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養子縁組と相続|相続権と相続税対策の注意点

養子縁組と相続|相続権と相続税対策の注意点

この記事で分かること

  • 養子の相続権と法定相続分
  • 普通養子と特別養子の違い
  • 相続対策に使われる理由
  • 孫を養子にする場合の注意点
  • デメリットと進め方

養子は、実の子と同じ第一順位の相続人であり、法定相続分も実の子と変わりません。この記事では、養子の相続権、実親との関係が残る普通養子と終了する特別養子の違い、相続税対策に使われる理由とその制限、孫を養子にする場合の税の加算や注意点、ほかの相続人とのトラブルといったデメリットや進め方までを具体的に整理して理解でき、自分のケースで何に気をつけるべきかが見えてきます。

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養子縁組と相続|養子に相続権はあるのか

養子を迎えたいと考えている。あるいは、自分が養子として育てられた。そんなとき、気になるのが相続のことではないでしょうか。養子は財産を相続できるのか、実の子と比べて取り分はどうなるのか。あなたも、こうした疑問を抱えて、このページを開いたのかもしれません。

結論からお伝えすると、養子は、実の子とまったく同じように相続できます。養子縁組によって法律上の親子関係が結ばれると、養子は養親の相続人になり、その取り分も実の子と変わりません。血のつながりがあるかどうかではなく、法律上の親子であるかどうかが、相続権を左右するのです。

また、養子縁組は、相続対策として活用されることもあります。一方で、使い方を誤ると、ほかの相続人との間でトラブルを招くこともあります。この記事では、養子の相続権から、相続対策としての養子縁組の仕組み、そして注意点までを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。なお、相続税の控除額や税率といった具体的な数字は、制度や状況によって変わるため、ここでは考え方の軸を中心に説明します。

養子と相続の関係は、一見すると単純そうに見えて、実は奥が深いテーマです。養子に相続権があることは知っていても、種類によって実の親との関係が変わることや、相続対策として使う際の落とし穴までは、意外と知られていません。正しく理解しておかないと、よかれと思って始めた養子縁組が、かえって家族の争いを招くこともあります。まずは基本から、ひとつずつ押さえていきましょう。

この記事では、まず養子の相続権と法定相続分を確認し、続いて普通養子縁組と特別養子縁組の違い、相続対策として使われる理由、孫を養子にする場合の注意点、そしてデメリットや進め方までを順に見ていきます。読み終えるころには、養子縁組と相続の関係を正しく理解し、自分のケースで何に気をつければよいかが見えてくるはずです。気になるところから読み進めてみてください。

養子縁組は、家族のあり方に関わる大切な制度です。子を授かれなかった夫婦が子を迎えるためにも、お世話になった人へ財産を残すためにも、そして相続対策のためにも用いられます。それぞれの目的によって、考えるべきことも変わってきます。大切なのは、養子縁組が相続にどう影響するのかを正しく知り、関わる人みなが納得できる形で進めることです。その土台となる知識を、この記事で身につけていきましょう。

養子と相続をめぐる問題は、制度を知らないまま進めると、家族の間に思わぬわだかまりを生みかねません。だからこそ、正しい知識を持って、慎重に判断することが何より大切です。落ち着いて、ひとつずつ確認していきましょう。

養子の相続権と法定相続分

まず押さえておきたいのが、養子の相続における立場です。養子は、相続のうえで、実の子とどう扱われるのでしょうか。

養子は、養親の相続人として、実の子と同じ順位に立ちます。相続人には順位があり、子は最も優先される第一順位の相続人ですが、養子もこの第一順位に含まれます。そして、その取り分である法定相続分も、実の子とまったく同じです。養子だからといって、取り分が少なくなることはありません。

この点は、養子を迎える親にとっても、養子となる人にとっても、大切な前提になります。なかには、養子は実の子より下に扱われるのではないか、と誤解している方もいますが、そうではありません。法律のうえでは、いったん養子縁組が成立すれば、実の子と養子の間に、相続上の区別はないのです。同じ親の子として、同じように財産を受け継ぐ権利を持つ。これが、養子縁組という制度の根本にある考え方です。

この平等の扱いは、養子を迎える人の思いにもかなうものといえるでしょう。養子を迎えるとき、多くの人は、その子を実の子と分け隔てなく育てたいと願います。法律が、相続のうえでも養子と実子を同じに扱うのは、そうした親子の絆を尊重するものでもあります。血のつながりの有無を超えて、家族として築いた関係を大切にする。養子の相続権が実子と同じであることには、そんな意味も込められているのです。

とはいえ、現実の相続では、養子と実子の間で気持ちのうえでの隔たりが生じることも、残念ながらあります。法律上は平等でも、長年連れ添った実子からすれば、後から加わった養子に複雑な思いを抱くこともあるでしょう。こうした感情のずれが、相続の争いにつながることもあります。法律の平等と、家族の感情。その両方に目を向けることが、円満な相続には欠かせません。制度の理解だけでなく、心の機微にも配慮したいところです。

たとえば、養親に実の子が一人と養子が一人いる場合、二人の取り分は等しくなります。養子であることを理由に差をつけられることは、法律上はないのです。これは、養子縁組が、法律上、実の親子と同じ関係を生み出すものだからです。養子を迎えるということは、相続の面でも、実の子を持つのと同じ意味を持つ、と理解しておきましょう。

逆にいえば、養子を迎えることは、それだけ重い意味を持つ決断でもあります。相続の取り分が実の子と同じになるということは、もともといた実の子からすれば、自分の取り分が変わることを意味します。だからこそ、養子縁組は、相続のことまで見すえて、慎重に考える必要があるのです。安易に進めると、思わぬところで家族の関係に影響が及びかねません。相続権の重みを理解したうえで、判断することが大切です。

とくに、すでに実の子がいる家庭で養子を迎える場合は、注意が必要です。新たに養子が加われば、実の子の取り分は変わります。実の子が、養子を家族として受け入れているとはかぎりませんし、相続の取り分が減ることに不満を抱くこともあります。養子を迎えること自体は尊い決断ですが、それが相続にどう影響するのかを、家族全体で共有しておくことが、後々の円満につながります。

普通養子縁組と特別養子縁組の違い

養子縁組には、大きく二つの種類があります。普通養子縁組と特別養子縁組です。この違いは、相続にも関わってくるため、知っておくことが大切です。

普通養子縁組

一般的に養子縁組というと、この普通養子縁組を指すことが多いです。普通養子縁組の大きな特徴は、養子と実の親との関係も、そのまま残るという点です。つまり、普通養子は、養親の相続人になると同時に、実の親の相続人にもなりうるのです。二つの親子関係を持つことになる、と考えるとわかりやすいでしょう。

このことは、相続の場面で意外な意味を持つことがあります。たとえば、普通養子となった人は、養親が亡くなれば養親の財産を相続でき、実の親が亡くなれば実の親の財産も相続できる可能性があります。二つの家の相続に関わりうる、ということです。もっとも、これは権利があるというだけで、実際にどうなるかは、それぞれの家の事情によります。いずれにせよ、普通養子は実の親との縁が切れていない、という点は押さえておきましょう。

たとえば、幼いころに親戚の家へ普通養子に出された人が、年月を経て、実の親と養親の両方を相続する立場になる、ということもあり得ます。本人がそのことを意識していないと、いざ相続が起きたときに戸惑うこともあるでしょう。普通養子は二つの親子関係を持つ、という基本を知っておくだけでも、こうした場面で落ち着いて対応できます。自分の縁組がどういうものかを、一度確かめておくとよいでしょう。

特別養子縁組

これに対して特別養子縁組は、実の親との関係が終了する点が大きく異なります。特別養子は、実の親の相続人ではなくなり、養親だけの相続人になります。特別養子縁組は、子の福祉のために設けられた制度で、子の年齢などについて厳しい要件があり、家庭裁判所の手続きを経て成立します。

特別養子縁組は、主に、何らかの事情で実の親が育てられない子を、新しい家庭で迎え入れるために使われます。子のための制度という性格が強いため、相続対策として使われることは、ほとんどありません。一方、これから説明する相続対策としての養子縁組は、基本的に普通養子縁組を指します。二つの制度は、目的も使われ方も大きく異なる、と理解しておくとよいでしょう。混同しないよう注意が必要です。

この二つを混同すると、誤った理解につながりかねません。たとえば、特別養子縁組のイメージで「養子になると実の親とは縁が切れる」と思い込んでいると、普通養子の相続を考えるときに判断を誤ります。逆に、普通養子のつもりで特別養子縁組の手続きを考えると、要件の厳しさに戸惑うことになります。どちらの制度の話をしているのかを、つねに意識することが、正しい理解への第一歩です。

項目 普通養子縁組 特別養子縁組
実親との関係 残る 終了する
実親の相続 相続人になりうる 相続人にならない
主な目的 家の承継や相続対策など 子の福祉

このように、どちらの養子縁組かによって、実の親との相続関係が変わってきます。とくに普通養子の場合、養親と実親の両方の相続に関わる可能性がある点は、覚えておきたいポイントです。

自分や家族が養子縁組をしている場合、それが普通養子縁組なのか特別養子縁組なのかを確認しておくことは、相続を考えるうえで役に立ちます。とくに、実の親が亡くなったときに、自分が相続人になるのかどうかは、この種類によって変わってくるからです。古い時代の縁組では、当事者がその種類をはっきり認識していないこともあります。相続が問題になりそうなときは、戸籍などで種類を確かめておくと安心です。

戸籍には、養子縁組に関する記載が残されています。いつ、どのような縁組がなされたのかは、戸籍をたどることで確認できます。相続人が誰になるのかを正確に把握するうえで、この確認は欠かせません。とくに、複雑な家族関係がある場合や、過去の縁組がからむ場合は、戸籍をていねいに読み解く必要があります。自分だけでは判断が難しいと感じたら、専門家に確認を依頼するのが確実です。

相続対策として養子縁組が使われる理由

養子縁組は、相続の対策として活用されることがあります。なぜ養子縁組が相続対策になるのか、その理由を見ていきましょう。

相続税の負担を抑える効果が期待できる

相続税には、一定の額までは課税されない基礎控除という仕組みがあり、その額は法定相続人の数に応じて決まります。養子縁組によって法定相続人が増えれば、この基礎控除などの面で、相続税の負担を抑える効果が期待できるのです。生命保険金などにも、相続人の数に応じた非課税の枠があり、同じように影響します。ただし、具体的にどの程度の効果があるかは状況によって変わるため、税理士などの専門家に確認することが大切です。

このしくみがあるため、相続税の負担が大きくなりそうなご家庭では、養子縁組が対策の一つとして検討されることがあります。法定相続人が一人増えることで、課税のもとになる金額を抑えられる可能性があるからです。ただし、これはあくまで税の計算上の効果であって、後で述べるように、養子の数には制限があったり、ほかの相続人とのトラブルを招いたりする面もあります。税の効果だけに目を向けて判断するのは禁物です。

相続税の対策には、養子縁組のほかにも、生前贈与をはじめとするさまざまな方法があります。養子縁組は、その選択肢の一つにすぎません。しかも、後述するように、養子縁組には人間関係への影響という、お金には換えられない側面があります。税の負担を抑えたいなら、まずは養子縁組以外の方法も含めて、総合的に検討することが大切です。そのうえで、養子縁組が本当に自分の家庭に適しているのかを、慎重に見きわめましょう。

相続税の対策は、一つの方法だけで完結するものではなく、いくつかの手段を組み合わせて考えるのが一般的です。養子縁組も、ほかの対策と組み合わせることで、より効果を発揮することがあります。逆に、養子縁組だけにこだわると、かえって不都合が生じることもあります。全体を見渡し、自分の家庭にとって最もよいバランスを探ること。これが、賢い相続対策の進め方です。専門家とともに、総合的な視点で検討することをおすすめします。

財産を渡したい人を相続人にできる

本来は相続人でない人に、財産を確実に渡したいときにも、養子縁組が使われることがあります。たとえば、子の配偶者や、世話になった人を養子にすることで、その人を相続人にできます。遺言でも財産を渡せますが、養子にすれば、相続人としての確かな立場を与えられるのです。

たとえば、長年自分の介護をしてくれた子の配偶者に、財産を残したいと考えたとしましょう。子の配偶者は、そのままでは相続人ではありません。遺言で財産を渡すこともできますが、養子にすれば、その人は相続人としての確かな立場を得られます。お世話になった人に、家族の一員として財産を受け継いでもらいたい。そうした思いを実現する手段として、養子縁組が選ばれることがあるのです。

ただし、この場合も、ほかの相続人への影響は避けられません。子の配偶者を養子にすれば、その人も実の子と同じ取り分を持つ相続人になります。当然、もともといた相続人の取り分は、その分減ることになります。お世話になった人へ報いたいという思いは尊いものですが、それが家族の間に新たな不公平感を生まないよう、配慮することも忘れてはいけません。思いと公平の両立を、いつも心にとめておきたいものです。

後継者へ財産を集めやすくなる

事業や家を継ぐ人へ財産を集中させたいときにも、養子縁組が活用されることがあります。後継者を養子にすることで、その人に相続人としての立場を与え、財産を引き継ぎやすくする、という使い方です。

孫を養子にする場合の注意点

相続対策の中でも、よく知られているのが、孫を養子にする方法です。けれども、これには特有の注意点があります。

孫を養子にすると、本来は子から孫へと二段階で受け継がれる財産を、一段階で孫に渡せます。つまり、相続を一世代飛ばせるため、世代をまたぐ際の負担を抑えられる、と考えられているのです。これが、孫を養子にする大きなねらいです。

ふつうであれば、財産は親から子へ、そして子から孫へと、二回の相続を経て受け継がれていきます。相続のたびに、税などの負担が生じることもあります。けれども、孫を養子にして直接財産を渡せば、この二段階を一段階にまとめられます。世代を一つ飛び越えることで、全体としての負担を抑えられるのではないか、というのが、孫養子という方法の発想です。ただし、ここには次に述べる落とし穴があります。

孫を養子にすることには、財産を渡す相手を、自分の意思で選べるという面もあります。かわいい孫に、確かな形で財産を残したい。そう願う祖父母にとって、孫を養子にして相続人にすることは、その思いをかなえる手段になり得ます。世代を飛ばす効果と、特定の孫に財産を残せること。この二つが、孫養子が選ばれる主な理由です。とはいえ、よいことばかりではない点に、注意が必要です。

ただし、注意したいのは、孫を養子にして財産を受け継がせる場合、相続税の面で通常より負担が重くなる扱いがある、という点です。一世代飛ばすことによる調整として、税額が加算される仕組みが設けられているのです。そのため、一概に得になるとはかぎりません。孫を養子にする際には、こうした税の扱いも踏まえ、本当に有利になるのかを、専門家とよく検討することが欠かせません。

なぜ加算という扱いがあるのかというと、孫が養子として直接相続することは、本来二回かかるはずの相続を一回で済ませることになり、税の公平の観点から調整が必要だと考えられているからです。つまり、一世代飛ばすことの見返りとして、一定の上乗せがある、というわけです。この上乗せの分を踏まえても、なお有利になるのかどうかは、財産の状況によって変わります。だからこそ、孫を養子にする前には、慎重な見きわめが欠かせないのです。

さらに、孫を養子にすると、その孫は実の親の相続人でもあり、祖父母の相続人でもある、という立場になります。家族関係が複雑になり、ほかの孫やきょうだいとの間で、不公平感が生まれることもあります。財産のうえでの損得だけでなく、こうした家族関係への影響も含めて考えることが大切です。孫養子は、税の面だけを見て飛びつくと、思わぬところでつまずきかねない方法なのです。

ワンポイントアドバイス
孫を養子にすると相続を一世代飛ばせますが、その代わりに税額が加算される扱いがあります。「飛ばせばお得」と単純に考えず、税の面まで含めて、専門家と損得をよく見きわめましょう。

養子縁組のデメリットと注意点

相続対策として有効な面がある一方で、養子縁組にはデメリットや注意すべき点もあります。これらを知らずに進めると、思わぬトラブルを招くことがあります。

ほかの相続人とのトラブル

養子が増えるということは、もともといた相続人の取り分が、その分減るということです。これに納得できない実の子などとの間で、感情的な対立が生じることがあります。「相続税を減らすために、よく知らない人が相続人になった」といった不満が、争いの火種になりかねません。養子縁組をする際には、ほかの相続人の気持ちにも配慮することが大切です。

こうしたトラブルは、相続が起きてから表面化することが少なくありません。生前は問題にならなくても、いざ財産を分ける段になって、養子の存在をめぐる不満が噴き出すのです。とくに、養子縁組のことをほかの相続人が知らされていなかった場合、その衝撃は大きくなりがちです。だからこそ、養子縁組をするなら、できるだけ早い段階で、ほかの相続人にも事情を伝え、理解を得ておくことが望まれます。隠して進めることは、後の火種を残すことにつながります。

ほかの相続人に事情を伝えるときには、なぜ養子縁組をするのか、その理由をていねいに説明することが大切です。相続税の負担を抑えるためなのか、お世話になった人に報いるためなのか。目的がはっきり伝われば、ほかの相続人も納得しやすくなります。逆に、理由もわからないまま相続人が一人増えていれば、不信感を抱くのも当然です。透明性をもって進めることが、家族の信頼を保ちながら相続対策を行う鍵になります。

もし、ほかの相続人の理解を得られないまま養子縁組を進めれば、相続が起きたときに、深刻な争いに発展しかねません。場合によっては、養子縁組そのものの有効性が争われることもあります。そうなれば、せっかくの対策が、かえって家族を引き裂く原因になってしまいます。相続対策は、家族の幸せのために行うものです。その目的を見失わないよう、つねに家族との対話を大切にしながら進めていきましょう。

相続税の計算上の制限

相続税の負担を抑える目的で養子を増やそうとしても、際限なく効果があるわけではありません。相続税の計算において、法定相続人の数に含められる養子の数には、制限が設けられています。実の子がいるかどうかによっても扱いが変わります。養子を増やせば増やすほど税が軽くなる、というわけではない点に注意が必要です。

簡単には解消できない

養子縁組は、一度結ぶと、簡単には解消できません。解消するには、当事者の合意や、家庭裁判所の手続きが必要になります。相続対策のつもりで安易に養子縁組をすると、後で関係が悪化したときに、解消をめぐって新たな争いを生むこともあります。養子縁組は、相続だけの問題ではなく、人と人との関係を結ぶ重い決断だと心得ておきましょう。

養子縁組は、戸籍のうえで親子になるということです。それは、相続の取り分にとどまらず、扶養の関係など、さまざまな法律上の効果を伴います。相続税を抑えるという一つの目的だけで判断すると、こうした幅広い影響を見落としかねません。養子縁組を結ぶことが、関わる人それぞれにとってどんな意味を持つのか。その全体を見すえたうえで、本当にすべきかどうかを判断することが大切です。目先の損得だけで決めないようにしましょう。

養子縁組を相続対策に使うときの進め方

では、養子縁組を相続対策として考える場合、どのように進めればよいのでしょうか。基本的な流れを整理します。

  1. 目的をはっきりさせる。なぜ養子縁組をするのか、何を実現したいのかを整理します。
  2. 効果と影響を確認する。相続税への効果や、ほかの相続人への影響を見きわめます。
  3. 家族の理解を得る。ほかの相続人にも事情を説明し、納得を得ておきます。
  4. 専門家に相談する。税や相続への影響について、専門家の助言を受けます。
  5. 手続きを行う。普通養子縁組か特別養子縁組かに応じて、必要な手続きを進めます。

とくに大切なのが、ほかの相続人の理解を得ておくことです。養子縁組は、相続人の構成を変える大きな出来事です。当事者だけで進めて、後からほかの相続人が知って反発する、という事態になれば、家族の関係に深い溝を残しかねません。事前に丁寧に説明し、納得を得たうえで進めることが、争いを防ぐ何よりの備えになります。

専門家に相談すべきケース

養子縁組と相続は、税金や家族関係が複雑にからみ合う、難しいテーマです。次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  • 相続税対策として養子縁組を考えているが、本当に効果があるか知りたい
  • 孫を養子にすべきかどうか迷っている
  • ほかの相続人とのトラブルを避けたい
  • 養子の相続をめぐって、家族間で意見が分かれている

養子縁組は、相続税の面で効果が期待できる一方、税の計算上の制限や、孫を養子にする場合の加算、そしてほかの相続人とのトラブルなど、注意すべき点も多くあります。税理士に相談すれば、税の面での効果を見通せますし、弁護士に相談すれば、相続人どうしの関係や、後のトラブルを防ぐ対策について助言を受けられます。大切な家族の関係を守りながら、相続を円満に進めるために、専門家の力を借りることを、けっして遠回りだとは思わないでください。

よくある質問

養子は実の子より相続の取り分が少なくなりますか

いいえ、少なくなりません。養子は、実の子と同じ第一順位の相続人であり、法定相続分も実の子とまったく同じです。養子であることを理由に取り分が減ることは、法律上ありません。たとえば、実の子と養子が一人ずついる場合、二人の取り分は等しくなります。養子も実の子も、相続のうえでは平等に扱われると理解しておきましょう。

養子縁組をすると、実の親の相続はどうなりますか

普通養子縁組の場合、実の親との関係は残るため、養親だけでなく実の親の相続人にもなりえます。一方、特別養子縁組の場合は、実の親との関係が終了するため、実の親の相続人にはなりません。どちらの養子縁組かによって、実の親の相続に関わるかどうかが変わります。自分のケースがどちらにあたるか、確認しておくとよいでしょう。

相続税を減らすために養子を増やせば、いくらでも得になりますか

いいえ、そうとはかぎりません。相続税の計算に含められる養子の数には制限があり、増やせば増やすほど税が軽くなるわけではありません。また、孫を養子にする場合などは、税額が加算される扱いもあります。状況によっては、思ったほどの効果が得られないこともあるため、進める前に税理士などの専門家に確認することが大切です。

一度した養子縁組を取りやめることはできますか

できますが、簡単ではありません。養子縁組を解消するには、当事者の合意や、家庭裁判所の手続きが必要になります。とくに、相手が解消に応じない場合は、争いになることもあります。養子縁組は、一度結ぶと容易には解消できない重い決断ですから、相続対策として行う場合も、慎重に検討することが大切です。迷うときは、専門家に相談するとよいでしょう。

養子縁組が相続税対策だけを目的としていても有効ですか

相続税の負担を抑えることが動機の一つであっても、養子縁組そのものが直ちに無効になるわけではない、と考えられています。ただし、まったく親子としての関係を築く意思がないなど、事情によっては、縁組の有効性が争われることもあります。トラブルを避けるためにも、相続税対策として養子縁組を考える場合は、その意味や影響を十分に理解したうえで、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

養子縁組と相続のことは、誰に相談すればよいですか

相続税への効果や、養子の数の制限、孫を養子にする場合の税の扱いについては、税理士が力になれます。一方、ほかの相続人とのトラブルを防ぐ対策や、相続人どうしの関係の調整、縁組をめぐる法的な問題については、弁護士が力になれます。養子縁組と相続は、税金と家族関係の両面が関わるため、両方の専門家の助けを借りるのが理想です。まずは弁護士か税理士に相談し、全体像を整理してもらうとよいでしょう。

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