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相続廃除とは|相続権をはく奪する要件と手続き

相続廃除とは|相続権をはく奪する要件と手続き

この記事で分かること

  • 廃除できる相続人と対象外の人
  • 廃除が認められる事由
  • 生前廃除と遺言廃除の方法
  • 相続欠格との違い
  • 廃除後の代襲相続と取消し

相続廃除は、被相続人への虐待や重大な侮辱、著しい非行を理由に、特定の相続人から相続権を奪う制度です。この記事では、遺留分を持つ相続人が対象となること、認められる事由、生前廃除と遺言廃除という二つの方法、法律上当然に資格を失う相続欠格との違い、廃除されても子は代襲相続できることや取消しまでを具体的に整理して理解でき、自分のケースで何を検討すべきかが見えてきます。

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相続廃除とは?相続人から相続権を奪う制度

「あの人にだけは、財産を渡したくない」。長年にわたって虐げられてきた、ひどい仕打ちを受けてきた。そんな相手が相続人だとしたら、財産を渡したくないと考えるのも、無理のないことです。あなたも、特定の相続人に財産を相続させたくなくて、その方法を探しているのかもしれません。

そんなときに使える制度の一つが、相続廃除です。相続廃除とは、特定の相続人について、その相続権を奪う制度をいいます。本来であれば相続人になるはずの人から、相続する権利そのものを失わせることができるのです。

ただし、相続廃除は、誰に対しても、どんな理由でもできるわけではありません。対象になる相続人や、認められる事由には、決まりがあります。また、家庭裁判所の手続きを経て認められる必要があり、ハードルは決して低くありません。この記事では、相続廃除の対象や事由、手続き、そしてよく似た相続欠格との違いまでを、弁護士の視点でわかりやすく整理していきます。まずは全体像をつかんでいきましょう。

相続廃除は、家族の問題の中でも、とりわけ重く、つらい背景を抱えていることが多い制度です。誰かを相続から外したいと考えるに至るまでには、長い苦しみや、深い葛藤があるはずです。だからこそ、感情だけで突き進むのではなく、制度を正しく理解したうえで、本当にこの方法が自分に合っているのかを冷静に見きわめることが大切です。落ち着いて、ひとつずつ確認していきましょう。なお、この記事では考え方の軸を中心に説明します。

この記事では、まず廃除できる相続人と対象外の人を確認し、続いて認められる事由、二つの手続きの方法、よく似た相続欠格との違い、廃除された後にどうなるか、そして注意点までを順に見ていきます。読み終えるころには、相続廃除という制度の全体像と、自分のケースで何を検討すべきかが見えてくるはずです。気になるところから読み進めてみてください。

相続廃除を考える方の多くは、長い年月をかけて、深い苦しみを抱えてこられたはずです。簡単に口にできる決断ではありません。だからこそ、この記事では、制度のしくみを正確にお伝えするとともに、廃除という方法が本当に自分の状況に合っているのかを、落ち着いて判断していただけるよう努めます。感情に流されず、しかし思いも大切にしながら、最善の道を一緒に探していきましょう。

相続廃除は、家族の縁を断つという、重い意味を持つ制度です。だからこそ、軽々しく使うものではありませんが、本当に必要な場合には、自分を守るための正当な手段になります。制度を正しく知り、慎重に判断したうえで、後悔のない選択をしていきましょう。

つらい事情を抱えてこの制度を調べている方にとって、ここまでの道のりは決して平坦ではなかったはずです。だからこそ、一人で抱え込まず、信頼できる専門家とともに、自分の思いを実現できる方法を見つけていただきたいと思います。

廃除できる相続人と対象外の人

相続廃除は、すべての相続人に対してできるわけではありません。まず、誰を廃除できるのかを押さえておきましょう。

廃除の対象になるのは、遺留分という最低限の取り分を持つ相続人です。具体的には、配偶者、子、そして親などの直系尊属がこれにあたります。これらの人は、たとえ遺言で「財産を渡さない」と書いても、遺留分という最低限の取り分を求めることができます。だからこそ、その取り分すらも渡したくない場合に、廃除という制度が意味を持つのです。

ここが、廃除という制度の核心です。配偶者や子、親などには、遺言によっても奪えない最低限の取り分が保障されています。つまり、ただ遺言で「相続させない」と書くだけでは、これらの人に一定の財産が渡ってしまうのです。どうしてもその取り分すら渡したくない、という強い事情があるときに、はじめて廃除を検討する意味が出てきます。逆にいえば、遺留分のない相手には、廃除という強い手段は必要ないということです。

言いかえれば、廃除は、遺言というふつうの方法では目的を果たせない場合の、いわば最終手段のような位置づけだといえます。多くの場合、財産を渡したくない相手がいても、遺言で工夫すれば、ある程度は意図を実現できます。それでもなお、遺留分という壁が立ちはだかり、どうしても取り分を渡したくない。そんな切実な事情があるときにこそ、廃除という強い制度の出番になるのです。

このように、廃除を検討する前に、まず「遺言で目的を果たせないか」を考えることには意味があります。遺言のほうが手続きの負担が軽く、家庭裁判所の判断を仰ぐ必要もないからです。それでも、遺留分というどうしても越えられない一線があるために、遺言だけでは足りない。そう判断されたときに、はじめて廃除という選択肢が現実味を帯びてきます。順序立てて考えることが、納得のいく選択につながります。

一方で、兄弟姉妹は、廃除の対象にはなりません。兄弟姉妹には遺留分がないため、そもそも廃除を使うまでもないからです。兄弟姉妹に財産を渡したくない場合は、遺言で「ほかの人に相続させる」と書いておけば、それで財産が渡らないようにできます。わざわざ廃除の手続きを取る必要はないのです。

この違いは、自分のケースで廃除を考えるべきかどうかを判断する、最初の分かれ道になります。財産を渡したくない相手が、配偶者や子、親などの遺留分を持つ人なのか、それとも兄弟姉妹なのか。まずはここを確認しましょう。相手が兄弟姉妹であれば、家庭裁判所の手続きという負担の重い廃除を選ばなくても、遺言で十分に対応できます。自分の状況に合った、無理のない方法を選ぶことが大切です。

同じように、財産を渡したくない相手が複数いる場合も、それぞれの立場によって取るべき手段が変わってきます。子に対しては廃除を検討し、兄弟姉妹に対しては遺言で対応する、というように、相手ごとに方法を使い分けることも考えられます。一律に同じやり方をするのではなく、それぞれの相手に応じた、最も効率のよい方法を選ぶ。そうした視点を持つことで、無駄な手間を省きながら、目的を実現しやすくなります。

廃除が認められる事由

相続廃除は、ただ気に入らないというだけでは認められません。法律で定められた、一定の重い事由が必要です。具体的には、次のような場合が挙げられます。

  • 被相続人に対する虐待があった場合
  • 被相続人に重大な侮辱を加えた場合
  • そのほか、著しい非行があった場合

つまり、その相続人に財産を渡したくないと思うだけの、相当に重い事情があることが求められます。たとえば、日常的に暴力をふるっていた、繰り返し財産を使い込んでいた、といった深刻なケースが想定されます。単なる性格の不一致や、ちょっとした親子げんかといった程度では、廃除は認められません。

ここで大切なのは、廃除が認められるのは、あくまで例外的な、相当に深刻なケースだという感覚を持っておくことです。家族の間には、多かれ少なかれ、いさかいや行き違いがあるものです。それらのすべてが廃除の理由になるわけではありません。長年にわたる虐待や、財産を食い物にされ続けたといった、客観的に見ても看過できない事情があってはじめて、廃除が認められる可能性が出てきます。基準は決して甘くないのです。

どの程度の事情があれば廃除が認められるのかは、一律に線を引けるものではなく、個々のケースに応じて判断されます。同じような行為でも、それが一度きりだったのか、長年繰り返されたのか、被相続人に与えた影響がどれほど深刻だったのかなどによって、結論は変わってきます。だからこそ、自分のケースで廃除が認められるかどうかは、過去の事例にくわしい専門家に見てもらうのが、もっとも確実な見きわめ方になります。

そして重要なのは、これらの事由があるかどうかを、最終的に判断するのは家庭裁判所だという点です。被相続人が「ひどい目にあった」と感じていても、客観的に見て廃除に値する事情がなければ、認められないこともあります。廃除のハードルは、思っているよりも高いのです。

感情のうえでは「絶対に許せない」と思っていても、それが法律上の廃除の事由にあたるかどうかは、別の問題です。家庭裁判所は、被相続人の主張だけでなく、相続人の側の言い分や、双方の関係の経緯なども踏まえて、総合的に判断します。そのため、廃除を考えるなら、自分の感情とは切り離して、客観的に見て廃除に値する事情があるのかを、冷静に見つめる必要があります。ここを見誤ると、申し立てても認められない、という結果になりかねません。

また、廃除を申し立てる際には、その事由を裏づける証拠も重要になります。虐待や非行があったと主張するだけでは足りず、それを示す記録や、事情を知る人の話などが、判断の支えになります。日記やメール、写真、診断書など、当時の状況を物語るものが残っていれば、それらが力を持つこともあります。廃除を考えるなら、こうした証拠を整理しておくことも、見落とせない準備の一つです。

とはいえ、家庭内の出来事は、証拠が残りにくいものでもあります。長年の虐待があっても、それを示すものが何もない、ということも少なくありません。そうした場合でも、廃除をあきらめる必要はありませんが、立証のハードルが高くなることは覚悟しておく必要があります。どんな材料があれば事情を示せるのか、何を集めておくべきかについては、早い段階で専門家に相談しておくと、後の手続きを有利に進めやすくなります。

廃除の二つの方法

相続廃除には、大きく二つの方法があります。いつ手続きをするかによって分かれます。

生前に廃除する方法

一つめは、被相続人が生きているうちに、自分で家庭裁判所に申し立てる方法です。生前に廃除が認められれば、その相続人は、被相続人が亡くなったときに相続できなくなります。元気なうちに、自分の意思ではっきりと手続きを進められるのが特徴です。

生前廃除のよいところは、被相続人自身が、自分の言葉で事情を家庭裁判所に伝えられる点です。なぜ廃除をしたいのか、どんな仕打ちを受けてきたのかを、本人が直接訴えられるため、事情が伝わりやすいという面があります。一方で、生前に廃除の手続きをすることは、相手にもそれが伝わり、関係がさらにこじれる可能性もあります。生前に動くか、亡くなった後に委ねるかは、こうした点も踏まえて考える必要があります。

生前廃除を選ぶ場合、相手方も家庭裁判所の手続きの中で自分の言い分を述べる機会を持つため、双方の主張がぶつかり合う形になります。これは、すでに壊れている関係をさらに悪化させることにもなりかねません。とはいえ、被相続人が自ら事情を語れるという強みは大きいものです。関係悪化のリスクと、事情の伝わりやすさ。この二つをどうはかりにかけるかが、生前廃除を選ぶかどうかの分かれ目になります。

遺言で廃除する方法

二つめは、遺言によって廃除の意思を示しておく方法です。遺言の中で、特定の相続人を廃除する意思を記しておくと、被相続人が亡くなった後、遺言の内容を実現する人が、家庭裁判所に廃除を申し立てます。生前は波風を立てたくない、亡くなった後に手続きをしてほしい、という場合に使われます。

遺言廃除のよいところは、生前は相手と表立って争わずに済む点です。廃除の意思を遺言に記しておけば、自分が亡くなった後に手続きが進むため、存命中に関係をこれ以上悪化させずにすみます。ただし、亡くなった後に手続きを担う人が必要になりますし、本人がいない状態で事情を立証することになるため、生前廃除に比べて事情が伝わりにくい面もあります。どちらの方法にも、長所と短所があるのです。

遺言廃除を選ぶ場合は、亡くなった後に手続きを進めてくれる人を、遺言の中できちんと定めておくことが大切です。この役割を担う人が、家庭裁判所への申し立てや、事情の説明を行うことになります。役割を任せる人がいなかったり、その人が手続きに不慣れだったりすると、せっかくの遺言が円滑に実現されないこともあります。遺言廃除を考えるなら、誰にこの役割を託すかまで含めて、しっかり準備しておきましょう。

ワンポイントアドバイス
遺言で廃除する場合は、遺言の内容を実現する人を遺言の中で定めておくと、手続きがスムーズです。誰が家庭裁判所に申し立てるのかを、あらかじめ決めておきましょう。

廃除の手続きは、大まかに次のような流れで進みます。

  1. 廃除の事由を整理する。虐待や侮辱、著しい非行など、廃除を求める理由を具体的にまとめます。
  2. 家庭裁判所に申し立てる。生前廃除なら被相続人が、遺言廃除なら遺言の内容を実現する人が申し立てます。
  3. 家庭裁判所が審理する。事由が廃除に値するかどうかが判断されます。
  4. 認められれば相続権を失う。廃除が認められると、その相続人は相続できなくなります。

相続欠格との違い

相続廃除とよく似た制度に、相続欠格があります。どちらも相続権を失わせるものですが、その性質は大きく異なります。混同しないよう、違いを整理しておきましょう。

相続欠格は、一定の重大な事由があった場合に、法律上、当然に相続資格を失う制度です。たとえば、被相続人を殺害した、あるいは遺言を偽造したといった、極めて重い行為がこれにあたります。欠格の場合、特別な手続きは必要なく、被相続人の意思にも関係なく、自動的に相続権を失います。

欠格と廃除の最も大きな違いは、被相続人の意思が関わるかどうかにあります。欠格は、被相続人がどう思っていようと、一定の重大な行為があれば、自動的に相続権が失われます。これに対して廃除は、被相続人が「この人を相続から外したい」と望み、家庭裁判所に求めてはじめて効力を持ちます。欠格は法律が定めた当然の結果、廃除は被相続人の意思の実現、と考えると、両者の性格の違いがはっきりします。

もう一つの違いとして、対象となる事由の重さがあります。欠格の対象は、被相続人や先順位の相続人を殺害する、遺言を偽造するといった、極めて重大な行為に限られます。これに対して廃除の対象となる虐待や侮辱、著しい非行は、欠格ほどの重大さまでは求められません。とはいえ、廃除も決して軽い事由で認められるわけではない、という点は、繰り返し確認しておきたいところです。

整理すると、相続権を失わせる制度には、法律上当然に効果が生じる欠格と、被相続人の意思にもとづき家庭裁判所の手続きを経る廃除の二つがある、ということになります。どちらにあたるのか、あるいはどちらも使えないのかは、相続人の行為の内容によって決まります。自分のケースがどこに位置づけられるのかを正しく把握することが、適切な対応への第一歩です。判断に迷うときは、専門家の力を借りましょう。

項目 相続廃除 相続欠格
きっかけ 被相続人の意思 法律上当然に
手続き 家庭裁判所への請求が必要 手続き不要
主な事由 虐待や重大な侮辱、著しい非行 殺害や遺言の偽造など

このように、廃除は被相続人の意思にもとづいて家庭裁判所の手続きを経るのに対し、欠格は法律上当然に資格を失う点が、大きな違いです。また、事由の重さも異なり、欠格はより重大な行為が対象になります。自分のケースがどちらにあたるのかを、まず見きわめることが大切です。

実務では、自分のケースが欠格にあたるのか、廃除を検討すべきなのかが、判断に迷うこともあります。たとえば、相続人から受けた仕打ちが、欠格にあたるほど重大なのか、それとも廃除の事由にとどまるのか、といった見きわめは簡単ではありません。もし欠格にあたるのであれば、手続きをしなくても相続権は失われています。この判断を誤ると、不要な手続きをしたり、必要な対応を見落としたりしかねません。迷うときは、専門家に確認するのが確実です。

欠格と廃除は、どちらも相続権を失わせるという結果は同じでも、たどり着くまでの道のりがまったく異なります。欠格なら、重大な行為という事実さえあれば、何もしなくても結果は生じています。廃除なら、被相続人が動き、家庭裁判所が認めてはじめて、結果が生じます。この違いを理解しておくと、自分の置かれた状況で、何をすべきなのか、あるいは何もしなくてよいのかが、見えてきます。

廃除されるとどうなるか

相続廃除が認められると、その相続人はどうなるのでしょうか。また、いったん廃除した後に、気が変わった場合はどうなるのでしょうか。

相続権を失うが、代襲相続は起こる

廃除が認められると、その相続人は相続権を失い、財産を相続できなくなります。ただし、ここで注意したいのが、廃除された人に子がいる場合です。廃除された人の子は、代襲相続によって、その人に代わって相続することができます。つまり、廃除はあくまでその人個人の相続権を失わせるものであって、その子の相続権までは奪わない、ということです。財産を一族に渡したくない、という意図がある場合には、この点に注意が必要です。

たとえば、ある子を廃除したとしても、その子に孫がいれば、孫が代襲相続によって財産を受け継ぐことになります。「あの家系には一切財産を渡したくない」と考えていても、廃除だけでは、その願いは完全にはかないません。廃除はあくまで、特定の個人の相続権を失わせる制度だからです。一族全体への承継を避けたい場合には、廃除だけでなく、ほかの方法もあわせて検討する必要があります。この点は見落とされがちなので、注意しておきましょう。

なお、代襲して相続する孫などは、廃除された親とは別の人格ですから、その孫自身に廃除の事由がなければ、相続権を失う理由はありません。孫には何の落ち度もないのに、親が廃除されたことで相続できなくなる、というのは公平ではない、という考え方が背景にあります。廃除が個人の相続権だけを失わせ、代襲を妨げないのは、こうした公平の観点からきているのです。制度の趣旨を知ると、理解が深まります。

廃除はいつでも取り消せる

いったん廃除をした後でも、被相続人は、いつでも廃除を取り消すことができます。関係が修復した、気が変わった、というような場合に、廃除を取りやめられるのです。廃除は、一度すれば二度と覆らないというものではなく、被相続人の意思によって取り消せる、柔軟な面もあるのです。

この取り消せるという仕組みは、被相続人にとって安心材料になります。いったん廃除をしても、もし相手が心を入れ替え、関係が修復されれば、廃除を取りやめて、再び相続人としての立場を戻すことができるからです。人の心も、関係も、時とともに変わります。その変化に応じて柔軟に対応できる余地が残されている点は、廃除という制度の人間味のある一面だといえるかもしれません。

廃除を考えるときの注意点

相続廃除を検討するうえで、知っておきたい注意点がいくつかあります。これらを踏まえて、本当に廃除が適しているのかを考えることが大切です。

必ず認められるとはかぎらない

これまで述べてきたように、廃除は家庭裁判所が判断するもので、申し立てれば必ず認められるわけではありません。被相続人にとっては許しがたい行為でも、客観的に見て廃除に値しないと判断されれば、認められないこともあります。廃除を考える際には、自分のケースが認められる見込みがあるのかを、慎重に検討する必要があります。

申し立てたものの認められなかった場合、その相続人は相続権を失いません。つまり、手間と時間をかけたうえで、結局は財産が渡ってしまう、という結果になることもあります。だからこそ、やみくもに申し立てるのではなく、まずは自分のケースが廃除に値する事情を備えているのかを、見きわめることが先決です。見込みのある事案かどうかの判断は、経験のある専門家に相談することで、より確かなものになります。

廃除は、認められれば強い効果を持つ反面、その分、判断は慎重に行われます。家庭裁判所は、安易に相続権を奪うことのないよう、事情をていねいに吟味します。だからこそ、申し立てる側には、廃除に値する事情を、説得力をもって示すことが求められます。準備が不十分なまま臨めば、認められる事案であっても、その機会を逃しかねません。万全の準備で臨むためにも、専門家の支えは心強いものになります。

ほかの方法も検討する

特定の人に財産を渡したくない場合、廃除のほかにも方法があります。たとえば、遺言で財産の渡し方を工夫する方法です。ただし、遺留分を持つ相続人に対しては、遺言だけでは最低限の取り分まで奪うことはできません。廃除と遺言、それぞれの特徴を踏まえ、自分の目的に合った方法を選ぶことが大切です。どの方法がよいか迷うときは、専門家に相談するとよいでしょう。

実際のところ、廃除のハードルの高さを踏まえると、まずは遺言で対応できないかを検討する、という進め方も現実的です。遺留分のことはありますが、遺言で財産の渡し方を工夫すれば、特定の人に渡る財産を一定の範囲にとどめることはできます。廃除という強い手段にこだわらず、目的を実現するための別の道がないかを、幅広く考えてみることも大切です。何が最善かは、家族の事情によって変わります。

専門家に相談すべきケース

相続廃除は、家庭裁判所の手続きが関わり、認められるかどうかの見きわめも難しい、専門的な制度です。次のような場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

  • 特定の相続人に財産を渡したくないが、廃除が認められるか知りたい
  • 廃除と遺言の、どちらで対応すべきか迷っている
  • 廃除の手続きをどう進めればよいかわからない
  • 相続欠格にあたるのか廃除を考えるべきか判断できない

相続廃除は、認められれば特定の相続人の相続権を失わせる強い効果を持ちますが、そのハードルは高く、手続きにも専門的な知識が求められます。弁護士に相談すれば、自分のケースが廃除に値するのかを見きわめてもらえますし、廃除と遺言のどちらが適しているか、手続きをどう進めればよいかについても、助言を受けられます。複雑な家族の事情を抱えながら、納得のいく相続を実現するために、専門家の力を借りることを、けっして遠回りだとは思わないでください。

よくある質問

気に入らない相続人を、理由なく廃除できますか

いいえ、できません。相続廃除には、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行といった、法律で定められた重い事由が必要です。単に気に入らない、性格が合わないといった理由では、廃除は認められません。しかも、その事由があるかどうかは家庭裁判所が判断します。廃除のハードルは高いと理解しておきましょう。

廃除した相続人の子も、相続できなくなりますか

いいえ、廃除された人の子は、代襲相続によって相続できます。廃除は、あくまでその相続人個人の相続権を失わせるものであって、その子の相続権までは奪いません。一族全体に財産を渡したくないと考えている場合でも、廃除された人の子には、相続の権利が残る点に注意が必要です。

相続廃除と相続欠格は何が違うのですか

相続欠格は、被相続人を殺害したり遺言を偽造したりといった重大な事由があった場合に、法律上当然に相続資格を失う制度で、手続きは不要です。一方、相続廃除は、虐待や侮辱などを理由に、被相続人の意思にもとづいて、家庭裁判所の手続きを経て相続権を失わせる制度です。事由の重さや手続きの要否が異なります。

一度した廃除を取り消すことはできますか

はい、できます。被相続人は、いったん廃除をした後でも、いつでも廃除を取り消すことができます。相続人との関係が修復した場合などに、廃除を取りやめられます。廃除は、被相続人の意思によって柔軟に取り消せる制度だと理解しておきましょう。手続きについて迷うときは、専門家に相談するとよいでしょう。

廃除を申し立てれば、必ず認められますか

いいえ、必ず認められるわけではありません。廃除は家庭裁判所が判断するもので、虐待や重大な侮辱、著しい非行といった、廃除に値する事情が客観的に認められる必要があります。被相続人がどれほど強く望んでも、事情がそこまで重くないと判断されれば、認められないこともあります。廃除のハードルは高いため、申し立てる前に、見込みがあるかどうかを専門家に相談しておくと安心です。

相続廃除のことは、誰に相談すればよいですか

相続廃除は、家庭裁判所の手続きが関わり、認められるかどうかの見きわめや、事情の立証に専門的な知識が求められます。こうした点については、弁護士が力になれます。自分のケースが廃除に値するのか、廃除と遺言のどちらで対応すべきか、手続きをどう進めればよいかなど、幅広く相談できます。一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談して、自分の状況に合った進め方を整理してもらうとよいでしょう。

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