2019/12/13 483view

後遺障害等級認定への異議申し立て~認定結果に納得できない場合に取るべき対応

この記事で分かること
  1. 後遺障害等級認定の結果が不当だった場合には、自賠責保険への異議申し立て、自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請、訴訟提起といった異議申し立て制度を活用しましょう。異議申し立てには新たな医証が必要ですが、弁護士は医証の取り付けサポートや、正しい等級を得るための主張・立証を行ってくれます。ぜひ弁護士に相談を!
  2. 異議申し立て制度は、「自賠責保険への異議申し立て」、「自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請」、「訴訟提起」の3種類
  3. 異議申し立てには新たな医証が必要
  4. 交通事故専門弁護士は、新たな医証の取り付けサポートや、医証を使って正しい後遺障害等級認定を得るための主張・立証を行ってくれる

後遺障害等級認定の結果に納得できない場合には、異議申し立て制度を活用しましょう。異議申し立てには、これまでに提出していない新たな医証の提出が不可欠ですので、交通事故専門弁護士に相談して異議申し立てを成功させましょう。

後遺障害等級認定の異議申し立て方法

交通事故で後遺症を負ったにも関わらず、後遺障害等級認定で非該当となったり、あるいは不当に低い等級の認定しか受けられなかったりした場合には、被害者はどうしたらよいでしょうか?

そんなときは、ぜひ「異議申し立て」制度を活用しましょう。

異議申し立てとは、後遺障害等級認定の結果を不服として等級を争う手続きです。

異議申し立て方法には

  • 自賠責保険への異議申し立て
  • 自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請
  • 訴訟提起

の3種類がありますので、以下で詳しく見てみましょう。

自賠責保険への異議申し立て

自賠責保険への異議申し立ては、3種類の異議申し立て方法の中で最も一般的で、自賠責保険に異議申立書と新たな立証資料を提出して行います。

自賠責保険への異議申し立てには、後遺障害等級認定の申請時と同じく、被害者自身が直接自賠責保険に申し立てる「被害者請求」と、被害者が加害者の任意保険を通じて自賠責保険に申し立てる「事前認定」の2種類があります。

自賠責保険への異議申し立ては費用がかからず、何度でも申し立てが可能です。

自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請

自賠責保険・共済紛争処理機構とは、自動車損害賠償保障法に基づく「指定紛争処理機関」として国土交通大臣及び金融庁長官が指定した裁判外の紛争処理機関です。

自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険・共済から支払われる保険金・共済金等に関して発生した紛争を適確に解決するため、公正・中立な立場から判断を行ってくれます。

紛争処理申請は、費用がかからない点では自賠責保険への異議申し立てと同様ですが、申請は1度きりしかできません。

訴訟提起

訴訟提起は、異議申し立ての奥の手とも言える方法です。自賠責保険への異議申し立てや自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請でも納得のいく結果が得られない時に、訴訟提起を行うのが通常の流れです。

なお訴訟提起する場合は、相応の手続き費用が発生します。

ワンポイントアドバイス
異議申し立て方法の中でも最終手段である訴訟では、後遺障害の程度を裁判官に正しく理解してもらい適正な等級認定を得るために、十分な主張・立証が必要です。その点、交通事故の後遺障害に詳しい弁護士に依頼すれば、法的根拠のある主張・立証が可能です。

訴訟は長期化しやすく労力を要しますが、弁護士に依頼することで被害者の負担を軽減できるのも、弁護士に依頼するメリットの一つです。

後遺障害等級認定の異議申し立ての進め方・流れ

後遺障害等級認定の異議申し立ての進め方・流れについて、3つの異議申し立て方法ごとに説明します。

自賠責保険への異議申し立て

1.異議申立書の作成・立証資料の収集

まず異議申立書の作成ですが、後遺障害等級認定の異議申立書には決まった書式はなく、下記の必要事項さえ記載していれば自分で自由に作ることもできます。

必要事項
  • 申立書作成日
  • 宛先
  • 申立人の住所、氏名、連絡先
  • 交通事故証明書の証明書番号
  • 事故日
  • 被害者名
  • 異議申し立ての主旨(認定を求める等級・その医学的根拠など)
  • 添付資料名

次に立証資料ですが、これまでに提出していない新たな医証として、下記を収集・添付します。これらはすべて任意ですが、今までの等級認定について反証できる資料がなければ、納得のいく等級認定を得ることは不可能であることを理解し、十分な資料をそろえましょう。

任意の立証資料
  • 後遺障害診断書
  • 診療記録(カルテ)
  • MRI等の検査画像や検査結果
  • 医師の意見書
  • 医療照会回答書

など

2.異議申立書・立証資料の提出

自賠責保険への異議申し立てには、初回の後遺障害等級認定申請時と同様に、被害者自身が直接自賠責保険に申し立てる「被害者請求」と、被害者が加害者の任意保険を通じて自賠責保険に申し立てる「事前認定」とがあります。

異議申立書・立証資料の提出先は、「被害者請求」の場合は自賠責保険、「事前認定」の場合は加害者の任意保険です。

3.審査

異議申し立て後は、損害保険料率算出機構「自賠責保険審査会」内にある「後遺障害の専門部会」で審査されます。これには、審査の客観性・専門性を確保するために、日本弁護士連合会が推薦する弁護士、専門医、交通法学者、学識経験者等、外部の専門家が参加しています。

この審査後、自賠責保険が改めて後遺障害等級認定を行います。

自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請

1.紛争処理申請書の作成・立証資料の収集

紛争処理申請書ですが、これには自賠責保険・共済紛争処理機構が指定する書式があります。記載事項は以下のとおりです。

記載事項
  • 申請年月日
  • 被害者の氏名、生年月日、住所、電話番号、事故時年齢、性別
  • 相手方の氏名、住所、性別
  • 申請者(自賠責保険等に対する支払請求権者)の氏名、住所、電話番号、当事者との続柄、性別
  • 申請者の代理人の氏名又は名称、住所、電話番号、申請者との関係、性別
  • 支払請求先保険会社・共済組合の会社名、支店名等、担当者名、電話番号
  • 紛争処理を求める事項
  • 交通事故発生日
  • 相手方の自賠責保険会社・共済組合名
  • 保険・共済証明書番号
  • 他で手続き中の場合、機関名

紛争処理申請書に加え、以下の添付資料を用意します。

添付資料
  • 別紙(紛争処理申請書の「紛争処理を求める事項」について具体的に記載したもの)
  • 同意書
  • 委任状(代理申請の場合のみ)
  • 委任者の印鑑証明書(代理申請の場合のみ)
  • 交通事故証明書
  • 保険会社又は共済組合からの通知書(回答書)
  • 証拠資料、その他参考資料

「紛争処理を求める事項」を記載する「別紙」はパソコン用紙等の使用も可能です。この別紙には、紛争の問題点や交渉の経過の概要及び請求の内容などを詳しく書く必要があるため、定形書式を使うよりもパソコン等を使って過不足なく経緯や主張を述べることをお勧めします。

証拠資料(立証資料)は、自賠責保険への異議申立と同様に、これまでに提出していない新たな医証を添付します。

2.紛争処理申請書・立証資料等の提出

紛争処理申請書・立証資料等を自賠責保険・共済紛争処理機構の最寄りの事務所に送付します。

最寄りの事務所
  • 近畿、中・四国、九州・沖縄 地域 → 大阪支部
    〒541-0051 大阪府大阪市中央区備後町3-2-15 モレスコ本町ビル2階
  • それ以外の地域 → 本部(東京)
    〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-4 龍名館本店ビル11階

3.審査

公正中立で専門的な知見を有する第三者である弁護士、医師及び学識経験者で構成する紛争処理委員が、紛争処理委員会において、保険会社・共済組合の保険金・共済支払内容の妥当性について、申請書類の審査を行います。当事者や代理人が出頭することはありません。

訴訟提起

訴訟提起する場合は、裁判所に訴状・立証資料等を提出します。

裁判所は、損害保険料率算出機構の認定した後遺障害等級に拘束されませんので、主張・立証のしっかりとした訴状・立証資料等を提出すれば、後遺障害等級を上位級に見直してくれる場合があります。

もっとも裁判所は、損害保険料率算出機構の認定した後遺障害等級を重視する傾向がありますので、すでに出ている後遺障害等級認定について反証し、正しい後遺障害等級の認定を主張・立証するには、交通事故専門弁護士に相談するのがベストです。

なお訴訟提起した場合は、解決まで時間がかかります。どの程度の時間を要するのかは事案によっても違いますが、交通事故専門弁護士に依頼すれば、複数回に渡る裁判所との遣り取りも代理してくれるので、被害者の負担が軽減します。

ワンポイントアドバイス
異議申し立てに提出する医証をそろえるためには、医師の協力が必要です。交通事故の後遺障害に詳しい弁護士であれば、主治医から適切な意見書・医療照会回答書を得るためにサポートしてくれますし、中には医師の診察に同席してくれる弁護士もいますので、ぜひ後遺障害に詳しい弁護士の力を借りましょう。

異議申し立てで正しい後遺障害等級認定を獲得するコツ

初回の認定で提出した後遺障害診断書の内容をチェック・修正

異議申し立て前に、初回の後遺障害等級認定で提出した後遺障害診断書が、実際の症状に合致する内容だったか、不備や不足はないか等をチェックします。

手元の後遺障害診断書には、後遺障害に関連する傷病名・症状はきちんと書かれているでしょうか。もし後遺障害診断書に不備や記載不足があった場合は、主治医に相談し、後遺障害診断書を修正する必要があります。

立証資料の追加

異議申し立てで納得のいく等級認定を得るためには、新たな医証を追加する必要があります。ただ感情的に、「等級内容が不満だ」と主張しても異議申し立ては認められません。

医証を用意する具体的な方法としては、

  • 新たな医学的検査を受け、検査結果をまとめる
  • 医師の意見書を取り付ける
  • 医療照会を行って回答書を取り付ける

などを行う必要があります。

医学的検査とは

医学的検査とは、MRIやCTなどの検査のことです。

交通事故で最も多い「むち打ち」を例に取ると、正しい後遺障害等級を得るためには、

  • 関節可動域検査
  • 徒手筋力検査
  • 筋萎縮検査
  • 腱反射テスト
  • 神経根症状誘発テスト
  • 知覚検査
  • 電気生理学的検査

などの検査も有効です。

ワンポイントアドバイス
異議申し立てで正しい後遺障害等級を獲得するためには、医証の充実化が欠かせません。しかし、どういった検査を受ければいいか、どのような内容の医師の意見書・医療照会回答書を取り付ければいいかは、一般の方には判断が難しいです。

その点、後遺障害に詳しい弁護士であれば、法的知識だけではなく後遺障害に関する医学的知識も駆使し、被害者を助けてくれます。

自賠責保険への異議申し立てで等級変更が認められなかった場合

異議申し立てで等級変更される確率は約9%

自賠責保険への異議申し立ては、3種類の異議申し立て方法の中でも最もメジャーな方法です。

しかし、自賠責保険への異議申し立てで後遺障害等級が変更された件数は、審査件数12,390件のうちわずか1,165件に過ぎず、割合に直すと全体の約9%しか等級変更されていません(※)。

異議申し立てで被害者の期待する等級を得るのは、そう簡単なことではないのです。

参照元:損害保険勝率算出機構「2018年度版自動車保険の概況」

再度の異議申し立てをしよう

では、自賠責保険への異議申し立てで等級変更がされなかった場合、被害者はどうすべきでしょうか?

結論から言えば、被害者は再度、自賠責保険への異議申し立てを行うべきです。なぜなら自賠責保険への異議申し立ては何度でもでき、費用もかからないからです。

再度の異議申し立てで正しい等級認定を獲得するコツは、基本的には前述した「異議申し立てで正しい後遺障害等級認定を獲得するコツ」と同じです。

重要なのは新たな医証であり、医証において

  • 障害が残っている事実
  • 障害が事故に起因する後遺障害であること(因果関係があること)
  • これ以上の治療を加えても症状の回復が不可能であること
  • 症状の一貫性、連続性、常時性

などを立証することが重要です。

ワンポイントアドバイス
異議申し立てで等級変更される確率は約9%と非常に少ないものです。しかしながら、その中には十分な医証を用意せず申し立てをしてしまったケースが含まれていると思われます。逆に言えば、医証を充実化させることで、正しい後遺障害等級を獲得することは可能です。

後遺障害に詳しい弁護士に相談すれば、どのような医証を用意すればいいかアドバイスしてもらえますので、一度相談してみましょう。

後遺障害等級認定の異議申し立ては弁護士に相談を!

まとめ:異議申し立てには医証の充実化が大切

後遺障害等級認定に不服がある場合には、

  • 自賠責保険への異議申し立て
  • 自賠責保険・共済紛争処理機構への紛争処理申請
  • 訴訟提起

をすることで対処しましょう。

特に自賠責保険への異議申し立ては、何度でも申請ができ手数料もかかりませんのでお勧めです。

自賠責保険への異議申し立てをする際には、事前認定ではなく被害者請求を選択し、みずからの手で新たな医証を充実化させるのがベストです。そのためには、新たな検査結果や医師の意見書、医療照会回答書などを、主治医の協力を得てきちんとそろえましょう。

交通事故専門弁護士は、後遺障害等級認定の異議申し立てに詳しい

医証を用意するには医師の協力が必要ですが、いくら医学的知識のある医師でも、後遺障害等級認定の異議申し立て制度に通じている方はそういません。異議申し立てに有効な医証をどのように取り付けるべきか適切なアドバイスをしてくれるのは、なんといっても交通事故専門弁護士です。

交通事故専門弁護士は、医証取り付けのアドバイスだけではなく、取り付けた医証を使って正しい後遺障害等級を獲得できるよう、法的に説得力のある主張・立証を行ってくれます。

こうしたことをスムーズに行うのは、専門知識のない素人には困難です。もし後遺障害等級認定の結果に納得できず、異議申し立てをお考えならば迷わず交通事故専門弁護士に相談しましょう。

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