外貌醜状とは?後遺障害等級と請求できる慰謝料・損害賠償

この記事で分かること
  1. 外貌醜状とは、頭部・顔面部・頸部など日常的に露出する部分のうち上肢・下肢以外の部分(外貌)に、目立つほどの醜い傷痕(醜状)が残った状態を指す
  2. 外貌醜状で該当する後遺障害等級は、7級12号、9級16号、12級14号
  3. 上肢・下肢の醜状障害で該当する後遺障害等級は、上肢が14級4号、下肢が14級5号
  4. 外貌醜状の後遺障害慰謝料は、弁護士基準での計算が最も被害者に有利
  5. 外貌醜状の逸失利益は、その認否や金額が争点になりやすい
  6. 外貌醜状の逸失利益の相場は、個別の事情により金額が大きく変わる
  7. 外貌醜状では、後遺障害慰謝料や逸失利益の他にも入通院慰謝料などを請求できる
  8. 交通事故専門弁護士に相談すれば、外貌醜状の逸失利益を、個別の事情を踏まえて論理的に請求してもらえる

外貌醜状が後遺障害等級認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益などの損害賠償金を請求できます。外貌醜状では、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位など個別の事情ごとに逸失利益の相場が大きく変わるため、保険会社との間で大きな争いになりがちです。スムーズな解決のためには交通事故専門弁護士に相談しましょう。

外貌醜状とは何か?

外貌醜状とは、頭部・顔面部・頸部など日常的に露出する部分のうち上肢・下肢以外の部分(外貌)に、目立つほどの醜い傷痕(醜状)が残った状態を指します。

ここに言う「頭部」とは、通常は頭髪の生えている部分のことで、「顔面部」とは、下顎の骨の線と頭髪の生え際とで囲まれた部分のこと、「頸部」とは顔面部よりも下の日常的に露出している部分のことです。

交通事故によって外貌醜状を負うと、精神的苦痛はもちろんのこと、仕事に支障が出る場合もあります。こうした損害について、被害者は加害者に賠償を求めることができます。

ワンポイントアドバイス
外貌醜状とは、人目につく程度以上の醜い傷痕であることが必要です。したがって、傷痕があってもまゆ毛や頭髪などに隠れ人目につかない部分は対象となりませんので注意が必要です。自分の傷痕が外貌醜状に該当するかどうかお悩みの場合には、交通事故の後遺障害に詳しい弁護士に相談すると良いでしょう。

外貌醜状で該当する後遺障害等級

外貌醜状が後遺障害等級として認定される場合、当てはまる等級は下記の3種類です。

後遺障害等級

認定要件

7級12号

外貌に著しい醜状を残すもの

9級16号

外貌に相当程度の醜状を残すもの

12級14号

外貌に醜状を残すもの

7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの

下記のいずれかに該当し、人目につく程度以上の醜状を言います。
(1) 頭部に残ったてのひら大(指の部分は含まず)以上の瘢痕または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損
(2) 顔面部に残った鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨大以上の組織陥没
(3) 頸部に残ったてのひら大以上の瘢痕

なお「てのひら」と言っても個々人により大きさに違いがありますが、通常は、被害者本人のてのひらが基準となります。

9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの

下記に該当し、人目につく程度以上の醜状を言います。
(1) 顔面部に残った長さ5センチメートル以上の線状痕

12級14号外貌に醜状を残すもの

下記のいずれかに該当し、人目につく程度以上の醜状を言います。

  1. 頭部に残った鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損
  2. 顔面部に残った10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕
  3. 頸部に残った鶏卵大以上の瘢痕

外貌醜状の後遺障害等級は男女共通

外貌醜状の後遺障害等級基準は、現在は男女共通です。しかし2011年(平成23年)以前は男女別となっており、男性の外貌醜状は女性の外貌醜状よりも低い後遺障害等級とされてきました。

男女別から男女共通の後遺障害等級に改正されたのは、自賠責保険制度の後遺障害等級が準拠している労災保険制度の後遺障害等級が、2011年(平成23年)に、男女別から男女共通に改正されたことを受けたものです。

この労災保険制度の改正には、平成22年5月27日京都地裁判決において、労災保険制度の後遺障害等級の男女格差が、違憲と判示されたことが影響しています。

ワンポイントアドバイス
2個以上の瘢痕または線状痕が残った場合には、その面積や長さを合算して等級認定をする場合があります。例えば、顔面部に1.5cmの線状痕が2個あった場合、単体では後遺障害に該当しませんが、合算して3cmとし、12級14号の認定を受けられる可能性があるということです。

「自分の傷痕は小さいので無理だろう」と思った場合でも、合算できる場合がありますので、交通事故の後遺障害に詳しい弁護士に相談するのがベストです。

上肢・下肢の醜状障害も後遺障害等級認定される

外貌とは冒頭で述べたとおり、頭部・顔面部・頸部など日常的に露出する部分のうち上肢・下肢以外の部分を指します。

では上肢・下肢に醜状が残った場合には、後遺障害として認められないのでしょうか?

結論から言えば、上肢・下肢の醜状も、後遺障害として認められる場合があります。

上肢・下肢の醜状障害で該当する後遺障害等級

上肢・下肢の醜障害が後遺障害等級として認定される場合、当てはまる等級は下記のとおりです。

後遺障害等級 認定要件
14級4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

14級4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

上肢の露出面に、てのひら(指の部分は含まず)と同面積の醜状が残るものを言います。なお上肢とは、肩から手の先までの部分のことで、このうち露出面とは、ひじ関節以下(手部を含む)のことです。

14級5号下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

下肢の露出面に、てのひら(指の部分は含まず)と同面積の醜状が残るものを言います。なお下肢とは、足の付け根からつま先までの部分のことで、このうち露出面とは、ひざ関節以下(足背部を含む)のことです。

12級相当に認定されるケース

てのひらの大きさを相当程度超える瘢痕を残し、それが特に著しい醜状である場合には、12級相当と認定されることがあります。なお、てのひらの大きさを相当程度超えるとは、具体的にはてのひらの大きさの3倍程度以上の場合を指します。

上肢の露出面・下肢の露出面に2個以上の瘢痕または線状痕が残った場合には、単体では12級相当に該当しない場合でも、その面積を合算して後遺障害等級認定をする場合があります。ただし、「てのひらの大きさの醜いあとを残すもの」に該当する程度の瘢痕または線状痕が1個以上あることが必要です。

ワンポイントアドバイス
外貌醜状以外の醜状障害には、上肢・下肢の醜状障害のほかに、胸部および腹部、背部および臀部の醜状障害があります。胸部および腹部または背部および臀部の全面積の1/2以上の範囲に瘢痕を残す場合は12級相当、同じく全面積の1/4以上の範囲に瘢痕を残す場合は14級相当と認定されます。

このように醜状障害は、外貌醜状以外にも後遺障害として認定される場合がありますので、保険会社への請求漏れを防ぐために、ぜひ後遺障害に詳しい弁護士に相談しましょう。

外貌醜状で請求できる慰謝料・損害賠償金

後遺障害慰謝料

外貌醜状とその他の醜状障害で後遺障害等級認定がされれば、後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺障害を負ったことによって受けた精神的苦痛に対する損害賠償金です。後遺障害慰謝料は、最も症状の重い後遺障害1級から最も症状の軽い後遺障害14級まである後遺障害等級の中で、等級が上がるほど高額になります。

下記は、外貌醜状とその他の醜状障害で請求できる後遺障害慰謝料の一覧です。

後遺障害等級 認定要件 後遺障害慰謝料
自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの 409万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 1,000万円
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの 245万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 690万円
12級14号 外貌に醜状を残すもの 93万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 290万円
(12級相当) 93万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 290万円
14級4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 32万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 110万円
14級5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの 32万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 110万円
(14級相当) 32万円 自賠責基準と同等〜弁護士基準未満 110万円

外貌醜状の後遺障害慰謝料は、弁護士基準での計算が最も有利

外貌醜状とその他の醜状障害で請求できる後遺障害慰謝料を計算するには、

  • 自賠責基準(自動車損害賠償保障法に基づく最低限の支払基準)
  • 任意保険基準(各任意保険会社の独自の基準で、内容は非公開)
  • 弁護士基準(過去の裁判例に基づく支払い基準)

の3つの基準があります。

後遺障害慰謝料の金額は、一覧表でわかるとおり

自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準

となっているため、弁護士基準が被害者に最も有利な基準です。

しかしながら、保険会社が示談を持ちかけて来る際には、弁護士基準よりも被害者に不利な任意保険基準を使ってきます。

これに対抗するためには、交通事故専門の弁護士に相談し、弁護士のみが使える弁護士基準で後遺障害慰謝料を請求することが必要です。(被害者本人が弁護士基準で請求しても、保険会社や裁判所は原則的に認めません)

外貌醜状で逸失利益を請求できる場合も

後遺障害はさまざまありますが、後遺障害等級認定がされると、通常は逸失利益の請求ができます。逸失利益とは、交通事故の被害で後遺障害が残ったために労働能力を喪失し、本来は得られるはずの将来の収入が減ることに対する損害賠償金です。

しかしながら、外貌醜状の場合は、保険会社に逸失利益を否認されるケースが多く見受けられます。「外貌醜状では、ただちに労働能力の喪失にはいたらない」「外貌醜状の逸失利益を否定した裁判例がある」というのが、保険会社の言い分です。

確かに、これまでの外貌醜状の裁判では逸失利益が激しい争点となり、その中には外貌醜状の逸失利益が否定された裁判例もあります。けれども、外貌醜状の場合でも、逸失利益を認めた裁判例や、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められるとして、後遺障害慰謝料を増額した裁判例が数多く存在しています。

逸失利益の判断材料

外貌醜状の逸失利益の判断材料には、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位などが挙げられますが、その他にも個別の事情を斟酌していきます。

過去の裁判例では、

  1. 醜状痕の存在のために、労働能力に直接的な影響を及ぼすおそれのある場合(配置を転換させられる、職業選択の幅が狭められるなど) →逸失利益を認める
  2. 労働能力への直接的な影響は認められないが、対人関係、対社会的側面で、心理的に労働能力が減退するなど、間接的に労働能力に影響を及ぼすおそれが認められる場合 →逸失利益としては認められないが後遺障害慰謝料を増額する(100万円〜200万円程度)
  3. 直接的にも間接的にも労働能力に影響を与えないと考えられる場合 →逸失利益は認められず後遺障害慰謝料も基準どおりとして増額しない

となっています。

逸失利益の相場

逸失利益の相場は、通常、

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(※中間利息控除をするための係数)

で計算します。

労働能力喪失率は、自動車損害賠償保障法の労働能力喪失率表で後遺障害等級ごとに定められています。外貌醜状とその他の障害で認定されうる後遺障害等級を抜粋すると、以下のとおりです。

後遺障害等級 労働能力喪失率
7級 56%
9級 35%
12級 14%
14級 5%

しかしながら、外貌醜状の場合は、裁判においても労働能力喪失率表どおりに認められない場合が少なくありません。実際には、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位など、個別の事情ごとに判断されています。

労働能力喪失期間については、原則的には症状固定時から67歳までの期間として計算しますが、外貌醜状の場合は、原則どおりの期間を認定されないケースも見受けられます。これは、労働能力喪失率と同様に、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位など、個別の事情ごとに判断されているためです。

後遺障害慰謝料・逸失利益以外に請求できる費目

外貌醜状で請求できる損害賠償金には、後遺障害慰謝料や逸失利益のほか、

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 入院雑費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料

などの費目も請求できます。

ワンポイントアドバイス
外貌醜状の逸失利益は、事案ごとに個別具体的に検討する必要があります。その点、交通事故の後遺障害に詳しい弁護士に相談すれば、過去の裁判例などを元に専門的見地から判断してくれます。

外貌醜状でお悩みの場合は弁護士に相談を!

まとめ:外貌醜状の慰謝料・損害賠償金は個別の事情で大きく変わる

これまでのポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 外貌醜状とは、頭部・顔面部・頸部など日常的に露出する部分のうち上肢・下肢以外の部分(外貌)に、目立つほどの醜い傷痕(醜状)が残った状態を指す
  • 外貌醜状で該当する後遺障害等級は、7級12号、9級16号、12級14号
  • 上肢・下肢の醜状障害で該当する後遺障害等級は、上肢が14級4号、下肢が14級5号
  • 外貌醜状の後遺障害慰謝料は、弁護士基準での計算が最も被害者に有利
  • 外貌醜状の逸失利益は、その認否や金額が争点になりやすい
  • 外貌醜状の逸失利益の相場は、個別の事情により金額が大きく変わる
  • 外貌醜状では、後遺障害慰謝料や逸失利益の他にも入通院慰謝料などを請求できる

外貌醜状では、逸失利益が大きな問題となります。そのため被害者本人が保険会社と示談交渉をすると、逸失利益をゼロとして提示されるケースが非常に多いです。

保険会社に反論するためには、過去の裁判例なども踏まえた上で、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位などの判断材料を挙げながら、法的に正しく論理展開することが大切です。

交通事故専門弁護士は、外貌醜状のプロ

外貌醜状でお悩みの場合には、交通事故専門弁護士に相談するのがベストです。

交通事故専門弁護士に相談するメリットは、

  • 後遺障害等級認定において、「事故によって負った醜状障害が目立つものとして認定されるのか」「複数の瘢痕または線状痕を合算できるのか」といった問題に詳しい
  • 慰謝料を弁護士基準で計算できる
  • 保険会社との間で争点になりやすい逸失利益を、過去の裁判例などを踏まえて、被害者の年齢、性別、職業、醜状障害の程度および部位などの判断材料を挙げながら、法的に正しく論理展開できる

という点にあります。

傷痕または線状痕の部位・大きさなどの資料があるとベター

弁護士に相談する際には、傷痕または線状痕の部位・大きさなどを医師に測定してもらった資料があると、より正確な慰謝料・損害賠償金の算定が可能です。

初回相談料無料・完全成果報酬型の弁護士も

弁護士への相談を費用面でお悩みの場合でも、いまは、

  • 初回相談料無料
  • 着手金ゼロの完全成果報酬型

といった料金設定をしている弁護士が増えてきていますので、そうした弁護士への相談も一つです。

また、ご自身が加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていれば、その特約で弁護士費用が賄えるケースもあります。

交通事故専門弁護士は、法的知識・医学的知識を駆使して、適正な慰謝料・損害賠償金を勝ち取るために尽力してくれます。外貌醜状でお悩みの場合には、ぜひ交通事故専門弁護士にご相談ください。

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