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交通事故で後遺症が残り、「後遺障害13級」と認定された。あるいは、これから申請するにあたって、13級がどんな等級で、慰謝料はいくらになるのかを知っておきたい——。この記事は、そんな方のために書いています。
後遺障害13級は、14ある等級のなかでは下から2番目。比較的軽いほうに位置づけられます。それでも、慰謝料の目安は弁護士基準で約180万円。逸失利益が加われば、賠償全体ではまとまった金額になります。「軽い等級だから少額」と決めつけてしまうと、損をしかねません。
この記事では、13級とはどんな等級なのか、認定される症状、慰謝料や逸失利益の相場と計算方法、そして前後の12級・14級との違いまで、弁護士の視点でくわしく解説します。あわせて、よく誤解される「むちうちと13級の関係」についても触れていきます。示談や申請を控えている方は、ぜひ参考にしてください。
後遺障害13級とは?特定部位の比較的軽い障害
後遺障害13級は、視力の低下、手指や足指の障害、歯の補綴(ほてつ)、脚の短縮など、体の特定の部位に残った、比較的軽い障害が中心の等級です。後遺障害等級表のなかで、これらが13級に位置づけられています。
12級や14級が「神経症状(痛みやしびれ)」の受け皿としても知られているのに対し、13級は、どちらかというと部位ごとの具体的な障害がそろっているのが特徴です。ここを押さえると、13級のイメージがつかみやすくなります。
むちうちは通常13級にはならない
ここで、よくある誤解を解いておきましょう。むちうち(頚椎捻挫)で後遺障害が認められる場合、その等級は基本的に14級か12級です。13級には、原則として当てはまりません。
なぜなら、むちうちのような神経症状を評価する号は、14級9号(局部に神経症状を残すもの)と、12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)に定められているからです。13級には、これに相当する一般的な神経症状の号がありません。だから「むちうちで13級」というのは、通常は出てこないのです。もしむちうちで等級を検討しているなら、14級や12級の記事のほうが参考になります。
13級は器質的な障害が中心
13級の障害は、視力低下や脚の短縮のように、検査で客観的に確認できる器質的な(体の構造に裏づけのある)障害が多くを占めます。痛みやしびれといった、目に見えにくい症状とは性質が異なります。
この違いは、逸失利益の計算にも関わってきます。器質的な障害は将来も続くことが明らかなため、後述するように、逸失利益を長い期間で計算しやすいのです。
後遺障害13級に認定される主な症状
13級には、体のさまざまな部位の障害が含まれます。後遺障害等級表で13級に位置づけられる、代表的なものを挙げてみましょう。
| 号数 | 主な内容(代表例) |
|---|---|
| 13級1号 | 一眼の視力が0.6以下になったもの |
| 13級2号 | 正面以外を見たときに複視(物が二重に見える)を残すもの |
| 13級5号 | 5歯以上に歯科補綴(差し歯・ブリッジなど)を加えたもの |
| 13級6号 | 一手のこ指(小指)の用を廃したもの |
| 13級8号 | 一下肢(片脚)を1cm以上短縮したもの |
| 13級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
このように、目・歯・手指・脚など、部位ごとの具体的な障害が並びます。いずれも、検査によって客観的に確認できるものが中心です。
後遺障害13級の慰謝料・逸失利益はいくら?
気になる金額を見ていきましょう。13級で受け取れるお金も、大きく「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」に分かれます。それぞれ確認します。
後遺障害慰謝料の金額
後遺障害慰謝料には3つの基準があり、どれで計算するかで金額が大きく変わります。13級の目安は、次のとおりです。
| 基準 | 13級の後遺障害慰謝料(目安) |
|---|---|
| 自賠責基準 | 57万円 |
| 弁護士(裁判)基準 | 約180万円 |
自賠責基準と弁護士基準では、3倍以上の差があります。保険会社が最初に提示するのは、自賠責基準に近い低めの金額であることが少なくありません。同じ13級でも、誰が交渉するかで受取額が変わるのです。等級ごとの慰謝料相場をまとめて確認したい方は、次の記事もご覧ください。
逸失利益の金額(労働能力喪失率9%)
逸失利益は、後遺障害によって失われた将来の収入を補うお金です。13級の労働能力喪失率は9%とされ、次の式で計算します。
逸失利益 = 基礎収入 × 9% × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
たとえば、年収450万円の方が13級で症状固定から27年(係数約18.33)とすると、450万円 × 9% × 18.33 = 約742万円。13級は器質的な障害が多いため、このように長い期間で計算できることが少なくありません。
入通院慰謝料も別に加算される
忘れてはいけないのが、入通院慰謝料(傷害慰謝料)です。これは、事故から症状固定までの入院・通院に対する慰謝料で、後遺障害慰謝料や逸失利益とは別に請求できます。
つまり13級でも、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益という3本立ての賠償が基本です。ご自身のケースで合計いくらになるか、目安を知りたい方は、こちらのツールも使ってみてください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
【計算例】後遺障害13級の賠償金はいくらになる?
13級の賠償金を、具体的に計算してみましょう。13級は器質的な障害が多く、逸失利益を長い期間で計算できることが少なくありません。そのため、若い方ほど総額が大きくなりやすい傾向があります。いずれも弁護士基準での目安です。
計算例①視力が低下したケース(40歳・年収450万円)
事故で片眼の視力が0.6以下になり、13級1号が認定された40歳の方を想定します。視力低下は将来も続くため、逸失利益は67歳まで(27年・係数約18.33)で計算します。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 約180万円 |
| 逸失利益(450万×9%×18.33) | 約742万円 |
| 合計(入通院慰謝料を除く) | 約922万円 |
ここに入通院慰謝料も加わります。13級でも、合計すると1,000万円近くになりうることが分かります。
計算例②手指に障害が残ったケース(35歳・年収500万円)
次に、片手の小指の用を廃し(13級6号)、35歳で症状固定を迎えた方を想定します。こちらも器質的な障害なので、67歳まで(32年・係数約20.39)で計算します。
| 項目 | 金額(目安) |
|---|---|
| 後遺障害慰謝料 | 約180万円 |
| 逸失利益(500万×9%×20.39) | 約917万円 |
| 合計(入通院慰謝料を除く) | 約1,097万円 |
慰謝料は同じ約180万円でも、若く、基礎収入が高いほど、逸失利益が大きくなります。13級だから少額、とは限らないのです。
13級と12級・14級は何が違う?
13級の上には12級、下には14級があります。それぞれとの違いを整理しておきましょう。慰謝料や喪失率の差を知っておくと、提示額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
14級との違い:一段重い後遺障害
14級は、13級よりさらに軽い等級です。慰謝料は弁護士基準で約110万円、労働能力喪失率は5%が目安。13級(180万円・9%)とは、金額にも差があります。なお、むちうちで認められる多くのケースは、この14級にあたります。14級については、次の記事でくわしく解説しています。
12級との違い:「証明」できる重い症状
13級の一段上が12級です。12級は、画像所見などで症状を他覚的に「証明」できる、より重い後遺障害が対象になります。慰謝料は弁護士基準で約290万円、喪失率は14%が目安です。13級(180万円・9%)と比べると、金額がさらに上がります。12級のくわしい内容は、次の記事で確認できます。
後遺障害13級に認定されるためのポイント
13級は、器質的な障害を客観的に示せるかがカギになります。認定を目指すうえで意識したいことを、いくつか紹介します。
症状に合った検査を受ける
視力低下なら視力検査、脚の短縮なら下肢長の測定、というように、症状に応じた検査をきちんと受け、結果を残しておくことが大切です。これらの客観的なデータが、後遺障害の存在を裏づけます。検査が不足していると、本来13級相当でも、認定されにくくなることがあります。
後遺障害診断書を充実させる
申請の中心となるのが、医師が作成する後遺障害診断書です。残った症状や検査結果が、もれなく正確に記載されているかを確認しましょう。被害者自身が関与できる数少ない資料なので、内容が薄いと感じたら、医師に相談して補ってもらうことが重要です。
事故との因果関係を示す
その障害が、今回の事故によって生じたものであることを示す必要があります。事故直後からの診療経過が、つながって記録されていることが大切です。後遺障害の基本については、次の記事もあわせてご覧ください。
後遺障害13級の認定までの流れ
13級の認定は、次のような流れで進みます。全体像をつかんでおきましょう。
- 事故後、症状が改善しなくなった段階で「症状固定」と診断される。
- 医師に後遺障害診断書を作成してもらう。
- 症状に応じた検査結果など、必要な資料をそろえる。
- 事前認定または被害者請求で、後遺障害の申請をする。
- 損害保険料率算出機構の審査を経て、等級が認定される。
スタート地点となるのが「症状固定」です。このタイミングが早すぎると、適切な認定を受けにくくなることがあります。症状固定については、次の記事でくわしく解説しています。
13級で非該当・等級に納得できないときは
申請の結果、13級に届かず非該当になった。あるいは、本当はもっと重いはずなのに、と納得できない。そんなときも、あきらめる必要はありません。
一度出た結果には、「異議申し立て」をして再審査を求めることができます。ポイントは、最初の申請で足りなかった資料を補うことです。新たな検査を受ける、医師に詳しい意見書を書いてもらう、といった補強が考えられます。同じ資料のまま申し立てても結果は変わりにくいので、何を足すかが重要になります。
異議申し立てのくわしい手順や、結果を覆すための考え方は、次の記事で解説しています。
複数の後遺障害が残ったときの「併合」に注意
13級は部位ごとの障害が中心のため、複数の後遺障害が同時に残ることもあります。そんなときに関わってくるのが「併合(へいごう)」という仕組みです。知っておくと、損を防げます。
併合とは、複数の後遺障害がある場合に、等級を繰り上げて評価するルールです。たとえば、13級に当たる後遺障害が2つ以上ある場合、原則として1つ上の12級として扱われます。等級が上がれば、慰謝料も喪失率も上がるため、賠償額は大きく変わります。
もともと障害があった部位は「加重」で考える
事故の前から、その部位に障害があった場合は、「加重(かじゅう)」という考え方で計算します。事故によって重くなった分を評価する、というイメージです。すでにあった障害の分は差し引かれるため、計算が複雑になりがちです。こうしたケースこそ、専門家のサポートが役立ちます。
後遺障害13級でも弁護士に相談するメリット
13級は「軽い等級」と思われがちですが、だからこそ、保険会社の提示をそのまま受け入れてしまう人が少なくありません。しかし、自賠責基準の57万円と弁護士基準の約180万円では、慰謝料だけで100万円以上の差が出ます。
弁護士に依頼すれば、後遺障害慰謝料を弁護士基準で請求できるだけでなく、逸失利益の喪失期間や基礎収入についても、根拠をもって主張してもらえます。13級は器質的な障害が多く、逸失利益を長い期間で計算できるケースも多いため、ここをきちんと主張できるかどうかで、総額が大きく変わります。
実際に、慰謝料と逸失利益を合わせるとどのくらいになりそうか、シミュレーションしてみたい方は、こちらの計算ツールをご活用ください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
後遺障害13級が認定されたら確認したい3つのこと
13級の認定を受けたら、示談に進む前に、次の3点を確認してみてください。ここを押さえるだけで、受け取る金額が変わることがあります。
- 後遺障害慰謝料が「弁護士基準」で計算されているか(自賠責基準のままだと低い)
- 逸失利益の労働能力喪失期間が、適切な年数(器質的な障害なら原則67歳まで)になっているか
- 複数の後遺障害がある場合、「併合」で正しく評価されているか
保険会社の提示は、これらが被害者に不利な前提になっていることが少なくありません。一つずつ確認し、おかしいと感じたら、そのままサインせずに専門家へ相談しましょう。
後遺障害13級の示談で後悔しないために
13級は金額が小さく見えるぶん、提示をそのまま受け入れてしまいがちです。後悔しないために、意識しておきたいことをお伝えします。
示談を急がない
保険会社から示談を急かされても、内容を理解しないままサインするのは避けましょう。一度示談が成立すると、あとから足りないと気づいても、原則としてやり直せません。提示を受けたら、まずは内訳をじっくり確認する時間を取ってください。
逸失利益の前提を確認する
13級では、逸失利益をどれだけ長い期間で計算するかが、総額を大きく左右します。器質的な障害なのに喪失期間が短く区切られていないか、基礎収入が低く見積もられていないかを、必ず確認しましょう。疑問があれば、サインの前に弁護士へ相談するのが安心です。
後遺障害13級に関するよくある質問
むちうちで13級になることはありますか?
基本的にはありません。むちうちの神経症状は、14級9号か12級13号で評価されるためです。13級には、一般的な神経症状に対応する号がありません。むちうちで等級を検討しているなら、14級や12級が参考になります。
13級の慰謝料はいくらですか?
後遺障害慰謝料の目安は、自賠責基準で57万円、弁護士基準で約180万円です。これに加えて、逸失利益や入通院慰謝料も別に請求できます。どの基準で計算するかで、総額は大きく変わります。
13級の逸失利益はどのくらいの期間で計算しますか?
13級は器質的な障害が多いため、原則として症状固定から67歳までで計算しやすい傾向があります。むちうちのような神経症状で問題になる、喪失期間の制限の議論は、基本的に当てはまりにくいといえます。
13級が認定されると、自賠責保険からはいくら受け取れますか?
被害者請求をした場合、後遺障害13級では自賠責保険から、後遺障害分として139万円(限度額)が支払われます。これは賠償金の一部であり、これとは別に、相手方の任意保険会社へ、弁護士基準との差額などを請求していくことになります。
13級と14級はどう違いますか?
14級のほうが軽い等級です。慰謝料は14級が約110万円(喪失率5%)、13級が約180万円(喪失率9%)が目安で、13級のほうが高くなります。また、14級は神経症状が中心ですが、13級は視力や手指などの具体的な障害が中心、という違いもあります。
歯の治療で13級になりました。逸失利益はもらえますか?
歯の障害(13級5号)は、労働能力への影響があるかどうかが争われやすく、逸失利益が制限されたり、認められなかったりすることがあります。一方で、後遺障害慰謝料は請求できます。逸失利益をどう主張するかが難しいので、弁護士に相談することをおすすめします。
後遺障害13級でも弁護士に依頼する意味はありますか?
あります。自賠責基準と弁護士基準では慰謝料に100万円以上の差が出るうえ、逸失利益も交渉次第で大きく変わります。弁護士費用特約に加入していれば、費用の心配も小さくなります。「軽い等級だから」と諦めず、一度相談してみる価値はあるでしょう。
13級が2つ認定されたら、どうなりますか?
13級に当たる後遺障害が2つ以上ある場合は、「併合」によって、原則として1つ上の12級として扱われます。慰謝料も喪失率も上がるため、賠償額は大きく変わります。複数の部位に症状があるなら、併合の対象にならないか確認しましょう。
後遺障害13級は障害者手帳の対象になりますか?
後遺障害等級は、交通事故の損害賠償のための区分で、障害者手帳の等級とは別の制度です。13級だからといって、自動的に手帳が交付されるわけではありません。手帳については、別途、自治体の窓口で確認してください。
保険会社の提示額が180万円より低いのですが?
保険会社は、自賠責基準に近い低めの金額を提示することがあります。弁護士基準の約180万円とは差が出ることが少なくありません。提示額が低いと感じたら、弁護士に相談して適正額を確認しましょう。
13級でも入通院慰謝料はもらえますか?
もらえます。入通院慰謝料は、事故から症状固定までの通院期間などに応じて計算され、後遺障害慰謝料や逸失利益とは別に請求できます。通院期間が長いほど、金額も大きくなります。
13級と認定されるまで、どのくらい時間がかかりますか?
症状固定後に申請してから、認定結果が出るまでは、通常1〜2か月程度が目安です。ただし、追加の資料を求められたり、内容が複雑だったりすると、もっと時間がかかることもあります。被害者請求と事前認定で、大きな差はありません。
13級の認定に納得できないとき、何から始めればいいですか?
まず、なぜその等級になったのか、結果の理由を確認します。そのうえで、不足していた検査や資料がないかを洗い出し、異議申し立てで補強できないかを検討します。判断が難しいので、早めに弁護士へ相談するのが確実です。
まとめ
後遺障害13級は、視力の低下、手指や足指の障害、歯の補綴、脚の短縮など、特定部位の比較的軽い障害が中心の等級です。慰謝料の目安は弁護士基準で約180万円、労働能力喪失率は9%とされ、上の12級(290万円・14%)や下の14級(110万円・5%)とは金額が異なります。むちうちは通常14級か12級で、13級には当てはまりにくい、という点も覚えておきましょう。
13級は器質的な障害が多く、逸失利益を長い期間で計算できるケースも多いため、若い方ほど総額が大きくなりやすい等級です。「軽いから」と提示額をそのまま受け入れると、損をしてしまうおそれがあります。納得のいかないときや、自分のケースの適正額を知りたいときは、ぜひ一度、交通事故にくわしい弁護士に相談してみてください。あなたが本来受け取るべき賠償を、きちんと手にできるよう願っています。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
