掲載弁護士・法律事務所 2,000以上件/全国対応

法定相続人とは|誰がなる?範囲と相続割合の早見表

法定相続人とは|誰がなる?範囲と相続割合の早見表

この記事で分かること

  • 法定相続人の範囲と判定フローチャート(自分が該当するかが分かる)
  • 法定相続人の数え方と相続税の基礎控除との関係
  • 特殊ケース(養子・婚外子・連れ子・内縁の妻等)の取り扱い
  • 法定相続人を増やす相続税対策(養子縁組による節税)
  • 7つのケーススタディと自分の状況への当てはめ方

法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人。配偶者は常に法定相続人、それに加えて第1順位の子・第2順位の親・第3順位の兄弟姉妹の順で決まります。本記事では法定相続人の範囲・判定フローチャート・相続割合早見表・数え方と相続税基礎控除との関係・特殊ケース(養子/婚外子/連れ子等)・7つのケーススタディまで詳しく解説します。

相続に強い弁護士を探す

法定相続人とは何か

「法定相続人とは具体的に誰のこと?」「私は法定相続人に含まれるのか?」「法定相続人の数で相続税はどう変わる?」――こうした疑問は、相続を控えている方や、自分の権利・義務を確認したい方が必ず抱える切実なものです。

法定相続人とは、民法で定められた、被相続人(亡くなった方)の財産を相続する権利を持つ人のことを指します。配偶者は常に法定相続人、それに加えて第1順位の子・第2順位の親・第3順位の兄弟姉妹の優先順位で決まります。本記事では、法定相続人の範囲、相続割合の早見表、法定相続人の数え方、相続税の基礎控除との関係、特殊なケースの取り扱いまで、実用的な情報を弁護士・税理士目線で詳しく解説します。

法定相続人の範囲と早見表

まず最も重要な「法定相続人の範囲」を見ていきましょう。

法定相続人の3つのカテゴリー

法定相続人は、大きく3つのカテゴリーに分類されます。

カテゴリー1は配偶者で、常に法定相続人となります。カテゴリー2は血族相続人で、優先順位があります。カテゴリー3は代襲相続人で、本来の相続人が亡くなっている場合に代わって相続します。

配偶者は常に法定相続人

配偶者(法律上の婚姻関係にある夫または妻)は、常に法定相続人となります。

血族相続人の有無や順位に関係なく、配偶者は必ず相続権を持ちます。これが配偶者と血族相続人の最大の違いです。

血族相続人の3つの順位

血族相続人は、次の順位で法定相続人となります。

順位 相続人
第1順位 子(直系卑属・代襲相続人含む)
第2順位 親(直系尊属)
第3順位 兄弟姉妹(代襲相続人含む)

重要なポイントは、先順位の血族相続人がいる場合、後順位は相続人にならないことです。

法定相続人の範囲早見表

家族構成別の法定相続人の範囲を早見表で見ていきましょう。

家族構成 法定相続人
配偶者と子(両方ある) 配偶者と子全員
配偶者あり・子なし・親あり 配偶者と親
配偶者あり・子なし・親なし・兄弟姉妹あり 配偶者と兄弟姉妹
配偶者あり・血族相続人なし 配偶者のみ
配偶者なし・子あり 子のみ
配偶者なし・子なし・親あり 親のみ
配偶者なし・子なし・親なし・兄弟姉妹あり 兄弟姉妹のみ
配偶者なし・血族相続人なし なし(相続人不存在)

配偶者の特別なルール

配偶者の特別なルールも確認しておきましょう。

内縁の妻・夫は法定相続人ではない、離婚した元配偶者は法定相続人ではない、事実婚パートナーは法定相続人ではない、です。

法律上の婚姻関係(戸籍上の婚姻)があることが、配偶者として法定相続人となる要件です。

法定相続人の判定フローチャート

自分が法定相続人になるかを判定するための、フローチャートを整理しておきましょう。

ステップ1 配偶者かどうか

被相続人と法律上の婚姻関係にあるかを確認します。

婚姻していれば、自動的に法定相続人となります。離婚していたり内縁関係なら、配偶者ではありません。

ステップ2 第1順位(子)の有無

被相続人に子(代襲相続人含む)がいるか確認します。

子(実子・養子・認知された婚外子・胎児)がいれば、第1順位として法定相続人となります。子全員が相続放棄した場合、その子の子(代襲相続人)が相続人となります。

ステップ3 第1順位がいなければ第2順位(親)

第1順位の子がいない場合、第2順位の親が法定相続人となります。

両親が健在ならその両親、片方だけならその片方、両親とも亡くなっていれば祖父母、が相続人です。

ステップ4 第1・第2順位がいなければ第3順位(兄弟姉妹)

第1・第2順位がいない場合、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。

兄弟姉妹(代襲相続人の甥姪含む)が相続人です。兄弟姉妹が亡くなっていれば、その子(甥姪)が代襲相続人。ただし、再代襲(甥姪の子=姪孫)は認められません。

ステップ5 すべての順位の相続人がいない場合

配偶者も血族相続人もいない場合、相続人不存在となります。

特別縁故者への財産分与、または国庫帰属の手続きが行われます。

判定の注意点

判定の注意点として、相続放棄した人は最初から相続人ではなかったとみなされる、相続欠格・相続廃除の人も相続人にならない、ただし放棄以外の場合は代襲相続が可能、配偶者と血族相続人の両方を確認、戸籍調査で隠れた相続人(認知された婚外子等)を見落とさない、などがあります。

法定相続人の相続割合の早見表

法定相続人の相続割合(法定相続分)は、組み合わせ別に決まっています。

配偶者と子の組み合わせ

配偶者と子が法定相続人の場合、配偶者は1/2、子全員で1/2(複数人なら均等分割)、です。

配偶者と子2人なら、配偶者1/2、子それぞれ1/4となります。

配偶者と親の組み合わせ

配偶者と親が法定相続人の場合、配偶者は2/3、親全員で1/3、です。

両親健在なら、配偶者2/3、父1/6、母1/6となります。

配偶者と兄弟姉妹の組み合わせ

配偶者と兄弟姉妹が法定相続人の場合、配偶者は3/4、兄弟姉妹全員で1/4、です。

配偶者と兄弟2人なら、配偶者3/4、兄弟それぞれ1/8となります。

配偶者のみの場合

配偶者のみが法定相続人の場合、配偶者が遺産の全額を取得します。

血族相続人がいないため、配偶者が単独相続となります。

血族相続人のみの場合

配偶者がいない場合、血族相続人のみで分割します。

子のみなら子全員で均等分割、親のみなら親全員で均等分割、兄弟姉妹のみなら兄弟姉妹で均等分割、です。

法定相続人の数え方

法定相続人の数え方は、相続税の基礎控除に直結する重要なポイントです。

基本の数え方

法定相続人の数は、実際に相続する人の数で数えます。

配偶者がいれば1人、第1順位の子全員、または第2順位の親全員、または第3順位の兄弟姉妹全員、を加えます。代襲相続人がいる場合、本来の相続人ではなく代襲相続人を数えます。

相続放棄した人の取り扱い

重要なポイントとして、相続税の基礎控除を計算する際は、相続放棄した人も法定相続人の数に含めて計算します

これは相続税法の特別なルールで、相続放棄により基礎控除が減らないようになっています。

たとえば、相続人が配偶者と子3人で、子1人が相続放棄した場合、実際に相続するのは3人ですが、基礎控除の計算では4人として数えます。

養子の取り扱い

養子の数には、相続税法上の制限があります。

実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで、を法定相続人の数として基礎控除の計算に含められます。

これは節税目的の養子縁組を制限する規定です。ただし、特別養子、配偶者の連れ子養子、代襲相続人としての養子は、制限の対象外です。

代襲相続人の取り扱い

代襲相続人は、被代襲者(本来の相続人)1人分として数えます。

たとえば、子1人が既に死亡し、その子(孫)が2人いる場合、代襲相続人は2人ですが、法定相続人の数としては1人(被代襲者の子1人分)と数える場合もあります。

ただし、代襲相続人各人が独立した法定相続人として扱われるのが原則です。具体的には、税理士の判断が必要なケースもあります。

具体的な数え方の例

具体的なケースで法定相続人の数を見ていきましょう。

ケース 法定相続人の数
A:配偶者と子3人 4人
B:配偶者と子2人(1人は相続放棄) 4人(放棄者も含む)
C:配偶者と子1人と養子2人(実子あり) 4人(養子1人まで)
D:配偶者と子なしで両親 3人
E:配偶者と兄弟姉妹3人 4人
F:配偶者と子1人(子は既に死亡)と孫2人(代襲相続) 4人

相続税の基礎控除と法定相続人の数

法定相続人の数は、相続税の基礎控除に直結します。

基礎控除の計算式

相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数、で計算します。

たとえば、法定相続人が3人なら基礎控除は4,800万円、4人なら5,400万円、5人なら6,000万円となります。

法定相続人の数別の基礎控除

法定相続人の数別の基礎控除額は次のとおりです。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円
6人 6,600万円

法定相続人が多いほど基礎控除も大きくなり、相続税が軽減されます。

基礎控除以下なら非課税

基礎控除以下の財産なら、相続税は発生しません。

たとえば、法定相続人が4人で、財産5,000万円なら、基礎控除5,400万円以下のため相続税は0円です。

養子による基礎控除拡大の制限

養子による基礎控除拡大には、相続税法上の制限があります。

実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで、です。これにより、養子縁組による極端な節税は防止されています。

小規模宅地等の特例との関係

法定相続人の数は、小規模宅地等の特例の適用要件にも影響します。

特例の対象者(配偶者・同居親族・別居の家なき子等)の選択肢が広がります。複雑な特例なので、税理士への相談が必要です。

配偶者の税額軽減

配偶者は、配偶者の税額軽減により1.6億円または法定相続分相当額まで非課税です。

法定相続人の構成によって、配偶者の法定相続分が変わり、税額軽減の上限も変わります。

特殊なケースの法定相続人

法定相続人の判断には、特殊なケースがいくつかあります。

養子(普通養子)

普通養子は、養親の法定相続人となります。

実親との親子関係も継続するため、養子は養親と実親の両方の法定相続人となります。

特別養子

特別養子は、実親との親族関係が終了し、養親のみの法定相続人となります。

特別養子縁組は、6歳未満の子を養子にする際に、家庭裁判所の審判で成立する制度です。

連れ子

連れ子(配偶者の前婚の子)は、被相続人と養子縁組していない限り、法定相続人になりません。

連れ子に相続させたい場合、養子縁組または遺言による遺贈が必要です。

認知された婚外子

認知された婚外子は、嫡出子と同等の法定相続人となります。

2013年の最高裁判決により、婚外子の相続分は嫡出子と同等になりました。父親が認知することで、法律上の親子関係が成立し、相続権が発生します。

認知されていない子

生物学的な親子関係があっても、認知されていない子は法定相続人になりません。

法律上の親子関係が成立していないためです。死後認知の制度(被相続人の死亡後3年以内)もあります。

胎児

胎児は、相続については既に生まれたものとみなされ、法定相続人となります(民法886条)。

ただし、死産だった場合は相続権を失います。出生後に法定相続人として扱われます。

内縁の妻・夫

内縁の妻・夫は、法律上の婚姻関係がないため、法定相続人にはなれません。

財産を渡したい場合は、遺言による遺贈、生命保険金の受取人指定、特別縁故者制度の活用、などが必要です。

事実婚パートナー

事実婚パートナーも、内縁の妻・夫と同様に法定相続人になれません。

同性パートナーも、現行法では法定相続人として認められません(2024年現在)。

離婚した元配偶者

離婚した元配偶者は、法定相続人になりません。

ただし、元配偶者との間の子は、第1順位の法定相続人となります。

死別した配偶者の親

死別した配偶者の親(義理の両親)は、法定相続人になりません。

被相続人と義理の親子関係でも、法律上の親子関係ではないためです。

代襲相続人の詳細

代襲相続人について、もう少し詳しく見ていきましょう。

代襲相続が発生する3つの場合

代襲相続が発生するのは、本来の相続人が、相続開始前に死亡、相続欠格、相続廃除、のいずれかの場合です。

相続放棄は代襲事由に含まれないことに注意してください。

第1順位の代襲(子→孫→ひ孫→玄孫…)

第1順位の代襲は、無制限に下の世代まで続きます。

子が亡くなっていれば孫、孫も亡くなっていればひ孫、と再代襲が認められます。

第3順位の代襲(兄弟姉妹→甥姪)

第3順位の代襲は、1代まで(甥姪まで)に限定されます(民法889条2項)。

甥姪も亡くなっている場合、その子(姪孫)への再代襲は認められません。

代襲相続人の相続割合

代襲相続人の相続割合は、被代襲者(本来の相続人)の相続分を引き継ぎます。

複数の代襲相続人がいれば、被代襲者の相続分を均等分割します。

代襲相続人も法定相続人

代襲相続人は、独立した法定相続人として扱われます。

相続放棄の判断、遺産分割協議への参加、相続税の申告など、本来の相続人と同様の権利・義務を持ちます。

法定相続人ではない親族

親族でも法定相続人にならない人を整理しておきましょう。

法定相続人にならない親族

法定相続人にならない親族は次のとおりです。

被相続人の叔父・叔母、いとこ、甥姪の子(姪孫)、義理の兄弟姉妹、義理の親、義理の子(配偶者の連れ子)、です。

これらの親族は、被相続人と血縁関係や姻族関係があっても、法定相続人ではありません。

法定相続人にならない理由

法定相続人の範囲が限定されている理由は、相続関係を明確にし、相続手続きの効率化と紛争予防のためです。

範囲を広げすぎると、相続人の確定が困難になり、相続手続きが複雑化してしまいます。

これらの親族に財産を渡す方法

法定相続人ではない親族に財産を渡したい場合、次の方法があります。

遺言による遺贈、生命保険金の受取人指定、生前贈与、死因贈与契約、養子縁組(姻族養子)、家族信託、などです。

特に遺言は、最も確実な方法です。公正証書遺言で意思を明確に残しましょう。

特別縁故者の制度

法定相続人不存在の場合、特別縁故者の制度を活用できます。

特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故があった人で、家庭裁判所の審判で財産分与を受けられます。内縁の妻、長年介護した人、生計を共にしていた人などが対象です。

法定相続人の確定方法

実際の相続で、法定相続人を確定する方法を見ていきましょう。

ステップ1 被相続人の戸籍取得

被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得します。

被相続人の婚姻歴、子の有無(認知された婚外子を含む)、養子縁組の有無、などを確認できます。

ステップ2 相続人の現在の戸籍取得

相続人全員の現在の戸籍を取得します。

相続人の確定と、現在の住所地の確認に使います。

ステップ3 戸籍の連続性確認

戸籍が連続していることを確認します。

途中で漏れがあると、隠れた相続人を見落とすリスクがあります。

ステップ4 2024年広域交付制度の活用

2024年3月から始まった戸籍広域交付制度を活用すれば、直系尊属・直系卑属の戸籍を最寄りの市区町村役場で一括取得できます。

ただし、傍系の兄弟姉妹の戸籍は対象外のため、別途取得が必要です。

ステップ5 専門家への依頼

戸籍調査が複雑な場合、弁護士・司法書士への依頼が効率的です。

特に第3順位の兄弟姉妹相続では、戸籍調査が複雑になります。

ステップ6 法定相続情報証明制度の活用

2017年から始まった法定相続情報証明制度を活用すれば、法務局で「法定相続情報一覧図」を発行してもらえます。

この一覧図は、戸籍の代わりに各種手続き(預貯金の名義変更・相続登記など)で使えるため、便利です。

法定相続人と相続手続き

法定相続人の確定は、相続手続き全体の出発点です。

遺産分割協議

法定相続人全員での遺産分割協議が必要です。

1人でも欠けると、遺産分割協議が無効になります。隠れた相続人の見落としに注意が必要です。

相続放棄

借金がある場合などは、相続放棄を検討します。

3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続税の申告

財産が基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要です。

法定相続人の数で基礎控除が決まるため、正確な法定相続人の確定が重要です。

相続登記

不動産がある場合、相続登記が必要です。

2024年4月から義務化され、3年以内の登記が必要となりました。

各種名義変更

預貯金、自動車、株式、保険など、各種の名義変更が必要です。

法定相続情報一覧図があれば、手続きが効率化されます。

法定相続人をめぐる典型的なトラブル

法定相続人をめぐっては、いくつかの典型的なトラブルがあります。

トラブル1 隠れた相続人の発覚

被相続人の死亡後、戸籍を辿る中で隠れた相続人が判明するケースです。

認知された婚外子、異母兄弟、過去の婚姻による子などが該当します。遺産分割協議後に判明すると、協議のやり直しが必要となります。

予防策として、戸籍調査の徹底、専門家による相続人の確定、を進めます。

トラブル2 養子縁組の有効性争い

死亡直前の養子縁組や、節税目的の養子縁組をめぐって争いが生じるケースです。

予防策として、生前の家族会議、養子縁組の目的の明確化、専門家との相談、が有効です。

トラブル3 認知請求の発生

被相続人の死亡後、認知請求(死後認知)が行われるケースもあります。

被相続人の死亡から3年以内なら、検察官を相手方として認知請求の訴えを提起できます。死後認知が認められれば、その子は法定相続人となります。

トラブル4 代襲相続人の見落とし

被相続人の兄弟姉妹が既に亡くなっている場合、その子(甥姪)が代襲相続人となります。

代襲相続人を見落とすと、遺産分割協議が無効になります。家系図の確認が重要です。

トラブル5 連絡の取れない相続人

法定相続人の中に、連絡の取れない人や行方不明者がいるケースです。

予防策として、戸籍附票による住所確認、不在者財産管理人の選任、失踪宣告の活用、などがあります。

法定相続人と相続税対策

法定相続人の人数は、相続税対策に直結する重要な要素です。

法定相続人を増やす効果

法定相続人を1人増やすことの相続税効果は、基礎控除600万円増加、生命保険金の非課税枠500万円増加、死亡退職金の非課税枠500万円増加、合計1,600万円の非課税枠拡大、です。

さらに、相続税率の段階的緩和効果もあり、財産規模によっては1人増やすだけで数百万円〜数千万円の節税効果があります。

養子縁組による節税

養子縁組により法定相続人を増やすことで、相続税を節税できます。

ただし、相続税法上は、実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで、しか基礎控除の計算に算入できません。

それでも、養子1人増やすだけで1,600万円の非課税枠拡大が期待できます。

養子縁組の注意点

養子縁組の節税には注意点があります。

実子との関係悪化のリスク、相続税以外の問題(扶養義務など)、税務署の調査リスク、節税目的のみの養子縁組は否認の可能性、などです。

養子縁組は法的・税務的に慎重な判断が必要なので、専門家との相談が不可欠です。

孫養子の活用

孫を養子にする「孫養子」は、相続税対策として活用されることがあります。

ただし、孫養子は相続税の2割加算の対象となるため、節税効果は限定的です。

配偶者の税額軽減との関係

法定相続人の数は、配偶者の税額軽減にも影響します。

配偶者の法定相続分が変わるため、税額軽減の上限額(法定相続分相当額)も変わります。配偶者と子1人より、配偶者と子3人のほうが、配偶者の法定相続分は小さくなります。

小規模宅地等の特例との組み合わせ

法定相続人の構成によって、小規模宅地等の特例の適用可能性も変わります。

配偶者が取得する場合、同居親族が取得する場合、別居の家なき子が取得する場合、など、取得者により要件が異なります。

法定相続人ではない人への財産承継

法定相続人ではない人に財産を渡す方法を整理しておきましょう。

方法1 遺言による遺贈

最も確実な方法が、遺言による遺贈です。

公正証書遺言で、法定相続人以外の人(内縁の妻・連れ子・友人・公益団体など)に財産を渡す意思を明確に残せます。

ただし、法定相続人(配偶者・子・親)の遺留分には注意が必要です。

方法2 生命保険金の受取人指定

生命保険金の受取人に指定する方法も有効です。

生命保険金は受取人固有の財産で、相続財産ではないため、遺言にかかわらず確実に受け取れます。受取人は、法定相続人以外の人(内縁の妻・連れ子など)も指定できます。

方法3 生前贈与

生前に贈与する方法も検討できます。

年間110万円までは贈与税非課税で、毎年継続的に贈与すれば、長期間にわたって財産移転できます。

方法4 死因贈与契約

死因贈与契約は、被相続人の死亡を停止条件とする贈与契約です。

書面で契約を結ぶことで、生前から意思を明確化できます。

方法5 養子縁組

法定相続人にしたい人を、養子にする方法もあります。

養子縁組により、法律上の親子関係が成立し、相続権が発生します。

方法6 家族信託

家族信託を活用すれば、長期的・複層的な財産承継が可能です。

受益者として法定相続人以外の人を指定できます。複雑な意思を反映できる柔軟性が魅力です。

方法7 特別縁故者制度の活用

法定相続人不存在の場合、特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を申し立てる方法があります。

被相続人と特別の縁故があった人(内縁の妻、長年の介護者など)が対象です。

法定相続人に関するよくある質問

法定相続人について、よくある質問にお答えします。

Q1 法定相続人と相続人の違いは?

ほぼ同じですが、厳密には法定相続人は民法で定められた相続権を持つ人、相続人は実際に相続する人(放棄した人は含まない)、と使い分けることもあります。

Q2 法定相続人は何人まで増やせる?

民法上の制限はありませんが、相続税基礎控除上は養子1人(実子あり)または2人(実子なし)までしか算入できません。

Q3 内縁関係でも法定相続人になれる方法はある?

内縁の妻・夫は法定相続人になれません。財産を渡すには、遺言、生命保険金、生前贈与、養子縁組、などの方法があります。

Q4 法定相続人になりたくない場合は?

相続放棄で法定相続人ではなくなります。3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に申述します。

Q5 法定相続人が誰かわからない場合は?

戸籍調査で確定します。被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得して確認します。専門家への依頼が効率的です。

Q6 法定相続人の数で相続税が変わる?

はい、大きく変わります。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算されるため、人数が多いほど基礎控除が大きくなります。

Q7 養子縁組すれば確実に節税できる?

効果はありますが、税務署の調査・否認リスクもあります。節税目的のみの養子縁組は否認される可能性があるため、専門家との相談が不可欠です。

Q8 海外に住んでいる相続人も法定相続人?

はい、居住地に関係なく、法律上の関係(配偶者・子など)があれば法定相続人です。国際相続として、現地法との調整が必要です。

Q9 行方不明の相続人がいる場合は?

不在者財産管理人の選任、失踪宣告、戸籍附票による住所確認、などの対応が必要です。

Q10 法定相続人全員の同意なしに遺産分割できる?

できません。法定相続人全員の同意がなければ、遺産分割協議は無効です。

法定相続人の確定における専門家の活用

法定相続人の確定は、専門家のサポートが有効です。

弁護士の役割

弁護士は、複雑な家族関係の法定相続人確定、相続人間のトラブル対応、遺言書の有効性確認、遺留分への対応など、法律問題全般を担当します。

特に、隠れた相続人の発見、認知請求、不在者財産管理人の選任など、複雑な事案では弁護士のサポートが不可欠です。

税理士の役割

税理士は、法定相続人の数を踏まえた相続税対策、相続税申告、養子縁組による節税の判断、などを担当します。

法定相続人の数で基礎控除や非課税枠が変わるため、税理士の関与は早期から有効です。

司法書士の役割

司法書士は、戸籍取得の代行、法定相続情報一覧図の作成、相続登記の代理、などを担当します。

2024年4月から相続登記が義務化されたため、司法書士のサポートが特に有効です。

ワンストップ事務所の活用

弁護士・税理士・司法書士が連携するワンストップ事務所は、法定相続人の確定から相続税対策・登記まで一括対応できます。

複雑な事案では、ワンストップ事務所の活用が最も効率的です。

専門家への費用相場

専門家への費用相場は、弁護士で30万円〜100万円(事案による)、税理士で財産の0.5%〜1%(最低30万円)、司法書士で5万円〜15万円、です。

事案の複雑さに応じて、必要な専門家を組み合わせましょう。

法定相続人をめぐる2024年の動向

法定相続人をめぐる2024年の動向を整理しておきましょう。

2024年戸籍広域交付制度

2024年3月から戸籍の広域交付制度が始まり、相続調査の効率化が進んでいます。

直系尊属・直系卑属の戸籍が最寄りの市区町村役場で取得可能となり、法定相続人の確定が容易になりました。

2024年4月相続登記義務化

2024年4月から相続登記が義務化されました。

法定相続人の確定後、3年以内の登記が必要です。過去の相続も2027年3月31日までの対応が必要となります。

2024年税制改正の影響

2024年税制改正で、暦年贈与の生前贈与加算期間が7年に延長されました。

法定相続人への生前贈与の戦略にも影響があります。

独居高齢者の増加

独居高齢者の増加に伴い、兄弟姉妹相続のケースが増えています。

第3順位の法定相続人(兄弟姉妹・代襲する甥姪)の確定が重要となるケースが増えています。

国際相続の増加

国際結婚・海外居住者の増加により、国際相続のケースも増えています。

海外居住の法定相続人がいる場合、所在確認・連絡・現地法との調整が必要です。

法定相続人を確認するためのアクション

最後に、法定相続人を確認するための具体的なアクションを整理しておきましょう。

アクション1 家系図の作成

被相続人の家系図を作成しましょう。

配偶者、子(実子・養子・婚外子)、両親、兄弟姉妹を漏れなく書き出します。

アクション2 戸籍の取得

被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得します。

2024年広域交付制度を活用すれば、直系の戸籍は最寄りの市区町村役場で取得できます。

アクション3 隠れた相続人の確認

戸籍を辿る中で、隠れた相続人(認知された婚外子、過去の婚姻による子など)がいないか確認します。

アクション4 代襲相続人の確認

本来の相続人が亡くなっている場合、代襲相続人がいないか確認します。

家系図で、相続人の子・孫まで確認しましょう。

アクション5 法定相続情報一覧図の作成

法務局で法定相続情報一覧図を発行してもらうと、各種手続きが効率化されます。

アクション6 専門家への相談

複雑な家族構成や不明点がある場合、専門家(弁護士・司法書士)に相談しましょう。

無料相談を活用すれば、初期費用なしで適切なアドバイスを得られます。

法定相続人を踏まえた相続対策のケーススタディ

具体的なケーススタディで、法定相続人を踏まえた対策を見ていきましょう。

ケース1 子のいない夫婦の対策

【ケース】

被相続人A(60歳)、配偶者B(58歳)、子なし、両親死亡、兄弟は弟C・妹Dの2人、財産1億円

法定相続人は、配偶者Bと兄弟C・D。法定相続分は、B=3/4(7,500万円)、C・D=各1/8(1,250万円ずつ)。

対策として、公正証書遺言でBに全財産を渡す意思を明確化。兄弟姉妹には遺留分がないため、Bが全額取得できます。生命保険金も活用し、相続税対策と並行して進めます。

ケース2 独身者の対策

【ケース】

被相続人E(55歳)、独身、子なし、両親死亡、兄弟は妹Fのみ、財産3,000万円

法定相続人は、妹Fのみ。法定相続分は、F=1(全額3,000万円)。

ただし、Eは長年お世話になった親友Gに財産を渡したい意向。公正証書遺言でGへの遺贈を明確化。妹Fには兄弟姉妹のため遺留分がなく、Eの意思が完全に実現できます。

ケース3 再婚家族の対策

【ケース】

被相続人H(60歳)、後妻I(58歳)、前妻の子J・K、Iの連れ子L、財産1.5億円

法定相続人は、後妻Iと前妻の子J・K。連れ子LはHと養子縁組していなければ法定相続人ではありません。

対策として、Lと養子縁組すれば法定相続人になります。または、遺言・生命保険金でLに財産を渡す方法もあります。

Iに配偶者居住権を設定し、住居の安定を図ることも検討できます。

ケース4 養子縁組による節税

【ケース】

被相続人M(70歳)、配偶者N、子O、孫P・Q(Oの子)、財産2億円

法定相続人は、配偶者Nと子O。基礎控除4,200万円。

対策として、孫Pを養子縁組(孫養子)に。法定相続人が3人になり、基礎控除が4,800万円に増加。生命保険金の非課税枠も500万円増加。

ただし、孫養子は相続税2割加算の対象のため、実質的な節税効果は限定的です。専門家との慎重な相談が必要です。

ケース5 内縁の妻への財産承継

【ケース】

被相続人R(70歳)、内縁の妻S(65歳、20年以上同居)、被相続人の子T・U(前妻との子)、財産1.2億円

法定相続人は、子T・Uのみ。内縁の妻Sは法定相続人ではありません。

対策として、Sへの遺贈を遺言で明確化、Sを生命保険金の受取人に指定、生前贈与の活用、などを実施。

ただし、子T・Uの遺留分(各1/4)を侵害しないよう配慮する必要があります。

ケース6 兄弟姉妹相続での意思反映

【ケース】

被相続人V(55歳)、独身、子なし、両親死亡、兄弟は兄W・姉X・異母弟Yの3人、財産6,000万円

法定相続人は、兄W・姉X・異母弟Y。法定相続分は、全血のW・Xが2:2、半血のYが1。つまり、W=2/5(2,400万円)、X=2/5(2,400万円)、Y=1/5(1,200万円)。

ただし、Vは長年お世話になった親友Zに財産を渡したい意向。公正証書遺言でZへの遺贈を明確化。兄弟姉妹には遺留分がないため、Vの意思が完全に実現できます。

ケース7 隠れた相続人の発覚

【ケース】

被相続人AA(80歳)、配偶者BB、嫡出子CC・DD、財産2億円で遺産分割協議中、後に被相続人が認知していた婚外子EEが発覚

このケースでは、EEも法定相続人となり、遺産分割協議のやり直しが必要です。

EEの相続分は、配偶者BB=1/2(1億円)、嫡出子CC・婚外子EE=各1/6(約3,333万円)。CC・DD・EEは同等の相続分となります(2013年最高裁判決)。

予防策として、被相続人の生前からの戸籍確認が重要です。

ケーススタディから学ぶ点

複数のケースから、法定相続人の正確な確定が出発点、内縁の妻・連れ子など法定相続人以外への財産承継には遺言・生命保険等の活用、兄弟姉妹相続では遺言で意思を明確化、養子縁組による節税は税務リスクを伴う、隠れた相続人の発覚は重大なトラブル、ことが確認できます。

ワンポイントアドバイス
法定相続人は、民法で定められた相続権を持つ人で、配偶者は常に法定相続人、それに加えて第1順位の子・第2順位の親・第3順位の兄弟姉妹が優先順位で決まります。法定相続人の数は、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×人数)に直結する重要な要素です。養子縁組による節税は可能ですが、相続税法上の制限と税務リスクがあります。内縁の妻・連れ子など法定相続人以外への財産承継には、遺言・生命保険金・生前贈与・養子縁組などを活用しましょう。複雑な家族構成や隠れた相続人の可能性がある場合は、戸籍調査の徹底と専門家への相談が、円滑な相続手続きの鍵となります。

まとめ

法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続する権利を持つ人のことです。配偶者は常に法定相続人、それに加えて第1順位の子・第2順位の親・第3順位の兄弟姉妹の優先順位で決まります。

法定相続人の相続割合(法定相続分)は、配偶者と子なら配偶者1/2・子で1/2、配偶者と親なら配偶者2/3・親で1/3、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者3/4・兄弟姉妹で1/4、配偶者がいない場合は同順位で均等分割、です。

法定相続人の数は、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)に直結します。1人増えるごとに基礎控除が600万円増加し、生命保険金・死亡退職金の非課税枠も合計1,000万円増加するため、節税効果が大きいです。

特殊なケースとして、養子(実子と同等)、認知された婚外子(嫡出子と同等)、胎児(既に生まれたものとみなす)、相続放棄・相続欠格・相続廃除(相続権を失う)、内縁の妻・連れ子(法定相続人ではない)、などのルールも理解しておく必要があります。

読者の方が「自分のケースで法定相続人を正確に確定したい」と考えているなら、まずは戸籍調査と専門家への相談を強くおすすめします。複雑な家族構成では、隠れた相続人や代襲相続人の見落としがトラブルの原因となります。早期の法定相続人確定と適切な対応が、確実な相続手続きと家族関係の維持の両立につながる最善策となります。

あなたの相続税はいくら?無料診断

5,000万円
2人

基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

遺産相続は弁護士に相談を
法律のプロがスムーズで正しい相続手続きをサポート
  • 相続人のひとりが弁護士を連れてきた
  • 遺産分割協議で話がまとまらない
  • 遺産相続の話で親族と顔を合わせたくない
  • 遺言書に自分の名前がない、相続分に不満がある
  • 相続について、どうしていいのか分からない
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
相続に強い弁護士を探す