閉じる

3,152view

任意整理の賃貸への影響を弁護士が徹底解説

この記事で分かること

  • 任意整理をしても大家や不動産会社は信用情報を照会できないため、原則として賃貸契約への影響はない
  • 信販系の家賃保証会社が関わる物件や家賃をカード払いにしているケースでは、既存・新規どちらの契約にも影響が生じる可能性がある
  • 整理する債務をあらかじめ選択することで賃貸契約への影響を最小限に抑えられる
  • 任意整理後でも選べる賃貸物件の条件と、物件探しの具体的な判断基準
  • 不動産会社や信販会社との協議によって問題を回避できるケースがある

任意整理をしても、大家や不動産会社は信用情報を閲覧できないため、基本的に賃貸契約への影響はありません。ただし信販系の家賃保証会社が関わる物件や家賃のカード払いが必須の物件では影響が出るケースがあります。事前に整理する債務を選ぶことで影響を抑えることも可能です。不安な場合は弁護士への相談をおすすめします。

任意整理をすると賃貸契約はどうなるのか

「任意整理をしたら、今住んでいるアパートを追い出されるかもしれない」——そんな不安を抱えたまま、借金の問題を先送りにしている方は少なくありません。住む場所を失うかもしれないという恐怖は、借金問題そのものと同じくらい、あるいはそれ以上に重くのしかかるものです。

結論から言えば、任意整理が賃貸契約に影響するケースは限られています。ただ「原則影響なし」という言葉だけを真に受けて手続きを進めると、特定のケースで思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。どういう場合に影響が出て、どうすれば回避できるのか。この記事では弁護士の視点から、具体的な状況を想定しながら丁寧に解説していきます。

任意整理とはどんな手続きか

債権者との私的交渉で返済負担を軽減する

任意整理とは、弁護士や司法書士が代理人となって、債権者(貸金業者やカード会社)と直接交渉し、返済条件を見直す手続きです。裁判所を通じた法的手続きではないため、手続きの存在が公開されることがなく、職場や家族に知られずに進められます。これが任意整理の最大のメリットの一つです。

交渉の結果として目指すのは主に利息のカット。将来発生する利息をゼロにしてもらい、元本だけを分割払いで返済する和解を成立させます。毎月の返済額が大幅に減ることで、生活再建のめどが立ちやすくなります。ただし元本自体を減額することは原則として難しいため、債務総額が非常に大きい場合は個人再生や自己破産といった他の手続きの方が適切なケースもあります。

任意整理と他の債務整理の違い

債務整理には大きく分けて3つの方法があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

手続きの種類 元本の減額 利息のカット 裁判所の関与 財産への影響
任意整理 原則なし あり(将来利息) なし ほぼなし
個人再生 あり(最大1/5程度) あり あり 住宅ローン特則あり
自己破産 全額免除 あり あり 一定額以上の財産は処分

任意整理は3つの中で最も日常生活への影響が少ない手続きです。整理する相手を選べる点も大きな特徴で、この柔軟性が賃貸問題を回避するうえでも重要な意味を持ちます。詳しくは後ほど説明します。

任意整理をするとブラックリストになる

信用情報機関への事故情報登録とは

任意整理を行うと、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に「事故情報」が登録されます。これがいわゆるブラックリストに載った状態です。

具体的に言えば、新規のクレジットカード発行やローン審査を申し込んだ際、金融機関はこの信用情報機関に照会を行います。事故情報がある間は、審査に通ることが極めて難しくなります。カードが作れない、住宅ローンが組めない、車のローンが通らない——そういった生活上の制約が発生します。

登録期間はいつまで続くのか

事故情報の登録期間には上限があります。任意整理の場合、一般的に約5年間で情報が消えます。5年を経過すれば原則として信用情報への影響はなくなり、改めてローンやクレジットカードの申し込みができる状態に戻ります。

債務整理の種類 信用情報への登録期間(目安)
任意整理 約5年
個人再生 約5〜10年
自己破産 約5〜10年

「5年間も」と感じるかもしれませんが、現在の借金状況を放置することで生活が破綻するリスクと比較すれば、5年という期間は現実的な選択肢と言えます。

原則として賃貸契約への影響はない理由

ここが多くの方が最も気にしているポイントでしょう。任意整理でブラックリストになっても、賃貸契約には基本的に影響しません。なぜか。

信用情報機関の情報を照会できるのは、その機関に会員登録している金融機関(銀行・貸金業者・クレジットカード会社など)に限られています。大家(家主)や不動産会社は、この信用情報機関に加入していないため、そもそもあなたの信用情報を見ることができません。つまり任意整理をしたかどうか、ブラックリストに載っているかどうか、大家には知る手段がないのです。

ワンポイントアドバイス
大家や不動産会社は信用情報機関に加入していないため、任意整理をしても信用情報を確認することができません。このことが「原則として賃貸契約への影響はない」の根拠です。ただしこれはあくまで「原則」であり、例外があることを忘れないでください。

現在契約中の賃貸物件への影響

「今住んでいる物件はどうなるのか」——これは切実な問いです。任意整理を検討しているほとんどの方が最初に気にするのがこの点でしょう。基本的には問題ありませんが、あなたの物件の条件によっては注意が必要です。

家賃保証会社の仕組みを理解しておこう

保証人不足が生んだ「家賃保証会社」という存在

かつての賃貸契約では、連帯保証人を立てることが一般的でした。しかし高齢化や核家族化の進展により、適切な連帯保証人を用意できない人が増えてきました。そこで急速に普及したのが「家賃保証会社」です。

家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納した場合に大家に代わって立替払いを行う会社です。立替払いをしたあとは入居者に求償権を行使しますので、あくまでも「保証」であって「肩代わり」ではありません。大家にとっては家賃収入が保証され、入居者にとっては連帯保証人を探す手間が省ける——双方にメリットがあるサービスとして、今では多くの物件で採用されています。

保証会社の4つの種類と特徴

家賃保証会社は一枚岩ではありません。大きく4種類に分類されており、任意整理の影響はどの種類の保証会社が関わっているかによって全く異なります。

保証会社の種類 信用情報の閲覧 任意整理後の影響
独立系保証会社 不可 ほぼなし
賃貸保証機構(LICC)系 独自データベース 家賃滞納歴がなければほぼなし
全国賃貸保証業協会(JGCA)系 独自データベース 家賃滞納歴がなければほぼなし
信販系保証会社 可(信用情報機関に加盟) 影響が出る可能性あり

問題になるのは信販系の保証会社だけです。独立系や業協会系の保証会社は信用情報機関に加盟していないため、任意整理の影響はほぼ出ません。自分の物件でどの保証会社が使われているか、賃貸契約書や重要事項説明書を確認してみてください。

信販系保証会社が絡む場合は要注意

信販系保証会社だけが信用情報を閲覧できる

信販系保証会社とは、クレジットカード会社や信販会社が運営、または関連する家賃保証会社のことです。代表的なものとしては、オリコや信販系の大手が運営するものがあります。これらの会社はクレジットカード会社と同じ信用情報機関に加盟しているため、入居者の信用情報を照会する権限を持っています。

つまり、あなたの賃貸物件の保証会社が信販系であれば、任意整理によるブラックリスト情報を見ることができるのです。これは他の種類の保証会社にはない、信販系保証会社特有のリスクです。

契約更新の際に審査が入るリスク

現在の賃貸契約が信販系保証会社を利用している場合、最も気をつけるべきタイミングが契約更新です。多くの賃貸契約は2年ごとに更新の機会があり、その際に保証会社が改めて審査を行うことがあります。

契約当初は問題なく入居できていた場合でも、更新時に任意整理による事故情報が登録されていれば、審査に通らないリスクがあります。この点は非常に大きな盲点です。「任意整理してから年数が経っているから大丈夫」と思っていても、事故情報の登録期間(5年)が残っている間に更新が来るならば、影響が出る可能性を頭に入れておく必要があります。

ワンポイントアドバイス
信販系保証会社が絡む賃貸物件では、契約更新時に信用情報の審査が行われることがあります。任意整理の手続きを始める前に、現在の賃貸契約書を確認し、どの保証会社が使われているかを把握しておくことが重要です。

家賃をクレジットカード払いにしている場合の注意点

カードが突然止まる可能性はある

賃貸の支払いをクレジットカードで行っている方は、もう一つの観点から注意が必要です。任意整理をすると、整理の対象としたクレジットカードは使えなくなります。しかしそれだけではなく、整理の対象にしていないカードも、カード会社の定期的な信用チェックで止まる可能性があります。

カード会社は定期的にカード保有者の信用情報を確認しています。更新のタイミングや任意のタイミングで確認が行われ、事故情報が発覚した時点でカードの利用を停止させることがあります。今は問題なく使えていても、半年後・1年後に突然止まるリスクはゼロではないのです。

支払い方法の変更を余儀なくされるケース

家賃をカード払いにしている場合、カードが使えなくなれば当然ながら支払い方法の変更が必要になります。口座振替や振込払いへの変更が認められれば問題ありませんが、大家によっては支払い方法の変更に難色を示すケースもないわけではありません。

ただ現実的に言えば、家賃をきちんと払い続けている入居者を大家が追い出す理由はありません。支払い方法の変更申し出は、誠実に相談すれば多くの場合応じてもらえます。この点は過度に不安視する必要はないでしょう。

任意整理後に新規賃貸契約をしたい場合の影響

転職・転勤・結婚・出産。事故情報が消えていない5年の間でも、新しい住まいが必要になる場面は必ずあります。任意整理後に新規の賃貸契約を結ぼうとする際、どのような点に気をつければよいのでしょうか。

保証会社の種類によって審査結果が変わる

信販系保証会社が必須の物件は難しい

新規契約の場合も、基本的な考え方は現在の契約と同じです。信販系の保証会社が関わる物件では審査が通りにくく、それ以外の保証会社であれば比較的影響が出にくいという構造です。

問題は、最近急増している「保証人不要物件」の多くが信販系保証会社と契約しているケースがある点です。「保証人不要」という表示だけを見て飛びつくと、蓋を開けてみたら信販系保証会社が必須で審査に落ちた、という事態が起こりえます。

保証会社の系列を確認する重要性

物件を探す際には、まず不動産会社に「保証会社はどこですか」と確認することが重要です。信販系かどうかはっきりしない場合は、保証会社の名前を教えてもらい、インターネットで検索すると系列がわかります。

  • 独立系保証会社(例:全保連、日本賃貸保証など)→ 任意整理後でも審査対応可能なことが多い
  • LICC加盟会社 → 家賃滞納歴がなければ通過できることが多い
  • 信販系保証会社(例:オリコ、アプラスなど関連会社) → 任意整理後は審査が通りにくい

不動産会社に事情を話すことに抵抗を感じる方もいますが、経験豊富な担当者であれば「信販系以外の保証会社が使える物件」を率先して探してくれることも多いです。むしろ正直に状況を話した方がスムーズに進むケースが少なくありません。

ワンポイントアドバイス
新規賃貸契約を検討する際は、どの保証会社を使うかが鍵を握ります。信販系以外の保証会社が対応している物件を優先的に選ぶことで、任意整理後でも賃貸契約を成立させられる可能性が高くなります。

家賃カード払い限定物件は基本的に契約困難

5年間はクレジットカード審査が通りにくい

賃貸物件の中には、家賃の支払い方法がクレジットカード決済に限定されているものがあります。任意整理後5年間は新規クレジットカードの審査に通ることが原則として難しいため、こうした物件への入居は困難です。

カードが使えない状態でカード払い必須の物件と契約しようとしても、まずカード自体が作れないため物理的に手続きが進みません。こうした物件は最初から候補から除外して考えた方が現実的です。

それでも審査に通る可能性はゼロではない

ただし「絶対に無理」と断言することもできません。信用情報機関への事故情報登録があっても、他の信用評価要素(安定した収入・長期の雇用実績・現在の借入の返済状況など)が高ければ、審査に通る可能性が残ることがあります。

信用評価は一つの指標だけで決まるものではありません。金融機関ごとに審査基準も異なります。どうしてもその物件でなければならない理由がある場合は、弁護士に相談しながら可能性を探ることも選択肢の一つです。

新規賃貸契約で選びやすい物件の条件

独立系・公社系保証会社対応物件を選ぶ

任意整理後に新規賃貸契約を進める際に選びやすい物件の条件を整理すると、次のようになります。

  1. 独立系保証会社が対応している物件——信用情報を閲覧しないため、審査への直接的な影響が少ない
  2. UR都市機構(旧公団)の物件——保証人・保証会社が不要で、収入基準を満たせば入居できる
  3. 公営住宅(市営・都営など)——民間の信用審査とは別の基準で入居審査が行われる
  4. 家賃の支払いが口座振替・振込対応の物件——カード払い必須の物件を最初から除外できる

特にUR都市機構の物件は、保証人も保証会社も不要という大きなメリットがあります。収入の基準(月額家賃の4倍程度の月収が必要など)はありますが、任意整理後で選択肢が限られている状況ではかなり有力な選択肢です。

連帯保証人が立てられれば選択肢が広がる

親や兄弟など信頼できる連帯保証人を立てられる場合は、保証会社を利用しない契約が可能な物件も選択肢に入ります。連帯保証人のいる物件であれば、大家が信用情報を見ることはないため、任意整理の事実が審査に影響することはありません。

ただし連帯保証人を頼める人物が近くにいるかどうかは人によって状況が異なります。「親に頼める状況ではない」という方も多いでしょう。その場合は前述のUR・公営住宅・独立系保証会社対応物件を中心に探すのが現実的な戦略です。

任意整理と賃貸の問題を回避するための実践的対策

任意整理が賃貸に影響するパターンはわかりました。では具体的に何をすれば影響を最小限に抑えられるのか。ここからは実践的な対策を解説します。

整理する債務を選ぶ戦略が鍵になる

クレジットカードを整理対象から外す

任意整理の最大の強みは、「どの債権者を整理対象にするか選べる」という点です。すべての借入を一括で整理しなければならない自己破産や個人再生と異なり、任意整理は特定の債権者だけを選んで交渉できます。

たとえば複数のカードローンと消費者金融に借金がある場合、消費者金融だけを任意整理の対象にして、クレジットカードを対象から外すという選択ができます。この場合、整理の対象外にしたカードについては引き続き使えることがあります(カード会社が独自に利用停止にする可能性はゼロではありませんが)。

家賃保証に使っているカードは外すべき

家賃の支払いにクレジットカードを利用している場合は、そのカードを整理の対象から外すことを強くお勧めします。対象から外した債権者への返済は、整理前と同じ条件で続けることになりますが、家賃の支払いが途切れるリスクを避けられます。

ワンポイントアドバイス
任意整理では整理する債務を選択できます。家賃の支払いに使っているクレジットカード会社、または信販系の家賃保証会社と提携しているカード会社を整理対象から外すことで、現在の賃貸契約への影響を大幅に抑えることができます。弁護士に相談する際は必ずこの点を伝えてください。

不動産会社・信販会社との交渉で解決できるケースも

協議によって新規契約・更新ができる場合

理屈の上では契約が難しいケースでも、不動産会社や信販会社と誠実に交渉することで解決に至ることがあります。実際、私がこれまでに相談を受けた案件でも「交渉したら更新を認めてもらえた」という事例は存在します。

特に長年住んでいて家賃の滞納歴がない場合、大家や不動産会社にとってもその入居者を失うことは損失です。退去されると次の入居者を探す手間とコストがかかる。この現実的な事情が、交渉を有利に進める材料になることがあります。

支払い方法の変更で問題を回避する

信販系保証会社を通じた家賃のカード払いができなくなった場合も、支払い方法を口座振替や振込に変更することで問題を解消できるケースがあります。「カードが使えなくなったので口座振替に変更させてほしい」という相談は、実際のところ大家や不動産会社も比較的受け入れやすいものです。

ただし、この種の交渉を自分一人で行うのは精神的にも負担が大きいですし、交渉の進め方を誤ると状況を悪化させることもあります。できれば弁護士の同席または代理のもとで行うことをお勧めします。

任意整理前に現在の賃貸契約を確認する重要性

確認すべき3つのポイント

任意整理の手続きを開始する前に、現在の賃貸契約書を引っ張り出して次の3点を必ず確認してください。

  • 家賃保証会社の名前と系列——信販系かどうかを特定する
  • 家賃の支払い方法——クレジットカード払いの場合、どのカード会社を経由しているか
  • 契約更新の時期——次の更新がいつかを把握し、任意整理の完了時期と照らし合わせる

これらを把握したうえで弁護士に相談すると、「このカードは対象から外した方がいい」「この保証会社は問題ない」といった的確なアドバイスを受けることができます。逆に何も確認せずに手続きを進めてしまうと、後から「しまった」と気づいても手遅れになることがあります。

手続き前に弁護士に状況を伝えるべき理由

弁護士は法律の専門家ですが、こちらが情報を提供しなければ最善の提案はできません。「賃貸の保証会社が信販系かもしれない」「家賃をカードで払っている」といった情報は、任意整理の方針を決めるうえで非常に重要な要素です。

最初の相談の段階で、借金の金額や債権者の情報だけでなく、賃貸契約の状況も含めて話してください。そうすることで、生活への影響を最小化しながら借金問題を解決するオーダーメイドのプランが描けます。

ワンポイントアドバイス
任意整理を始める前に、現在の賃貸契約書で保証会社の種類・家賃の支払い方法・次回更新時期の3点を確認しましょう。この情報を弁護士に伝えることで、賃貸への影響を最小限に抑えた整理プランを立てることができます。

賃貸問題を抱えたまま任意整理を進める際のよくある疑問

相談を受けていると、賃貸と任意整理の関係について似たような疑問をお持ちの方が多いことに気づきます。ここでは代表的な疑問にQ&A形式で答えていきます。

任意整理後に引っ越しはできるのか

Q. 任意整理後に新しい部屋に引っ越したいのですが、可能ですか?

A. 可能です。ただし前述の通り、信販系保証会社が必須の物件やカード払い限定の物件は審査が通りにくいため、物件選びに工夫が必要です。UR都市機構の物件、独立系・業協会系保証会社が対応する物件、連帯保証人を立てられる物件などを中心に探しましょう。

また引っ越しに際しては敷金・礼金・引っ越し費用など一定の資金も必要です。任意整理による返済計画の変更で手元に残るお金が増えれば、引っ越しの資金確保にも繋がります。

家族名義で賃貸契約することは可能か

Q. 自分名義での契約が難しければ、配偶者や親の名義で借りることはできますか?

A. 法律上は可能です。家族が契約名義人になり、実際に居住するという形は認められています。ただしその場合、家族の収入・信用状況で審査が行われます。同居する全員の収入を合算して審査する物件もあれば、契約名義人だけで審査する物件もあります。

また名義は家族でも実質的な居住者が異なる場合に、大家との信頼関係に影響することもあります。この方法を取る場合は不動産会社に正直に状況を話したうえで進めることをお勧めします。

任意整理後に公営住宅を選ぶ選択肢はあるか

Q. 市営住宅や都営住宅への入居は任意整理後でも可能ですか?

A. 公営住宅の審査は民間とは全く異なります。収入の上限・下限の基準を満たすことや、住宅困窮の要件を確認するなど、独自の基準が設けられています。信用情報機関への照会は行わないため、任意整理の影響はありません。

ただし公営住宅は需要が高く、抽選での入居が多いため、希望通りに入居できない場合もあります。また地域によっては収入が低すぎると申し込めない要件もありますので、各自治体の窓口で確認してください。

事故情報が消えた後はどうなるか

Q. 5年経って事故情報が消えたら、賃貸の選択肢は元に戻りますか?

A. 原則として元の状態に戻ります。事故情報が消えた後は、信販系保証会社の審査にも通る可能性が出てきますし、クレジットカードの審査に再挑戦することも可能です。ただし審査に通るかどうかは各社の基準次第です。「5年経てば必ず通る」という保証はありませんが、少なくとも事故情報が直接的な障害になることはなくなります。

ワンポイントアドバイス
任意整理後の5年間は確かに制約がありますが、UR都市機構・公営住宅・独立系保証会社対応物件など、選べる選択肢は十分に存在します。「住む場所がなくなる」という最悪のシナリオになることはほぼありません。状況を整理して冷静に対応しましょう。

任意整理と賃貸の問題は弁護士に相談すべき理由

ここまで読んでいただいて、「思ったより複雑だな」と感じた方も多いのではないでしょうか。確かに一言で「任意整理と賃貸」といっても、物件の条件・保証会社の種類・家賃の支払い方法・更新時期など、個別の事情によって状況は大きく変わります。

賃貸契約は物件によって条件が千差万別

賃貸物件の審査基準は物件ごとに異なります。同じ任意整理後の状態であっても、A物件では審査が通り、B物件では審査が通らない——という現象が普通に起きます。「任意整理後は賃貸が借りられない」という情報を見て諦める必要はありませんし、逆に「原則影響なし」という言葉を鵜呑みにして準備を怠るのも危険です。

物件探しや交渉の戦略は、個別の事情に応じて立てる必要があります。だからこそ専門家の関与が重要なのです。

任意整理の交渉は素人では対応が難しい

任意整理は私的交渉ですが、これを自力でやろうとするのはお勧めしません。債権者の中には個人からの交渉申し出に応じてくれないケースもあります。また交渉の進め方を誤ると、一部の債権者だけ先に対応して残りへの対応が遅れるなど、全体として不均衡な状況が生まれることもあります。

弁護士が受任通知を送付した時点で、債権者からの取り立ては法的に止まります。この効果だけでも、精神的・生活的な負担は大きく軽減されます。

状況を整理してベストな進め方を提案できる

弁護士への相談で最も大きな価値があるのは、「あなたの状況に合った最善の方法を提案してもらえる」点です。任意整理が本当に最適な手続きかどうか、賃貸への影響を最小化するためにどの債権者を対象とすればよいか、不動産会社との交渉をどう進めるか——こうした判断は、経験と専門知識がなければ正確に行うことができません。

「借金の問題を解決したいけれど、今の家を失いたくない」——この二つの願いを同時に叶えるために、まずは一度弁護士に現在の状況を打ち明けてみてください。問題を抱えたまま一人で悩み続けることが、最も解決から遠い道です。

ワンポイントアドバイス
任意整理と賃貸の問題は、個別の事情によって対応策が全く異なります。借金の状況だけでなく、現在の賃貸契約の詳細(保証会社の種類・支払い方法・更新時期)もあわせて弁護士に伝えることで、住まいへの影響を最小限に抑えながら債務整理を進めるプランを一緒に考えることができます。

任意整理中の生活設計——賃貸以外にも知っておきたいこと

任意整理と賃貸の問題を考えていると、「ではその他の生活への影響はどうなのか」という疑問が次々に出てくるはずです。ここで、任意整理中の生活全般に関して知っておくべきことを整理しておきます。

任意整理中も仕事への影響は基本的にない

任意整理は裁判所を通じた公的な手続きではないため、官報に掲載されることもありません。また職場や取引先に通知が届くこともなく、会社に知られる仕組みはそもそも存在しません。警備員・保険外交員・貸金業者など一部の職種では資格制限が設けられていますが、それは自己破産に関係する話であり、任意整理では職業制限は一切ありません。

「会社にバレるのでは」という不安を持って手続きを先延ばしにしているなら、その心配は不要です。

家族への影響——連帯保証人でなければ関係ない

任意整理の影響は、原則として手続きをした本人だけに及びます。配偶者や親、子どもが連帯保証人になっていない借金であれば、家族の信用情報には何ら影響しません。家族名義の財産が取り上げられることもありません。

ただし家族が連帯保証人になっている債務を任意整理の対象にする場合は話が変わります。交渉の過程で保証人である家族への請求が強まることがありますので、この点は弁護士と事前に十分相談しておく必要があります。

任意整理の返済期間中は新たな借入をしてはいけない

任意整理で和解成立後は、通常3〜5年かけて元本を分割返済していきます。この返済期間中に新たな借入や新規クレジットカードの取得をしようとする方がいますが、これは絶対に避けなければなりません。

第一に事故情報が登録中である以上、審査には通りにくいです。第二にもし通ったとしても、返済計画が崩れれば和解が破綻するリスクがあります。任意整理の期間中は、返済を確実に続けることに集中してください。返済が滞ると債権者は和解を解除して元の条件での一括請求を行う権利を持ちます。ここは絶対に押さえておいてほしいポイントです。

ワンポイントアドバイス
任意整理の返済期間中に新たな借入や新規カード取得を試みることは、和解破綻のリスクを招きます。5年間の我慢が終わった後に信用を取り戻せるよう、返済期間中は規律ある生活を心がけてください。弁護士は手続き後のサポートも行っていますので、不安なことがあれば随時相談を。

まとめ

任意整理と賃貸契約の関係について、改めて整理しておきます。

状況 任意整理の影響 対策
大家・不動産会社の審査 影響なし(信用情報を見られない)
独立系・業協会系保証会社の審査 ほぼ影響なし こうした保証会社対応の物件を選ぶ
信販系保証会社の審査(既存・新規) 影響が出る可能性あり 当該保証会社のカードを整理対象から外す・交渉する
家賃カード払いの物件 カードが止まると支払い困難 支払い対象カードを整理から外す・支払い方法変更を相談する
UR・公営住宅 影響なし 収入要件を確認のうえ申し込む

任意整理は、うまく活用すれば生活への影響を抑えながら借金問題を解決できる有力な手段です。ただし個別の事情によって注意すべき点が異なるため、手続きの前に必ず専門家へ相談することをお勧めします。

借金の問題を一人で抱え込んでいる時間は、解決を遅らせるだけです。弁護士への相談は秘密厳守で行われますし、初回相談を無料で受け付けている事務所も多くあります。まずは話を聞いてもらうだけでも、状況はきっと変わります。

あなたの借金はいくら減額できる?無料診断

100万円
3万円
3年

任意整理後の月々の返済額目安

2万円

毎月の減額 -1万円
総返済額の削減目安 約20万円

※ 簡易計算です。任意整理は弁護士・司法書士が交渉し将来利息のカット等を行うもので、実際の減額幅は借入先・返済状況により異なります。個人再生・自己破産では更に大きな減額が可能な場合があります。

債務整理は弁護士に相談を
あなたの借金問題解決を法律のプロがサポート
  • 借入先が複数ある多重債務で返済が苦しい
  • 毎月の返済が利息で消え、借金が減らない
  • 借金の返済額を少なくしたい
  • 家族にバレずに債務整理したい
  • 借金を整理しても自宅・車は残したい
上記に当てはまるなら弁護士に相談