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交通事故の示談交渉が、保険会社との間でどうしてもまとまらない。そんなとき、いきなり裁判を起こすのはためらわれるという方も多いでしょう。費用も時間もかかりそうですし、手続きも難しそうに感じます。そうした場合に検討したいのが「民事調停」という解決方法です。
民事調停は、簡易裁判所で、調停委員という第三者を交えて話し合いを進める手続きです。裁判よりも手軽で費用も抑えられ、当事者だけの示談では行き詰まっていた問題が解決に向かうことがあります。この記事では、交通事故の民事調停とは何か、示談や裁判との違い、利用するメリットと注意点、手続きの流れまで、弁護士の視点からわかりやすく解説します。
- 民事調停は簡易裁判所で調停委員を交えて話し合う解決方法
- 示談がまとまらず、でも裁判はためらわれるときの選択肢になる
- 費用が安く手続きも簡単な一方、相手が応じなければ成立しない
- 適正な賠償額を把握しておくと、調停での話し合いを有利に進めやすい
交通事故の民事調停とは
民事調停とは、簡易裁判所で行われる、話し合いによる紛争解決の手続きです。裁判官と、民間から選ばれた調停委員2名で構成される「調停委員会」が間に入り、当事者双方の言い分を聞きながら、合意による解決を目指します。
交通事故の場合、被害者と加害者側(保険会社)との間で、慰謝料の額や過失割合をめぐって対立することがよくあります。当事者だけで話し合っても折り合えないとき、民事調停を申し立てれば、中立的な第三者の助けを借りて解決を図れます。調停委員が双方の事情をふまえて調整役を担ってくれるため、感情的な対立を避けながら話を進めやすくなります。
民事調停の大きな特徴は、手続きが簡単で、費用も安いことです。裁判のように厳格な手続きや専門的な主張・立証が求められるわけではなく、被害者本人でも申し立てやすいように作られています。話し合いがまとまれば「調停調書」が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ちます。つまり、相手が約束を守らなければ強制執行もできるのです。
たとえば、保険会社から提示された慰謝料の金額にどうしても納得できず、何度交渉しても話が平行線をたどっている、というケースを考えてください。当事者だけで言い合っていても感情的になるばかりで、出口が見えません。そんなとき、調停を申し立てれば、調停委員という第三者が間に入り、双方の言い分を整理しながら落としどころを探ってくれます。被害者にとっては、一人で保険会社と向き合うプレッシャーから解放され、冷静に話し合える場が用意されるわけです。
調停は、あくまで当事者の合意を目指す手続きです。裁判のように強制的に結論を出すものではないため、相手が最後まで応じなければ「調停不成立」となり、解決にはいたりません。その場合は、裁判など別の手段を検討することになります。
調停委員会は、裁判官1名と、社会経験豊かな民間人から選ばれた調停委員2名で構成されるのが一般的です。法律の専門家だけでなく、一般市民の感覚を持った委員が加わることで、形式的な法律論だけでなく、当事者双方の事情に配慮したバランスの取れた解決が図られやすくなっています。この点が、厳格に法律を適用する裁判とは異なる、調停ならではの特徴です。被害者にとっては、自分の置かれた状況や気持ちをくみ取ってもらいやすい場だといえるでしょう。
民事調停と示談・裁判の違い
交通事故の解決方法には、民事調停のほかにも示談や裁判があります。それぞれどう違うのか、整理しておくと安心です。民事調停は、示談と裁判の中間に位置づけられる手続きだといえるでしょう。
| 解決方法 | 場所・主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 示談 | 当事者間 | 最も手軽。対立すると進まない |
| 民事調停 | 簡易裁判所・調停委員会 | 費用が安く手続きも簡単。合意が前提 |
| 裁判 | 地方裁判所など・裁判官 | 判決で強制的に決着。時間・費用がかかる |
示談は当事者だけで自由に決められますが、意見が対立すると行き詰まります。裁判は強制力がある反面、解決まで時間も費用もかかります。民事調停は、その中間として、第三者を交えつつも比較的手軽に進められる点が魅力です。示談交渉が決裂したあと、裁判の前のワンクッションとして調停を選ぶ、という使い方が一般的です。示談を弁護士に任せる方法とあわせて、どの手段が自分に合うかを考えるとよいでしょう。
まずは示談交渉の進め方から確認したい方は、次の記事をご覧ください。
交通事故で民事調停を選ぶケース
どのような場合に、民事調停が向いているのでしょうか。交通事故で調停が選ばれやすいのは、次のようなケースです。
第一に、示談交渉が決裂したものの、裁判まではしたくないという場合です。裁判は心理的なハードルが高く、費用や時間も気になります。調停なら、より穏やかな雰囲気で、費用も抑えて話し合いを再開できます。
第二に、争点が比較的シンプルなケースです。過失割合や金額について、論点が一つか二つに絞られている場合は、調停での合意が期待できます。逆に、後遺障害の重い事案など、争点が複雑で大きく対立している場合は、調停ではまとまらず裁判が必要になることもあります。
第三に、相手方にも話し合いで解決する意思がある場合です。調停は合意が前提なので、相手にまったく譲歩の余地がないと成立しません。相手の対応次第では、最初から裁判を選んだほうがよいこともあります。なお、裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続)も、調停と似た「話し合いによる解決」の選択肢になります。
調停と裁判外紛争解決手続は似た面がありますが、使い分けの目安もあります。交通事故に特化した解決を望むなら、交通事故紛争処理センターなどの裁判外紛争解決手続が専門性の面で適していることがあります。一方、調停は裁判所の手続きであり、成立すれば調停調書が確定判決と同じ効力を持つという強みがあります。どちらも「話し合いによる解決」という点では共通しているため、自分のケースの事情や、利用しやすさを考えて選ぶとよいでしょう。迷う場合は、それぞれの特徴を弁護士に確認してから決めるのが安全です。
費用をかけずに第三者を介す方法は、こちらの記事にまとめました。
民事調停のメリット
交通事故の解決手段として、民事調停には次のようなメリットがあります。被害者の立場から見ると、特に費用と手続きの手軽さが魅力です。
まず、費用が安いことです。調停の申し立てにかかる手数料は、請求する金額に応じて決まりますが、裁判に比べてかなり低く抑えられます。弁護士に依頼しなくても、本人だけで申し立てられるため、その点でも費用を抑えられます。
次に、手続きが簡単なことです。裁判のように厳格なルールにのっとった主張や立証が求められるわけではなく、調停委員が話を整理しながら進めてくれます。法律の専門知識がなくても利用しやすいように配慮されています。
さらに、非公開で行われることもメリットです。裁判は原則として公開の法廷で行われますが、調停は非公開の部屋で進められます。プライバシーを守りながら話し合いたい被害者にとって、これは安心できる点です。話し合いがまとまれば、調停調書によって確実な解決が得られます。
もう一つ知っておきたいのは、調停は柔軟な解決ができる点です。裁判の判決は法律にもとづいて金額が決まりますが、調停では、当事者が納得すれば、支払い方法を分割にするなど、実情に合わせた取り決めも可能です。たとえば、相手にまとまった資力がない場合でも、分割払いで合意することで現実的な解決を図れるケースもあります。こうした融通の利きやすさも、調停ならではの利点だといえるでしょう。
- 裁判より費用が安く、本人でも申し立てやすい
- 手続きが簡単で、調停委員が話を整理してくれる
- 非公開で進むため、プライバシーが守られる
- 成立すれば調停調書が確定判決と同じ効力を持つ
調停を申し立てる手続き
民事調停は、簡易裁判所に申立書を提出することで始まります。訴訟に比べて手続きは簡便で、費用も抑えられます。
- 相手方の住所地を管轄する簡易裁判所を確認する
- 調停申立書を作成し、事故の状況と求める内容を記載する
- 交通事故証明書、診断書、損害を裏づける資料を添える
- 収入印紙と郵便切手を添えて提出する
- 期日の呼出しを受け、指定された日に出頭する
調停にかかる期間
調停は月に一度程度のペースで期日が開かれ、数回のやり取りを経て結論に至るのが一般的です。訴訟に比べれば短く済みますが、示談交渉よりは時間がかかります。相手方が遠方にいる場合、電話やウェブ会議で参加できることもあります。
調停委員はどんな人か
調停委員は、裁判官のほかに、法律や交通事故の実務に通じた民間の有識者が務めます。中立の立場で双方の主張を聞き、和解案を示す役割です。当事者のどちらかに味方するわけではないので、感情的な訴えより、事実と根拠を整理して伝えることが有効になります。
調停に臨む前の準備
調停は話し合いの場ですが、手ぶらで臨んでも主張は通りません。求める額とその根拠を、資料の形で用意しておく必要があります。
- 交通事故証明書と診断書
- 治療費や通院交通費の領収書
- 休業損害証明書や源泉徴収票
- 相手方から届いた提示書
- 過失割合を争うなら、実況見分調書やドライブレコーダーの記録
調停で決まった内容の効力
| 結果 | 効力 | その後 |
|---|---|---|
| 調停成立 | 確定判決と同じ効力を持つ | 支払われなければ強制執行できる |
| 調停不成立 | 効力は生じない | 訴訟を起こせる |
| 相手方が欠席 | 不成立として終了 | 同上 |
成立した調停は判決と同じ重みを持ちます。話し合いの手続きだからといって、軽い合意ではありません。
本人でも申し立てられる
弁護士を立てずに本人が申し立てることもできます。裁判所の窓口で書式や記載方法を教えてもらえるため、争点が単純な事案では自分で進める余地があります。ただ、主張を組み立てる作業は自分で行うことになります。
民事調停の注意点とデメリット
一方で、民事調停にも注意すべき点があります。メリットだけでなく、こうした側面も理解しておくことをおすすめします。
最大の注意点は、相手が応じなければ成立しないことです。調停は話し合いを前提とする手続きなので、相手方に合意する意思がなければ「調停不成立」で終わってしまいます。その場合、調停にかけた時間が無駄になったように感じられることもあります。
また、調停委員はあくまで中立の立場であり、被害者の味方として交渉してくれるわけではありません。提示された調停案が適正かどうかは、自分で判断する必要があります。適正水準を知らないまま臨むと、低い金額で妥協してしまうおそれがあります。過失割合に納得できない場合などは、その点をどう主張するかが重要になります。
もう一つの注意点として、調停には時間がかかる場合があることも挙げられます。数か月で終わることが多いとはいえ、相手の都合で期日が延びたり、話し合いが長引いたりすると、想定より時間を要することもあります。そして、その末に不成立となれば、結局は裁判に進むことになり、トータルでは時間がかかってしまうケースもあります。相手の対応がはじめから不誠実で合意の見込みが薄い場合は、調停を経ずに裁判を選んだほうが早いこともある、という点は頭に入れておくと後で困りません。
訴訟に進む場合の流れは、次の記事で解説しています。
民事調停の基本的な流れ
実際に民事調停を利用する場合、どのような手順で進むのでしょうか。おおまかな流れを見ておきたいところです。
- 簡易裁判所に調停を申し立てる(申立書と必要書類を提出)。
- 裁判所から相手方に通知され、調停の期日が指定される。
- 期日に、調停委員が双方から交互に話を聞く。
- 調停委員が双方の事情をふまえて調停案を示す。
- 双方が合意すれば調停成立、合意できなければ不成立となる。
申し立てに必要な書類は、調停申立書のほか、事故の状況や損害を示す資料(事故証明書、診断書、保険会社の提示書類など)です。これらをそろえて簡易裁判所に提出します。書類の書き方が分からない場合は、裁判所の窓口で相談に応じてもらえることもあります。申し立てそのものは難しくないように作られているので、必要書類さえ整えば、本人でも手続きを始められます。
調停の期日は、1回で終わらず、数回にわたって開かれることが一般的です。期日ごとに少しずつ論点を詰めていき、合意点を探っていきます。相手と直接顔を合わせず、調停委員が間を取り持つ形で進むため、精神的な負担は比較的軽いといえるでしょう。もし不成立になった場合は、改めて裁判を検討する流れになります。
具体例で見る交通事故の民事調停
言葉だけではイメージしにくいので、具体的なケースで調停の流れを見ておくと判断に迷いません。パート勤務のCさんが交通事故でむちうちを負い、3か月通院したという例を考えます。Cさんは弁護士基準に近い慰謝料を求めましたが、保険会社は低い基準での金額を提示し、示談がまとまりませんでした。
| 段階 | 状況 |
|---|---|
| 示談交渉 | 保険会社の提示額が低く、何度交渉しても折り合わず決裂 |
| 調停申し立て | Cさんが簡易裁判所に民事調停を申し立てる |
| 期日 | 調停委員が双方から交互に話を聞き、事情を整理 |
| 調停案の提示 | 調停委員が双方の言い分をふまえた解決案を示す |
| 調停成立 | 当初の提示額より高い水準で合意し、調停調書を作成 |
このケースでは、争点が「慰謝料の金額」という比較的シンプルなものだったため、調停での合意が実現しました。Cさんは、裁判まで進む時間的・精神的な負担を避けつつ、当初の提示額より納得できる水準で解決できたのです。一方で、もし過失割合まで大きく争っていたり、相手にまったく譲歩の意思がなかったりすれば、調停は不成立となり、裁判に進む必要が出てきた可能性があります。どのようなケースで裁判になるのかを知っておくと、調停がうまくいかなかった場合の見通しも立てやすくなります。
訴訟のなかで和解する場合については、こちらの記事で整理しています。
この例からわかるように、調停が向くかどうかは「争点の単純さ」と「相手の姿勢」に大きく左右されます。そして、どのような結果になるにせよ、Cさんが自分のケースの適正水準を把握していたことが、納得のいく解決につながりました。準備なしに臨んでいたら、調停案が妥当かどうかも分からないまま合意していた可能性があります。
あなたの適正な賠償額を確認しておこう
民事調停を有利に進めるうえで何より大切なのは、自分のケースの適正な賠償額をあらかじめ把握しておくことです。調停委員が示す調停案が高いのか低いのか、判断する物差しがなければ、納得のいく解決はできません。
治療の経過を下のツールに入れると、弁護士基準での水準を確かめられます。調停に臨む前に目安をつかんでおくと、提示された金額が妥当かどうかを冷静に判断できます。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
特に後遺障害が残るケースでは、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料や逸失利益も問題になり、賠償額が大きく変わります。等級によって金額の幅も大きいため、自分のケースで何が請求できるのかを整理してから調停に臨むことが、取りこぼしを防ぐポイントになります。漠然と「いくらか増えればよい」と考えるのではなく、適正な目標額を持って臨むことが欠かせません。
計算結果と、保険会社や調停で示された金額を比べてみてください。大きな差があるなら、その点を話し合いの材料にできます。調停に臨む前に、慰謝料以外の項目に漏れがないかも見ておいてください。損害賠償がどのように決まるのかを知っておくと、調停案の中身を理解しやすくなります。
相手方が任意保険に入っていない場合の備えは、次の記事で扱っています。
調停で損をしないために弁護士に相談しよう
民事調停は手軽な解決手段ですが、その調停案が適正かどうかを自分だけで判断するのは簡単とは限りません。だからこそ、もう一度、計算機で慰謝料の目安を確認してください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
そのうえで、提示された金額が低いと感じたり、過失割合や賠償額に納得がいかなかったりする場合は、弁護士への相談を検討してください。弁護士に依頼すれば、調停の場で被害者の代理人として交渉してもらえるため、より適正な水準での解決を目指せます。調停にかかる費用も、依頼を検討するうえで確認しておくと安心です。
賠償金がどう組み立てられるかは、こちらの記事にまとめました。
弁護士に相談することをためらう方もいますが、多くの法律事務所では交通事故の相談を無料で受け付けています。調停を使うべきか、裁判のほうがよいか、そもそも提示額は妥当なのかといった疑問を、費用をかけずに専門家に確認できます。一人で抱え込んで不利な条件で妥協してしまう前に、まずは見通しだけでも聞いてみることをおすすめします。
弁護士費用特約が付帯していれば、調停の代理も持ち出しなく任せられるのが通常です。まずは特約の有無を確認したうえで、無料相談などを利用して、自分のケースに調停が向いているのか、それとも裁判など別の手段がよいのかを聞いてみてください。
調停が向いている事案・向かない事案
民事調停は、示談と訴訟の中間にある手続きです。すべての事案に適しているわけではありません。
| 特徴 | |
|---|---|
| 向いている | 相手方が任意保険に入っておらず、本人と直接交渉するしかない場合 |
| 向いている | 争点が限られており、話し合いで詰められる余地がある場合 |
| 向いている | 費用と時間を抑えたい場合。訴訟より簡便に進む |
| 向かない | 相手方が話し合いに応じる意思をまったく示していない場合 |
| 向かない | 過失割合や後遺障害の等級など、事実認定そのものが大きく争われている場合 |
申立てはどこにするか
調停は簡易裁判所に申し立てます。原則として相手方の住所地を管轄する裁判所ですが、当事者間の合意があれば別の裁判所を選ぶこともできます。相手方が遠方の場合、この点が負担になることがあるので、事前に確認しておいてください。
調停委員はどう関わるか
調停には、裁判官のほかに調停委員が加わります。法律の専門家や、社会経験の豊富な民間の有識者が務め、双方から事情を聞いて解決案を探ります。
訴訟のように法廷で対峙するのではなく、当事者が交互に部屋へ入って話す形で進むのが通常です。相手方と顔を合わせずに済むため、直接のやり取りに負担を感じている方には向いた手続きといえるでしょう。
調停で成立した内容の効力
調停が成立すると調停調書が作られ、確定判決と同じ効力を持ちます。相手方が支払わなければ、強制執行に進むことができます。話し合いによる解決でありながら、結論の確実さは判決に劣りません。
費用と期間の目安
調停の申立てには、請求額に応じた手数料と郵券が要ります。訴訟の印紙代より低く抑えられており、代理人を立てなくても進められる点も負担が軽い理由です。
期間は事案によりますが、数回の期日で結論に至ることが多く、訴訟より短く済みます。ただし、相手方が応じなければ不成立となり、そこから訴訟に移ることになるため、結果的に時間がかかる場合もあります。
相手方が出席しなければ成立しない
調停は話し合いの手続きなので、相手方が出頭しなければ進みません。呼出しに応じない場合は不成立となり、訴訟に移ることになります。強制力のある結論を求めるなら、はじめから訴訟を選ぶという判断もあります。
交通事故の民事調停に関するよくある質問
最後に、交通事故の民事調停について、被害者の方からよく寄せられる疑問にお答えします。
調停は弁護士に頼まず自分でできますか?
はい、民事調停は本人だけでも申し立てられるように作られており、調停委員が話を整理しながら進めてくれます。実際に、弁護士をつけずに利用する方も少なくありません。ただし、調停委員は中立の立場であって、被害者の味方として金額を引き上げてくれるわけではありません。提示された調停案が適正な水準かどうかを見極めるには、相場の知識が必要です。納得のいく解決を目指すなら、申し立て前に一度弁護士に相談し、自分のケースの適正額を把握しておくことをおすすめします。
調停の費用はどのくらいかかりますか?
調停の申し立てには、請求する金額に応じた手数料(収入印紙代)と、連絡用の郵便切手代がかかります。金額にもよりますが、裁判に比べるとかなり低く抑えられるのが一般的です。本人だけで申し立てれば弁護士費用もかからないため、できるだけ費用を抑えて解決を図りたい方に向いている手続きだといえるでしょう。手数料の具体的な金額は請求額によって変わるので、申し立て前に裁判所の窓口などで確認しておくと安心です。ただし、適正な水準で解決したい場合は、弁護士のサポートを受ける価値があります。
調停は何回くらいで終わりますか?
事案によって異なりますが、数回の期日を重ねて、数か月程度で結論が出ることが多いとされています。争点が単純であれば早く終わりますし、対立が大きいと回数が増えることもあります。裁判のように長期化することは比較的少ないものの、相手が応じない場合は不成立で終わり、別の手段に移ることになります。
調停に相手が来なかったらどうなりますか?
相手方が正当な理由なく調停期日に出席しない場合、調停は成立しません。調停はあくまで話し合いの手続きなので、相手が応じる意思を示さなければ進められないのです。相手が出席しない、あるいは話し合いに応じる姿勢がまったく見られない場合は、調停の成立は望みにくいため、調停にこだわらず、早めに裁判へ切り替えることを検討したほうが安全です。
調停と裁判はどちらを選べばよいですか?
争点がシンプルで、相手にも話し合いの意思があるなら、費用を抑えられる調停が向いています。一方、争点が複雑で大きく対立している場合や、相手に譲歩の余地がない場合は、最初から裁判を選んだほうが結果的に早く解決できることもあります。どちらが適しているか迷うときは、弁護士に相談して見通しを聞いたうえで判断するのが安全です。
調停が不成立になったらどうすればよいですか?
調停が不成立で終わった場合は、改めて裁判(訴訟)を起こして解決を目指す結果につながります。調停で話し合った内容や整理された争点は、その後の裁判でも参考になることがあるため、まったくの無駄になるわけわけではありません。ただし、最初から争点が複雑で対立が大きいと分かっている場合は、調停を経ずに裁判を選んだほうが効率的なこともあります。不成立になったときの次の一手まで見据えて、早めに弁護士に相談しておくと、スムーズに次の手続きへ移れます。
調停調書にはどのような効力がありますか?
調停が成立すると調停調書が作成され、これは確定判決と同じ効力を持ちます。つまり、相手が約束どおりに賠償金を支払わない場合、この調停調書をもとに財産の差し押さえなどの強制執行ができるのです。当事者だけで交わす示談書よりも、支払いの確実性が高いといえるでしょう。せっかく合意しても支払われないという事態を避けられるのは、調停という裁判所の手続きを使う大きな利点の一つです。
まとめ|民事調停は示談と裁判の間の選択肢
交通事故の民事調停は、簡易裁判所で調停委員を交えて話し合う解決方法です。示談がまとまらず、でも裁判はためらわれるというときに、費用を抑えて穏やかに話し合いを再開できる、被害者にとって有力な選択肢になります。
一方で、調停は相手が応じなければ成立しないという限界があります。争点が複雑なケースでは、裁判が必要になることもあるでしょう。だからこそ、調停を利用する前に、自分のケースの適正な賠償額を把握しておくことが何より大切です。物差しを持っていれば、提示された調停案が妥当かどうかを冷静に判断できます。
交通事故の解決手段は、示談・裁判外紛争解決手続・調停・裁判と段階的に用意されています。どれか一つだけが正解というわけではなく、争点の単純さ、金額の大きさ、相手の姿勢、そして被害者がどれだけ早期の解決を望むかによって、適した手段は変わります。民事調停は、その中でも「示談では行き詰まったが、いきなり裁判は避けたい」という場面にちょうど当てはまる選択肢です。費用を抑えつつ、第三者の力を借りて解決を図りたい方は、検討する価値があります。
適正水準を知ったうえで調停に臨めば、低い金額で妥協させられるのではなく、自分が納得できる解決を目指せます。過失割合や賠償額に不安があるときは、早めに弁護士へ相談し、調停・裁判外紛争解決手続・裁判のどの手段が自分のケースに合っているかを見極めておくと後の交渉で役立ちます。
民事調停は、示談がまとまらなかった場合に、裁判所の調停委員を交えて話し合いで解決を目指す手続きです。裁判より手続きが簡単で費用も抑えられる一方、あくまで合意による解決を前提とするため、相手が応じなければ成立しません。調停の場で提示される解決案が自分にとって妥当かどうかを判断するには、損害額や過失割合の見通しが欠かせません。調停を申し立てる前や調停の進行中に弁護士へ相談しておくことで、自分の主張を整理し、納得のいく解決につなげやすくなります。
民事調停は、当事者が顔を合わせて話し合うため、双方が納得しやすい解決を導きやすいという利点もあります。示談で行き詰まったときの次の一手として、調停という選択肢を知っておくと安心です。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
