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不当解雇を裁判で訴えるには?手続きの流れと勝つ準備

不当解雇を裁判で訴えるには?手続きの流れと勝つ準備

この記事で分かること

  • 法律上どんな解雇が不当と判断されるのかの基準
  • 裁判で争う前に確認しサインを避けるべきこと
  • 不当解雇を裁判で訴えるまでの具体的な流れ
  • 労働審判と訴訟の違いとそれぞれが向くケース
  • 職場復帰や解決金など会社に請求できるものの中身
  • 不当解雇の裁判で結果を左右する証拠の集め方
  • 弁護士に依頼するメリットと相談の進め方

会社は労働者を自由に解雇できるわけではなく、合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く解雇は無効となります。争う前に解雇理由証明書を求め、退職届には安易にサインしないことが大切です。手段には労働審判と訴訟があり、職場復帰だけでなく解決金による決着も選べます。結果を左右するのは証拠です。時間が経つほど不利になるため、あきらめる前に、まずは早めに専門家へ相談してみましょう。

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ある日突然、会社から「明日から来なくていい」と告げられる。頭が真っ白になり、何をどうすればいいのか分からなくなる。そんな理不尽な解雇に直面したとき、「これはおかしいのではないか」と感じたなら、その直感は決して間違っていません。日本の法律は、会社が労働者を自由に解雇できるようにはできていないからです。

この記事では、納得のいかない解雇を裁判で争いたいと考えている方に向けて、そもそもどんな解雇が不当とされるのか、裁判に進むまでにどんな準備が必要か、そして手続きがどのように進んでいくのかを、順を追って整理していきます。突然のことで気が動転しているかもしれませんが、落ち着いて一つずつ確認していきましょう。ここで正しい知識を持つことが、あなたの立場を守る力になります。

解雇をめぐる争いは、多くの人にとって初めての経験です。だからこそ「何から手をつければいいのか」「本当に会社と争えるのか」と、不安ばかりが先に立ってしまうのも無理はありません。けれども、順序立てて理解していけば、決して手の届かない話ではありません。大切なのは、感情に流されず、事実と証拠に基づいて一歩ずつ進めていくことです。まずは全体の地図を頭に入れることから始めましょう。

不当解雇とは?法律が認める解雇の条件

まず大前提として、会社は労働者を好き勝手に辞めさせることはできません。解雇が有効と認められるには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当だと言えることが必要です。この条件を満たさない解雇は、法律上「無効」とされ、いわゆる不当解雇に当たります。

この考え方の背景には、「解雇は労働者の生活に極めて重い影響を与える」という認識があります。仕事を失えば収入が途絶え、生活の土台が崩れてしまう。だからこそ法律は、会社の一存で簡単に解雇できないよう、高いハードルを設けているのです。会社にとっての「都合が悪い」は、必ずしも法律上の「解雇できる理由」にはならない。この原則をまず頭に置いておいてください。会社が当然のように解雇を告げてきたとしても、その解雇が法律上も許されるものかどうかは、まったく別の問題なのです。

「上司に嫌われたから」「気に入らないから」といった一方的な理由で解雇されたのであれば、それは合理的な理由とは言えません。また、仮に何らかの落ち度があったとしても、いきなり解雇するのは重すぎると判断されれば、やはり解雇は認められないことがあります。会社には、注意や指導、配置転換など、解雇を避けるための努力が求められるのです。

実際に不当解雇と判断されやすいのは、次のようなケースです。自分の身に起きたことと照らし合わせてみてください。

  • ミスや成績を理由に挙げられているが、事前の注意や指導がほとんどなかった
  • 解雇の理由が後から次々と付け足され、当初の説明と食い違っている
  • 妊娠や出産、育児休業の取得などをきっかけに解雇された
  • 病気やけがで一時的に働けなくなったことを理由に、回復を待たずに解雇された
  • 他の従業員と比べて、明らかに不公平な扱いを受けている

こうした事情がある場合、会社の言い分がそのまま通るとは限りません。「解雇されたのだから、もう終わりだ」と思い込まず、その解雇に正当な理由があったのかを冷静に見つめ直すことが第一歩になります。

解雇にはいくつかの種類がある

ひとくちに解雇といっても、その中身はさまざまです。勤務態度や成績を理由とする「普通解雇」、規律違反への制裁としての「懲戒解雇」、経営の悪化に伴う「整理解雇」などがあり、それぞれで有効と認められる条件が異なります。自分がどの種類の解雇を受けたのかによって、争うときの論点も変わってきます。

とりわけ懲戒解雇は、労働者にとって最も重い処分であり、その分だけ厳しい条件が求められます。就業規則に懲戒の定めがあること、その定めに当てはまる事実が本当にあったこと、そして処分の重さが行為に見合っていることなどが必要です。会社が「重大な規律違反だ」と主張していても、実際にはそこまでの事実がなかったり、処分が重すぎたりすれば、懲戒解雇は認められません。自分が受けた解雇がどの類型に当たるのかを見極めることが、争いの出発点になります。

たとえば、経営難を理由にした整理解雇、いわゆるリストラの場合には、本当に人員削減が必要だったのか、解雇を避ける努力を尽くしたのか、対象者の選び方は公平だったのかなど、厳しい観点から検討されます。リストラで解雇された場合の対抗手段については、こちらの記事も参考になります。

整理解雇では、会社側に四つの視点からの説明が求められると言われています。人員削減の必要性が本当にあったのか、解雇以外の手段を尽くしたのか、誰を対象にするかの基準が合理的だったのか、そして労働者への説明や協議を丁寧に行ったのか。これらのどれかが欠けていれば、たとえ会社が「経営のためだ」と主張しても、解雇が認められないことがあります。会社の都合だけで一方的に切り捨てられたと感じているなら、これらの視点から解雇の妥当性を問い直せる余地があります。

裁判で争う前に確認すべきこと

いざ裁判で争おうと決める前に、いくつか確認しておきたいことがあります。準備が整っているかどうかで、その後の展開が大きく変わるからです。感情のままに動き出す前に、まずは足元を固めましょう。

ここでの準備を怠ると、後になって「あの資料を取っておけばよかった」「あのとき署名しなければよかった」と悔やむことになりかねません。解雇された直後の対応が、その後の争いの土台を作ると言っても過言ではありません。次に挙げる二つの点は、特に意識しておいてほしいところです。

最初に確認したいのが、解雇の理由が書面で示されているかです。労働者から求められれば、会社は解雇の理由を記した書面を交付しなければなりません。この書面は、後で会社の主張がぶれるのを防ぐ意味でも重要です。口頭でしか理由を告げられていない場合には、書面での交付を求めておきましょう。

なぜ書面が大切なのかというと、争いが進む中で会社側の言い分が変わっていくことがあるからです。最初は「業績不振」と言っていたのに、後になって「勤務態度が悪かった」と理由を差し替えてくる、といった具合です。しかし、最初に交付された解雇理由証明書に書かれた理由があれば、会社は簡単に主張を変えられなくなります。いわば、会社の言い分を早い段階で固定しておくための材料になるのです。求めれば会社は交付する義務があるので、遠慮せずに請求しておきましょう。

争う前にそろえておきたいもの
解雇通知書や解雇理由証明書、雇用契約書や就業規則、これまでの給与明細、解雇に至るまでのやり取りが分かるメールやチャットの記録など。会社を離れると入手が難しくなる資料もあるため、早めに手元へ確保しておくことが肝心です。

次に押さえておきたいのが、「解雇を受け入れたと誤解されない対応」をしておくことです。たとえば、会社から差し出された退職届にうっかりサインしてしまうと、自分から辞めたと扱われてしまうおそれがあります。納得していないのであれば、安易に書類にサインをしないことが大切です。懲戒解雇に納得できない場合の対応については、次の記事も役立ちます。

この「サインしない」という点は、想像以上に重要です。解雇に納得していないのに退職届や退職合意書に署名してしまうと、後になって「不当解雇だ」と主張しても、「自分の意思で辞めたのではないか」と反論される材料を与えてしまいます。会社から「これは形式的なものだから」「サインしないと手続きが進まない」などと言われても、その場で応じる必要はありません。少しでも迷いがあるなら、いったん持ち帰り、内容を確認してから判断しましょう。焦らされて署名した一枚が、後の争いの足かせになることもあるのです。

また、解雇を告げられた際のやり取りは、できる範囲で記録に残しておくとよいでしょう。いつ、誰から、どのような理由で解雇を伝えられたのか。その事実関係が、後の手続きで重要な意味を持つことがあります。

不当解雇を裁判で訴えるまでの流れ

ここからは、実際に不当解雇を争うときの流れを見ていきましょう。いきなり裁判所へ、というわけではなく、段階を踏んで進んでいくのが一般的です。全体像をつかんでおくと、いま自分がどの位置にいるのかが分かり、見通しが立てやすくなります。

解雇をめぐる争いは、始めてしまえば一気に進むというより、一つひとつの段階を着実に踏んでいくものだと考えてください。焦って途中を飛ばそうとすると、かえって足元をすくわれることになりかねません。次のような流れをたどるのが基本形です。

  1. まず、解雇理由証明書などの資料を集め、解雇が有効かどうかを検討します。ここで争う見込みがあるかを見極めます。
  2. 会社に対して、解雇の撤回や職場復帰、あるいは相応の解決を求める意思を伝えます。話し合いで解決できることもあります。
  3. 話し合いで決着しない場合には、労働審判を申し立てるか、訴訟を提起するかを検討します。事案の性質によって選択します。
  4. 手続きの中で、双方が主張と証拠を出し合い、裁判所の関与のもとで解決を目指します。和解で終わることも少なくありません。

「訴える」と聞くと、いきなり法廷で激しく争うイメージを持つかもしれません。しかし実際には、話し合いや調整によって、途中で和解に至るケースがかなりの割合を占めます。最後まで判決で白黒つけるだけが解決の形ではない、ということも知っておいてください。

この段階で意識しておきたいのは、「何を目指すのか」を早めに定めておくことです。職場に戻ることを望むのか、それとも金銭的な解決で区切りをつけたいのか。目指すゴールによって、選ぶべき手続きも、交渉の進め方も変わってきます。気持ちが揺れるのは当然ですが、大まかな方向性を持っておくだけで、その後の判断がぶれにくくなります。専門家に相談する際も、自分の希望を伝えておくと、より的確な助言が得られるはずです。ゴールが定まっていれば、途中で迷ったときにも立ち返る場所ができます。

労働審判と訴訟の違い、どちらを選ぶ?

不当解雇を法的に争う手段には、大きく分けて「労働審判」と「訴訟」があります。この二つは、進み方も、かかる時間も、向いている事案も違います。自分の状況に合ったほうを選ぶことが、納得のいく解決への近道になります。

比較する点 労働審判 訴訟
おおまかな進み方 原則として短い回数の期日で解決を目指す 主張と証拠を重ねて審理を尽くす
解決までの期間 比較的短期間で結論に至りやすい 長い時間がかかることがある
向いている事案 事実関係が比較的はっきりしている場合 争点が複雑で入念な立証が必要な場合

労働審判は、原則として限られた回数の期日で結論を目指す手続きで、比較的早く解決できるのが特徴です。一方、内容が複雑で、じっくり証拠を積み上げて争う必要がある場合には、訴訟のほうが適していることもあります。労働審判の仕組みや、訴訟との違いについては、次の記事でくわしく解説しています。

どちらを選ぶかは、事案の性質だけでなく、労働者自身がどれだけ早い解決を望むか、どこまで争うつもりかにもよります。早期の決着を重視するなら労働審判が向いていることが多く、じっくり争って納得のいく結論を得たいなら訴訟という選択もあります。もっとも、この判断は素人には難しいものです。自分のケースがどちらに向いているのかは、証拠の状況や争点を踏まえて、専門家と相談しながら決めていくのが現実的でしょう。

また、労働審判で示された結論に納得できない場合には、訴訟へ移行することもあります。労働審判の具体的な流れを知っておきたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

労働審判には、話し合いによる調停的な解決を目指しつつ、まとまらなければ審判という形で一定の判断が示されるという特徴があります。多くの場合、限られた期日の中で解決の方向性が見えてくるため、長期戦を避けたい方には向いています。ただし、短期間で勝負が決まるということは、最初の申立ての段階で主張と証拠をしっかり固めておく必要があるということでもあります。準備不足のまま臨むと、十分に言い分を尽くせないまま結論が出てしまうおそれがあるのです。この点でも、事前の準備がいかに大切かが分かります。

裁判で会社に請求できるもの

不当解雇を争うとき、労働者が求められるものは一つではありません。何を目指すのかによって、進め方も変わってきます。ここでは、代表的な請求の中身を整理してみましょう。

「解雇を争う」と聞くと、職場に戻ることだけを思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、目指せるゴールはもう少し幅があります。自分にとって何が本当に望ましい結末なのかを考えるうえで、どんな選択肢があるのかを知っておくことは大きな助けになります。

一つは、解雇の無効を認めてもらい、職場に戻ることです。解雇が無効であれば、労働者としての立場は続いていることになります。その場合、解雇されていた期間の賃金についても、支払いを求められる余地があります。

ここは意外と見落とされがちなポイントです。解雇が無効だと認められれば、その間も労働者だったことになるため、働けなかった期間の賃金も本来は受け取れるはずのものだった、という理屈になります。つまり、争いに時間がかかったとしても、その期間が丸ごと無駄になるわけではないのです。もちろん、実際にどこまで認められるかは事案によりますが、「戻る」という選択には、こうした側面もあることを知っておくとよいでしょう。

もっとも、実際には「もうあの会社には戻りたくない」という方も多くいます。その場合には、職場復帰ではなく、金銭的な解決を目指すという選択もあります。会社との合意によって、相応の解決金を受け取ったうえで退職する、という形で決着することも少なくありません。ただし、こうした解決金の水準は事案によって大きく異なるため、一律にいくらとは言えない点に注意が必要です。

解決金の額は、解雇の不当性の程度、勤続年数、賃金の水準、会社側の対応など、さまざまな事情を踏まえて決まっていきます。同じ「不当解雇」でも、事情が違えば結果も変わるということです。だからこそ、インターネット上で見かける金額をそのまま自分に当てはめて期待するのではなく、自分のケースがどう評価され得るのかを、証拠をもとに個別に検討することが欠かせません。この見極めは、経験のある専門家の力が特に生きる部分でもあります。

慰謝料を求められる場合もある

解雇の態様が特に悪質で、労働者の人格を傷つけるようなものであった場合には、慰謝料を請求できることもあります。ただし、単に解雇されたというだけで当然に慰謝料が認められるわけではありません。どのような場合に認められ得るのか、その目安については、次の記事も参考にしてみてください。

たとえば、大勢の前で侮辱的な言葉を浴びせながら解雇を告げられた、退職に追い込むための嫌がらせが繰り返された、といった事情があれば、慰謝料が認められる方向に働きます。反対に、手続き自体は淡々と行われ、特に人格を傷つけるような要素がなかった場合には、解雇そのものは無効でも、慰謝料までは認められにくいことがあります。自分のケースで慰謝料を求められるかどうかは、解雇の経緯を具体的に振り返りながら検討する必要があります。

不当解雇の裁判で重要になる証拠

裁判で自分の主張を通すためには、それを裏づける証拠が欠かせません。「不当だ」という思いがどれだけ強くても、それを客観的に示せなければ、裁判所を動かすのは難しいのが現実です。だからこそ、証拠の準備が結果を左右します。

裁判の世界では、「事実はあった」と主張する側が、それを示す責任を負うのが基本です。つまり、こちらが「解雇は不当だった」と主張するなら、その根拠となる材料をこちらで用意していく必要があります。頭の中で「あのときこうだった」と分かっていても、それを形にして示せなければ、主張として弱くなってしまう。この現実を踏まえて、早い段階から証拠を意識して集めておくことが、何よりの備えになります。

重要になるのは、まず解雇の経緯が分かる資料です。解雇通知書や解雇理由証明書はもちろん、解雇に至るまでのメールやチャット、会話の記録なども、状況によっては大きな意味を持ちます。会社側が主張する解雇理由が事実と異なる場合、それを覆す材料になり得るからです。

たとえば、会社が「勤務成績が著しく悪かった」と主張してきたとしましょう。もし手元に、上司から評価されていたメールや、問題なく業務をこなしていたことが分かる記録が残っていれば、その主張に真っ向から反論できます。逆に、会社の言い分を裏づけるような不利な資料しかないと、争いは厳しくなります。だからこそ、自分に有利な材料を早い段階で集め、整理しておくことが、裁判の行方を大きく左右するのです。

ワンポイントアドバイス
「証拠になりそうなものは、とにかく捨てずに残しておく」。これが鉄則です。解雇された直後は動揺していて、何が重要か判断がつかないものです。給与明細、業務の記録、上司とのやり取り、就業規則など、迷ったら保存しておきましょう。後から必要だと気づいても、会社を離れた後では手に入らないことが多いのです。

アルバイトやパートといった立場でも、不当解雇として争えることがあります。「正社員ではないから仕方ない」とあきらめてしまう前に、自分のケースがどうなのかを確認してみてください。アルバイトの不当解雇については、次の記事がくわしいです。

雇用の形がアルバイトやパートであっても、労働者であることに変わりはありません。契約の期間が定められている場合でも、期間の途中で正当な理由なく解雇するのは簡単には認められませんし、契約が繰り返し更新されてきた実態があれば、更新を打ち切ること自体が争いの対象になることもあります。立場が非正規だからといって、権利がないわけではないのです。むしろ「どうせ争えない」と思い込んでいる人ほど、泣き寝入りしてしまいがちなので注意が必要です。

弁護士に依頼するメリットと進め方

不当解雇を争う手続きは、一人で進めることも不可能ではありません。しかし、法律の知識や手続きの経験が求められる場面が多く、専門家の力を借りることで、負担が大きく軽くなるのも事実です。

解雇と向き合いながら、自分で法律を調べ、書面を作り、会社と交渉する。これを一人でこなすのは、想像以上に大変なことです。しかも、解雇された直後は精神的にも余裕がありません。そんな状態で相手と対峙し続けるのは、心身ともに大きな消耗を伴います。専門家に任せられる部分を任せることで、自分は生活の立て直しに集中できる。それも、依頼を検討する大きな理由の一つです。

弁護士に依頼する最大の利点は、会社との交渉や書面のやり取りを任せられることにあります。解雇されて精神的にも参っている中で、会社と直接やり合うのは大きなストレスです。その矢面に立ってもらえるだけでも、心の余裕が生まれます。また、証拠の集め方や主張の組み立て方についても、経験に基づいた助言を受けられます。

もう一つ見逃せないのが、交渉における立場の違いです。個人が一人で会社に「解雇は不当だ」と訴えても、なかなか本気で取り合ってもらえないことがあります。ところが、代理人として弁護士が間に入ると、会社側も「きちんと対応しなければ」という姿勢に変わりやすくなります。同じ主張でも、誰がどう伝えるかで相手の受け止め方は変わるのです。結果として、話し合いが前に進みやすくなるという効果も期待できます。

注意
解雇に納得がいかないからといって、感情的に会社へ抗議し続けると、かえって話がこじれてしまうことがあります。冷静に、証拠と法律に基づいて対応するためにも、早い段階で専門家に相談し、方針を立てておくことをおすすめします。動く前の準備が、その後の展開を左右します。

費用の面が気になる方も多いでしょう。弁護士への依頼にかかる費用は、事案の内容や進め方によって変わってくるため、依頼を検討する際には、あらかじめ見通しを確認しておくと安心です。金額の目安がつかめれば、進めるかどうかの判断もしやすくなります。

費用が心配で相談をためらう方は少なくありませんが、多くの場合、最初の相談の段階で、どのような進め方が考えられ、どの程度の負担が見込まれるのかを説明してもらえます。まずは相談してみて、そのうえで依頼するかどうかを決めればよいのです。「相談したら必ず依頼しなければならない」というものでもありません。費用の不安を理由に動けないまま時間が過ぎてしまうことのほうが、結果的に大きな損失につながることもあります。

不当解雇の裁判に関するよくある質問

ここでは、不当解雇を裁判で争うことについて、よく寄せられる疑問にお答えします。同じような不安を抱える方は多くいます。自分の状況と重ね合わせながら読んでみてください。少しでも判断の助けになれば幸いです。

解雇されてから、どのくらいの期間なら争えますか。

争うこと自体に明確な期限があるわけではありませんが、時間が経つほど証拠が集めにくくなり、記憶もあいまいになっていきます。また、賃金の請求には時効の問題も関わってきます。争いたいと考えているなら、できるだけ早く動き出すほうが有利です。

時間の経過は、労働者にとって不利に働くことが多いものです。同僚の記憶が薄れたり、会社の担当者が異動していなくなったり、当時のやり取りを示す記録が消えてしまったり。こうしたことが積み重なると、いざ争おうとしたときに立証が難しくなってしまいます。「もう少し落ち着いてから」と先延ばしにする気持ちも分かりますが、動くなら早いほうがよいというのが正直なところです。

すでに退職届を出してしまいました。もう争えないのでしょうか。

状況によっては、争える可能性が残されています。退職届が本当に自分の意思で出したものなのか、会社に強く迫られて仕方なく書いたものなのかによって、扱いが変わることがあるためです。あきらめる前に、当時の経緯を含めて一度相談してみることをおすすめします。

「辞めます」と自分で書いた以上もう無理だ、と思い込んでいる方は多いのですが、実際には、退職の意思表示が本心からのものだったかどうかが問題になります。執拗に退職を迫られ、断れない状況に追い込まれて署名したのであれば、その退職が有効とは言えないと判断される余地があります。大切なのは、そのときどのような状況だったのかを、できるだけ具体的に思い出して整理しておくことです。

職場に戻りたいわけではありません。それでも争う意味はありますか。

あります。職場復帰を目指さず、金銭的な解決を求めるという選択も可能です。不当な解雇に対して相応の解決を得ることは、次の一歩を踏み出すための区切りにもなります。何を目指したいのかを整理したうえで、方針を考えていきましょう。

裁判になると、必ず法廷で会社と対決することになりますか。

必ずしもそうではありません。実際には、手続きの途中で話し合いによる和解に至るケースが多くあります。最後まで判決で決着をつけるとは限らず、双方が納得できる形で解決することも十分にあり得ます。

「裁判」という言葉から、法廷で相手と激しく言い争う場面を想像して身構える方もいますが、現実はもう少し穏やかに進むことが多いものです。裁判所が間に入り、双方の言い分を聞きながら、落としどころを探っていく。その過程で、お互いに歩み寄って解決に至ることも珍しくありません。争いを最後まで貫くことだけがゴールではない、という点は、心の負担を軽くしてくれるはずです。

一人で手続きを進めるのは難しいですか。

不可能ではありませんが、法的な主張の組み立てや証拠の整理には専門的な知識が必要です。相手方である会社が代理人を立ててくることも多く、対等に渡り合うためには、こちらも専門家の力を借りたほうが安心です。まずは相談だけでもしてみて、見通しを持つことから始めてみてください。

突然の解雇は、生活の基盤を揺るがす大きな出来事です。だからこそ、一人で抱え込まず、正しい知識と適切な支えを得ながら進めていくことが何より大切になります。ここまで読んでくださったあなたには、もう「何をすればいいのか分からない」という状態からは一歩踏み出せているはずです。あとは、証拠を整え、方針を定め、必要に応じて専門家に相談する。その一つひとつが、納得のいく解決へとつながっていきます。あせる必要はありませんが、動くべきときに動く。その一歩が、これからのあなたを守ってくれるはずです。

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