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不当解雇を裁判で訴える|会社から突然解雇されたら
この記事で分かること
- 法律・就業規則・雇用契約書に反する解雇は不当解雇
- 裁判を起こす前に紛争調整委員会によるあっせんや労働審判を利用する方法もある
- 解決まで長期間かかる裁判では仮処分を活用して生活費を確保できる
会社が法律・就業規則・雇用契約書に反して解雇を行うと不当解雇となります。不当解雇の問題を解決したい場合は、裁判を起こす前に紛争調整委員会によるあっせんや労働審判を利用するという方法もあります。また、裁判になると判決・和解まで長期間を要しますが、仮処分を利用すると当面の生活費を確保できます。
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こんな形で辞めさせられたら不当解雇!裁判などで無効にできる可能性あり
解雇とは、会社が従業員との雇用契約を解除することです。労働契約法は、解雇には客観的に見て合理的な理由があり、さらに社会通念上相当であると認められることが必要と定めています。また、会社は就業規則や雇用契約書に解雇の規定がないと解雇ができません。
不当解雇に当たるケース
会社が法律や就業規則などに反して従業員を解雇すると「不当解雇」となります。不当解雇に当たるケースには、要件を満たしていない整理解雇(リストラ)や懲戒解雇、休業中の解雇や、態度・能力を理由にした安易な解雇などがあります。
整理解雇(リストラ)に見せかけた不当解雇
会社が整理解雇を行うときは、人員削減の必要性・解雇回避の努力・解雇者を選ぶ方法の合理性・解雇手続きの妥当性という4つの要件をすべて満たすときのみ解雇が有効と認められています。しかし、業績不振を理由に解雇する一方で新規求人を出していたり、労働組合に入っているからリストラ対象者に選ばれた、というようなケースもあります。これらは整理解雇の4つの要件を満たしておらず不当解雇に当たります。
懲戒解雇に見せかけた不当解雇
懲戒解雇されたが、就業規則や雇用契約書に懲戒解雇に関する規定がない場合は、不当解雇と言えます。規定があっても、懲戒解雇の要件に相当しない、規定の内容が合理的でない、就業規則が従業員に周知されていない、といったケースも有効ではありません。また、懲戒解雇の際は労働組合と協議が必要と規定されているのにその手続きを踏まずに解雇された場合も不当解雇に当たります。
けが・病気による休業中や産休中に言い渡された不当解雇
労働基準法では、仕事が原因でけが・病気になった場合、療養のために休業する期間とその後の30日間は解雇が禁止されています。また、産休中(産前6週間と産後8週間)とその後30日間も解雇ができない期間です。この期間中に解雇された場合は法律に反し、不当解雇となります。
勤務態度や能力を理由にした不当解雇
遅刻が多い、売り上げ目標を達成できていないといった問題を抱える従業員がいても、会社側から本人に改善させる努力をせず、いきなり解雇することは認められません。労働契約法の「客観的で合理的な理由があり社会通念上相当であると認められる」という規定に反するのです。
不当解雇で裁判をする前に(1)紛争調整委員会によるあっせんを利用する
不当解雇された直後は「裁判で会社を訴えてやる」と考えるかもしれませんが、裁判にはある程度の時間や費用を覚悟する必要があります。実は裁判を起こす前にも解決に向けて活用できる手段があります。「紛争調整委員会によるあっせん」がその一つです。
紛争調整委員会によるあっせん
紛争調整委員会とは、各都道府県の労働局に設置された委員会で、メンバーは労働問題の専門家(弁護士・社労士・大学教授など)で構成されます。この委員会の中から指名された「あっせん委員」が紛争当事者(会社と従業員)の間に入り、解決に向けたあっせんを行います。
紛争調整委員会によるあっせんのメリット
不当解雇された人がたった1人で会社に反論しても相手にしてもらえないこともあります。しかしあっせんを利用すると、あっせん委員が公平・中立な第三者として間に入って調整を行ってくれるのです。あっせんは無料で受けることができ、少なくとも数ヶ月はかかる裁判と比べて迅速・簡単な手続きで住みます。
あっせんの手続きの流れ
各都道府県の労働局にあっせん申請書を提出します。労働局長が紛争調整委員会へあっせんを委任すると、当事者に対しあっせんに参加するかどうかの意思確認が行われます。会社が参加の意思を示せば、あっせん期日に双方の主張の確認・参考人からの事情聴取・あっせん案の提示などが行われ、紛争の解決を図ります。双方が合意したあっせん案は民法上の和解契約の効力を持ちます。
不当解雇で裁判をする前に(2)労働審判を利用する
会社側があっせんに応じない場合や、復職に強くこだわっておらず解決金の支払いを受けたいという場合は、裁判所で行う「労働審判」を活用することも解決への選択肢の一つです。
労働審判とは
労働審判とは、会社と従業員の労働関係のトラブルを、労働審判官(裁判官)1名と労働関係の専門知識を持つ労働審判員2名で構成された労働審判委員会が調停によって紛争解決に導く手続きです。
労働審判のメリット
労働審判は裁判所を利用する手続きですが、裁判よりも迅速な解決が期待できます。労働問題の裁判は1年以上かかることも珍しくありませんが、労働審判は期日が原則3回以内と少なく、2〜3ヶ月程度で終了する例が多いのです。また、会社側が労働審判を欠席すると申立人(従業員)側に有利な結果となる傾向があるため、会社側に無視させないという効果もあります。
労働審判の手続きの流れ
まず会社の所在地を管轄する地方裁判所に対し、労働審判手続きを申し立てます。申し立て後は労働審判委員会が原則3回以内の期日で審理を行います。双方が争っている点を整理し、必要に応じて証拠調べも行い、話し合いによる解決を目指すのです。もし調停が不成立となれば、労働審判官らが解決策を提示する労働審判が行われます。異議申し立てが行われれば労働審判は執行し、裁判手続きをとることになります。
不当解雇の無効を訴え復職したいなら裁判の手続きへ
裁判は不当解雇の解決を図る際の最終手段です。復職を強く希望しているものの会社との対立が根深いという場合は、裁判が有効でしょう。
不当解雇を争う裁判とは
不当解雇の裁判は、解雇が向こうであることを主張し、従業員の地位があることの確認と解雇された後の給与の支払いを求めます。また、賃金仮払いの仮処分を利用すれば復職までの生活費も確保できます。
裁判の手続きの流れ
まず会社の所在地を管轄する地方裁判所に対し訴状を提出します。裁判期日は原告・被告がそれぞれに主張を行い、主張を立証する証拠を提出します。裁判の期間がどれくらいかかるかは個別の事案によって異なりますが、場合によっては1年以上の長期化に及ぶこともあります。また、判決に至る前に裁判官と原告・被告による交渉も行われ、その結果和解が成立するケースもあります。
訴訟で役立つ証拠
裁判の前に労働審判を行った場合も、改めて証拠調べが行われます。証拠は一般的に解雇通知書・解雇理由証明書・就業規則・雇用契約書などを提出します。退職強要ののち解雇された場合などは、会社から退職を迫られた際の録音や、会社とのやりとりを詳細に記録したメモなども証拠として役立ちます。
「仮処分」で当面の生活費を確保できる
復職を求めて裁判を起こす場合、再就職しないので裁判中の収入がなく、生活やローンの返済に困ってしまうこともあります。そんなケースで役に立つのが「賃金仮払い仮処分」です。裁判所が「解雇無効の可能性が高く、このままでは生活に困窮するため支払いの必要性がある」と認めた場合、判決を待たずに会社に対し給料の仮払いを命じてくれるというものです。仮処分の決定までは2か月前後が目安です。
解雇されたことに納得がいかない場合、泣き寝入りせず、相談機関や専門家に相談してみてください。弁護士の中には無料相談を行なっている事務所もあるので、復職や解決金の支払いを求める方法などを聞いてみるのがおすすめです。
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