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人身事故の行政処分は点数で決まる
人身事故を起こすと、三つの責任が同時に生じます。刑事上の責任、行政上の責任、そして被害者への賠償責任です。このうち免許に関わるのが、行政上の責任です。
この三つは、それぞれ別の機関が別の基準で判断します。刑事は警察と検察、そして裁判所。行政は公安委員会。賠償は当事者間の話し合いか裁判所。窓口も進む速さも違いますので、混同すると見通しを誤ります。
相談の場でも、この三つが混ざったまま話されることがよくあります。「示談したのに免許が止まるのはおかしい」「不起訴になったのに処分が来た」。いずれも、別々の手続きだと分かれば整理がつく話です。
とくに行政処分は、こちらが何かをしなくても自動的に進みます。刑事のように示談で働きかける余地が乏しいぶん、点数の仕組みを知って見通しを立てることが唯一の備えになります。
行政処分は、公安委員会が違反点数にもとづいて行います。ここには裁判官も検察官も出てきません。点数が一定の水準に達すれば、機械的に停止や取消しへと進みます。示談が成立したから軽くなる、という性質のものでもありません。
ここが刑事処分との大きな違いです。刑事のほうは被害弁償の状況が判断に影響しますが、行政処分は点数という客観的な尺度で決まります。誠意を尽くしたかどうかは、直接の考慮要素になりません。
冷たいようですが、恣意的な判断を避けるための仕組みでもあります。誰が事故を起こしても、同じ基準で処分されるということです。
想像してみてください。交差点で自転車と接触し、相手は全治二週間の打撲。誠意をもって謝罪し、保険で治療費も払った。刑事のほうは不起訴で終わった。ところが数週間後、公安委員会から免許停止の通知が届く。刑事で終わったはずなのに、と戸惑う。
こうした相談は珍しくありません。不起訴になれば免許にも影響しないと考えてしまうのは、自然な誤解です。
むしろ、不起訴になっても行政処分は通常どおり進みます。刑事で処罰しないという判断と、免許を停止するという判断は、別の基準によるものだからです。
刑事処分と行政処分は、別の手続きです。片方の結果が、もう片方を左右するわけではありません。この記事では、点数がどう積み上がるのか、何点でどの処分になるのか、通知が届いてから何ができるのかを整理します。
被害に遭われた方にとっても、人身事故として処理されるかどうかは重要な問題です。後半でその点にも触れます。
加害者の立場であれば、いま自分が何点なのかを把握しておくことが出発点になります。点数が分かれば、処分の見通しもおおよそ立ちます。
被害者の立場であれば、人身事故として届け出るかどうかが最初の分岐です。ここを誤ると、後の賠償交渉にも影響します。
点数は二つの足し算でできている
人身事故の点数は、一つの数字で決まるわけではありません。二種類の点数を足して求めます。
基礎点数と付加点数
基礎点数は、違反そのものに付く点数です。信号無視、一時不停止、速度超過、安全運転義務違反。事故の原因になった違反の種類に応じて決まります。
事故を起こさなくても、違反だけで点数が付くのはこの基礎点数です。速度超過で切符を切られたときに加算されるのも、この点数にあたります。
事故を起こした場合、この基礎点数に付加点数が上乗せされる形になります。違反だけで済んだ場合と比べて、点数が一気に増えるのはそのためです。
たとえば、信号無視だけなら2点で済みます。それが人身事故につながり、被害者が全治1か月であれば、付加点数が加わって合計11点。一度で免許停止に届きます。
付加点数は、事故を起こして人を死傷させたことに対して加算される点数です。こちらは、被害の程度と、加害者の過失の重さによって変わります。
付加点数は、人身事故に固有のものです。物損だけで終わった事故には、原則として付きません。人身として処理されるかどうかで点数が大きく変わるのは、この付加点数があるためです。
この二つを足したものが、その事故で付く点数です。さらに、過去の違反による点数が残っていれば、それも累積されます。
つまり、同じ事故を起こしても、それまでの運転歴によって結論が変わります。日ごろ違反の多い方ほど、一度の事故で重い処分に届きやすくなるわけです。
逆に、長く無事故無違反であれば、軽微な人身事故なら処分に至らないこともあります。日ごろの運転が、いざというときの結果を左右します。
付加点数は被害の程度で決まる
ここが、人身事故の点数を大きく左右する部分です。
治療期間が区切りになる
付加点数は、被害者の治療に要する期間によって段階が分かれています。そして同じ被害でも、加害者の不注意が専らの原因である場合と、そうでない場合とで点数が変わります。
この区別を知らない方が多いのですが、点数にして三割から四割ほどの差が出ます。処分の段階が一つ変わることもありますので、軽視できません。
どちらで扱われるかは、捜査の結果にもとづいて判断されます。こちらが希望すれば選べる、という性質のものではありません。
ただし、判断の前提になるのは現場で確認された事実です。事実を正確に伝えることが、結果として適切な扱いにつながります。
| 被害の程度 | 専ら加害者の不注意 | それ以外 |
|---|---|---|
| 死亡 | 20点 | 13点 |
| 治療期間3か月以上または後遺障害 | 13点 | 9点 |
| 30日以上3か月未満 | 9点 | 6点 |
| 15日以上30日未満 | 6点 | 4点 |
| 15日未満 | 3点 | 2点 |
「専ら加害者の不注意」とは、事故の原因がもっぱら加害者側にあり、被害者にほとんど落ち度がない場合を指します。被害者側にも不注意があれば、点数は低いほうの列が適用されます。
たとえば、被害者が横断歩道のない場所を渡っていた、自転車が夜間に無灯火だった、といった事情です。こうした点は、実況見分の際に正確に伝えておく必要があります。
後から主張しようとしても、現場での説明と食い違えば通りにくくなります。記憶が新しいうちに、見えたものと見えなかったものを分けて説明しておいてください。
診断書の内容が点数を決める
注目していただきたいのが、治療期間で段階が分かれている点です。全治14日と診断されるか15日と診断されるかで、付加点数が変わります。
この期間は、警察に提出された診断書の記載にもとづいて判断されます。後から実際の通院が延びたとしても、当初の診断書が基準になるのが通常です。
逆に、被害者の側から見れば、初診時の診断書の記載が軽すぎると、加害者の処分が実態より軽くなることを意味します。症状をきちんと伝えたうえで作成してもらう意味は、ここにもあります。
もっとも、診断書は治療のために作られるものです。処分を重くする目的で長く書いてもらう、といった発想は筋が違います。実際の症状をそのまま伝えれば足ります。
加害者の側から診断書の内容に口を出すことはできません。治療の内容は医師と被害者の間で決まるものです。
基礎点数は違反の種類で決まる
付加点数に加えて、事故の原因となった違反の点数が付きます。
人身事故で最も多く適用されるのが、安全運転義務違反です。前方不注意や操作の誤りなど、具体的な違反類型に当てはまらない不注意が該当し、2点が付きます。
人身事故の多くは、この違反として処理されます。よそ見をしていた、確認が足りなかった、ハンドル操作を誤った。こうした事情は、個別の違反類型に収まりきらないためです。
ただし、信号無視や一時不停止が明らかであれば、そちらが適用されます。どの違反として扱われるかで点数が変わりますから、事実関係を正確に伝えることが大切です。
ほかにも、信号無視、一時不停止、通行区分違反、速度超過などが基礎点数の対象です。速度超過は超過幅によって点数が大きく変わり、飲酒運転であれば13点から35点が付きます。
つまり、同じ「全治2週間の人身事故」でも、安全運転義務違反であれば合計5点、酒気帯び運転が絡めば一気に取消しの水準に達します。基礎点数がどれになるかで、結論がまるで変わるのです。
ですから、処分の見通しを立てるには、どの違反として扱われているかを把握しておく必要があります。捜査の過程で確認できますので、分からなければ尋ねてみてください。
切符を切られた場合は、その書面に違反の種類が記載されています。手元に残しておいてください。
人身事故の場合、切符とは別に捜査が進みます。どの違反として立件されるかが最終的に決まるのは、捜査が終わってからです。
点数に関わりやすい基礎点数の例
- 安全運転義務違反……2点
- 信号無視……2点
- 一時不停止……2点
- 通行区分違反……2点
- 速度超過……超過幅に応じて1点から12点
- 酒気帯び運転……13点または25点
- 酒酔い運転……35点
- 救護義務違反……35点
末尾の二つは、それだけで取消しに達する点数です。事故の内容よりも、こうした重い違反が絡んでいるかどうかのほうが結論を左右します。
速度超過は幅によって差が大きく、一般道と高速道路でも扱いが変わります。大幅な超過であれば、それだけで停止の水準に届きます。
速度超過が事故の原因になっている場合、基礎点数と付加点数の両方が重くなります。結果として、取消しに直結することもあります。
累積点数と前歴で処分が決まる
点数が出たら、次は処分の内容です。ここで効いてくるのが、過去の処分歴です。
前歴がない場合の目安
| 累積点数 | 処分 |
|---|---|
| 6点から8点 | 免許停止30日 |
| 9点から11点 | 免許停止60日 |
| 12点から14点 | 免許停止90日 |
| 15点から24点 | 免許取消し(欠格期間1年) |
| 25点から34点 | 免許取消し(欠格期間2年) |
| 35点以上 | 免許取消し(欠格期間3年以上) |
前歴があると基準が下がる
過去に停止や取消しの処分を受けていると、より少ない点数で処分に至ります。前歴が1回あれば4点で停止、2回あれば2点で停止という具合に、基準が段階的に厳しくなります。
取消しの基準も同じように下がります。前歴がなければ15点で取消しですが、前歴を重ねるほど少ない点数で取消しに至ります。
自分に前歴があるかどうかは、証明書を取れば確認できます。あいまいな記憶で見通しを立てるより、確かめてしまうほうが早道です。
証明書は郵送でも申請できます。窓口に出向く時間が取れなくても手続きは進められますので、早めに取り寄せておくとよいでしょう。
前歴は、処分を受けてから1年間無事故無違反であれば消えます。逆に、その間に違反を重ねると、次の処分が重くなります。
処分を受けた直後の一年をどう過ごすかが、その後を左右します。軽い気持ちの違反が、次の重い処分につながることがあるためです。
点数が消えるまで
違反点数は、最後の違反から1年間、無事故無違反で過ごせば消えます。ただし、停止処分を受けた場合はその処分が終わった時点でリセットされます。
この1年という区切りは、意外と長く感じられるものです。軽微な違反を重ねているうちに、思いがけず停止の水準に届いてしまう方が少なくありません。
心当たりがあるなら、証明書を取り寄せて現在の点数を確認しておくとよいでしょう。あと何点で処分に届くのかが分かっていれば、運転への意識も変わります。
免許停止と取消しは何が違うのか
言葉は似ていますが、性質がまるで違います。
停止は一時的に効力が止まるだけ
免許停止は、定められた期間だけ運転できなくなる処分です。期間が明ければ、自動的に運転を再開できます。免許証そのものは有効なままで、あらためて試験を受ける必要もありません。
ただし、停止期間中は運転できません。この期間に運転すれば無免許運転として扱われ、はるかに重い処分を受けることになります。
取消しは免許が失われる
免許取消しは、免許そのものがなくなる処分です。欠格期間が設けられ、その間は新たに免許を取得できません。
そして、欠格期間が明けても自動的に戻るわけではありません。取消処分者講習を受けたうえで、あらためて試験を受け直すことになります。学科も技能も一からです。
時間も費用もかかります。教習所に通い直す方も多く、負担は小さくありません。取消しと停止の差は、想像以上に大きいと考えてください。
欠格期間中は、いかなる事情があっても運転できません。仕事で必要だから、という理由で例外が認められることもありません。
だからこそ、取消しが見込まれる場合は、早い段階で生活の組み立てを考えておく必要があります。通勤手段、業務の分担、家族の送迎。処分が出てから慌てることのないようにしてください。
勤務先への説明も、この段階で考えておくべきことの一つです。運転を伴う業務であれば、配置の調整が必要になります。
就業規則に処分を報告する定めが置かれていることもあります。黙っていて後から発覚するほうが、事態はこじれます。
処分の期間中をどう乗り切るかまで含めて、早めに手を打っておくことをおすすめします。
この違いは、生活への影響の大きさに直結します。停止であれば数十日を耐えればよいのに対し、取消しは年単位で運転できなくなり、その後も費用と時間をかけて取り直すことになります。
停止か取消しかの境目は、前歴がなければ15点です。14点と15点では、その後の数年がまったく違うものになります。付加点数の列がどちらで扱われるかが効いてくるのは、こうした場面です。
通知が届いてからの流れ
事故を起こしても、その場で処分が決まるわけではありません。しばらく経ってから通知が届きます。
- 事故の処理と捜査が進み、被害者の治療期間が確定する
- 点数が算定され、処分の内容が決まる
- 停止の場合は出頭通知書、取消しや長期停止が見込まれる場合は意見の聴取の案内が届く
- 指定された日時に出頭し、処分の通知を受ける
- 停止であれば免許証を預け、期間が明けたら返却を受ける
通知が届くまでの期間は、事案によって差があります。数週間で届くこともあれば、数か月かかることもあります。被害者の治療が長引けば、その分だけ点数の確定も遅れます。
待っている間は落ち着かないものですが、通知が来ないこと自体は珍しくありません。忘れられたわけでも、処分がなくなったわけでもないと考えてください。
気になるようであれば、警察に問い合わせて進捗を尋ねることもできます。ただ、被害者の治療が終わるまでは確定しないのが通常です。
治療が数か月に及ぶ事案では、事故から半年以上経ってから通知が届くこともあります。
この間に転居した場合は、住所変更の手続きを忘れないでください。通知が届かないまま出頭日が過ぎると、不利な扱いを受けることがあります。
意見の聴取は必ず出席する
取消しや長期の停止が見込まれる場合、処分の前に意見を述べる機会が設けられます。案内が届いたら、時間を作って出席してください。
こちらに有利な事情を示せれば、処分が軽くなる余地があります。被害者側の落ち度、やむを得なかった事情、運転できないことで生じる支障、再発を防ぐために講じた手立て。挙げられるものは資料とあわせて用意してください。
当日は、予定されている処分の内容と理由が説明されます。分からない点はその場で尋ねて構いません。一方的に聞かされて終わる場ではありません。
述べたことは記録に残ります。感情的に訴えるより、事実と資料で示すほうが伝わります。
欠席すると、こちらの言い分が反映されないまま処分が決まります。都合がつかない場合も、事前に連絡して調整を求めるべきです。
停止期間は講習で短縮できる
免許停止の処分を受けた場合、停止処分者講習を受けることで期間を短縮できます。
講習は停止期間の長さに応じて区分されており、受講後の考査の成績によって短縮される日数が決まります。成績が良ければ、30日の停止が最短1日になることもあります。
受講には費用がかかり、期間も半日から二日程度を要します。それでも、運転できない日数を大幅に減らせますので、仕事で車を使う方にとっては検討する価値があります。
ただし、受講できるのは停止期間が始まる前か、その初日です。時期を逃すと受けられません。出頭の際に案内がありますので、その場で申し込むかどうかを判断してください。
なお、取消しの場合にこの制度はありません。短縮できるのは停止だけです。
短縮された場合、残りの期間は運転できるようになります。仕事への影響を抑えたいなら、通知が届いた時点で受講を前提に予定を組んでおくとよいでしょう。
短縮を当てにして予定を入れるのは避けてください。考査の成績によっては、思ったほど短縮されないこともあります。
講習は、居住地の運転免許センターなどで実施されます。日程が限られていることもありますので、案内を受け取ったら早めに確認してください。
点数が付かない場合もある
事故を起こしたからといって、必ず点数が付くわけではありません。
物損事故として処理された場合
物の損壊だけで人の死傷がない事故では、原則として点数は付きません。当て逃げのように措置義務違反が加われば話は別ですが、通常の物損であれば行政処分の対象外です。
建造物を損壊した場合には、例外的に点数が付きます。ガードレールや電柱、建物などを壊した事故が該当します。
また、物損であっても現場から立ち去れば、措置義務違反として重い点数が付きます。物損だから点数は付かない、と考えて立ち去るのは最も避けるべき対応です。
そのため、加害者側が人身事故への切り替えを避けたがることがあります。被害者から見れば、切り替えないことで不利を負うのは自分の側です。
ケガをしているのに物損のままにすると、治療費や慰謝料を請求しにくくなります。頼まれたとしても、応じるかどうかは自分で決めるべきことです。
人身と物損では、その後の手続きも賠償の範囲も変わってきます。
加害者側に過失がない場合
事故に関与しても、こちらに違反がなく過失も認められないのであれば、点数は付きません。追突された側や、相手の信号無視による事故がこれにあたります。
ただし、実際にどちらの不注意によるものかは、捜査を経て判断されます。自分に非がないと考えていても、実況見分での説明が不十分だと、異なる結論になることがあります。
現場での説明は、その後の判断の土台になります。あいまいな記憶で断定せず、覚えていることと分からないことを分けて伝えてください。
ドライブレコーダーの映像があれば、その場で提出するか、保存しておいてください。記憶より確かな材料になります。
相手の車や周辺の店舗に記録が残っていることもあります。事故の直後であれば確保できる可能性がありますので、早めに動いてください。
処分に納得できない場合
点数の算定や処分の内容に疑問があるとき、取れる手段があります。
まず根拠を確認する
どの違反で何点、付加点数が何点、累積で何点になったのか。内訳を確認してください。出頭の際に説明を求めれば、算定の根拠は示されます。
とくに確認したいのが、付加点数の列です。「専ら加害者の不注意」として扱われているのか、そうでないのか。被害者側にも落ち度があったのであれば、そこを主張する余地があります。
ただし、これは責任を逃れようとする主張ではありません。事実がどうだったかを正確に反映させる、というだけのことです。過失割合の議論と重なる部分でもあります。
ただし、行政処分の点数と、賠償で使う過失割合は別のものです。点数が軽かったから過失割合も低くなる、という関係にはありません。
行政処分は道路交通法にもとづく手続き、過失割合は民事の損害賠償の問題です。判断の土台になる資料は共通していても、結論は別々に決まります。
不服を申し立てる制度
処分に納得できない場合、審査請求や取消訴訟という手続きがあります。ただし、いずれも期間の制限があり、手続きの負担も小さくありません。
実際には、処分が出る前の意見の聴取で主張するほうが、はるかに現実的です。処分後に覆すのは容易ではありませんので、聴取の機会を活かしてください。
どうしても納得できない場合は、期間内に手続きを取る必要があります。期限を過ぎると争えなくなりますので、早い段階で相談してください。
とはいえ、点数の算定そのものに誤りがある場合を除けば、処分を覆すのは簡単ではありません。まずは聴取の場で尽くす、というのが基本になります。
処分そのものは動かせなくても、停止であれば講習による短縮という手があります。取れる手立ては最後まで確認しておいてください。
被害者の立場から見た行政処分
ここまで加害者側の話をしてきましたが、被害者にとっても無関係ではありません。
加害者に行政処分が科されたかどうかは、賠償額そのものには直結しません。行政処分は免許に関する手続きであり、損害の賠償とは別の枠組みだからです。
ただし、人身事故として処理されたかどうかは大きく影響します。人身で処理されれば実況見分が行われ、事故の状況を記録した資料が作られます。作られた資料は、のちに過失割合を争う場面で効いてきます。物損として処理されると、この記録自体が作られません。
事故の状況をめぐって双方の主張が食い違ったとき、拠りどころになる資料がないという事態になります。過失割合で争う可能性があるなら、見過ごせない差です。
加害者から「人身にしないでほしい」と頼まれることがあるのは、点数と刑事処分を避けたいからです。応じる義務はありません。
相手が現場から立ち去った場合は、また別の対応が必要になります。
よくある質問
人身事故を起こすと必ず免許停止になりますか
なりません。累積点数が6点に達して初めて停止の対象になります。全治15日未満の事故で安全運転義務違反であれば合計5点ですので、前歴や累積がなければ停止には至りません。
示談すれば点数は減りますか
減りません。行政処分は点数にもとづいて決まる手続きで、示談の成否は考慮されません。示談が影響するのは刑事処分のほうです。
全治何日から点数が重くなりますか
15日、30日、3か月が区切りです。同じ軽傷でも、14日と15日では付加点数が変わります。警察に提出された診断書の記載が基準になります。
通知はいつ届きますか
事案によりますが、数週間から数か月です。被害者の治療期間が確定しないと点数も定まりませんので、治療が長引けばその分だけ遅くなります。
停止期間中に運転したらどうなりますか
無免許運転として扱われます。点数も大幅に加算され、刑事罰の対象にもなります。停止期間中は、いかなる理由があっても運転しないでください。
意見の聴取に弁護士を同行できますか
代理人として出席してもらうことができます。仕事の都合で出向けない場合や、主張すべき事情が込み入っている場合には、検討する価値があります。
点数はいつ消えますか
最後の違反から1年間、無事故無違反で過ごせば消えます。停止処分を受けた場合は、その処分が終わった時点でリセットされます。
相手のケガが軽いのに、点数が重いのはなぜですか
付加点数だけでなく、基礎点数が加算されているためです。信号無視や速度超過が原因であれば、その分が上乗せされます。内訳を確認すれば、どこで点数が積み上がっているかが分かります。
また、付加点数が「専ら加害者の不注意」の列で計算されている可能性もあります。被害者側にも落ち度があったのであれば、その点は意見の聴取で述べておいてください。
物損で処理された後に、人身へ切り替えられると点数は付きますか
付きます。人身事故として処理された時点で、付加点数の対象になります。被害者が診断書を提出して切り替えを申し出れば、手続きが進みます。
切り替えの時期が遅いと、事故とケガのつながりを疑われることがあります。被害者の立場であれば、症状が出た時点で早めに動くべきです。
同じ日に複数の違反をした場合はどうなりますか
原則として、最も点数の高い違反の点数が適用されます。すべてを単純に足すわけではありません。ただし、事故による付加点数は別に加算されます。
どの違反が適用されたかは、通知や切符の記載で確認できます。想定より点数が高い場合は、内訳を尋ねてみてください。
仕事で車を使うのですが、配慮してもらえますか
生活への影響は意見の聴取で述べることができます。ただし、点数に応じた処分の枠組み自体は変わりません。停止であれば講習による短縮を検討し、取消しであれば欠格期間中の代替手段を考えることになります。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
