2019/12/20 381view

逸失利益とは?交通事故における考え方と計算方法、慰謝料請求のポイント

この記事で分かること
  1. 逸失利益とは交通事故がなければ本来は得られたであろう利益のことである。
  2. 交通事故における逸失利益は後遺障害逸失利益と死亡逸失利益に分けられる。
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けることが大切である。
  4. 後遺障害の認定を被害者請求で行うと逸失利益を増額させることができる場合がある。

交通事故における逸失利益は、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益に分けられます。基本的には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の計算方法は同じです。逸失利益を増額させるためには、適正な後遺障害等級認定を受けることが大切です。後遺障害の認定は、相手方の保険会社一任する事前請求よりも、被害者自身が行う被害者請求の方が適正な後遺障害の認定を受けられる可能性が高まります。

交通事故における逸失利益とは

交通事故における逸失過失とは何なのでしょうか。交通事故における逸失利益は、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益に分けられます。

後遺障害事故における逸失利益

交通事故の後遺症があると、仕事の際に後遺症のため集中できなかったり、仕事に行けなかったりする場合があります。すると、もし後遺症がなければ得られたであろう収入が失われてしまうことになります。

後遺障害事故における逸失利益とは、後遺症が原因で失った、得られるはずであった利益のことです。

死亡事故における逸失利益

死亡事故における逸失利益とは、交通事故が原因で被害者が死亡してしまった場合に、死亡しなかったら将来得られたであろう利益のことです。

ワンポイントアドバイス
交通事故における逸失利益には、後遺障害事故と死亡事故に分けられます。逸失利益について知っておかないと、交通事故の相手側から低い金額を提示されても、この金額が妥当かどうか判断がつきません。あらかじめ逸失利益について理解を深めておきましょう。

逸失利益の計算方法

交通事故で後遺障害が残存した場合

次に、交通事故での逸失利益の計算方法について解説していきます。まずは、交通事故で後遺障害が残存した場合についてです。

交通事故における後遺障害逸失利益は、逸失利益の計算式は以下のようになります。

基礎収入 × 後遺症による労働能力喪失率 × 喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入の算出方法

会社に勤務している給与所得者の基礎収入は、基本的に事故前の収入額を基礎として計算していきます。しかし、若年労働者で事故前の年収が低い場合は全年齢平均賃金を基礎収入として計算することもあります。

事業所得者の場合は、前年度の確定申告額に基づく収入額から固定経費以外の経費を差し引いた金額を基礎収入とします。主婦や学生の場合は、全年齢平均賃金を基礎収入とします。

労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺症が原因で失われる労働能力を数値化したものです。「労働能力喪失率表」表を参考にして、その他の事情も考慮しながら労働能力喪失率を計算していきます。

障害等級 障害等級
第1級 100/100 第8級 45/100
第2級 100/100 第9級 35/100
第3級 100/100 第10級 27/100
第4級 92/100 第11級 20/100
第5級 79/100 第12級 14/100
第6級 67/100 第13級 9/100
第7級 56/100 第14級 5/100

労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間は、症状固定時から67歳までの期間のことです。しかし、後遺症によっては67歳よりも短い労働能力喪失期間であると判断させることもあるため注意が必要です。

ライプニッツ係数

逸失利益を算定では、長期間にわたる収入減少を予想して算定します。中間利息を控除する際に「ライプニッツ係数」が用いられます。

例えば、利率5%のライプニッツ係数を計算式は以下のようになります。

1年の場合 1÷1.05≒0.952
2年の場合 {1÷1.05}+{1÷(1.05×1.05)}≒1.859

年数 ライプニッツ係数
1 0.952
2 1.859
3 2.723
4 3.546
5 4.329
6 5.076
7 5.786
8 6.463
9 7.108
10 7.722

死亡事故の場合

死亡事故での逸失利益の計算方法についても、基本的には後遺障害の場合と同様です。異なる点としては、被害者が死亡しているため労働能力喪失率は100%となることと、生活費を控除して計算することです。

死亡事故の場合の逸失利益の計算方法を以下の通りです。

基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対するライプニッツ係数

基礎年収と就労可能年数に対するライプニッツ係数は後遺障害逸失利益の計算方法と同様です。

生活費控除率

生活費控除率とは、将来的に必要であったと予測される生活費の支出の率です。

生活費控除率を以下の通りです。※下記に示す生活費控除率はあくまで目安です。

%
被扶養者1人 40%
被扶養者2人 30%
女性(女児・主婦を含む) 30~40%
男性単身者(男児を含む) 50%
ワンポイントアドバイス
交通事故における後遺障害と死亡事故の場合の逸失利益の計算方法は基本的には同様です。しかし、死亡事故の場合は労働能力喪失率が100%となります。その代わりに、死亡事故の場合は生活費を控除して計算されます。事前に計算方法を確認しておきましょう。

交通事故での逸失利益を増額させるには?

適正な後遺障害等級認定を受ける

交通事故での逸失利益を増額させるにはどのようにすればよいのでしょうか。逸失利益を増額させるには、相手側の保険会社に後遺障害の請求を行うことが重要になります。

なぜならば、まずはじめに交通事故により後遺障害が残存した事実を認定してもらう必要があるためです。

後遺障害等級の認定で慰謝料が増額する

交通事故での後遺障害が残存した場合は、後遺障害慰謝料を請求することもできます。後遺障害には症状の重症度により等級が設定されています。どの等級に認定されるかによって後遺障害慰謝料は変わってきます。

後遺障害の等級は「自動車損害賠償保障法施行令」の別表第1と別表第2に定められています。別表第1は要介護の後遺障害に関するもの、別表第2は要介護でない後遺障害に関するもので、1級から14級までの等級に分けられています。

後遺障害の認定は被害者請求で行う

交通事故による後遺障害の認定を受けるための方法は2つあります。1つ目は、全て相手方保険会社に任せる事前認定という方法です。2つ目は、被害者自身が自分で手続き等を行い申請する被害者請求です。

事前認定の場合は、相手方の保険会社にすべて任せることになるため、適正な等級を獲得できるという保証はありません。そのため、後遺障害の認定は被害者請求で行いましょう。

相手方保険会社の対応に任せない

前述の通り、交通事故における後遺障害の認定の方法は2つあります。

後遺障害の認定について、相手方の保険会社に一任できる事前認定は、被害者が手続きや書類の作成などを行う必要がないというメリットがあります。しかし、相手方保険会社の対応に任せてしまうと、適正な認定が下りないことがあるため注意が必要です。

なぜならば、被害者請求を行うと、最新の検査や診断書を提出することもできます。被害者請求では、被害者の主張をしっかりと行うことができます。また、事前認定の場合は、後遺障害等級認定後も示談が成立しなければ保険金は支払われることはありません。被害者請求では、認定や示談成立に関係なく、等級に応じた保険金が支払われるというメリットもあります。

ワンポイントアドバイス
交通事故で逸失利益を増額させるには、適正な後遺障害等級認定を受けることが重要になります。相手方の保険会社に全てを任せてしまうと適正な認定が下りないことがあります。そのため、しっかりと被害者自身で手続きを行う被害者請求を行いましょう。

交通事故での適正な逸失利益の請求は弁護士に相談を

前述の通り、交通事故での適正な逸失利益を請求するためには、相手方の保険会社に任せないことが大切です。

しかし、保険会社の担当者を相手に交渉に慣れていない被害者やその家族が1人で交渉を有利にすすめることは難しいでしょう。そのため、被害者である自分に不利な条件で認定や慰謝料額について合意をしてしまうことも考えられます。

そこで、逸失利益の請求について弁護士に相談することで、逸失利益の金額が増額する可能性が大きくなったり、後遺障害の認定手続などの労力が削減できたり、後遺障害等級も取りやすくなります。また、交通事故に関する知識が多いため、保険会社との交渉も有利にすすめることができます。

まずは、お気軽に弁護士に相談してみましょう。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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上記に当てはまるなら弁護士に相談