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交通事故でけがをして、病院で「全治2週間」と診断された――。このとき、多くの方が気になるのが「慰謝料はいくらもらえるのだろう」という点ではないでしょうか。全治2週間というと比較的軽いけがのように感じますが、それでも事故の被害者である以上、適正な慰謝料を受け取る権利があります。
ところが、「全治2週間程度なら、たいした慰謝料にはならない」と言われ、相手方の保険会社が提示してきた金額をそのまま受け入れてしまう方も少なくありません。実は、慰謝料の金額は、診断書に書かれた「全治2週間」という期間だけで決まるわけではありません。実際にどれだけ通院したか、どの基準で計算するかによって、受け取れる金額は変わってくるのです。
この記事では、交通事故にくわしい弁護士の視点から、全治2週間のけがで慰謝料がいくらになるのか、その計算方法や、金額を左右するポイントをわかりやすく解説します。「全治2週間だから」とあきらめる前に、まずは正しい知識を身につけましょう。
全治2週間の交通事故、慰謝料はいくら?
まず結論からお伝えすると、全治2週間のけがの慰謝料は、一概に「いくら」と言い切れるものではありません。なぜなら、慰謝料の額は、実際の通院の状況や、適用される計算基準によって変わるからです。
「全治2週間」というのは、あくまで医師が診断した時点での見込みの治療期間です。実際には、2週間で完全に治る場合もあれば、痛みが長引いて通院が続く場合もあります。慰謝料は、この実際の治療の経過をもとに算定されるため、診断書の「全治2週間」という言葉だけで金額が決まるわけではないのです。
ですから、「全治2週間だから慰謝料は少ない」と決めつけるのは早計です。大切なのは、実際にどれだけ治療を受けたか、そしてどの基準で計算するか。この2つを正しく押さえることが、適正な慰謝料を受け取る出発点になります。多くの方は「軽傷だから、提示された金額が相場なのだろう」と考えてしまいますが、その金額が弁護士基準で計算した場合と同じとは限りません。まずは仕組みを知り、自分のケースに当てはめて考えてみることが大切です。慰謝料の全体的な計算方法については、より詳しい記事もあわせて参考になります。
そもそも「全治2週間」とは何を意味するのか
「全治2週間」という言葉は、医師が作成する診断書に記載されるもので、けがが治るまでにおおよそ2週間程度かかる見込み、という意味です。これは、あくまで診断時点での「見込み」であり、確定した治療期間ではありません。
交通事故では、この診断書が、警察に人身事故として届け出る際や、保険金を請求する際に重要な役割を果たします。とくに、診断書に記載された全治期間は、事故が刑事手続きでどう扱われるかなどにも関わってくることがあります。
つまり、「全治2週間」という診断は、けがの程度の目安にはなりますが、それがそのまま慰謝料の金額を決める数字ではない、という点を理解しておくことが大切です。
慰謝料は「全治期間」ではなく実際の通院で決まる
ここが、全治2週間の慰謝料を考えるうえで、もっとも重要なポイントです。入通院慰謝料は、診断書の「全治期間」ではなく、実際に入院・通院した期間や日数をもとに算定されます。
たとえば、「全治2週間」と診断されても、その後も痛みが続いて、結果的に1か月、2か月と通院を続けることもあります。この場合、慰謝料は実際に通院した期間に応じて算定されるため、当初の「2週間」よりも高くなります。逆に、診断書に全治2週間と書かれていても、数回しか通院しなければ、慰謝料はその通院実績に応じた金額にとどまります。
このように、全治2週間という診断はスタート地点にすぎず、その後どれだけ治療を続けたかが、慰謝料の金額を左右します。「全治2週間」という言葉に縛られず、自分の症状に応じて、必要な治療をきちんと受けることが大切です。なお、ここで誤解してはいけないのは、慰謝料を増やすために必要以上に通院すればよい、という話ではないという点です。あくまで、症状があり治療の必要性が認められる範囲で通院することが前提です。実際の症状に即して、医師の判断のもとで適切に通院を続けることが、結果として適正な慰謝料につながります。
全治2週間のケースの慰謝料の目安
では、全治2週間のけがの場合、慰謝料はどのくらいが目安になるのでしょうか。ここでも、3つの計算基準による違いを押さえておく必要があります。
| 基準 | 特徴 | 金額の傾向 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 自賠責保険による最低限の補償の基準 | もっとも低い |
| 任意保険基準 | 各保険会社が独自に定める社内基準 | 自賠責よりやや高い程度 |
| 弁護士基準 | 過去の裁判例に基づく基準 | もっとも高い |
同じ全治2週間・同じ通院期間でも、自賠責基準か弁護士基準かで、慰謝料の額は変わります。もっとも低いのが自賠責基準、もっとも高いのが弁護士基準です。相手方の保険会社が提示してくる金額は、弁護士基準より低い水準にとどまることが多いため、その金額が適正かどうかを確認することが大切です。全治2週間のような軽傷のケースでは、金額そのものが小さいため「わざわざ確認するほどでもない」と感じてしまいがちですが、基準が変わるだけで受取額が一定割合増えることもあります。少額だからこそ、適正な基準で計算されているかを確かめる価値があります。3つの基準のくわしい違いについては、別記事でくわしく解説しています。
全治2週間程度のけがでは、むちうち(頸椎捻挫)であるケースも多くみられます。むちうちの慰謝料相場については、通院期間別に別記事でくわしく解説しているので、あわせて参考にしてください。
慰謝料の計算方法
慰謝料がどのように計算されるのか、基本的な考え方を見ておきましょう。
自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたり原則4,300円とされます。そして、対象となる日数は、「治療期間(初診から治療終了まで)」と「実際の通院日数の2倍」を比べて、少ないほうが用いられます。たとえば、全治2週間(治療期間14日)で、実際に7日通院したケースでは、通院日数の2倍(14日)と治療期間(14日)を比べて、いずれも14日となり、これに日額をかけて計算します。
一方、弁護士基準では、入院・通院の月数に応じた金額が定められており、自賠責基準よりも高い水準になります。全治2週間程度でも、実際の通院期間に応じて算定されるため、通院が長引けば、その分慰謝料も高くなります。このように、どの基準で、どの治療期間をもとに計算するかによって、最終的な金額が変わってくるのです。
具体例で見る全治2週間の慰謝料
イメージをつかむために、2つのケースを比べてみましょう。いずれも「全治2週間」と診断されたケースですが、その後の通院の経過が異なります。
ケースAは、診断どおり2週間で症状が落ち着き、その間に数回通院して治療を終えたとします。この場合、慰謝料は2週間という短い治療期間と、実際の通院回数に応じた金額になります。比較的少額にとどまるでしょう。
一方、ケースBは、全治2週間と診断されたものの、その後も痛みが続き、結果的に2か月にわたって通院を続けたとします。この場合、慰謝料は実際の2か月という通院期間に応じて算定されるため、ケースAよりも大幅に高くなります。さらに、ケースBで弁護士基準を適用すれば、金額はいっそう上がります。
この2つのケースの違いは、「全治2週間」という診断ではなく、その後の通院の経過にあります。つまり、同じ診断でも、実際にどれだけ治療を続けたか、どの基準で計算するかによって、慰謝料は大きく変わるのです。診断書の数字だけで「少額だろう」と判断してはいけない理由が、ここにあります。
全治2週間でも慰謝料を増やせるケース
「全治2週間だから、慰謝料はこの程度」と提示されても、増額の余地がある場合があります。主なケースを見てみましょう。
- 症状が続いて通院を継続した場合……実際の通院期間が延びれば、その分慰謝料も増えます。
- 弁護士基準で計算し直した場合……保険会社の提示が任意保険基準なら、弁護士基準にすることで増額の可能性があります。
- 後遺障害が残った場合……万が一、症状が残って後遺障害が認定されれば、別途、後遺障害慰謝料を請求できます。
とくに、保険会社が提示してくる金額は、低めの基準にもとづくことが多いものです。全治2週間という診断だけを見て「少額だから仕方ない」と受け入れる前に、弁護士基準ではいくらになるのかを確認することをおすすめします。保険会社は、全治2週間という言葉を理由に「このくらいが相場です」と低めの金額を提示してくることがありますが、それが弁護士基準と比べて妥当とは限りません。少額に思えるケースほど、提示額の根拠を確認する姿勢が大切です。慰謝料が少ない、あるいはもらえないと感じる原因と対処法については、別記事でくわしく解説しています。
物損事故のままにしない
全治2週間のような比較的軽いけがの場合に、とくに注意したいのが、「物損事故」のままにしないことです。慰謝料は、けが人が出た「人身事故」で請求できるものだからです。
事故直後に「軽いから大丈夫」と物損事故で処理してしまうと、後で全治2週間の診断を受けても、慰謝料の請求で不利になることがあります。けがをしたなら、診断書を取得して、必ず人身事故として届け出ましょう。物損事故のままだと、けががなかったことを前提に処理が進んでしまい、慰謝料を含むけがに関する賠償を求めにくくなってしまうのです。全治2週間という比較的軽いけがだからこそ、つい物損で済ませてしまいがちですが、ここを軽視すると後で損をすることになりかねません。
事故の状況によっては、被害者にも過失があるとされ、過失割合に応じて慰謝料が減らされることもあります。過失割合がどう決まるのかについては、総論記事もあわせて参考になります。
全治2週間の診断と刑事処分の関係
慰謝料とは少し話がそれますが、知っておきたいのが、診断書の「全治期間」が、加害者の刑事処分にも関わることがあるという点です。
交通事故でけが人が出た場合、加害者は過失運転致傷罪などに問われる可能性があります。このとき、被害者のけがの程度――つまり全治期間がどのくらいか――は、加害者の処分の軽重を判断する際の一つの要素になります。全治2週間というのは比較的軽いけがに分類されますが、それでも人身事故である以上、加害者の刑事責任が問われ得ることに変わりはありません。被害者としては、こうした刑事の手続きと、自分が受け取る慰謝料の話とを混同しないように整理しておくとよいでしょう。
このように、全治2週間という診断は、慰謝料の算定だけでなく、事故全体の処理にも関わってきます。だからこそ、けがをしたら適切に診断を受け、人身事故として正しく届け出ておくことが重要なのです。
慰謝料以外に請求できるもの
全治2週間のけがでも、請求できるのは慰謝料だけではありません。事故によって生じた損害を、あわせて請求できます。
| 損害の項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療費 | 通院などにかかった費用 |
| 通院交通費 | 通院のための交通費 |
| 休業損害 | けがで仕事を休んで減った収入 |
とくに、けがのために仕事を休んだ場合は、休業損害を請求できます。全治2週間でも、その間に仕事を休まざるを得なかったなら、減った収入を補償してもらえる可能性があります。慰謝料だけでなく、こうした損害も漏れなく請求することが大切です。通院のために有給休暇を使った場合や、交通費を自己負担した場合も、補償の対象になり得ます。事故のケース別の慰謝料の目安については、別記事もあわせて参考になります。
事故の被害に遭われた方へ
「自分の全治2週間のケースだと、慰謝料はいくらになるのか」を具体的に知りたい方も多いでしょう。慰謝料の概算は、通院の期間などからつかむことができます。
以下の計算ツールを使えば、ご自身のケースでの慰謝料の目安をその場で確認できます。まずは賠償全体の見通しを持つために、慰謝料の概算を把握しておきましょう。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
表示された金額に幅があるのは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準で計算結果が変わるためです。保険会社が最初に提示してくる金額は低めであることが多いので、提示された示談金をそのまま受け入れる前に、一度確認しておくと安心です。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
よくある質問(FAQ)
全治2週間だと慰謝料はいくらくらいですか?
一概には言えません。慰謝料は、診断書の「全治2週間」という期間ではなく、実際の通院期間や日数、どの基準で計算するかによって決まります。全治2週間と診断されても、症状が続いて通院を継続すれば、その分慰謝料は高くなります。まずは計算ツールなどでおおよその目安を確認し、保険会社の提示額が適正かをチェックしましょう。
全治2週間と言われましたが、まだ痛みます。通院を続けてよいですか?
はい、症状が続いているなら、自己判断で治療をやめず、医師に相談しながら通院を続けてください。「全治2週間」はあくまで診断時点の見込みであり、実際の症状に応じて治療を継続することは問題ありません。通院を続ければ、その実績が慰謝料に反映されます。痛みを我慢して通院をやめると、慰謝料が少なくなるだけでなく、症状の悪化にもつながりかねません。
保険会社の提示額をそのまま受け入れてよいですか?
相手方の保険会社が提示してくる金額は、弁護士基準より低い水準にとどまることが多いものです。「全治2週間だから」と少額の提示を受け入れる前に、弁護士基準ではいくらになるのかを確認することをおすすめします。提示額に疑問があれば、弁護士に相談して適正額をチェックするとよいでしょう。
全治2週間でも弁護士に相談する意味はありますか?
はい、あります。全治2週間程度のけがでも、弁護士基準で計算し直すことで、慰謝料が増額される可能性があります。とくに、通院が長引いたケースや、休業損害も請求したいケースでは、相談する意義があります。多くの法律事務所では初回相談を無料で受け付けており、弁護士費用特約が使えれば自己負担を抑えて依頼できることもあります。
全治2週間のけがで仕事を休みました。補償されますか?
けがのために仕事を休んで収入が減った場合は、休業損害として補償を請求できます。全治2週間でも、その間に仕事を休まざるを得なかったなら、減収分を請求できる可能性があります。会社員だけでなく、自営業の方やパート・アルバイトの方も対象になり得ます。慰謝料とあわせて、休業損害も漏れなく請求しましょう。
診断書はどのタイミングで取得すればよいですか?
けがをしたら、できるだけ早く医療機関を受診し、診断書を取得しておきましょう。診断書は、警察に人身事故として届け出る際や、保険金を請求する際に必要になります。事故から受診までに日数が空くと、けがと事故の因果関係を疑われやすくなるため、痛みや違和感があれば、その日のうちか数日以内に受診しておくことが大切です。診断書を取得したら、速やかに警察へ人身事故の届け出を行いましょう。
全治2週間と全治1か月では慰謝料は大きく違いますか?
診断上の全治期間が長いほど、けがが重いことの目安にはなりますが、慰謝料そのものは実際の通院の経過によって決まります。全治1か月でも通院が短ければ慰謝料は抑えられますし、全治2週間でも通院が長引けば高くなります。診断書の全治期間だけで一律に決まるわけではなく、あくまで実際にどれだけ治療を続けたか、どの基準で計算するかが金額を左右します。
全治2週間程度のけがでも、通院の実態によって受け取れる慰謝料は変わってきます。実際の通院日数や期間に応じて計算されるため、痛みがあるのに通院を中断してしまうと、慰謝料が低く算定されてしまうことがあります。また、保険会社が提示する金額は自賠責基準に近い低めの水準であることが多く、弁護士基準で計算すると増額の余地が残っている場合があります。軽傷だからと諦めず、自分のケースの慰謝料の目安を確認したうえで、提示額に納得がいかなければ弁護士に相談してみることをおすすめします。
軽傷であっても、痛みがあるうちは医師の指示に従って通院を続けることが大切です。通院の実績がそのまま慰謝料の算定に反映されるため、自己判断での中断は避けましょう。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
