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失業保険(失業手当)はいつから貰える?金額や給付条件、手続きの流れを解説

この記事で分かること

  • 失業保険は、原則、離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要で、かつ、雇用の予約や就職が内定及び決定していない失業の状態にあることが受給要件となる
  • 失業保険の受給金額はこれまでの給与をベースに計算され、給付日数については被保険者であった期間、年齢、離職理由などによって異なる
  • 最初の手続き開始で受給資格の決定をされ、説明会参加、求職活動、失業の認定、受給という流れとなる

失業保険には受給条件があります。原則、離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要で、かつ、雇用の予約や就職が内定及び決定していない失業の状態にあることを満たす必要があります。なお、失業保険の受給金額や給付日数は、被保険者であった期間、年齢、離職理由などによって個別に異なります。 給付期間の制限もあるので、早めにハローワークへ足を運び、手続きを開始することをお勧めします。

失業保険(失業手当)の受給条件

退職すれば失業保険を貰えるから、当分は働かなくてもいいと思っていませんか?

じつは、「退職=失業保険(失業手当)の給付」が当然に成り立つわけではありません。残念ながら、失業保険は必ず貰えるものではなく、受給条件が設定されています。

それでは、どのような要件を満たせば支給されるのでしょうか。ここでは、失業保険の制度内容と、給付されるための要件を説明します。

失業保険(失業手当)とは?

失業保険(雇用保険ともいう)とは、政府が管理する強制保険制度です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

上記の2つの項目に該当する場合、事業所の大きさに関係なく、労働者は原則、全て失業保険の被保険者となります。つまり、強制的に失業保険を適用されることになるのです。

ただ、失業保険(失業手当)に加入した覚えのない人が大半でしょう。というのも、加入手続は事業主が行うこととなっており、自ら申し込むものではありません。

なお、失業保険に加入している場合には、事業主から「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」「雇用保険被保険者証」が交付されます。

失業保険(失業手当)が貰える要件とは?

失業した場合、まず心配すべきは、日々の生活費です。これまで働いて賃金を得ていたわけですから、失業すれば当然、毎月の賃金が支給されず、生活するためのお金に困るわけです。

そのため、失業保険(基本手当)は、失業しても安定した生活をしながら、1日も早く再度就職できるように支給されるという目的があります。この目的に合致するように設けられているのが、失業保険の受給要件なのです。

具体的には、

①原則、離職(失業)の日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上であること

被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1ヶ月ごとに区切っていた期間に、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月と計算され、要件に合致するか判断されます。

なお、倒産・解雇等の理由により離職した場合などは、この要件が緩和され、離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要となります。

②雇用の予約や就職が内定及び決定していない「失業の状態」にある

ここでいう、「失業の状態」とは、次の条件を全て満たさなければなりません。

  • 積極的に就職しようとする意思がある
  • いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)がある
  • 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていない

注意すべきは、就職する意思がない場合は給付されないということです。

例えば、以下のような場合です。

  • 妊娠、出産、育児や病気、ケガですぐに就職できない
  • 就職するつもりがない(家事に専念、学業に専念)
  • 会社などの役員に就任している(活動や報酬がない場合は別途確認)
  • 自営業の場合など
ワンポイントアドバイス
失業保険は退職すれば必ず貰えるわけではなく、原則、離職前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要で、かつ、雇用の予約や就職が内定及び決定していない失業の状態にあることが受給要件となります。
特に、就職する意思がない場合や、就職できない状況の場合には受給できないので、注意が必要です。

失業保険(失業手当)の受給内容(金額、期間など)

失業保険(失業手当)を受給できる場合、どれくらいの金額を、いつまで貰うことができるのでしょうか。ここでは、失業保険の受給内容をまとめて説明します。

いくら貰える? 失業保険(失業手当)の受給金額

失業保険の受給金額(基本手当)は、一律ではありません。それぞれ個人の生活費などを賄うものですから、これまで働いて支給されていた給与金額がベースとなり、個人によって支給金額は異なります。

失業保険(失業手当)の基本手当日額(失業保険で受給できる1日当たりの金額)は下記の計算式で算出します。

(離職前6ヶ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率
※「給与の総支給額」とは、保険料等が控除される前の額で、賞与は除きます。

算出された「基本手当日額」に給付日数をかけたものが、失業保険の給付金額の総額となります。支給方法は、約1ヶ月分をまとめて指定口座に振り込まれます。なお、給付率は、離職時の年齢、賃金により、45%~80%に設定されています。

正確な金額は、ハローワークに提出する「離職票」に基づいて計算されますが、賃金が低いほど給付率は高くなっています。また、「基本手当日額」は、年齢により上限金額があります(平成30年8月1日現在)。

  • 30歳未満…6,750円
  • 30歳以上45歳未満…7,495円
  • 45歳以上60歳未満…8,250円
  • 60歳以上65歳未満…7,083円

これまで高額の給与を貰っていた場合、最低限の生活費の保障という意味のため、上限金額に減額されることになるので、注意が必要です。

具体的な「基本手当月額」の目安は以下の通りです。

平均して給与総支給額が月額15万円程度の場合、失業手当の支給額は月額11万円程度
平均して給与総支給額が月額20万円程度の場合、失業手当の支給額は月額13.5万円程度
(離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方は月額13万円程度)

平均して給与総支給額が月額30万円程度の場合、失業手当の支給額は月額16.5万円程度
(離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方は月額13.5万円程度)

失業保険(失業手当)の給付期間、給付日数

失業手当は失業した日から制限なく支給が開始されるのでしょうか。また、支給されるとすれば、何日間にわたって支給されるのでしょうか。ここでは、給付期間、給付日数を説明します。

給付開始の制限は?

失業保険(失業手当)といえども、永遠に給付開始が可能というわけではなく、当然、受給期間には制限があります。受給できる期間は、原則として離職(失業)日の翌日から1年間となります。

ここで注意すべきは、この期間を過ぎれば、支給を受けることができないということです。仮に給付日数分の金額を全て貰っていなくても、期間経過後は支給されません。そのため、失業すれば、早期に一度はハローワークに足を運んで確認し、失業保険の手続きを開始する必要があります。

失業保険(失業手当)の給付日数

失業保険(失業手当)の基本手当は何日間給付されるのでしょうか。

これについても、全員一律ではなく、失業保険の被保険者であった期間、年齢、離職理由などによって異なり、90日~360日の間でそれぞれ決められます。特に、解職理由によっては、「特定受給資格者」「特定理由離職者」「就職困難者」「それ以外」に分かれます。

  • 特定受給資格者(倒産や解雇の場合の失業)
    会社都合での退職の場合といえます。
  • 特定理由離職者(正当な理由による自己都合退職など)
  • 就職困難者(障害者等で就職が困難な場合)

「特定受給資格者」などの詳細な条件は、以下のハローワークのサイトでご確認ください。

参考リンク:ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

給付日数の目安は以下となります。特定受給資格者、一部の特定理由離職者、就職困難者は、致し方ない事情が考慮され、給付日数が多くなります。

  • 特定受給資格者、一部の特定理由離職者…90日~330日
  • 就職困難者…150日~360日
  • 上記2つ以外…90日~150日

具体的な給付日数は、以下のハローワークのサイトでご確認ください。
参考リンク:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

ワンポイントアドバイス
失業保険の受給金額、支給日数は一律ではなく、個人で異なります。失業保険の基本手当日額はこれまでの給与をベースに計算され、給付日数については被保険者であった期間、年齢、離職理由などによって変わります。注意すべきは、受給期間の制限です。早期にハローワークへ足を運び、手続きなどの確認をお勧めします。

失業保険(失業手当)の手続きの流れ

それでは実際に失業保険はどのような手続きで給付されるのでしょうか。ここでは申請から給付までの流れをみていきます。

手続きに必要な書類とは?

まず、受給資格があるかどうかの判断がなされます。そのためにも、最初の手続きの際に、下記の書類が必要となります。予め準備をすることをお勧めします。

  • 雇用保険被保険者離職票(1、2)
    勤務していた事業所から交付されます。
  • 個人番号確認書類
  • 身元(実在)確認書類
  • 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関あり)

個人番号確認書類や身元確認書類の一覧は以下のハローワークのサイトでご確認ください。

参考リンク:ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き

受給までの手続きの流れ

以下が受給までの手続きの流れとなります。

受給資格の決定

最初に、受給資格があるかどうかの決定を受けなければなりません。そのためには、住居を管轄するハローワークに行き、「求職の申し込み」を行う必要があります。この際、「雇用保険被保険者離職票(1、2)」を提出します。

ハローワークでは、以下のことが確認されます。

  • 受給要件を満たしているか
  • 離職理由についての確認

これらを確認後、受給資格が決定し、受給するにあたっての説明会の日時が告知され、手続きの流れなどが記された「雇用保険受給資格者のしおり」が渡されます。

雇用保険受給者初回説明会の参加

予め日時が指定された「雇用保険受給者初回説明会」の参加は必須です。

出席の際は、前回渡された「雇用保険受給資格者のしおり」、印鑑、筆記用具等を持参する必要があります。説明会では、受給についての重要な事項、特に不正受給や、再就職の際の手当などの説明も行われます。

なお、説明会参加の日に、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、1回目の「失業認定日」が告知されます。

待期満了

受給手続きを開始した日から7日間は「待期期間」として、失業保険の給付対象日には含まれません。これは、いかなる理由の退職でも変わらず、全員一律にこの期間だけは待期しなければならないのです。なお、この7日間を過ぎれば、待期満了となり、給付対象日として認められます。

給付制限

さらに、退職理由によっては、待期期間満了の翌日から3ヶ月は、失業保険の基本手当の支給日とはなりません。これを、給付制限といいます。

自己都合などで退職された場合などが、この給付制限に該当します。給付制限がつけば、待期期間満了の翌日から3ヶ月が経過後、ようやく失業保険の支給対象日として認められることとなります。

なお、退職理由によって、給付制限があるかどうかが個別に変わってくるため、手続き開始の際の「受給資格の決定」が重要となってきます。

失業の認定

受給要件の確認は最初だけではありません。定期的に、失業状態であるかどうかの確認が、ハローワークで行われます。これを「失業の認定」といいます。

原則、4週間に1度、予め指定された日時に管轄のハローワークを訪れ、「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し、「雇用保険受給資格者証」を提出しなければなりません。これが「失業の認定」の一連の流れです。

なお、ここで注意すべきは、失業保険の基本手当の支給を受けるためには、「失業の認定」だけでは足りません。前回の失業の認定日から今回の失業に認定を受ける日の前日までの期間に、原則として2回以上の求職活動がなされていなければなりません。

これは、失業保険が、失業しながらも安心して就職活動が行えるために給付される性質のものだからです。主観的に仕事を探しているだけでは、実際の再就職には程遠いといえます。就職しようとする意思が具体的かつ客観的に分かる求職活動の実績が必要なのです。

ここでいう求職活動は、単なる求人情報の閲覧や知人への紹介依頼だけでは認められません。あくまで、実際の求人の応募や、ハローワークが行う職業相談や職業紹介等を受けたことや、各種講習、セミナーの受講など、形のある実績が必要となります。

受給

自身で指定した金融機関の口座に、失業保険の基本手当が振り込まれます。一般的には、失業の認定を行った日から通常5営業日での振り込みとなります。

再就職が決定して給付が不要となるまで、「失業の認定」と「受給」を繰り返すことになります。給付日数の期間を限度に、納得のいく就職活動を行うことができるといえます。

ワンポイントアドバイス
最初の手続き開始で「受給資格の決定」がなされ、説明会参加、求職活動、失業の認定、受給という流れになります。特に、失業認定日はハローワークから予め指定され、求職活動以外の理由で都合が合わない場合には、認定日が先送りとなり、手当支給が遅れることがあるので注意が必要です。

失業保険(失業手当)については早めに手続きを開始しよう

失業保険(失業手当)は思ったよりも時間がかかります。給付制限がなくても、受給資格の決定後、7日間の待期期間を経て、振り込まれるのはその時点からおおよそ1ヶ月後です。

まずは、ハローワークで手続きを開始しなければ、給付はどんどん先延ばしとなります。求職活動も兼ねて、失業すればすぐにハローワークへ相談に行くことをお勧めします。

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