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二次相続で相続税が高くなる理由|効果的な節税対策を解説

この記事で分かること

  • 二次相続の基本的な意味と、一次相続との具体的な違い
  • 二次相続で相続税が高くなる3つの理由とその仕組み
  • 一次相続と二次相続を合わせたトータルでの相続税シミュレーション
  • 一次相続での遺産分割が二次相続にどう影響するか
  • 二次相続に備える具体的な節税対策(生前贈与・生命保険・小規模宅地等の特例・配偶者居住権など)
  • 相次相続控除など、二次相続で活用できる制度と注意点

二次相続は、夫婦のうち後に亡くなった親の相続のことで、一次相続より相続税が高くなる傾向があります。本記事では、二次相続で税負担が増える理由、シミュレーションによる比較、生前贈与や生命保険・配偶者居住権など効果的な節税対策を弁護士目線で解説します。一次相続の段階から二次相続を見据えた対策のポイントが分かります。

二次相続とは?一次相続との違いを理解しよう

「父が亡くなったとき、母がほとんどの遺産を相続して相続税はゼロだった。なのに数年後、母が亡くなったときには高額な相続税を払うことになった」——こうした経験談を聞いたことはないでしょうか。

実はこれ、相続の現場ではよくある「想定外の出来事」です。一次相続だけを見て喜んでいたら、二次相続で予想以上の税負担に直面する。多くの家族が陥る相続税の落とし穴です。

本記事では、これからお話しする二次相続の基本から、相続税が高くなる理由、効果的な節税対策まで、弁護士の視点で詳しく解説していきます。一次相続の段階から長期的な視点で考えることで、トータルの税負担を大きく減らせる可能性があります。

二次相続の意味|後に亡くなった親の相続

二次相続とは、夫婦のうち後に亡くなった方の遺産相続のことです。

ご家族の典型的なパターンで考えてみましょう。父・母・子で構成される家族で、まず父が亡くなったとします。父の遺産を母と子が相続するのが一次相続です。

その後、母が亡くなりました。母の遺産を子が相続するのが二次相続になります。

一次相続と二次相続という呼び方は、子どもの視点から見た両親の相続の順番を示しています。父が先か母が先かは関係なく、先に亡くなった親の相続が一次、後に亡くなった親の相続が二次です。

一次相続と二次相続の関係を図解

両者の関係を整理すると、次のようになります。

項目 一次相続 二次相続
被相続人 先に亡くなった親 後に亡くなった親
相続人 配偶者+子 子のみ(配偶者は被相続人)
遺産 先に亡くなった親の遺産 後に亡くなった親の遺産(一次相続で取得した分含む)
配偶者の税額軽減 適用可能 適用不可

二次相続のときには、すでに配偶者が亡くなっています。これが税負担の大きな違いを生むポイントになります。

なぜ二次相続が問題視されるのか

二次相続が注目される理由は、一次相続より相続税が高くなりがちだからです。

「父が亡くなったとき、母にほとんど相続させて配偶者の税額軽減で相続税をゼロにした」——一見すると賢い節税方法に思えます。しかし、母が亡くなったときに子が多額の相続税を払うことになり、結局トータルでは損をする、というケースが少なくないのです。

相続税対策では、一次相続と二次相続をワンセットで考える視点が欠かせません。

ワンポイントアドバイス
二次相続のことを考慮せずに一次相続の遺産分割を決めると、結果的に数百万円〜数千万円単位で損をすることがあります。「とりあえず母に全部相続させればいい」という発想は要注意です。一次相続の段階で、二次相続まで見据えた最適な配分を弁護士・税理士と検討することを強くおすすめします。

二次相続で相続税が高くなる3つの理由

二次相続で税負担が増える理由は、主に3つあります。

理由1:相続人が減ることで基礎控除額が減る

最初の理由が、基礎控除額の減少です。

基礎控除額の計算式

相続税の基礎控除額は、次の式で計算されます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人の数が増えれば、基礎控除額も増えます。

一人分の基礎控除が600万円減る影響

一次相続と二次相続で、相続人の数を比較してみましょう。父・母・子1人の家族で、父が先に亡くなったケースです。

項目 一次相続(父) 二次相続(母)
相続人 母+子(2人) 子のみ(1人)
基礎控除額 3,000万円+600万円×2=4,200万円 3,000万円+600万円×1=3,600万円

二次相続では、基礎控除額が600万円減少します。子が1人の場合の話で、子が2人いれば1,200万円、3人いれば1,800万円——人数が多いほど影響も大きくなります。

基礎控除額が減れば、課税対象となる遺産額が増え、相続税も増えるという仕組みです。

理由2:配偶者の税額軽減が使えない

二つ目の理由が、配偶者の税額軽減の不適用です。

配偶者の税額軽減とは

配偶者の税額軽減は、配偶者が相続する場合に相続税を大幅に減らせる制度です。具体的には、次のいずれか多い方の金額まで相続税がかかりません。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

たとえば、遺産1億円の相続で、配偶者の法定相続分が1/2(5,000万円)なら、1億6,000万円までは非課税。極端な話、配偶者が遺産すべてを相続しても、1億6,000万円以下なら相続税ゼロになります。

二次相続では配偶者がいないため適用不可

二次相続では、配偶者である親自身が被相続人となります。相続人に配偶者がいないため、税額軽減は使えません

一次相続では配偶者の税額軽減で大幅に節税できたのに、二次相続ではその恩恵をまったく受けられない。これが二次相続の税負担を重くする大きな要因です。

理由3:相続税率が上がる可能性がある

三つ目の理由が、相続税の累進課税による影響です。

累進課税の仕組み

相続税は累進課税です。一人あたりの取得金額が多いほど、税率が高くなります。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

一人あたりの取得額が増えるため高税率に

二次相続では、相続人が1人減るため、一人あたりの取得額が増えやすくなります。結果として、適用される税率が上がる可能性があります。

たとえば、子が1人で1億円の遺産を相続する場合、税率は30%(控除額700万円)。これが子2人で5,000万円ずつなら、税率は20%(控除額200万円)です。同じ遺産額でも、相続人の人数によって税負担が大きく変わるのです。

ワンポイントアドバイス
「基礎控除の減少」「配偶者の税額軽減の不適用」「税率の上昇」という3つの要因が重なることで、二次相続の税負担は想像以上に重くなります。とくに遺産が1億円を超えるご家庭では、一次相続と二次相続でトータル数千万円の差が生じることも珍しくありません。早めの対策が、ご家族の将来を守ります。

二次相続のシミュレーション|一次相続との税額比較

実際の数字で見ると、二次相続の影響がよく分かります。具体例でシミュレーションしてみましょう。

モデルケースの設定

次のようなモデルケースで考えます。

  • 家族構成:父、母、子1人
  • 父の財産:1億5,000万円(自宅5,000万円、宅地1億円)
  • 母の固有の財産:3,000万円

父が先に亡くなり、その後母が亡くなるケースを想定します。

パターン1:一次相続で配偶者が全額相続した場合

まず、一次相続で配偶者が全額相続するケースを見てみましょう。

【一次相続】

  • 遺産:1億5,000万円
  • 母が全額相続
  • 配偶者の税額軽減により相続税0円

【二次相続】

  • 母の遺産:1億5,000万円(父から相続)+3,000万円(母固有)=1億8,000万円
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×1=3,600万円
  • 課税対象:1億8,000万円-3,600万円=1億4,400万円
  • 子の相続税:1億4,400万円×40%-1,700万円=4,060万円

合計相続税:0円+4,060万円=4,060万円

一次相続で全部母に相続させれば、その時点では相続税ゼロ。しかし二次相続で4,060万円もの相続税が発生します。

パターン2:一次相続で法定相続分どおりに分割した場合

次に、一次相続で法定相続分(母1/2、子1/2)で分割するケースです。

【一次相続】

  • 遺産:1億5,000万円
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×2=4,200万円
  • 課税対象:1億5,000万円-4,200万円=1億800万円
  • 母の相続税:5,400万円×30%-700万円=920万円
  • 子の相続税:5,400万円×30%-700万円=920万円
  • 母は配偶者の税額軽減で0円
  • 子の相続税納税額:920万円

【二次相続】

  • 母の遺産:7,500万円(父から相続)+3,000万円(母固有)=1億500万円
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×1=3,600万円
  • 課税対象:1億500万円-3,600万円=6,900万円
  • 子の相続税:6,900万円×30%-700万円=1,370万円

合計相続税:920万円+1,370万円=2,290万円

パターン1(4,060万円)と比べて、1,770万円も節税できる計算になります。

パターン3:二次相続を見据えた最適な配分

さらに最適化するため、母の取得分を少なめにした場合を見てみましょう。

母の固有財産が3,000万円あるので、一次相続では子が多めに取る方向で考えます。母の取得分を父の遺産の20%(3,000万円)、子の取得分を80%(1億2,000万円)にしてみます。

【一次相続】

  • 母の取得:3,000万円
  • 子の取得:1億2,000万円
  • 課税対象:1億800万円(変わらず)
  • 母の取り分:1億800万円×20%=2,160万円
  • 子の取り分:1億800万円×80%=8,640万円
  • 母の相続税:(適用税率を計算後、配偶者の税額軽減で0円)
  • 子の相続税納税額:1,472万円程度

【二次相続】

  • 母の遺産:3,000万円(父から相続)+3,000万円(母固有)=6,000万円
  • 基礎控除:3,600万円
  • 課税対象:6,000万円-3,600万円=2,400万円
  • 子の相続税:2,400万円×15%-50万円=310万円

合計相続税:1,472万円+310万円=1,782万円程度

パターン1と比べて2,278万円、パターン2と比べても約500万円の節税効果が見込めます。

合計税額の比較で見えてくる「最適解」

3つのパターンをまとめると、次のようになります。

パターン 一次相続 二次相続 合計
母が全額相続 0円 4,060万円 4,060万円
法定相続分どおり 920万円 1,370万円 2,290万円
子に多めに相続 1,472万円 310万円 1,782万円

「一次相続だけ見れば配偶者全額相続が最強」「実は二次相続まで考えると逆に損」——この衝撃的な事実を、シミュレーションは明らかにしてくれます。

二次相続を見据えた一次相続での遺産分割のポイント

一次相続の段階で何を考えるべきか、整理しておきましょう。

配偶者が多く相続すれば短期的には節税

一次相続だけを見れば、配偶者の取得分を増やすほど相続税は減ります。配偶者の税額軽減で、1億6,000万円までは非課税になるからです。

「とりあえず相続税ゼロにできれば嬉しい」——多くの方がそう感じる気持ちは理解できます。

長期的には二次相続で大きな税負担に

しかし、配偶者がもらった財産は二次相続でそのまま課税対象になります。配偶者の固有財産と合わせれば、二次相続の遺産はかなりの額に膨らみます。

二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、基礎控除も少ないため、税率が一気に跳ね上がります。短期的な節税が、長期的には大きな負担になる典型例です。

配偶者の年齢や財産状況による判断

最適な分割比率は、家族の状況により変わります。考慮すべき要素は次のとおりです。

  • 配偶者の年齢(残り寿命の見通し)
  • 配偶者の固有財産の額
  • 配偶者の今後の生活費の見通し
  • 子の人数と各人の経済状況
  • 遺産に占める不動産の割合

配偶者がご高齢で、すぐに二次相続が予想される場合は、子の取得分を多くする方向が有利になりやすいです。配偶者がまだ若く、長く生きる見通しなら、配偶者の生活資金を優先的に確保する分割が現実的です。

子の人数によって最適解が変わる

子の人数も大きな要素です。

  • 子1人:二次相続で基礎控除が3,600万円のみ。税負担が重くなりやすい
  • 子2人:基礎控除4,200万円。分散効果でやや軽減
  • 子3人以上:基礎控除4,800万円〜。税負担の集中を回避しやすい

子が多いほど、二次相続の負担は分散されます。子1人のご家庭では、より慎重な対策が必要です。

二次相続に向けた効果的な節税対策

二次相続に備える具体的な節税対策を5つ紹介します。

対策1:生前贈与の活用

最も基本的な対策が生前贈与です。

暦年贈与(年110万円の基礎控除)

毎年110万円までの贈与は、贈与税が非課税です。これを子や孫に対して長期的に行うことで、相続財産を減らせます。

たとえば、子2人と孫4人に毎年110万円ずつ贈与すれば、年間660万円を非課税で移転できます。10年続ければ6,600万円——大きな節税効果です。

ただし、2024年改正で生前贈与の相続財産への加算期間が3年から段階的に7年に延長されています。亡くなる直前の贈与は相続財産に加算されるので、早めの開始が肝心です。

2024年改正後の相続時精算課税制度

2024年1月から、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除分は相続財産に加算されません。

2,500万円の特別控除との併用が可能で、より柔軟な贈与が可能になっています。一度に大きな金額を渡したい場合や、値上がりしそうな財産を早めに移転したい場合に有効です。

住宅取得等資金の贈与の非課税特例

子や孫の住宅取得資金として贈与する場合、一定額まで非課税になる特例があります。省エネ住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円が非課税枠です(2026年12月末まで)。

子が住宅購入を予定している時期に活用すれば、まとまった金額を非課税で渡せます。

教育資金の一括贈与の非課税特例

孫の教育資金として、1,500万円までを非課税で一括贈与できる特例もあります。金融機関に専用口座を開設して管理する必要があるなど手続きはやや複雑ですが、節税効果は大きいです。

対策2:生命保険の活用

生命保険も有力な節税手段です。

生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)

被保険者が亡くなったときに支払われる生命保険金には、「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠があります。

たとえば、相続人が子2人なら1,000万円までが非課税。この金額を現金で持っているより、生命保険金として受け取るほうが税金面で有利です。

受取人を子にすることのメリット

二次相続対策として、母が契約者・被保険者となる生命保険に加入し、受取人を子に指定する方法があります。

母が亡くなったときに、子が保険金を受け取ります。非課税枠の範囲内であれば、税金がかからずに財産を移転できます。

納税資金の確保にも役立つ

二次相続では納税資金の問題も生じます。「相続したのは実家の土地ばかりで現金がない」というケースで、相続税の納付に困ることがあります。

生命保険金は、現金で支払われるため納税資金として最適です。納税のために実家を売る、という最悪の事態を避けられます。

対策3:小規模宅地等の特例の活用

小規模宅地等の特例を二次相続でも活用しましょう。

家なき子特例を使う方法

子が別居している場合、通常の同居要件では特例を使えません。しかし、「家なき子特例」の要件を満たせば、別居の子でも特例を適用できます。

主な要件は次のとおりです。

  • 被相続人に配偶者および同居親族がいないこと(二次相続では満たしやすい)
  • 取得者が相続前3年以内に持ち家などに住んでいないこと
  • 申告期限まで土地を保有し続けること

二次相続では「配偶者がいない」という要件を自動的に満たすため、家なき子特例が使いやすくなります。

同居していれば最大80%減額

子が母と同居していれば、もちろん通常の同居要件で特例適用が可能です。330㎡まで80%の評価減という強力な節税効果を発揮します。

二次相続を見据えて、母と同居を始めるという選択肢もあります。

対策4:配偶者居住権の活用

2020年4月施行の配偶者居住権も、二次相続対策として注目されています。

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、被相続人所有の建物に無償で住み続けられる権利です。所有権ではなく、住む権利だけを切り出した制度です。

たとえば、夫が亡くなったとき、自宅の所有権は子が相続し、配偶者居住権は妻が取得する。妻は住む権利を確保しながら、所有権を子に渡せます。

二次相続で評価額がゼロになる効果

配偶者居住権のメリットは、二次相続のときに評価額がゼロになる点です。

配偶者居住権は、配偶者の死亡で消滅します。消滅した権利は二次相続の遺産に含まれません。一次相続で配偶者居住権を取得しておけば、二次相続の課税対象を減らせるのです。

ただし、配偶者居住権の活用には登記費用や複雑な評価計算が必要です。本当に節税になるかは、ケースごとの検討が欠かせません。

対策5:養子縁組による相続人の増加

養子縁組で法定相続人を増やすことで、基礎控除と非課税枠を拡大できます。

養子縁組で基礎控除が増える

養子1人増えるごとに、基礎控除が600万円増えます。生命保険金の非課税枠も500万円増えます。

孫を養子にすることで、二次相続の税負担を軽くする方法は、富裕層を中心によく使われている対策です。

制限と注意点

ただし、税法上カウントできる養子の数は制限されています。

  • 実子がいる場合:養子は1人まで
  • 実子がいない場合:養子は2人まで

また、孫を養子にすると、孫の相続税は2割加算される点にも注意が必要です。家族関係への影響も含めて、慎重に判断すべき対策です。

二次相続対策で注意すべきポイント

二次相続対策には、押さえておきたい注意点もあります。

一次相続から二次相続までの期間

一次相続と二次相続の時間的な近さは重要な要素です。

10年以内なら相次相続控除が使える

一次相続から二次相続まで10年以内に発生した場合、「相次相続控除」という制度を利用できます。

相次相続控除とは、一次相続で支払った相続税の一部を、二次相続の相続税から差し引ける制度です。短期間に相続が連続した場合の二重課税を防ぐ目的の制度です。

相次相続控除の計算方法

相次相続控除の額は、おおむね次のように計算されます。

  • 一次相続から1年以内:一次相続で支払った相続税の100%を控除
  • 1年経過ごとに10%ずつ減少
  • 10年経過後はゼロ

たとえば、一次相続で1,000万円の相続税を払い、5年後に二次相続が発生した場合、500万円程度が二次相続の相続税から控除されます。意外と大きな効果がある制度ですが、知らない人も多いです。

配偶者の生活資金は確保する

二次相続対策に夢中になって、配偶者の生活資金を圧迫してしまっては本末転倒です。

「子に多めに相続させたほうが節税になる」と言っても、母の老後の生活費が確保できなければ意味がありません。配偶者の年齢、健康状態、想定される生活費——こうした要素を踏まえて、無理のない計画を立てましょう。

家族間の合意形成が最優先

節税対策のために家族関係がギクシャクしては、元も子もありません。

「節税のために遺産分割を変えてくれ」と急に言われても、家族には事情が分かりません。十分な説明と話し合いを経て、全員が納得した形で対策を進めることが大切です。

定期的な見直しが必要

相続税の制度は頻繁に改正されます。生前贈与の加算期間延長、相続時精算課税制度の基礎控除新設、相続登記の義務化——近年だけでも大きな変更がいくつもありました。

一度立てた対策も、定期的に見直すことが大切です。3〜5年ごとに専門家に相談し、最新の制度に合わせた対策にアップデートしましょう。

二次相続対策の具体的なケース別アプローチ

家族構成や財産状況によって、最適な対策は変わります。

子が一人っ子の場合

子が1人のご家庭では、二次相続の負担が最も集中しやすいです。

  • 一次相続で子の取得分を多めにする
  • 母の固有財産を生前贈与で減らす
  • 生命保険の活用で非課税枠を最大化
  • 養子縁組で相続人を増やす検討

子1人で1億円超の遺産を相続するケースでは、税率が30〜40%に達します。早めの対策が報われる効果は絶大です。

子が複数いる場合

子が複数いる場合は、税負担が分散されるためやや楽になります。

  • 各子に均等に贈与して全員の生活を支援
  • 孫への教育資金贈与で世代をスキップ
  • 不動産を共有ではなく分割して相続

ただし、子の間で取り分の差が出ないよう、公平性への配慮も必要です。生前贈与の差が、後の相続争いの火種になることもあります。

配偶者に固有の財産が多い場合

母自身がすでに多くの財産を持っている場合、二次相続の遺産がさらに膨らみます。

  • 一次相続では配偶者の取得分を最小限に抑える
  • 母から子・孫への生前贈与を積極的に活用
  • 母名義の不動産は、母の生前に売却して現金化することも検討

配偶者の固有財産が多いほど、二次相続対策の重要性が増します。

不動産が遺産の大部分を占める場合

不動産が遺産のメインの場合は、特別な配慮が必要です。

  • 小規模宅地等の特例を最大限活用できる相続人に承継
  • 納税資金として生命保険を準備
  • 配偶者居住権の活用で評価額を圧縮
  • 収益不動産は早めに子に贈与して家賃収入を移転

「現金がないのに相続税の請求書が来た」という事態を避けるため、納税資金の確保を最優先に考えましょう。

二次相続に関するよくある質問

最後に、よく寄せられる質問にお答えします。

二次相続まで何年くらい考えればいい?

一次相続のタイミングで、二次相続まで一気に考えるのが理想です。夫婦のうち先に亡くなった配偶者の相続段階で、後に亡くなる配偶者の相続まで見据えた設計を行います。

理想的には、一次相続の発生前——つまりご夫婦がお元気なうちから、長期的な計画を立てておくことが望ましいです。

配偶者にすべて相続させるのは間違い?

「配偶者にすべて相続させる」のが間違いとは言えませんが、選択肢の一つに過ぎないことを知っておくべきです。

配偶者が高齢でない、固有財産が少ない、子の生活が安定している——こうした条件が揃えば、配偶者に全額相続させて二次相続まで時間を稼ぐ戦略も有効です。

逆に、配偶者がご高齢、固有財産が多い、子の生活が苦しい——こうした条件では、一次相続で子に多めに相続させるほうが有利になります。

一次相続でやり直しはできる?

すでに完了した一次相続の遺産分割を後からやり直すのは、原則として困難です。遺産分割協議書を作成し直すには、相続人全員の合意が必要です。

ただし、最近では「遺産分割の合意解除と再分割」の手続きで対応するケースも見かけます。税務上の取り扱いが複雑なので、必ず弁護士・税理士に相談してから動いてください。

二次相続を予測した遺言書は作れる?

はい、可能です。配偶者がいる場合の遺言書では、配偶者が先に亡くなった場合の予備的遺言を盛り込むことで、二次相続を見据えた指定ができます。

「妻にすべて相続させる。妻が先に亡くなっている場合は、長男に○○、次男に××を相続させる」というような形です。配偶者の状況に応じて柔軟な対応ができるよう、遺言書を工夫しましょう。

まとめ:二次相続対策は早めの計画と専門家相談が重要

二次相続は、一次相続より相続税が高くなる傾向があります。基礎控除の減少、配偶者の税額軽減の不適用、税率の上昇——3つの要因が重なって、税負担が大きくなるのです。

一次相続の段階で「配偶者にすべて相続させて、その場の相続税をゼロにする」という選択は、二次相続で大きな代償を払うことがあります。一次相続と二次相続をワンセットで考える長期的な視点が、何より大切です。

効果的な対策として、生前贈与の活用、生命保険の活用、小規模宅地等の特例、配偶者居住権、養子縁組などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、ご家族の状況に合わせて組み合わせることが重要です。

一次相続から10年以内の二次相続では、相次相続控除という制度も利用できます。知っていれば数百万円の節税につながる制度を、見落とさないようにしましょう。

二次相続対策には、相続税と法律の専門知識が欠かせません。判断を誤ると、節税のつもりが逆に税負担を増やすことにもなりかねません。ご両親がご健在のうちから、相続実務に詳しい弁護士・税理士に相談して、最適な計画を立てることを強くおすすめします。早めの行動が、ご家族全員の未来を守ります。

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5,000万円
2人

基礎控除額

4,200万円

課税対象額

800万円

相続税の総額(概算)

80万円

申告が必要です

※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。

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