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産休・育休を会社は拒否できる?取得の条件と対処法

産休・育休を会社は拒否できる?取得の条件と対処法

この記事で分かること

  • 産休も育休も会社が制度を設けているかどうかとは関係なく取得できる
  • 申し出によって効力が生じるため会社が承認して初めて取れるものではない
  • 産前産後の休業は雇われて働いていれば広く対象になり勤続年数も問わない
  • 産後八週間は本人が働きたいと言っても就業させられない
  • 育児のための休業は父母のどちらでも取得できる
  • 有期契約でも更新が続く見込みがあれば対象になり得る
  • 拒否と時期の調整は別で期日どおりの申し出なら遅らせられない

産休も育休も、条件を満たせば取得できる法律上の権利です。就業規則に書かれていなくても、法律に定めがある以上は取得できます。しかも、これらの休業は申し出によって効力が生じる仕組みになっており、会社に拒む権限は与えられていません。ですから、前例がないというのは断る理由になりません。あなたが最初の一人になるだけのことです。まずは申し出を書面で行い、控えを残すところから始めてください。

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前例がないから取れない、と言われた

産休に入りたいと伝えたところ、うちにはそういう制度はないと言われた。育休を申し出たら、前例がないから認められないと返された。

言われた側は、それ以上どう言い返せばよいのか分かりません。制度がないと言われれば、そういうものかと思ってしまいます。

就業規則を開いてみても、それらしい記載が見当たらない。そうなれば、なおさら諦めてしまうでしょう。ですが、書かれていないことと、取れないことは別の話です。

法律に定めがある以上、規程の有無で結論は変わりません。男性が育休を希望したら、笑われて終わった。契約社員だから対象外だと説明された。

いずれも、根拠を確かめずに口にされていることがほとんどです。担当者自身が制度を把握していない、ということも珍しくありません。

とくに、これまで取得した人がいない職場では起こりがちです。調べる機会がなかった、というだけのことも少なくありません。

いずれも、実際に耳にする話です。そして、そう言われた方の多くが、そういうものかと引き下がってしまいます。会社が言うのだから正しいのだろう、と受け止めてしまいます。

ですが、会社の説明が制度を正確に踏まえているとは限りません。むしろ、誤った説明のほうが多いと感じるほどです。ですから、鵜呑みにせず一度確かめてください。確かめる先は、行政の窓口で構いません。

ここで諦めないでください。産休も育休も、条件を満たせば取得できる法律上の権利です。

会社が制度を設けているかどうかは関係ありません。就業規則に書かれていなくても、法律に定めがある以上、取得できます。ここを知っているかどうかで、結果はまるで変わります。

知らなければ諦め、知っていれば取得できる。それだけの差です。能力の差でも、交渉力の差でもありません。そして、知ることは今からでもできます。この記事が、その入り口になれば幸いです。

そして、これらの休業については、会社に拒む権限が与えられていません。申し出があれば、応じなければなりません。認めるかどうかを会社が決める、という仕組みにはなっていないということです。後の章で、この点を詳しくお話しします。この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

ここさえ押さえておけば、あとは順に進めるだけです。その前に、二つの制度の違いから確かめておきましょう。前例がない、というのは理由になりません。

そもそも、一人も取得者がいないという事実こそ、制度が正しく回されてこなかった証拠だとも言えます。誰かが最初に取れば、その後は前例になります。

とはいえ、職場を変えることまで背負う必要はありません。まずご自身のために動いてください。あなたが取得できれば、それで十分です。

この記事では、産休と育休の違い、それぞれ誰が取れるのか、会社に拒否する権限があるのか、拒まれたときの進め方、そして復職までに確かめることをお話しします。

むずかしい言葉は避けて書きました。法律の名前を覚える必要はありません。何が認められているのかが分かれば十分です。つらい日は、いま必要な箇所だけを拾い読みしていただければ十分です。

会社の説明が正しいとは限りません。まずは、自分に何が認められているのかを知ってください。知ったうえで話せば、相手の態度も変わります。お願いではなく、求めとして伝えられるようになるからです。その違いは、相手にも伝わります。

裏づけを示しながら話す相手には、いい加減な返答をしづらくなるものです。そのための材料を、この記事でお渡しします。

産休と育休は別の制度

まず、二つを分けて理解しておきましょう。混同されがちですが、根拠となる法律も、対象になる方も違います。ひとまとめに産休育休と呼ばれることが多いため、違いが見えにくくなっています。

会社の担当者も、区別せずに説明していることがあります。この二つを分けて理解しておきましょう。違いが分かれば、説明の誤りにも気づけます。三つの点で異なります。

産前産後の休業は、出産する本人の身体を守るための制度です。母体の保護が目的ですから、対象は出産する方に限られます。出産という身体の負担から回復するための時間を、法律が確保しています。

本人の意向より、母体の保護が優先される場面もあります。後ほど、その具体的な場面をお話しします。働きたいと言っても働けない期間がある、という点です。ここは、ほかの制度にはない特徴です。

これに対して育児のための休業は、子を養育するための制度です。ですから、父母のどちらでも取得できます。子どもを育てるという営みに、性別は関係ないからです。

ですから、男性だからという理由で断ることはできません。近年は取得する方も増えており、前例がないという説明も通りにくくなっています。

制度も、取得しやすくする方向で見直されてきました。会社の理解が追いついていないだけ、ということもあります。

この違いを押さえておくと、会社の説明のどこがおかしいのかが見えてきます。産休と育休を混同したまま説明されている場面も、実際にあります。

どちらの話をしているのかを、確かめながら聞いてください。それだけで、説明の矛盾に気づけることがあります。

産休の話と育休の話が入り混じっている場面は、意外に少なくありません。どちらの制度について話しているのかを、こちらから確かめて構いません。

男性が育休を申し出て断られる場面がありますが、育児のための休業は性別を問わない制度です。断る根拠はありません。笑って流されたのであれば、それ自体が問題のある対応です。

就業環境を害する言動として扱われる余地があります。笑われた日付と、その場にいた人を書き留めておいてください。後から相談する際に、そのまま材料になります。

また、期間の考え方も違います。産前産後の休業は出産の時期を基準に定められていますが、育児のための休業は子の年齢を基準にしています。

ですから、産休が終われば自動的に育休が始まる、というわけでもありません。それぞれ手続きが必要です。産休の届け出だけ済ませて安心していると、育休が始まらないという事態も起こり得ます。

手続きの流れも別です。それぞれ申し出の時期や方法が定められていますので、後ほど順にお話しします。片方の手続きを済ませたからといって、もう片方が自動的に進むわけではありません。

いつ何を出すのかを、あらかじめ確かめておいてください。会社に一覧を出してもらうという方法もあります。出せないのであれば、こちらで作って共有すればよいわけです。

補足
休業中の賃金については、法律上支払いを義務づける定めがありません。無給とする会社が多いのが実情です。ただし、条件を満たせば健康保険や雇用保険から給付を受けられますので、収入がまったく途絶えるわけではありません。

産前産後の休業は誰が取れるか

次に、産前産後の休業について見ていきます。こちらは、対象になるかどうかで迷うことがほとんどありません。

ですから、断られたのであれば、その説明のほうが誤っています。自信を持って求めて構いません。順に見ていきます。

この制度には、対象を限定する要件がほとんどありません。雇われて働いている方であれば、広く対象になります。雇用の形も、勤め先の規模も問われません。

数人の職場であっても、同じように取得できます。小さな会社だから対象外だ、という説明も誤りです。従業員の人数によって適用が変わる仕組みにはなっていません。

正社員に限られませんし、勤続の年数も問われません。パートでも、契約社員でも、派遣で働いている方でも取得できます。週に何日働いているかも問われません。

短時間の勤務であっても、同じように取得できます。取得できる期間が短くなることもありません。期間は出産の時期を基準に決まるからです。勤務日数とは関係がありません。

入社してすぐに妊娠が分かった、という場合でも同じです。入ったばかりで言い出しにくい、という気持ちは分かりますが、権利に変わりはありません。

遠慮して申し出ないままでいると、産後の休業まで取り損ねかねません。産後については、そもそも本人の意向で働き続けられる期間ではありません。ですから、遠慮する場面ではありません。むしろ、休まないことのほうが問題になります。

期間については、出産の予定日を基準に定められています。産前は六週間、双子以上の場合は十四週間です。予定日が動いた場合には、その分がずれることになります。

早く生まれた場合も、遅れた場合も、実際の出産日を基準に整理し直されます。予定日より遅れた分についても、産前の休業として扱われます。予定どおりに進まなくても、不利になることはありません。

この産前の期間については、本人が請求することで取得できます。働きたいのであれば、請求せずに就業を続けることも可能です。体調と相談しながら、いつから休むかを自分で決められるということです。

予定日の直前まで働く方もいれば、早めに休みに入る方もいます。職場の状況や通勤の負担も踏まえて、無理のない時期を選んでください。

医師から指導を受けているのであれば、それに従うのが第一です。体調に不安があるなら、早めに休みに入る判断もためらわないでください。

一方、産後については扱いが異なります。出産の翌日から八週間は、原則として就業させてはならないと定められています。こちらは請求の有無を問いません。会社の義務として定められています。

ですから、申し出を忘れていたとしても休めます。むしろ、会社の側が休ませなければならない立場にあります。働かせた場合には、会社が責任を問われることになります。

ここが重要です。本人が働きたいと言っても、会社は働かせられません。母体を守るための強い定めだからです。会社が働かせれば、それ自体が法律違反になります。

人手が足りないから出てきてほしい、と言われても応じる必要はありません。応じてしまえば、会社に違反を犯させることにもなります。

断ることは、自分の身体を守ると同時に会社を守ることでもあります。そう考えれば、断ることへの気兼ねも軽くなるはずです。

ただし、産後六週間を経過した後については、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務に限って就業できます。

あくまで本人が望んだ場合に限られますので、会社から求められて応じる筋合いのものではありません。医師の判断も必要ですから、会社の一存で決められるものでもありません。

早く戻ってほしいと言われても、主治医の意見が先です。迷ったら、診察の場で相談してみてください。

つまり、産後の最初の六週間は、例外なく休まなければならないということです。この期間の生活をどう支えるかは、あらかじめ考えておく必要があります。

健康保険からの給付が用意されていますので、手続きを確かめておいてください。出産にかかる費用を賄う一時金も、別に設けられています。

加入している保険の窓口で、いつどう申請するかを確かめておいてください。会社を通じて手続きするものもありますので、担当者にも尋ねておきましょう。

育児のための休業は誰が取れるか

次に、育児のための休業です。こちらは、対象になるかどうかで争いが起きやすい部分です。断られる場面のほとんどが、この制度をめぐるものです。

期間が長いぶん、会社の側も身構えるからです。だからこそ、根拠を押さえておく意味があります。誰が対象になるのかから、順に見ていきます。ここでつまずく方が、いちばん多いからです。

原則として、一歳に満たない子を養育する労働者が取得できます。父母のどちらでも構いません。養子を迎えた場合など、実の子でなくても対象になる場面があります。

家族の形はさまざまですので、迷ったら窓口で確かめてください。自分は違うだろうと決めつけないほうが賢明です。

尋ねるだけなら、何も失いません。期間の定めがない契約で働いている方であれば、そのまま対象になります。いわゆる正社員であれば、迷う余地はありません。問題になるのは、次にお話しする場合です。

期間の定めがある契約で働いている方です。いわゆる契約社員や、有期で雇われている方が該当します。

期間の定めがある契約で働いている方については、子が一定の年齢に達する日を超えて契約が続く見込みがあるかどうかが問われます。逆に言えば、その見込みがあるのなら対象になります。

契約書に期間が書かれていることだけを理由に、諦めないでください。見込みがあるかどうかは、実際の運用から判断されます。

ここで注意したいのが、更新の見込みです。契約書上は期間が区切られていても、更新が続くと見込まれるのであれば対象になり得ます。これまで何度も更新されてきたのであれば、その実績が見込みを裏づけます。

更新のたびに契約書を交わしていたかどうかも、確かめる価値があります。手続きが形だけだったのであれば、それも見込みを裏づける事情になります。

契約社員だから取れない、という説明は、この点を確かめずになされていることが少なくありません。言われたら、なぜ対象外なのかを尋ねてみてください。

説明を求めるだけで、扱いが変わることもあります。根拠を示せないまま断り続けることは、会社にとっても危うい対応だからです。後から責任を問われるのは、会社の側です。

なお、労使間の取り決めによって、入社してからの期間が短い方などを対象から外すことができる仕組みもあります。この取り決めは、働き手の代表との間で結ぶものです。会社が一方的に決められるものではありません。

ですから、対象外だと言われた場合には、その根拠を尋ねてみてください。取り決めがあるのか、あるとしてどう定められているのか。取り決めがないのに対象外とすることはできません。

写しを見せてほしいと求めることもできます。示せないのであれば、そもそも存在しない可能性があります。

期間については、原則として子が一歳になるまでです。保育所に入れないなどの事情があれば、一歳六か月まで、さらに二歳まで延長できます。延長には、そのつど申し出と、事情を示す資料が必要になります。

保育所に申し込んだが入れなかったことを示す書面などが求められます。早めに準備しておいてください。

父母がともに取得する場合には、期間についての特例も設けられています。夫婦で分担することを考えているのであれば、確かめてみてください。出産直後に取得しやすくするための仕組みも、近年整えられてきました。分割して取得できる制度もありますので、働き方に合わせて組み立てられます。

申し出の時期にも決まりがあります。原則として、休業を始める日の一か月前までに申し出ることとされています。この期日を守っているかどうかが、後で意味を持ちます。書面で出して控えを残してください。期日より早く出しておけば、それだけ安全です。

産休と育休の基本を表にまとめました。

制度 期間 ポイント
産前休業 出産予定日の6週間前から(双子以上は14週間前から) 本人が請求すれば取れる
産後休業 出産の翌日から8週間 本人が望んでも原則働かせてはいけない。6週間を過ぎ、医師が認めた業務なら可能
育児休業 原則として子が1歳になるまで(最長2歳まで延長) 男女を問わず取れる。2回まで分けて取得できる
産後パパ育休(出生時育児休業) 子の出生後8週間以内に最大4週間 育児休業とは別に取れ、2回まで分けられる

契約社員やパートでも、子が1歳6か月になるまでに契約が終わることが明らかでなければ、育休を取れます。2022年4月からは「引き続き1年以上雇われていること」という条件が法律からなくなりました。ただし、会社が労使協定を結んでいれば、入社1年未満の人を対象から外している場合があるので、就業規則と協定の有無を確かめてください。

会社に拒否する権限はあるのか

ここが、この記事の核心です。ここを知らないまま引き下がる方が、あまりに少なくありません。

ひとことで言えば、認めるかどうかは会社が決めることではありません。結論から言えば、会社に拒む権限は与えられていません。制度の建て付けそのものが、そうなっています。

これらの休業は、申し出によって効力が生じる仕組みになっています。会社が承認して初めて取れる、という建て付けではありません。申し出た時点で、休業する権利は確定しているということです。

返事を待たなければ休めない、というものではありません。ですから、認めないと言われても、法律上は休業が成立しています。会社の返答を待つ必要はありません。もっとも、実際には話し合いながら進めるほうが円滑です。

ここが、有給休暇との大きな違いです。有給休暇については、事業の正常な運営を妨げる場合に時季を変えるよう求める権限が会社にありますが、これらの休業にはそうした仕組みが置かれていません。有給休暇の感覚で考えていると、この違いを見落とします。

忙しいから、人手が足りないから。こうした理由で拒むことはできないということです。人員の手当てをするのは、会社が果たすべき役割だからです。誰かが休めば代わりが要る。それはあらゆる職場で起きることです。

もっとも、申し出の時期が遅れた場合には、会社が開始の日を一定の範囲で後ろにずらせる仕組みがあります。急に言われても人の配置が間に合わない、という事情に配慮したものです。

ずらせる範囲にも限度が定められています。無期限に先送りできるわけではありません。拒否できるのではなく、時期を調整できるにとどまる、という点を押さえておいてください。そして、期日どおりに申し出ていれば、この調整すら行えません。

また、申し出たことや取得したことを理由に不利益な扱いをすることも禁じられています。解雇、雇止め、降格、減給。いずれも許されません。一時金の計算で差をつけることや、昇格の候補から外すことも同じ扱いです。

休みに入っていた月を欠勤扱いで処理する運用も、見過ごせない点です。取ったら評価が下がる、と告げること自体が問題のある言動になります。実際に下げなくても、そう言われただけで働きにくくなるからです。

拒まれたときの進め方

では、実際に断られたらどうすればよいのでしょうか。順を追って進めれば、多くの場合は解決します。いきなり争いにする必要はありません。

まず、申し出を書面で行ってください。口頭で伝えただけでは、申し出た事実そのものを否定されかねません。ここが、その後のすべてを支える土台になります。

なければ、自分で書いて構いません。整った書式である必要はありません。内容が伝わればよいわけです。

いつから休業を始めるのか、いつまでの予定か、子の生年月日または出産の予定日。これらを記して提出し、控えを手元に残してください。提出した日付も忘れずに書いておきましょう。期日を守った証しになります。

受け取ってもらえない場合には、その事実を記録に残しましょう。郵送で送るという方法もあります。配達の記録が残る方法で送れば、いつ届いたかを示せます。受け取っていないと言われることを防げます。

次に、拒む理由を書面で示すよう求めてください。根拠を尋ねられて、答えられない会社は少なくありません。答えられないのであれば、そもそも根拠がなかったということです。そのやり取り自体も、記録に残しておいてください。

法律に定めがあることを伝えるだけで、態度が変わることもあります。担当者が制度を知らなかった、という結末も実際にあります。とくに、人事の専門部署を持たない会社では起こりがちです。

悪意ではなく、知識が古いまま止まっているだけということも少なくありません。それでも応じないのであれば、外部に相談する段階です。費用のかからない窓口から始められます。

都道府県の労働局に、この分野を専門に扱う部署が置かれています。会社への助言や指導を行ってもらえますし、話し合いの仲立ちをする仕組みもあります。

費用がかからず、電話でも相談できます。妊娠中や育児中で外出しにくい時期にも使いやすい窓口です。名前を伏せたままでも相談できますので、まずは感触をつかむという使い方も可能です。

産前産後の休業について就業させた場合など、法律違反として扱われる事柄については、労働基準監督署が窓口になります。

復職までに確かめておくこと

最後に、休業に入る前と、復職に向けて確かめておきたいことを整理します。取得できることが決まったら、次はここを押さえてください。

まず、休業中の収入です。健康保険からの出産に関する給付と、雇用保険からの育児休業給付。それぞれ条件と手続きが異なります。会社を通じて手続きするものが多いので、誰がいつ何をするのかを確かめておいてください。手続きが遅れると、入金の時期も後ろへずれていきます。

次に、社会保険料の扱いです。休業期間中は、本人負担分も会社負担分も免除される仕組みがあります。

この免除を受けるには手続きが必要です。会社が行うものですが、進んでいるかを確かめておくと安心です。

免除を受けた月についても、年金の計算上は納付済みとみなされます。将来受け取る額が目減りしない設計になっています。

三つめが、復職の時期と条件です。いつ戻るのか、どの部署に戻るのか。休業に入る前に、できるだけ具体的に話しておきましょう。話した内容は、書面かメールで残しておいてください。

復職にあたっては、原則として元の職場と同じ地位に戻すことが求められています。戻る場所はないと言われても、受け入れる必要はありません。

代わりの人を採用したから、という説明も理由になりません。代替の要員を確保するのは、会社が当然に行うべきことだからです。

四つめが、復職後に使える制度です。子が三歳に達するまでは、勤務時間を短くする制度を利用できます。

また、小学校就学前の子を養育している方は、請求すれば深夜の勤務を免除してもらえますし、時間外労働にも制限がかかります。

子の看護のための休暇も、別に用意されています。病気やけがをした子の世話をするために取得できるものです。

復職後に使える制度を並べておきます。

  • 短時間勤務。子が三歳に達するまで、勤務時間を短くできます。
  • 所定外労働の免除。三歳未満の子を養育している方が請求できます。
  • 時間外労働の制限。小学校就学前の子を養育している方が対象です。
  • 深夜業の制限。請求すれば夜間の勤務を免除してもらえます。
  • 子の看護のための休暇。病気やけがをした子の世話に使えます。
  • 始業時刻の変更など。会社が用意すべき措置として定められています。

どれも自分から請求する必要があります。黙っていれば適用されません。

休業に入る前に確かめたいこと
申し出を書面で提出し、控えを残す。給付の手続きを誰がいつ行うかを確認する。社会保険料の免除の手続きが進んでいるかを確かめる。復職の時期と戻る部署を話し合っておく。復職後に使える制度を把握しておく。この五つを済ませておけば、安心して休みに入れます。

体調と生活の変化が大きい時期です。すべてを完璧にこなす必要はありません。分からないことは、行政の窓口で尋ねれば教えてもらえます。

育休の申し出は、次の手順で進めると記録が残り、拒まれたときにも動きやすくなります。

  1. 休業を始めたい日の1か月前(産後パパ育休は原則2週間前)までに申し出る。
  2. 申出書やメールなど、形に残る方法で伝える。
  3. 会社から、取得の可否と期間を書面で通知してもらう。
  4. 拒まれたら、労働局の雇用環境・均等部(室)に相談する。

産休・育休の取得に関するよくある質問

うちには制度がないと言われました

会社が制度を設けているかどうかは関係ありません。産前産後の休業も育児のための休業も、法律に定めがある権利だからです。就業規則に書かれていなくても、条件を満たせば取得できます。しかも、これらの休業は申し出によって効力が生じる仕組みになっており、会社が承認して初めて取れるというものではありません。ですから、認めないと言われても法律上は休業が成立しています。まずは申し出を書面で行い、控えを残してください。そのうえで、拒む理由を書面で示すよう求めましょう。応じないのであれば、労働局に相談することができます。

契約社員なので対象外だと説明されました

確かめる価値があります。産前産後の休業については、対象を限定する要件がほとんどなく、雇われて働いている方であれば広く対象になるからです。勤続の年数も問われません。育児のための休業については、子が一定の年齢に達する日を超えて契約が続く見込みがあるかどうかが問われますが、契約書上は期間が区切られていても、更新が続くと見込まれるのであれば対象になり得ます。会社がこの点を確かめずに説明していることも少なくありません。対象外とする根拠を尋ね、労使間の取り決めがあるのかどうかを確認してみてください。

男性ですが、育休は取れますか

取れます。育児のための休業は子を養育するための制度であり、父母のどちらでも取得できるからです。産前産後の休業が母体の保護を目的として出産する方に限られるのとは、性質が異なります。したがって、性別を持ち出して申し出を退けることはできません。前例がないという説明も理由になりません。また、父母がともに取得する場合には期間についての特例も設けられていますので、夫婦で分担することを考えているのであれば確かめてみてください。申し出たことを理由に不利益な扱いをすることも、当然に禁じられています。

忙しい時期だから時期をずらしてほしいと言われました

拒否と時期の調整は別の話です。会社にこれらの休業を拒む権限は与えられていませんが、申し出の時期が遅れた場合には、開始の日を一定の範囲で後ろにずらせる仕組みがあります。ですから、まず確かめるべきは、申し出が定められた期日までに行われていたかどうかです。育児のための休業であれば、原則として休業を始める日の一か月前までとされています。期日を守っているのであれば、忙しいという理由で開始を遅らせることはできません。書面で申し出た日付が残っていれば、この点をはっきり示せます。

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