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おめでたいはずなのに、辞めろと言われて
妊娠が分かって、上司に報告した。返ってきたのは祝いの言葉ではなく、これからどうするの、という問いかけだった。
喜んでもらえると思っていただけに、その温度差はこたえます。報告したことを後悔した方もいるでしょう。
ですが、報告したこと自体は何ら間違っていません。制度を使うには、伝えることが出発点だからです。
伝えなければ、産休の手続きも始まりません。
報告した時点から、法律の保護が働き始めるとも言えます。
知られていなければ、守りようがないからです。
続けるのは難しいんじゃないか。周りに迷惑がかかる。子どものことを考えたら、家庭に入ったほうがいい。そうした言葉が、面談のたびに重ねられていく。
ひとつひとつは、心配してくれているようにも聞こえます。だからこそ、はっきり断りにくいのです。
善意の顔をした圧力ほど、はねのけるのが難しいものです。
断れば恩知らずのように扱われる。そんな空気が作られていきます。
その空気に飲まれないでください。
権利を使うことは、誰かへの迷惑ではありません。
体調も不安定な時期です。言い返す気力もないまま、辞めるしかないのだろうかと考え始める。
つわりで思うように動けない日もあるでしょう。そんなときに判断を迫られるのは、あまりに酷なことです。
だからこそ、その場で答えを出さないことが何よりの守りになります。
持ち帰る、という一言を覚えておいてください。
これだけで、その場をしのげます。
その日のうちに答えを出す必要は、どこにもないのです。
ここで立ち止まってください。妊娠を理由に退職を迫ることは、法律で明確に禁じられています。
会社が求めているのは、あなたが自分から辞めると言うことです。解雇では通らないと分かっているからこそ、同意を取りに来るのです。
この構図を知っているだけで、面談での受け止め方が変わります。相手は、こちらの一言を待っているのです。
待たせておけばよい、と考えて構いません。
急ぐ必要があるのは、あなたではなく会社の側です。
人員の計画を立てたいという事情があるからです。
そして、いったん退職届を書いてしまえば、その後に争うことは格段に難しくなります。
それまであった強い保護が、一枚の紙で失われてしまいます。
会社が急がせようとするのは、そのためです。
時間をかけられると困るのは、向こうなのです。
この非対称を、こちらの側に引き寄せてください。
焦らないことが、そのまま交渉力になります。
もうひとつお伝えしたいことがあります。辞めるかどうかを決めるのは、いまでなくてよいということです。
体調も気持ちも揺れる時期に、人生を左右する判断を迫られる必要はありません。
制度は、時間をかけて考えられるように作られています。
休業に入ってから決めることも、当然にできます。
むしろ、それが本来の使い方です。
復職するかどうかを、休業のあいだに考える。制度はそう設計されています。
産休も育休も、続けることを前提とした制度です。使ってから考えるという選択肢が、あなたには残されています。
休んでみて、それでも難しいと感じたら、そのときに決めればよいのです。
その順序であれば、後悔も残りにくくなります。
選ばされたのではなく、選んだと言えるからです。
その違いは、後になって効いてきます。
この記事では、法律がどう定めているのか、よく使われる言い回しの意味、辞めるかどうかの判断材料、続ける場合に使える制度、断り方と記録、そして応じてしまった後の手立てをお話しします。
むずかしい言葉は避けて書きました。条文を覚える必要はありません。何が守られているのかを知っていただければ十分です。
体調のすぐれない日は、気になる章だけを読んでも構いません。
いま面談を受けている方は、次の章から読んでいただいても結構です。
まずは、自分が何に守られているのかを知ってください。
知れば、断る言葉も自然に出てきます。
妊娠を理由とする退職勧奨は許されない
まず、法律の定めを確かめておきましょう。
この分野の保護は、働く人にとってとりわけ手厚いものになっています。
知っているかどうかで、対応がまるで変わる部分です。
そして、会社の側も正確に理解していないことがよくあります。
悪意ではなく、知識が古いまま止まっているという場合も多いのです。
ですから、根拠を示して伝えるだけで態度が変わることもあります。
争いにする前に、まず伝えてみる価値があります。
妊娠や出産を理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは禁じられています。ここでいう不利益な取り扱いには、退職を強要することも含まれます。
降格させる、賃金を下げる、契約を更新しない。こうした扱いも同じように禁じられています。
望まない配置転換や、評価を下げることも含まれます。
賞与の算定で不利に扱うことも同じです。
休業した期間を欠勤として数えるような運用も、問題になり得ます。
つまり、妊娠したのだから辞めてはどうか、という働きかけ自体が問題になり得るということです。
言い方が丁寧であっても、中身が同じであれば変わりません。
判断されるのは、表現ではなく実質だからです。
やわらかい言葉に包まれていても、辞めさせようとしているのであれば同じことです。
受けた側がどう感じたかも、判断の材料になります。
我慢して受け流す必要はありません。
さらに、妊娠中と出産後一年を経過しない間になされた解雇は、無効とされます。会社の側で、妊娠とは関係のない理由によるものだと示せない限り、覆せません。
証明する責任が会社の側にある、という点が重要です。あなたが妊娠を理由だと証明しなければならない、という構図ではありません。
争いの場面で、この違いは決定的に効いてきます。
会社が理由を示せなければ、それだけで解雇は覆るからです。
ここまで強い保護は、ほかの場面ではあまり見られません。
それだけ、この時期の立場が守られているということです。
そのことを、まず知っておいてください。
この定めは、非常に強い保護です。会社にとっては、この時期に解雇するのは極めて難しいということになります。
裏を返せば、あなたの立場はかなり強いということです。
その強さを手放さないでください。
手放す唯一の方法が、自分から辞めると言うことなのです。
逆に言えば、言わなければ守られ続けます。
沈黙が、いちばんの武器になる場面もあるのです。
だからこそ、解雇という形を取らずに、辞めるよう促してくるのです。
面談を重ねてくるのは、正面から解雇できないことの裏返しでもあります。
そう思って聞けば、圧力の受け止め方も変わってくるはずです。
追い詰められているのは、実は会社のほうかもしれません。
正面から解雇できないからこそ、遠回りをしているのです。
本人が同意して辞めたのであれば、解雇は存在しなかったことになります。この保護をまるごと回避できるわけです。
ですから、署名しないという選択には、それだけの重みがあります。
持ちこたえるだけで、状況が動くこともあるのです。
実際、断り続けた結果として勧奨が止んだ例もあります。
そして、無事に産休へ入られた方も数多くいます。
あなたにも、同じ道が開かれています。
加えて、会社には妊娠や出産に関する嫌がらせを防ぐための措置を講じる義務も課されています。相談を受けたのに何もしないというのであれば、その不作為自体が問題になります。
相談の窓口が設けられているはずですので、就業規則や社内の掲示を確かめてみてください。
窓口が形だけで機能していないのであれば、それも会社の落ち度として扱われます。
相談した事実と、その後の会社の対応を記録しておいてください。
何もされなかったのであれば、その事実自体が意味を持ちます。
会社が義務を果たさなかったことの証しになるからです。
よく使われる言い回しと、その意味
面談の場で語られる言葉には、型があります。知っておけば、動揺せずに済みます。
六つ挙げますので、聞き覚えがないか確かめてみてください。
言われた覚えがあれば、その日付を思い出しておいてください。
手帳や予定表を見返すと、記憶がよみがえることがあります。
母子健康手帳に日々の様子を書き添えている方であれば、それも手がかりになります。
受診の日付と、そのときの状態が残っているはずです。
まず、体を大事にしたほうがいい、という言い方です。心配してくれているように聞こえますが、続けるかどうかを決めるのはあなたです。
本当に体を気遣うのであれば、負担を軽くする制度を案内するのが筋でしょう。
案内がないまま辞めることだけを勧めてくるのであれば、意図を疑ってよい場面です。
体を気遣うのであれば、まず業務を軽くするのが先のはずです。
順序が逆になっている時点で、目的が別のところにあると分かります。
そう見抜けるようになれば、動揺も小さくなります。
次に、周りに迷惑がかかる、という言葉です。人員の調整は会社の役割であって、あなたが背負うものではありません。
代替の要員を確保することも、会社が果たすべきことです。
人手が足りないのは、あなたが妊娠したからではありません。
むしろ、そう感じさせること自体が問題のある言動です。
負い目を持たせることで、辞めやすくしようとしているのです。
その手に乗らないでください。
三つめが、うちは前例がない、という説明です。前例の有無は、権利の有無とは関係がありません。
むしろ、前例がないこと自体が、これまで適切に運用されてこなかったことの表れとも言えます。
あなたが最初の一人になるだけのことです。
後に続く方のためにもなります。
とはいえ、そこまで背負う必要はありません。まずご自身を守ってください。
結果として道が開ければ、それでよいのです。
四つめが、戻る場所はないと思ってほしい、という言い方です。育休の後に元の職場へ戻れないかのように告げるものですが、これも問題のある発言です。
休業を理由に不利益な扱いをすることは禁じられていますから、戻る場所がないという前提そのものが誤りです。
復職の際に、原則として元の職場と同じ地位に戻すことが求められています。
戻る場所がないと言われたら、その根拠を尋ねてみてください。
答えられないのであれば、それは単なる思い込みか、方便です。
五つめが、契約社員だから対象外だ、という説明です。雇用の形によって一律に排除されるものではありません。条件を満たせば取得できます。
この説明は非常によく聞きますが、正確ではないことが多いのです。必ず自分で確かめてください。
制度は近年たびたび見直されており、対象も広がってきました。会社の理解が古いままということもあります。
行政の窓口で確かめれば、その場で答えが得られます。
電話でも相談できますので、外出がつらい時期でも使えます。
六つめが、いま辞めれば円満に扱う、という提示です。急がせて判断させようとする手法です。
本当に検討する価値のある条件であれば、考える時間を与えられるはずです。
今日中にと迫られたら、その時点で疑ってください。
そして、提示された条件は必ず書面でもらってください。
書面にできないと言われたのであれば、それ自体が答えです。
いずれも、その場で答える必要はありません。持ち帰って考えたい、と伝えてください。
体調が優れないので、と付け加えれば、無理に引き止められることも少なくなります。
実際に体調がすぐれないのですから、遠慮する必要はありません。
そして、言われた言葉は必ず書き留めておいてください。日付、誰が、どこで、何と言ったか。
その日のうちに書くことが大切です。数日経つと、細部が曖昧になります。
誰が同席していたかも、忘れずに残しておきましょう。
後から事実を確かめる手がかりになります。
辞めるべきか、続けるべきかの判断材料
ここは、ご自身で決めるべき部分です。判断のための材料をお示しします。
どちらを選んでも間違いではありません。大切なのは、材料を持ったうえで選ぶことです。
まずは、続けた場合に何が得られるのかを知ってください。
知らないまま手放すのは、あまりにもったいないのです。
失うものの大きさを知ってから、判断してください。
数字にしてみると、想像より大きいはずです。
まず、続けた場合に得られるものを整理しましょう。
六つ挙げます。ご自身に当てはまるものを数えてみてください。
- 産前産後の休業。産前は請求により、産後は原則として就業できない期間が定められています。
- 育児のための休業。原則として子が一歳になるまで取得でき、事情によっては延長も可能です。
- 休業中の給付。一定の条件を満たせば、休業中に給付を受けられます。
- 社会保険料の免除。休業期間中は、保険料の負担が免除される仕組みがあります。
- 復職後の短時間勤務。子が一定の年齢になるまで、勤務時間を短くする制度が用意されています。
- 勤続年数の継続。休業期間も在籍期間として扱われ、退職金や年金に影響します。
これらは、辞めてしまえばすべて失われます。金額に換算すると、相当な規模になることも珍しくありません。
休業中の給付だけでも、家計を支える大きな柱になります。
加えて、社会保険料が免除される期間もありますので、手取りへの影響はさらに小さくなります。
免除された期間も、年金の計算では納めたものとして扱われます。
将来の受け取り額にも響かない仕組みになっているということです。
一方で、辞めることを選ぶ理由もあるでしょう。体調が思わしくない、職場の空気に耐えられない、家族の事情がある。
これ以上この職場にいたくない、という気持ちも十分に理解できます。
心ない言葉をかけられた職場に戻ることを、ためらうのは当然です。
その気持ちを否定するつもりはありません。
ただ、いま決めなくてよいということだけは覚えておいてください。
どれも正当な理由です。ただ、その判断を面談の場で急いで下す必要はありません。
産休に入ってから考えても、遅くはないのです。
むしろ、少し距離を置いてからのほうが冷静に判断できます。
出産を終えて、生活の形が見えてから決めるという選び方もあります。
子どもを預ける先が確保できるかどうかも、そのころには分かってきます。
ひとつ知っておいてほしいのが、辞める場合でも離職の理由が問題になるという点です。
ここを押さえておかないと、辞めた後の生活にも響きます。
離職票の一行が、受け取れる額を左右するからです。
詳しくは、次の点を確かめてください。
妊娠を理由に退職を勧められて応じたのであれば、それは会社の働きかけによる離職です。自己都合として処理される筋合いはありません。
この違いによって、受け取れる給付の時期も期間も変わります。
離職票を受け取ったら、記載を必ず確かめてください。
続けるなら知っておきたい制度
働き続けることを選ぶのであれば、使える制度を押さえておきましょう。
知らずに我慢していた、という方がとても多い部分です。
まず、妊娠中の働き方についてです。医師から指導を受けたのであれば、その内容を会社に伝えることで、勤務時間の短縮や業務の軽減を求められます。
会社は、伝えられた指導の内容に応じて必要な措置を取らなければなりません。検討するだけで終わらせることはできないのです。
伝えるための専用の書式が用意されています。母子健康手帳に綴じ込まれていることもありますので、確かめてみてください。
この書式を使えば、医師の指導内容がそのまま会社へ伝わります。口頭で説明するより確実です。
通勤の負担を減らすための時差出勤も、求めることができます。混雑した時間帯を避けられるのは、体調の面で大きな違いになります。
満員電車での通勤がつらいのであれば、遠慮せずに申し出てください。
始業と終業の時刻をずらす、勤務時間そのものを短くする。いくつかの方法から選べます。
次に、危険な業務や重い作業からの転換です。妊娠中は、体に負担のかかる業務に就かせてはならないとされています。
会社は、ほかの軽い業務へ替えなければなりません。替える業務がないという説明は、通りにくいものです。
そもそも、替える業務がないのであれば、休ませるという対応が求められます。
三つめが、深夜の勤務や時間外労働の制限です。請求すれば、これらを免除してもらえます。
休日の労働についても同じです。求めれば免除されます。
この請求に理由を添える必要はありません。求めれば足ります。
この制限は、出産後も一定の期間続きます。育児をしながら働く方にとって、生活を守るための重要な仕組みです。
復職してから使える制度でもありますので、覚えておいてください。
四つめが、健康診査を受けるための時間の確保です。妊婦健診に行くための時間を、会社は確保しなければなりません。
有給を使わなければ行けない、という運用になっていないかを確かめてみてください。
受診に必要な時間の回数についても、目安が定められています。
五つめが、産前産後の休業です。産前については請求すれば取得でき、産後については原則として就業できない期間が定められています。
産後の期間については、本人が働きたいと言っても働けません。母体を守るための強い定めです。
これらは、いずれも自分から求める必要があります。黙っていれば配慮されるという仕組みにはなっていません。
求めることに、後ろめたさを感じる必要はありません。制度として用意されているものです。
むしろ、求められることを前提に設計されています。
断り方と記録の残し方
では、実際にどう対応すればよいのでしょうか。
身構える必要はありません。短い言葉で足ります。
長く説明しようとするほど、かえって隙が生まれます。
まず、辞める意思がないのであれば、それをはっきり伝えてください。曖昧な返答は、まだ交渉の余地があると受け取られます。
考えておきます、という答え方は、次の面談を呼び込みます。
迷っているのだと受け取られ、説得が続くことになります。
働き続けたいと考えています。その一言で足ります。なぜそう思うのかまで語る必要はありません。
そして、伝えたことを形に残してください。面談の後、その内容を確かめるメールを送っておくとよいでしょう。
角の立たない書き方で構いません。事実を並べるだけで記録になります。
返信がなければ、こちらの認識が争われにくくなります。
本日はお時間をいただきありがとうございました、と書き出して、話された内容と自分の回答を記す。それだけで記録になります。
次に、日々の記録です。面談の日時、場所、同席者、言われた言葉。この四つを、その日のうちに書き留めてください。
体調がすぐれない日は、要点だけでも構いません。続けることのほうが大切です。
一行でも残っていれば、後から思い出す手がかりになります。
体調の変化もあわせて残しておいてください。眠れない、食欲がない、腹部の張りを感じる。妊娠中は、精神的な負担が身体に直接響きます。
母体だけでなく、お腹の子にも影響が及びかねません。軽く見ないでください。
受診の際には、職場でのことも医師に伝えておくとよいでしょう。記録として残りますし、必要な指導を受けられることもあります。
母体への影響が心配される状況であれば、指導の書面を出してもらえる場合もあります。
その書面があれば、会社は対応せざるを得ない立場に置かれます。
それでも面談が繰り返されるのであれば、外部に相談する段階です。
ひとりで抱え込まないでください。妊娠中はただでさえ負担が大きい時期です。
家族に話しておくことも、大切な備えになります。
都道府県が設けている労働局の窓口では、妊娠や出産に関する取り扱いについての相談を受け付けています。会社への助言や指導、話し合いの仲立ちもしてもらえます。
この分野を専門に扱う部署が置かれていますので、事情も伝わりやすいはずです。
費用がかからず、比較的早く動いてもらえる点で、最初の相談先として適しています。
匿名での相談も受け付けていますので、まず様子を聞いてみるという使い方もできます。
相談したからといって、必ず動いてもらわなければならないわけでもありません。
応じてしまった後でも
すでに退職届を出してしまった方に向けてお話しします。
ここまで読んで、遅かったと感じている方もいるでしょう。
ですが、まだ打てる手は残っています。
諦めるのは早いかもしれません。強い圧力のもとで書かされたのであれば、その意思表示の効力を争える余地が残っています。
追い詰められた末に署名したのであれば、それは選んだのではなく、選ばされたということです。
とくに、妊娠を理由とする退職の勧奨は法律で禁じられている行為です。その禁じられた働きかけによって書かされたのですから、自由な判断があったとは言いにくくなります。
ほかの場面よりも、争いやすい類型だと言えます。
禁じられた行為が起点になっているからです。
また、事実に反する説明を受けて誤った判断をした場合にも、争える場面があります。
産休は取れないと言われた、契約社員だから育休の対象外だと告げられた。こうした説明が誤りであった場合、その誤解のうえに成り立った意思表示は覆せる可能性があります。
会社の説明が正しいかどうかは、行政の窓口で確かめられます。
誤りだったと分かれば、そこから道が開けます。
ただし、時間が経つほど難しくなります。しばらく何も言わずにいれば、受け入れたと見られてしまうからです。
数日のうちに動けるかどうかで、見通しは大きく変わります。
気づいた時点で、退職の意思表示を撤回する旨を書面で会社に伝えてください。
内容証明郵便を使えば、いつどんな内容を送ったかが記録に残ります。
文面は複雑でなくて構いません。撤回する意思が伝わればよいのです。
あわせて、これまでの経緯を思い出せる限り書き出しておきましょう。いつ報告し、何を言われ、いつ書かされたのか。
同席していた方がいれば、その名前も控えておいてください。
出産の準備で忙しい時期でしょうから、無理のない範囲で構いません。まずは撤回を伝えることを優先してください。
細かな整理は、体調が落ち着いてからでも間に合います。
妊娠と退職勧奨に関するよくある質問
妊娠を報告したら退職を勧められました。断ってよいのですか
断って構いません。むしろ、妊娠を理由として退職を迫ることは法律で禁じられている行為です。会社が解雇という形を取らずに勧奨してくるのは、妊娠中や出産後一年を経過しない間の解雇が原則として無効とされるからです。つまり、あなたが自分から辞めると言わない限り、会社は簡単には辞めさせられません。ですから、働き続けたいと考えていますと一言伝えれば足ります。理由を説明する義務もありません。そして、伝えた内容と言われた言葉を必ず記録に残しておいてください。
契約社員なので、産休や育休は取れないと言われました
雇用の形によって一律に対象から外れるものではありません。産前産後の休業については、雇われている方であれば広く対象になります。育児のための休業についても、条件を満たせば取得できます。ですから、契約社員だから、パートだからという理由だけで諦める必要はありません。まずは、自分がその条件を満たしているかを確かめてください。会社の説明が誤っている可能性もありますので、行政の窓口で確認するのが確実です。誤った説明を信じて辞めてしまった場合には、その意思表示を争える余地も残ります。
体調がつらく、続けられる自信がありません
まず、辞めるかどうかを今すぐ決める必要はありません。妊娠中の働き方については、負担を軽くするための仕組みがいくつも用意されているからです。医師から指導を受けたのであれば、その内容を会社に伝えることで勤務時間の短縮や業務の軽減を求められますし、通勤の時間帯をずらすことも、深夜の勤務や時間外労働を免除してもらうこともできます。危険な業務や重い作業からの転換も求められます。これらを使ってみて、それでも難しければあらためて考えればよいのです。まずは主治医に相談してください。
辞めた場合、失業に関する給付はどうなりますか
妊娠を理由に退職を勧められて応じたのであれば、それは会社の働きかけによる離職です。自己都合として処理される筋合いはありませんので、離職票の記載を必ず確かめてください。納得できないのであれば、本人の記入欄にその旨を書くことができます。また、妊娠や出産で当面働けない状態にある場合には、受け取れる期間を先へ延ばしてもらう手続きが用意されています。この手続きを取らないと権利が消えてしまいますので、辞めることになった場合は早めに窓口へ相談してください。
