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弁護士選びは「探す」より「比べる」
交通事故を弁護士に任せようと決めたあと、多くの方が次の壁にぶつかります。誰に頼めばいいのか、という壁です。検索すればいくらでも事務所は出てきます。どこも「交通事故に注力」「増額実績多数」と書いてある。それを読んでも、違いが分かりません。
選び方を難しくしているのは、情報が足りないことではなく、比べる軸を持っていないことです。軸さえ決まれば、候補を並べて順番をつけられます。逆に軸がないまま探し続けると、いつまでも決まらないか、最初に目に入った事務所に流されるかのどちらかになります。
弁護士には、医師の診療科のような公的な区分がありません。広告で「専門」と表示することにも制限があり、外から専門性を見分けにくい構造になっています。だからこそ、依頼する側が自分なりの物差しを持って確かめる必要があるのです。
ただ、物差しといっても難しいものではありません。この事故の争点を扱えるか、費用の説明が具体的か、連絡が取りやすいか、話しやすいか。この四つで足ります。順番に確かめていけば、候補は自然に絞られていきます。
時間をかけすぎるのも考えものです。探している間にも手続きは進みますし、治療中であれば整えておくべき記録が積み上がっていきます。二週間ほどで候補を絞り、相談まで済ませる。このくらいの速さを目安にしてください。
想像してみてください。三つの事務所に相談したとします。一つ目は「増額できます」と力強く言い切った。二つ目は「この点は動きますが、この点は難しい」と分けて説明した。三つ目は解決までの流れを図に描いて示した。どれが良いかは一概に言えませんが、少なくとも一つ目は判断材料が最も乏しい説明です。
結果を約束できる事案は、そう多くありません。相手の出方によって進み方が変わりますし、後遺障害の判断は審査に委ねられます。にもかかわらず言い切れてしまうのは、事案の難しさを見ていないか、依頼を取ることを優先しているかのどちらかです。
この記事では、候補の見つけ方から、面談での確かめ方、契約前の確認、そして依頼した後に合わないと感じたときの対応まで、決めるまでの手順を順番に説明します。
なお、この記事で扱うのは「どうやって決めるか」という進め方です。交通事故の分野でどんな知見が求められるのか、その中身については別の観点になりますので、あわせて確認してみてください。
候補の見つけ方には四つのルートがある
まず、どこから候補を集めるか。ルートごとに性質が違います。
| ルート | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 自分で検索する | 候補が多く、比較しやすい。情報の見極めは自分で行う | じっくり比べたいとき |
| 知人や他士業からの紹介 | 人柄が事前に分かる。断りにくいという難点がある | 信頼できる紹介元があるとき |
| 保険会社からの紹介 | 手続きが早い。自分で選ぶという発想が抜けやすい | 急いで代理人を立てたいとき |
| 弁護士会や公的窓口 | 担当は持ち回り。分野の一致は保証されない | まず一般的な意見を聞きたいとき |
どのルートでも構いませんが、一つだけ覚えておいてください。紹介を受けたからといって、その事務所に決めなければならない義理はありません。とくに保険会社からの紹介については、紹介された相手でなければ弁護士費用特約が使えない、という決まりはありません。自分で探した事務所に依頼して特約を充てることができます。
知人からの紹介にも同じことが言えます。紹介してくれた方への気兼ねから、合わないと感じても言い出せなくなるのはよくある展開です。紹介はあくまで候補が一つ増えただけだと考え、他と同じ基準で比べてください。
検索するときの手がかり
検索から探す場合、事務所のページで次の点を見ます。
- 交通事故の解決事例が、事故の型や争点まで書かれているか
- 後遺障害の等級認定について、独立した説明があるか
- 費用の説明が具体的で、計算方法まで示されているか
- 弁護士費用特約への対応が明記されているか
- 相談から解決までの流れが示されているか
抽象的な言葉ばかりが並んでいるページは、この分野の取扱いが多くない可能性があります。逆に、争点の名前や手続きの段階が具体的に書かれていれば、日常的に扱っている手ざわりが伝わってきます。
ただし、ページの作り込みと実際の対応が一致するとは限りません。広告に力を入れている事務所もあれば、紹介だけで成り立っていてページが簡素な事務所もあります。ページはあくまで候補を絞るための材料で、判断は相談してから下すものだと考えてください。
口コミや評価の点数についても、同じことが言えます。交通事故の依頼は、結果に納得できたかどうかで印象が大きく変わります。書かれている内容が、自分の事案と近い状況の話なのかどうかまで読み取れなければ、参考にできる範囲は限られます。
費用の記載についても、書かれ方に注意が必要です。「着手金無料」とだけ大きく示されていて、報酬の計算方法が小さく書かれている場合は、その中身をよく読んでください。表示の目立ち方と、手取りへの影響の大きさは一致しません。
面談の前に決めておく比較の軸
相談に行く前に、自分が何を重く見るのかを決めておきます。ここが定まっていないと、話を聞いた印象だけで決めてしまいます。
印象そのものを軽んじる必要はありません。ただ、印象だけで決めると、後になって「あのとき費用の説明を聞いておけばよかった」と悔やむことになります。印象と、確認すべき事項の両方を持って臨むのが理想です。
軸に優先順位をつけておくのも有効です。後遺障害が残りそうなら争点への対応力を最優先に、金額が小さい事案なら費用の説明を最優先に。事案の性質によって、重く見るべきところは変わります。
軸1:この事故の争点を扱えるか
事故によって、問題になる場所は違います。後遺障害の等級が焦点になる事故、過失割合が焦点になる事故、休業損害の計算が焦点になる事故。自分の事故がどれに当たるのかを踏まえて、そこを扱った経験があるかを尋ねます。
過失割合が争いになりそうなら、割合をどう主張して動かすのかを聞いてみてください。判断の枠組みを説明できるかどうかで、経験の厚みが見えます。
後遺障害が焦点になる事案であれば、どの検査結果が必要か、診断書にどんな記載を求めるべきかを尋ねてください。この質問への答えは、経験の量がそのまま出ます。答えが具体的であるほど、その領域を日常的に扱っている可能性が高くなります。
休業損害が焦点になる事案なら、自分の働き方に応じた計算の考え方を尋ねてください。給与所得者、自営業者、家事に従事している方、会社の役員。それぞれ算定の枠組みが違いますから、その違いを説明できるかどうかが手がかりになります。
この種の質問は、意地悪をするために聞くのではありません。自分の事案がどこで争われるのかを知り、そこに備えのある相手を選ぶためです。答えを聞いているうちに、自分の事案の理解も深まります。
軸2:費用の説明が具体的か
費用の話は、聞きにくいと感じる方が多い項目です。しかし、ここを曖昧にしたまま進めると、後で必ず引っかかります。想定される結果に当てはめて、手元にいくら残るのかを計算して示してもらってください。
説明を渋る、書面を出さない、口頭の概略で済ませようとする。こうした対応があれば、それだけで候補から外して構いません。
弁護士費用特約が使える場合でも、確認はしてください。上限を超えそうな見込みが立ったときに知らせてもらえるか、超えた分をどう扱うか。使えるから何も聞かなくてよい、ということにはなりません。
特約が使えない場合は、費用倒れにならないかの見極めが必要になります。動かせる幅と費用の見込みを並べて示してもらい、差引きで手元に残る額を確かめてから決めてください。この計算を一緒にしてくれるかどうかも、判断材料の一つです。
逆に、費用倒れになりそうだとはっきり伝えてくれる事務所は、信頼できると考えて差し支えありません。依頼を受けないという判断ができるのは、目先の受任より依頼者の利益を見ているからです。
軸3:連絡のとりやすさ
解決までには数か月から一年以上かかります。その間、疑問が出るたびに連絡することになります。折り返しがいつ来るのか、担当者と直接話せるのか、連絡の手段は何か。日々のやり取りのしやすさは、想像以上に効いてきます。
とくに治療中は、保険会社から予期しない連絡が入ることがあります。すぐに相談したいときに連絡がつくかどうかで、対応の質が変わります。事務員の方が窓口になる体制でも構いませんが、その仕組みを最初に聞いておくと安心です。
連絡の手段も確認しておくと安心です。電話が中心か、メールでも受け付けるか、専用のやり取りの仕組みがあるか。仕事の都合で日中に電話ができない方であれば、文字でやり取りできる体制かどうかは重要な条件になります。
軸4:話しやすさと相性
最後は相性です。専門性と同じくらい大事だと考えています。症状の細かい変化や、生活で困っていることを伝えるには、話しやすい相手であることが前提になるからです。聞き返しにくい雰囲気の相手には、大事なことほど言わずに済ませてしまいます。
言い残したことが、後で効いてくる場面もあります。仕事に支障が出ている、家事ができない、夜に痛みで目が覚める。こうした生活上の影響は、こちらが伝えなければ資料に残りません。話しやすさは、単なる好みの問題ではないのです。
面談で確かめる質問リスト
限られた時間で判断するために、聞く内容をあらかじめ決めておきます。次の順に尋ねると、必要な情報がそろいます。
- この事故で争点になりそうなのはどこですか
- 動かせる部分と、難しい部分を分けて教えてください
- 解決までの見通しと、期間の目安はどれくらいですか
- 費用はどう計算され、手元にいくら残る見込みですか
- 担当してくださるのはどなたで、連絡はどう取れますか
- 私のほうで今日からやっておくことはありますか
二番目が特に大切です。すべて動かせると答える説明は、かえって信用しにくいものです。難しい部分を難しいと言える相手のほうが、後で食い違いが起きません。
三番目の期間についても、幅を持った答えが返ってくるのが自然です。示談で終われば数か月、後遺障害の申請を挟めばさらに数か月、訴訟まで進めば年単位。段階ごとの目安を示せるかどうかを見てください。
六番目を聞けば、依頼するかどうかにかかわらず持ち帰れるものが増えます。通院の続け方、記録の残し方、保険会社への返答のしかた。この助言だけでも、相談に行った意味は十分にあります。
質問は紙に書いて持っていくことをおすすめします。緊張して聞き忘れる、というのはよくあることです。書いたものを見ながら尋ねても、失礼にはあたりません。
相談の後は、その日のうちに感じたことを書き留めておいてください。複数の事務所を回ると、記憶が混ざります。説明の分かりやすさ、費用の説明の具体性、話しやすさ。この三点について短く残しておけば、比べるときに役立ちます。
迷って決めきれない場合は、どちらに依頼しても大きな差はない状態にあるということでもあります。その場合は、連絡の取りやすさや話しやすさで決めて構いません。長く付き合う相手ですから、この基準で選んで後悔することは少ないはずです。
なお、依頼しないと決めた事務所には、一言連絡を入れておくことをおすすめします。こまかい理由まで述べなくてかまいません。他所に依頼することにした、と伝えるだけで足ります。後日また相談したくなったときにも、気まずくなりません。
選ぶ作業そのものに時間をかけすぎないことも大切です。完璧な一つを探すというより、任せて問題のない相手を見つける作業だと考えてください。四つの軸を確かめて大きな問題がなければ、そこで決めてよいのです。
迷いが残るなら、依頼した後にも見直しの機会があることを思い出してください。委任契約は解約できますし、変更したこと自体が不利に働くわけでもありません。取り返しのつかない決断ではないと分かれば、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
説明のしかたから分かること
質問への答えの中身だけでなく、答え方そのものが判断材料になります。
見通しを段階に分けて話せるか
解決までには段階があります。治療、症状固定、後遺障害の申請、示談交渉、まとまらなければ次の手続き。この段階を踏まえて「いまはここで、次にこうなります」と話せるかどうかは、経験の差が出るところです。
説明の順序にも表れます。いきなり金額の話から入る説明と、まず事故の状況とケガの経過を確認してから見通しに移る説明。後者のほうが、事案を見て話しているという実感を持てるはずです。
話し合いがまとまらなかったときにどうするか、という質問への答えも見ておきましょう。調停に進むのか、訴訟を選ぶのか、それぞれの向き不向きを説明できるかどうかで、引き出しの多さが分かります。
選択肢を一つしか示さない説明には、少し注意が必要です。示談、裁判外の手続き、調停、訴訟。それぞれに向き不向きがあり、事案によって適した進め方は変わります。比べたうえで勧めているのかどうかを、聞いてみてください。
不利な事実にどう触れるか
こちらに不利な事情、たとえば通院の間隔が空いていた、事故直後に受診していなかった、といった点にどう触れるか。ここを避けて良い話だけをする説明より、正面から指摘して対処を示す説明のほうが、結果的に信頼できます。
不利な点を伏せられたまま進めると、交渉が想定どおりに運ばなかったときに、なぜそうなったのかが分かりません。最初に難所を共有しておけば、途中で方針が変わっても納得して受け止められます。
過失割合の説明に具体性があるか
過失割合について「交渉してみます」としか言えない場合と、どういう要素で修正できるかを挙げられる場合とでは、準備の厚みが違います。納得できない割合を提示されている段階なら、この点の説明を重点的に聞いてください。
あわせて、割合を動かすためにどんな資料が要るのかも尋ねましょう。映像、目撃者、車両の損傷の状況。必要なものが分かれば、相談したその日から集め始められます。
契約前に書面で確認しておくこと
依頼すると決めたら、委任契約書を交わします。署名の前に、次の点が書かれているかを確認してください。
- 委任する範囲(示談交渉まで、それとも訴訟まで含むのか)
- 実際に担当する弁護士の氏名
- 進捗の報告をどの頻度で、どういう方法で行うか
- 連絡先と、こちらから連絡できる時間帯
- 途中で解約する場合の取り扱い
- 弁護士費用特約を使う場合、保険会社との精算の流れ
二番目は見落としやすい項目です。相談したのはベテランの弁護士で、実際の担当は別の弁護士だった、という食い違いは起こりえます。それ自体が悪いわけではありませんが、誰が担当するのかは知っておくべきです。
体制が組まれている事務所では、複数の弁護士が関わることもあります。その場合も、主として窓口になる方が誰かを確認しておけば、連絡のたびに経緯を説明し直す事態を避けられます。
三番目も、後の不満につながりやすい部分です。連絡が来ないので不安になった、という声はよくあります。定期的に報告するのか、動きがあったときだけ連絡するのか。取り決めておけば、待たされている感覚を持たずに済みます。
手続きには、こちらから見て何も動いていないように見える期間があります。相手方の回答を待っている、審査の結果を待っている、といった時期です。そういう時期があると先に聞いておけば、不安を抱え込まずに済みます。
比較するときの具体的な質問
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| 交通事故の案件を年間どのくらい扱っていますか | 経験の量と、事務所の主力分野かどうか |
| 後遺障害の申請は自分の事務所で行いますか | 被害者請求まで対応できるかどうか |
| 私のケースでは、どのくらいの増額が見込めますか | 見通しを具体的に示せるか、根拠を説明できるか |
| 連絡はどのくらいの頻度で、誰から来ますか | 担当者の体制と、進捗の共有の仕方 |
| 費用は総額でいくらになりますか | 費用体系の透明さと、手元に残る額 |
答えの中身だけでなく、答え方も判断材料になります。見込みを大きく見せようとする説明よりも、不利な点も含めて説明してくれるほうが、後から食い違いが生じません。
面談の前に整理しておくこと
- 事故の日時、場所、当事者と車両
- けがの内容と、これまでの通院の経過
- 仕事を休んだ日数と、収入の形態
- 保険会社とのやり取りの記録
- 弁護士費用特約の加入の有無
- 自分が何を一番望んでいるか(増額、早期解決、負担の軽減など)
最後の項目が、実は一番大切です。求めるものが違えば、適した進め方も変わります。早く終わらせたいのか、時間がかかっても金額を追うのか。面談の場で伝えてください。
避けたほうがよい対応
候補から外す判断をしてよい対応も、いくつか挙げておきます。
その場で契約を迫る
今日決めてもらえれば、という言い方で判断を急がせる対応です。交通事故の依頼で、その日のうちに決めなければならない場面はほとんどありません。持ち帰って考えたいと伝えて、渋られるようなら見送ってください。
例外があるとすれば、時効が迫っている場合と、相手方から示談書の返送を短い期限で求められている場合です。この二つに当たるなら急ぐ理由はありますが、その理由自体を説明してもらってから判断してください。
金額の見込みだけを強調する
どれだけ増えるかを繰り返す一方で、費用の計算や争点の説明が薄い場合は注意が必要です。結果は事案によって変わるものですし、断定的な見込みを示すこと自体、慎重さを欠いています。
信頼できる説明は、たいてい条件付きです。この資料がそろえばここまで、そろわなければここまで、という形で示されます。条件が付いているのは自信のなさではなく、事案を正確に見ている証拠です。
他と比べることを嫌がる
他の事務所にも相談していると伝えたときの反応を見てください。比較を歓迎するか、少なくとも気にしない相手のほうが、自分の説明に自信を持っています。
質問に正面から答えない
費用の計算方法、担当者、争点。こうした具体的な質問に、一般論で返してくる場合は要注意です。分からないことを「調べて回答します」と言うのは誠実な対応ですが、はぐらかされているのかどうかは、聞いていれば分かります。
もう一つ、こちらの話を最後まで聞かずに結論を出す対応も、判断材料になります。事故の経緯やケガの経過には、本人しか知らない事情が含まれています。それを聞き取らないまま見通しを述べる説明は、精度を欠きます。
広告の見方
交通事故の分野は広告が多く、「増額実績◯倍」「相談件数◯万件」といった表現が並びます。こうした数字は、事務所全体の実績であって、自分の案件に同じ結果が出ることを意味しません。判断材料としては、数字よりも、自分のケースについて何を説明してくれたかを重く見てください。
また、初回の相談を担当した弁護士が、そのまま案件を担当するとは限りません。誰が担当するのか、担当が変わることがあるのかは、契約の前に確かめておくとよい点です。
依頼した後に「合わない」と感じたら
依頼してから、思っていたのと違うと感じることがあります。まず確認したいのは、それが期待のずれなのか、対応そのものの問題なのかという点です。
まずは直接伝えてみる
連絡が少なくて不安だ、説明が分かりにくい、方針に納得できない。こうした点は、伝えれば改善することが少なくありません。弁護士の側も、依頼者がどこに不安を感じているかを常に把握できているわけではないのです。
手続きが順調に進んでいるときほど、連絡は減ります。動きがないから報告することがない、という状態です。依頼者から見れば放置されているように映りますが、実際には待ちの期間だった、ということが少なくありません。
伝え方は難しく考えなくて構いません。「進み具合を月に一度は教えてほしい」「この方針の理由をもう一度説明してほしい」と、具体的に言えば足ります。
期待のずれである場合
思ったほど増額していない、時間がかかりすぎている。こうした不満は、そもそもの見通しの共有が足りていないことから生じます。いまどの段階にいて、あとどれくらいかかるのかを確認するだけで、解消するケースもあります。
方針そのものに納得できない場合は、その理由を尋ねてください。訴訟を勧められた理由、逆に和解を勧められた理由。判断の根拠を聞けば、受け止め方が変わることもあります。それでも納得できなければ、そのときに変更を考えれば足ります。
賠償金以外の名目で加害者側から金銭を受け取っている場合など、事情によっては最終的な金額の見え方が変わることもあります。弁護士費用の内訳と費用倒れの見極めについても、あわせて押さえておくと判断しやすくなります。
弁護士を変更するときの手順
話し合っても解消しない場合は、変更するという選択肢があります。委任契約は解約できますから、途中で担当を替えることは可能です。
- 次の依頼先を先に探し、事情を説明して受任できるか確認する
- 現在の弁護士に解任の意向を伝える
- それまでの費用の精算方法を確認する
- 預けていた資料の返還を受ける
- 新しい弁護士に資料を引き継ぎ、相手方へ通知してもらう
一番目の順序が大事です。先に解任してしまうと、次が決まるまで手続きが止まります。相手方との交渉が進んでいる場面では、空白の期間ができるのは避けたいところです。
費用については、契約の内容によって扱いが変わります。着手金は返還されないのが原則ですし、それまでの作業に応じた費用を求められることもあります。変更に踏み切る前に、この点を確かめておいてください。
また、変更した事実そのものが不利に働くことはありません。相手方に通知が届き、窓口が変わるだけです。気まずさを理由に我慢し続けるより、進め方に納得したうえで進むほうが、結果としてよい着地になります。
ただし、変更は最後の手段です。資料の引き継ぎには手間がかかりますし、新しい弁護士は経緯を一から把握し直す流れになります。まずは話し合いで解消できないかを試すほうが、結果として早く進みます。
目安として、説明を求めても改善しない、連絡が長期間つかない、方針の根拠を示してもらえない。こうした状態が続くのであれば、変更を検討してよい段階です。単に印象が合わないというだけの理由であれば、まず伝えてみることをおすすめします。
相性も判断の材料になる
交通事故の解決までには、半年から1年以上かかることもあります。その間、治療の状況や生活の変化を伝え合いながら進めることになります。話しやすさや、連絡の取りやすさは、想像以上に大きな要素です。
説明が専門用語ばかりで理解できない、質問しづらい雰囲気がある、といった相手では、必要な情報を伝えられません。情報が伝わらなければ、主張できたはずの損害が漏れることもあります。相性の良し悪しは、好みの問題ではなく、結果に関わる実務的な問題です。
セカンドオピニオンという考え方
すでに依頼している弁護士の方針に疑問があるとき、別の事務所で意見を聞くことはできます。医療でいうセカンドオピニオンと同じ考え方です。相談の段階で、現在の状況と、示されている見通しを伝えれば、比較の材料が得られます。
結果として今の弁護士の判断が妥当だと分かれば、安心して任せられます。納得したうえで進めることが、最後まで走り切るうえで大切です。
選び方が結果に効いてくる場面
どの弁護士に頼んでも同じ、ということはありません。差が出やすい場面を挙げておきます。
| 場面 | 差が出る理由 |
|---|---|
| 後遺障害の申請 | どの資料をそろえ、どの方法で申請するかの判断が分かれる |
| 過失割合の交渉 | 修正できる要素を見つけ、根拠を示せるかどうか |
| 休業損害の算定 | 立場に応じた計算方法と、裏づけ資料の作り方 |
| 訴訟に進むかの判断 | 見込みと負担を比べて、依頼者と方針を決められるか |
とくに後遺障害の申請は、方法の選択そのものが結果に影響します。相手方の保険会社に任せる形と、自分で資料をそろえて請求する形では、審査に回る資料が変わってきます。
どちらの方法を選ぶべきかは、症状の性質によります。画像で異常がはっきり確認できる場合と、そうでない場合とでは、必要な備えが違います。この判断ができるかどうかも、依頼先を見るときの材料になります。
等級の判断は、症状の重さだけで決まるわけとは限りません。どの等級に該当するかは基準に沿って判断されますので、その基準を踏まえた資料が整っているかが問われます。
依頼後に確認しておきたいこと
- 進捗の連絡は、どのくらいの間隔で受けられるか
- 保険会社からの提示があったとき、どう共有されるか
- 合意する前に、必ず自分の意思を確認してもらえるか
- 後遺障害の申請は、どちらの方法で進めるのか
- 訴訟に進む場合の判断は、誰がどの時点で行うのか
これらを最初に決めておけば、途中で不安になったときも確認しやすくなります。任せきりにせず、節目ごとに説明を受ける姿勢が、納得できる解決につながります。
遠方の事務所に依頼してもよいのか
交通事故の手続きは、書面と電話、オンラインでのやり取りが中心です。裁判になっても、被害者本人が毎回出廷するわけではありません。そのため、遠方の事務所に依頼することも現実的な選択肢になります。
ただし、対面での打ち合わせを重ねたい場合や、医師との面談に同行してほしい場合は、通える範囲のほうが安心です。日当や交通費が加算されることもあるため、費用の面でも確認しておいてください。
複数の事務所に相談してよい
相談は、一つの事務所に限る必要はありません。見通しや費用の説明を比べることで、判断の精度が上がります。相談した事務所に依頼しなければならない決まりもありません。納得できるまで話を聞いてから決めてください。
よくある質問
複数の事務所に相談してから決めてもいいですか
問題ありません。比べてから決めたほうが、後から迷わずに済みます。二つか三つに絞って相談すれば、説明の順序や踏み込み方の違いが見えてきます。相談は依頼の約束ではありませんので、遠慮はいりません。
保険会社が紹介する弁護士に依頼すべきですか
そうしなければならない決まりはありません。紹介を受けても、自分で探した事務所に依頼して弁護士費用特約を使うことができます。紹介先が交通事故を多く扱っているかを確かめたうえで、比べて決めてください。
地元の弁護士でないと依頼できませんか
できます。交通事故の手続きの多くは書面と電話でのやり取りで進みますので、遠方の事務所でも支障は生じにくいのが実情です。ただし、訴訟に進んだ場合は管轄の裁判所へ出向く必要が生じますので、その点の扱いを確認しておくと後で困りません。
依頼した弁護士を途中で変更できますか
できます。委任契約は解約できます。ただし、それまでの費用の精算や資料の引き継ぎが必要ですし、手続きが一時的に止まります。まずは不満を直接伝えて、解消できないかを試してみてください。
大きな事務所と小さな事務所、どちらがよいですか
規模で決まるものではありません。大きな事務所は体制が整っている一方、担当者が固定されにくい面があります。小さな事務所は担当が変わりにくい一方、対応できる件数に限りがあります。どちらが向くかは、何を重く見るかによります。
相性が合うかどうかは、どこで判断すればよいですか
質問したときの答え方を見てください。分かりやすく答えてくれるか、聞き返しやすい雰囲気か、こちらの話を遮らずに聞くか。この三つがそろっていれば、長い付き合いになっても困りません。
依頼するかどうか、その場で決めなければいけませんか
その必要はありません。持ち帰って考えたいと伝えれば足ります。時効が迫っているなど急ぐ事情がある場合を除き、数日かけて判断して不利になることはありません。判断を急がせる対応には、かえって注意が必要です。
相談のときに家族が同席してもいいですか
問題ありません。ケガの影響で説明が難しい場合や、事故の状況を家族のほうが把握している場合には、同席してもらうほうがかえって話が進みます。依頼するかどうかを一緒に考えてもらう意味でも、同席は有効です。
相談の予約をしたのに、行くのをやめてもいいですか
連絡を入れれば問題ありません。無断で行かないのは避けたいところですが、事前に一報を入れればそれで済みます。他の事務所に決めた場合も、その旨を伝えれば足ります。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
