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後遺障害とは|等級認定の流れと後遺症との違い

後遺障害とは|等級認定の流れと後遺症との違い

この記事で分かること

  • 後遺症と後遺障害の違いと、なぜ「等級」が賠償額を左右するのか
  • 後遺障害が認定されるまでの流れ(症状固定→診断書→申請→審査)
  • 認定で失敗しないための通院・自覚症状・検査の注意点
  • 非該当だったときの異議申し立てと、弁護士に相談するメリット

交通事故の後遺障害とは、治療しても残った症状が自賠責の等級に認定されたものを指し、後遺症とは区別されます。等級が認定されてはじめて、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。認定は症状固定から始まり、診断書の内容や通院・検査の状況が結果を大きく左右します。賠償額が数十万円から数千万円も変わる分岐点なので、症状が残りそうなら早めに弁護士へ相談するのが安心です。

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交通事故でケガをして治療を続けてきたのに、痛みやしびれがどうしても消えない。「このまま症状が残ってしまうのだろうか」と不安を抱えている方は少なくありません。そんなとき、賠償の場面で大きな意味を持つのが「後遺障害」です。

後遺障害として認定されるかどうかで、最終的に受け取れるお金は数十万円から、ときに数千万円も変わります。ところが、この仕組みは少しわかりにくく、知らないまま手続きを進めて損をしてしまうケースが後を絶ちません。

この記事では、交通事故の後遺障害とは何か、後遺症との違いから等級認定の流れ、認定されたときに受け取れるお金、そして失敗しないための注意点までを、弁護士の視点でわかりやすく解説します。

後遺障害とは?後遺症との違いから理解する

後遺障害とは、交通事故によるケガが治療を続けても完治せず、一定の症状が将来にわたって残ってしまった状態のうち、自賠責保険の基準で「等級」に該当すると認定されたものをいいます。

ここでつまずきやすいのが、「後遺症」と「後遺障害」の違いです。日常会話ではほとんど同じ意味で使われますが、賠償の世界では明確に区別されます。

後遺症と後遺障害は何が違うのか

後遺症は、治療後に残ってしまった症状そのものを指す、広い言葉です。一方で後遺障害は、その後遺症が、交通事故と因果関係があり、医学的に証明でき、自賠責の等級に当てはまると認められたものだけを指します。

つまり、症状が残っていても、それが等級として認定されなければ、賠償の場面では「後遺障害」として扱われません。痛みやしびれがあること自体と、それが後遺障害として認められることは、別の話なのです。

たとえば、事故から半年が経っても首の痛みが取れない、という方が二人いたとします。一人は通院記録や検査結果がそろい、症状を医学的に裏づけられて14級が認定された。もう一人は、痛みはあるものの通院が途切れがちで、検査も十分に受けていなかったために非該当となった。同じ「首の痛み」でも、結果が分かれてしまうのです。

この記事でこのあと出てくる言葉を、先に簡単に整理しておきましょう。

症状固定
これ以上治療を続けても改善が見込めない、と医学的に判断された状態。後遺障害の手続きはここから始まります。
後遺障害診断書
残った症状や検査結果を医師がまとめる、認定審査の核となる書類。記載内容が結果を左右します。
逸失利益
後遺障害で労働能力が下がり、将来の収入が減る分を補うお金。後遺障害慰謝料とは別に請求できます。
ワンポイントアドバイス
「後遺症が残った=後遺障害の賠償がもらえる」ではありません。後遺障害として認定されて、はじめて後遺障害分の慰謝料や逸失利益を請求できます。残った症状を等級という形に結びつける手続きが必要だと覚えておきましょう。

なぜ「等級」が重要なのか

後遺障害には、症状の重さに応じて1級から14級までの等級が定められています。もっとも重いのが1級、もっとも軽いのが14級です。そして、この等級によって、受け取れる慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。

たとえば、同じ「痛みが残った」という訴えでも、14級と認定されるのか、それとも非該当(認定されない)となるのかで、賠償額に大きな差が生まれることも珍しくありません。だからこそ、弁護士は後遺障害の等級認定をとても重視するのです。

私たち弁護士の実感としても、後遺障害の等級は、交通事故の賠償全体を左右する「背骨」のような存在です。傷害部分の治療費や入通院慰謝料は、ある程度の幅の中に収まることが多いのに対し、後遺障害が認定されるかどうか、何級になるかは、最終的な金額を大きく動かします。等級が一つ上がれば、慰謝料も逸失利益も増えるからです。逆にいえば、ここを軽く考えて手続きを進めてしまうと、取り返しのつかない差につながることもあります。

後遺障害が認定されると受け取れるお金が変わる

  • 後遺障害慰謝料:後遺症が残ったことへの精神的損害に対する賠償
  • 逸失利益:後遺障害で将来の労働能力が低下したことによる減収分
  • 将来介護費:重度の後遺障害で介護が必要になった場合の費用

後遺障害が認定されると、ケガの治療に対する賠償(傷害部分)とは別に、後遺障害に対する賠償を請求できるようになります。大きく分けて、次の2つです。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、症状が将来にわたって残ることへの精神的な苦痛に対して支払われるお金です。等級ごとに金額の目安が決まっており、等級が上がるほど高くなります。

ここで知っておきたいのが、慰謝料には3つの基準があるという点です。自賠責基準、任意保険基準、そして弁護士基準(裁判基準)で、同じ等級でも金額が変わります。一般に、もっとも高くなるのが弁護士基準です。

3つの基準のうち、自賠責基準は最低限の補償を定めたもので、金額はもっとも低めです。任意保険基準は各保険会社が独自に設けている社内基準で、自賠責基準より少し高い程度のことが多いといえます。これに対して弁護士基準は、過去の裁判例の積み重ねをもとにした基準で、3つの中でもっとも高くなる傾向があります。

三つの基準を並べると、次のような関係になります。

基準 内容 水準
自賠責基準 自賠責保険による最低限の補償を定めたもの 三つのなかで最も低い
任意保険基準 各保険会社が独自に設けている社内基準。内容は公表されていない 自賠責より少し高い程度にとどまることが多い
弁護士基準 過去の裁判例の積み重ねをもとにした基準 最も高く、適正額に最も近い

同じ等級でも、自賠責基準と弁護士基準では数倍の開きが生じます。しかも等級が重くなるほど、その差は金額として大きく広がります。全等級の位置づけをまとめて確認したい場合は、後ほど紹介する一覧記事を参考にしてください。

補足
保険会社が最初に提示してくる金額は、自賠責基準や任意保険基準に近いことが多く、弁護士基準より低くなりがちです。同じ等級でも、交渉次第で受け取れる額が変わると理解しておきましょう。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害が残ったことで労働能力が低下し、本来得られたはずの将来の収入が減ってしまう分を補うお金です。事故前の収入、低下した労働能力の割合、そして将来働ける年数をもとに計算されます。

たとえば、後遺障害によって以前のように働けなくなり、収入が下がってしまった場合、その減収分を将来にわたって補償してもらう、というイメージです。逸失利益は金額が大きくなりやすく、後遺障害の賠償の中核を占めることもあります。

イメージをつかむために、計算の構造を追ってみましょう。後遺障害によって労働能力が一定割合下がったと認定されると、減ってしまう収入を、将来働けると見込まれる年数分まとめて計算します。年数が長く、労働能力の低下が大きいほど、逸失利益は高くなります。後遺障害慰謝料と合わせると、賠償の総額はさらに大きくなります。

実際の計算には、ライプニッツ係数という将来分を現在価値に直すための係数を使うなど、専門的な要素が絡みます。正確な金額は個別の事情で変わるため、目安として押さえておきましょう。

等級ごとの位置づけを一覧で確かめたい方は、次の記事をご覧ください。

実際に自分のケースでいくらくらいになるのか、ざっくりとした目安を知りたい方は、こちらの計算ツールも参考にしてみてください。

交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター

1か月
3か月

自賠責基準

¥120,000

任意保険基準

¥150,000

弁護士基準

¥530,000

弁護士に依頼した場合の増額目安 +¥410,000

※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。

後遺障害等級認定までの流れ

後遺障害の認定は、ある日突然受けられるものではありません。治療の段階から、いくつかのステップを順番に踏んでいきます。流れの全体像を、先に押さえておきましょう。

  1. 治療を続け、医師から「症状固定」と診断される
  2. 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
  3. 等級認定の申請をする(事前認定または被害者請求)
  4. 審査機関で審査が行われ、等級の認定結果が出る

① 症状固定と診断される

症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない、と医学的に判断された状態のことです。後遺障害の認定は、この症状固定を迎えてから進みます。逆にいえば、治療の途中では後遺障害の申請はできません。

押さえておきたいのは、症状固定という区切りを判断するのは主治医であって、治療費を負担している側ではないという点です。保険会社から「そろそろ症状固定では」と治療費の打ち切りを打診されることもありますが、まだ改善の余地があるなら、医師とよく相談することが大切です。

ここはトラブルになりやすい場面です。保険会社は治療費を負担し続ける立場なので、早めの症状固定を促してくることがあります。しかし、十分に治療を受けないまま症状固定としてしまうと、本来認定されたはずの等級が取れなかったり、回復のチャンスを逃したりしかねません。「保険会社が言うから」ではなく、自分の体の状態と医師の判断を基準に考えましょう。打ち切りを打診された段階で弁護士に相談すれば、治療の継続交渉を任せることもできます。この区切りが何を意味するのかは、次の記事で詳しく扱っています。

どちらの方法で申請するかによっても結果は変わります。それぞれの特徴は次の記事で並べています。

② 後遺障害診断書を作成してもらう

症状固定となったら、主治医に後遺障害診断書を作成してもらいます。これは、残っている症状や検査結果を医学的にまとめた、認定審査の核となる書類です。

この診断書の書き方ひとつで、認定結果が左右されることもあります。自覚症状が正確に書かれているか、必要な検査結果が記載されているか。ここはとても重要なので、後ほど注意点として詳しくお伝えします。

後遺障害診断書は、ふだん作成し慣れている医師ばかりではありません。多忙な診療の合間に書かれることも多く、症状の一部が簡潔にまとめられてしまうこともあります。だからこそ、患者側からも、残っている症状や日常生活での支障を具体的に伝えることが大切です。「朝起きると首が回らない」「長時間座っていると腰がしびれる」といった、生活に即した具体的な訴えは、症状の重さを伝えるうえで役立ちます。できあがった診断書は、提出前に内容を確認し、伝えたはずの症状が抜けていないかをチェックしておくと安心です。

③ 等級認定の申請をする

申請の方法には、事前認定と被害者請求の2つがあります。事前認定は、相手方の任意保険会社に手続きを任せる方法で、手間がかかりません。被害者請求は、被害者自身が必要書類をそろえて自賠責保険に直接請求する方法で、手間はかかりますが、提出する資料を自分でコントロールできます。

どちらを選ぶかは、ケースによって有利・不利が変わります。「手間がないから」という理由だけで事前認定を選ぶと、思わぬ結果になることもあるので、慎重に判断したいところです。

事前認定は、相手方の保険会社が手続きを進めてくれるため、被害者は基本的に診断書を渡すだけで済みます。ただし、提出される資料の中身に被害者が関与しにくく、症状を裏づける追加資料を出しづらいという面があります。一方の被害者請求は、自分で資料をそろえる手間はかかるものの、有利な検査結果や意見書を加えるなど、内容を主体的に整えられるのが強みです。症状を確実に伝えたいケースでは、被害者請求が選ばれることも多くあります。

むちうちで認定を目指す場合の考え方は、次の記事でくわしく扱っています。

④ 審査結果が出る

申請後は、損害保険料率算出機構などの審査機関で、提出された資料をもとに審査が行われます。結果として、何級に認定されるのか、あるいは非該当となるのかが通知されます。期間はケースによりますが、数週間から数か月かかることが一般的です。

後遺障害の等級は1級から14級まである

後遺障害の等級は、症状の部位や程度に応じて細かく定められています。全体像をつかむために、代表的な等級のイメージを表にまとめました。

等級の区分 症状のイメージ
1級〜3級 常に介護が必要、または重い障害が残る重度のケース
4級〜9級 労働能力が大きく制限される中等度のケース
10級〜14級 痛みやしびれ、可動域の制限などが残る比較的軽度のケース

重い等級ほど慰謝料も高くなる

等級が上がる(数字が小さくなる)ほど、後遺障害慰謝料も逸失利益も高くなります。労働能力喪失率で見ると、1級が100%であるのに対し、14級は5%。慰謝料の水準も、この差に対応する形で開いていきます。

等級ごとに定まる
後遺障害慰謝料は、被害者の年齢や性別、収入には左右されません。認定された等級に応じて、原則として一律に決まります。ここが、収入や年齢によって変わる逸失利益との大きな違いです。

「たかが等級の違い」と思うかもしれませんが、1つ等級が変わるだけで金額が大きく動きます。だからこそ、適正な等級を勝ち取ることが重要になるのです。

また、後遺障害が一か所だけとは限りません。複数の部位に後遺障害が残った場合は、それぞれの等級を踏まえて、より重い等級に繰り上げる「併合」という扱いがされることがあります。たとえば、首と腰の両方に症状が残ったようなケースです。複数の症状がある場合は、一つひとつをきちんと申請に反映させることで、結果が変わることもあります。「メインの症状だけ伝えればいい」と考えず、残っている症状はもれなく医師に伝えておきましょう。

14級・12級がもっとも多い

交通事故の後遺障害のなかでも、件数として多いのが14級や12級です。むちうち(頚椎捻挫)で痛みやしびれが残ったケースは、その代表例といえます。「むちうちくらいで後遺障害になるの?」と思う方もいますが、要件を満たせば14級が認定されることもあります。判断の枠組みは、次の記事でくわしく扱っています。

症状固定という節目については、次の記事で掘り下げています。

結果に納得できないときの手続きは、こちらの記事にまとめてあります。

後遺障害等級を分ける三つの物差し

1級から14級まで並んでいると、何を基準に分けているのか分かりにくいかもしれません。実は、等級を決める物差しは大きく三つあります。

物差し 対象になる等級 判定の方法
介護の要否 別表第一の1級・2級 常時か随時か。生活のどの場面で介助が必要かを記録で示す
働ける範囲 3級・5級・7級・9級 終身労務不能から相当な程度の制限まで四段階。復職後の実態が材料になる
失われた機能の程度 それ以外の等級 視力、聴力の距離、可動域の割合、切断の位置、補綴の本数といった数値

ご自身の症状がどの物差しで測られるのかが分かると、そろえるべき資料も見えてきます。介護の要否であれば日々の介助の記録、働ける範囲であれば勤務先の証明や復職の経過、機能の程度であれば検査の数値。集めるものがまったく違うのです。

数値で決まる類型は自分でも確かめられる

三つ目の物差しには、判定の基準が数値で明示されているものが数多くあります。関節の可動域であれば健側と比べて何割動くか、歯科補綴であれば何本か、下肢短縮であれば何センチか。診断書に書かれた数値を基準と照らし合わせれば、おおよその見当はつけられます。

裏を返せば、診断書にその数値が記載されていなければ、判定そのものが成り立たないということです。可動域の角度が空欄、健側の数値が抜けている、補綴の本数が明記されていない。この状態で提出してしまうと、本来より軽い等級で終わりかねません。診断書を受け取ったら、その場で目を通す習慣をつけてください。

後遺障害認定で失敗しないための注意点

ここまで流れを見てきましたが、実は、同じような症状でも認定されるかどうかが分かれることがあります。その差を生むポイントを、弁護士の視点で押さえておきましょう。

通院を継続し、間隔を空けすぎない

後遺障害の認定では、症状が一貫して続いていることが重視されます。通院の間隔が大きく空いていたり、途中で通院をやめてしまっていたりすると、「症状はそれほど重くないのでは」と判断されかねません。痛みがあるなら、面倒でも通院を継続することが大切です。

たとえば、仕事が忙しくて月に一度しか通院できなかった、という方もいるでしょう。気持ちはよくわかります。ただ、認定の審査では、通院の頻度や継続性が症状の重さを推し量る材料になります。「痛いけれど我慢して通わなかった」という期間があると、それが不利に働くこともあるのです。無理のない範囲で、できるだけ定期的に通院を続けることをおすすめします。

自覚症状を医師に正確に伝える

痛みやしびれは、外から見えません。だからこそ、自分の口で正確に伝える必要があります。「だいぶ良くなりました」と遠慮して伝えると、その言葉どおりに記録され、後遺障害診断書にも軽く書かれてしまうことがあります。つらい症状は、つらいと正直に伝えましょう。

日本人は、医師の前でつい気を使ってしまいがちです。「先生も忙しそうだし」と、症状を控えめに話してしまう方も少なくありません。けれど、後遺障害の認定では、診察のときに伝えた内容がそのままカルテや診断書に反映されます。我慢して軽く伝えれば、軽い症状として扱われてしまうのです。事故直後から症状固定まで、痛む場所や程度を一貫して伝え続けることが、認定への近道になります。症状の変化をメモに残しておき、診察のたびに伝えるのも一つの方法です。

必要な検査をきちんと受ける

症状を医学的に裏づけるには、検査結果が欠かせません。レントゲンやMRIなどの画像検査、神経学的検査など、症状に応じた検査を受けておくことが、認定の可能性を高めます。

特に、しびれや麻痺といった神経症状は、画像や検査の結果と結びつけて説明できると、医学的な裏づけが強くなります。「痛い」「つらい」という訴えだけでなく、それを客観的に示す材料があるかどうかが、認定の分かれ目になりやすいのです。

注意
「痛みはあるけれど、検査では異常が出ていない」というケースは、認定のハードルが上がります。だからといって諦める必要はありませんが、自覚症状の一貫性や通院状況など、ほかの要素で症状を裏づけることがより重要になります。

後遺障害は弁護士に相談することで結果が変わる

ここまで読んで、「自分でやるのは難しそうだ」と感じた方もいるかもしれません。実際、後遺障害の手続きは専門性が高く、知識の有無で結果が変わりやすい分野です。だからこそ、弁護士のサポートが力を発揮します。

適正な等級を得やすくなる

弁護士は、これまでの経験から、どんな検査が必要で、診断書にどの症状を記載してもらうべきかを把握しています。申請の前段階から関わることで、認定に必要な材料をそろえやすくなり、適正な等級につながる可能性が高まります。

慰謝料を弁護士基準で交渉できる

先ほど見たように、慰謝料には3つの基準があり、弁護士基準がもっとも高くなる傾向があります。被害者本人が交渉すると、保険会社はなかなか弁護士基準まで引き上げてくれませんが、弁護士が代理人として交渉することで、弁護士基準での解決を目指せます。

面倒な手続きや交渉を任せられる

治療やリハビリを続けながら、保険会社とのやり取りや書類集めをこなすのは、大きな負担です。「治療に専念したいのに、交渉のことばかり考えてしまう」という方も少なくありません。弁護士に任せれば、こうした負担から解放され、体と心の回復に集中できます。

弁護士費用特約があれば負担を抑えられます
自動車保険などに弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を保険でまかなえることが多く、自己負担なく依頼できるケースもあります。ご自身やご家族の保険を確認してみましょう。

非該当(認定されない)だったときは

申請したのに等級がつかなかった。この結果を受け取ると、そこで終わりだと感じてしまうかもしれません。ただ、認定理由には判断の根拠が示されています。まずはそこを読み解くところから始めてください。

非該当になりやすい典型的な理由

  • 通院の間隔が空いており、症状が続いていたことを確認できない
  • 事故直後に受診しておらず、症状と事故の結びつきが判断できない
  • 訴えている症状が、途中で部位や内容が変わっている
  • 必要な検査が行われておらず、症状を裏づける材料がない
  • 後遺障害診断書の記載が簡素で、症状の内容が伝わらない

原因によって、次に打つ手はまったく違います。通院実績が足りないのであれば後から取り返すことはできませんが、検査が不足しているだけなら、追加で実施したうえで異議申立てに進む余地があります。

申請したものの、残念ながら非該当となってしまうこともあります。あるいは、自分が思っていたより低い等級になることもあります。そんなときでも、結果をそのまま受け入れるしかないわけではありません。

異議申し立ての前に確認すること

結果に不服がある場合、異議申立てによって再審査を求められます。ただ、同じ資料をそのまま出し直しても結論は変わりません。判断のもとになった前提を覆すだけの材料が必要です。

具体的には、実施していなかった検査を追加する、主治医から症状の程度に踏み込んだ意見書をもらう、日常生活や就労への支障を時系列で整理した書面を作る、といった作業になります。読影を専門とする医師に画像所見の意見を求めることが有効な場面もあります。

申立ての回数に上限はないものの、その間も請求権の時効は進みます。資料を集めるうちに期限が迫ってしまうことのないよう、全体のスケジュールを先に描いておくのが賢明です。

異議申し立てができる

認定結果に納得がいかない場合は、異議申し立てという手続きで、再審査を求めることができます。最初の申請で不足していた検査結果や医師の意見書などを追加して提出することで、結果がくつがえることもあります。

ただし、ただ「納得できない」と主張するだけでは、結果は変わりにくいのが実情です。なぜ非該当となったのかを分析し、それを補う資料をそろえることが必要になります。ここは専門的な判断が求められる場面です。

異議申し立てに回数の制限はなく、新たな資料がそろえば何度でも行えます。とはいえ、やみくもに繰り返しても結果は変わりません。初回の結果通知をよく読み、どの点が不足していたのかを見極めたうえで、追加の検査結果や、症状を裏づける医師の意見書などを準備することが大切です。「最初は事前認定で非該当だったが、被害者請求で資料を整え直して認定された」というケースもあります。あきらめる前に、一度専門家に相談してみる価値は十分にあります。

就労そのものが難しくなった場合にどう評価されるかは、次の記事で扱っています。

後遺障害に関するよくある質問

後遺障害の申請はいつからできますか?

症状固定と診断されてからです。治療の途中では申請できません。まずは医師の判断を仰ぎ、症状固定を迎えてから手続きに進みます。

弁護士に頼むと等級は上がりますか?

必ず上がるとはいえませんが、適正な等級を得られる可能性は高まります。弁護士は、どんな検査が必要か、診断書にどの症状を記載してもらうべきかといった点を踏まえてサポートできるためです。慰謝料の基準も弁護士基準で交渉できるため、結果として受け取る額が増えることも多くあります。

後遺障害の申請に費用はかかりますか?

診断書の作成料や、被害者請求の場合の必要書類の取得費用などがかかります。弁護士に依頼する場合は弁護士費用もかかりますが、弁護士費用特約を使えば、自己負担なく依頼できることも多いです。

症状固定の時期は誰が決めるのですか?

医学的な判断として、主治医が決めるのが原則です。保険会社が治療費の打ち切りを打診してくることはありますが、それと症状固定の時期は別問題です。まだ改善の余地があるなら、医師とよく相談しましょう。

むちうちでも後遺障害になりますか?

なる場合があります。むちうち(頚椎捻挫)で痛みやしびれが残り、要件を満たせば14級などが認定されることがあります。ただし、画像で異常が出にくいため、通院の継続や自覚症状の一貫性がより重要になります。

後遺障害の認定結果が出るまでどのくらいかかりますか?

ケースによりますが、申請からおおむね数週間から数か月が一般的です。症状や提出資料の内容によって前後します。結果を急がず、必要な資料をしっかりそろえることが、結果的に近道になることもあります。

豆知識
後遺障害が認定されると、傷害部分の賠償(治療費・入通院慰謝料など)に加えて、後遺障害慰謝料と逸失利益が上乗せされます。賠償の総額が大きく変わる分岐点が、この等級認定なのです。

自分のケースで賠償額がどのくらいになりそうか、おおまかな目安を確認したい方は、こちらの計算ツールもあわせてご利用ください。

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※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。

まとめ

交通事故の後遺障害は、治療を続けても残ってしまった症状が、自賠責の等級として認定されたものをいいます。後遺症と後遺障害は別物であり、等級が認定されてはじめて、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるようになります。

認定までの流れは、症状固定→後遺障害診断書→申請(事前認定か被害者請求)→審査結果、という順番です。そして、通院の継続や自覚症状の伝え方、検査の受け方といった、ちょっとした工夫が認定の可能性を左右します。

後遺障害は、賠償額が大きく動く重要な分岐点です。「症状が残りそうだ」と感じたら、早めに弁護士へ相談することで、適正な等級と賠償を受け取れる可能性が高まります。ご自身だけで背負い込まず、専門家に力を貸してもらうことも考えてみてください。

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