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会社の都合で辞めさせられようとしているとき
業績が厳しいので人員を減らすことになった。部署ごとなくなるので、残念だが退いてもらうしかない。そう告げられて、返す言葉が見つからなかった。
会議室に呼ばれ、事前の相談も何もないまま結論だけを聞かされる。その場で意見を求められることもない。多くの場合、こうした形で始まります。
頭が真っ白になって、何を聞けばよいのかも分からない。気づいたら退室していた。そんな経験をした方も多いはずです。
その場で反論できなかったからといって、受け入れたことにはなりません。あらためて説明を求めることはできます。
むしろ、その場で感情的に言い返さなかったことは良い判断だったとも言えます。落ち着いてから組み立て直せばよいのです。
自分に落ち度があったわけではありません。むしろ、これまで会社のために働いてきたはずです。それなのに、なぜ自分が選ばれたのか。
同じ部署にほかにも人はいたはずです。それでも自分が名指しされた理由を、会社はきちんと説明してくれたでしょうか。
説明がないまま結論だけを受け入れることに、納得できないのは当然です。その感覚は、法律の考え方とも一致しています。
納得できないまま、けれども会社が苦しいと言うのだから仕方がない。そう考えて受け入れてしまう方が、実はとても多いのです。
長く勤めた会社であればあるほど、その気持ちは強くなります。迷惑をかけたくない、揉めたくない。そう思うのは自然なことです。
ですが、会社が立ち行かなくなった責任は、あなたにはありません。負い目を感じる必要はどこにもないのです。
ここでお伝えしておきたいことがあります。経営が厳しいという事情だけで、解雇が当然に認められるわけではありません。会社の都合で行う解雇には、とりわけ厳しい条件が課されています。
なぜ厳しいのかというと、働く側にまったく落ち度がないからです。落ち度のない人の生活を奪うのですから、それに見合うだけの理由と手順が求められるのは当然のことでしょう。
会社の判断の誤りや、事業環境の変化によって生じた事態です。その責任を働く人に負わせるには、相応の説明が要るということです。
現に、裁判で効力を否定された例はいくつも積み上がっています。会社が苦しいと口にすれば通る、という話ではないのです。
むしろ、四つの条件をすべて満たしている事案のほうが少ないというのが実感です。争える余地は、思っているより広く残されています。
そしてもうひとつ。多くの場合、解雇そのものより先に、辞めるよう促す働きかけがやってきます。ここでの対応が、その後を大きく左右します。
ここで応じてしまうと、後から争うことが格段に難しくなります。逆に言えば、この段階を知っておくだけで守れるものがあるということです。
この記事を読んでいる方が、まだ勧奨の段階であれば、それは大きな幸運です。
この記事では、整理解雇とはどういうものか、無効になるかを決める四つの条件、解雇の前段階での注意点、会社の説明を確かめる視点、離職の理由をめぐる落とし穴、そして争うかどうかの判断についてお話しします。
むずかしい言い回しは避けて書きました。条文を暗記する必要はありません。会社が何を説明しなければならないのか、その輪郭さえ見えていれば足ります。
受け入れるにしても、争うにしても、判断の材料を持ったうえで決めてください。それが、後悔を残さないための唯一の方法です。
知らないまま受け入れるのと、知ったうえで受け入れるのとでは、同じ結果でも意味がまったく違います。
そして、確かめる作業のほとんどは、会社に質問することから始まります。特別な準備は要りません。
整理解雇とはどういう解雇か
まず、位置づけを整理しておきましょう。
同じ解雇でも、種類によって判断の物差しが違います。まずは自分がどれにあたるのかを確かめてください。
会社が使った言葉ではなく、実際に何が起きているかで判断します。
整理解雇は、会社の経営上の事情によって人員を減らすために行われる解雇です。世間ではリストラと呼ばれることが多いでしょう。
事業の縮小、店舗の閉鎖、部門の廃止。理由はさまざまですが、いずれも会社の側の事情です。
取引先を失った、需要が落ち込んだ、設備投資が重荷になった。どれも働く人が招いたことではありません。
これに対して普通解雇は、能力が足りない、健康上の理由で働けないといった、本人の側の事情を理由とするものです。懲戒解雇は、職場の規律に反する行為に対する制裁として行われます。
会社によっては、実質的には人員削減なのに、能力不足を理由とする普通解雇の形を取ってくることがあります。四つの条件による厳しい判断を避けるためです。
同じ時期に何人も辞めさせられているのであれば、実態は人員削減だと考えるのが自然でしょう。周囲の状況にも目を向けてください。
整理解雇が他と決定的に違うのは、本人に落ち度がないという点です。ここが、判断の厳しさにつながっています。
能力が足りないと言われたわけでも、規律に反したわけでもない。それなのに職を失うのですから、会社の側に重い説明責任が課されるのは当然のことです。
この考え方は、長い時間をかけて裁判所が積み上げてきたものです。会社の裁量が広く認められる場面とは、はっきり区別されています。
ですから、経営判断だから口を出せないという説明は、この場面では通りません。
裁判で争われる際にも、会社の側が説明すべきことは多くなります。なぜ人員を減らす必要があったのか、なぜその方法を選んだのか、なぜあなただったのか。
この三つのうち、ひとつでも説明できなければ、解雇の正当性は揺らぎます。
とくに三つめの、なぜあなただったのかという点は、会社が説明に窮しやすい部分です。
これらを説明できなければ、解雇は無効と判断されることになります。
ここは覚えておいてください。説明する責任を負っているのは、あなたではなく会社の側なのです。
自分に非がないことを証明しなければならない、と思い込む必要はありません。順序は逆です。
もうひとつ知っておいてほしいのは、解雇である以上、予告に関する定めが適用されるという点です。
会社の事情による解雇だからといって、この定めが外れるわけではありません。
原則として三十日前の予告か、それに代わる手当が必要になります。今日で終わりと言われて何も支払われていないのであれば、その点だけでも確かめてください。
解雇の効力そのものを争わない場合でも、この部分だけを請求することはできます。
無効になるかを決める四つの条件
ここが本題です。整理解雇が有効と認められるかどうかは、四つの視点から判断されてきました。
四つとも会社の側が説明すべき事柄です。読みながら、自分の会社が説明できているかを考えてみてください。
ひとつでも欠けていれば、それが争いの入り口になります。
ひとつめが、人員を削減する必要が本当にあったのかという点です。
会社が苦しいという言葉は、いくらでも口にできます。問われるのは、その実質です。
そして、その実質を示す責任は会社の側にあります。あなたが会社の内情を調べ上げる必要はありません。
会社が赤字だというだけでは足りません。どの程度の状態にあり、人員を減らさなければ立ち行かないのか。数字で示せることが求められます。
一時的に業績が落ち込んだだけなのか、それとも事業そのものが立ち行かなくなっているのか。この違いは大きいのです。
前者であれば、雇用を維持したまま乗り越える手立てを検討すべきだった、という主張につながります。
直近の数字だけでなく、数年分の推移を見ることも大切です。一時の落ち込みなのかどうかが分かります。
削減を進める一方で新しく人を採用している、役員の報酬が下がっていない、株主への配当が続いている。こうした事情があれば、必要性そのものが疑われます。
求人が出ていないかを確かめてみてください。同じ時期に募集をかけているのであれば、それは強い材料になります。
求人の情報は画面を保存しておいてください。後から取り下げられてしまうことがあります。
二つめが、解雇を避けるための努力を尽くしたかという点です。
実務でもっとも争われるのが、この点です。
そして、会社がもっともつまずきやすい点でもあります。
解雇は最後の手段でなければなりません。その前に、残業を減らす、新規の採用を止める、配置を変える、希望して辞める人を募る。こうした手立てを試したかが問われます。
役員の報酬を見直したか、不要な経費を削ったか。こうした点も含めて見られます。働く人の雇用が最後まで守られるべきものだ、という考え方が根底にあります。
雇用を守るための公的な支援を利用したかどうかも、見られることがあります。使える制度を試さずに解雇へ進んだのであれば、努力を尽くしたとは言いにくくなります。
いきなり解雇に踏み切ったのであれば、この点で無効と判断されやすくなります。
手立てを試したと会社が言うのであれば、いつ何をしたのかを尋ねてください。具体的に答えられないのであれば、実際には行われていない可能性があります。
三つめが、誰を対象とするかの基準が合理的で、公平に運用されたかという点です。
基準そのものが妥当かという問題と、それが公平に当てはめられたかという問題の、両方が見られます。
基準は立派でも、実際には最初から誰を切るか決まっていた。そうした事案もあります。
基準そのものが示されていない、あるいは示されていても上司の主観で決まっている。そうした場合には問題があります。
勤務成績を基準とすること自体は認められますが、その評価が客観的な資料に基づいているかが問われます。印象だけで選ばれたのであれば、公平とは言えません。
意見を述べたことのある人だけが選ばれている、特定の属性の人に偏っている。こうした事情も、公平さを欠く材料になります。
誰が対象になったのかを整理してみてください。年齢、性別、雇用の形、あるいは組合に入っているかどうか。偏りが見えることがあります。
特定の属性に偏っているのであれば、別の法律上の問題にもつながります。
四つめが、説明や協議を尽くしたかという点です。
この点は、会社が見落としがちなところでもあります。
人員削減そのものに気を取られて、手順を踏むことを忘れてしまうのです。
なぜ人を減らす必要があるのか、どういう基準で選ぶのか。これらを働く人や労働組合に説明し、話し合う過程が求められます。
説明会が一度開かれただけ、質問の時間もなかった。それでは話し合ったとは言えません。
個別の面談で結論だけを伝えられた場合も同じです。伝えることと、話し合うことは違います。
ある日突然通知された、質問しても答えが返ってこなかった。そうした進め方であれば、この条件を満たしていないことになります。
いつ、どんな場で、誰から説明があったのか。書き出してみると、実は一度もなかったと気づくことがあります。
これら四つは、どれか一つで決まるものではなく、全体を見て判断されます。とはいえ、二つめと四つめが欠けている事案は非常に多いのが実情です。
確かめたい点をまとめておきます。
- 会社は経営の状況を数字で説明できているか。
- 削減を進める一方で、新しく人を採用していないか。
- 希望して辞める人を募る手続きが取られたか。
- 配置を変えて雇用を維持する検討がされたか。
- 誰を対象とするかの基準が示されているか。
- その基準が自分にどう当てはまるのか説明されたか。
- 働く人や労働組合との話し合いの場が持たれたか。
会社に尋ねてみて、答えが返ってこない項目があれば、そこが弱点です。すべてを自分で判断する必要はありません。
解雇の前にやってくる退職勧奨に注意
実務でもっとも問題になるのが、この段階です。
解雇そのものより先に、こちらがやってきます。そして、ここでの判断がその後のすべてを決めてしまうことがあります。
多くの会社は、いきなり解雇を通知しません。その前に、自分から辞めるよう促してきます。面談を重ね、退職を勧めてくるのです。
言い方は柔らかいことが多いでしょう。今後のキャリアを考えると、あるいは、お互いのために。そうした言葉が使われます。
親身な口調で語られると、断ることが薄情に思えてきます。ですが、これは交渉の場面です。言葉の柔らかさに惑わされないでください。
なぜかというと、本人が同意して辞めれば、解雇そのものが存在しないことになるからです。争われる余地がなくなります。
会社にとっては、四つの条件を説明する負担から解放されるということです。だからこそ、熱心に勧めてくるのです。
この構図を知っているだけで、面談での受け止め方が変わってくるはずです。
ですから、この段階での対応が決定的に重要になります。
すでに面談を受けている方は、これまでのやり取りを思い出しながら読んでみてください。
今からでも記録に残せます。覚えている範囲で構いません。
まず押さえておきたいのは、勧められても応じる義務はないということです。辞めるかどうかを決めるのは、あなた自身です。
勧奨はあくまでお願いであって、命令ではありません。会社の側に、応じさせる力があるわけではないのです。
そして、断ることは何ら問題のある行為ではありません。断ったことを理由に不利益な扱いをすることは認められないからです。
断ったら会社にいづらくなる、という不安は分かります。ですが、いづらくさせること自体が問題のある行為なのです。
ところが、実際には強い圧力がかかることがあります。何度も呼び出される、長時間にわたって説得される、周囲から孤立させられる。
会社に残っても居場所はない、と言われることもあります。仕事を取り上げられて、日々やることがない状態に置かれる方もいます。
こうした扱いそのものが、辞めさせるための圧力として問題になり得ます。何を言われ、どう扱われたかを書き留めておいてください。
こうした働きかけが度を超えていれば、退職を強要したものとして違法と評価される余地があります。
回数、時間の長さ、言葉の内容、周囲の状況。これらを積み上げて判断されます。だからこそ、記録が要になるのです。
面談の日時、担当者、何を言われたか。必ず記録に残してください。この記録が、後に大きな意味を持ちます。
面談が終わったその日のうちに書き留めるのが理想です。数日経つと、細部が驚くほど曖昧になります。
同席者がいたのなら、その人の名前も残しておいてください。後に事実を確かめる手がかりになります。
会社の説明を確かめる視点
解雇を通知された場合、あるいは勧奨を受けている場合、会社の説明を確かめる必要があります。何を見ればよいのでしょうか。
確かめることは、争うことと同じではありません。まずは事実を知る段階です。
知ったうえで受け入れる、という選択も十分にあり得ます。
まず、なぜ辞めさせるのかを書面にしてもらってください。解雇の理由を記した証明書を出すよう、働く側から請求できることになっています。
これは法律で認められた求めですから、遠慮する必要はありません。求めるときは、口頭ではなく書面やメールで行ってください。
会社はこれに応じなければなりません。この書面があると、後から理由を付け足すことが難しくなります。
職場を離れた後であっても請求できます。もう手遅れだと決めつけずに動いてみてください。
次に、経営の状況について説明を求めてください。どの程度の状態にあるのか、どういう見通しなのか。示せないのであれば、必要性の根拠が乏しいことになります。
決算の内容が公表されている会社であれば、自分でも確かめられます。人員を減らさなければ立ち行かない状態なのかを、数字から読み取ってみてください。
三つめに、解雇を避けるためにどんな手立てを取ったのかを尋ねてください。希望して辞める人を募ったのか、配置を変える検討をしたのか。
希望を募る手続きを飛ばしていきなり名指しで通知してきたのであれば、それだけで大きな弱点になります。
四つめに、誰を対象とするかの基準を尋ねてください。どういう物差しで選んだのか。その物差しが自分にどう当てはまったのか。
評価が低いから、という説明であれば、その評価がどう付けられたのかまで踏み込んで尋ねてください。根拠を示せないことがよくあります。
これらを尋ねることは、争いを仕掛ける行為ではありません。説明を受ける立場として当然のことです。
むしろ、説明を求められて誠実に答えられる会社であれば、その後の話し合いも進みやすくなります。
やり取りは形に残してください。面談で話した内容も、その日のうちに要点をメールで送っておけば記録になります。
本日はお時間をいただきありがとうございました、と書き出して、話した内容を確認する形にすれば角が立ちません。
会社が答えられない、あるいは説明が二転三転する。そうした対応そのものが、後の判断で意味を持ちます。
ですから、答えが返ってこなくても無駄骨ではありません。尋ねた事実と、答えがなかった事実の両方が記録になります。
離職の理由をめぐる落とし穴
もうひとつ、生活に直結する論点があります。離職の理由がどう記録されるかという問題です。
ここを見落とすと、当面の生活が一気に苦しくなります。
解雇そのものを争うかどうかとは別に、必ず確かめてほしい部分です。
会社を辞める理由が会社の側にあるのか、自分の側にあるのか。この違いによって、失業給付を受け取れる時期や期間が変わります。
次の仕事が決まるまでの資金繰りに直結する部分です。目先の手続きの速さだけで判断しないでください。
整理解雇であれば、会社の都合による離職として扱われるはずです。ところが、実際には自分から辞めたことにされてしまう場面があります。
会社としては、都合による離職の件数が増えることを避けたい事情がある場合もあります。その事情が、あなたの生活の犠牲のうえに処理されてはいけません。
退職勧奨に応じた場合がとくに危険です。書類の上では自己都合と記載され、給付の開始が遅れてしまう。そうした例が実際にあります。
会社から、自己都合にしておいたほうが円満だと勧められることもあります。しかし、その円満さの代償を負うのはあなたです。
勧奨に応じて辞めるのであれば、それは会社の働きかけがあってこその離職です。自分の意思で辞めたものとして片づけられるべきではありません。
ですから、離職票を受け取ったら、記載された理由を必ず読んでください。おかしいと感じたら、その場で署名せずに違うと申し出て構いません。
すでに提出してしまった後でも、実情を示す資料があれば見直しを求める道は残っています。面談の記録があれば、それが裏づけになります。
行政の窓口で事情を説明すれば、あらためて判断してもらえます。会社の記載がすべてを決めるわけではありません。
面談の記録、勧奨を受けた経緯、やり取りが残っているメール。こうしたものを持参してください。
あわせて、退職金の扱いも確かめてください。会社の都合による退職の場合、上乗せが定められている職場もあります。
退職金規程を読み返し、自己都合と会社都合で計算が変わる仕組みになっていないかを見てください。差が出るのであれば、離職の理由はより重要になります。
争う場合と受け入れる場合の判断
ここからは、どう決めるかという話です。正解はひとつではありません。
置かれた状況も、生活の事情も人それぞれです。他人の選択がそのまま自分に当てはまるとは限りません。
まず考えたいのは、あなたが何を望んでいるかです。職場に残りたいのか、辞めることは受け入れたうえで条件を良くしたいのか。
ここが定まると、取るべき手も自然に決まってきます。逆に、決まらないまま動き出すと途中で迷いが生じます。
残りたいのであれば、解雇が無効であることを主張し、働く意思があることを示し続けることになります。
働く意思を示すというのは、就労を求める意思を会社に伝えておくことです。何も言わずに時間が過ぎると、争う姿勢が弱いと見られかねません。
この場合、時間が勝負になります。何も言わないまま日が過ぎると、受け入れたと見られやすくなってしまうからです。
解雇の通知を受けたら、まずは効力を争う旨を書面で伝えておくとよいでしょう。それだけで立ち位置が変わります。
辞めること自体は受け入れるとしても、争う意味がないわけではありません。解雇が無効であれば、その間の賃金を請求できる立場になります。
辞めさせられた日から決着までが長引くほど、額は膨らんでいきます。会社が早く手を打ちたがる背景には、この事情もあるのです。
実務では、解決金を得て合意により退職するという形で決着する事案が多くを占めます。
この場合、離職の理由も交渉の対象になります。金額だけでなく、その点も含めて条件を詰めてください。
合意書を交わす際には、離職票にどう記載するかまで書き込んでおくと安心です。
一方で、会社に支払う体力が残っていないのであれば、争っても回収できないという現実もあります。ここは冷静に見極める必要があります。
会社が倒産に至った場合には、また別の仕組みが用意されています。見込みが立たないからといって、すべてを諦める必要はありません。
迷ったときは、争った場合にどれだけ上積みできる見込みがあるのかを尋ねてみてください。その差が小さいのであれば、早く次に進むという判断にも十分な理由があります。
金額だけでなく、解決までにかかる期間と、そのあいだの気持ちの負担も含めて考えてください。
いずれにせよ、次の生活の見通しを立てることは並行して進めてください。争うことと、次を探すことは両立します。
次の職に就いたからといって、それまでの争いが無意味になるわけではありません。安心して求職を進めてください。
整理解雇に関するよくある質問
会社が赤字なら、解雇は仕方ないのでしょうか
そうとは限りません。赤字であることは、人員を減らす必要性を示すひとつの材料にすぎないからです。どの程度の状態にあり、人員を減らさなければ立ち行かないのかを、会社は数字で説明できなければなりません。加えて、解雇を避けるための努力を尽くしたか、誰を対象とするかの基準が合理的で公平に運用されたか、説明や協議を尽くしたか。これら全体から判断されます。実際、赤字であっても解雇を避ける手立てを試していなかったために無効とされた事例は数多くあります。まずは会社に説明を求めてください。
退職を勧められています。断ってもよいのですか
断って構いません。退職を勧められたからといって、応じる義務はないからです。辞めるかどうかを決めるのはあなた自身であり、断ったことを理由に不利益な扱いをすることは認められません。もっとも、実際には何度も呼び出される、長時間にわたって説得されるといった圧力がかかることがあります。度を超えていれば、退職を強要したものとして違法と評価される余地があります。面談の日時、担当者、何を言われたかを必ず記録に残してください。そして、その場で退職届を書くことだけは避けてください。
すでに退職届を出してしまいました。もう手遅れですか
諦めるのは早いかもしれません。強い圧力のもとで書かされたのであれば、その意思表示の効力を争える余地が残っているからです。何度も呼び出された、長時間にわたって迫られた、断ったのに繰り返された。こうした事情があれば、自由な判断で決めたとは言えない場合があります。まずは、これまでの経緯を時系列で書き出してください。面談の記録、同席者、やり取りが残っているメールやメッセージ。こうしたものを集めたうえで、早めに相談してください。時間が経つほど不利になります。
離職票に自己都合と書かれていました
確かめる価値があります。整理解雇であれば会社の都合による離職として扱われるはずですし、退職勧奨に応じて辞めた場合も、会社の働きかけによる離職です。自己都合として処理される筋合いはありません。この記載によって、失業給付を受け取れる時期や期間が変わってきますので、生活への影響は小さくありません。納得できないのであれば、その場でサインをせずに異議を述べることができます。すでに提出した後でも、面談の記録など実情を示す資料があれば、見直しを求める道は残っています。
