができます。そのため任意交渉か、労働裁判か、訴訟か適切な選択肢を見極めることが可能です。

誠実でわかりやすい説明をしてくれること

弁護士はあなたの代理人です。もし、あなたが納得いかない結論を導いてしまえばそれは良い仕事と言えませんね。逆に依頼人の希望を誠実に汲み取り、可能な限り善処するような弁護士であれば頼りになります。

良い弁護士を見るポイントは説明の丁寧さです。説明がわかりやすいということは依頼人との意思疎通を怠らない意思表明と取れます。しっかりと依頼人の理解を待った上で次の選択を促してくれます。

このような弁護士は交渉や訴訟の最中でもマメに連絡を交わして依頼人の希望を叶えらるべく努力してくれます。

信頼関係を築きたいならわかりづらい説明や横柄な態度が目立つ弁護士は避けた方が良いでしょう。

費用が安すぎないこと

弁護士報酬はその人の腕前を担保する側面があります。無理に高い弁護士を雇う必要はありませんがあまりに安すぎる弁護士は注意しましょう。悪質な場合は着手金だけ受け取って事件を放置します。

相場に近い費用は最低限の職業倫理を持つ証といえます。

ワンポイントアドバイス
残業代についての法律は単純ですが、残業代を支払うべき場合とそうでない場合の線引きは不明確です。したがって実務経験が豊富で判例をうまく活用できる弁護士だと心強いです。当然、職務に対する誠実性も注意すべきポイントです。心からあなたの味方になってくれる弁護士を探しましょう。

残業代請求の勝率は何%?

残業代請求をする上で気になるのは、その勝率だと思います。通常、契約の問題においてはその内容や当事者の事情が争いになりますが残業代の場合は違います、

なぜなら残業代の未払いは労働基準法違反となるからです。したがって労使のやりとりが如何なるものであっても残業代を請求することができます。

残業代請求の勝率を高めるために私たちがすべきことは残業をしたという証拠を揃えることです。それさえできれば、残業をしたと認められる分に応じて残業代を支払ってもらえるし裁判外紛争においても優位に交渉を進めることができます。

残業の証拠といえば勤怠記録が真っ先に思い浮かびますが、企業によっては杜撰な勤怠管理がされていることもよくあります。そのため判例では明確に終業時間を証明できない場合もある程度の残業を認めてくれるようです。たとえば業務上の記録やパソコン・スマホのメール履歴、GPS記録や社内および窓の写真など会社で働いていた、そうでなくても会社にいたことが証明できるなら戦う余地があります。

会社の立場に立てば「勤怠記録がないから残業代計算ができない」というだけで諦めてくれる労働者の方が好都合です。このような説明を間に受けないよう注意してください。労働問題に詳しい弁護士なら一般人では思いつかないような道筋で残業の事実を証明できるかもしれません。

取り戻せる残業代や、交渉での有利不利が気になる人はぜひ弁護士に相談しましょう。

ワンポイントアドバイス
「残業したら絶対に残業代を支払う」と決められている以上、残業代請求の勝率は100%と言いたいところですが残業の事実が証明しづらいケースでは勝率が下がってしまいます。残業代を満額請求したいなら何よりも記録に頼ってください。

残業代請求で会社に負けるケース

残業代請求は法律のプロである弁護士に依頼しても必ずしも勝てると限りません。あくまで勝算が高いのは確実な証拠があり残業時間が明確に計算できる場合です。

このような場合は法律のプロでも勝つことが難しいでしょう。

証拠が一つもない

残業代は「働いた時間」に応じて支払う賃金です。どれだけ辛い思いをしたとしても働いた証拠が一つもなければ残業代請求のしようがありません。残業代請求をするならしっかりと残業時間のわかる証拠を集めてください。

参考として証拠になりえるものを紹介します。これを見てわかる通り証拠が一つもない状況は滅多にありません。

勤怠記録があると残業代請求しやすい

残業代の証拠で最も強いのは勤怠記録です。いつ出勤していつ退勤したか記録されているのですから企業も言い逃れができません。

逆に言えば企業が最も隠したい証拠もまた勤怠記録ということです。例えばタイムカードを定時で切らせたり、勤怠記録を改ざんしたりします。紙媒体で記録している場合は「紛失した」と偽って秘匿処分してしまうことさえあります。

会社から持ち出せない場合もスマホやカメラで勤怠記録を撮影すれば証拠として使えます。

勤怠記録以外にも残業の事実がわかるものはある

勤怠記録がない場合は業務日報や書類のタイムスタンプが有力な証拠となります。書類のタイムスタンプは残業があった証拠になるし、業務日報は会社にある時点でその事実を企業が認めていることを推定できます。

消耗品を買った時の領収証や残業の内容が記されたメールなども働いていた時間を証明することができるかもしれません。

メモや証言だけでは勝ち目が薄い

残業した事実を示せないときはせめて「会社にいた事実」を示す証拠を集めましょう。その内容によっては残業を証明できるかもしれません。自分で記録したメモや同僚・家族の証言も証拠になる確率がゼロと言えませんが勝ち目が薄いです。なぜなら公的な記録でないからです。

使用者の指揮命令によらない残業だった

残業というからには使用者の指揮命令による業務である必要があります。もし、勝手に居残っていた場合は残業となりません。

会社の命令で残業したのか自発的に居残ったのかを白黒つけるのは難しいですが、労働者保護の観点から「明確に会社が禁止したとき」や「明らかに業務でないことをしていたとき」は自発的な残業とみなされ残業代が支払われません。

残業の要件を満たしていない以上、法律のプロでも残業代請求は不可能です。

黙示の残業命令があれば残業代請求できる

では、上司が何も言わなかった場合はどうか。この場合は残業として認められるかもしれません。残業は本来拒否できるものですが、どうやっても残業を避けられないほどの仕事を課せられていた場合や残業を拒否すると待遇や査定に響く場合は拒否できないも同然です。

このような場合は黙示の残業命令があったとみなされる可能性があります。

ワンポイントアドバイス
残業と認められるためには残業したという記録があることと、それが業務であったと証明できることが重要です。全く証拠がない状況では残業したという主張を受け入れられません。証拠が手元にない場合は民事保全手続をして勤怠記録等を処分されないよう手を打ってください。

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

ここで残業代請求を弁護士に依頼するメリットを考えてみましょう。

法的に正しい選択肢を取れる

まず弁護士は法律のプロですから法的に正しい選択肢を教えてくれます。

時効が迫っているならすぐに中断させる。納得のいかない合意はしない。労働基準法に反する契約は真に受けないなど残業代請求で考えるべきことは意外と多いです。弁護士の助言があるだけで安心感が湧いてきます。

会社側にプレッシャーをかけられる

悪質な会社や大きな企業は労働者の訴えなど真面目に聞き入れません。企業を交渉の場に立たせたいなら1人で残業代請求するより弁護士を立てた方が良いでしょう。弁護士の名前で内容証明郵便を出すだけでも少なからずプレッシャーを与えることができます。

交渉の場でも弁護士が代わりに会社側と話し合ってくれますから有益な情報を引き出しやすいです。

このようなメリットを最大化するためには問題が解決するまで会社の人間と連絡を取らないことです。仮に直接話し合う場合でも必ず弁護士を同行させれば脅されたり騙されたりせずに済みます。

面倒な計算や手続きを任せられる

残業代請求で地味に大きなハードルとなるのが残業代計算です。残業代を分単位で計算することが面倒だし、割増手当のルールも間違えやすいポイントです。変形労働時間制や歩合制だとさらに計算が難しくなり、時には判例が根拠になることもあります。

正しく残業代請求をしたいなら残業代を計算するところから弁護士に頼ってください。

弁護士はあなたの代理人ですから、裁判所に手続きする手間も出廷する時間も省くことができます。負担はできるだけ減らしましょう。

労働問題をまとめて解決してもらえる

ブラック企業にはびこる問題は残業代未払いだけではありません。労災隠しやパワハラ・セクハラ、不当解雇、退職強要、就業規則の不利益変更、合理性のない配置転換や人事評価など付随するトラブルがあるものです。

弁護士は法律の専門家としてこれらの問題をすべて任せることができます。

問題の解決後も継続して頼れる

残業代の請求が済んだ後、もしかしたら会社に報復を受けるかもしれません。そのようなとき頼れる相手として信頼できる弁護士事務所を見つけておけば非常に心強いです。

ワンポイントアドバイス
どんなことでもプロに依頼すると解決が容易になります。残業代請求をするときは請求漏れや不誠実な対応を防ぐために必ず弁護士を雇いましょう。多くの労働者は「なんとなく損している」ことはわかっていても具体的にどの法律で権利を実現できるのか知りません。

残業代請求を弁護士に相談するデメリットは

一般人にできないことを任せるのが弁護士ですから、弁護士に相談するデメリットは費用がかかることくらいと考えられます。もちろん、弁護士費用は取り戻した残業代から支払います。

収入が少ないときは法テラスへ

収入が少なくて弁護士費用を負担できないときは、法テラス(日本司法支援センター)をご利用ください、法テラスは法律問題で悩む低所得層向けに無料相談や弁護士費用の立替をしてくれる独立行政法人です。

収入要件は手取り月収18万2000円以下と著しく低いわけではありません。ここに住所や払っている家賃に応じた加算がされます。

ワンポイントアドバイス
残業代請求を弁護士に依頼する決め手は未払いの残業代より弁護士報酬が少ないことです。もし、費用倒れになってしまうなら自力で解決することになるでしょう。

残業代請求でよくある質問Q&A

残業代請求を弁護士に相談するときに迷いやすいポイントをこちらで解説します。ぜひ参考にしてください。

退職後も残業代請求できる?

残業代は退職後でも問題なく支払ってもらえます。そもそも、給与とは労働者がその会社で働いた対価ですから退職を理由に債権が消えるなどありえないのです。「退職したくせに残業代を要求するなんておかしい」という企業の方が間違っています。

解雇された場合でも残業代請求できます。理由は働いた対価の債権は解雇を理由に消えないからです。

退職した後は遅延損害金よりも高い遅延利息がつきます。

残業代請求は在職中にした方が良い理由

残業代請求は退職後でも可能ですができれば在職中に行いましょう。在職中であれば社内で残業の証拠を探せるからです。弁護士が手を尽くして証拠を確保することも出来なくありませんが、退職後の場合は難易度が上がります。

ただし不当解雇の撤回は退職後に行うことができません。退職の意思表示をしてしまえばそれが有効になってしまいます。不当解雇撤回+残業代請求の場合は退職届けを出さないよう注意してください、

残業代請求は社労士と弁護士どちらに頼んだ方が良いの?

残業代請求を相談するなら迷わず弁護士を選びましょう。これは労働問題への詳しさや交渉力の問題ではありません。そもそも社会保険労務士は依頼人に代わって交渉や訴訟で戦うことができないのです。

残業代の問題は弁護士の他に社労士や行政書士、司法書士が力になってくれますが弁護士以外は業務に制限があります。

よって会社の人と絶対に顔を合わせたくない、訴訟になる可能性がある、訴額が大きくて認定司法書士で対応できない場合は弁護士を選ぶしかありません。

逆に、自分も話し合いの場に立てるという人なら弁護士以外に依頼しても大丈夫です。

残業代請求を自分で行った方が安上がり?

残業代請求について自分で調べて手続きを行えば、確かに弁護士報酬を節約できます。しかし、それは本当に安上がりなのでしょうか?必ずしもそうと限りません。

例えば残業代の計算を間違えてあまりに安い金額を請求していた場合、損した金額が弁護士費用の差額より大きければ元も子もありません。和解交渉で不利な条件を提示されたのに相手の顧問弁護士に言いくるめられた場合も間違いなく弁護士費用を上回るだけの損をします。

当たり前の話ですが、法律は知っている人の味方です。法律の条文だけで解決しない場合は判例の理解度や実務能力が問われます。法律職がなぜ独占業務なのか、今一度考えてみましょう。

残業代請求の時効が過ぎた場合はどうなる?

残業代請求の時効が過ぎた場合は、残業代請求ができなくなります。しかし、それはあくまで2年前に支払われるはずだった残業代までです。それ以降に支払い予定だった残業代まで請求権を失う訳ではないためご安心ください。

基本的には月給制ですから、毎月少しずつ請求できる残業代が減っていくイメージになるでしょう。

ワンポイントアドバイス
残業代請求の権利は、労働者個人に認められた債権です。たとえ退職後でも時効をすぎない限り請求権を失いません。社労士や司法書士でも労働問題にアドバイスできますが裁判まで代理できる弁護士に頼むことが安心です。

ここで取り上げていない問題でも気になることがあるならすぐに弁護士へ問い合わせましょう。

未払い残業代を確実に取り戻すには、残業代請求に強い弁護士を選ぼう

残業代の未払いは労働基準法に反する行為であり”たとえ残業代を払わない旨に合意していたとしても”請求は可能です。時間外手当はもちろん、深夜割増や休日割増も入れると笑えないほどの金額になる事例もあります。

残業代請求の確実性を高めるために最も重要なものは証拠、そして腕の良い弁護士です。証拠が少なく相手の顧問弁護士が強敵であるほどこちらの弁護士選びも重要になってきます。

当サイトでは労働問題に強く良心的な弁護士を紹介しています。ぜひあなたの住んでいる地域で力になってくれる弁護士を探してみましょう。

残業代未払い・不当解雇など労働問題は弁護士に相談を
  • サービス残業、休日出勤がよくある
  • タイムカードの記録と実際の残業時間が異なる
  • 管理職だから残業代は支給されないと言われた
  • 前職で残業していたが、残業代が出なかった
  • 自主退職しなければ解雇と言われた
  • 突然の雇い止めを宣告された
上記に当てはまるなら弁護士に相談