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不当な解雇や、残業代の未払い、パワハラなど、会社との間でトラブルを抱えたとき、「裁判を起こすしかないのだろうか」と思い悩む方は少なくありません。しかし、裁判は時間も労力もかかり、なかなか踏み切れないものです。そんなときに、もう一つの選択肢として知っておいてほしいのが、労働審判という手続きです。
労働をめぐる問題は、放っておいても解決しないことがほとんどです。かといって、いきなり裁判を起こすのはハードルが高い。そのはざまで立ち止まってしまう方が、とても多いのです。労働審判は、まさにそうした人のための、いわば中間的な選択肢だといえます。裁判ほど大がかりではないけれど、話し合いだけでは進まない。そんなときに、頼れる制度なのです。
労働審判は、労働者と会社との間のトラブルを、比較的短い期間で解決することを目指した制度です。この記事では、労働審判とはどのような手続きなのか、訴訟とはどう違うのか、どんなケースに向いているのか、そして手続きの流れまでを、順を追って整理していきます。「争いたいけれど、大ごとにはしたくない」。そんな気持ちを抱えている方にとって、労働審判は有力な選択肢になり得ます。まずは、その仕組みを知ることから始めましょう。
会社とのトラブルを抱えたとき、多くの人が「裁判は大変そうだ」というイメージから、行動をためらってしまいます。時間がかかり、費用もかさみ、精神的にも消耗する。そうした負担を思うと、泣き寝入りを選んでしまう方もいます。しかし、労働審判という選択肢を知っていれば、その負担をぐっと抑えながら、問題の解決を目指せるかもしれません。まずは、こういう制度があるのだと知っておくだけでも、選べる道は広がります。
労働審判とは?基本の仕組み
労働審判とは、労働者と会社との間の個別のトラブルを、迅速に解決するための裁判所の手続きです。裁判官と、労働問題にくわしい専門家が加わった三人の体制で、話し合いによる解決を目指しつつ、まとまらない場合には一定の判断を示す、という仕組みになっています。
ここで注目したいのが、労働問題にくわしい専門家が手続きに関わるという点です。裁判官に加えて、労働の現場や実情を理解した人が加わることで、より実態に即した解決が期待できます。労働をめぐる争いは、法律論だけでなく、職場の実情を踏まえて考えるべき部分も少なくありません。そうした事情に配慮した体制になっている、というのが、労働審判の一つの強みだといえます。
最大の特徴は、原則として短い回数の期日で結論を目指す点です。通常の訴訟が長期間に及ぶことがあるのに対し、労働審判は、限られた期日の中で解決へと導くことを想定しています。そのため、早期の解決を望む労働者にとっては、大きな魅力があります。
争いごとは、長引けば長引くほど、当事者を疲弊させます。特に、収入や生活に直結する労働のトラブルであればなおさらです。「いつ終わるとも知れない争いを続けるのはつらい」と感じる方にとって、限られた期日で結論を目指せる労働審判は、心強い選択肢になります。早く区切りをつけて、前を向きたい。そんな思いに応えやすい制度だといえるでしょう。
また、労働審判では、話し合いによる調整、いわゆる調停的な解決が重視されます。双方が歩み寄って合意に至れば、その内容で解決します。合意に至らなかった場合には、審判委員会が「審判」という形で判断を示します。この審判に不服がある場合には、訴訟へと移行することになります。
この「話し合いによる解決を目指しつつ、まとまらなければ判断を示す」という二段構えが、労働審判の大きな特徴です。いきなり判決で白黒つけるのではなく、まずはお互いの言い分を聞きながら、落としどころを探る。それでも折り合わなければ、審判委員会が一定の結論を示す。この柔軟さがあるからこそ、短い期間でも、双方が納得できる解決に至りやすいのです。硬直的な争いになりにくいという点も、労働審判が選ばれる理由の一つといえます。
「争い」だけでなく「話し合い」の場でもある
労働審判というと、会社と激しく対立する場面を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、話し合いによって歩み寄り、和解的に解決するケースが多くを占めます。最後まで白黒つけるだけの場ではなく、双方が納得できる着地点を探る場でもあるのです。この点を知っておくと、心の負担が少し軽くなるでしょう。
「会社と争う」と聞くと、法廷で相手と対決する緊迫した場面を想像して、二の足を踏んでしまう方もいます。けれども、労働審判の実際は、もう少し落ち着いたものです。審判委員会が間に入り、双方の言い分を聞きながら、現実的な解決策を探っていく。感情的にぶつかり合うというより、冷静に着地点を見つけていく場だと考えるとよいでしょう。争うことへの心理的なハードルが高い方にとっても、比較的臨みやすい手続きだといえます。
労働審判と訴訟(裁判)の違い
労働審判を理解するうえで欠かせないのが、訴訟との違いです。この二つは、どちらも裁判所を使う手続きですが、進み方も、かかる時間も、大きく異なります。両者の違いを整理してみましょう。
「裁判所の手続き」と聞くと、どれも同じようなものだと思ってしまいがちですが、労働審判と訴訟では、その性格がかなり違います。この違いを理解しておくことは、自分にとってどちらが適しているかを判断するうえで、とても重要です。次の表で、主な違いを見比べてみてください。
| 比較する点 | 労働審判 | 訴訟(裁判) |
|---|---|---|
| おおまかな進み方 | 限られた回数の期日で解決を目指す | 主張と証拠を重ねて審理を尽くす |
| 解決までの期間 | 比較的短期間で結論に至りやすい | 長い時間がかかることがある |
| 解決の方法 | 話し合いによる調整を重視する | 最終的に判決で決着をつける |
| 向いている事案 | 争点が比較的整理されている場合 | 争点が複雑で入念な立証が必要な場合 |
大きな違いは、スピードにあります。労働審判は、限られた期日で解決を目指すため、比較的早く結論にたどり着けます。一方、訴訟は、じっくりと主張と証拠を尽くして争うため、解決までに長い時間がかかることがあります。「早く区切りをつけたい」という場合には、労働審判が適していることが多いのです。
この期間の差は、労働者の負担に直結します。トラブルを抱えている間は、精神的にも落ち着かず、生活も宙ぶらりんになりがちです。その状態が長引くほど、心身の消耗は大きくなります。労働審判であれば、比較的早く決着がつくため、そうした負担を抑えられます。もちろん、じっくり争うべき事案もありますが、多くの労働者にとって「早く解決できる」ことは、大きな価値を持つはずです。悩んでいる期間そのものが、心を疲れさせてしまうからです。
ただし、労働審判で示された結論に納得できない場合には、訴訟へ移行することになります。つまり、労働審判は必ずしも最終的な解決になるとは限りません。この点も踏まえて、どちらの手続きを選ぶかを考える必要があります。不当解雇を裁判で争う方法については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
特に、不当解雇のように争いが大きくなりやすい問題では、労働審判で解決するのか、それとも訴訟まで見据えるのかを、あらかじめ考えておくことが大切です。労働審判で納得のいく結論が得られればよいですが、そうでなければ訴訟へと進むことになります。その全体像を理解したうえで、最初の一手を選ぶことが、遠回りを避けることにつながります。
労働審判が向いているケース
では、どのような場合に労働審判が向いているのでしょうか。自分のケースが当てはまるかどうか、考えてみましょう。
労働審判は万能ではありません。どんなトラブルでも一律に向いている、というわけではないのです。だからこそ、自分のケースが労働審判に適しているかどうかを、あらかじめ見極めておくことが大切になります。向いているケースの特徴を知っておけば、手続き選びの判断材料になります。
労働審判が力を発揮しやすいのは、争点が比較的はっきりしていて、早期の解決を望むケースです。たとえば、不当解雇や残業代の未払いなど、労働者と会社の主張の対立点が明確な場合には、労働審判での解決に適していることが多いといえます。こうしたケースでは、労働審判のスピードという長所が最大限に生きてきます。
争点がはっきりしているというのは、「何が問題になっているか」が整理しやすい、ということです。たとえば「解雇が有効かどうか」「残業代がいくら未払いか」といった形で論点が絞れる場合には、限られた期日でも十分に議論を尽くせます。こうしたケースこそ、労働審判のスピードという長所が生きてくるのです。逆に言えば、論点が絞りきれない事案では、慎重な検討が必要になります。
逆に、事実関係が非常に複雑で、多くの証人尋問が必要になるようなケースでは、限られた期日で結論を出す労働審判には、なじみにくいこともあります。そうした場合には、最初から訴訟を選ぶほうが適していることもあるのです。自分のケースがどちらに向いているかは、専門的な判断を要するため、迷ったら弁護士に相談するとよいでしょう。
ここは、素人が自分だけで判断するのが難しい部分です。「早く解決したいから労働審判で」と思っても、事案の性質によっては、かえって不利になることもあります。逆に、複雑そうに見えて、実は争点を整理すれば労働審判で十分に戦える、というケースもあります。だからこそ、どちらの手続きを選ぶかは、証拠の状況や争点を踏まえて、専門家と一緒に検討するのが賢明です。入り口の選択を誤らないことが、納得のいく解決への第一歩になります。
労働審判の具体的な手続きの流れについては、こちらの記事でよりくわしく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
手続きの流れを具体的にイメージできると、労働審判への不安はぐっと和らぎます。「何が、どういう順番で進むのか」が分かっていれば、心の準備もできますし、必要な準備にも早めに取りかかれます。自分のケースで労働審判を検討しているなら、流れを解説した記事にも目を通し、全体像をつかんでおくとよいでしょう。
労働審判の手続きの流れ
実際に労働審判を利用する場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか。基本的なステップを、順を追って見ていきましょう。全体像をつかんでおくと、見通しが立てやすくなります。
手続きの流れが分かっていれば、「次に何が起こるのか」が見通せて、落ち着いて臨めます。逆に、流れを知らないまま進めると、一つひとつの場面で戸惑い、不安ばかりが募ってしまいます。ここで大まかな流れを頭に入れておけば、準備すべきことも見えてきます。次のステップを確認してみましょう。
- まず、労働審判を申し立てる書面と、必要な証拠を準備します。この最初の段階で、主張と証拠をしっかり固めることが重要です。
- 裁判所に申し立てを行い、期日が指定されます。会社側にも通知が届き、会社は答弁書などを提出します。
- 指定された期日に出席し、審判委員会の関与のもとで、双方が主張を述べ、話し合いが進められます。
- 話し合いで合意に至れば、その内容で解決します。合意に至らない場合には、審判委員会が審判を示します。
ここで特に大切なのが、最初の申し立ての段階で、しっかり準備をしておくことです。労働審判は短い期日で進むため、後から小出しに主張を追加するのが難しい面があります。最初の書面で、言いたいことと、それを裏づける証拠を、きちんとそろえておく必要があるのです。準備不足のまま臨むと、十分に主張を尽くせないまま結論が出てしまうおそれがあります。
訴訟であれば、期日を重ねながら主張や証拠を補っていくこともできます。しかし、労働審判はそうはいきません。限られた期日で結論を目指す以上、いわば最初の一撃に、持てる力を注ぎ込む必要があるのです。この特性を理解しておかないと、「言いたいことがまだあったのに」と後悔することになりかねません。だからこそ、申し立てる前の準備期間が、労働審判では特に重要な意味を持ちます。焦って申し立てるより、準備を整えてから臨むほうが、結果的に有利になることが多いのです。
労働審判で扱える労働トラブル
労働審判は、さまざまな労働トラブルに利用できます。自分の抱えている問題が対象になるかどうか、確認してみましょう。ここでは、代表的なものを挙げてみます。
「自分のこのトラブルは、労働審判で扱えるのだろうか」と気になる方も多いでしょう。基本的には、労働者と会社との間で個別に生じた争いであれば、幅広く対象になります。次に挙げるのは、その中でも特によく見られるトラブルの例です。自分の状況と照らし合わせてみてください。
労働審判で扱われる典型的なトラブルには、次のようなものがあります。会社との間で個別に生じた争いであれば、幅広く対象になり得ます。困っている問題が対象になるかを、まず確認してみましょう。
ただし、集団的な労使紛争など、個別のトラブルとはいえない性質のものは、労働審判の対象にならないこともあります。あくまで、労働者一人ひとりと会社との間の、個別の争いを解決するための手続きだという点は、押さえておきましょう。とはいえ、多くの人が抱える労働トラブルは、この個別の争いに当てはまります。次のような例を参考にしてください。
- 不当な解雇や、雇止めをめぐる争い
- 残業代など、未払いの賃金の請求
- 退職に伴う金銭をめぐるトラブル
- ハラスメントによって受けた損害の賠償請求
- その他、会社との間で個別に生じた労働をめぐる争い
たとえば、ハラスメントによって心身に不調をきたし、働けなくなってしまったようなケースでも、その損害の賠償を求めて労働審判を利用できることがあります。労災として認定されるようなケースについては、こちらの記事も参考になります。
職場での問題は、一つの争点だけにとどまらないことがよくあります。ハラスメントを受けた結果、体調を崩して働けなくなり、収入も減ってしまう。そうした複合的な被害についても、労働審判の中でまとめて解決を目指せることがあります。自分が受けた被害が、労災として扱われる可能性があるかどうかも含めて、一度整理してみるとよいでしょう。
また、解雇の態様が悪質で、慰謝料を請求したいというような場合にも、労働審判が選択肢になります。慰謝料の考え方については、こちらの記事がくわしいです。
慰謝料をめぐる争いも、事案によっては労働審判での解決に適しています。どのような場合に慰謝料が認められ、どの程度が目安になるのかを知っておくと、労働審判で何を主張していけばよいかが見えてきます。金額そのものよりも、まずは「どういう事情が賠償額を左右するのか」という考え方を押さえておくとよいでしょう。
労働審判のメリットと注意点
労働審判には、多くのメリットがある一方で、知っておくべき注意点もあります。両方を理解したうえで、利用するかどうかを判断することが大切です。
どんな手続きにも、向き不向きや長所短所があります。労働審判も例外ではありません。メリットだけを見て飛びつくのでも、注意点だけを見て敬遠するのでもなく、両方をバランスよく理解しておくことが、賢い選択につながります。ここでは、まずメリットから見ていきましょう。
最大のメリットは、やはり早期の解決が期待できることです。長期戦になりがちな訴訟に比べ、労働審判は限られた期日で結論を目指すため、心身の負担も、時間的な負担も抑えやすくなります。早く次の一歩を踏み出したい、という方にとっては、大きな利点です。
もう一つのメリットは、話し合いによる柔軟な解決が図りやすいことです。判決のように一方的に結論が押しつけられるのではなく、双方が納得できる形での解決を目指せます。たとえば、金銭的な条件だけでなく、退職の形をどうするかといった細かな部分についても、話し合いの中で調整できることがあります。硬直的になりがちな争いを、現実的な解決へと導きやすい。これも、労働審判ならではの利点だといえるでしょう。
一方で、注意点もあります。前述のとおり、審判の結論に納得できなければ訴訟へ移行することになり、その場合には結局、時間がかかってしまうこともあります。また、事案によっては、そもそも労働審判になじまず、最初から訴訟を選ぶべき場合もあります。労働審判の手続きにかかる費用については、こちらの記事を参考にしてください。
つまり、労働審判は「早い」ことが最大の魅力ですが、その早さゆえに、じっくり争いたい事案には向かないこともある、ということです。自分が求めているのが早期の解決なのか、それとも徹底的に争うことなのか。そこを見極めたうえで、労働審判が適しているかを判断するとよいでしょう。メリットと注意点の両方を踏まえて選ぶことが、後悔しない解決につながります。
費用の面も、手続きを選ぶうえで気になるところでしょう。労働審判にかかる費用の見通しを立てておくと、実際に進めるかどうかの判断がしやすくなります。もっとも、費用を理由に泣き寝入りしてしまうのは、もったいないことです。まずはどのくらいの負担が見込まれるのかを確認し、そのうえで進め方を検討するとよいでしょう。
労働審判を有利に進めるために
労働審判を利用すると決めた場合、少しでも有利に進めるために、意識しておきたいことがあります。ここでは、そのポイントを整理します。
同じ労働審判でも、準備や進め方次第で、結果は変わってきます。せっかく手続きを利用するなら、できる限り納得のいく結果を目指したいものです。難しく考える必要はありませんが、いくつかのポイントを押さえておくだけで、進めやすさが違ってきます。
まず何より大切なのが、証拠をしっかり準備することです。労働審判は短い期日で進むため、いかに説得力のある証拠を、最初の段階でそろえられるかが結果を左右します。解雇通知書、給与明細、勤務記録、やり取りのメールなど、自分の主張を裏づける材料を、できる限り集めておきましょう。
証拠は、多ければよいというものではなく、「何を、どう示すか」が重要です。自分の主張のどの部分を、どの証拠で裏づけるのか。その組み立てがしっかりしていれば、限られた期日の中でも、説得力のある主張ができます。逆に、証拠がばらばらで整理されていないと、せっかくの材料も十分に生かせません。手元にあるものを一度整理し、自分の主張とひもづけて考えてみることが、有利な進行につながります。この作業も、専門家と一緒に行うと、より的確に進められます。
また、会社側も代理人を立てて対応してくることが多いものです。対等に渡り合うためにも、こちらも専門家の力を借りることを検討したいところです。不当解雇を労働審判で争うケースについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
最後の一段を上るように、もう一つだけ意識しておきたいことがあります。それは、審判の場で示された解決案に対して、どう応じるかを、あらかじめ考えておくことです。労働審判では、話し合いの中で解決の方向性が示されることがあります。そのとき、それを受け入れるのか、なお主張を続けるのかを、冷静に判断する必要があります。自分が最終的に何を望むのかをはっきりさせておけば、その場でも落ち着いて対応できます。ここでも、専門家と方針を共有しておくことが、大きな助けになるでしょう。
慣れない人が一人で臨むと、会社側の代理人のペースに巻き込まれ、言うべきことを十分に言えないまま終わってしまうこともあります。だからこそ、こちらも準備を整えて臨むことが大切です。しっかりとした備えがあれば、限られた期日でも、自分の主張を的確に伝えることができるはずです。
不当解雇は、労働審判で扱われる代表的なトラブルの一つです。解雇が有効かどうかという争点は、比較的整理しやすく、労働審判での解決に向いていることが多いといえます。実際に不当解雇を労働審判で争う場合に、どのような流れで進み、何がポイントになるのかを知っておくと、準備もしやすくなります。自分のケースと重ね合わせながら、確認してみてください。
労働審判に関するよくある質問
ここでは、労働審判についてよく寄せられる疑問にお答えします。自分の状況と照らし合わせながら読んでみてください。手続きへの不安を、少しでも和らげられればと思います。
労働審判は、どれくらいの期間で解決しますか。
労働審判は、原則として限られた回数の期日で結論を目指す手続きで、比較的短期間で解決に至りやすいのが特徴です。ただし、審判の結論に納得できず訴訟へ移行した場合には、さらに時間がかかることになります。まずは早期の解決を目指せる、と考えておくとよいでしょう。
多くのケースでは、訴訟に比べてかなり早い段階で、解決の方向性が見えてきます。長い間トラブルを抱え続けることの負担を思えば、この早さは大きな魅力です。ただし、すべてが必ず短期間で終わるわけではなく、内容によっては訴訟に移ることもあります。あくまで「早期解決を目指せる手続き」だと理解しておきましょう。
労働審判の結果に納得できない場合は、どうなりますか。
審判委員会が示した審判に不服がある場合には、異議を申し立てることができます。異議が出されると、その事案は訴訟へと移行します。つまり、労働審判の結論が気に入らなければ、あらためて裁判で争う道が開かれている、ということです。
この仕組みがあるため、労働審判に臨むにあたって「ここで結論が確定してしまうのでは」と過度に身構える必要はありません。納得できなければ、訴訟という次の段階が用意されています。とはいえ、訴訟に移れば時間も労力もかかりますから、できれば労働審判の段階で、納得のいく解決を目指したいところです。そのためにも、最初の準備が重要になります。
労働審判は、自分一人でも申し立てられますか。
制度上、本人だけで申し立てることも可能です。ただし、労働審判は最初の準備が結果を大きく左右するうえ、会社側は代理人を立ててくることが多いものです。対等に渡り合い、有利に進めるためには、専門家の力を借りることをおすすめします。
会社側は、労働問題の対応に慣れた代理人を立ててくることが少なくありません。そうした相手と、一人で対等に渡り合うのは、簡単なことではありません。特に、限られた期日で勝負が決まる労働審判では、準備や進行の巧拙が結果を大きく分けます。「自分一人でもできる」と考える前に、まずは専門家に相談し、どう進めるのがよいかの見通しを得ておくと安心です。
労働審判と訴訟、どちらを選べばよいですか。
争点が比較的はっきりしていて、早期の解決を望むなら労働審判が向いていることが多く、事実関係が複雑で入念な立証が必要なら訴訟が適していることもあります。どちらがよいかはケースによって変わるため、専門家に相談して判断するのが確実です。
この選択は、その後の展開を大きく左右する重要な分かれ道です。早さを優先するのか、じっくり争うことを優先するのか。自分が何を求めているのかによっても、適した手続きは変わってきます。素人判断で決めてしまう前に、証拠の状況や争点を専門家に見てもらい、どちらが自分のケースに合っているかを検討してもらうとよいでしょう。
会社を辞めていても、労働審判は利用できますか。
できます。すでに退職している場合でも、在職中に生じた未払い賃金や、不当解雇をめぐる争いなどについて、労働審判を利用できます。ただし、請求には時効の問題も関わってくるため、争いたいと考えているなら、早めに動き出すことをおすすめします。
退職したからといって、在職中のトラブルを問えなくなるわけではありません。むしろ、会社との関係が切れたことで、落ち着いて手続きに臨めるという面もあります。ただし、時間が経つと証拠が集めにくくなり、時効の問題も出てきます。退職後に争うことを考えているなら、なるべく早めに準備を始めるのがよいでしょう。
