1,974view
意外と知らない債務整理と住宅ローンの関係とは?
この記事で分かること
- 債務整理後一定期間は住宅ローンを組めない
- 債務整理の種類によって住宅ローンへの影響は異なる
- 信用情報機関に掲載された事故情報が抹消されれば住宅ローンは組める
- 任意整理の場合問題なく返済できれば既存の住宅ローンには影響はない
債務整理をするとブラックリスト入りし、一定期間は住宅ローンを組めませんが登録期間が過ぎれば組めるようになります。家を手放さずに債務整理を行いたい場合は整理する借金を選べる任意整理か「住宅資金特別条項」がある個人再生という方法もあります。
目次[非表示]
債務整理後の数年間は住宅ローンを組めない
債務整理をすると、いわゆる“ブラックリスト入り”し、その後クレジットカードの新規発行や借り入れ、ローンを組むことができなくなるという話を一度は聞いたことがあるでしょう。債務整理とは端的に言えば借金の返済が追い付かなくなった人を救済するために債務を整理する手続きのことで、債務整理の中で最もポピュラーなのが任意整理、借金が膨らみ過ぎて返済不能になった場合に裁判所に破産を申立て、全ての債務を免除してもらう自己破産、債務者が破産する前に弁済計画を立て裁判所に申し立てることによって債務を圧縮する、民事再生法に規定された個人再生に大別されます。
債務整理を行うと必ずブラックリスト入り
債務整理をすれば借金を減額したり帳消しにすることができますが、当然大きな代償が伴います。その一つが事故情報としてCICやJICC、KSCといった『信用情報機関』に掲載されることです。信用情報機関に事故情報が記載されると、住宅を購入したいときにも影響を及ぼします。
住宅ローンが組めなくなる
信用情報に傷がつけば、その後一定期間は新規借り入れやクレジットカードの発行や更新、ローンの審査に通らなくなります。これはローン会社は融資の際、個人信用情報を照会して審査を行うためです。クレジットカードで新規の借り入れができなくなるのはもちろん、住宅ローンも組むことができなくなります。
債務整理後5年経てば住宅ローンが組める
しかしブラック情報も永遠に残るわけではなく、登録期間中、きちんと支払いを続け何事もなく過ごせば抹消されます。債務整理の事故情報の登録期間は信用情報機関や事故の種類によって若干違いますが大まかな目安としては5年と思ってよいでしょう。事故情報が抹消されれば、“ブラック経験者”であることを理由に住宅ローン等融資の審査に落ちることもなくなります。
債務整理を行うと既存の住宅ローンはどうなる
生活費に困って借り入れやギャンブルの軍資金欲しさのキャッシング、あるいは悪徳商法にひっかかって大金を用意せざるを得なくなった等、人が借金する理由は様々ですが、子どもの頃から他人にお金を借りてはいけないと言い聞かされて育った人も多いことでしょう。そのような中でも、住宅ローンは別で、住宅を購入する際には多くの人が利用するものです。住宅ローンを組む前に債務整理をすると、住宅ローンを組めなくなることは説明しました。では、住宅ローンを組んだ後に債務整理を行うとどのような影響が出るのでしょうか。
任意整理では住宅を手放さなくて済む可能性も
任意整理の場合、「任意」というくらいですから、どの借金を整理するのかは債務者の自由です。従って住宅ローンを整理の対象から外すことも可能です。高金利の借金だけを対象に将来の利息のカットや金利の引き直し等をして問題なく返済できるようであれば住宅ローンにも影響はなく自宅を手放さなくて済みます。
自己破産は自宅を手放さなくてはならない
自己破産は「清算型」の借金整理法と呼ばれ、手元に残せるのは20万円以下の預貯金や現金99万円、生活に必要な衣類やベッド、調理器具や職業道具といった最低限度必要な『自由財産』のみです。それ以外は原則全て差し押さえられ、債権者への借金返済にあてられます。もちろん家も対象になるので基本的には家も手放さなくてはなりません。
個人再生は「住宅資金特別条項」により自宅を残せる
「再生型」の借金整理法である個人民事再生には住宅資金特別条項と呼ばれる制度があります。住宅ローン以外の債務についてのみ整理することが可能なので自宅を手放さずに済みます。個人民事再生は2001年、当時給与やボーナスの支給額減から住宅ローンが支払えなくなるケースが増加する中、自己破産によって家を失い生活再建ができなくなるのを防ぐために、民事再生法の改正で設けられた制度なのです。
債務整理と住宅ローンについて押さえておきたい知識
次に、債務整理後に住宅ローンを組むためのポイントや意外と知らない情報等、押さえておきたい点を解説します。
融資の際の審査基準となるのは申込者の与信力、すなわち順当に返済すると信用できるかです。ブラックリスト入りしている間、審査に通らないのは事故情報があるためであることからも分かる通り、債務整理後に融資の審査に通るかは、金融機関の信用を勝ち取れるか否かにかかっており、住宅ローンの場合も同じです。
住宅ローンの審査基準を把握しておく
まず、住宅ローンの審査基準を押さえておきましょう。金融機関によって多少は異なりますが、おおよそ住宅ローンの審査ポイントは以下の通りです。
- 年収
- 勤務先
- 年齢
- 勤務年数
- 事故情報の有無
これらの基準から、安定性と収入がポイントとなることが見て取れるでしょう。年収や勤続年数は多ければ多いほど信用力はあがります。年齢については、あまりに高齢だとマイナス評価となります。これは通常、定年を過ぎると所得が増える可能性は低く、働き盛りの40、50代と比較して返済力がないと見なさるためです。加えて、加齢と共に病気等健康上の問題による返済不履行、つまり“貸し倒れ”のリスクも高まるという理由もあります。一般に安泰とされる公務員は審査に通りやすいと言えます。
債務整理の対象となった金融機関と別の会社を利用
信用情報機関から事故情報が抹消されても、債務整理を行った会社のデータベースには情報が残り続けます。これを「社内ブラック」と呼びますが、会社の信用を失っている状態であるため、そこから融資を受けることはまず不可能です。従って、審査に通るためには債務整理の対象となった金融機関と別の会社を利用する必要があります。
頭金を十分に用意しておく
住宅ローン審査の際に重要な与信判断の目安のひとつとなるのが、「融資比率」と「返済比率」です。融資比率とは購入したい住宅価格に対する借入金の割合です。例えば、4000万円の住宅を頭金400万円・住宅ローン3600万円を組んで購入した場合、融資比率は3600万円÷400万円×100=90%になります。返済比率とは税込み年収に対する住宅ローンの年間返済割合です。例えば、税込み年収600万円の人が、月額返済12.5万円の住宅ローンを組んだら年間返済額は150万円ですがこの場合の返済比率は150万円÷600万円×100=25%になります。あくまでも目安ですが、この融資比率が80%未満、返済比率が25%以上ならば、審査に通りやすいと言われています。
意外と知らない債務整理と住宅ローンの情報
最後に、自己破産しても自宅を手放さずに済む“奥の手“や住宅ローンについて知っておくべき情報を紹介します。
配偶者や家族の債務整理は影響なし
配偶者や家族の事故情報は住宅ローンの審査に影響はないとされています。但し、妻が夫の住宅ローンの保証人になっている場合等は悪影響があります。
自己破産しても家を失わずに済む任意売却
自己破産を行った場合、差し押さえによって自宅を失うことになると前述しました。しかし、自宅を手放さなくても済む方法があるのです。それが“任意売却”を利用することです。任意売却とは債務者と債権者、物件の買い手となる第三者で話し合い決定した価格で自宅を第三者に売却することです。
自己破産した場合、自宅は裁判所によって強制的に“競売“にかけられ債権者への返済に充てられますが、任意売却の場合手続きは裁判所を介さず行います。従って任意売却で親族に購入してもらい、そこに住むことも可能なわけです。ただし、任意売却での住宅の購入は住宅ローンが認められないため、買い手には一括で支払える経済力が必要になります。
家を残して債務整理したいときは弁護士に相談
債務整理でブラックリスト入りしても、時間が経てば住宅ローンを組む事も可能です。自己破産もやりようによっては家を残せないことはありませんが、家を失いたくない場合、原則、任意整理や個人再生が適切でしょう。住宅ローンが絡んだ債務整理は素人では難しい側面があります。住宅を手放さずに債務整理をしたいと思ったら、債務整理に強い弁護士に相談することをおすすめします。初回は無料で相談にのってくれる弁護士事務所も多いので、利用してみるとよいでしょう。
あなたの借金問題解決を法律のプロがサポート
- 借入先が複数ある多重債務で返済が苦しい
- 毎月の返済が利息で消え、借金が減らない
- 借金の返済額を少なくしたい
- 家族にバレずに債務整理したい
- 借金を整理しても自宅・車は残したい