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二次相続で相続税が高くなる理由と効果的な節税対策

二次相続で相続税が高くなる理由と効果的な節税対策

この記事で分かること

  • 二次相続とは何か(一次相続との違い)
  • 二次相続で相続税が高くなる主な理由
  • 一次相続の分け方が二次相続を左右すること
  • 生前贈与や生命保険など効果的な節税対策
  • 配偶者の生活を優先する対策上の注意点

この記事では、配偶者が亡くなって起きる二次相続で相続税が高くなりやすい理由と、その対策を弁護士の視点で解説します。配偶者の軽減が使えないこと、相続人が減って基礎控除が小さくなること、配偶者自身の財産が上乗せされることという主な理由を整理し、一次相続での分け方の工夫や、生前贈与・生命保険といった節税対策を紹介します。配偶者の生活を最優先にすべきという注意点まで踏まえ、読み終えれば二回を通算した備え方がわかります。

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二次相続とは

相続対策を考えるうえで、見落とされがちなのが「二次相続」です。たとえば、父が亡くなって母と子が相続し、その後に母が亡くなって子が相続する——この二回目の相続が二次相続にあたります。実は、一回目の相続だけを見て対策を立てると、二回目で思わぬ高額の相続税がかかってしまうことがあります。目の前の相続だけでなく、その先の相続まで見据えて備えることが、家族全体の税負担を抑える鍵になるのです。この記事では、なぜ二次相続で相続税が高くなりやすいのか、その理由と効果的な対策を、弁護士の視点でわかりやすく解説していきます。

二次相続という言葉自体は耳にしたことがあっても、なぜそれが重要なのかまで意識している方は多くありません。しかし、相続対策の成否は、この二次相続まで見通せているかどうかで大きく分かれます。一回目の相続で「うまく節税できた」と思っていたのに、二回目で予想外の税額を突きつけられる、というのはよくある話です。そうならないために、まずは二次相続の仕組みと、税金が膨らむ理由を正しく理解しておきましょう。

二次相続という考え方は、相続税の世界では避けて通れないテーマです。それにもかかわらず、一般にはあまり知られておらず、対策が手つかずのまま二回目の相続を迎えてしまうご家庭も少なくありません。この記事を通じて、なぜ二回目で負担が膨らむのか、その仕組みをまずしっかりつかんでください。仕組みさえ理解できれば、どこに手を打てばよいのかが自然と見えてきます。

一次相続との違い

最初に起きる相続を一次相続、その後に配偶者が亡くなって起きる相続を二次相続と呼びます。一次相続では、配偶者と子が相続人になるのが典型的なケースです。これに対して二次相続では、すでに配偶者が亡くなっているため、子だけが相続人になります。この「配偶者がいるかいないか」という違いが、相続税の計算に大きな差を生みます。一次相続では使えた負担を抑える仕組みが、二次相続では使えなくなることがあるのです。

具体的なイメージを持っていただくために一次相続では使えた負担を抑える仕組みが、二次相続では使えなくなることがあるのです。なお、ここでは父が先に亡くなる例で説明していますが、母が先に亡くなる場合も考え方は同じです。

具体的なイメージを持っていただくために、よくある家族の流れで考えてみましょう。父・母・子という家族で、まず父が亡くなると、母と子が相続人になります。これが一次相続です。その後、母が亡くなると、今度は子だけが相続人になります。これが二次相続です。一次相続では母という配偶者がいたために使えた優遇が、母自身が亡くなる二次相続では使えなくなる——この構造を頭に入れておくと、以降の話がぐっと理解しやすくなります。

この「配偶者がいるかどうか」という違いは、相続税の計算のさまざまな場面に影響します。配偶者向けの手厚い軽減が使えるかどうか、相続人の数が何人になるか、課税される財産がどれだけ膨らむか——そのどれもが、配偶者の有無に左右されるのです。一次相続と二次相続を別々の出来事として捉えるのではなく、ひとつながりの流れとして見ることが、二次相続対策の出発点になります。

なぜ二次相続が問題になるのか

多くのご家庭では、一次相続のときに「とりあえず配偶者に多く相続させておこう」と考えがちです。配偶者には手厚い税の軽減があるため、一次相続の税負担はそれで軽くなります。ところが、その配偶者が亡くなる二次相続のときに、今度はその財産にまとめて相続税がかかってきます。一次相続で軽くなった分の負担が、二次相続でまとめて子にのしかかる——これが、二次相続が「隠れた落とし穴」と言われるゆえんです。

厄介なのは、一次相続のときには、この落とし穴がまったく見えないことです。配偶者の軽減のおかげで税額が抑えられると、つい「相続対策はうまくいった」と安心してしまいます。しかし、その安心が二次相続で裏切られることになるのです。だからこそ、一次相続の段階で、すでに二次相続のことまで頭に入れて分け方を考えておく必要があります。先を見通せるかどうかが、家族全体の負担を左右するのです。

実際の相談現場でも、「一次相続のときに、もっと先を考えて分けておけばよかった」という後悔の声は少なくありません。一次相続の手続きは、悲しみのなかで慌ただしく進みがちで、二次相続まで気が回らないのも無理はありません。だからこそ、相続が起きたら立ち止まり、その先の相続まで見据えて分け方を考える時間を持つことが大切です。少しの先回りが、家族の将来の負担を大きく減らします。

二次相続で相続税が高くなる三つの理由

では、なぜ二次相続では相続税が高くなりやすいのでしょうか。主な理由は三つあります。一つずつ見ていきましょう。

  • 配偶者がいなくなることで、配偶者向けの大きな軽減が使えなくなること
  • 相続人の数が減り、そのぶん控除できる枠が小さくなりやすいこと
  • 一次相続で受け継いだ財産が上乗せされ、対象となる財産が増えやすいこと

いずれの理由も、突き詰めれば「配偶者がいなくなること」に行き着きます。配偶者という存在が、相続税の計算でどれほど大きな役割を担っているかを、これから具体的に見ていきましょう。

配偶者の税額軽減が使えない

一次相続で大きな効果を発揮するのが、配偶者に対する相続税の軽減措置です。配偶者が相続する財産については、税負担が大幅に軽くなる仕組みが設けられており、これによって一次相続の税額はかなり抑えられます。ところが、二次相続ではすでに配偶者が亡くなっているため、この軽減を使うことができません。一次相続でこの軽減に頼りきっていると、その反動が二次相続で表れることになります。実際にどのくらいの相続税がかかるのか、税率や計算の仕組みを知っておくと、見通しが立てやすくなります。

相続税は、財産が多くなるほど税率が高くなっていく仕組みになっています。そのため、二次相続で課税される財産が大きく膨らむと、適用される税率も上がり、負担が一段と重く感じられることがあります。おおよその仕組みを知っておくだけでも、二次相続でどれくらいの負担が見込まれるのか、心づもりができます。漠然とした不安を抱えるより、まずは概算をつかんでおくことが、落ち着いた対策につながります。

配偶者の軽減は、残された配偶者の生活を守るために設けられた、とても手厚い仕組みです。それ自体はありがたい制度なのですが、これに頼って一次相続で配偶者に財産を寄せすぎると、二次相続でその財産にまとめて課税される、という副作用が生じます。つまり、配偶者の軽減は「税金をなくす」ものではなく、「課税のタイミングを二次相続へ先送りする」面がある、と理解しておくことが大切です。先送りされた負担は、いずれ子が引き受けることになります。

相続人が減り基礎控除が小さくなる

相続税には、相続人の数に応じて課税の対象から差し引ける基礎控除という枠があります。相続人が多いほど、この枠は大きくなります。二次相続では、配偶者が亡くなっている分、相続人の数が一次相続より一人少なくなるのが通常です。その結果、差し引ける枠が小さくなり、課税の対象となる部分が増えてしまいます。同じ財産額でも、相続人が少ない二次相続のほうが、税負担が重くなりやすいのはこのためです。

ここで覚えておきたいのは、相続人の数は基礎控除の大きさに直結するということです。相続人が一人増えれば、それだけ課税の対象から差し引ける枠も大きくなります。二次相続では、その枠が一次相続より小さくなるのが通常ですから、同じ財産でも課税される部分が増えてしまうのです。この点は、配偶者という存在が相続税の計算でいかに大きな役割を果たしているかを、改めて教えてくれます。

たとえば、一次相続では配偶者と子が相続人になり、二次相続では子だけになる、というのが典型です。相続人が一人減るだけでも、差し引ける枠が小さくなり、課税される部分はその分増えます。財産の額が同じでも、相続人の数が違えば税額は変わってくるのです。この「相続人の数の差」は、自分たちではどうにもできない構造的な要因です。だからこそ、変えられない部分を前提にしたうえで、変えられる部分、つまり分け方や生前対策で備えることが重要になります。

相続人の数のように、自分たちの努力では変えられない要素がある一方で、工夫しだいで変えられる要素もあります。一次相続でどう分けるか、生前にどんな備えをしておくかは、まさに変えられる部分です。だからこそ、変えられないことを嘆くのではなく、変えられることに力を注ぐ姿勢が大切になります。この記事の後半では、その「変えられる部分」の具体的な手立てを紹介していきます。

配偶者自身の財産が上乗せされる

もう一つ見落とせないのが、二次相続では、亡くなった配偶者がもともと持っていた財産も相続の対象になるという点です。一次相続で配偶者が受け継いだ財産に加えて、配偶者自身の財産も合わさるため、二次相続で子が相続する財産の総額は大きくなりがちです。財産が多くなれば、それだけ相続税の負担も増えます。一次相続のときに配偶者へ多く寄せておくと、この上乗せの効果がいっそう大きくなる点に注意が必要です。

つまり、二次相続で子が向き合う財産は、「一次相続で配偶者が受け継いだ分」と「配偶者がもともと持っていた分」の合計になります。一次相続で配偶者に大きく寄せれば寄せるほど、二次相続で課税される財産の山は高くなっていきます。配偶者自身にもともと相応の財産がある場合は、なおさらです。この上乗せの構造を知らずに、一次相続で安易に配偶者へ集中させてしまうと、二次相続で子が重い負担を背負うことになりかねません。

一次相続での分け方が二次相続を左右する

ここまで読んで気づいた方もいるかもしれません。二次相続の負担は、実は一次相続のときの遺産の分け方によって、大きく変わってくるのです。だからこそ、一次相続の段階から二次相続を見据えて考えることが重要になります。

配偶者に寄せすぎない

一次相続で配偶者に財産を多く相続させれば、配偶者の税軽減によって、そのときの税額は抑えられます。しかし、その財産はやがて二次相続で子に引き継がれ、今度はまとめて課税されます。目先の一次相続の負担だけを見て配偶者に寄せすぎると、二次相続でかえって重い負担を招くことがあるのです。一次相続と二次相続を合わせた、トータルでの負担を考えることが大切になります。

たとえば、一次相続で配偶者の取り分をあえて控えめにし、子にも一定の財産を相続させておくと、二次相続で課税される財産の山を低く抑えられることがあります。もちろん、これは配偶者の生活が十分に成り立つことが大前提です。重要なのは、一次相続だけの税額を最小にすることではなく、二回を通算した負担が最も軽くなる分け方を探すことです。その視点を持つだけで、選べる選択肢の幅はぐっと広がります。

では、配偶者にどれくらい相続させるのが最適なのかというと、これは一概には言えません。財産の総額、配偶者自身の財産、子の人数、自宅などの不動産があるかどうかによって、答えは変わってきます。一次相続で配偶者の取り分をあえて抑えたほうが、二回合わせた負担は軽くなるケースもあれば、配偶者の生活を考えると一定の財産を残すべきケースもあります。大切なのは、感覚で決めずに、具体的な数字で二回分を比べて判断することです。

実際、頭の中だけで「配偶者に多く残したほうが得だろう」と判断すると、二次相続まで含めた結果を見誤りがちです。財産の総額、配偶者自身の財産、子の人数といった条件を入れて試算してみると、直感とは違う結論が出ることも珍しくありません。だからこそ、分け方を決める前に、二回分を合わせたシミュレーションを行うことをおすすめします。数字という客観的な物差しが、後悔のない判断を支えてくれます。

全体最適で考える

大切なのは、一次相続と二次相続を切り離さず、二回の相続を一つのまとまりとして捉える視点です。一次相続でどう分ければ、二回合わせた税負担が最も軽くなるのか——これを見極めるには、財産の内容や家族構成を踏まえた試算が欠かせません。自宅などの不動産については、評価を抑えられる特例が使える場合もあり、誰がどの財産を引き継ぐかで結果が変わります。自宅の評価を引き下げる特例の仕組みについても、知っておくと対策の幅が広がります。

たとえば、自宅の土地について評価を大きく引き下げられる特例は、誰がその自宅を引き継ぐかによって使えるかどうかが変わります。一次相続で配偶者が引き継ぐのか、子が引き継ぐのか、二次相続でどう引き継がせるのかによって、特例を最大限に活かせるかが決まってくるのです。こうした不動産の特例まで含めて全体を設計すると、二回合わせた負担を大きく抑えられることがあります。自宅という大きな財産があるご家庭ほど、この視点が効いてきます。

反対に、自宅の扱いを安易に決めてしまうと、本来使えたはずの評価減の特例を取りこぼし、二次相続で重い税負担を招くこともあります。自宅を一次相続で配偶者が引き継ぐのか、子が引き継ぐのか、その判断ひとつで二回分の税額が変わってくるのです。不動産は金額が大きいぶん、判断を誤ったときの影響も大きくなります。自宅をお持ちのご家庭ほど、早めに専門家を交えて方針を固めておくと安心です。

二次相続に向けた効果的な節税対策

二次相続の負担を抑えるためには、一次相続の分け方の工夫に加えて、生前からの対策も有効です。代表的な手立てを見ていきましょう。

どの対策も、単独で使うよりも、いくつかを組み合わせ、さらに一次相続の分け方の工夫と合わせることで、効果がいっそう高まります。ご家庭の状況に合った組み合わせを見つけることが大切です。

生前贈与を活用する

生前のうちに、計画的に財産を子や孫へ贈与しておくことで、相続のときに課税される財産そのものを減らしておく方法があります。毎年の非課税の枠を活かしながら少しずつ渡していけば、負担を抑えながら財産を移すことが可能です。ただし、贈与には税金や他の相続人との関係など、注意すべき点もあります。やみくもに進めるのではなく、全体のバランスを見て計画的に行うことが大切です。生前贈与を非課税にする具体的な方法については、まとめて把握しておくと選択肢が広がります。

生前贈与が二次相続対策として効くのは、相続のときに課税される財産そのものを、あらかじめ減らしておけるからです。時間をかけて少しずつ子や孫へ移しておけば、その分、二次相続で課税される財産の山を低くできます。ただし、渡し方やタイミングを誤ると、贈与税の負担が思わぬ重さになったり、他の相続人との間で不公平感が生まれたりします。だからこそ、行き当たりばったりではなく、二回の相続を見据えた計画のもとで進めることが欠かせません。

また、生前贈与は一度きりではなく、時間をかけて続けることで効果が積み上がっていく対策です。毎年こつこつと続けるほど、相続のときに残る財産を着実に減らしておけます。逆に、相続が近づいてから慌てて大きな額を贈与しようとすると、かえって贈与税の負担が重くなることもあります。だからこそ、二次相続を意識するなら、できるだけ早い時期から、無理のない範囲で計画的に始めることが肝心です。

生命保険を活用する

生命保険も、二次相続対策として役立つ手立ての一つです。生命保険金には、相続税の計算上、一定の非課税の枠が設けられており、現金をそのまま残すよりも税負担を抑えられる場合があります。また、保険金は受取人を指定して確実に渡せるため、納税資金の準備にも向いています。誰を受取人にするか、どのように設計するかで効果が変わるため、目的に合わせて検討するとよいでしょう。生命保険金が相続税の課税対象になるかどうかについては、あわせて確認しておくと安心です。

なお、生命保険を活用するときは、誰を契約者・被保険者・受取人にするかという組み合わせによって、税金の扱いが変わる点に注意が必要です。組み合わせを誤ると、思っていた効果が得られなかったり、別の税金がかかったりすることもあります。二次相続を見据えて保険を設計するなら、この点も含めて専門家に確認してもらうのが確実です。せっかくの備えを無駄にしないためにも、入り口の設計を丁寧に行いましょう。

生命保険のもう一つの強みは、納税資金をすぐに用意できる点にあります。二次相続では税負担が重くなりやすいうえ、財産の多くが不動産だと、納税のための現金が手元にないという事態も起こりがちです。受取人を指定した保険金であれば、比較的早く受け取れるため、相続税の支払いに充てられます。税負担を抑える効果と、納税資金を確保する効果の両面を持つ生命保険は、二次相続を見据えた対策として、ぜひ検討したい選択肢の一つです。

早めの対策ほど効果が大きい

二次相続対策は、早く始めるほど打てる手が増えます。生前贈与にしても、時間をかけて少しずつ進めるほど効果が積み重なりますし、財産の組み替えや保険の活用にも準備期間が必要です。配偶者が元気なうちから、二回の相続を見据えて計画を立てておくことが、結果的に家族全体の負担を大きく軽くします。相続対策として生前にできる節税方法については、早めに知っておくほど選択肢が広がります。

逆に、対策を先延ばしにすると、打てる手はどんどん限られていきます。とくに、配偶者の判断能力が低下してしまうと、財産の組み替えや贈与といった対策そのものが難しくなることもあります。「まだ元気だから」「縁起でもない」と先送りにしているうちに、対策の好機を逃してしまうのは、とてももったいないことです。二次相続対策は、思い立ったときが始めどきです。早めに動き出すことが、家族の将来の負担を軽くする最も確実な方法だと考えておきましょう。

相続対策に「早すぎる」ということはありません。むしろ、時間という味方を得られるぶん、早く始めるほど有利になります。生前贈与にしても、財産の組み替えにしても、保険の活用にしても、じっくり準備できるほど効果は高まります。「まだ先のこと」と先送りにせず、思い立った今こそが始めどきだと考えて、できることから一歩を踏み出してみてください。

二次相続対策で注意すべき点

二次相続の節税を意識するあまり、かえって大切なものを見失わないよう、注意すべき点も押さえておきましょう。

配偶者の生活を最優先に

二次相続の税負担を抑えたいからといって、一次相続で配偶者の取り分を減らしすぎるのは考えものです。残された配偶者が、その後の生活に困るようでは本末転倒です。とくに、自宅や生活資金は、配偶者の暮らしを支える大切な財産です。節税はあくまで、配偶者の生活の安心を確保したうえで考えるべきものだ、という順番を忘れないようにしましょう。

相続対策の相談を受けていると、節税の数字ばかりに目が向いてしまい、肝心の配偶者の暮らしが後回しになっているケースを見かけることがあります。しかし、いくら二次相続の税金を抑えられても、残された配偶者が住まいやお金に困るようでは、何のための相続かわかりません。まず配偶者が安心して暮らせるだけの財産を確保し、そのうえで税負担を抑える工夫を重ねる——この優先順位を、ご家族でしっかり共有しておくことが大切です。

節税を意識するあまり、配偶者の住まいや生活費まで削ってしまっては、本末転倒です。残された配偶者が安心して暮らせることが、何よりも優先されるべきです。そのうえで、余裕のある範囲で税負担を抑える工夫を重ねていく——この順番さえ守れば、節税と配偶者の安心は両立できます。家族みんなが納得できる相続にするためにも、この優先順位を共有しておきましょう。

家族で方針を共有する

二次相続を見据えた対策は、一次相続の分け方にも影響するため、家族の理解と協力が欠かせません。一部の人だけで決めてしまうと、後で「不公平だ」という不満が生まれ、かえって争いの種になることもあります。なぜそのような分け方や対策をするのか、その狙いを家族で共有しておくことが、円満な相続につながります。税金の損得だけでなく、家族の納得という視点も大切にしましょう。

たとえば、二次相続の負担を抑えるために、一次相続で子に多めに相続させる、という方針を取るとします。その理由を説明せずに進めると、配偶者やほかの相続人が「なぜ自分の取り分が少ないのか」と不満を抱きかねません。しかし、「二回合わせた税負担を軽くするための工夫だ」と事前に共有しておけば、納得を得やすくなります。相続対策は、家族みんなが同じ方向を向いてこそ、円満に実を結ぶものなのです。

家族で方針を共有しておくと、いざ相続が起きたときの手続きもスムーズに進みます。誰が何を引き継ぐのか、その理由は何かが共有されていれば、後から「聞いていない」という不満が出にくくなるからです。二次相続対策は、数字の上での節税であると同時に、家族の信頼関係を保つための取り組みでもあります。お金の話はしにくいものですが、元気なうちに一度きちんと話し合っておくことが、何よりの備えになります。

二次相続対策を進める手順

実際に二次相続を見据えた対策を始めるにあたって、踏んでおきたいステップを整理します。

どれも一度に完璧を目指す必要はありません。できるところから順番に取り組んでいけば十分です。

  1. 一次相続と二次相続で引き継がれる財産の全体像を把握する
  2. 一次相続での分け方によって、二回合わせた負担がどう変わるか試算する
  3. 配偶者の生活に必要な財産を確保する
  4. 生前贈与や生命保険など、使える対策を検討する
  5. 家族で方針を共有し、専門家のサポートを受けて進める
ワンポイントアドバイス
二次相続対策の要は、一次相続と二次相続を「ひとつながり」で考えることです。目先の一次相続の税額だけを見て配偶者に寄せすぎると、二次相続で重い負担を招きます。二回合わせた最適解を見つけるには専門的な試算が欠かせないので、早めに専門家へ相談しましょう。

二次相続に関するよくある質問

最後に、二次相続について相談者からよく寄せられる質問にお答えします。

二次相続は、知っているかどうかで結果が大きく変わるテーマです。よくある疑問を通じて、対策のポイントをもう一度整理しておきましょう。

一次相続で配偶者に全部相続させるのは損ですか

一概に損とは言えませんが、注意が必要です。配偶者にすべて相続させれば、一次相続の税額は配偶者の軽減によって大きく抑えられます。しかし、その財産は二次相続でまとめて子に課税されるため、二回合わせると、かえって負担が増えることもあります。財産の額や家族構成によって最適な分け方は変わりますので、必ず二回分を合わせて試算してもらうことをおすすめします。

とくに、財産の多くを配偶者に集中させる分け方は、一次相続の税額だけを見ると非常に有利に映ります。しかし、その財産はやがて二次相続で子にまとめて課税されるため、二回を合わせると不利になることもあるのです。配偶者にどれだけ残すのが最適かは、ご家庭の財産状況によって変わります。思い込みで決めず、専門家に二回分の試算を依頼してから判断するのが安心です。

二次相続対策はいつから始めればよいですか

早ければ早いほどよい、というのが基本です。生前贈与や生命保険の活用、財産の組み替えなどは、時間をかけて進めるほど効果が大きくなります。配偶者が元気なうちから、二回の相続を見据えて計画を立てておくと、打てる手の幅が広がります。一次相続が起きてから慌てるより、その前から備えておくのが理想的です。

もっとも、すでに一次相続を終えてしまった方でも、あきらめる必要はありません。二次相続に向けて、生前贈与や生命保険の活用、財産の見直しなど、今からでも打てる手は残されています。大切なのは、二次相続が起きる前の今、行動を起こすことです。配偶者がお元気なうちに、二回目の相続を見据えた準備を始めておけば、子の世代の負担を着実に軽くできます。

子どもがいない場合も二次相続は関係ありますか

子どもがいない場合は、相続人の構成が変わるため、二次相続の考え方も異なってきます。配偶者の親やきょうだいが相続人になるなど、ケースによって状況はさまざまです。いずれにせよ、一次相続と二次相続を見据えて全体で考える姿勢は変わりません。ご家庭の事情に応じた最適な対策は、専門家に相談して確認するのが確実です。

誰に相談すればよいですか

二次相続対策は、税額の試算は税理士の領域ですが、誰がどの財産を引き継ぐかをめぐって家族の意見が割れそうな場合や、分け方で争いになりそうな場合には、弁護士に相談するのが安心です。税負担を抑えることと、家族が円満に相続を終えること——その両方を実現するために、早めに専門家の力を借りていきましょう。

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課税対象額

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