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交通事故に遭い、加害者を確認したら、相手が高校生や大学生といった未成年だった。あるいは、自転車に乗った中学生にはねられてケガをしてしまった。こうしたとき、被害者として「未成年の相手に、きちんと賠償を求められるのだろうか」「お金を持っていない学生に請求しても意味があるのか」と、不安を覚える方は多いはずです。
加害者が未成年の場合、損害賠償をめぐる仕組みは、大人が加害者のときとは少し異なる部分があります。誰に対して請求できるのか、未成年本人に責任を問えるのか、親に請求できるのか。このあたりを正しく理解しておかないと、適正な賠償を受け損ねてしまうこともあります。
この記事では、加害者が未成年だった交通事故について、損害賠償を誰に請求できるのか、未成年の責任能力や親の責任はどうなるのかを、弁護士の視点からわかりやすく解説します。泣き寝入りせず適正な補償を受けるために、ぜひ知っておいてください。
加害者が未成年でも損害賠償は請求できる
まず、最も気になる点からお答えします。加害者が未成年であっても、被害者は損害賠償を請求できます。相手が学生だから、子どもだからといって、賠償をあきらめる必要はまったくありません。法律は、被害者が泣き寝入りすることのないよう、さまざまな仕組みを用意しています。
交通事故の損害賠償は、加害者の年齢にかかわらず発生します。問題となるのは「誰に請求するか」です。加害者本人に請求できる場合もあれば、その親など監督すべき立場の人に請求できる場合もあります。さらに、車の事故であれば保険から支払われることも多くあります。請求の道筋は複数あるのです。
大切なのは、未成年だからと最初からあきらめず、どこに請求できるのかを正しく見極めることです。加害者が負う法的責任の全体像については
にまとめていますので、あわせてご覧ください。未成年の「責任能力」とは何か
未成年の加害者に賠償を請求するうえで、鍵となるのが責任能力という考え方です。少し専門的ですが、誰に請求できるかを左右する重要な概念なので、わかりやすく説明します。
責任能力の有無で請求先が変わる
責任能力とは、自分の行為が法律上の責任を生む違法なものだと理解できる能力のことです。この能力があるかどうかで、賠償を誰に請求できるかが変わってきます。
一般に、年齢が低く責任能力がないと判断される子どもの場合、その子ども本人には賠償責任を問えません。代わりに、その子を監督すべき立場にある親などが責任を負うことになります。一方、責任能力があると判断される年齢の未成年であれば、本人に賠償責任が生じます。ただし、後述するように、本人に資力がない場合は親の責任も問題になります。
責任能力の目安となる年齢
では、何歳から責任能力があるとされるのでしょうか。明確に「何歳から」と一律に決まっているわけではありませんが、おおむね12歳前後が一つの目安とされています。小学校を卒業する年頃を境に、自分の行為の責任を理解できるかどうかが判断される、というイメージです。
ただし、これはあくまで目安であり、実際には個々の子どもの判断能力や事故の状況などを踏まえて判断されます。中学生以上であれば責任能力が認められることが多いですが、ケースによって異なる点には注意が必要です。
| 責任能力 | 請求先 |
|---|---|
| ない(年少の子ども) | 監督義務者である親など |
| ある(中学生以上が多い) | 未成年本人(資力がなければ親の責任も) |
親に賠償を請求できる場合
被害者にとって現実的に重要なのが、「親に請求できるか」という点でしょう。未成年本人に十分な資力がないことが多いため、親への請求が可能かどうかは、補償を受けられるかを大きく左右します。
監督義務者としての責任
子どもに責任能力がない場合、その子を監督すべき立場にある親は、監督義務者として賠償責任を負います。親が監督を怠ったことで子どもが事故を起こしたと考えられるためです。この場合、被害者は親に対して直接賠償を請求できます。
具体的にイメージしてみましょう。たとえば小学校低学年の子どもが飛び出してきて自転車事故を起こしたようなケースでは、その子ども自身には責任能力がないと判断されることが多くなります。この場合、被害者が損害賠償を求める相手は、その子の親ということになります。親には、日頃から子どもに交通安全を教え、危険な行動をしないよう監督する義務があると考えられているからです。こうした監督義務者の責任は、被害者が確実に賠償を受けるための重要な仕組みといえます。
子どもに責任能力がない年少のケースでは、この監督義務者責任が請求の中心になります。実際に賠償を支払う資力があるのは親であることがほとんどですから、被害者にとっては重要な請求先です。
責任能力がある未成年の場合の親の責任
では、中学生以上で責任能力が認められる未成年が加害者の場合、親には請求できないのでしょうか。実は、責任能力がある未成年でも、一定の場合には親の責任を問える可能性があります。
本人に責任能力があると、原則として本人が賠償責任を負いますが、本人に資力がなければ実際の回収は困難です。そこで、親の監督義務違反と事故との間に相当な因果関係が認められるような場合には、親自身の責任を問えることがあります。つまり、責任能力のある未成年が加害者でも、状況によっては親への請求の道が残されているのです。この判断は専門的なので、弁護士に相談するのが確実です。
たとえば、高校生の子どもが日常的に危険な運転を繰り返していたのを親が知りながら放置していた、といった事情があれば、親の監督義務違反が問われやすくなります。逆に、親が十分な注意を尽くしていたと認められる場合には、親の責任を問うのが難しくなることもあります。このあたりは、事故に至るまでの経緯や家庭の状況によって結論が変わる、デリケートな判断です。被害者としては、本人にだけ請求して回収をあきらめるのではなく、親に請求できる余地がないかを丁寧に検討することが、適正な補償につながります。
- 責任能力がない子ども → 監督義務者である親に請求
- 責任能力がある未成年 → 本人に請求
- 本人に資力がない場合 → 親の監督義務違反を問える可能性
- 判断が難しいケースは弁護士に相談を
車の事故なら保険から支払われる
これまで本人や親への請求を見てきましたが、加害者が運転していたのが自動車やバイクであれば、話はもう少しシンプルになることが多いです。保険という仕組みがあるためです。ここを押さえておきましょう。
自賠責保険と任意保険
自動車やバイクには、自賠責保険への加入が義務づけられています。加害者が未成年でも、その車が自賠責保険に加入していれば、被害者は自賠責保険から一定の補償を受けられます。さらに、任意保険に加入していれば、自賠責でカバーしきれない損害も補償されます。
未成年が運転する車の場合、その車の所有者である親などが任意保険の契約者になっていることが多くあります。保険が適用されれば、加害者本人や親の資力を心配することなく、保険会社から賠償を受けられます。車の事故では、まず保険の有無を確認することが重要です。
たとえば、大学生の子どもが親名義の車を運転して事故を起こした場合を考えてみましょう。この車に任意保険がかけられており、その補償の対象に子どもの運転が含まれていれば、被害者は保険会社を相手に賠償を請求できます。未成年本人にお金がなくても、保険という仕組みによって適正な補償が確保されるわけです。ただし、任意保険の契約内容によっては、運転者の年齢条件などで補償の対象外となっているケースもあります。保険があるかどうかだけでなく、その事故が補償の対象になるかどうかまで確認しておくと安心です。
無免許運転など保険が問題になる場合
注意したいのは、未成年が無免許で運転していたケースなどです。無免許運転による事故でも、被害者への対人賠償については保険から支払われるのが原則ですが、状況によっては問題が複雑になることもあります。また、そもそも無保険の車だった場合は、本人や親への直接請求や、政府保障事業などを検討することになります。飲酒運転が絡む事故の罰則については
もご参照ください。| 事故の状況 | 主な請求先・補償 |
|---|---|
| 車・バイクの事故(保険あり) | 自賠責保険・任意保険から |
| 自転車の事故 | 本人・親、または個人賠償責任保険 |
| 無保険の場合 | 本人・親への直接請求など |
自転車事故で未成年が加害者の場合
近年増えているのが、自転車による事故です。自転車には自賠責保険のような強制保険がないため、未成年が自転車で加害者になった場合、賠償の問題はより切実になります。この点を詳しく見ていきましょう。
自転車には強制保険がない
自動車と違い、自転車には自賠責保険にあたる強制保険がありません。そのため、未成年が自転車で人をはねてケガをさせた場合、自動車事故のように当然に保険から支払われるとは限らないのです。本人や親に直接請求することになりますが、未成年本人に資力がなければ、回収が難しくなることもあります。
自転車事故でも、子どもに責任能力がなければ親が監督義務者として責任を負い、責任能力があっても状況によっては親の責任を問える点は、これまで説明したとおりです。自転車だからといって賠償を受けられないわけではありません。
個人賠償責任保険の確認
自転車事故で頼りになるのが、個人賠償責任保険です。これは、日常生活で他人にケガをさせたり物を壊したりした場合の賠償をカバーする保険で、自動車保険や火災保険、クレジットカードなどに特約として付いていることがあります。加害者側がこの保険に加入していれば、自転車事故でも保険から賠償を受けられる可能性があります。
近年は自治体によって自転車保険への加入を義務づける動きも広がっています。自転車事故の被害に遭ったら、加害者側がこうした保険に加入していないかを確認することが大切です。
覚えておきたいのは、個人賠償責任保険は、加害者本人が直接加入していなくてもカバーされる場合があるという点です。この保険は、契約者本人だけでなく、生計を同じくする家族の賠償責任もまとめて補償する設計になっていることが多いためです。つまり、未成年の子ども本人が保険に入っていなくても、親が加入している火災保険や自動車保険に個人賠償責任の特約が付いていれば、子どもの起こした自転車事故もカバーされる可能性があるのです。被害者としては、加害者側に対して、家庭内でこうした保険に加入していないか確認してもらうよう求めるとよいでしょう。意外なところに使える保険が眠っていることは少なくありません。
未成年加害者の刑事責任はどうなるか
賠償とは別に、被害者として気になるのが、未成年の加害者がどんな責任を問われるのかという点でしょう。大人とは異なる手続きがあるため、その概要を知っておきましょう。
少年事件としての扱い
未成年が罪を犯した場合、原則として大人とは異なり、少年事件として扱われます。大人のように刑事裁判で刑罰を科すのではなく、その少年の更生を目的とした手続きが中心になります。家庭裁判所が関与し、保護観察や少年院送致といった処分が検討されます。
ただし、重大な事故の場合などには、大人と同様の刑事手続に付されることもあります。いずれにせよ、加害者の処分と被害者への賠償は別の手続きである点は、大人の場合と変わりません。加害者の刑事処分の全体像については
で解説しています。処分と賠償は別であることに注意
ここで改めて強調しておきたいのが、加害者である未成年がどのような処分を受けたとしても、それで被害者への賠償が自動的に支払われるわけではないということです。少年が保護処分を受けても、被害者の損害が補償されるわけではありません。賠償は賠償として、別途しっかり請求していく必要があります。
未成年加害者への請求で注意すべきこと
未成年が加害者の事故では、大人の場合とは違った注意点があります。適正な賠償を受けるために、押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。トラブルを避けるためにも重要です。
請求先の見極めが難しい
これまで見てきたように、未成年加害者の事故では、本人に請求できるのか、親に請求できるのか、保険が使えるのかといった判断が、状況によって変わります。責任能力の有無や、親の監督義務違反の有無など、専門的な検討が必要になる場面も多くあります。
請求先を見誤ると、適正な賠償を受け損ねたり、交渉が難航したりします。誰に対してどう請求すべきかを正しく判断するためにも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。加害者側の対応の進め方は
にまとめています。感情的にならず冷静に対応する
加害者が未成年だと、被害者側にも複雑な感情が生じることがあります。「子どものしたことだから」と相手側が責任を曖昧にしようとしたり、逆に被害者が厳しく責め立ててしまったりと、感情的な対立に発展しがちです。
ですが、適正な賠償を受けるためには、冷静に手続きを進めることが大切です。感情的な対立は解決を遠ざけるだけです。弁護士を間に立てることで、冷静かつ法的に正当な形で賠償を求めていくことができます。ひき逃げのように加害者の対応が悪質なケースでの被害者の対応については
も参考になります。事故の被害に遭われた方へ
ここまで、加害者が未成年の場合の賠償請求について説明してきました。複雑に感じた方もいるかもしれませんが、大切なのは、未成年が加害者でも適正な賠償を受ける道は必ずあるということです。
加害者本人、その親、あるいは保険。請求先は状況によって異なりますが、いずれにせよ、被害者が受けた損害は補償されるべきものです。治療費・休業損害・慰謝料など、請求できる項目は多岐にわたります。
とくに慰謝料は、保険会社が当初提示してくる金額が、弁護士に依頼した場合より低く抑えられているケースが多く見られます。ご自身がどれくらいの補償を受けられる立場にあるのか、まずは目安を把握しておくことをおすすめします。罰金や違反点数を含む加害者の処分の全体像は
でも確認できます。下記の計算ツールで、ケガの程度や入通院の期間から賠償額のおおよその目安を確認できます。示談に応じる前の判断材料として活用してみてください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
計算結果と保険会社の提示額を見比べて、提示額のほうが低いと感じたら、それは弁護士に相談すべきサインです。適正な補償を受けられるよう、専門家のサポートを検討してみてください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
未成年加害者の事故に関するよくある質問
最後に、加害者が未成年の事故について、よく寄せられる質問にお答えします。ご自身の状況に近いものを確認してみてください。
加害者が未成年でも賠償を請求できますか
はい、請求できます。加害者が未成年でも損害賠償は発生します。問題は「誰に請求するか」で、加害者本人・その親・保険という複数の請求先が考えられます。未成年だからと最初からあきらめる必要はまったくありません。
未成年本人に支払い能力がない場合はどうなりますか
子どもに責任能力がなければ、監督義務者である親に請求できます。責任能力がある未成年でも、本人に資力がなく、親の監督義務違反と事故に相当な因果関係が認められる場合には、親の責任を問える可能性があります。また、保険が適用されれば、本人や親の資力に関係なく賠償を受けられます。
何歳から未成年本人に責任を問えますか
明確に一律で決まっているわけではありませんが、おおむね12歳前後が責任能力の一つの目安とされています。中学生以上であれば責任能力が認められることが多いです。ただし、子どもの判断能力や事故の状況によって個別に判断されるため、ケースによって変わります。
未成年が自転車で起こした事故でも賠償を受けられますか
受けられます。自転車には自賠責保険のような強制保険がないため、本人や親に請求することになりますが、加害者側が個人賠償責任保険(自動車保険や火災保険、クレジットカードの特約など)に加入していれば、保険から賠償を受けられる可能性があります。まず加入の有無を確認しましょう。
未成年が無免許で運転していた場合は
無免許運転による事故でも、被害者への対人賠償については保険から支払われるのが原則です。ただし状況によっては問題が複雑になることもあります。無保険の車だった場合は、本人や親への直接請求や政府保障事業などを検討することになります。判断に迷うときは弁護士に相談しましょう。
加害者が少年事件になると賠償は受けられないのですか
そんなことはありません。未成年の加害者が少年事件として更生を目的とした手続きで扱われても、それは被害者への賠償とは別の話です。加害者がどんな処分を受けても、賠償は自分で請求しなければ受け取れません。処分と賠償は切り離して考える必要があります。
未成年の加害者と直接示談を進めても大丈夫ですか
慎重に進める必要があります。未成年は単独で有効な契約を結べないことがあり、示談についても親などの法定代理人が関与すべき場合があります。本人とだけ話を進めて示談書を交わしても、後で効力が問題になる恐れがあります。誰を相手に、どのような形で示談をまとめるべきかは専門的な判断を要するため、弁護士に相談しながら進めるのが安心です。
未成年加害者の事故でも弁護士に相談する意味はありますか
大いにあります。未成年加害者の事故では、責任能力の有無、親への請求の可否、保険の適用範囲、示談の進め方など、検討すべき点が大人の事故より複雑です。請求先を見誤ると適正な賠償を受け損ねることもあります。弁護士に相談すれば、誰にどう請求すべきかを正しく見極め、適正な補償を受けやすくなります。早い段階での相談がおすすめです。
まとめ|未成年加害者でも適正な賠償を
加害者が未成年だった交通事故でも、被害者は適正な賠償を受けることができます。鍵となるのは「誰に請求するか」です。子どもに責任能力がなければ監督義務者である親に、責任能力があれば本人に、そして車の事故であれば保険から、というように、状況に応じた請求先があります。
とくに、本人に資力がない場合の親への請求や、自転車事故での個人賠償責任保険の確認など、専門的な判断が必要な場面も少なくありません。請求先を見誤ると適正な賠償を受け損ねることもあるため、注意が必要です。
未成年が加害者だからと泣き寝入りする必要はまったくありません。複雑に思えるときこそ、一人で抱え込まず、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。誰に対してどう請求すべきかを正しく見極め、受けるべき補償をしっかり受け取りましょう。
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自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
