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交通事故を民事調停で解決するケース~示談交渉が不調に終わった場合
この記事で分かること
- 交通事故の示談交渉が不調になった場合でも民事調停での解決を目指すことができる
- 裁判所に申し立てを行い、双方の同意が得られたら調停調書が作成される
- 交通事故の民事調停を有利に進めるためには調停委員の信頼を得ながら自分の主張ははっきりと伝えることが大切
- 民事調停に出席できない場合、日にちを変更することができる
- 相手との示談交渉や民事調停に不安を抱えている方は弁護士に相談をしてみましょう
交通事故の示談交渉が不調に終わったり、長期化したりした場合であっても民事調停で解決を目指すことができます。民事調停は解決までの期間が短く、費用も安いといったメリットがあります。相手との話し合いをスムーズにすすめるために民事調停を活用することも一つの手段です。
目次[非表示]
交通事故を民事調停で解決するのはどんな時?
交通事故の示談交渉が不調になった場合
ほとんどの交通事故の場合、当事者間で行われる示談交渉によって解決に至ることがほとんどです。しかし、交通事故での示談交渉が上手くいかない場合は民事調停に申し立てて解決を目指すことがあります。民事調停を利用するケースは、示談交渉において感情的になり話が一向に前に進まない場合や、お互いの主張がかみ合わない場合などです。
相手が示談に応じない場合
その他にも、交通事故の加害者が示談に応じない場合や賠償金の支払いを渋る場合に民事調停での解決を目指すことがあります。話合いの場に加害者を同席させなければいつまで経っても交通事故での交渉が始まらないためです。
交通事故を民事調停で解決するメリット
裁判に比べて民事調停は手続きが簡単
民事調停の申立てを行うために特別な法律の知識は必要なく、裁判所のウェブサイトや簡易裁判所の窓口にある申立書に記入して提出するだけで民事調停の申立てが行えます。民事調停の申立てから終了までの手続も裁判に比べて簡単です。
民事調停は費用が比較的安い
民事調停を行う際に裁判所に納める手数料は事案により異なります。しかし、民事調停の費用は訴訟に比べて安いため、経済的な負担も少なくて済みます。
民事調停は解決するまでの期間が早い
当事者だけで行う示談交渉とは異なり、民事調停では仲介人を挟んでポイントを絞った話し合いを行います。そのため、問題解決に至るまでの期間は比較的短いでしょう。事例によって異なりますが、申立ての日から2・3回の調停期日が開かれ、3か月以内を目途に調停が成立するケースが多いと言われています。
調停成立後は強制執行が可能になる
民事調停が成立後は、判決と同じ効力があります。そのため、基本的には調停の成立後に不服を唱えることはできません。仮に、一方が約束した行為を守らない場合は、強制執行を申立てることができます。
交通事故における民事調停手続きの流れ
民事調停は裁判所で行う話し合い
民事調停とは、当事者同士が裁判所で話し合いによる問題解決を目指す方法です。裁判官1人と調停委員2人による調停委員会が民事調停に関わります。民事調停は、あくまでも当事者同士の話し合いでの解決をすすめるものです。そのため、調停委員や裁判官などが判決を下すことはありません。
簡易裁判所に民事調停を申し立てる
次に、民事調停の手続きの流れについて解説していきます。基本的に民事調停は相手方の住所を所轄する簡易裁判所に申し立てます。しかし当事者の双方が合意すると、任意の簡易裁判所あるいは地方裁判所に民事調停を申し立てることもできます。
調停申立書の作成
民事調停を申し立てるためには、まず調停申立書を作成します。調停申立書には、申立人と相手方の住所・氏名・連絡先、申し立ての趣旨、交通事故の内容や損害額などを記入します。申立書には、請求金額に見合った申立手数料を収入印紙で申立書に貼付して提出します。
民事調停申立書の受理後
民事調停の申立書が受理された後は、調停日時の決定の連絡が裁判所から来ます。具体的には、民事調停の日時が記載された呼出状が送付されます。
別々の調停室で主張を述べる
民事調停の当日は、当事者は別々の部屋で調停委員に対して自分の主張を述べます。調停委員は、お互いの主張内容を整理して解決策を提示します。当事者双方の合意が得られれば民事調停は終了となります。調停の終了時には調停調書が作成されます。
交通事故の民事調停にかかる費用
民事調停にかかる手数料は訴訟の約半分
民事調停を行うためには裁判所に対する手数料が必要になります。民事調停も裁判と同様に手数料は収入印紙で支払います。民事調停と訴訟の費用と比べた内容を下記に記載します。
手数料 | 訴訟の提起 | 民事調停の申立て | 控訴の提起 |
---|---|---|---|
10万円まで | 1000円 | 500円 | 1500円 |
20万円 | 2000円 | 1000円 | 3000円 |
30万円 | 3000円 | 1500円 | 4500円 |
40万円 | 4000円 | 2000円 | 6000円 |
50万円 | 5000円 | 2500円 | 7500円 |
100万円 | 10000円 | 5000円 | 15000円 |
上記の通り、民事調停は訴訟に比べても手数料金額が安く、準備の手軽さもあり、裁判にまでは行かないトラブルの解決手続きとして一般によく活用されています。
民事調停に持ち込んだ方が良いケース
示談交渉が長期化しているケース
当事者同士の示談交渉は、様々な理由により長期化する傾向があります。なぜならば、当事者同士での話し合いでは感情的になってしまったり、お互いの主張を押し付けるだけになってしまったりするためです。示談交渉が長期化してしまうと加害者側は事故を起こした当事者としていつまでも責任を問われている状態になります。そして、被害者は損害賠償金をいつまでも受け取ることができなくなってしまいます。
相手の交渉力が高いケース
示談交渉を行っている相手やその相手の保険会社の代理人の交渉力が高いケースも民事調停に移行した方が良いでしょう。また、なかには不利な条件で示談合意を求めてきたり、弁護士を雇って高度な交渉を持ちかけてきたりすることもあります。
加害者の資金力や損害賠償金支払いの意思がないケース
交通事故の加害者の資金力がない場合や損害賠償金を支払う気のない場合、交渉はスムーズに進みません。そのため、民事調停を行った方がおすすめです。
交通事故の民事調停を有利に進めるポイント
調停委員の信頼を得ること
交通事故の民事調停を有利に進めるには、調停委員の信頼を得ることが大切です。調停委員だけではなく、当事者に対しても丁寧な言葉遣いを心がけましょう。自分の主張をしっかりと伝えようとすることは大切ですが、話し合いであるため相手の話にも耳を傾けようとする姿勢が大切です。
自分の希望や要望を具体的に伝える
示談交渉が解決に至っていない状態は当事者同士の意見の食い違いが生じていることがあります。自分は相手に対してどのような要望があるのかを数値や具体例などを使ってはっきりと伝えることが大切です。
事前に伝えたい内容を整理しておく
調停は裁判と異なり、調停委員が妥協案(調停案)を示してくれます。その案に対して双方が合意することで調停は成立します。当事者同士の間に調停委員が入るとは言え、話し合いを行うのは当事者同士なのであらかじめ伝えたい内容を整理しておきましょう。
交通事故の民事調停に出席できない場合
呼出状に民事調停の日時が記載されている
民事調停の申立が受理後は、調停委員会から自宅に呼出状が送付されます。呼出状には、民事調停の日時が記載されていますがこの日時は調停委員会が指示してくるものです。そのため、どうしても外せない用事や仕事・家庭の事情もあると思います。
調停の日にちは変更できる
民事調停の日にちはどうしても都合が合わない場合は変更をすることができます。日にちの変更は、期日までに「期日変更申請書」を裁判所に提出する必要があります。
無断欠席は50,000円以下の過料
民事調停を正当な理由なく欠席した場合、民事調停法により過料の制裁が定められています。しかし、実際に過料の支払いを命じられるケースは少ないと言われています。
交通事故の示談交渉・民事調停への対応は弁護士に相談を
交通事故での示談交渉は、心身ともに多大なるストレスがかかります。ましてや交通事故で怪我を負ってしまった被害者の場合は、相手と交渉すること自体がとても苦痛となってしまうでしょう。また、相手の保険会社の担当者は交渉に慣れているため言葉巧みに不利な条件を提案してくる可能性もあります。交通事故の示談交渉や民事調停の対応でお困りの方はお気軽に弁護士に相談をしてみましょう。
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
- 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
- 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
- 適正な後遺障害認定を受けたい
- 交通事故の加害者が許せない