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加害者が未成年の交通事故、損害賠償請求は可能?誰に請求できる?

この記事で分かること

  • 18歳以上で運転免許を取得している場合は未成年であっても損害賠償責任はある
  • 未成年で「無責任能力者」と判断された場合は損害賠償責任はない
  • 未成年が無責任能力者の場合は親権者に責任が生じることがある
  • 加害者が未成年の場合の交通事故の損害賠償請求については弁護士に相談を

未成年が加害者の交通事故の場合であっても、基本的には未成年にも損害賠償責任は生じます。しかし、未成年が無責任能力者であると判断された場合は、損害賠償責任はありません。親権者が未成年の監督責任を怠った場合や車が親名義であった場合は親権者に損害賠償請求することができます。

未成年でも交通事故での損害賠償責任はある

未成年に責任能力が認められる場合

未成年で交通事故の加害者となってしまった場合、被害者に対しての損害賠償責任はあるのでしょうか。

基本的に、18歳以上で運転免許を取得している場合、未成年であっても損害賠償の責任が生じます。法律上では、未成年者でも自動車事故を起こせば自身で損害賠償金を支払う必要があるとされているためです。

未成年に責任能力が認められない場合

では、未成年に責任能力が認められない場合はあるのでしょうか。

民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と定められています。

責任無能力者とは、自分が犯した失態を理解・判断する能力を持っていない者という意味です。

ワンポイントアドバイス
交通事故の加害者が未成年の場合であっても基本的には損害賠償責任があります。しかし、未成年自身に責任能力が認められるかどうかがポイントになるので、注意が必要です。

未成年の交通事故で親の責任はある?

未成年が無責任能力者であると親権者に損害賠償請求ができる場合がある

自動車事故の加害者が未成年の場合は、前述の通り責任能力があるかどうかがポイントとなります。もし、加害者である未成年に責任能力があると判断されれば、未成年である本人に損害賠償の責任が生じます。では、未成年に責任能力が無い「無責任能力者」と判断された場合は、誰の責任となるのでしょうか。

民法714条では、「責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。」と定められています。

民法での「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」は、一般的に親権者が該当します。つまり未成年者に責任能力が無い場合は、未成年の親権者が未成年の代わりに損害賠償の請求を受けることがあります。

親権者が監督義務を怠らなかった場合

では、未成年の無責任能力者の親はすべての子供の責任を負わなければならないのでしょうか。

民法714条の後半部分では、「ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」とされています。つまり、親権者が監督義務を怠らなかった際には親権者が損害賠償責任を負う必要がないと解釈できます。

車が親権者名義であった場合

では、親権者が未成年の使用する自動車の登録名義人になっていた場合はどうなるのでしょうか。

その場合、自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任が認められます。そのため、名義人である親権者が未成年の代わりに損害賠償責任を負う可能性が高くなります。

ワンポイントアドバイス
親権者が未成年の監督義務を怠った場合や車が親権者名義の場合は親に損害賠償責任が生じることがあります。未成年が無責任能力者であると判断されても、親権者に損害賠償請求ができる可能性があることを忘れないようにしましょう。

未成年の交通事故での損害賠償請求の仕方

未成年の交通事故であっても通常の損害賠償請求と同様の金額・手続き

交通事故の加害者が未成年であった場合、損害賠償請求はどのようにしたらよいのでしょうか。

基本的には、未成年が起こした交通事故であっても損害賠償金の額は通常の交通事故のケースと同様です。もしも、交通事故によって後遺障害が残存した場合は後遺障害慰謝料なども請求することができます。

過失割合についても一般の場合と同様になります。加害者が未成年であることを理由に損害賠償額が減らされたり、過失割合が低く評価されたりすることはありません。

未成年の加害者が賠償金の支払い能力がない場合

前述の通り、交通事故の加害者が未成年であっても、交通事故における損害賠償額や過失割合は通常の交通事故の場合と変わりません。では、交通事故の加害者が未成年者で、賠償金を満足に支払えない場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

保険会社に請求

加害者が任意保険に加入している場合は、まず保険会社に損害賠償請求をします。相手が未成年であっても、車は親権者の名義で保険に加入している場合があるので、確認が必要です。

親権者に請求

もし、未成年の加害者が任意保険に加入していなかったり、保険が適用されなかったりした場合は、親権者に監督者責任が発生していないかを確認します。もし、親権者に責任が生じている状況であれば、損害賠償金の支払い能力のない未成年ではなく、その親権者に対して損害賠償請求を行います。

ワンポイントアドバイス
未成年が加害者であっても通常の交通事故と同様の損害賠償金・過失割合の評価が行われます。任意保険会社や親権者に適正な額の損害賠償請求をしましょう。

加害者が未成年の交通事故での損害賠償請求についてお困りの方は弁護士に相談を

加害者が未成年の場合の交通事故では、損害賠償請求はどのようにしたらよいのか困ることも多いと思います。そのような場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。次に、損害賠償請求で弁護士に相談するメリットについて解説していきます。

損害賠償や過失割合の算定を行ってくれる

前述の通り、未成年が加害者の交通事故であっても損害賠償の金額や過失割合の評価は、通常の交通事故の場合と同様です。しかし、未成年が責任無能力者である場合や、親権者の監督責任を怠っていたと判断される場合は、親権者に損害賠償の請求を行うことができます。

そこで、法律の知識が豊富である弁護士に相談することで、過去の判例などをもとに損害賠償や過失割合の算定を正確に行うことができます。

訴訟にもスムーズに対応

もし、示談で被害者と加害者の双方が納得できないと、場合によっては訴訟にすすむこともあります。交通事故の場合の裁判は、民事裁判に区分され、裁判所に必要書類を提出し、手続きを行う必要があります。

もし、加害者が弁護士を代理人として立てた場合に、被害者側が素人だけで裁判に臨むのは不利になってしまうことが予想されます。示談の内容や損害賠償額に納得がいかず、訴訟にすすむ場合であっても、弁護士は手続きから実際の裁判までトータルでサポートをすることができます。

弁護士費用特約を利用できる場合がある

弁護士費用特約とは、任意保険に付随して加入ができる任意の特約のことです。弁護士費用特約に加入していると、弁護士費用を保険料から負担してくれます。加入している任意の保険会社により、弁護士費用特約の保証額は異なります。

弁護士費用特約の相場としては、弁護士費用は約300万円、法律相談費用は約10万円程度まで保証されます。弁護士に交通時について相談や依頼をする場合に、弁護士費用特約を利用すれば費用の心配をする必要がありません。

交通事故の加害者が未成年で損害賠償請求についてお困りの方は、お気軽に弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談