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特定調停すると信用情報はどうなる?弁護士が解説

この記事で分かること

  • 特定調停をすると信用情報機関(JICC・CIC・KSC)に事故情報が登録され、借入・ローン審査に影響が出る
  • 事故情報の登録期間は信用情報機関によって異なり、最長で手続きから8年以上に及ぶケースがある
  • 特定調停では整理対象を選べるため、住宅ローンや自動車ローンを残せる可能性がある
  • 登録期間終了後も「社内ブラック」として特定の業者からは半永久的に融資を受けられなくなる
  • 信用情報への影響・調停の進め方ともに、弁護士に依頼することで大きなメリットがある

特定調停をすると信用情報機関に事故情報が登録され、最低5年〜最長8年以上、新規ローンや借入が困難になります。ただし整理対象を選べるため住宅や車を守れる可能性もあります。信用情報への影響を正確に把握した上で最善の選択をするには、債務整理に強い弁護士へ相談することが最善策です。

特定調停とは何か――まず基本を押さえておこう

「特定調停って聞いたことはあるけれど、どんな手続きなのかよくわからない」という方は少なくありません。まずここで、きちんと基本を整理しておきましょう。知らないまま手続きを進めると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。

特定調停とは、借金の返済が苦しくなった債務者が裁判所に申し立てを行い、調停委員を仲介役として債権者と話し合いの場を設ける手続きです。民事調停法に基づく手続きの一つで、正式名称は「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」(特定調停法)に根拠を持ちます。要するに、弁護士を通さなくても裁判所という公的な場を使って借金を整理できる制度です。

特定調停の仕組みと手続きの流れ

特定調停は、おおむね次のような流れで進みます。自分で手続きを進める場合も、この流れは同じです。

  1. 裁判所への申立て――申立書と必要書類を債務者が自ら作成し、管轄の簡易裁判所に提出します。
  2. 期日の設定――裁判所から調停期日(呼出し日)の連絡が来ます。通常2〜3回の期日が設けられます。
  3. 調停委員を挟んだ話し合い――調停委員が債務者と債権者双方から事情を聞きながら、返済条件の合意を目指します。
  4. 調停成立または不成立――双方が合意すれば「調停調書」が作成されます。合意できなければ調停不成立で終了です。
  5. 和解内容の履行――成立した場合は、調停調書に記載された返済計画を守って返済を続けます。

申立てから解決まで、通常は3ヶ月程度が目安です。他の債務整理と比べれば短期間で決着がつくのが、この手続きの大きな特徴のひとつです。

ワンポイントアドバイス
特定調停の申立ては、債権者ごとに行う必要があります。借入先が5社あれば5件分の申立てが必要です。件数が多いほど手間と期日の回数が増えますので、その点をあらかじめ覚悟しておいてください。

他の債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)との比較

「自分には特定調停が向いているのか」を判断するうえで、他の債務整理と並べて比較してみることが重要です。

手続き 費用の目安 期間の目安 債務の削減幅 財産への影響
特定調停 数千円程度(印紙・切手代) 3ヶ月程度 利息カットが中心 選択した債務のみ整理
任意整理 弁護士費用5〜10万円程度/社 3〜6ヶ月程度 利息カットが中心 基本的に影響なし
個人再生 弁護士費用30〜50万円程度 6〜12ヶ月程度 元本を大幅圧縮 住宅ローン特則あり
自己破産 弁護士費用30〜60万円程度 6ヶ月〜1年以上 原則全額免除 一定以上の財産は処分

特定調停の最大の強みは低コストと手続きの速さです。ただし、元本そのものを大きく減らすことは難しく、あくまで利息の引き直しと分割払いの合意が主な内容になります。元本が膨らみすぎている場合は、個人再生や自己破産のほうが適している可能性があります。

特定調停にかかる費用はいくら?

弁護士費用がかからないぶん、費用は格段に安く抑えられます。具体的には次のとおりです。

  • 申立手数料(収入印紙):債権者1社につき500円
  • 予納郵便切手:債権者1社につき420円程度

仮に借入先が3社なら、合計で約2,760円という計算になります。この安さは他に類を見ません。お金に余裕がない今の状況では、この点が大きな助けになるでしょう。ただし「安い=誰でも簡単」というわけではありません。書類作成の手間や裁判所への出頭という負担は、費用に換算されていないだけで確実に存在します。

特定調停をすると信用情報に登録される

特定調停を検討している多くの方が真っ先に気にするのが、「信用情報への影響」です。正直に言います。特定調停を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。これは避けられません。任意整理でも、個人再生でも、自己破産でも、どの債務整理手続きも同じです。特定調停だけが特別に免除されるわけではないのです。

信用情報機関とは何か――JICC・CIC・KSCの違い

日本には現在、3つの個人信用情報機関があります。それぞれに加盟している業者が異なりますので、自分がどこで借り入れているかによって、どの機関に情報が登録されるかが変わります。

機関名 正式名称 主な加盟業者
JICC 株式会社日本信用情報機構 消費者金融・貸金業者など
CIC 株式会社シー・アイ・シー 信販会社・クレジットカード会社など
KSC 全国銀行個人信用情報センター 銀行・信用金庫など

また、これらの機関は「CRIN(クリン)」と呼ばれる情報交流ネットワークでつながっており、一方の機関に登録された事故情報が別の機関にも共有される仕組みになっています。つまり消費者金融だけで借りていたとしても、銀行系のKSCにも情報が伝わる可能性があるということです。

ワンポイントアドバイス
自分の信用情報を確認したいときは、各機関に「開示請求」をすることができます。郵送・窓口・インターネットなど方法は機関によって異なりますが、手数料は数百円〜1,000円程度です。特定調停後に情報が正しく抹消されたかを確認する際にも活用できます。

特定調停の事故情報登録期間は機関によって異なる

ここが非常に重要なポイントです。一口に「5年間登録される」と言われますが、実はその「5年」のカウント開始時点が機関によって違います。知らないでいると大きな計算ミスをしてしまいます。

JICCの場合:申立てから5年

消費者金融などが主に加盟するJICCでは、特定調停の申立てを行った時点から5年間、事故情報が登録されます。つまり申立てから5年が経過すれば、情報は抹消されます。

CIC・KSCの場合:完済から5年

信販系・銀行系が加盟するCICとKSCでは、借金を完済した時点から5年間が登録期間です。たとえば特定調停で3年の分割払いに合意した場合、その3年間の返済期間に加えてさらに5年間、合計8年間は事故情報が残ることになります。

この差は非常に大きいです。「5年で終わる」と思っていたのに実際には8年以上続いていた、というケースは珍しくありません。どの機関に、いつまで登録されるのかを正確に把握しておくことが、その後の生活設計に直結します。

信用情報機関 登録期間のカウント開始 登録期間 3年分割払いの場合の実質期間
JICC 申立て時点から 5年 申立てから5年
CIC 完済時点から 5年 申立てから約8年
KSC 完済時点から 5年 申立てから約8年

事故情報が登録されている間に起きること

事故情報が登録されている期間中、日常生活においてどのような影響が出るのか。具体的にご説明します。

  • 新規のローンや借入が難しくなる――住宅ローン・マイカーローン・カードローンなど、ほぼすべての融資審査に影響します。
  • クレジットカードの新規作成・更新ができない――クレジットカード会社もCICなどを参照するため、審査に通らなくなります。
  • 携帯電話の分割払い契約ができない――スマートフォンの端末代を分割で支払う契約は「割賦販売」にあたるため、信用情報を参照されます。
  • 賃貸審査に影響する場合がある――保証会社がCICなどを参照するケースでは、賃貸物件の審査が通りにくくなることもあります。

ただし、現金払いや即時払いが前提の取引には影響しません。働いて収入を得ること、日常の生活費を賄うこと、これらは通常どおり続けられます。事故情報があるからといって、日常生活のすべてが立ちゆかなくなるわけではない。そこは誤解しないでください。

ワンポイントアドバイス
デビットカードや電子マネーは信用情報とは関係なく使えます。事故情報登録中もキャッシュレス決済を活用したい場合は、これらを上手に利用しましょう。ただし、後払い系のサービス(BNPL)は審査が入る場合があるため注意が必要です。

登録期間が終わっても「社内ブラック」には要注意

事故情報の登録期間が過ぎれば、晴れてクリアな状態になる――そう思いたい気持ちはよくわかります。実際、信用情報機関上の記録は抹消されます。しかし、落とし穴が一つあります。

それが「社内ブラック」です。

社内ブラックとは、各金融機関や貸金業者が自社内で保有している独自のデータベースに残る情報のことです。信用情報機関から情報が消えても、かつて特定調停の対象となった業者の社内システムには、その記録が半永久的に残り続ける可能性があります。

つまり、特定調停で整理した業者に再び融資を申し込んだ場合、信用情報機関の記録が抹消されていても社内データを理由に断られることがあるのです。これはどの業者でも起こりえます。「5年経ったから大丈夫」と思って元の業者に申し込んでみたら断られた、というケースは相談の現場でもよく耳にします。

特定調停後の信用情報回復――ブラックが消えるまでの道筋

「ブラックリストに載った後、どうやって信用を取り戻せばいいのか」という不安を抱えている方は多いです。順を追って説明しましょう。

事故情報の抹消を確認する方法

登録期間が経過したと思われるタイミングで、実際に情報が消えているかどうかを自分で確認することができます。各信用情報機関への開示請求がその方法です。

  • JICC:スマートフォンアプリ・郵送・窓口で開示請求が可能
  • CIC:インターネット・郵送・窓口で開示請求が可能(インターネット開示は即日確認できる)
  • KSC:郵送での開示請求が中心

開示結果に事故情報が残っていないことを確認してから、新しいクレジットカードやローンの申請をするのが賢明です。まだ残っているのに申請を繰り返すと、審査落ちの履歴が積み重なってしまいます。

抹消後にローン審査を通るためのポイント

信用情報がクリアになったからといって、すぐに住宅ローンや大型の借入に挑戦するのは得策ではありません。段階的に信用を積み上げていく「クレジットスコアの再構築」が重要です。

  1. まずは少額のクレジットカードを作る(審査が比較的緩やかなものから)
  2. 利用額を少なく抑え、毎月きちんと全額一括払いを続ける
  3. 一定期間(1〜2年程度)の良好な返済履歴を積む
  4. その後、マイカーローンなど中規模の融資に申し込む
  5. 段階を経て住宅ローンへ

信用情報の回復には時間がかかります。焦りは禁物です。ただ、きちんとステップを踏めば、再びローンを組める状態には戻れます。特定調停はゴールではなく、借金問題を解決して再スタートするための手続きです。

ワンポイントアドバイス
いくつものクレジットカードやローンに同時に申し込むと、「申込情報(ローン申込みの記録)」が短期間に集中し、「お金に困っているのでは」と判断されて審査に不利に働くことがあります。申し込みは一度に1件ずつ、慎重に進めましょう。

特定調停と既存ローンへの影響

「住宅ローンを抱えているけれど、特定調停をしたらどうなるの?」。これは非常によくある質問です。特定調停の特徴的な仕組みを理解すれば、この点の見通しが立ちます。

整理対象を選べるのが特定調停の特徴

自己破産や個人再生には「債権者平等の原則」が適用されます。一部の債権者だけを優遇して優先的に返済することは禁じられており、すべての債権者を同一に扱う必要があります。

ところが特定調停は違います。どの債権者に対して申立てを行うかを、債務者自身が選べるのです。これは大きな違いです。たとえば消費者金融からの借入だけを整理の対象とし、住宅ローンや自動車ローンは対象から外すことが可能です。

住宅ローン・カーローンを残したい場合の注意点

住宅ローンや自動車ローンを整理対象から外した場合、その返済は今まで通り続けていく必要があります。これに加えて、調停で決まった分割払いの返済も同時に行わなければなりません。

月々の支払い能力をきちんと計算してみてください。整理対象から外したローンの月額+調停後の返済額が、毎月の収入から無理なく払えるかどうか。ここが最重要の確認ポイントです。甘い計画を立てると、後で行き詰まります。

  • 住宅ローンの月額返済:〇万円
  • 自動車ローンの月額返済:〇万円
  • 特定調停後の月額返済:〇万円
  • 生活費(食費・光熱費・通信費など):〇万円

これらを合算した金額が、手取り収入の範囲内に収まるか。収まらないなら、整理対象の選択を見直すか、そもそも特定調停が適切な手続きかを再検討する必要があります。

整理対象から外したローンの返済が滞ったら

特定調停の調停調書は、裁判所の判決と同じ効力を持ちます。返済が滞れば、債権者は強制執行(差押え)を申立てることができます。一度や二度の遅延ですぐに強制執行というわけではありませんが、複数回の滞納が続けば現実の脅威となります。

また、住宅ローンについては別の問題も生じます。住宅ローンを組んでいる金融機関は、他の債務について特定調停を行ったことを、信用情報を通じて把握できます。その時点で「住宅ローンの期限の利益喪失」、つまり一括返済を求められるリスクも理論的にはゼロではありません。この点は事前に弁護士に確認しておくことを強くすすめます。

ワンポイントアドバイス
住宅ローンを抱えたまま他の借金を整理したい場合、個人再生の「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度も選択肢に入ります。特定調停と個人再生、それぞれのメリット・デメリットを弁護士に比較してもらうことで、より自分に合った手続きが見えてきます。

特定調停のデメリット――信用情報以外にも気をつけること

特定調停には確かにメリットがあります。ただ、弁護士として正直に言わせていただくと、デメリットも決して少なくありません。費用の安さだけに注目して飛びつくと、後悔することもあります。

過払い金請求ができない

特定調停は「残っている借金をどう返すか」を決める手続きです。利息制限法に基づく引き直し計算を行う過程で、払いすぎた利息(過払い金)が存在することが判明しても、特定調停の手続きの中で過払い金の返還請求をすることはできません。

これは重大な損失になる可能性があります。任意整理であれば、引き直し計算の結果として過払い金があれば、その返還まで一連の手続きの中で対応できます。しかし特定調停ではそれができない。過払い金の可能性がある方(概ね2010年以前から消費者金融で借り入れをしていた方)は、任意整理のほうが適している場合が多いです。

調停が不成立で終わるケースもある

特定調停はあくまで話し合いです。債権者が提示された返済条件に同意しなければ、「調停不成立」で終了します。不成立になった場合、その後どうするかを改めて考え直さなければなりません。

債権者側から見れば、特定調停に応じるメリットが薄い場合もあります。たとえば、元本の大幅な減額を求めてきたり、返済期間が非現実的に長かったりすると、債権者は合意を拒否します。調停委員が間に入ってくれるとはいえ、最終的に合意するかどうかは債権者次第です。

平日に裁判所へ出頭しなければならない

調停は平日の日中にしか行われません。2〜3回の期日の度に裁判所まで足を運ぶ必要があります。借入先が複数あれば、それぞれに期日が設定されることもあります。

平日に仕事を休みにくい立場の方、子育て中で外出が難しい方にとっては、これが相当な負担になります。「個人でできるから楽そう」と思っていたのに、思った以上に時間と手間がかかったというケースは多いです。

調停委員から取り下げを勧められることもある

これはあまり知られていない事実です。特定調停の期日で調停委員と話し合ううちに、「あなたの状況では特定調停での解決は難しい。自己破産を検討してください」と取り下げを勧められることがあります。

これは悪意ではなく、債務者の利益を考えた上でのアドバイスです。返済能力が明らかに不足している場合、特定調停で和解しても結局履行できずに強制執行されてしまうより、自己破産で早期に解決したほうがよいケースがあるからです。ただ、当事者としては予期せず言われると動揺します。

デメリット 詳細 対応策
過払い金請求不可 手続き内で過払い金を回収できない 任意整理を検討する
調停不成立のリスク 債権者が合意しなければ終了 現実的な返済案を用意する
裁判所への出頭 平日に複数回の出頭が必要 弁護士に依頼して代理出頭
書類作成の手間 複数の書類を自分で準備する必要 弁護士に依頼して一任する
取り下げ勧告の可能性 返済不能と判断されれば自己破産を勧められる 事前に返済計画を固めておく

特定調停と他の債務整理の信用情報への影響を比べると

信用情報への影響という観点だけで、各手続きを比較してみましょう。どの手続きを選んでも「事故情報が登録される」という点は共通していますが、登録期間や影響の内容には違いがあります。

手続き JICC登録期間 CIC登録期間 KSC登録期間 官報掲載
特定調停 申立てから5年 完済から5年 完済から5年 なし
任意整理 完済から5年 完済から5年 完済から5年 なし
個人再生 5〜10年 5〜10年 10年 あり
自己破産 5〜10年 5〜10年 10年 あり

表を見ると分かるとおり、特定調停や任意整理は個人再生・自己破産と比較すると信用情報への影響期間が短めです。また、個人再生や自己破産では官報(国が発行する公報)に名前が掲載されますが、特定調停にはその心配がありません。信用情報という観点では、特定調停や任意整理のほうが影響は小さいといえます。

ただし、信用情報への影響だけで手続きを選ぶのは危険です。自分の収入と債務のバランス、財産の状況、生活の優先事項(家・車・職業)を総合的に考えたうえで、最適な手続きを選ぶ必要があります。

特定調停を弁護士に依頼するメリット

「特定調停は個人でもできるから弁護士は不要」という考え方は、半分正しくて半分は間違いです。確かに法律上、弁護士なしで手続きを進めることはできます。しかし実際のところ、弁護士に依頼することで得られるメリットは非常に大きいです。

書類作成・出頭をすべて任せられる

特定調停には、申立書・資産目録・家計状況を示す書類・債権者への通知など、複数の書類が必要です。これを手続きに慣れていない方が自分で作成するのは、想像以上の手間がかかります。書き方一つ間違えれば裁判所から補正を求められ、余分な時間を取られることもあります。

弁護士に依頼すれば、これらの書類作成はすべて任せられます。裁判所への出頭も弁護士が代理で行えます。平日に仕事を休む必要がなくなる。これだけでも大きなメリットです。

調停成立の可能性が高まる

債権者との交渉において、弁護士が関与しているかどうかは結果に大きく影響します。弁護士は債権者との交渉経験を持ち、法的な根拠に基づいて現実的な返済案を提示できます。調停委員への説明も的確に行え、不成立に終わるリスクを下げることができます。

他の手続きへの切り替えもスムーズ

特定調停を進める中で「これは個人再生のほうが向いているかもしれない」という状況になることがあります。弁護士が関与していれば、その判断を早い段階でできますし、手続きの切り替えもスムーズに対応してもらえます。

「費用がかかるから弁護士には頼めない」という方も多いですが、多くの弁護士事務所では費用の分割払いや無料相談に対応しています。まず相談してみるだけでも、状況が大きく変わることがあります。

ワンポイントアドバイス
弁護士に相談・依頼した時点で、弁護士から債権者に「受任通知」が送付されます。この通知が届いた後は、債権者からの督促・取立て電話が法律上禁止されます。取立てのストレスから解放されるだけでも、精神的に大きな救いになります。

特定調停を自分で申し立てる場合の具体的な準備

弁護士に依頼せず自分で特定調停を進める場合、どのような準備が必要なのかを具体的に見ておきましょう。「なんとなくわかった気でいたら書類が全然揃わなかった」という事態を防ぐためです。

申立てに必要な書類一覧

簡易裁判所に提出する書類は、おおむね以下のとおりです。裁判所によって多少の違いがある場合もありますので、事前に管轄の簡易裁判所に確認することをおすすめします。

  • 特定調停申立書――債務者の氏名・住所・申立ての趣旨・理由などを記載する
  • 当事者目録――債権者の名称・所在地を記載する
  • 債権者一覧表――全ての借入先と残高・月々の返済額などを一覧にしたもの
  • 財産の状況を示す明細書――預貯金・不動産・自動車などの資産をまとめたもの
  • 収入・支出の状況を示す書面――給与明細や家計の収支がわかる資料
  • 契約書・借用書等の写し――各借入先との契約内容を証明する書類

これらを債権者の数だけ準備する必要があります。書類の不備があると裁判所から補正を求められ、手続きが長引きます。特に収支の書面は「実態が伝わる内容」にすることが重要です。数字をごまかすのは論外ですが、逆に生活費を切り詰めすぎた計画を提出すると現実性がないとみなされることもあります。

申立て後の流れと期日での注意点

申立てが受理されると、裁判所から期日の呼出し通知が届きます。指定された日時に簡易裁判所へ出頭し、調停委員と面談します。

期日では正直に話すことが基本です。「どのくらい返せるか」「生活費はどれくらい必要か」「今後の収入見込みはどうか」といった点を具体的に説明できるように準備しておきましょう。感情的になったり、相手を責めるような発言をしたりすると調停委員の心証を損ないます。冷静に、数字と事実で話すことが大切です。

ワンポイントアドバイス
申立て書類の書き方がわからない場合は、管轄の簡易裁判所の窓口で書式をもらって確認するか、法テラス(日本司法支援センター)に問い合わせる方法があります。法テラスでは収入が一定以下の方を対象に、弁護士費用の立替制度も設けています。費用面で不安がある場合は、法テラスの活用も検討してみてください。

特定調停の信用情報に関するQ&A

相談の現場でよく寄せられる質問をまとめました。

Q. 特定調停をすると家族にバレますか?
官報への掲載はないため、自己破産や個人再生と比べて家族に知られるリスクは低いです。ただし、信用情報の共有はないものの、共同名義のローンや保証人がいる場合はその限りではありません。家族への影響が心配な場合は、事前に弁護士に相談してください。
Q. 特定調停中にクレジットカードは使えますか?
特定調停の申立てをした時点で、整理対象としたクレジットカードは使用できなくなります。整理対象外のカードについては使えるケースもありますが、信用情報に事故情報が登録されれば更新時に使えなくなる可能性があります。
Q. 特定調停後に携帯電話の契約はできますか?
通話・通信契約(回線契約)そのものは信用情報と関係なく契約できます。問題は端末の分割払い契約です。これは割賦販売にあたるため、事故情報が登録されている期間中は審査に通りにくくなります。一括購入かSIMのみ契約が現実的な選択肢になります。
Q. 特定調停が終わったら住宅ローンを組めますか?
事故情報が抹消され、クレジット利用の良好な履歴が一定期間積み上がれば、住宅ローン審査に挑戦できる状態になります。ただし金融機関によって審査基準は異なります。社内ブラックの問題もあるため、過去に取引のない金融機関への申込みが望ましいケースもあります。
Q. 特定調停は何回でもできますか?
法律上、回数に制限はありません。ただし、同じ債権者に対して何度も申し立てることは現実的に難しく、調停委員の心証も悪くなります。返済計画を根本から立て直す必要がある場合は、個人再生や自己破産を検討すべき状況です。

まとめ――特定調停と信用情報、不安なら弁護士へ

改めて、この記事の要点を整理しましょう。

  • 特定調停をすると、JICC・CIC・KSCの各信用情報機関に事故情報が登録される
  • 登録期間はJICCが「申立てから5年」、CIC・KSCは「完済から5年」で、分割払い期間を含めると最長8年以上に及ぶことがある
  • 登録期間中はローン・クレジットカード・端末の分割払いなどの審査に影響する
  • 事故情報が消えても社内ブラックとして整理対象にした業者には融資が受けにくい
  • 特定調停は整理対象を選べるため、住宅ローンや自動車ローンを守れる可能性がある
  • 個人での手続きは可能だが、弁護士に依頼することで書類作成・出頭・交渉をすべて任せられる

借金の問題を抱えているとき、最初の一歩を踏み出すのが一番難しい。「どこに相談すればいいかわからない」「相談してもどうせ解決しない」と思っているなら、それは誤解です。

特定調停が自分に合っているのか、それとも任意整理や個人再生のほうが適しているのか。信用情報への影響を最小限に抑えながら借金問題を解決するにはどうすればよいのか。これらは専門家に話を聞かなければ判断できません。

まず一度、債務整理に強い弁護士に相談してみてください。初回相談無料の事務所も多くあります。状況を話すだけでも、これまで見えていなかった選択肢が見えてくるはずです。

ワンポイントアドバイス
「弁護士に相談したら、特定調停ではなく別の手続きを勧められるかもしれない」と不安に思う必要はありません。弁護士はあなたの状況に合った最善策を提示します。特定調停が最適であれば特定調停を、他の手続きが向いていれば正直にそう伝えます。相談の目的は「自分に合った解決策を見つけること」です。遠慮せず話してみてください。
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