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交通事故の慰謝料の増額事由|悪質な運転と特別な事情

交通事故の慰謝料の増額事由|悪質な運転と特別な事情

この記事で分かること

  • 加害者が飲酒運転の交通事故でも、被害者は補償を受けられる
  • 飲酒運転は、酒気帯び運転と酒酔い運転の2種類
  • 加害者が飲酒運転の交通事故における慰謝料・損害賠償金は増額される可能性も
  • 慰謝料増額事由として認められるのは、被害者に通常の想定を超える精神的苦痛が生じているケースのみ
  • 慰謝料増額事由として認められた場合の慰謝料金額は、個別の事情を総合的に見て判断される
  • 加害者が飲酒運転の交通事故では、加害者の過失割合を上方修正できる場合がある
  • 交通事故専門弁護士に相談すると、慰謝料増額や過失修正など飲酒運転の交通事故特有の問題にも適切に対処してもらえる

加害者が飲酒運転の交通事故でも、被害者は加害者の自動車保険から補償を受けることができます。飲酒運転事故の場合には、慰謝料増額事由や過失修正など専門知識を要する問題がありますので、交通事故専門の弁護士に相談するのがベストです。

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慰謝料が増額されることはあるのか

相手は飲酒運転だった。信号を無視して突っ込んできた。挙げ句、現場から逃げた。それなのに、提示された慰謝料は通常の事故と変わらない。

納得がいかないのは当然です。そして、こうした事情は慰謝料の増額事由として考慮される余地があります。加害者の行為が著しく悪質である場合や、事故後の対応が不誠実である場合には、通常の算定を超える額が認められることがあるためです。

ただし、注意していただきたい点があります。増額は、自動的に上乗せされるものではありません。相手方の保険会社が、悪質性を汲んで自発的に金額を引き上げてくることは、まずないと考えてください。

想像してみてください。飲酒運転の車にはねられて骨折し、三か月通院した。加害者は刑事裁判で有罪になった。ところが届いた提示書には、通院期間に応じた金額が書かれているだけで、飲酒運転だったことはどこにも反映されていない。

なぜこうなるのか。相手方の担当者は、算定の枠組みに数字を当てはめているだけだからです。悪質性を考慮する仕組みが、その作業の中にありません。

被害者からすれば理不尽に映りますが、まずこの構造を知っておくことが出発点になります。怒りを担当者に向けても、提示は動きません。動かすには、別のやり方が要ります。

具体的には、事実を示す資料をそろえ、どの事情がどう評価されるべきかを整理して伝えることです。感情ではなく、材料で押す。これが唯一の方法になります。

幸い、悪質な事案ほど記録が多く残っています。刑事の捜査が行われているためです。使える資料は、思っているより手に入ります。

問題は、その存在を知っているかどうかです。取り寄せる方法が分からないまま、手ぶらで交渉に臨んでしまう方が少なくありません。

どこまで手に入るかは、加害者が起訴されたかどうかによって変わってきます。まず担当の検察庁に問い合わせてみてください。

被害者として記録を求める手続きが用意されていますので、案内してもらえます。

代理人に依頼しているのであれば、資料を取り寄せる作業も任せられます。

手続きに慣れている分、必要な資料を絞って請求してもらえます。

この記事では、どのような事情が増額事由になるのか、主張するために何を集めるのか、そして交渉でどう扱われるのかを整理します。

期待値についても、率直に書いています。認められる余地はあるが、劇的に金額が変わるとは限らない。そこを踏まえたうえで、どこに力を注ぐかを判断してください。

限られた時間と労力を、どこに使うか。この見極めが結果を分けます。

治療を続けながらの作業になりますので、優先順位をはっきりさせておく意味は大きいところです。

まずは治療に専念し、資料の収集は並行して少しずつ進める。この形が無理のない進め方です。

示談の交渉が始まるのは治療が終わってからですので、それまでに準備を整えておけば十分間に合います。

刑事の手続きが先に終わることも多いので、その結果を待って資料を集めるという進め方もできます。

治療が長引く事案では、この順序になることが多いところです。

焦らず、示談の交渉が始まるまでに整えておけば足ります。

慰謝料はどう決まるのが原則か

増額の話に入る前に、土台を押さえておきます。

入通院慰謝料は、治療にかかった期間や実際に通院した日数を基礎に算定されます。後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じて決まります。つまり、原則としては被害の大きさで決まる仕組みです。

骨折して三か月通院した人は、原因が何であれ同じ枠組みで算定されます。相手が単なる不注意だったか、飲酒運転だったかは、この計算には入ってきません。

制度としては、被害の回復を目的にしているためです。加害者を懲らしめる役割は、刑事の手続きが担っています。

民事と刑事で目的が違う。この分担を知っておくと、提示額への不満の置きどころも見えてきます。

処罰を求めるのであれば刑事の手続きで、金額を求めるのであれば民事の交渉で。それぞれ別に動くことになります。

どちらも進めたいのであれば、時期と手続きを分けて考えてください。

刑事で意見を述べる制度も用意されています。処罰を望むのであれば、その意思を伝えておいてください。

捜査の段階で述べた内容は、起訴するかどうかの判断にも影響します。

伝えたいことがあれば、担当の検察官に申し出てください。

加害者がどれだけ悪質だったかは、この枠組みの外にあります。だからこそ、別に主張する必要が生じます。

裏を返せば、主張すれば考慮される余地があるということでもあります。枠組みの外にあるから認められない、という話ではありません。

実際、過去の裁判例でも、悪質な事情を考慮して通常より高い額を認めた例があります。

どの事情がどう評価されたかは事案によりますが、主張する価値がある領域だということです。

認められなかったとしても、主張したことで不利になることはありません。

提示された額をそのまま受け入れる前に、検討の余地があるかだけでも確かめてみてください。

署名して示談が成立すると、やり直しはききません。

書面を戻す期日を切られたとしても、それに従わなければならない決まりはありません。多くは事務処理の都合で設けられたものです。

納得できるまで検討してから署名してください。

迷うのであれば、署名の前に第三者の目を通しておくと安心です。

内容を確認してから返事をすると伝えれば足ります。

なお、算定に用いる基準そのものにも複数の水準があり、相手方が最初に示してくるのは低めの水準であることが一般的です。増額を論じる前に、まずこの点を確認してください。実務上は、基準の是正のほうが金額への影響が大きい場面も少なくありません。

提示書を受け取ったら、まずどの基準で計算されているかを尋ねてください。そこを直すだけで、金額が大きく動くことがあります。

とくに通院が長期に及んでいる事案では、基準の違いによる差が数十万円単位になることもあります。

まずここを直し、そのうえで増額事由を積む。この順序が現実的です。

順序を逆にすると、話が噛み合わないまま終わることがあります。

まず土台を整え、そのうえで上乗せを求める。この流れを意識してください。

提示の内訳を出してもらうところから始めるのが確実です。

どの費目がいくらで、何を根拠に計算したのか。算定の根拠を確かめること自体は、無礼にあたる行為ではありません。

説明できない項目があるなら、そこに検討の余地があります。

納得できる説明が返ってくるなら、その提示は妥当な水準にある可能性が高いと考えてよいでしょう。

そのうえで、増額事由に当たる事情があるかを検討する順序になります。

該当しそうな事情があれば、根拠となる資料とあわせて示してください。

ワンポイントアドバイス
「増額」には二つの意味があります。低い基準で計算された額を適正な水準に直すこと。そして、悪質な事情を理由に通常の算定を超える額を求めること。前者のほうが動く幅は大きいのが通常です。まず提示がどの基準によるものかを確かめてください。

増額事由1:運転そのものが悪質だった

最も典型的なのが、この類型です。

飲酒運転・薬物の影響

正常な運転ができない状態で車を走らせる行為は、故意に近いと評価されます。事故が起きることを容易に予見できたはずだからです。

呼気の数値が高いほど、評価は厳しくなります。刑事の記録に数値が残っていますので、確認しておいてください。

検査を拒んだ場合や、時間を置いてから出頭した場合も、その経緯自体が材料になります。

隠そうとした事実は、悪質性を示す事情として扱われます。

アルコールの発覚を免れる目的の行為には、別に重い罰則も設けられています。

刑事で重く扱われる事情は、民事でも材料になります。

両者の判断基準は違いますが、示す事実は共通しています。

一度そろえた資料は、どちらの手続きでも使えます。

集める手間は一度で済みます。早い段階で取りかかってください。

資料がそろっていれば、相談の場でも具体的な見通しを示してもらえます。

手ぶらで臨むと、一般論しか返ってきません。

提示書、診断書、通院の記録、刑事の処分結果。この四つがあれば、判断の精度が上がります。

そろわない段階でも、相談すること自体は可能です。何を集めるべきかを教えてもらえます。

刑事の手続きで危険運転致死傷罪が適用されているのであれば、その事実自体が有力な材料になります。過失運転致死傷罪にとどまった場合でも、飲酒の事実は主張の対象です。

罪名がどちらになったかは、捜査の結果によります。過失運転致死傷罪で処理されたからといって、悪質でなかったことにはなりません。

民事の交渉では、罪名にとらわれず事実を示すことが大切です。

どの罪名で処理されたかは、こちらでは動かせない部分です。

納得できない場合は、検察審査会という手続きもあります。

いつまで請求できるかには制限がありますので、早い段階で調べておいてください。

不起訴の理由を確かめたうえで、申し立てるかどうかを判断することになります。

無免許運転

運転する資格がないにもかかわらずハンドルを握った。免許を取り消されている状態であれば、なおさら評価は厳しくなります。

過去にも同種の違反を繰り返している場合は、その経歴も材料になります。

他人の車を無断で持ち出していた、といった事情が加わることもあります。

その場合、車の所有者にも責任を問える可能性が出てきます。

加害者本人に資力がない事案では、請求先が増えることに意味があります。

誰の車だったのかは、交通事故証明書からも確認できます。

所有者が別にいるようであれば、その点も相談の際に伝えてください。

著しい速度超過

制御が困難なほどの高速度で走行していた場合も、同様です。単なる不注意とは質が違うと見られます。

どの程度の速度だったかは、刑事の記録や車両の損傷状況から判断されます。こちらの体感だけでは足りません。

速度が争点になる事案では、専門家の解析が行われることもあります。

車両の損傷の程度や、路面に残った痕跡から推定されます。

現場の写真が残っていれば、後から検討できます。

信号無視・逆走

殊更に信号を無視した、一方通行を逆走した。基本的な交通ルールを意図的に破る行為は、悪質性を基礎づけます。

うっかり見落としたのか、分かっていて無視したのか。この違いが評価を分けます。

捜査で加害者がどう供述したかを確認すれば、判断の手がかりになります。

見ていなかったと述べているのか、急いでいたと述べているのか。言葉の違いに意味があります。

記録を読み込む作業は手間がかかりますが、増額を主張するなら避けて通れません。

あおり運転

執拗に接近する、進路を妨害する、急ブレーキをかける。故意に危険を生じさせる行為が事故につながった場合、増額の余地は大きくなります。

映像が残っていれば、最も強い材料になります。自分の車の記録装置を確認してください。

後続車や対向車の記録に残っていることもあります。事故の直後に呼びかけておくと、確保できることがあります。

時間が経てば、記録は上書きされて消えます。動くなら早いほうが確実です。

入院していて自分で動けないのであれば、家族に依頼してください。

悪質性が問われる運転の一覧

類型 評価される理由
飲酒・薬物の影響 正常な運転ができない状態を自ら作り出している
無免許運転 運転する資格がないことを知りながら走行している
著しい速度超過 制御が困難な状態を自ら招いている
信号無視・逆走 基本的なルールを意図的に破っている
あおり運転 故意に危険を生じさせている
居眠り運転 予兆がありながら運転を続けている

これらが重なっている事案ほど、主張は通りやすくなります。飲酒運転でひき逃げ、といった組み合わせが典型です。

一つひとつは決定的でなくても、積み重ねることで全体の評価が変わります。該当しそうな事情は、すべて挙げておいてください。

どれが決め手になるかは、後から判断すればよいことです。まずは書き出してみてください。

書き出したものを相談の場に持参すれば、整理も早く進みます。

記憶が新しいうちに書いておくと、後から思い出す手間も省けます。

増額事由2:事故後の対応が不誠実だった

事故そのものだけでなく、その後の行動も考慮されます。

ひき逃げ

倒れている被害者を放置して立ち去る。救護義務違反は、それ自体が重い罪であると同時に、慰謝料の増額事由としても扱われます。

発見が遅れたことで症状が悪化した場合には、その点も含めて主張することになります。

夜間や人通りの少ない場所で放置されたのであれば、その状況も具体的に示してください。

誰にいつ発見されたか、救急への通報がいつだったか。記録に残っている情報です。

証拠の隠滅

アルコールが抜けるのを待ってから出頭する、車を修理して損傷を消す、ドライブレコーダーの記録を削除する。事実を隠そうとした行為は、強く評価されます。

これらは刑事の手続きでも重く見られますので、捜査の記録に残っていることが多い部分です。

民事の交渉で使うなら、記録を取り寄せておく必要があります。

虚偽の説明

事故の状況について事実と異なる説明を繰り返す、被害者に責任を転嫁する。捜査の段階で供述が二転三転している場合も、その経緯が材料になります。

記録を取り寄せれば、供述がどう変わったかを追えます。

説明が変遷していること自体が、不誠実さを示す事情になります。

謝罪がない・不誠実な態度

一度も連絡してこない、謝罪の意思を示さない、被害者を非難する。こうした対応も、精神的な苦痛を増す事情として考慮される余地があります。

ただし、単に謝罪が足りないという程度では認められにくいところです。外形的に明らかな不誠実さが求められます。

連絡を試みたが断られた、という事情が加害者側にある場合もあります。こちらが会いたくないと伝えていたのであれば、それを理由に不誠実だと主張するのは筋が通りません。

連絡の有無だけでなく、どういうやり取りがあったかを整理しておいてください。

不誠実さが問われる行動

  • 救護せずに現場を離れた
  • 警察へ通報しなかった
  • 飲酒の発覚を避けるため時間を置いてから出頭した
  • 車を修理して損傷を消した
  • 記録装置のデータを削除した
  • 事故の状況について虚偽の説明をした
  • 被害者に責任を転嫁する言動を繰り返した

いずれも、事故そのものとは別に評価される事情です。

事故の態様に落ち度が少なくても、その後の行動が悪質であれば増額の余地が生じます。

逆に、事故そのものは重大でも、その後の対応が誠実であれば増額は認められにくくなります。

増額事由3:被害者側に特別な事情がある

加害者の行為だけでなく、被害の受け止め方に特別な事情がある場合も考慮されます。

精神的な症状が残った

事故の記憶が繰り返しよみがえる、車に乗れなくなった、夜眠れない。身体のケガとは別に、精神面の症状が生じることがあります。

医師の診断を受け、症状が記録されていることが前提になります。本人が訴えるだけでは、主張として通るものになりません。

身体の治療に通う中で、精神面の不調を伝えそびれる方が多くいます。気になる症状があれば、必ず口に出してください。

身体の主治医に言いにくければ、専門の医療機関を受診する方法もあります。

生活が大きく変わった

後遺障害によって仕事を続けられなくなった、趣味や役割を失った、家族の介護を受ける立場になった。等級だけでは表れない影響が生じている場合、その実態を示すことになります。

同じ等級でも、その人の生活に与える影響は違います。何ができなくなったのかを、具体的に書き出してください。

仕事、家事、趣味、地域での役割。失われたものを挙げていくと、影響の大きさが見えてきます。

治療が長期に及び、負担が重かった

手術を何度も受けた、入院が長期化した、痛みの強い処置が続いた。通院期間という数字だけでは測れない苦痛があれば、具体的に示す価値があります。

診療の記録に残っていれば、裏づけになります。

手術の回数や入院の期間は、診療報酬明細書からも確認できます。

増額事由4:近親者に固有の苦痛が生じた

被害を受けた本人だけでなく、その家族についても考慮されることがあります。

被害者が亡くなった場合、遺族には固有の慰謝料が認められます。亡くなった方本人の慰謝料とは、まったく別枠で発生するものです。

また、死亡に至らなくても、重度の後遺障害が残った場合には、近親者にも固有の苦痛が生じたとして認められることがあります。片時も離れられない介護を担うことになった、この先ずっと生活を支え続けることになった。こうした事情が、その判断の下敷きになっています。

近親者の慰謝料は、本人の分と別に算定されます。抜け落ちやすい費目にあたりますので、当てはまるなら必ず確かめてください。

請求できる人の範囲は、亡くなった方とのつながり方によって決まります。配偶者、子、父母が基本ですが、同居して生活を共にしていた親族が含まれることもあります。

増額は自動的には認められない

ここが、この記事で最もお伝えしたい点です。

相手方の保険会社は、算定の枠組みに従って金額を計算します。飲酒運転だったから上乗せしよう、ひき逃げだから増やそう、という判断は行いません。担当者に悪意があるわけではなく、そういう仕組みになっていないだけです。

怒りを担当者にぶつけても、状況は変わりません。むしろ、根拠を示して求めるほうが動きます。

ですから、増額を求めるのであれば、こちらから事情を示して主張する必要があります。何も言わなければ、通常の算定のまま提示されて終わります。

そして、主張したからといって必ず認められるわけでもありません。交渉の段階で相手方が応じず、訴訟に進んで初めて判断される、という展開もあります。

そこまで進むかどうかは、見込まれる金額と負担を比べて決めることになります。

期待値を現実的に持つ

増額が認められた場合でも、劇的に金額が変わるとは限りません。事案によって幅があり、一律の相場もありません。

過去の判断を見ても、事情の重なり方によって結論は大きく分かれています。数字を断言している情報には、注意してください。

むしろ、算定の基準そのものを是正するほうが、金額への影響は大きい場合が多いところです。増額事由の主張は、その上に積むものだと考えてください。

主張するために集める材料

感情を訴えるだけでは動きません。事実を示す資料が必要です。

  1. 刑事の記録を取り寄せる。実況見分調書や加害者の供述が含まれる
  2. 加害者の処分結果を確認する。起訴されたか、どの罪名か、判決はどうか
  3. 事故後のやり取りを記録に残す。連絡の有無、内容、日付
  4. 医師の診断を受け、精神的な症状も記録してもらう
  5. 生活への影響を具体的に書き出す
  6. 家族への影響についても整理しておく

一番目が最も重要です。加害者がどういう状態で運転し、事故後に何をしたのか。捜査の記録に残っていれば、それが客観的な裏づけになります。

自分の記憶や印象だけでは、交渉の材料になりません。書面に残っているものを探してください。

取り寄せられる範囲は、起訴されたかどうかによって変わります。不起訴の場合は制限がかかりますので、早い段階で方法を確認してください。

交渉での扱われ方

実際に主張したとき、どう受け止められるのでしょうか。

示談交渉の段階

相手方の担当者は、社内の基準に沿って処理しています。増額事由を主張しても、権限の範囲を超えるため応じられない、という反応になることがあります。

それでも、主張しておく意味はあります。記録に残りますし、後の手続きに進んだときの土台になります。

主張した事実が残っていれば、訴訟に進んだときにも経緯を説明しやすくなります。

紛争処理の機関

負担をかけずに、第三者へ判断を委ねる道も用意されています。争う論点が限られている事案であれば、有効な選択肢になります。ただし、増額事由のような評価の絡む論点は、扱いが難しい場合もあります。

費目の計算違いや基準の当てはめであれば、比較的短期間で結論が出ます。

訴訟

最終的に判断されるのは、裁判所です。証拠にもとづいて事情が認定されれば、通常の算定を超える額が認められることがあります。

もっとも、相応の時間と費用を要することになります。どれだけ増えそうかという見込みと、そこにかかる負担とを見比べて決めることになります。

最後まで争わずに、途中の話し合いで決着する事案も少なくありません。

弁護士費用特約があれば

費用の負担なく進められますので、判断の基準が変わります。自分の契約になくても、一緒に暮らす家族の証券から使えるのが通例です。まずは証券を広げて確かめてください。

特約が使えるなら、費用を気にせず主張を組み立てられます。判断の前提そのものが変わります。

加害者が刑事で処罰されると金額は上がるのか

混同されやすい点を整理しておきます。

刑事処分と賠償額は、連動しません。加害者が実刑になったからといって、慰謝料が自動的に増えるわけではありません。逆に、不起訴になったからといって、賠償請求ができなくなるわけでもありません。

ただし、刑事の手続きで認定された事実は、賠償の交渉でも使えます。呼気から検出された数値、どれだけの速度で走っていたか、事故の後にどう振る舞ったか。判決や捜査の記録に残っていれば、増額を主張する材料になります。

連動はしないが、材料にはなる。この区別を頭に入れたうえで、提示を読んでください。

刑事の手続きがどこまで進んでいるかは、担当の検察庁に問い合わせれば教えてもらえます。処分の結果を通知してもらう仕組みも用意されています。

よくある質問

飲酒運転の被害に遭いました。慰謝料は増えますか

増額が認められる余地はあります。ただし、こちらから事情を示して主張しなければ、通常の算定のまま提示されます。刑事の記録を材料に交渉することになります。

どのくらい増額されますか

決まった水準というものは存在しません。事故がどう起きたか、どの程度の被害だったか、加害者がその後どう振る舞ったか。これらの組み合わせで結論が変わります。大きな上積みを前提に考えるより、言わなければ何も付かないという点を押さえてください。

相談の場では、見込まれる幅をお伝えしたうえで、どこまで争うかを一緒に決めることになります。

保険会社に言えば応じてもらえますか

示談交渉の段階では、担当者の権限を超えるとして応じられないことが多くあります。それでも主張しておけば記録に残り、後の手続きで土台になります。

加害者が謝罪してくれません。これも理由になりますか

事情として主張することはできますが、それだけで増額が認められるのは難しいところです。一度も連絡がない、被害者を非難するなど、外形的に明らかな不誠実さが求められます。

精神的な症状が残っています

医師の診断を受け、症状が記録されていることが前提になります。そのうえで、日常生活にどう影響しているかを具体的に示すことになります。自己申告だけでは主張として成り立ちません。

家族の慰謝料も請求できますか

被害者が亡くなった場合、遺族には固有の慰謝料が認められます。死亡に至らなくても、重度の後遺障害が残った場合には認められることがあります。

刑事裁判で有罪になれば慰謝料は上がりますか

自動的には上がりません。刑事処分と賠償額は連動しないためです。ただし、刑事の手続きで認定された事実は、増額を主張する材料として使えます。

相手が無免許でした。慰謝料は変わりますか

増額を主張する材料になります。運転する資格がないことを知りながらハンドルを握った行為は、単なる不注意とは質が違うと評価されるためです。免許を取り消されている状態であれば、なおさら強く主張できます。

刑事の記録に、免許の状況が記載されています。取り寄せて確認してください。

無免許運転は、それ自体が別の罪として扱われます。処分の内容からも状況が分かります。

無免許での運転を繰り返していた場合は、その経歴も主張の材料になります。

常習性があると評価されれば、悪質性の裏づけとして働きます。

処分歴は捜査の記録にも表れますので、確認しておく価値があります。

初犯かどうかで、刑事の処分も民事の評価も変わってきます。

同じ事故でも、加害者の背景によって結論が動くということです。

あおり運転を受けて事故になりました

故意に危険を生じさせる行為ですので、増額の余地は大きくなります。映像が残っていれば最も強い材料になりますので、記録装置のデータを早めに保存してください。刑事の手続きでどう扱われたかも確認しておきましょう。

危険運転致死傷罪が適用されているのであれば、その事実自体が有力な裏づけになります。

適用されなかった場合でも、運転の態様を示す資料を集めれば主張は可能です。

罪名にとらわれず、何が起きたかを示すという発想で組み立ててください。

民事の判断は、刑事の結論に拘束されるものではありません。

訴訟をしないと認められませんか

交渉で応じてもらえる事案もありますが、評価の絡む論点であるため、訴訟で初めて判断されることも多くあります。見込まれる増額分と、費やす時間や費用を比べて判断してください。

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