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休日と休暇の違いとは~割増賃金に影響あり!休みの取り方も確認を
この記事で分かること
- 「休日」と「休暇」は、定義上異なっている
- 「休日」と「休暇」の違いで、割増手当の金額に影響が出ることも
- 残業代や割増賃金のトラブルは専門の弁護士に相談する
「休日」と「休暇」。似た言葉ですが、明確な違いがあるのをご存知でしょうか。たとえば有給「休暇」といっても、有給「休日」とはいいません。また育児「休暇」といっても、育児「休日」とはいいません。実は「休日」と「休暇」は法律上まったく異なるものとして扱われています。その違いが、これらの言葉遣いにも表れているのです。
「休日」と「休暇」の違いとは?
多くの方が混同していますが、「休日」と「休暇」は法律上まったく異なる概念です。
たとえば、「休日」に働かせられた場合は割増賃金を支払う必要がありますが、「休暇」中に働かせられた場合は、通常の賃金と同じ額で割増は行われません。このように、「休日」と「休暇」の違いは賃金を多くもらえるかどうかにかかわる問題なのですが、その違いはあまり知られていません。
「休日」と「休暇」の意味
簡単にいえば、「休日」と「休暇」の違いは、労働の義務がはじめからない日か、労働の義務があるはずなのに免除してもらった日なのかという違いになります。
つまり「休日」といった場合、その日はもともと労働させてはいけない日だったということなります。それとは反対に「休暇」の場合は、もともと労働させてよい日だったということです。そのため、休日出勤と休暇中の出勤とでは意味が異なってくるといえます。
「休日」に労働した場合~法定内休日と法定外休日~
法律では、経営者は労働者に「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定められています(もしくは、4週間を通じ4日以上の休日)。この法律上定められた休日を、上では「休暇」と区別して「休日」と呼んできました。しかしこの休日には、慣例上「法定内休日」と「法定外休日」があります。
上記の法律で定められた休日を「法定内休日」といい、そうではない日を「法定外休日」といって事実上は「休暇」と似たような扱いになります。どういうことかといいますと、法律で決められているのは週に1度の休みだけですので、たとえば日曜日の出勤は「法定内休日」なので割増賃金になるが、土曜日の出勤は「法定外休日」なので割増にはならないといったことが起こり得るということです。
ただし、これもやはり契約でどうなっているかが重要になります。労使協定や就業規則で土曜日も「休日勤務手当の対象とする」等の文句があれば、割増賃金が支払われることになります。
一般的な休日の定めと振替休日
一般的に、休日は次のように就業規則に書かれています。「休日は以下のとおりとする。土曜日、日曜日(法定休日)。国民の祝日・休日、年末年始、その他会社が指定する日」。このような場合では、土曜日出勤は割増賃金の対象になりませんが、その他の日であれば割増賃金の対象になる可能性があります。
また当然これらの文句はシフト制の場合は異なってきますが、シフト制の場合であっても、一週間に1日、あるいは4週間に4日の休みはとらなければならないので、「休日」に働かせられた場合は割増賃金の対象になります。しかし一方で、「振替休日」をもらった場合は割増賃金の対象になりません。
振替休日と代休の違い?
ただしここで重要となるのは、「振替休日」と「代休」の違いです。この違いを簡単にいえば、あらかじめ振替休日が指定された上で休日出勤となったか、あるいは突然休日出勤になったかです。「振替休日」とは、事前に休日出勤が予定されている場合の、代わりの休日を意味します。
それに対し「代休」とは、突然休日出勤が決まり、後で代わりの休日をとることになった場合の休みのことをいいます。つまり「振替休日」とは、休日を事前に別の日に移すという制度で、この場合休日出勤に対する割増賃金は必要ありません。
「代休」とは本来労働の義務がない休日に無理やり労働させられたためにしょうがなく休日を移したという形になりますので、割増賃金が必要になります。突然の休日出勤にもかかわらず割増賃金をもらえなかった場合は、弁護士に相談した方がよいでしょう。
「休暇」に労働した場合
繰り返しになりますが、「休暇」とは労働の義務があるはずなのに、免除してもらった日という意味になります。法律で給与が出ると定められているのは「有給休暇」のみであり、その他の休暇に関しては会社の裁量によって定められています。
原則上は、「休暇」の日に出勤になったとしても割増賃金にはなりません。しかし、次の「休暇」には、申請があった際に認めなければならないことが法律で定められています。
- 有給休暇
- 産前産後休暇
- 生理休暇
- 介護休暇
- 子の看護休暇
- 育児休暇
- 裁判員休暇
まとめ
「休日」と「休暇」の違いは、もともと働いてはならない日か、働かなければいけないのに労働を免除された日かという違いがあります。しかしこの「休日」には、法定内休日と法定外休日があり、法定内休日に働かせられた場合は割増賃金になりますが、法定外休日の場合は割増賃金にはなりません。
このように、割増賃金を計算する場合は「休日」と「休暇」の違いと「法定内休日」と「法定外休日」の違い、より正確には働いてはならない日か、働かなければいけないのに労働を免除された日かという違いを把握しておく必要があります。
月給制の場合における割増賃金の計算方法
時給制で休日出勤があった場合の割増賃金の計算方法は、単純に「通常の時給×1.35倍」で求めることができます。しかし、月給制の場合はどのように計算するのでしょうか。
割増賃金の時間あたりの単価を求める
月給制の方が、自分の時間あたりの割増賃金を計算するためには、まず自分の時給を求める必要があります。労働基準法施行規則で定められている時給の計算方法は、「月給÷月の所定労働時間数」です。つまり、30万円の月給の方が1日8時間で月22日間労働(176時間)をしている場合は、大体時給1705円になります。
休日出勤の割増賃金を「時給×1.35倍」で計算する
法定内休日出勤の場合の割増賃金の割増率は「3割5分以上」となっていますので、休日出勤時の割増賃金は、先ほど計算した時給に1.35をかけて求めることになります。つまり上記の事例だと、1705×1.35で約2302円になります。
休日が増えると割増賃金が高くなる
もう一度「休日」と「休暇」の定義から行きますと、休日は労働させてはならない日のことで、休暇は労働を免除した日のことです。このため、もし休日が1日増えると、月22日の労働日数が1つ減り、21日になります。休日が2日増えたら20日です。これに対し、休暇は単に免除に過ぎないため、いくら増えようが労働日数が減るわけではありません。
つまり、休暇が2日増えようが、労働日数はもとの22日のままということになります。ここで休日が増えた場合のことを考えてみましょう。たとえば先ほどと同じ30万円の月給の方が1日8時間で月22日間労働をしていたものが、休日が2日増えて、月20日の労働日数となったとします。
そうすると、以前は時給が1705円ほどであったのに、今度は時給が1875円になります。割増賃金は1875×1.35で2531円ですので、休日が増えただけなのに割増手当が増えるのです。
休みの取り方で給与が変わる
上記のような問題があるために、休日の取り方次第で給与が変わる場合があります。また、上で触れたように、休日をとる場合は振替休日、代休でも扱いが異なってきます。この点について、もう少し見てみましょう。
代休か振替休日か、それとも有給休暇か
代休か振替休日か、それとも有給休暇か。これらはすべて、同じ「休む」という行為になります。しかし、これまで述べてきたように、これらのどれをとるかによって意味合いが異なってきます。よく知られているように、有給休暇とは給与がもらえる休みのことです。
もし有給を消化できていない場合には、代休の代わりに有給をとることで、有給分の賃金+休日出勤の割増賃金を受け取れることになります。おそらくこの方法が、最も高額の賃金をもらえる方法でしょう。ケースごとに見ていきます。
事前に知らされていた休日出勤で振替休日をとった場合
この場合、通常の勤務と同じ金額での労働となりますので、割増手当は0円です。先ほどの例ですと、時給1705円のままです。
突然の休日出勤で代休をとった場合
この場合は時給1705×1.35で1時間あたり約2302円の賃金になります。
突然の休日出勤で代休ではなく、有給休暇を取得した場合
この場合は時給1705×1.35で1時間あたり約2302円の賃金に加え、通常の給与である1705×8時間の13640円が足されることになります。有給を消化できない場合は、かなり有効な手段となります。
割増賃金のトラブルは弁護士に相談!
上で見てきたように、「休日」と「休暇」の違いは、労働の義務がはじめからない日か、労働の義務があるはずなのに免除してもらった日なのかという違いになります。このため、休日か休暇によって割増賃金が出るか出ないかが決定してきます。一般に休暇に出勤した場合には、気分的に休日出勤ではありますが、割増手当は出ません。
また、振替休日と代休の違いについても見てきました。振替休日は割増賃金にはなりませんが、代休の場合はなります。しかし、ここまで見てきた中で、意外に複雑だなと思った方もいるのではないでしょうか。
このようなことから、自分の会社の残業代や休日出勤の割増手当の態様に疑問を感じた方は、まずは専門の弁護士に相談することをおすすめします。
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