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収入が途絶えたときの支えを知っておく
会社を辞めることになった。次の仕事はまだ決まっていない。家賃も、光熱費も、家族の食費も、来月からどうすればいいのか。
貯金を取り崩しながら過ごす日々は、精神的にもこたえます。焦って条件の悪い職に飛びついてしまう方も少なくありません。そうならないための支えとして、この制度は設けられています。
次を探す時間を金銭の面から確保する。それがこの仕組みの狙いです。納得のいく職に就くまでの助走期間を買う、と考えてもよいでしょう。
焦って決めた転職は、また短期間で辞めることになりがちです。それを避けるための時間を確保できる、と考えてください。
そんなとき、生活を支えてくれるのが失業保険です。正式には雇用保険の基本手当と呼ばれますが、日常では失業手当という言い方もされます。
呼び方は違っても、指しているものは同じです。この記事では、なじみのある失業保険という言い方で統一します。
保険料は、働いているあいだ毎月の給与から差し引かれてきました。給与明細の控除欄に、雇用保険という項目があったはずです。手取りが減る理由のひとつとして、あまり意識せずに過ごしてきた方も多いでしょう。
いざというときのための備えとして、毎月積み上げてきたものです。その備えを使う場面が、まさに今です。
つまり、これはあなたが積み立ててきたものです。受け取ることに、後ろめたさを感じる必要はまったくありません。
会社に迷惑をかけるのではないか、と気にする方もいます。ですが、これは保険の仕組みであって、会社が個別に負担するものではありません。
受け取ったからといって、前の勤務先に請求がいくわけでもありません。安心して手続きを進めてください。まして、次の就職先に知られることもありません。制度を使ったことが不利に働く場面は、基本的にありません。
ところが、制度の中身を知らないまま手続きが遅れ、受け取れるはずの期間を短くしてしまう方が実に少なくありません。
落ち着いてから動こうと考えているうちに、貴重な時間が過ぎていく。そうした例を数多く見てきました。気持ちの整理がつかない時期であっても、この手続きだけは先に進めておく価値があります。
受け取れる時期は、動いた日から数えて決まっていくからです。一日遅れれば、そのぶん入金も遅れる。単純な話です。
とくに、会社を辞めた理由がどう記録されるかによって、受け取れる時期も期間も大きく変わります。ここを見落とすと、数か月分の生活費を失うことになりかねません。
この記事では、制度の仕組み、受け取るための条件、辞めた理由による違い、手続きの流れ、いつからどれくらい受け取れるのか、そして受給中の注意点をお話しします。
金額の細かな計算までは踏み込みません。事情によって変わる部分が多く、数字だけを覚えても役に立たないからです。かわりに、何によって差がつくのかをお伝えします。
解雇や退職勧奨で辞めることになった方は、とくに丁寧に読んでみてください。会社が書いた理由をそのまま受け入れてはいけない場面があります。ひとことの申し出で結果が変わることもあります。
知らずに黙っていた方と、申し出た方とで、受け取る額に大きな差がついてしまいます。制度を知っていることが、そのまま生活の余裕につながる場面です。
まずは、離職票を手元に用意してから読み進めていただけると分かりやすいでしょう。まだ届いていないのであれば、届いたときに何を確かめるべきかを頭に入れておいてください。
確かめるべき箇所はひとつだけです。それが分かっていれば、届いた日に動けます。離職の理由が書かれた欄。そこだけは、必ず目を通してください。
署名を求められる欄もありますので、内容に納得できないままサインしないよう気をつけてください。
そもそもどういう制度か
まず、成り立ちから押さえておきましょう。制度の趣旨が分かると、なぜそういう条件が課されているのかも腑に落ちます。
条件を丸暗記するより、考え方をつかむほうが応用が利きます。個別の事情は人それぞれですから、なおさらです。
雇用保険は、働く人が職を失ったときに生活を支え、次の仕事を探す時間を確保するために設けられた仕組みです。
生活の心配をせずに職探しに専念できれば、結果としてより良い就職につながる。そういう考え方に立った制度です。働く人にとっても、社会全体にとっても意味のある仕組みだということです。ですから、遠慮せずに使ってよいわけです。
保険料は、働く人と会社の双方が負担しています。あなたの給与から引かれていた分は、そのうちの一部です。何年も働いてきた方であれば、それなりの額を納めてきたことになります。
その積み重ねが、いま必要なときに戻ってきます。権利として受け取るものだ、と考えて差し支えありません。
ここで大切なのは、この制度が求職活動を前提としているという点です。ここを誤解していると、後で戸惑うことになります。
失業していれば自動的にもらえる、というものではありません。自分から動いて、届け出て、通い続ける。そういう仕組みです。手間はかかりますが、その手間に見合うだけの支えが得られます。
単に仕事を辞めた人に配られるお金ではありません。働く意思と能力があり、実際に仕事を探しているのに就けない。その状態にある人を支えるものです。
ですから、受け取るには職探しを続けていることを示す必要があります。この点は後で詳しくお話しします。形だけ整えればよい、というものでもありません。実際に行動した記録が求められます。
ですから、すぐに働ける状態でなければ対象になりません。病気で療養が必要な方、家事に専念する方、学業に戻る方などは、そのままでは受け取れないことになります。あくまで、いま働けるのに職がない、という状態を支える仕組みだからです。
とはいえ、該当しないからといって何も手立てがないわけではありません。状況に応じた別の制度が用意されていることもあります。窓口で事情を話せば、案内してもらえます。
手続きの窓口は、公共職業安定所です。ハローワークという呼び方のほうが馴染みがあるかもしれません。職業の紹介と、この給付の手続きの両方を担っている窓口です。相談だけでも受け付けていますので、離職票が届く前に一度足を運んでおくのもよいでしょう。
住んでいる地域を管轄するところに行くことになりますので、まずはどこが担当かを調べておいてください。勤めていた会社の所在地ではなく、ご自身の住所が基準になります。混同しやすい点です。
受け取るための条件
次に、対象になるかどうかを確かめましょう。自分は該当しないだろうと思い込んでいる方が、実は対象だったという例もあります。まずは条件を確かめてみましょう。思い込みで機会を逃すのは、あまりにもったいないことです。迷ったら、まず尋ねてみてください。大きく二つの条件があります。
どちらも満たしていなければ受け取れませんので、順に確かめていきましょう。ひとつめは過去の話、二つめはいまの状態の話です。
過去については変えようがありませんが、いまの状態については整えられる部分があります。働ける状態にあることを示せるかどうか、という点です。体調が整うまで待つ、という選び方もあります。
ひとつめが、雇用保険に加入していた期間です。離職の日からさかのぼって、一定の期間以上、保険料を納めていたことが求められます。
途中で転職している方であれば、前の職場での期間が通算される場合もあります。空白が短ければつながることがありますので、窓口で確かめてみてください。以前に給付を受け取っていた場合には、そこでいったん区切られることになります。
ご自身の職歴を時系列で書き出しておくと、相談がすんなり進みます。いつからいつまでどこで働いたか。それだけで十分です。
この必要な期間は、辞めた理由によって変わります。会社の都合で辞めることになった方のほうが、短い期間で条件を満たせる仕組みです。突然職を失った方ほど手厚く扱われる、という考え方が反映されています。自分で辞める時期を選べた方と、選べなかった方とでは、備えの余裕が違うからです。
二つめが、失業の状態にあることです。先ほど触れたとおり、働く意思と能力があり、実際に職を探していることが必要になります。次の就職先がすでに決まっている方は、この条件を満たしません。
ただし、就職までに間が空くのであれば、その期間について対象になることがあります。ここで、自分は加入していたのだろうかと不安になる方もいるでしょう。
とくに、短時間の勤務だった方は気になるところだと思います。ですが、加入していたかどうかは自分で確かめられます。手元の書類を見るだけで分かります。
確かめ方は簡単です。給与明細の控除欄に雇用保険の項目があれば、加入していたことになります。明細が手元にないのであれば、口座から引かれた額の内訳を会社に尋ねることもできます。
源泉徴収票にも社会保険料の欄がありますので、手がかりになります。それでも分からなければ、窓口で照会してもらうこともできます。
週に働く時間が一定以上あり、継続して雇われる見込みがあれば、パートでもアルバイトでも加入の対象です。正社員に限られるものではありません。
掛け持ちで働いていた方の場合は、それぞれの勤務先での状況によって扱いが変わります。窓口で確かめてみてください。片方を辞めても、もう片方で働き続けているのであれば、対象にならない場合もあります。
会社が加入の手続きを怠っていた、という場合もあります。その場合でも、実際の勤務実態から遡って加入を認めてもらえることがあります。会社の落ち度によって、あなたが権利を失う筋合いはないからです。
遡って加入が認められれば、その期間も算入されます。諦める前に、窓口で事情を話してみてください。給与明細や勤務の記録があれば、それが手がかりになります。
会社都合と自己都合で何が変わるか
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。知っているかどうかで、手元に入る額が数か月分も違ってきます。
そして、その差は自分の申し出によって取り戻せることがあります。会社の記載がすべてを決めるわけではないからです。判断する立場にあるのは、あくまで行政の側です。
辞めた理由は、大きく二つに分けて扱われます。会社の側に理由がある場合と、自分の側に理由がある場合です。前者は会社都合、後者は自己都合と呼ばれることが多いでしょう。
制度の上では、もう少し細かく区分されています。会社の都合に準じて扱われる区分もありますので、単純な二分法ではありません。自分がどの区分に当たるのかは、事情を伝えたうえで判断してもらうことになります。
前者にあたるのは、解雇された場合、退職を勧められて応じた場合、賃金が支払われなかった場合、極端な長時間労働が続いていた場合、嫌がらせを受けていた場合などです。
契約の更新を打ち切られた場合や、勤務地が遠方へ変わって通えなくなった場合も、事情によっては含まれます。
家族の介護のためにやむを得ず辞めた場合など、自分から辞めていても会社都合に準じて扱われる区分もあります。
ご自身の事情が当てはまりそうであれば、必ず窓口で伝えてください。黙っていれば自己都合として処理されてしまいます。後者は、自分の意思で転職や独立のために辞めた場合が典型になります。
結婚や引っ越しなど、生活の事情による退職もこちらに入るのが原則です。ただし、配偶者の転勤に伴う場合など、事情によっては扱いが変わることもあります。
一律に決めつけず、事情を説明してみる価値はあります。この違いによって、三つの点が変わります。どれも生活に直結する部分ばかりです。順に見ていきます。
どれか一つだけが変わるのではなく、三つがまとめて動く点に注意してください。
- 受け取り始めるまでの期間。自己都合で辞めた人には、待期のあとに給付制限の期間がつきます。
- 受け取れる期間の長さ。会社都合のほうが長く設定されています。
- 加入していた期間の条件。会社都合のほうが短くて済みます。
この差は、実際の金額にすると相当な開きになります。数か月分の生活費が変わってくると考えてください。
とくに影響が大きいのは、受け取り始めるまでの期間です。収入が途絶えている時期に待たされるのは、想像以上に苦しいものです。その間を貯えでしのげるかどうかが、生活の設計を左右します。家賃や住宅の返済がある方は、この期間の見積もりを早めに立てておいてください。
ところが、会社が離職票に自己都合と記載してくることがあります。円満に辞めたことにしましょう、と勧められる場面もあるでしょう。しかし、その事情をあなたが引き受ける理由はありません。
助成金の受給や、対外的な評判に影響することを気にする会社もあります。あくまで会社側の都合です。その都合に付き合って生活を削る必要はありません。
しかし、退職勧奨に応じて辞めたのであれば、それは会社の働きかけがあってこその離職です。自分の意思だけで辞めたことにされる筋合いはありません。面談の記録や、やり取りが残っているメールがあれば、それを持って窓口へ行ってください。何度も呼び出された経緯や、辞めるよう促された言葉。そうしたものが裏づけになります。
受け取るための条件と、支給が始まるまでの期間を表にまとめました。
| 項目 | 自己都合で辞めた場合 | 会社都合(倒産・解雇など)の場合 |
|---|---|---|
| 加入期間の条件 | 離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上 | 離職前1年間に通算6か月以上でもよい |
| 待期期間 | 7日間 | 7日間 |
| 給付制限 | 原則1か月(5年以内に3回以上の自己都合退職なら3か月) | なし |
| もらえる日数 | 90日〜150日 | 90日〜330日 |
自己都合の給付制限は、2025年4月1日以降に辞めた人から、それまでの2か月が1か月に短くなりました。さらに、離職前の1年以内や離職後に、国が指定する教育訓練を自分で受けた場合は、給付制限そのものがなくなり、待期の7日が過ぎればすぐ受け取れます。
受け取れる期間は、原則として辞めた日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、もらえる日数が残っていても期限が来て打ち切られてしまいます。離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークに行ってください。
手続きの流れ
ここからは、実際の進め方です。段取りが分かっていれば、無駄足を避けられます。
必要な書類を欠いて出直すことになると、それだけ時期が後ろへずれます。まず、会社から離職票を受け取ります。退職から一定の期間内に交付されるのが通常です。会社が手続きを進めなければ発行されませんので、辞めるときに交付を求めておくと確実です。
次の就職先が決まっているから要らない、と言われることもありますが、念のため受け取っておいてください。就職の話が流れることもありますし、後から必要になる場面もあります。
届かない場合は、会社に催促してください。それでも出してもらえないのであれば、窓口に相談すれば手立てがあります。
会社が倒産して連絡が取れないという場合でも、道は残されています。ひとりで抱え込まずに相談してください。倒産の場面では、未払いの賃金についても別の制度が用意されています。あわせて相談しておくと、取りこぼしを防げます。
受け取ったら、記載された離職の理由を必ず確かめてください。ここが、先ほどお話しした分かれ目になります。会社が記入した理由と、こちらの認識が一致しているか。まずそこを見てください。
会社の記載に対して、本人の記入欄が設けられています。異なる認識であれば、そこに書き込むことができます。
納得できない記載であれば、その旨を書き添えて提出することができます。会社の言い分がそのまま通るわけではありません。最終的に判断するのは行政の側です。こちらの事情を示す資料があれば、必ず持参してください。
会社に確認が入ることもありますが、それを恐れて黙っている必要はありません。次に、窓口で求職の申込みをします。仕事を探す意思があることを届け出る手続きです。
このとき、本人であることを確かめる書類や、写真、口座の分かるものが必要になります。事前に持ち物を確かめておくと二度手間になりません。電話で問い合わせれば教えてもらえますので、出向く前に一度確かめておくとよいでしょう。
窓口が混み合う時間帯も、そのときに聞いておくと待ち時間を減らせます。ここで離職票を提出し、受給の資格があるかどうかが判断されます。この日が、後の日程の起点になります。ですから、一日でも早く済ませておく意味があります。離職票が届いたその週のうちに、と考えておいてください。
その後、説明会に参加することになります。制度の内容や、今後の手続きについての案内を受ける場です。
ここで受け取る書類は、以後の手続きで繰り返し使います。なくさないよう保管しておいてください。再発行には手間がかかりますので、一か所にまとめておくとよいでしょう。通うたびに持参するものですから、鞄に入れておく習慣をつけると安心です。
そして、定められた日に窓口へ出向き、その間の状況を報告します。仕事を探していたことを示す必要がありますので、応募や相談の記録を残しておいてください。
この日は自分で選べるものではありません。指定された日に行けるよう、予定を空けておく必要があります。短期の仕事を入れる場合も、この日程と重ならないよう調整してください。
この報告を経て、対象となる期間の分が振り込まれます。以後、就職が決まるか、受け取れる期間が終わるまで繰り返していく流れです。おおむね四週間ごとに窓口へ通うことになります。生活の予定に組み込んでおいてください。通うこと自体が、職探しのきっかけになることもあります。
いつから、どれくらい受け取れるか
気になる時期の話をします。いつ入ってくるのかが分からなければ、家計の見通しが立たないからです。
目安を知っておけば、当座のやりくりも考えられます。まず、求職の申込みをした日から、七日間の待期があります。この期間はどなたにも共通です。
この七日間は、どの理由で辞めた方にも等しく置かれるものです。ここを短くすることはできません。
会社の都合で辞めた方であれば、この待期が明ければ対象になります。手続きから最初の振込までは、おおむね一か月ほどを見込んでおくとよいでしょう。
とはいえ、その一か月をどう乗り切るかは考えておく必要があります。退職金や貯えでつなげるかを見積もっておいてください。
これに対して、自分の都合で辞めた方の場合には、待期の後にさらに給付が制限される期間が置かれます。その間は、収入がないまま過ごすことになります。
この期間が加わるかどうかが、生活に直結する差になります。次の仕事が決まるまでのつなぎとして考えると、その重みが分かるはずです。だからこそ、離職の理由をめぐる確認が大切になります。
次に、受け取れる期間の長さです。これは、加入していた期間、離職の理由、そして年齢によって決まります。三つの要素が組み合わさりますので、同じ職場を辞めた人どうしでも期間は変わってきます。
長く働いてきた方ほど、そして年齢が上の方ほど、長く受け取れる仕組みになっています。会社の都合で辞めた方も同様です。再就職までに時間がかかりやすい方を、より手厚く支えるという考え方です。
一日あたりの額は、辞める前の賃金をもとに計算されます。賃金が低かった方ほど、もとの賃金に対する割合が高くなる仕組みです。
直前の数か月分の賃金から一日あたりの額を出し、そこに一定の割合を掛けるという計算になります。賞与は含まれません。
ただし、上限と下限が設けられていますので、高い賃金を受け取っていた方でも、その分だけ多く受け取れるわけではありません。
ですから、これまでと同じ暮らしを維持できる額にはならないと考えておいてください。支出の見直しも並行して進める必要があります。
もうひとつ、忘れてはならない点があります。受け取れる期間には、離職の日から数えた期限があるということです。
この期限を過ぎてしまうと、まだ受け取っていない分があっても打ち切られます。手続きを先延ばしにする理由はどこにもありません。
次の仕事がすぐ決まりそうだから、と手続きを後回しにする方がいます。しかし、決まらなかったときに困るのはご自身です。まず届け出ておくほうが安全です。
ハローワークでの手続きは、おおむね次の順で進みます。
- 会社から届いた離職票を持って、住所地のハローワークで求職を申し込む。
- 7日間の待期を経て、雇用保険受給者説明会に参加する。
- 原則4週間ごとの失業認定日にハローワークへ行き、求職活動の実績を報告する。
- 認定を受けた日数分の基本手当が、指定の口座に振り込まれる。
受給中に気をつけたいこと
受け取り始めてからの注意点をお伝えします。知らずに違反してしまい、後で返還を求められる例が実際にあります。
まず、定められた日に窓口へ出向くことです。ここを欠かすと、その期間の分が支給されません。忘れてしまうと、その分がまるごと後ろへずれてしまいます。
どうしても行けない事情がある場合は、事前に連絡してください。就職の面接や、病気による通院であれば、認められることがあります。証明する書類を求められることもありますので、面接であればその案内を残しておきましょう。
次に、仕事を探していたことを示す必要があります。求人への応募、窓口での相談、職業訓練の受講など、定められた回数の活動が求められます。
回数は離職の理由によって変わります。何回必要かは、説明会で案内されますので確かめておいてください。求人を眺めただけでは足りません。実際に行動した記録を残しておいてください。窓口の端末で検索しただけ、という場合は活動として数えられないことがあります。
三つめが、収入があった場合の申告です。短期の仕事をした、手伝いをして報酬を受け取った。こうした場合には、必ず届け出てください。知人の手伝いや、単発の仕事も対象になります。額の大小は関係ありません。
黙っていると、後で不正とみなされ、受け取った額を返すよう求められることがあります。加えて、それ以上の額を納めるよう命じられる場合もあります。
後から発覚することは珍しくありません。申告しておけば済んだ話が、大きな負担になってしまいます。働いたこと自体は問題ではありません。申告しないことが問題です。
四つめが、早く就職が決まった場合です。この場合、残っている期間に応じて一時金を受け取れる仕組みがあります。
残っている期間が多いほど、受け取れる額も大きくなる仕組みです。早く決まったことが不利にならないよう配慮されています。
最後まで受け取ったほうが得だと考えて就職を遅らせる必要はありません。早く決まったほうが結果として有利になる場合も少なくありません。
職から離れる期間が長くなるほど、次の就職も難しくなります。制度もその点を踏まえて作られています。
五つめが、病気やけがで働けなくなった場合です。この場合には、別の給付に切り替えられることがあります。窓口で相談してください。
働けない状態では、そもそもこの給付の対象から外れてしまいます。黙っているとかえって不利になりますので、率直に伝えてください。
また、受給できる期間を先へ延ばしてもらう手続きもあります。回復してから改めて受け取る、という選び方もできます。
失業保険に関するよくある質問
会社が離職票に自己都合と書いてきました
そのまま受け入れる必要はありません。解雇された場合や、退職を勧められて応じた場合は、会社の側に理由がある離職として扱われるはずだからです。この記載によって、受け取り始めるまでの期間も、受け取れる期間の長さも変わってきますので、影響は小さくありません。離職票を受け取ったら記載を確かめ、納得できないのであれば、その旨を書き添えて提出することができます。すでに提出した後でも、実情を示す資料があれば見直しを求める道は残っています。退職勧奨の面談の記録や、やり取りが残っているメールがあれば、必ず持参してください。
アルバイトでも受け取れますか
受け取れます。雇用保険に加入していたかどうかで決まるものであり、雇われ方の名称によって変わるものではないからです。週に働く時間が一定以上あり、継続して雇われる見込みがあれば、パートでもアルバイトでも加入の対象になっています。確かめ方は簡単で、給与明細の控除欄に雇用保険の項目があれば加入していたことになります。もし会社が加入の手続きを怠っていた場合でも、実際の勤務実態から遡って認めてもらえることがありますので、諦める前に窓口で事情を話してみてください。
手続きが遅れると、どうなりますか
受け取れる期間を短くしてしまう恐れがあります。受け取れる期間には、離職の日から数えた期限が設けられているからです。この期限を過ぎてしまうと、まだ受け取っていない分があっても打ち切られてしまいます。また、そもそも受け取り始めるまでには待期の期間があり、自分の都合で辞めた場合にはさらに制限の期間が加わります。手続きを始めた日が起点になりますので、遅れた分だけ入金の時期も後ろへずれていくことになります。離職票が届いたら、できるだけ早く窓口へ出向いてください。
受給中に短期の仕事をしてもよいですか
働くこと自体は問題ありません。ただし、必ず申告してください。収入があったことを届け出ずにいると、後で不正とみなされ、受け取った額の返還を求められることがあります。加えて、それ以上の額を納めるよう命じられる場合もありますので、影響は決して小さくありません。申告した場合、働いた日数や収入に応じて支給が調整されるか、その分が先送りになるという扱いになります。つまり、正直に届け出ても損をする仕組みにはなっていません。判断に迷う働き方であれば、事前に窓口で確かめておくと安心です。
