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休日と休暇の違いは?法定休日と有給の見分け方

休日と休暇の違いは?法定休日と有給の見分け方

この記事で分かること

  • 休日はもともと働く義務がない日で休暇は義務を免除してもらう日である
  • 法定休日は週に一日あるいは四週を通じて四日とされている
  • 会社が独自に定めた休日に出ても休日労働の割増は生じない
  • 祝日や年末年始は多くの職場で会社が定めた休日にあたる
  • 年次有給休暇はパートやアルバイトでも条件を満たせば付与される
  • 取得の理由を会社に告げる義務はない
  • 振替休日か代休かは入れ替えが事前に決まっていたかで分かれる

休日と休暇は、日常の会話ではほとんど区別されませんが、法律の世界では別のものとして扱われます。休日はもともと働く義務がない日であり、休暇は働く義務がある日にその義務を免除してもらう日だからです。この出発点の違いが、割増の有無にも、賃金の計算にも、休みの取り方にも響いてきます。まずは就業規則を開いて、自分の職場の休みがどちらにあたるのかを確かめてみてください。

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同じ休みなのに扱いが違うと言われて戸惑っていませんか

土曜日に出勤したのに、割増がつかなかった。有給を使ったつもりが欠勤扱いになっていた。夏季休暇があると聞いていたのに、実際には有給を充てさせられた。いずれも、言われた側は納得できないまま引き下がるしかない。そんな場面ばかりです。

その場で反論しようにも、何を根拠に言えばよいのかが分からない。だから黙ってしまう。ほとんどの方が、そういう経験をしています。

けれども、根拠さえ分かれば話は変わります。相手も、指摘されれば認めざるを得ない場面が少なくありません。

そして、根拠を知るために必要なのは、法律の条文を暗記することではありません。二つの言葉を区別できるようになれば足ります。

どれも、休みをめぐってよくある話です。そして、どれも根っこは同じところにあります。休日と休暇の違いが分かっていません。

分かっていないのは、あなただけではありません。会社の担当者も同じように混同していることが少なくありません。

ですから、悪意があって不利に扱われているとは限りません。単純に理解が足りていないだけ、ということもあります。

とはいえ、理由がどうであれ、受け取れるはずのものを受け取れていないという事実は変わりません。

この二つは、日常の会話ではほとんど区別されません。今日は休みだ、と言うとき、その日が休日なのか休暇なのかを意識する方はまずいないでしょう。

会社の側も、社内の呼び名で説明してくることがほとんどです。そのため、法律上どう扱われるのかが見えにくくなっています。

けれども、法律の世界では別のものとして扱われます。休日はもともと働く義務がない日であり、休暇は働く義務がある日にその義務を免除してもらう日です。

この違いが、賃金の計算にも、割増の有無にも、そして休みを取れるかどうかにも影響してきます。

どちらにあたるかで結論が正反対になる場面もあります。だからこそ、最初にここを押さえておく意味があります。

たとえば、休日に出勤したのであれば割増の話になりますが、休暇の日に出勤したのであれば別の整理になります。同じ休みでも、結論が変わります。

逆に言えば、この違いを押さえておけば、会社の説明が筋の通ったものかどうかを自分で判断できるようになります。

この記事では、休日と休暇の違い、それぞれの種類、年次有給休暇の仕組み、休み方によって賃金がどう変わるか、そして休ませてもらえないときの対応をお話ししていきます。

あわせて、振替休日と代休の違いにも触れます。ここは金額に直結する部分ですので、覚えておくと役に立ちます。会社が呼んでいる名前と、法律上の扱いが一致していない場面が多いところでもあります。

専門用語を覚える必要はありません。自分の職場の休みがどちらにあたるのかを見分けられるようになれば十分です。

見分けられるようになると、明細の見え方も変わります。どこを確かめればよいかが分かるからです。そして、確かめる作業のほとんどは、会社に何かを申し出る前に自分ひとりでできることです。

まずは、就業規則を手元に置いてから読み進めてみてください。手元にないのであれば、会社に写しを求めてください。

休日と休暇は何が違うのか

言葉の整理から始めましょう。ここさえ押さえれば、あとの内容はすんなり入ってきます。二つの言葉の出発点が違う、というだけの話です。

休日というのは、労働契約のうえで、もともと働く義務が課されていない日のことです。カレンダーで最初から白く抜かれている日、と考えると分かりやすいでしょう。

年間の勤務日を数えるときに、最初から除かれている日だと考えても構いません。働く日の総数そのものに関わってきます。

年間の休日数が求人に書かれていることがありますが、そこに含まれているのは基本的にこの休日です。休暇は含まれていないのが普通です。

これに対して休暇は、本来であれば働く義務がある日について、その義務を免除してもらう日を指します。働く日として予定されていたところに、あとから穴を空けるという形です。

ですから、休暇を取るには何らかの手続きが要ります。届け出るのか、請求するのか、承認を得るのか。仕組みは職場によって違います。

ただし、年次有給休暇については、会社の承認が要件になっているわけではありません。この点は後で詳しくお話しします。

この違いは、出発点が違うということです。休日は最初から働かない日。休暇は働くはずだった日を休む日。この一行さえ覚えておけば、あとの話は自然につながっていきます。ここから、いくつかの帰結が導かれます。三つに分けてお話しします。割増の話、賃金の話、取り方の話。この順です。

まず、休日に働いた場合は、本来働く義務がない日に働いたことになります。ですから、法律上の休日であれば割増の対象になります。

働かなくてよい日にわざわざ出てきたのだから、その分は手厚く扱う。そういう考え方が根底にあります。

あわせて、休むべき日に休めていないことへの歯止めという意味もあります。上乗せの負担があれば、会社も安易に呼び出しにくくなるからです。

一方、休暇の日に働いたのであれば、それは免除を受けなかっただけのことです。もともと働く日でしたから、休日労働としての割増は生じません。

有給を申請していたのに出勤することになった、という場面がこれにあたります。この場合、有給は消費されず、通常の勤務として扱われることになります。

次に、賃金の扱いも変わります。休日はもともと賃金が発生しない日ですが、休暇については有給か無給かが定められることになります。

月給で働いている方の場合は、この違いが見えにくくなっています。休んでも額が変わらないように見えるからです。しかし、控除の欄を見れば扱いの違いが分かることがあります。

無給と定められた休暇を取った月は、その分が控除されているはずです。何も引かれていないのであれば、有給として扱われているということになります。

補足
会社が夏季休暇や年末年始休暇と呼んでいるものが、実際には休日として定められている場合があります。名前に休暇と付いていても、就業規則のうえでは休日に分類されていることがあります。呼び名ではなく、規程の記載で判断してください。

三つめに、取得の仕組みが違います。休日はあらかじめ決まっているものですが、休暇は本人が請求したり、条件を満たしたりして初めて取得するものです。

ですから、休暇については取れなかったという争いが生じます。休日については、そもそも与えられていないという争いになります。争い方も変わってきます。この区別を頭に入れておくと、会社の説明のどこがおかしいのかが見えてきます。

次からは、それぞれの中にさらに二種類あることを見ていきます。少しややこしくなりますが、順に追えば難しくありません。休日に二種類、休暇に二種類。合わせて四つに整理できると考えてください。

休日にも二つの種類がある

次に、休日のなかの区別を見ていきます。ここも実務でよく問題になります。週休二日の職場であっても、二日とも同じ扱いというわけではありません。この点を知らないまま、土曜に出た分の扱いに納得できずにいる方が多くいます。

ひとつが、法律上必要とされている休日です。会社は、週に一日、あるいは四週を通じて四日の休みを与えなければならないとされています。

これが最低限の水準です。この水準を下回っているのであれば、それ自体が法律違反にあたります。

なお、変則的な働き方をしている職場では、四週を通じて四日という数え方が採られていることがあります。この場合、連続して働く日が続くこともあり得ます。

もうひとつが、会社が独自に定めている休日です。週休二日の職場であれば、法律上必要な分を超えた部分がこれにあたります。

祝日や年末年始の休みも、多くの職場ではこちらに分類されています。法律が祝日を休みにするよう求めているわけではないからです。

ですから、祝日に出勤しても、それだけで高い上乗せがつくとは限りません。ここは誤解されやすいところです。なぜ区別するのかというと、働いた場合の扱いが違うからです。

同じ休みの日に出たのに、受け取れる額が変わってきます。年に何度も休日出勤がある方であれば、この差は積み重なって大きくなります。

法律上の休日に働けば、休日労働としての割増が必要になります。一方、会社が独自に定めた休日に働いた場合、休日労働としての割増は生じません。

週休二日のうち、どちらか一方だけが法律上の休日にあたるのが通常です。両方に同じ扱いを期待していると、明細を見て戸惑うことになります。

ではまったく上乗せがないのかというと、そうではありません。その週の労働時間の合計が法律の上限を超えれば、時間外の割増が発生します。

ですから、上乗せがつかないと言われた場合でも、週の合計を集計してみる価値があります。そこで超えていれば、別の根拠で請求できるからです。つまり、どちらの休日に出たかで、上乗せの根拠が変わるということです。

根拠が変われば、計算のしかたも変わります。同じ一日の出勤でも、受け取る額に差が出るということです。

では、どの日が法律上の休日なのでしょうか。就業規則で特定されていれば、それに従います。定めが置かれていないのであれば、その週にどの日を休めたかという実際の状況から判断されることになります。

自分の職場の就業規則を確かめてみてください。日曜日を法定休日とする、といった記載があるでしょうか。

記載がない職場も多くあります。その場合でも、休日そのものがなくなるわけではありません。判断のしかたが変わるだけです。

特定されていないほうが働く側に有利に働く場面もあります。どの日を休めたかによって、結論が変わってくるからです。

休暇にも二種類ある

休暇についても、同じように区別があります。こちらの区別は、取れるかどうかに直結します。

法律に根拠があるものは、会社の裁量では拒めないからです。ひとつが、法律で認められている休暇です。年次有給休暇がその代表ですが、ほかにもあります。

意外と知られていないものも含まれていますので、順に見ておきましょう。自分や家族の状況と照らし合わせながら読んでみてください。

子の看護のための休暇、家族の介護のための休暇、育児のための休業、介護のための休業。こうしたものは、いずれも法律に根拠があります。

これらは、就業規則に書かれていなくても取得できるものです。会社が制度を整えていないこと自体が問題になります。

妊娠中や出産後の休業、生理日の就業が著しく困難な場合の休暇、そして裁判員や選挙の投票といった公の職務のための時間も、法律に定めが置かれています。

法律に根拠がある主な休暇を並べておきます。

  • 年次有給休暇。一定期間続けて勤務し、決められた割合以上出勤した方に与えられます。
  • 子の看護のための休暇。病気やけがをした子どもの世話をするために取れます。
  • 家族の介護のための休暇と休業。対象となる家族の状態について要件が定められています。
  • 育児のための休業。父母のどちらでも取得できます。
  • 妊娠中と出産後の休業。産前は請求により、産後は原則として就業させられません。
  • 公の職務のための時間。裁判員や選挙の投票などがこれにあたります。

これらは条件を満たしていれば取れるものです。制度があることを知らないまま、使わずに終わってしまう方が少なくありません。これらは、条件を満たして請求すれば取得できるものです。会社の温情ではありません。

就業規則に書かれていないから取れない、と言われることがありますが、法律に根拠がある以上、規程の有無で結論は変わりません。

もうひとつが、会社が独自に設けている休暇です。慶弔のための休暇、夏季や年末年始の休暇、リフレッシュのための休暇などがこれにあたります。

近年は、病気の治療と仕事を両立させるための休暇や、不妊治療のための休暇を設ける会社も出てきました。自分の職場にどんな制度があるかを、一度確かめてみる価値があります。

こちらは法律上の義務ではありませんから、設けるかどうかも、有給とするか無給とするかも、会社が決めることになります。

ですから、他社にあるのになぜうちにはないのか、という不満は法律上の主張にはつながりにくいのが実際のところです。

ただし、いったん就業規則で定めたのであれば、それは労働条件の一部になります。会社の気分で取り消せるものではありません。

廃止したり内容を縮めたりするのであれば、労働条件の変更としての手続きが必要になります。ある日突然なくなっていた、という扱いは認められません。

ここで注意したいのが、名前と中身が食い違っている場合です。夏季休暇と呼ばれているものが、実際には年次有給休暇を充てさせるだけの仕組みだった、という例があります。

休みの日数そのものは変わらないため、気づかないまま過ごしてしまいがちです。しかし、自分の意思で使えるはずだった日数が減っていることに変わりはありません。

その場合、本来自由に使えるはずの有給が、会社の指定した日に消費されていることになります。心当たりがあれば、規程を確かめてください。

ただし、働き手の代表との取り決めによって、有給の一部を計画的に取得させる仕組みが認められています。その手続きが踏まれているかどうかが分かれ目です。

取り決めがあるのなら、その写しを見せてほしいと求めてください。存在しないのに一律で消費させているのであれば、確かめる余地があります。

年次有給休暇の基本

休暇のなかでも、もっとも身近なのが年次有給休暇でしょう。押さえておきたい点を整理します。身近であるだけに、誤った説明も広く行き渡っています。ひとつずつ確かめていきましょう。職場で当たり前とされている運用が、実は根拠を欠いていた。そういうことは珍しくありません。

まず、一定期間続けて勤務し、決められた割合以上出勤した方に付与されます。勤続の年数が増えるにつれて、付与される日数も増えていきます。

入社してすぐには与えられませんが、一定の期間が過ぎれば最初の付与があります。その後は、一年ごとに新たに与えられていく仕組みです。

出勤の割合については、業務上の負傷や疾病で休んだ期間、産前産後の休業、育児や介護の休業の期間は、出勤したものとして扱われます。休んだせいで付与されない、ということにはなりません。

ここで多くの方が誤解しているのが、正社員でなければもらえないという点です。そんなことはありません。パートやアルバイトであっても、条件を満たせば付与されます。

契約社員でも、派遣で働いている方でも同じです。雇われ方の名称によって扱いが変わるものではありません。

ただし、週に働く日数が少ない方の場合は、その日数に見合った分だけが与えられる仕組みです。ゼロになるわけではない、ということです。

次に、いつ取るかは働く人が決められます。会社は、事業の正常な運営を妨げる場合に限って、時季を変えるよう求めることができます。

ここは重要な点です。原則と例外が逆に理解されている職場が多く、会社が認めるかどうかで決まると思い込まされている方が少なくありません。

この権限は、忙しいから駄目だという程度では認められません。代わりの人を手配できないか、業務を調整できないか。会社の側に検討が求められます。

また、時季を変えるよう求められたとしても、それは別の日に取ってほしいという意味であって、取得そのものを認めないという話ではありません。

そして、取得の理由を告げる必要はありません。何に使うのかと聞かれても、答える義務はありません。

旅行だと答えたら難色を示された、という話も聞きます。しかし、何のために使うかで扱いを変えることは、そもそも想定されていません。

私用のためと伝えれば、それで十分です。理由を明かさなければ認めないという運用は、そもそも根拠を欠いています。

また、一定の日数については、会社が時季を指定してでも取得させることが義務づけられています。取れていない方が多い現状を踏まえて設けられた仕組みです。

ですから、まったく取らせてもらえないという状態は、会社の側の義務違反にもあたり得ます。取りにくい雰囲気があるだけで放置されている職場は、この点を確かめてみてください。

権利には期限があります。付与された分を使い切れなければ、一定の期間を過ぎたところで消えていきます。残っている日数を把握しておいてください。

給与明細に残りの日数が記載されている職場もあります。記載がないのであれば、会社に尋ねて構いません。自分の権利がどれだけ残っているのかを知ることは、当然のことです。

主な休みの種類を、賃金や割増の扱いとあわせて整理しておきます。

種類 定め 働いたとき・休んだときの扱い
法定休日 週1日、または4週で4日 働くと35%以上の割増
所定休日(法定休日以外) 会社が決める休み(週休2日の残りの1日など) 週40時間を超えれば25%以上の割増
年次有給休暇 6か月勤務で10日、その後勤続に応じて増える 休んでも賃金が支払われる
子の看護等休暇 小学3年生修了までの子1人につき年5日(2人以上は10日) 賃金の有無は会社の定めによる
特別休暇(夏季休暇など) 会社が独自に定める 就業規則の定めによる

夏季休暇があると聞いていたのに有給を使わされた、という相談をよく受けます。就業規則に夏季休暇が特別休暇として定められていれば、有給とは別に休めるはずです。定めがなく、有給の計画的付与として労使協定が結ばれている場合は、年5日を超える部分に限って会社が時季を決められます。

休み方によって賃金や割増が変わる

ここからは、実際の金額に関わる話です。休み方の違いが、そのまま手取りの違いになります。五つの場面に分けて整理します。

まず、法律上の休日に出勤した場合。休日労働としての割増が必要になります。これは、その日に何時間働いたかにかかわらず発生します。短時間だけ呼び出された場合でも同じです。出勤した以上、休日労働として扱われます。

次に、会社が独自に定めた休日に出勤した場合。その週の労働時間の合計が法律の上限を超えていれば、時間外の割増が必要になります。

この場合、その日だけを見ても答えは出ません。前後の日を含めた一週間で集計する必要があります。

三つめに、休日の出勤が夜まで及んだ場合。深夜の時間帯にあたる部分については、別に上乗せが必要です。二つの上乗せが重なることになります。

四つめに、有給を使った日について。この日は賃金が支払われますが、実際には働いていませんので、労働時間としては数えられません。

支払われる額の算出方法は、就業規則などで定められています。通常の勤務をした場合に支払われる額とする職場が多いでしょう。

ここが見落とされやすい部分です。有給を使った週に長く働いた日があっても、その週の労働時間の合計には有給の日は含まれません。

ですから、有給を挟んだ週については、週の合計で上限を超えにくくなります。この点を知らずに、計算が間違っていると思い込んでしまう方がいます。

五つめに、振替休日と代休の違いです。あらかじめ休日と労働日を入れ替えておけば、その日は労働日に変わりますから、休日労働としての割増は生じません。

ただし、振替をしたことで週の労働時間が上限を超えるのであれば、その部分は時間外の割増の対象になります。振替にすればすべて済む、という話ではありません。

これに対して代休は、休日に働いた後で埋め合わせに別の日を休ませるものです。先に働いてしまっている以上、割増の部分は残ります。いつ決まったのかが分かれ目になります。事前か事後か。ここを確かめてください。

会社が代休と呼んでいても、実際には事前に入れ替えていたのであれば振替にあたります。逆もまた同じです。呼び名ではなく、決まった時期で判断されます。

休ませてもらえないときにできること

制度は分かった。しかし実際には休めない。そういう方も多いはずです。順に見ていきます。制度を知ることと、使えるようにすることは別の課題です。ここからは後者の話をします。いきなり争う必要はありません。順序を追って進めていきましょう。

まず、有給の請求を拒まれた場合です。事業の正常な運営を妨げるという理由がないのであれば、拒むことはできません。

そもそも、有給を取るのに会社の承認が要るという建て付けになっていること自体が、正確ではありません。

この場合、まずは書面やメッセージなど形に残る方法で請求してください。口頭でのやり取りは、後から示せないからです。

会社に所定の様式があるのなら、それを使えば足ります。提出したら控えを手元に残しておいてください。

拒まれたのであれば、その理由を尋ねてください。理由を説明できないのであれば、そこが糸口になります。制度を理解したいので教えてほしい、という言い方であれば応じてもらいやすいでしょう。

次に、休日がそもそも与えられていない場合です。週に一日、あるいは四週を通じて四日という水準を下回っているのであれば、これは法律違反にあたります。人手が足りないから、繁忙期だから。理由がどうであれ、この水準は下回れません。

この場合は、労働基準監督署に相談するという道があります。条文に照らして判断できる事柄ですから、動いてもらいやすい領域です。

同じ職場で困っている同僚がいるのであれば、連名で申し出るという方法もあります。誰か一人が特定されにくくなりますし、実態も伝わりやすくなります。

三つめに、有給を取ったことで不利益な扱いを受けた場合です。賞与を減らす、評価を下げる、皆勤の手当を外す。こうした対応は認められません。権利を使ったことで損をするのであれば、制度そのものが意味を失ってしまうからです。

皆勤の手当については、有給を取った日を欠勤として数えていないかを確かめてください。明細と勤怠の記録を突き合わせれば分かります。

この場合も、まずは記録です。いつ、誰から、どういう扱いを受けたのか。時系列で書き留めておいてください。

賞与の算定で欠勤として扱われていないか、明細を確かめることも忘れないでください。数字に表れていれば、それが動かぬ手がかりになります。

四つめに、退職の際に残っている有給を使わせてもらえない場合です。退職までの期間に有給を充てることは、原則として認められます。

退職の日が決まってしまえば、その後に時季を変えるよう求める余地は会社の側にほとんどありません。ほかに取れる日がないからです。

買い取りを求められる方もいますが、会社に応じる義務はありません。ですから、退職の日を決める前に、残っている日数を確かめておくことが大切です。

退職の意思を伝えるタイミングと、残っている日数は連動します。逆算して日程を組めば、権利を無駄にせずに済みます。

引き継ぎがあるから休めないと言われることもあるでしょう。その場合でも、引き継ぎの計画を先に示して交渉する余地はあります。

休日出勤の割増が正しく払われているかは、次の順で確かめられます。

  1. 就業規則で、どの曜日が法定休日と定められているかを見る。
  2. その週の労働時間の合計が40時間を超えていないかを数える。
  3. 法定休日の労働には35%、週40時間超の部分には25%の割増がついているかを給与明細で照らし合わせる。

休日と休暇に関するよくある質問

土曜日に出たのに割増がついていません。おかしいですか

その土曜日が法律上の休日にあたるかどうかで結論が変わります。会社が独自に定めた休日であれば、休日労働としての割増は生じません。ただし、その週の労働時間の合計が法律の上限を超えていれば、時間外の割増が必要になります。まずは就業規則を見て、どの日が法律上の休日とされているかを確かめてください。日曜日を法定休日とする、といった記載があるはずです。特定されていない場合には、その週に実際に取れた休みの状況から判断することになります。あわせて、その週に何時間働いたかも集計してみてください。

有給を取るのに理由を聞かれます。答えなければいけませんか

答える義務はありません。年次有給休暇をいつ取るかは働く人が決められるものであり、何に使うかを会社に説明する必要はないからです。私用ですと伝えれば足ります。理由を言わなければ認めない、あるいは理由が不十分だから認めないという運用は、認められません。会社が取得の時季を変えるよう求められるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。それも、忙しいという程度では足りず、代わりの人を手配できないかといった検討が求められます。断られたのであれば、その理由を尋ね、やり取りを記録に残してください。

夏季休暇があると聞いていたのに、有給を使わされました

確かめる価値があります。会社が独自に設ける休暇は、設けるかどうかも有給とするかも会社が決められますが、いったん就業規則で定めたのであれば労働条件の一部になります。夏季休暇として別に与えると定められているのに、実際には年次有給休暇を充てさせているのであれば、本来自由に使えるはずの日数が会社の指定で消費されていることになります。まずは就業規則で夏季休暇がどう定められているかを確かめてください。定めがない、あるいは有給を充てる旨が明記されている場合には、扱いが変わってきます。

パートですが、有給はもらえないと言われました

正しくありません。年次有給休暇は、一定期間続けて勤務し、決められた割合以上出勤していれば付与されるものです。雇われ方の名称によって変わるものではなく、パートでもアルバイトでも対象になります。ただし、勤務日数が少ない方については、その日数に応じた分が付与される仕組みになっています。まったくもらえないわけではなく、日数が調整されるということです。入社した時期と、これまでの出勤の状況を整理して、会社に確かめてみてください。付与されているのに知らされていなかった、という例も実際にあります。

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