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賃貸物件が借りられない!? 任意整理による賃貸契約への影響とは?
この記事で分かること
- 任意整理をしても基本的には賃貸契約への影響はない
- 家賃保証を信販系の会社が行っている場合や家賃をカード払いにしているケースでは既存の賃貸契約への影響が出る可能性もある
- 保証会社を利用する場合やクレジットカードが必須の物件等を選ぶ場合等、新規賃貸契約に影響が出る可能性がある
- 賃貸契約に支障をきたし得るケースでも不動産会社や信販会社との協議によって回避できる場合がある
任意整理をしても基本的には賃貸契約への影響はありません。しかし信販系の家賃保証会社が関わる場合や家賃がカード払いの場合など、新規・既存の賃貸契約に影響が出るケースもあります。また賃貸契約に支障をきたし得るケースでも協議によってそれを回避できることがあります。
目次[非表示]
任意整理の賃貸契約への影響は
借金の返済負担を軽減できる手続き、任意整理。しかし、手続きをすると信用情報に傷が付き、さまざまなことに影響するデメリットもあります。この点がネックとなり整理に踏み出せない人は多くいます。では任意整理は賃貸契約にどう影響するのでしょうか。
任意整理とブラックリストの関係
任意整理をするとブラックリストにのります。この辺りの事実そのものは広く知られていることですが、そう頻繁に経験することではないので、詳しくない人もいることでしょう。そこでまず任意整理とブラックリストの関係性について簡潔に説明します。
任意整理とは私的交渉で返済負担を減らす
任意整理とは債権者と直接交渉し、利息制限法に基づく引き直し計算等で返済負担を軽減する債務整理手続きです。裁判所を介さないため周囲に悟られることなく手続き可能、利息はカットできるが元本カットは基本的にできず債務総額が大きい場合には不向き、債権者が応じてくれなければ手続きできない等の特徴があります。
信用情報機関に事故情報が登録される
任意整理をすると他の債務整理と同様、信用情報機関に事故情報が登録されます。これがいわゆるブラックリストの状態です。金融機関は融資の際信用情報機関の情報を照会するので事故情報が消えない内は、ローンを組むことも新規にクレジットカードを作ることもできません。ただ事故情報には登録期間がありそれを経過すれば原則融資審査への影響はなくなります。任意整理の登録期間は約5年です。
任意整理が賃貸契約へ影響することは原則ない
任意整理をすると、5年間は信用取引が困難になるわけですが、生活の基盤となる住宅への影響は気になるところです。では、賃貸契約への影響はどうなのでしょうか。
原則として任意整理をしたことで賃貸契約が結べなくなることはありません。確かに家賃の継続的な支払いが必要である点から見れば、賃貸契約も信用取引と言えます。しかし信用情報機関の情報を見ることができるのは会員として登録のある銀行や貸金業者等の金融機関だけです。家主や不動産会社は信用情報を照会できないので任意整理を行ったことすら知る由もないのです。
任意整理は契約中の賃貸物件に影響する?
前述の通り、信用情報機関の情報の照会は金融機関にしかできないので、任意整理でブラックリストになっても賃貸契約には基本的に影響しません。しかし例外もあるので注意が必要です。まずはその内、契約中の賃貸物件に影響し得るケースを解説します。
賃貸保証の仕組みを知っておこう
任意整理による賃貸契約への影響を理解するにあたっては、賃貸保証の仕組みを把握しておく必要があります。
保証人と家賃保証会社
賃貸契約を結ぶときは、家主や不動産会社による入居審査を通る必要があります。その際に必要なのが保証人を立てることです。これは入居人が家賃を滞納した場合に代わりに支払ってもらうためです。ところが近年では高齢化・核家族化の影響で身寄りがなかったり親族と疎遠だったりして、連帯保証人を立てるのが容易ではなくなってきています。こうした風潮の中、ニーズが急増しているのが「家賃保証会社」です。もちろんあくまでもビジネスなので、その役割は入居人が家賃を滞納した場合に“立替払い”をするに過ぎず、返済が必要です。
保証会社にも種類がある
貸主にとっては債権回収が確実にでき、借主にとっても連帯保証人を立てられない場合に有用なのがこの家賃保証会社です。家賃保証会社と言っても色々な会社があり、大きく次の4つに分かれます。
- 独立系保証会社
- 賃貸保証機構
- 全国賃貸保証業協会
- 信販系保証会社
契約更新に影響が出るケースもある
賃貸契約においては何年かに一度更新をする必要があります。この審査にひっかかり強制退去させられるかどうかは任意整理による既存の賃貸契約への影響で気になるポイントの一つでしょう。前述の通り、基本的には心配はいりませんが、影響が出る場合もあります。
家賃保証を信販系の会社が行っている場合は注意
保証会社のほとんどは借主の信用情報を見ることはできません。しかし、信販系の保証会社は個人信用情報機関の会員となっているカード会社等金融機関が運営しているため、信用情報を照会できます。したがって、家賃保証を信販系の会社が行っている場合は、契約更新の際に影響が出る可能性はあります。
家賃をカード払いにしているケースでは影響が出る可能性も
また家賃をカード払いにしているケースも気を付けなければならない場合に挙げられます。ブラックリストになればクレジットカード使えなくなることがあり、そうなれば当然支障が出てきます。
ブラックはクレジットカードが使えなくなる可能性大
ブラックの状態になると新規クレジットカードを作れなくなるのはもちろん、既存のクレジットカードも即座に止められると認識している人も多いですが、実はそうではなく、使用できるケースもあります。ただ、カード会社は定期的に信用チェックを行っています。情報が消えていない内にカード更新のタイミングがきたら、現在問題なく使用できているカードをストップされる可能性が高くなります。
クレジットカードが使えないとなれば既存の賃貸契約でカード支払いを選択している場合は支払方法の変更を余儀なくされます。
任意整理後、新規の賃貸契約に影響が出るケース
任意整理後5年が経過すれば事故情報は消えます。事故情報が消えた後は、金融事故を起こした経験が審査落ちの直接的な理由になることはありません。しかし登録期間が過ぎないうちに新たに賃貸契約をしたい場合もあるでしょう。そこで次に任意整理が、新規賃貸契約に影響するケースや物件選びのポイントを解説します。
保証会社を利用するケース
転職や就職、結婚に出産・・・。事故情報が消えない内でも新居が必要になるケースはいくらでもあります。そのような中新規賃貸契約する際にまず気を付けなければならないのが保証会社を利用する場合です。
信販系の会社が運営している保証会社の利用は難しい
賃貸契約をする際には、通常連帯保証人を立てなければなりません。しかし任意整理後に注意しなければならないのはここで保証会社を利用する場合です。前述の通り、信販系の保証会社は借主の信用情報を閲覧できます。そのため家賃保証を信販系の会社が行っている物件の場合、審査を突破することは難しいと言えます。
保証会社を利用する場合は運営元を確認
賃貸物件は「保証人が必要な物件」「保証会社が必要な物件」に分かれます。また保証会社が必要な物件は、端から保証会社の利用が必須な物件と、保証人が見つからない場合保証会社の利用もできるスタンスをとる物件があります。最近急増している“”保証人不要物件”は家賃保証会社が間に入っているわけですが、その多くは保証会社の利用が必須となっているので、契約を検討する際はどこの系列が運営しているのか調べる必要があります。
クレジットカード支払いが必須のケース
賃貸物件の中には、家賃の支払いがクレジットカード決済に限定されている物件があります。ここまでの解説でお察しかと思いますが、この場合も契約は難しいでしょう。
任意整理後少なくとも5年はクレジットカードを作成するのは難しいので、クレジットカード支払いが必須の物件は基本的に契約できません。
ただし、事故情報が消えない内クレジットカード審査に通る可能性がないわけではありません。ブラックの間融資制限を受けるのは、信用力がないからです。しかしそれは裏を返せば金融機関の信用を勝ち取れば審査に通る可能性があることを意味するのです。つまり事故情報というマイナス要因しかないところに少しでもプラス要素、すなわち信用に足る人物であると評価される因子を与えれば借り入れ審査に通ることがあるわけです。例えば、現在の借金を順当に返済すること等です。
任意整理による賃貸契約への影響で気を付けたいこと
以上をまとめると、「任意整理による賃貸契約への影響は基本的にはない。しかし保証会社が信販系の場合や家賃支払いがクレジットカードに限定されている場合は契約更新や新規契約に支障をきたす可能性がある」となります。最後に任意整理による賃貸契約への影響で知っておきたいことを解説します。
クレジットカードを整理の対象から外す
任意整理は“任意”と言うくらいですから、整理の対象を選択することができます。例えば既存の賃貸契約への影響に関して、現在の住居でクレジットカード支払いをしている場合はそのクレジットカードを整理の対象から外せば問題なく支払いを続けられます。また新規に賃貸契約する場合の影響に関しても、クレジットカードを整理の対象から外せば、選択できる物件の幅が広がるのです。
協議によって話が付くケースも
賃貸契約に支障をきたし得るケースでも、不動産会社や信販会社との協議によって新規契約を結ぶことができたり、契約を更新できたりする場合があります。
例えば指定クレジットカードでの家賃支払いが必須で、そのカードを任意整理の対象にした場合や家賃の引き落としを信販会社が代行している場合等は契約更新ができないことがありますが、不動産会社や信販会社と協議をすることで決着がつく可能性があるのです。
任意整理での賃貸物件への影響については弁護士に相談
任意整理による賃貸契約への影響についてさまざまな仮定を用いて解説してきました。しかし、知識があることと実際に問題に直面したとき上手く対処できることは違います。そのため、経験豊富なる弁護士に相談するのがおススメです。
賃貸契約の問題は臨機応変な対応が必要
賃貸契約の入居審査や金融機関の融資審査の基準は会社によって異なるので、対策を一律に立てることはできません。状況に応じた適切な対処をするためにも法律のプロに相談するのが賢い選択なのです。
任意整理も個人でするのは賢明ではない
そもそも任意整理は私的交渉であり、相手が応じてくれないと手続きを進めることができません。素人では門前払いを食らう可能性だってあるのです。したがって弁護士に依頼するのが得策と言えます。
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