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相続は誰に相談する?専門家の選び方

相続は誰に相談する?専門家の選び方

この記事で分かること

  • 相続の相談先になる専門家それぞれの役割
  • 弁護士や司法書士など各専門家の守備範囲
  • 状況に応じた相談先の選び方
  • 複数の専門家が必要なときの考え方
  • 無料相談や公的支援の活用方法

相続で困ったとき、誰に相談すればよいのか迷う方は多いものです。この記事では、もめごとに対応できる弁護士、登記を担う司法書士、相続税の税理士、書類作成の行政書士という四つの専門家の役割と守備範囲を整理し、もめているか否かを軸にした相談先の選び方を解説します。さらに、複数の専門家が必要なときに弁護士へまず相談する利点や、初回相談で見るべき点、無料相談や公的な支援制度の使い方まで、弁護士の視点でわかりやすくまとめました。

相続に強い弁護士を探す

相続のことで困って、「専門家に相談しよう」と思い立ったとき、次にぶつかるのが「いったい誰に相談すればいいの」という疑問です。弁護士、司法書士、税理士、行政書士。名前は聞いたことがあっても、それぞれが何を得意としているのかは、意外と知られていません。相談先を間違えると、肝心の場面で力になってもらえなかったり、二度手間になったりすることもあります。

この記事では、相続の相談先になる専門家それぞれの役割と守備範囲、自分の状況に合った相談先の選び方、そして無料相談や公的な支援制度の使い方までを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。読み終えるころには、自分はまずどこに相談すればよいのかが、はっきり見えてくるはずです。難しく考えず、気軽に読み進めてみてください。

相続は、人生でそう何度も経験するものではありません。だからこそ、誰もが手探りになります。わからなくて当然なのですから、相談先選びでつまずいても、落ち込む必要はまったくありません。この記事を通じて、まずは全体像をつかんでいただければ十分です。専門用語はできるだけかみくだいて説明していきます。

相続の相談先を選ぶ前に知っておきたいこと

まず大前提として、相続の相談先は一つではありません。相続といっても、その中身はさまざまです。遺産の分け方でもめているのか、不動産の名義を変えたいのか、相続税の申告が必要なのか。同じ「相続の悩み」でも、その中身は人によってまったく違います。何に困っているかによって、頼るべき専門家が変わってくるのです。

たとえば、同じ相続でも、「きょうだいと遺産の分け方でもめている」という方と、「実家の名義を変えたいだけ」という方とでは、相談すべき相手がまったく違います。前者は弁護士、後者は司法書士が適しています。自分の困りごとを取り違えたまま相談先を選ぶと、遠回りになってしまうのです。だからこそ、まずは何に困っているのかを、自分の中で整理することが出発点になります。

そして、それぞれの専門家には、法律で定められた業務の範囲があります。どの専門家でも何でもできる、というわけではありません。たとえば、もめている相続の交渉を代理できるのは弁護士だけ、というように、はっきりした線引きがあります。この守備範囲を知らずに相談先を選ぶと、「うちでは対応できません」と断られてしまうこともあるのです。

これは、決してその専門家が不親切だからではありません。法律によって、扱える業務がきちんと分けられているためです。たとえば、税理士が遺産分割の交渉を代理することは、法律上できません。逆に、弁護士が税務申告そのものを行うわけでもありません。それぞれが自分の専門領域で力を発揮する。その仕組みを理解しておくと、相談先選びで迷うことが減ります。

もっとも、最近では、複数の資格を持つ専門家や、さまざまな士業が連携している事務所も増えています。たとえば、弁護士と税理士が同じ事務所に在籍していて、相続をまとめて扱えるところもあります。そうした事務所なら、窓口を一つにしたまま、複数の手続きを進められて便利です。ただし、どこまで自前で対応できるかは事務所によって違うため、相談の際に確認しておくと安心です。看板の文言だけで判断せず、実際にどこまで対応してもらえるのかを、最初に尋ねておくとよいでしょう。うたい文句と実際の対応にずれがないかを、確かめておくと安心です。

だからこそ、相談する前に、自分が何に困っているのかを整理しておくことが大切です。それさえはっきりすれば、おのずと相談すべき相手も見えてきます。困りごとの正体がつかめれば、相談先選びの半分は終わったようなものです。まずは、それぞれの専門家がどんな役割を担うのかを見ていきましょう。

ここで一つ、覚えておいてほしいことがあります。それは、相談先を一度で完璧に選ぶ必要はない、ということです。まず話を聞いてもらい、違うと感じたら別の専門家にあたればよいのです。多くの専門家は、自分の領域でないと判断すれば、適切な相手を紹介してくれます。だから、最初の一歩を、あまり重く考えすぎないでください。動き出すことのほうが、ずっと大切です。

相続の相談先選びでよく見られるのが、「もっと早く相談していればよかった」という後悔です。手続きを自己流で進めてこじらせてしまったり、期限を過ぎて選べる手立てを失ってしまったり。そうなる前に、まずは専門家の話を聞いておく。それだけで、避けられるトラブルはたくさんあります。完璧な準備が整うのを待つ必要はありません。気になった時点で、一度相談してみることをおすすめします。

ワンポイントアドバイス
相談先を選ぶ最初のこつは、「もめているか、いないか」を見きわめることです。相続人どうしで意見が対立している、あるいは対立しそうなら、まず弁護士を考えましょう。逆に、全員が円満で手続きだけを進めたいなら、司法書士や税理士が適しています。この一点だけでも、選択肢はぐっと絞れます。

相続にかかわる専門家の役割

相続の相談先になる専門家は、主に四つあります。それぞれが何を得意とし、どこまで対応できるのかを、一つずつ見ていきましょう。自分のケースに当てはめながら読むと、わかりやすいはずです。

弁護士

弁護士の最大の特徴は、相続人どうしの争いに対応できる唯一の専門家だという点です。もめている相続で、相手方と交渉したり、家庭裁判所の調停や審判で主張を述べたりできるのは、弁護士だけです。遺産分割でもめている、使い込みが疑われる、遺言の有効性に納得できない。こうした争いごとがある場面では、弁護士が頼りになります。いずれも、当事者だけで解決しようとすると、感情がぶつかって泥沼になりやすい問題です。法律全般を扱えるため、相続の問題を幅広くカバーできるのも強みです。

もう一つ、弁護士に頼む利点があります。それは、相手方とのやり取りを、まるごと任せられることです。もめている相続では、相手と直接顔を合わせるだけでも、大きなストレスになります。弁護士が窓口になれば、あなたが矢面に立つ必要はなくなり、精神的な負担が大きく軽くなります。感情的な対立を避けたい方ほど、弁護士に相談する意味は大きいといえるでしょう。

具体的な例を挙げてみましょう。親の介護を一身に担ってきた長女が、その苦労を取り分に反映してほしいと考える。一方、ほかのきょうだいは、法律どおり平等に分けるべきだと主張する。どちらの言い分にも理屈があり、当事者だけでは折り合えません。こうした場面で弁護士が入ると、法的にどこまで認められるのかを冷静に整理し、感情論を事実と法律の土俵に乗せ直してくれます。すると、対立していた両者にも、歩み寄れる余地が見えてくるのです。

このように、弁護士の役割は、単に代わりに戦ってくれることだけではありません。むしろ、こじれた状況を整理し、解決への筋道をつけてくれるところに、本当の価値があります。感情がぶつかり合う相続の場で、冷静な第三者がいるかどうかは、結果を大きく左右します。もめている、あるいはもめそうだと感じたら、迷わず弁護士を選択肢に入れてください。

司法書士

司法書士が得意とするのは、不動産の名義変更である相続登記です。亡くなった方が所有していた土地や建物の名義を、相続人に移す手続きを任せられます。もめていない相続で、不動産の手続きを中心に進めたい場合に適しています。相続人の間に争いがなく、淡々と名義を整えたい、という場面で頼りになる存在です。書類の作成も丁寧にサポートしてくれるため、登記が絡む相続では、心強い存在です。

相続した不動産をそのままにしておくと、後々さまざまな不都合が生じます。名義が亡くなった方のままでは、その不動産を売ることも、担保に入れることもできません。さらに、相続による名義変更は、期限内に行うことが義務づけられるようになりました。こうした手続きを確実に進めるうえで、登記の専門家である司法書士の存在は欠かせません。不動産が遺産に含まれるなら、司法書士への相談を視野に入れておくとよいでしょう。

とくに、相続による名義変更の義務化によって、放置していた不動産の登記を進める必要に迫られている方も増えています。何代も前の名義のままになっている土地などは、相続人がねずみ算式に増えて、手続きが複雑になっていることもあります。こうした入り組んだ登記こそ、司法書士の専門性が生きる場面です。自分では手に負えないと感じたら、早めに相談するのが賢明です。

相続による名義変更には、戸籍を生まれてから亡くなるまですべてそろえるなど、手間のかかる作業がつきものです。本籍が何度も移っている場合は、各地の役所をたどる必要もあります。こうした地道な作業をまとめて任せられるのは、司法書士に頼む大きな利点です。自分の時間を手続きに奪われずにすむというのは、忙しい方にとって大きな助けになります。

税理士

税理士は、税金の専門家です。相続では、相続税の申告が必要な場合に力を発揮します。遺産の総額が一定の枠を超えると、相続税の申告と納税が必要になりますが、その計算や申告書の作成は、専門的で複雑です。枠を超えるかどうかの見きわめ自体も、財産をひととおり洗い出さないと判断がつきません。相続税がかかりそうなケースでは、税理士に相談するのが確実です。税額の計算を誤ると、後で思わぬ負担が生じることもあるため、専門家の手を借りるのが安心です。財産の評価についても、的確な助言が得られます。

注意したいのは、相続税の申告には期限がある、という点です。亡くなったことを知った日の翌日から一定の期間内に、申告と納税をすませなければなりません。この期限を過ぎると、本来使えたはずの軽減の仕組みが使えなくなることもあります。相続税がかかりそうだと感じたら、できるだけ早めに税理士に相談し、見通しを立てておくことが大切です。期限はあっという間にやってきます。

とくに、不動産の評価は専門的で、判断が難しい分野です。土地の形や立地、利用状況によって評価額が変わり、適用できる特例もさまざまです。評価を誤ると、納める税額にも影響します。こうした複雑な計算を正確に行えるのが、税理士の強みです。自己流で判断せず、専門家に見てもらうことで、払いすぎや申告漏れを防げます。安心して任せられるのは、専門家ならではです。

行政書士

行政書士は、書類の作成を専門とします。相続では、もめていない場合の遺産分割協議書の作成などを依頼できます。相続人全員の意見がまとまっていて、それを書面にきちんと残したい、という場面で役立ちます。争いの要素がなく、純粋に書類づくりだけが必要な場合に向いています。もめる心配がまったくない、というのが利用の前提になります。ただし、もめている相続の交渉や、登記、税務申告そのものは扱えないため、その点は理解しておく必要があります。

つまり、行政書士は、争いのない相続で、書類をきちんと整えたい場面に向いている、ということです。相続人全員が納得していて、あとは合意を形にするだけ、という状況であれば、頼れる選択肢になります。逆に、少しでももめる気配があるなら、最初から弁護士に相談しておくほうが安心です。自分の状況がどちらに近いかを、冷静に見きわめることが大切になります。

ここまで、四つの専門家の役割を見てきました。大切なのは、それぞれに得意分野があり、できることとできないことがはっきり分かれている、という点です。万能の専門家はいません。だからこそ、自分の困りごとがどの領域にあたるのかを知ることが、適切な相談先選びの第一歩になります。次は、それぞれの守備範囲を一覧で比べてみましょう。

業務範囲を一覧で比べる

それぞれの専門家の守備範囲を、表で整理してみましょう。どこに何を頼めるのかが、一目でわかります。自分の困りごとが、どの専門家の領域にあたるのかを確かめてみてください。

専門家 得意とする場面
弁護士 もめている相続の交渉、調停や審判、相続全般の法律問題
司法書士 不動産の名義変更である相続登記、関連する書類の作成
税理士 相続税の申告が必要な場合の税務手続きと財産評価
行政書士 もめていない場合の遺産分割協議書などの書類作成

こうして並べてみると、それぞれの役割がはっきりします。もめているなら弁護士、登記なら司法書士、税金なら税理士、というのが基本の振り分けです。この三つを覚えておくだけでも、相談先選びの大きな指針になります。あとは、自分の困りごとがこのどれに近いかを当てはめるだけです。ただし、実際の相続では、複数の要素が同時に絡むことも多いものです。その場合の考え方は、後ほどくわしくお伝えします。

たとえば、もめている相続で、不動産もあり、相続税もかかる、というケースは決して珍しくありません。このとき、複数の専門家がそれぞれの役割を分担して関わることになります。一見ばらばらに見える手続きを、どう取りまとめていくか。ここでつまずく方が多いのですが、適切な相談先を選べば、その心配は小さくなります。誰がその全体を見渡してくれるのかが、鍵になるのです。

状況別に見る、相談先の選び方

専門家の役割がわかったところで、具体的な状況に応じた選び方を見ていきましょう。自分の置かれた立場に近いものを探してみてください。

  • 相続人どうしでもめている、またはもめそうなら、まず弁護士に相談しましょう。
  • 遺産に不動産があり、名義変更が中心なら、司法書士が適しています。
  • 相続税の申告が必要になりそうなら、税理士に相談するのが確実です。
  • 全員円満で、協議書だけ整えたいなら、行政書士という選択肢もあります。
  • 何に困っているか自分でもわからないなら、まず弁護士に全体像を見てもらうとよいでしょう。

迷ったときは、いちばん上の「もめているかどうか」から考えると、判断しやすくなります。判断に迷う材料が多くても、この一点を軸にすれば、進む方向が見えてきます。もめごとの可能性が少しでもあるなら、最初から弁護士に相談しておくほうが、後で困らずにすみます。転ばぬ先の杖として、早めに専門家の知恵を借りておくのが賢明です。あとから「やはり弁護士が必要だった」となると、それまでの手続きをやり直すことにもなりかねないからです。

具体的に言えば、もめていないと思って司法書士や行政書士に手続きを進めてもらったものの、途中で相続人の一人が強い不満を示し、争いに発展してしまう。そんなケースもあります。この段階で弁護士に切り替えると、それまでに進めた話が振り出しに戻ることもあります。最初から争いの可能性を見越して弁護士に相談しておけば、こうした手戻りを防げるのです。先を見越した選択が、結果的に時間と労力を節約します。

複数の専門家が必要なときの考え方

実際の相続では、一つの専門家だけで完結しないことがよくあります。たとえば、もめていて、しかも不動産の名義変更も、相続税の申告も必要だとします。この場合、交渉は弁護士、登記は司法書士、税務は税理士、と複数の専門家の力が必要になります。

こうしたとき、それぞれを自分で探して個別に依頼するのは、たいへんな手間です。誰にどの順番で頼めばよいのか、わからなくなることもあるでしょう。そんなときは、まず弁護士に相談するのが効率的です。相続にくわしい弁護士なら、全体を見渡したうえで、必要な専門家を紹介してくれることが多いからです。

弁護士に窓口になってもらう利点は、ただ紹介してもらえることだけではありません。全体の段取りを考えて、どの手続きをどの順番で進めるべきかを示してもらえます。相続には、先に終えておかないと次に進めない手続きもあります。順番を間違えると、二度手間になることもあるのです。全体像を見渡せる人がそばにいると、こうした無駄を避けられます。複雑なケースほど、その効果は大きくなります。

たとえば、相続税の申告には期限がありますが、その前提として、誰が何を相続するかを決める遺産分割が必要です。ところが、その遺産分割でもめていると、申告の期限が迫っても話がまとまらない、という事態になりかねません。こうした場面では、もめごとを解決する弁護士と、申告を担う税理士が連携して動くことが欠かせません。全体を見渡す人がいれば、こうした時間との戦いも、落ち着いて乗り切れます。

窓口を一つにまとめられると、手続き全体がぐっとスムーズになります。あちこちに連絡を取る手間が省けるだけでも、負担はずいぶん軽くなります。いくつもの事務所と並行してやり取りするのは、それだけで気疲れするものです。複数の問題が絡んでいると感じたら、まずは全体像を把握できる相手に相談してみてください。一人で順番を考え込むより、見通しを持った専門家に道筋を引いてもらうほうが、ずっと楽に進みます。

もう一つ知っておくと安心なのが、専門家どうしは横のつながりを持っていることが多い、という点です。信頼できる弁護士なら、登記が必要なら司法書士を、税務が必要なら税理士を、それぞれ信頼のおける相手につないでくれます。いわば、相続の総合窓口のような役割を果たしてくれるのです。自分でゼロから探すより、すでに連携の実績がある専門家を紹介してもらうほうが、安心して任せられます。紹介された相手なら、はずれを引く心配も少なくなります。こうした人脈は、依頼者には見えにくいものの、相続をスムーズに進めるうえで大きな意味を持っています。

注意
最近は、ひとつの窓口でまとめて対応すると掲げる事務所も増えています。便利な反面、実際にどこまで自前で対応し、どこから提携先に任せるのかは、事務所によってさまざまです。期待していた対応が受けられないこともあるため、依頼する前に、対応の範囲を具体的に確認しておくことをおすすめします。

初回相談で見きわめたいこと

相談先の候補が定まったら、次は実際に相談してみる段階です。最初の相談は、その専門家が信頼できるかを見きわめる、大切な機会でもあります。次のような点に注目してみてください。

  1. 相続の取り扱い実績が豊富かどうかを確認します。経験の多さは、対応の的確さに直結します。
  2. 説明がわかりやすいかどうかを見ます。専門用語ばかりでなく、こちらの目線で話してくれるかが大切です。
  3. 費用の説明が明確かどうかを確かめます。何にいくらかかるのかを、はっきり示してくれる相手は信頼できます。
  4. 親身に話を聞いてくれるかを感じ取ります。相続は感情も絡むだけに、寄り添う姿勢があるかは重要です。

そして何より、最初の相談で受けた印象を大切にしてください。理屈では説明しづらい直感も、相手選びにおいては、案外あてになるものです。「この人になら安心して任せられそうだ」という感覚は、案外あてになるものです。長く付き合うことになるかもしれない相手だからこそ、その直感は大切にしたいところです。少しでも違和感があれば、ほかの事務所にも相談してみてよいのです。

一つの事務所だけで決めなければならない、という決まりはどこにもありません。いくつか話を聞いてみると、同じ相談をしても、返ってくる答えや雰囲気が事務所ごとに違うことに気づくはずです。比べることで、自分に合った相手が浮かび上がってきます。手間を惜しまず比較した分だけ、納得のいく相談先にたどり着けます。最初に出会った一人に決めてしまわず、いくつか足を運んでみる価値は十分にあります。少し手間に感じても、長い付き合いになるかもしれない相手だからこそ、慎重に選ぶ価値があります。焦らず、納得のいく選択をしてください。

相談先選びは、相続そのものと同じくらい、その後の進めやすさを左右します。価格の安さだけで選ぶと、対応に不満が残ることもありますし、有名だからという理由だけで選んでも、自分の事案に合うとは限りません。大切なのは、あなたの話にきちんと耳を傾け、現実的な見通しを示してくれるかどうかです。そうした相手に出会えれば、相続の道のりは、ずいぶん歩きやすくなります。

無料相談や公的な支援を活用する

相談したくても、費用が気になって踏み出せない。そんな方のために、負担を抑えて相談する方法もあります。うまく活用すれば、お金の心配を減らしながら、専門家の助言を得られます。

まず、多くの法律事務所では、初回の相談を無料にしているところがあります。まずは無料の範囲で話を聞いてもらい、依頼するかどうかをそのうえで判断する、という使い方ができます。初回が無料なら、相性を確かめる場としても気軽に使えます。お金をかけずに方針だけ確認できるのですから、使わない手はありません。一つの事務所だけでなく、いくつか相談して比べてみると、説明のしかたや費用、人柄の違いが見えてきて、自分に合った相手を選びやすくなります。同じ悩みを相談しても、提案の内容や話しやすさは事務所ごとに違うものです。

また、経済的に余裕のない方のための公的な支援制度もあります。一定の条件を満たせば、無料の法律相談を受けられたり、弁護士費用の立て替えを利用できたりする仕組みです。お金がないから相談できない、とあきらめてしまう前に、こうした制度の存在を思い出してください。利用には収入などの条件がありますが、費用を理由にあきらめる前に、こうした制度が使えないか確認してみる価値はあります。

お金の心配で相談をためらい、その間に状況が悪化してしまう。これは、もっとも避けたいパターンです。相続には期限のある手続きもあり、動き出しが遅れると、選べる手立てが狭まってしまうこともあります。費用の不安があるなら、無料相談や公的な支援を上手に使って、まずは専門家の話を聞いてみてください。最初の一歩を、費用への心配でとどめてしまわないことが大切です。

相続の相談先に関するよくある質問

まず誰に相談すればよいか迷っています

何に困っているかがはっきりしない場合は、まず弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士は相続全般を扱えるため、状況を整理したうえで、必要なら適切な専門家を案内してもらえます。入口を一つに決めておくと、迷わずに動き出せます。あれこれ悩むより、まず一か所に話を持ち込んでみるのが、結局は近道になります。とりあえず話を聞いてもらうところから始めてみてください。

最初の相談で大切なのは、難しい質問を用意することではありません。いま自分が何に困っていて、何を不安に思っているのかを、素直に話すことです。専門家は、その話を手がかりに、状況を整理し、進むべき方向を示してくれます。うまく説明できなくても、心配はいりません。断片的な情報からでも、プロは全体像をつかんでくれるものです。

相談だけして依頼しないこともできますか

できます。多くの専門家は、まず相談だけを受け付けています。話を聞いたうえで、自分で進められそうならそれで構いませんし、任せたほうがよいと感じたら、改めて依頼を検討すればよいのです。相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。

むしろ、相談の段階で「自分のケースなら、ここまでは自分でできそうだ」という見通しが立つことも多いものです。プロの視点で整理してもらうだけで、漠然とした不安が、具体的なやるべきことに変わります。依頼するにせよ、しないにせよ、一度専門家の話を聞いておくことには、それ自体に意味があるのです。気軽に活用してみてください。

遠方に住んでいても相談できますか

相談できます。いまは電話やオンライン、郵送でのやり取りが整っているため、遠くに住んでいても、何度も足を運ぶ必要はありません。実家が地方にあり、自分は離れて暮らしているという方でも、問題なく進められます。距離を理由にあきらめる必要はありませんので、まずは気軽に問い合わせてみてください。一人で抱え込まず、頼れる相手を見つけることが、解決への近道になります。

とくに、実家が地方にあって、自分は都市部で働いているという方は多いものです。仕事を休んで何度も帰省するのは大きな負担ですが、専門家に窓口になってもらえば、その負担を最小限に抑えられます。大切な家族を見送ったあとの、慣れない手続きです。すべてを一人で背負おうとせず、頼れるところは人に頼ってよいのだと、どうか覚えておいてください。あなたが穏やかに日常を取り戻すための手段として、専門家の存在を思い出してもらえればと思います。

相談先を正しく選べたなら、相続の手続きは、その時点で半分は片づいたようなものです。あとは、信頼できる相手とともに、一歩ずつ進めていけば大丈夫です。困ったときに頼れる人がいると知っておくだけでも、心は軽くなります。どうか一人で抱え込まず、まずは扉をたたいてみてください。

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