2019/11/28 27view

無過失責任とは?交通事故における無過失責任の事例と影響

この記事で分かること
  1. 無過失責任とは、損害や人への危害が加わってしまった際に故意や過失の有無に関わらず損害賠償の責任を負うことである。
  2. 無過失責任は、民法と自動車損害賠償保障法によって定められている。
  3. 過去には、交通事故において無過失を証明できないとして傷害賠償請求が求められた事例がある。
  4. 交通事故における損害賠償は、自動車損害賠償保障法上の3つの条件を満たし証明すれば責任を負う必要はない。
  5. 無過失を証明したい場合や示談交渉については弁護士に相談を。

無過失責任とは、過失や故意の有無に関わらず損害賠償の責任を負うことです。交通事故においては、3つの条件を満たし無過失であることを証明すれば損害賠償の責任を負う必要はなくなります。

無過失責任とは?

無過失責任とは

無過失責任とは、損害や人への危害が加わってしまった際に、加害者の故意や過失の有無に関わらず損害賠償の責任を負うことです。

加害者側に無過失責任が問われる背景として、「危険責任」という考え方があります。危険責任とは、社会に対して危険をつくり出している場合、危険を防止する能力を有しているという考え方です。

無過失責任の民法上の定め

では、無過失責任は法律上でどのように定められているのでしょうか。次に、民法上での無過失責任の定めについて解説します。

民法709条において無過失責任は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。そのため、加害者がその行為について故意や過失が無くても、被害者に危害が加わった場合は損害賠償責任を負うことになります。

ワンポイントアドバイス
他人に危害を加えてしまった場合、自分自身に全く故意や過失がなくても、責任を問われる可能性があります。

交通事故における無過失責任

無過失責任の自動車損害賠償保障法上の定め

民法における無過失責任とは、故意や過失がない場合であっても危害が加わった場合は損害賠償責任を負うとされています。では次に、自動車自賠保障法上の無過失責任の定めについて解説していきます。

自動車損害賠償保障法第3条においては、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」と定められています。

自動車損害賠償保障法では民法と異なり、故意や過失の有無の文言は明記されていません。このことから、自動車損害賠償保障法上での損害賠償責任は、加害者側に故意や過失があった場合に責任を負うことになります。

ワンポイントアドバイス
自動車損害賠償保障法上での無過失責任は、民法での定めとは異なり「故意または過失」ある場合に損害賠償責任を負うとされています。民法と自動車損害賠償保障法では、無過失責任の定めが異なるため注意が必要です。

交通事故における無過失責任の事例

無過失を証明できないとして運転手に損害賠償を命じた判例

次に、交通事故の無過失責任について争われた実際の事例を紹介します。

平成27年の4月、男子大学生が居眠り運転をしてセンターラインを越えて乗用車と会社員が運転する乗用車と正面衝突した事故において、福井地方裁判所は居眠り運転によって突っ込まれた運転手の無過失が証明できないとして4,000万円の賠償を負う義務があると判決を下しました。

この事例より、明らかに被害者側が無過失であっても、無過失であることを証明できなければ損害賠償の責任を負う可能性があることがわかります。

ワンポイントアドバイス
交通事故の無過失責任が争われた過去の事例より、無過失責任を証明できない場合は損害賠償責任を負うことになることがわかります。

交通事故での無過失責任は示談や問題解決にどう影響する?

無過失では自分の保険会社が示談交渉の代理をしてくれない

交通事故において被害者が無過失の場合、その後の示談にも影響が及びます。交通事故で無過失の場合は、自分の保険会社が代理で示談交渉を行ってくれる可能性が低くなってしまうためです。通常であれば、交通事故後に自分の保険会社が相手の保険会社と示談交渉を行います。

なぜならば、自分に過失がある場合、保険会社が相手に対して損害賠償金を支払う必要があるためです。しかし、交通事故における自分の過失がない場合、保険会社は相手に対して損害賠償金を支払う必要がありません。そのため、保険会社は示談の代理を行わない可能性が高くなってしまいます。

自分で示談交渉をすると有利に問題解決をすすめられない

保険会社が示談交渉の代行を行ってくれない場合、自分一人で相手の保険会社と示談交渉を行わればいけません。示談交渉に慣れていない素人が、交渉のプロである相手の保険会社の担当者を相手に示談交渉していくことは大きな負担になってしまうでしょう。

また、保険会社を相手に自分に有利となるような問題解決に向けての交渉をすすめることは至難の業です。

ワンポイントアドバイス
交通事故で無過失の場合は、自分の保険会社が示談交渉の代理を行ってくれない可能性があります。そのため、被害者本人が1人で相手の保険会社を相手に示談交渉を行わなくてはなりません。交通事故の問題解決に向けて有利に話をすすめることが難しいでしょう。

交通事故での無過失責任への対処法

損害賠償責任を負わなくてよい条件

交通事故において、すべての場合に損害賠償責任を負わなくてはならないのでしょうか。過失のない被害者の場合、損害賠償責任を負わなくてはならないのは納得がいかないですよね。

自動車損害賠償保障法第3条には、「ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。」と定められています。このことから、前述の3つの条件を満たし、無過失を証明できれば損害賠償責任を負う必要がありません。

では次に、3つの条件について詳しく解説していきます。

条件1 運行に関し注意を怠らなかったこと

条件の1つ目は、「運転者が運行に関し注意を怠らなかったこと」です。

道路交通法の定めである一旦停止やスピード規制、センターラインをはみ出していないなど、すべて守っていることを証明する必要があります。客観的な証拠として、ドライビングレコーダーや目撃者の証言、刑事記録などがあります。

条件2 被害者又は運転者以外の第3者に故意又は過失があったこと

条件の2つ目は、「被害者又は運転者以外の第3者に故意又は過失があったこと」です。

相手が赤信号を守らずに運行していたことや、センターラインをはみ出していたことなど明らかな故意・過失行為があったことを証明することが必要です。証拠として、目撃者の証言や、道路のタイヤ痕などで証明できることなどがあります。

条件3 自動車に構造上の欠陥又は機能の障害が無かったこと

条件の3つ目は、「自動車に構造上の欠陥又は機能の障害が無かったこと」です。

自分の自動車が法定点検を受けており、車の整備が完璧であったことを証明する必要があります。

以上の3つの条件を満たしたと認められると、損害賠償責任を負う必要がなくなります。

ワンポイントアドバイス
交通事故において損害賠償責任を負う必要のないのは、①運行に関し注意を怠らなかったこと ②被害者又は運転者以外の第3者に故意又は過失があったこと ③自動車に構造上の欠陥又は機能の障害が無かったことの3つの条件を満たし、証明した場合です。

無過失責任を問われてお困りの方は弁護士に相談を

弁護士特約で弁護士費用は無料になる

交通事故による無過失責任を問われてお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。一人で無過失を争っていくことは大変です。そんな時に、法律の専門家である弁護士がいてくれたら心強いですよね。

そこで、弁護士特約を利用すれば、無料で弁護士に相談や依頼をすることができます。弁護士特約とは、交通事故時の弁護士費用を、保険会社が限度額まで負担する保険特約です。

弁護士費用特約の費用の種類と限度額について
法律相談料 1つの交通事故について10万円
着手金、実費、報酬金、日当などの事件対応にかかる費用 1つの交通事故について300万円

弁護士へ示談交渉の代理人などを依頼できる

交通事故において、自分の無過失を客観的な証拠を集めて証明することは大変な作業になります。明らかに、自分に過失がなくて交通事故に巻き込まれてしまった場合、無過失責任を問われて納得がいかない方は弁護士にご相談下さい。弁護士に依頼すると、客観的な証拠集めから、無過失の立証までサポートを受けることができます。

また、交通事故において無過失の場合、自分の保険会社が示談交渉の代理を行ってくれる可能性が低くなってしまいます。交渉のプロである相手の保険会社を相手に、有利に交渉をすすめていくことは難しいでしょう。弁護士へ示談交渉の代理人を依頼することができるので気軽に相談してみましょう。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
保険会社が治療打ち切りを通告してきた
適正な後遺障害認定を受けたい
交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談