2019/2/12 624view

無保険車両との交通事故 賠償請求や泣き寝入りしないための注意点

この記事で分かること
  1. 相手方車両が任意保険に未加入の場合、自賠責に対して請求可能です。
  2. 自賠責にも未加入の場合、政府補償事業制度を利用することで賠償の補填を受けられます。
  3. トラブルになる可能性が高いので加害者と直接の示談交渉は避けましょう。

交通事故の加害者が無保険のケースも、必ずしも泣き寝入りになるわけではありません。相手方車両が任意保険に未加入の場合、自賠責に対して請求可能です。また自賠責にも未加入の場合、政府補償事業制度を利用する手段が存在します。しかしいずれの場合も損害のすべての補填を受けられる可能性は低いでしょう。ですから無保険車との事故でも補填を受けられるよう任意保険に加入しておくことが大切なのです。トラブルになる可能性が高いので加害者と直接の示談交渉は避けましょう。

無保険の相手との事故

交通事故でケガを負った場合通常賠償支払いを受けられます。お金の出所は相手方の保険会社ですが、中には保険に未加入のドライバーも存在します。この場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか。初めに自動車保険の種類や自動車事故において果たす役どころなどを解説します。

自賠責保険と任意保険

自動車保険にも大きく自動車損害賠償保険と任意保険に分かれます。まずは補償範囲など、両者の違いについて解説します。

自賠責保険は加入が義務付けられた強制保険

自賠責保険は自動車損害賠償保障法で加入が義務付けられていて“強制保険”とも呼ばれます。未加入での運転が発覚した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

自賠責保険においては補償範囲やその額は限定されていて、ケガの補償は120万円まで、死亡の補償は3000万円まで、後遺障害の補償は後遺障害等級に応じて75万~4000万円となっています。

自賠責保険でカバーできない範囲を補うのが任意保険

このように補償範囲が限定的なのは自賠責保険が、事故被害者の救済を目的としているためです。

そして自動車事故では賠償額が莫大になることもあり、自賠責保険では賄いきれないケースもあります。その部分について補うのが任意保険です。任意保険には車の損傷を賠償範囲とする車両保険や自損事故をカバーする自損事故保険、物損に対しても適用される対物賠償保険などがあります。

自賠責保険では保険料や補償の範囲・上限が決まっているのに対し、任意保険では損保会社やその契約内容によって様々なのです。そして特約を付帯させることによって賠償の内容範囲を付け加えることもできます。

交通事故加害者が無保険だった場合賠償はどうなる

ほとんどの人は両方の保険に加入していますが、中には未加入の車も存在します。また加入していても事故の際賠償できる契約が備わっていない車もあります。これらを「無保険車」と呼びますが、事故の相手が無保険だったら泣き寝入りするしかないのでしょうか。

無保険の相手との事故でも必ずしも泣き寝入りする必要はない

保険の未加入にも「任意保険にのみ未加入」のケース、法律に違反しているにもかかわらず「自賠責にも未加入」のケースに分かれます。
そして実は交通事故の加害者が保険未加入で賠償能力もないケースでも、必ずしも泣き寝入りする必要はないのです。この辺りについて次章から詳しく見ていきましょう。

ワンポイントアドバイス
交通事故の加害者が無保険のケースも、必ずしも泣き寝入りになるわけではありません。

無保険車の相手に賠償請求するには

自動車事故において相手が保険に未加入でなおかつ賠償するだけの資力がない場合、損害賠償請求は諦めるしかないのでしょうか。ここからは無保険の相手に賠償請求する方法やその注意点を解説していきます。

自賠責にのみ加入している場合

まずは事故の相手先が自賠責には加入しているものの、任意保険には未加入の場合です。この場合は自賠責に対して賠償請求できますが、限度額の超過分は泣き寝入りになる可能性があります。

自賠責に対して賠償請求可能だが限度額まで賠償されない

この場合、自賠責に対して賠償請求することになります。けれども前述の通り自賠責でカバーできる範囲には上限があり、損害のすべてを賠償してもらえるとは限りません。

人身事故では治療費や入通院費、入通院慰謝料など多くのお金が必要になるのが通常です。それらを合わせればたちまち自賠責の限度額120万を超過してしまいます。更に後遺障害が残れば治療費や介護費などが膨れ上がるので、自賠責で賄うことなど到底不可能です。

また事故遭えば車や衣服が破損することがほとんどですが、それらの賠償は受けられない点にも注意が必要です。と言うのも、既に解説した通り自賠責は最低限度の補償を目的としているので、物損については適用外なのです。

超過分は加害者への請求となるが支払われないことも

そして自賠責の超過分は加害者当人に請求することになります。けれども支払われない可能性もある点に注意が必要です。

まず加害者にそれだけの賠償能力を持っているとは限りませんし、そもそも任意保険に加入してもいない人が素直に支払いに応じてくれるとは考えにくいと言わざるを得ないのです。

自賠責・任意保険共に未加入の相手

自賠責保険は強制保険であり、すべての車両保有者は加入することが法律で義務付けられています。けれども中には、自賠責保険にすら入っていない不届き者も存在します。では、事故の相手が自賠責保険にも加入していない場合はどうすればよいのでしょうか。

政府補償事業制度を利用する

事故の相手が任意保険はおろか自賠責保険にも加入していない場合は、“政府補償事業制度”を利用できます。

この制度は自賠責保険または自賠責共済からの保険金の支払いを受けられない被害者を救済するための制度で、被害者は損害の程度に応じて国から給付金を受け取ることができます。

なお無保険車との事故の他、

  • ひき逃げで自動車の保有者が不明の場合
  • 泥棒運転、つまり加害車両が盗まれたものであり自動車の保有者に事故の責任が全くない場合
  • 加害車両の自賠責保険の期限が切れている場合

の事故でも利用可能です。

ただし賠償の範囲は自賠責保険のそれと同等で、死亡の場合3000万円、傷害の場合120万円が上限となります。

請求方法は

請求の手続きは損保会社や共済が政府から、一部業務を委託されています。従って、全国の損害保険会社や農協などに請求することになります。

ワンポイントアドバイス
事故の相手車両が任意保険に未加入の場合、自賠責に対して賠償請求可能です。自賠責にも未加入の場合、政府補償事業制度を利用することで賠償の補填を受けられます。いずれの場合の損害のすべての賠償を受けられる可能性は低いです。

無保険車の相手との事故で泣き寝入りしないために

つまり、交通事故の相手方車両が無保険だった場合、少なくとも損害の一部については泣き寝入りになる可能性が大いにあるわけです。

とは言え、いつ事故に遭うかは誰にも予測できません。ですから前もって無保険車との事故の際にも困らないよう備えておくことが大切です。

無保険車との事故では自分が損をする事態になり得る

無保険車と交通事故を起こせば、悪いのは相手方であっても自分が損することになり兼ねません。

そうならないためにはあらかじめ無保険車との事故でも補填が効く任意保険に加入する、またそのような特約を付帯させておくことが大切です。

ここでは無保険車両との事故でも補償が受けられる保険や、その特徴を紹介します。

人身傷害保険(特約)・搭乗者傷害保険(特約)

人身傷害保険とは相手の有無にかかわらず、加入者や同乗者家族が交通事故で負傷した場合に補償を受けられるものです。

搭乗者傷害保険とは契約者や同乗者がケガを負った場合に補償を受けられるものですが、補償内容が人身傷害保険と重複するため、近年では付帯しない保険会社も増えています。

無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは読んで字のごとく無保険車との事故でも補償を受けられるものです。

無保険車との事故で泣き寝入りしないためには、こうした任意保険に加入し未然に有事の際に備えて体制を整えておくことが大切です。

加害者が支払いに応じない場合はどうする

加害者側が十分な資力を有していないことを理由に賠償支払いに応じないケースもあります。この場合、どうすればよいのでしょうか。

賠償請求訴訟を起こす

交通事故において、加害者が支払いに応じないケースはしばしばあります。

しかし事故を起こしたということは道路交通法違反に当たります。つまり加害者は犯罪者なのです。ですから当然加害者は賠償責任から逃れることはできません。

この場合賠償請求訴訟を起こし、裁判所から支払い命令を出してもらいましょう。

最終的には差し押さえも必要

それでも依然として支払わない、あるいは支払い能力がない場合は加害者の財産を差し押しさえることになります。ただ、この手続きは素人には複雑なので、弁護士に依頼するとよいでしょう。

ワンポイントアドバイス
無保険車との事故でも補填を受けられるよう任意保険に加入しておくことが大切です。

無保険車との交通事故における賠償請求のポイント

ここまでをまとめると、“事故の相手車両が任意保険に未加入の場合、自賠責に対して賠償請求可能。自賠責にも未加入の場合、政府補償事業制度を利用すれば賠償の補填を受けられる無保険車との事故でも補填が効くよう任意保険に加入しておくことが大切”となります。

最後に無保険車との交通事故における賠償請求について押さえておきたいポイントを解説します。

加害者と直接の示談交渉は避けるべし

交通事故の示談交渉は通常保険会社が代行しますが、加害者の中には被害者との直接交渉を要求してくるものも存在します。けれどもそれは賢明ではありません。その理由を見ていきましょう。

適正な賠償額を得られない可能性が高い

本来、交通事故における損害賠償の額は事故の過失割合や被害者側の後遺障害の有無・またその程度など、複数の要素を加味して算出されるものです。

ですから素人が適正な額をはじき出すのはそもそもが困難なところ、相手は自動車保険にも加入していないような非常識な輩です。

それゆえ、自分に不利となる資料や証拠は隠ぺいするなどして、賠償額を不当に引き下げようとしてくる可能性も否定できないわけです。

任意保険未加入の車はどのくらい存在する?

以上、無保険車と交通事故の相手方が無保険だった場合の賠償請求方法などを解説してきました。ここで気になるのが、任意保険未加入の車がどれくらい存在するかでしょう。では任意保険の加入率はどのくらいなのでしょうか。

任意保険の加入率は増加傾向にある

任意保険はその名の通り加入の義務はありません。けれども自動車事故では多額の賠償責任が発生し得ます。

保険がおりなくても賠償できるだけの十分な資力があればよいですが、とても支払えない額の損害賠償請求されるケースもあり得です。

こうした事情から万が一に備える任意保険は非常に重要で加入率は増加傾向にあります。

自動車の1割以上が無保険

損害保険料算出機構の調査によると任意保険の加入率は2011年で87.2%、2013年で87.6%、2016年で88.2%と、おおよそ9割弱です。

値だけ見れば高いように感じるかもしれませんがこれは1割以上が未加入、つまり10回事故を起こせば1回は無保険車と当たることを意味します。そう考えると任意保険加入率の9割弱は高い割合とは言えないでしょう。

ですから、無保険車との事故に備えることが大切なのです。

ワンポイントアドバイス
トラブルになる可能性が高いので加害者と直接の示談交渉は避けましょう。

無保険の相手との事故は弁護士に相談を!

無保険車両であるか否かは外からは分かりませんし、交通事故は突発的に発生するものです。ですから事故を起こさないよう気を付けることに加えて、無保険車両との事故でも補償を受けられるような保険に加入し、未然に自衛策をとっておくことが肝心です。

そして、何よりも、無保険の相手との事故は、自力で交渉しようとせず、交通事故に強い弁護士に相談することが肝心です。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
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