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後遺障害6級の慰謝料相場~認定基準と金額の相場
この記事で分かること
- 交通事故で後遺障害6級が認定されるのは、目や耳、口、背骨、上肢下肢、手指の症状
- 後遺障害6級の認定を受けられたら、高額な後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できる
- 後遺障害6級の慰謝料は1180万円、労働能力喪失率は67%
- 確実に高い等級の後遺障害認定を受けるには、交通事故に強い弁護士に被害者請求してもらうと良い
- 弁護士が示談交渉をすると、弁護士基準が適用されて賠償金がアップする
交通事故で後遺症が残ったら、なるべく早めに弁護士に依頼して、確実に高い等級の後遺障害認定を受けましょう。後遺障害6級の認定を受けると、高額な慰謝料や逸失利益を請求できます。弁護士に示談交渉を依頼すると、被害者が自分で示談交渉するよりも大幅に慰謝料を始めとした賠償金がアップしますので、事故に遭ったら、まずは交通事故に強い弁護士に相談しましょう。
後遺障害6級の認定基準
まずは交通事故で後遺障害6級が認定されるのはどういったケースなのか、確認しましょう。
1号 | 両眼の視力が0.1以下になったもの |
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2号 | 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
3号 | 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
4号 | 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
5号 | 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの |
6号 | 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
7号 | 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの |
8号 | 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの |
上記の8種類の状態となったときに、後遺障害6級が認定されます。以下で、それぞれの症状についてさらに詳しくみていきましょう。
1号:両眼の視力が0.1以下になったもの
交通事故が原因で両眼の矯正視力が0.1以下になってしまったら、6級1号となります。この場合の「視力」は「矯正視力」であり、メガネやコンタクトレンズで矯正をしても0.1以下になっている必要があります。
2号:咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
咀嚼とは、食べ物を噛んで飲み込むことであり、言語機能とは言葉を話す能力のことです。交通事故で口や内部組織、神経等を損傷すると、これらの機能が失われるケースがあります。6級2号になるのは「著しい障害」が残るケースです。咀嚼機能ではお粥や豆腐などの飲み込みやすいものしか食べられない場合であり、言語機能では、「口唇音」・「歯舌音」・「口蓋音」・「咽頭音」の4種類の発音方法の中で、2種類の発音ができなくなった場合を意味します。
6級2号になるのは、咀嚼または言語のどちらか一方に著しい障害が残ったケースであり、両方に著しい障害がある場合には4級2号に等級が上がります。
3号:両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
交通事故が原因で、聴力が低下する事例も多いです。6級には聴力障害のケースが2種類あり、両耳の聴力がほとんど失われた場合が3号、片耳の聴力が完全に失われた場合が4号となっています。
3号の「耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの」とは、検査結果によって以下の状態が証明される場合です。
- 両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上、または50dB以上80dB未満
- 言語を聞き分け意味を理解できる最高明瞭度が30%以下
聴力障害で後遺障害認定を受けるためには、耳鼻科できっちり聴力検査を受けて後遺障害診断書に結果を書き込んでもらう必要があります。
4号:1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
交通事故が原因で片耳の聴力を完全に失うとともに、残った方の耳も「40センチメートル以上離れると普通の話し声を理解できない程度」に聴力が低下すると、4号が認定されます。検査の基準としては、「平均純音聴力レベルが70dB以上」になったかどうかで判定されます。
5号:脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
交通事故では体幹の背骨を損傷するケースも多いです。背骨がダメージを受けて変形したり運動障害が残ったりすると、後遺障害6級5号となります。骨折や骨の変形については、レントゲンやCT画像などによって確認します。
背骨の変形障害を測るときには、「コブ法」という測定方法による基準角度を使い、その結果の数値によって後遺障害の有無を認定します。6級5号の「著しい変形」になるのは50度以上(健常者は50度)となった場合です。
背骨に障害が残ると、運動機能にも支障をきたすものです。身体を反らしたり捻ったりすることが難しくなるため、健常な人の可動域に比べて0%~10%程度に可動域が制限されると、6級5号の運動障害となります。
6号:1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
上肢というのは、肩から手首にかけての「腕」の部分です。交通事故が原因で、腕の3大関節の2つ以上の「用を廃した」状態になると、6級6号となります。腕の3大関節は、以下の3つです。
- 肩関節
- 肘関節
- 手首の関節
これらの関節の2つ以上が完全に硬直してしまった場合や、神経障害によって自力で動かせなくなった場合に6号が認定されます。
7号:下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
6級7号は「脚」についての後遺障害です。下肢とは、股から足首に欠けての「脚」の部分のことです。下肢の3大関節のうち、2つの「用を廃した」状態になると、6級7号が認定されます。
脚の3大関節は、以下の3つです。
- 股関節
- 膝関節
- 足首の関節
これらのうち2つが完全に硬直してしまった場合や自力で動かせなくなった場合に後遺障害6級7号が認定されます。
8号:1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
交通事故で、片手の指をすべて失った場合や親指を含んだ4本の手指がなくなった場合にも6級8号が認定されます。
交通事故で後遺症が残った場合には、その症状がどのようなものか見極め、何級に該当するのか正確に予測することが重要です。自分では判断しにくい場合、弁護士に相談すると良いでしょう。
後遺障害6級で支払われる慰謝料その他の賠償金
次に、後遺障害6級になるとどのくらいの慰謝料が支払われるのか、みてみましょう。
後遺障害6級で支払われる後遺障害慰謝料
後遺障害6級が認定されると、後遺障害慰謝料が支払われます。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによって被害者が受ける精神的苦痛に対する賠償金です。後遺障害の等級に応じた金額が認められますが、6級の場合の相場は1180円となっています。
後遺障害慰謝料については、被害者の年齢や性別、年収や地位などとは無関係に「定額」となります。事故で後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛は、被害者がどのような人であっても同じように受けるものだからです。
ただし、個別のケースにより、慰謝料が増減額される可能性はあります。たとえば、事故が特に悪質で加害者に反省がない場合、被害者が流産した場合や離婚した場合、退学・退職した場合などには通常の相場より慰謝料が上がりやすいです。
後遺障害6級で支払われる逸失利益
後遺障害6級になった場合「逸失利益」も支払われます。逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって労働能力が低下したために得られなくなってしまった将来の収入のことです。
つまり、交通事故で後遺障害が残ると身体にさまざまな支障が発生するので、事故前のように効率的に仕事をするのは難しくなってしまいます。仕事を辞める人もいますし、簡単な仕事に変わることもあるでしょう。将来の昇進や転職も困難となり、生涯年収が下がると考えられます。そこで、こういった減収分の損害を「逸失利益」として請求できるのです。
逸失利益を計算するときには「労働能力喪失率」という割合を用います。6級の労働能力喪失率は67%となっており、「7割近い労働能力」が失われたと理解されています。
6級の逸失利益はかなり高額になり、被害者の収入状況にもよりますが、5000万円を超えることも珍しくありません。
後遺障害6級で支払われるその他の賠償金
後遺障害6級になると、後遺障害慰謝料や逸失利益以外にも、以下のような賠償金を請求できます。
- 入通院慰謝料
- 治療費
- 付添看護費用
- 入院雑費
- 通院交通費
- 器具・装具の費用
- 文書料
- 休業損害
入通院慰謝料は、交通事故でケガをして入通院したらどのようなケースでも認められる慰謝料です。これは、後遺障害慰謝料とは別に支払われるものですから、後遺障害6級になったときには「後遺障害慰謝料」と「入通院慰謝料」の合計の慰謝料を受け取ることができます。
器具・装具の費用とは、後遺障害が残ったことによって必要となる義眼や義手、義足やコンタクトレンズ等の費用です。これら以外にも、治療費や付添看護費用、休業損害等のさまざまな損害賠償が認められます。
ただ、被害者が自分で示談交渉をしていると、加害者の保険会社は発生している損害を計算に入れずに示談案を提示してくるケースもあるので、示談書に署名押印してしまう前に、弁護士に内容を確認してもらうことをお勧めします。
後遺障害6級の認定を受ける方法
後遺障害6級の認定を受けるには、どのような方法で進めたら良いのか、ご説明します。
被害者請求と事前認定
後遺障害等級認定の方法には、被害者請求と事前認定の2種類があります。被害者請求とは、被害者が自分で加害者の自賠責保険へと後遺障害認定の請求をする方法です。これに対し、事前認定とは、加害者の任意保険会社に後遺障害認定の手続きを任せる方法です。
事前認定の問題点
被害者が自分で示談交渉を進めるときには、事前認定を利用することが多く、被害者が治療を終えた頃、加害者の任意保険の担当者が「事前認定しましょうか?」と言ってくれることもあります。
ただ、事前認定の場合、被害者が自分に有利な資料を積極的に提出することなどが難しいですし、具体的にどのような方法で後遺障害認定の手続が進められているかもわかりません。思うように認定を受けられなかったとき、「納得できない」と感じる可能性も高くなります。
被害者請求のメリットとデメリット
それでは、被害者請求であればこういった問題はないのでしょうか?
確かに、被害者請求の場合被害者が自分で手続を進めるので、請求手続に透明性が保たれますし、被害者が自分に有利な資料を積極的に提出するなどの裁量も認められます。ただし、被害者請求は非常に煩雑です。必要書類も多いですし、自賠責の調査事務所や損害保険料率算出機構との間でいろいろとやり取りをしなければならないケースもあります。被害者が自分一人で対応する場合、被害者請求を利用しても、そのメリットを生かし切れず、単に「面倒だった」というだけで終わってしまう可能性もあります。
一番良いのは、交通事故に強い弁護士に「被害者請求」を任せること
後遺障害等級認定を受けるときにもっとも効果的な方法は、交通事故に強い弁護士に相談をして「被害者請求」をしてもらうことです。弁護士に手続きを任せたら、被害者自身が煩雑な手続きをしなくて済みますし、必要書類の集め方なども弁護士から指示してもらえるので、楽になります。
交通事故に精通している弁護士であれば、後遺障害認定の手続きにも詳しく、知識経験とノウハウを持ち合わせています。後遺障害認定に必要な最低限の医学的知識を持っていることも多く、協力医師と提携しているケースも見られます。
後遺障害6級はそれなりに重い症状ですから、きちんと弁護士に依頼して、確実に認定を受けられるように進めましょう。
後遺障害6級でなるべく高額な賠償金を獲得するには弁護士に相談!
以上のように、交通事故で後遺障害6級に認定されると、高額な慰謝料や逸失利益を請求できますが、より高額な賠償金を獲得するには弁護士に依頼する必要があります。
弁護士が示談交渉をするときには高額な「弁護士基準」が適用されるので賠償金が上がりますが、被害者が自分で示談交渉をすると低額な「任意保険基準」が適用されて、慰謝料が2分の1以下になってしまうケースも多いからです。
交通事故で何らかの後遺症が残り、これから後遺障害認定を申請する場合や異議申し立てを考えている場合には、早めに交通事故に強い弁護士に相談しましょう。
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
- 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
- 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
- 適正な後遺障害認定を受けたい
- 交通事故の加害者が許せない