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後遺障害5級。この等級が出たとき、被害者のほとんどは「思ったより重い等級なのか」「慰謝料はどれくらいもらえるのか」と戸惑います。当然です。14段階ある後遺障害等級のうち、5級は上から5番目。日常生活にも仕事にも、深刻な影響が続くレベルの障害です。
ただ、等級が出ただけでは話は終わりません。どの基準で示談交渉をするかで、受け取れる賠償金の金額は大きく変わります。保険会社の提示をそのまま受け入れた場合と、弁護士が交渉に入った場合とでは、最終的な金額が大きく変わることも珍しくありません。
この記事では、後遺障害5級の認定基準から慰謝料・逸失利益の相場、等級認定の注意点、弁護士活用のメリットまで、必要な情報をまとめて解説します。
後遺障害5級とは?重さのレベルを正しく理解する
等級ごとに賠償の規模がどう違うのかは、次の記事で確認できます。
後遺障害等級全体における5級の位置づけ
交通事故で残った後遺症が「後遺障害」として認定されると、1級から14級までの等級が割り振られます。数字が小さいほど重篤で、1級・2級が「常時介護が必要」なレベルです。5級はその次に位置するグループ。つまり、日常的な介護こそ不要ですが、就労能力に重大な制限が生じるほどの障害が残った状態を指します。
| 等級 | 労働能力喪失率 | 自賠責の限度額 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 100% | 4,000万円(別表第一) | 常時介護が必要 |
| 2級 | 100% | 3,000万円(別表第一) | 随時介護が必要 |
| 3級 | 100% | 2,219万円 | 終身労務に服することができない |
| 5級 | 79% | 1,574万円 | 特に軽易な労務のみ可能 |
| 7級 | 56% | 1,051万円 | 軽易な労務以外は難しい |
| 9級 | 35% | 616万円 | 就ける仕事が相当な程度に制限される |
| 14級 | 5% | 75万円 | 軽微な支障が残る |
限度額はいずれも政令で定められた固定の金額です。自賠責保険から支払われる上限を示したものであり、実際の賠償総額は加害者側の任意保険を通じてこれを上回るのが通常です。等級がひとつ違うだけで限度額に数百万円の開きが生じますが、賠償全体で見た差はさらに大きくなります。
5級の労働能力喪失率は79%です。つまり、事故前に持っていた働く力のうち約8割が失われると評価されます。数字で見ると、その深刻さがよくわかります。
後遺障害5級に認定される8つの症状一覧
後遺障害5級には、以下の8つの号が定められています。目、神経・精神、内臓、腕、脚、足指と、身体のさまざまな部位が対象です。
| 号 | 認定対象となる症状 |
|---|---|
| 1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
| 2号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
| 3号 | 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
| 4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
| 5号 | 1下肢を足関節以上で失ったもの |
| 6号 | 1上肢の用を全廃したもの |
| 7号 | 1下肢の用を全廃したもの |
| 8号 | 両足の足指の全部を失ったもの |
後遺障害5級の認定基準を症状別に詳しく解説
認定基準を正確に理解することは、等級認定を確実に受けるうえで欠かせません。それぞれの号について、具体的にどういった状態が対象となるのか、確認してください。
1号:1眼失明+他眼の視力0.1以下
交通事故によって片方の目が完全に失明し、もう一方の矯正視力が0.1以下に低下した場合です。「失明」には眼球そのものが失われたケースも含まれます。
ここで注意してほしいのは、「矯正視力」が基準になるという点です。メガネやコンタクトで矯正しても0.1以下に留まる場合に初めて5級1号が認定されます。裸眼での視力だけで判断してしまうと誤解が生じるので注意が必要です。
2号:神経系統・精神の著しい障害(軽易労務のみ可)
脳や脊髄などの神経系統を損傷した結果、「特に軽易な労務以外の労務に服することができない」状態になった場合です。
5級の場合、「簡単な軽作業ならできる」状態です。複雑な判断や身体的負荷の高い仕事は難しいが、単純な軽作業には従事できる。そのラインを超えた重篤なケースは3級以上に上がります。
この2号の難しさは、「どこからが軽作業で、どこからが重作業か」の判断が容易ではない点にあります。後遺障害診断書の記載ぶりが等級の認定を大きく左右します。この点は後ほど詳しく触れます。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
3号:胸腹部臓器(泌尿器系)の機能障害
脳・神経以外の内臓機能の障害、具体的には泌尿器系の後遺障害が対象です。非尿禁制型尿路変向術(外科手術)を行った結果、尿漏れによる著しい皮膚のびらんが生じ、パッド等を装着できない状態になると5級3号が認定されます。
神経系統の障害と比べると認定基準がはっきりしており、比較的認定を受けやすい症状です。とはいえ、手術の内容や現在の状態を正確に診断書に反映させることは不可欠です。
4号・5号:上肢・下肢を手関節・足関節以上で失ったもの
4号は腕(上肢)、5号は脚(下肢)の欠損に関する規定です。
- 4号(腕):手首の関節(手関節)より上で腕を失った場合。ただし、肘関節より上の欠損や両腕の欠損はより高い等級になる。
- 5号(脚):足首の関節(足関節)より上で脚を失った場合。膝関節より上の欠損や両脚の欠損はより高い等級になる。
「失った」とは物理的な切断だけを指すわけではありません。事故後の壊死などを理由に、治療の一環として切断手術を行った場合も同様に認定されます。
6号・7号:上肢・下肢の用の全廃
腕や脚そのものは残っているものの、機能がすべて失われた状態です。
- 6号(上肢の全廃):肩関節・肘関節・手関節の3大関節がすべて硬直して可動域が10%以下になった場合、または上腕神経の完全麻痺
- 7号(下肢の全廃):股関節・膝関節・足関節の3大関節がすべて硬直して可動域が10%以下になった場合、または完全麻痺
3つの関節すべてに障害が及んでいることが条件です。いずれか一つや二つが硬直しただけでは5級には届きません。可動域の計測値が重要になるため、適切な時期に適切な方法で検査を受けておくことが必要です。
8号:両足の足指の全部を失ったもの
両脚の足指がすべて失われたケースです。足指そのものの切断だけでなく、足の甲の中心にあるリスフラン関節より先の部分で足を失った場合にも適用されます。なお、リスフラン関節以上で失った場合は4級7号に上がります。
後遺障害5級の慰謝料相場はいくら?3つの算定基準を比較
神経系統の障害がどう評価されるかについては、こちらで詳しく扱っています。
自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の違い
交通事故の慰謝料には3つの算定基準があります。保険会社が最初に提示してくるのはほぼ自賠責基準か任意保険基準です。弁護士基準(裁判基準)が適用されるのは、弁護士が交渉に入ったときか、裁判になったときです。
| 基準 | 概要 | 金額水準 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 法律で定められた最低限の補償ライン | 最も低い |
| 任意保険基準 | 各保険会社が独自に設定する内部基準 | 自賠責より高いが弁護士基準より低い |
| 弁護士基準(裁判基準) | 裁判所の判例を元にした基準(赤本・青本) | 最も高い |
保険会社の担当者は「これが適切な金額です」と提示してきますが、それはあくまでも保険会社にとって適切な金額です。被害者にとって「正当な金額」かどうかは、別の話になります。
後遺障害慰謝料は等級ごとに定まる
後遺障害慰謝料は、障害が残ったことで受ける精神的な苦痛に対する賠償です。被害者の年齢や性別、収入には左右されず、認定された等級に応じて原則として一律に決まります。ここが逸失利益との大きな違いです。
ただし、どの算定基準を当てはめるかによって水準はまったく変わります。弁護士基準は裁判実務を踏まえたもので、三つのなかで最も高くなります。
ただし、例外的に増減額されるケースはあります。
慰謝料が増額される事情の例
- 事故が原因で離婚・流産が生じた
- 学校に入学できなくなった、退学を余儀なくされた
- 加害者が謝罪せず、誠意ある対応をしない
- 加害者に悪質な行為(飲酒運転等)があった
慰謝料が減額される事情の例
- 被害者側にも一定の過失がある
- 素因減額(既往症や身体的素因の影響)
- 治療が不十分・不適切だったと判断された場合
基準によって慰謝料はどれだけ変わるか
後遺障害5級で受け取れる後遺障害慰謝料は、基準によってこれだけの差があります。
自賠責基準と弁護士基準では、後遺障害慰謝料だけでも大きな開きが生じます。任意保険基準はその中間に位置しますが、内容が公表されていないため、提示された金額の根拠を外から検証することはできません。
実際にどのくらいの額になりそうかは、下のツールに治療の経過を入れてみると確かめられます。まずは手元の数字と照らし合わせてみてください。
慰謝料以外にも請求できる賠償金の種類と計算方法
後遺障害5級が認定された場合、後遺障害慰謝料だけでなく、複数の賠償金を請求できます。むしろ金額として大きいのは、後遺障害逸失利益のほうです。
後遺障害逸失利益:労働能力喪失率79%で計算する
後遺障害逸失利益とは、障害が残ったことで失われる将来の収入の損失です。「事故前と同じように働けない分を補償する」という考え方に基づいています。
後遺障害5級の労働能力喪失率は79%です。つまり、健常な状態と比べて約8割の労働能力が失われると見なされます。
逸失利益の計算式と具体的なシミュレーション
逸失利益は以下の計算式で算出します。
| 構成要素 | 内容 | 争点になりやすい点 |
|---|---|---|
| 基礎収入 | 事故前の年収。給与所得者は源泉徴収票、自営業者は確定申告書で確認する | 収入が低い時期だった場合や就職前だった場合、統計上の平均賃金を用いるべきかが争われる |
| 労働能力喪失率 | 5級は79% | 実際に就労を続けていると、保険会社から適用を争われることがある |
| ライプニッツ係数 | 症状固定時の年齢から、就労可能とされる年齢までの年数に応じて決まる | 就労可能期間をどこまで取るかで結論が動く |
5級では、後遺障害慰謝料よりも逸失利益のほうが大きくなるのが通常です。とくに若い方や事故当時の年収が高かった方では、この項目が賠償全体の大半を占めることになります。だからこそ、この二つの前提をどう置くかが、最終的な金額を決定づけます。
基礎収入の設定と就労可能期間の取り方が、最終的な金額を決定づけます。算定の考え方は次の記事にあります。
5級と7級・3級の分かれ目
神経系統や胸腹部臓器の障害で5級を主張する場合、上下の等級との境界が争点になります。条文の文言を並べると、段階の違いが見えてきます。
- 3級:終身労務に服することができない。まったく働けない状態
- 5級:特に軽易な労務以外の労務に服することができない。ごく限られた作業しかできない状態
- 7級:軽易な労務以外の労務に服することができない。負荷の軽い仕事なら従事できる状態
「特に軽易」と「軽易」は一字違いですが、想定されている働き方は異なります。5級で念頭に置かれているのは、単純な作業を短時間だけこなせる程度。これに対して7級は、業務の内容を選べば通常の勤務時間を通じて働ける状態です。
この境界を分けるのは、検査の数値ではなく実際に働いてみた経過です。復職して何ができたのか、周囲がどれだけ補助したのか、勤務時間や役割にどんな変更が加えられたのか。休職や退職に至ったのであれば、その経緯も含めて記録に残しておいてください。医療機関からは出てこない資料なので、被害者側で意識して集める必要があります。
介護費用:5級は「要介護」対象外だが例外もある
後遺障害5級は、原則として「要介護後遺障害」には該当しません。要介護として扱われるのは1級・2級のみです。ただし、例外があります。
高次脳機能障害の症状が残っている場合など、周囲の見守りや指示出しが日常的に必要と判断されるケースでは、5級であっても介護費用が認められる可能性があります。実際に将来介護費が認められた例もあります。要介護等級でないことだけを理由に諦めず、日々どんな介助が必要になっているかを記録に残しておいてください。
その他の賠償金一覧(治療費・休業損害・入通院慰謝料など)
後遺障害5級の認定を受けた場合、以下の賠償金も合わせて請求できます。いずれも金額が大きくなりやすく、合計すると相当な額になります。
| 賠償金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 治療費 | 入院・通院・手術等にかかった費用 |
| 入通院慰謝料 | 入院・通院期間中の精神的苦痛に対する賠償 |
| 休業損害 | 治療のために仕事を休んだことによる収入減少の補填 |
| 後遺障害慰謝料 | 障害が残ったことによる精神的苦痛への賠償。等級に応じて一律に定まる |
| 後遺障害逸失利益 | 障害による将来の収入減少の補填。5級では賠償全体の大半を占めることが多い |
| 器具・装具の費用 | 義足・車いす・補聴器等の購入費 |
| 付添看護費用 | 入院中の付き添い看護にかかった費用 |
| 文書料 | 診断書等の取得費用 |
5級相当の重傷となれば、治療期間も長く、入通院慰謝料だけで数百万円に達するケースもあります。各項目を正確に積み上げることが、適正な賠償額を確保するための第一歩です。
併合認定で後遺障害5級になるケースとは
併合認定の仕組みと具体例
「自分の症状は5級には届かないと思っていた」という方が、実は5級に認定されることがあります。それが「併合認定」の仕組みです。
複数の後遺障害が残った場合、それぞれの等級を合算して上位の等級に繰り上げるルールがあります。
| ケース | 個別の等級 | 併合後の等級 |
|---|---|---|
| 例1 | 7級+8級(異なる系統の障害) | → 5級(高い方の7級から2つ上がる) |
| 例2 | 8級+8級(異なる系統の障害) | → 6級(高い方の8級から1つ上がる) |
| 例3 | 5級+8級(異なる系統の障害) | → 4級(高い方の5級から1つ上がる) |
同じ系統の後遺障害(例:右腕と左腕など)には別のルールが適用されますが、異なる系統の障害が複数ある場合には、最も高い等級を基準に繰り上がっていきます。
治療をどう進めるかは認定にも影響します。通院の作法については、こちらの記事が参考になります。
複数の後遺障害が残った場合に確認すべきこと
大きな事故であればあるほど、複数の部位に症状が残るケースが多くなります。「メインの怪我しか申請しなかった」という理由で、本来受けられたはずの等級を取り逃がしている方が実際にいます。
- 首・腰・手・足など、複数の部位に症状が残っていないか確認する
- 神経症状と機能障害を別々に申請できないか検討する
- 視力・聴力・精神症状など、見落としやすい障害も含めて整理する
- 各症状が異なる「系統」に属するかどうかを専門家に確認する
後遺障害5級の認定を確実に受けるための注意点
5級の審査で見られているのは、症状の重さそのものよりも、それが資料の形になっているかどうかです。とくに神経系統の障害では、次の三つがそろっていないと評価が下がります。
- 画像所見。頭部や脊椎のMRI、CTによって、損傷や萎縮が客観的に確認できること
- 受傷時の記録。意識障害がどの程度どれだけ続いたかは、障害の重さを支える中核的な事実です
- 就労の実態。復職の経過、担当業務の変化、勤務先による配慮の内容
三つ目は医療機関では作れません。給与明細、雇用契約書、勤務先が作成した業務遂行状況の報告といった資料を、被害者側でそろえる必要があります。
また、症状固定の時期にも注意が必要です。脳や脊髄の損傷を伴う事案では、受傷から一定の期間を置かなければ最終的な状態を見極められません。治療費の打ち切りを告げられても、区切りを決めるのは主治医です。早すぎる症状固定は、認定に必要な経過そのものを手元に残せなくなる原因になります。
「認定基準がはっきりしているから、手続きするだけで認定される」と思っていませんか。残念ながら、そう単純とは限りません。基準に該当する症状があっても、書類や立証が不十分であれば、等級が認定されないことはあります。
後遺障害診断書の記載内容が認定を左右する
後遺障害認定において最も重要な書類が「後遺障害診断書」です。医師が作成しますが、医師は治療のプロであって、後遺障害認定のプロではありません。診断書の記載が不十分だったり、症状の程度を正確に表現できていなかったりすることが、実際の現場では少なくないのです。
特に神経系統の障害(2号)の場合、どの程度の日常生活・就労への支障があるのかを具体的に記載してもらうことが欠かせません。「症状あり」と書かれているだけでは不十分で、どのような行為がどの程度できないかを明示することが求められます。
画像所見・症状の継続性など立証に必要な要素
後遺障害として認定されるには、症状が「交通事故に起因すること」と「症状固定まで継続していること」を証明する必要があります。
- レントゲン・MRI・CTなどの画像で、器質的損傷(神経・骨・組織の損傷)を証明する
- 事故発生直後から症状固定まで、一貫して症状が続いていることを診療録で確認する
- 後遺障害診断書に、症状の程度・就労・日常生活への影響を具体的に記載してもらう
- 必要に応じて、主治医への質問状や意見書の追加提出を検討する
「痛みは確かにあるのに、画像に写らない」という場合もあります。そのような場合でも、神経学的所見(腱反射の低下、感覚障害など)を丁寧に記録しておくことで立証の補完ができます。
被害者請求と事前認定、どちらを選ぶべきか
後遺障害の申請方法には2種類あります。
| 方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 事前認定 | 加害者の保険会社が書類を揃えて申請する。被害者の手間は少ない。 | 軽症で争いが少ないケース |
| 被害者請求 | 被害者が自分で(または弁護士が)書類を揃えて申請する。提出資料をコントロールできる。 | 重症・複雑なケース、5級のような高等級を目指すケース |
5級相当の重篤な後遺障害が残っているケースでは、被害者請求を選んで自分に有利な資料を揃えて申請するほうが適切です。事前認定では、保険会社側が書類を管理するため、被害者にとって有利な情報が必ずしも適切に提出されるとは限りません。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
弁護士に依頼すると賠償金はどう変わるか
弁護士基準(裁判基準)が適用されると金額が大幅増額
弁護士に依頼する最大のメリットは、賠償金が大きく増額されることです。保険会社は当然のように低い基準で提示してきますが、弁護士が交渉に入ることで「弁護士基準(裁判基準)」が適用されます。
後遺障害5級では、慰謝料だけを見ても自賠責基準と弁護士基準に相当な開きがあります。逸失利益についても、計算の前提の置き方によって大きな差が生じます。賠償全体で見たとき、依頼したことで受取額が大きく変わる例は少なくありません。
弁護士費用特約を使えば実質負担ゼロのケースも
「弁護士に頼むと費用がかかるのでは」と心配する方は多いのですが、自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を保険会社が負担してくれます。上限額は契約内容によって異なります。
弁護士費用特約がある場合
- 弁護士費用を保険会社が負担する。上限は契約内容による
- 実質的な自己負担ゼロで弁護士に依頼できる
- 等級認定の手続きから示談交渉まで一括対応
弁護士費用特約がない場合
- 成功報酬型(獲得額の〇%)で依頼できる事務所が多い
- 無料相談を実施している事務所も多数
- 増額分が費用を上回るケースがほとんど
示談の前に確認しておきたい項目
提示を受けたら、総額だけを見ずに内訳を出してもらってください。5級の事案で抜け落ちやすいのは次のような項目です。
- 症状固定までの入通院慰謝料。後遺障害分とは別に請求できます
- 義足や車いす、補聴器といった装具の費用。耐用年数ごとの買い替えを見込んだか
- 将来の手術費用。再手術が予定されているなら、その費用と休業分も対象です
- 自宅の改修費用。手すりの設置や段差の解消が必要になった場合
- 通院に付き添った家族の交通費や休業損害
一度成立させた示談は、原則としてやり直せません。署名を急かされても、項目ごとに確かめる時間を取ってください。
相談のタイミングと弁護士の選び方
弁護士に相談するなら、早ければ早いほど良いです。後遺障害認定の申請前から関与してもらえれば、診断書の内容確認や申請戦略の立案から一緒に進められます。示談交渉の段階だけでなく、治療中からのサポートが理想です。
弁護士を選ぶ際には、以下の点を確認してください。
- 交通事故案件の取り扱い実績が豊富か
- 後遺障害認定に精通しているか
- 無料相談・弁護士費用特約対応をしているか
- 担当弁護士が直接対応してくれるか(事務員任せにしないか)
後遺障害5級に関するよくある質問(Q&A)
一上肢をひじ関節以上で失った場合は4級となります。切断の位置による違いは次の記事をご覧ください。
Q. 後遺障害5級の認定通知が届いたら、すぐに示談に応じるべきですか?
A. すぐに応じる必要はありません。保険会社から提示される示談金額は自賠責基準や任意保険基準で算出されており、弁護士基準よりも大幅に低い場合がほとんどです。一度示談が成立すると原則として変更できないため、弁護士への相談を先に済ませることを強くお勧めします。
Q. 神経症状で後遺障害5級を目指す場合、どんな検査を受けるべきですか?
A. MRIや神経学的検査が基本です。腱反射・筋力テスト・感覚検査などの神経学的所見を定期的に記録しておくことが重要です。症状が継続していることを診療録で証明できるよう、治療を継続しながら定期受診することも欠かせません。
Q. 後遺障害5級が認定されたが、保険会社の提示額に納得できない。今から弁護士に依頼できますか?
A. もちろん依頼できます。示談が成立する前であれば、弁護士が介入して交渉をやり直すことが可能です。等級認定の結果に不服がある場合(異議申立て)も、弁護士のサポートが有効です。
Q. 後遺障害5級の逸失利益は、主婦(専業主婦)でも請求できますか?
A. 請求できます。専業主婦(主夫)の場合、賃金センサスの女性(または男性)全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を計算します。収入が「ゼロ」でも、家事労働には経済的価値があるとして認められています。
Q. 後遺障害等級の認定に異議を申し立てることはできますか?
A. 申し立てできます。後遺障害等級の認定結果に納得できない場合、異議申立てによって再審査を求めることが可能です。ただし、新しい医学的証拠や追加資料を提出しなければ認定が覆ることはほとんどありません。弁護士と連携して追加資料を準備したうえで申し立てることが結果を大きく左右します。
三大関節のうち二関節の用を廃した場合は6級です。判断の分かれ目はこちらで扱っています。
まとめ:後遺障害5級は、早期の弁護士相談が賠償額を大きく左右する
後遺障害5級は、労働能力喪失率79%という数字が示すとおり、日常生活・就労への重大な影響が長期にわたって続くレベルの障害です。それだけに、受け取れる賠償金の金額も大きく、かつ、保険会社の提示額と適正額の差が特に開きやすい等級でもあります。
大切なことを3点だけまとめます。
- 等級認定の前から弁護士に関与してもらう。診断書の確認や被害者請求の準備など、認定手続きの段階から動いてもらうことで等級の確実性が高まります。
- 示談書にはすぐにサインしない。一度合意した金額は原則変更できません。保険会社からの提示は「最低ライン」と考えてください。
- 弁護士費用特約を確認する。多くの場合、実質負担ゼロで弁護士に依頼できます。まず自分の保険証書を確認してみてください。
交通事故による後遺障害は、その後の人生に深く関わる問題です。「保険会社と自分で話せばいい」と思わずに、一度は専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
