閉じる

1,643view

後遺障害9級の慰謝料相場~認定基準と金額の相場

この記事で分かること

  • 交通事故で後遺障害9級となるのは、目、耳、鼻、口、手指足指、内臓臓器、外貌醜状のケースなど
  • 交通事故で後遺障害9級となったら、慰謝料や逸失利益を払ってもらえる
  • 後遺障害9級の慰謝料は690万円、労働能力喪失率は35%
  • 後遺障害認定を受けるためには、弁護士に依頼して被害者請求すると良い
  • 弁護士に依頼すると、示談交渉の際に得られる慰謝料も増額される

交通事故で後遺障害9級となるケースはさまざまですが、確実に認定を受けるためには、交通事故に強い弁護士に依頼しましょう。後遺障害認定を受けたら、慰謝料や逸失利益などの請求を進めますが、そのときにも弁護士に依頼していると、被害者が自分で請求するより大きく慰謝料が増額されます。交通事故に遭ったら、まずは弁護士に相談して、適切な対応方法についてアドバイスを求めることをお勧めします。

交通事故で後遺障害9級となるケースはさまざまですが、確実に認定を受けるためには、交通事故に強い弁護士に依頼しましょう。後遺障害認定を受けたら、慰謝料や逸失利益などの請求を進めますが、そのときにも弁護士に依頼していると、被害者が自分で請求するより大きく慰謝料が増額されます。交通事故に遭ったら、まずは弁護士に相談して、適切な対応方法についてアドバイスを求めることをお勧めします。

後遺障害9級の認定基準

まずは、交通事故で後遺障害9級が認定されるケースがどのようなときか、見てみましょう。

1号 両眼の視力が0.6以下になったもの
2号 1眼の視力が0.06以下になったもの
3号 両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
4号 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5号 鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの
6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7号    両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9号 1耳の聴力を全く失ったもの
10号    神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11号    胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12号 1手の親指又は親指以外の2の手指を失ったもの
13号   1手の親指を含み2の手指の用を廃したもの又は親指以外の3の手指の用を廃したもの
14号 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
15号 1足の足指の全部の用を廃したもの
16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの(平成22年6月10日以降の事故に限る。)
17号 生殖器に著しい障害を残すもの

以上のように、9級に該当する症状は非常に多彩です。それぞれがどういったケースか、確認していきましょう。

1号:両眼の視力が0.6以下になったもの

1号は、両方の目の視力が0.6以下になった場合です。メガネやコンタクトレンズで矯正したときの視力を基準にして認定されます。

2号:1眼の視力が0.06以下になったもの

2号は、眼鏡やコンタクトレンズで矯正した状態で、片眼の視力が0.06以下になった場合です。

3号:両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

半盲症とは、視界の右半分か左半分が見えない状態です。視野狭窄は、視野が狭くなった場合、視野変状とは、視野の中に見えない部分が発生する症状です。

4号:両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

まぶたを閉じた状態で、角膜を完全に覆うことができない状態となったら4号が認定されます。

5号:鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

鼻の軟骨を欠損して鼻呼吸などの機能に障害が残った場合、9級5号となります。ただし、後に詳しくご説明しますが、鼻の欠損傷害の場合、外貌醜状に該当することも多いので、そちらの方が、等級が高くなる可能性があります。

6号:咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

歯ごたえのあるものを食べられなくなったり、言語音のうち1種類の発音が出来なくなったりしたケースなどで、6号が認定されます。

7号:両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

7号は、両耳が、純音聴力レベル60dB以上となるか50dB以上となり、明瞭度が最高70%以下になったケースです。

8号:一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

8号は、片耳の平均純音聴力レベルが80dB以上となり、他の耳の平均純音聴力レベルが50dB以上になった状態です。

9号:一耳の聴力を全く失ったもの

片耳の平均純音聴力レベルが90dB以上となった状態です。

10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

高次脳機能障害や麻痺(歩行困難など)、外傷性てんかんやうつ病などの精神障害などになり、就労はできても、作業効率や持続力などに問題があるため、できる仕事が制限される状態です。

11号:胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

肺や心臓、胃腸などの消化器系の内臓、腎臓や膀胱などの泌尿器系の臓器の機能が低下したり、ヘルニアを発症したりして、 できる仕事内容が制限される状態です。

12号:一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの

片手の親指または親指以外の2本の指を失ったときです。

13号:一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの

片手の親指を含めた2本の指の「用を廃した」場合、または、親指以外の3本の指の「用を廃した」場合です。「用を廃した」というのは、指の末節骨の2分の1以上を失った状態、指の根元または第2関節の可動域が2分の1以下になった場合、指の感覚が無くなった場合などをいいます。

14号:一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの

片足の親指を含めた2本の指を失ったときです。

15号:一足の足指の全部の用を廃したもの

片足のすべての指の「用を廃した」ときです。足指の「用を廃した」とは、親指の第1関節を切断して、指の長さが2分の1以下になった場合などをいいます。

16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの

外貌(がいぼう)とは、頭や顔、首などの露出した部分のことです。9級16号になるのは顔に5センチメートル以上の線状痕が残ったケースです。

17号:生殖器に著しい障害を残すもの

男性の場合にはペニスの大部分を欠損したり、勃起障害、射精障害となったりした場合
女性の場合には、膣口が狭くなって性交渉ができなくなった場合、両側の卵管に閉塞や癒着が残った場合、子宮を失った場合などです。

ワンポイントアドバイス
以上のように、後遺障害9級が認定される症状は、非常にさまざまです。交通事故で後遺障害認定を目指すには、まずは自分がどのような後遺障害の症状に該当するかを見極めて、医師に後遺障害診断書を書いてもらい、必要な検査を受けて、症状を効果的に立証していくことが重要です。

後遺障害9級で認められる慰謝料とその他の賠償金

交通事故で後遺障害9級となったら、どのくらいの慰謝料や賠償金が認められるのか、見てみましょう。

後遺障害9級の慰謝料

後遺障害が残ると、「後遺障害慰謝料」が認められます。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的損害に対する賠償金です。後遺障害の等級によって金額が異なりますが、9級の場合には、690万円が標準となります。

また、交通事故後の入通院期間に応じて、「入通院慰謝料」も認められます。入通院慰謝料は、治療期間が長くなればなるほど高額になり、通院期間より入院期間の方が上がります。たとえば、2か月入院してその後6か月通院したケースの入通院慰謝料は、181万円です。

後遺障害9級慰謝料以外の賠償金

後遺障害が残った場合、慰謝料以外にもさまざまな賠償金を請求できます。

重要なものとして「後遺障害逸失利益」があります。後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで労働能力が低下したために発生する将来の減収分のことです。後遺障害の等級によって労働能力が低下した割合が異なるので、逸失利益も等級が上がるほど高額になります。9級の場合、労働能力喪失率は35%として計算されます。

たとえば、年収400万円、28歳のサラリーマンの方が交通事故に遭って後遺障害9級となった場合には、2832万3800円となります。

年収が高い方の場合、より高額な逸失利益の支払いを受けることができます。

その他の賠償金

また、以下のような賠償金も、認められます。

  • 治療費
  • 入院付添費用
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 器具や装具の費用
  • 休業損害

交通事故で加害者と示談交渉をするときには、後遺障害慰謝料や入通院慰謝料、逸失利益と上記に上げたような損害を、すべて合わせて加害者に支払ってもらう必要があります。

ワンポイントアドバイス
上記のように、交通事故の損害賠償金の項目は、非常に多岐にわたります。加害者と示談交渉をするときには、漏れが無いように確実にすべての項目の賠償金を計算することが重要です。しかし、被害者が自分で示談交渉をすると、加害者の保険会社は、入院付添費用などの一部の賠償金の項目を抜かして示談案を作成してくることがあり、注意が必要です。

示談を成立させる前には、請求に漏れが発生していないか確認するために、弁護士にアドバイスを求めた方が良いでしょう。

後遺障害9級で問題になりやすいポイント

次に、後遺障害9級の認定を受けるときや示談交渉において、問題になりやすいポイントをご紹介します。

鼻の欠損障害と外貌醜状

後遺障害9級には、鼻の軟骨の欠損障害がありますが、この場合、同時に「外貌醜状」に該当することが多いです。外貌醜状になると、より高い等級である7級12号が認められる可能性があります。鼻の欠損障害と外貌醜状の両方に該当する場合、併合認定は行われず、高い方の等級が認定されます。

そこで、鼻の欠損障害が残った場合、7級の外貌醜状として認定を受けた方が、慰謝料や逸失利益が高額になることが多いです。このようなことから、後遺障害認定請求をするときには、どの後遺障害の症状に該当する可能性があるのか、事前にしっかり検討しておく必要があります。

外貌醜状と逸失利益

後遺障害9級にも外貌醜状があります。外貌醜状となった場合には、「後遺障害逸失利益」を否定されやすいので、注意が必要です。外貌に醜状が残っても、身体能力に影響しないため、労働能力が低下しないと考えられるのです。

ただ、外貌が影響を及ぼす仕事の場合には労働能力喪失を認められるケースもありますし、逸失利益が認められなくても慰謝料が増額されて調整が行われる場合もあります。外貌醜状で保険会社が逸失利益を否定してきても、あきらめずに弁護士に相談しましょう。

生殖器障害と逸失利益

後遺障害9級には、生殖器障害もありますが、この場合にも逸失利益を否定されやすいです。やはり、労働能力が低下しないと考えられるためです。

生殖器障害の場合、裁判例でも逸失利益を否定するものが多いですが、その分慰謝料で考慮してもらえる例も見られます。また、生殖器に障害が残った場合、他の部分にも深刻な後遺障害が残ることが多いでしょう。その場合、他の後遺障害認定を受けられる可能性があります。そのためには、全体的な受傷状況を見て、適切な等級の後遺障害を認定してもらう必要があります。

ワンポイントアドバイス
交通事故で後遺障害が残ったとき、賠償金の金額を決めるために、加害者の保険会社と示談交渉をしなければなりません。このとき、保険会社からさまざまな減額の主張をされて、対応に困ってしまう被害者の方が多くおられます。

保険会社の言い分が法的に正しくないケースも多々ありますので、言いなりにならない方が良いこともあります。自己判断で示談を成立させてしまうより、一度弁護士に相談して専門家の意見を聞くと良いでしょう。

後遺障害9級の認定を受ける方法

後遺障害9級の認定を受けるためには、加害者の自賠責保険に対し、「後遺障害等級認定」という手続きをする必要があります。このとき、「事前認定」と「被害者請求」という2種類の手続きから選択できます。

事前認定とは、加害者の任意保険会社に後遺障害認定の手続きを任せる方法であり、被害者とは、被害者自身が加害者の自賠責保険に直接後遺障害認定請求をする方法です。事前認定の場合、手続的には「後遺障害診断書」を入手して加害者の任意保険に提出するだけなので非常に楽ですが、被害者の裁量によって有利な資料を提出することなどが難しく、効果的に後遺障害認定を受けるにはあまり向きません。

より確実に後遺障害認定を受けたいのであれば、弁護士に依頼して、被害者請求の方法で後遺障害等級認定手続きをするのが良いでしょう。

ワンポイントアドバイス
交通事故の示談交渉を進めるときには、弁護士に依頼していると「裁判基準」という基準が適用されて、慰謝料が大きく上がります。9級の後遺障害慰謝料は690万円と言いましたが、これは裁判基準による金額であり、もしも被害者が自分で交渉すると300万円程度になります。

弁護士に対応を依頼すると、後遺障害認定を受けやすくなるだけではなく、慰謝料もアップするので、被害者にとっては大きなメリットがあります。交通事故で何らかの後遺障害が残ると予想される事案では、必ず弁護士に対応を依頼しましょう。

後遺障害9級でなるべく高額な慰謝料を獲得したいなら、弁護士に依頼しよう!

交通事故で後遺障害が残ったら、身体のさまざまな箇所に不調が起こり、生活上も仕事上も非常に不便になります。9級となるケースも、それなりに深刻なケースばかりです。

後遺障害が残ったら、確実に認定を受けてなるべく高額な慰謝料を獲得するため、早めに交通事故に強い弁護士に相談しましょう。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談